2008/11/07
期待の新型1眼レフ登場!
9月の末に書いたオリンパスの新型1眼レフが発表された。
発売予定は12月20日とまだ先だが、その内容を一通り確認してすこぶる満足。
主だった点は以下のとおり。
・ マルチアスペクト機能
ライブビュー時のみとなるが、4:3以外に16:9、6:6、3:2、5:4、7:6、6:5、7:5、3:4 の
アスペクト比が選択可能。
・ 画像処理エンジンが新タイプ
よりダイナミックレンジが広がり、黒つぶれ、白つぶれが低減。
・ 電子水準器搭載
正確なフレーミングを心がけるには大変便利な機構。
E-30に新標準ズーム14-54mm F2.8-3.5IIの組合せ
・ 4コマまでの多重露光が可能
撮影済み写真とも重ねられる。 新たな絵作りのための面白い機構だ。
・ AF周りはほぼ上位機(E-3)と同じ
11点クロスセンサー、速い合焦速度、最高速1/8000秒、5コマ/秒の連写。 これは心強い。
・ コントラストAF使用可
これは上位機にはなく下位のE-520やE-420の機能だが、ライブビュー時にミラーの作動無しでAF作動も可能になっている。
・ モニターは2.7型のフリーアングル
E-3よりひとまわり大きくライブビューには有利だろう。
・ ファインダー倍率1.02倍、視野率98%
E-3より若干低い値だがE-520よりは高倍率だ。
・ 重量は655g
私の期待値より55gアップ。 上位機E-3が810g、下位のE-520が475gだからほぼ中間で軽いことはありがたい。
・ 予想初期店頭価格は15万円
過去のE-3やE-520の初期店頭価格は半年後には67%程度まで下がっている(市場最低価格)ので、同じ傾向をたどるとすれ
ば10万円程度になる。(私の期待値より1万円高い!)
勿論実機を操作して確認する必要はあるものの、私がデジイチに求める内容のほぼ100%の要望を満たしている。 また同時にレンズの方も標準ズームとして従来あった14-54mm F2.8-3.5がマイナーチェンジされたと思われる物が発表され、こちらはコントラストAF対応になっている。 14-54mm F2.8-3.5 IIは440gと軽量で、私が一番嫌うたる型の歪みがかなり抑えられ優れた描写をする点に好感を持っている。 E-30とこのレンズを組み合わせた重量は、今使っているサイバーショット R-1より50g重い約1100gで重すぎることはない。
更に発売済みの9-18mm F4-5.6(280g)、40-150 F4.0-5.6(220g)、25mm F2.8(95g)、ED50 F2.0 Macro(300g)など計5本のレンズが候補で何れも最高性能やステータス性を誇るものではないが、ローコスト、軽量コンパクト、高い実用性が身上で私の求める方向性を有している。 恐らく大袈裟ではないバッグ(5本のレンズを含む総重量が2.5kg程度で収まる。)で気楽に持ち運びできる筈だ。
しかしE-30を10万円としてもそれらの合計は30万円をちょっと超えそうだ。 現在懐具合不十分でいきなりの購入は不可能だが、初期製品に飛びつくことはしないので購入するとしてもタイミングは価格が落ち着いた来年半ば頃になると思う。 よってせっせと貯金することに暫し専念だ。 もっともその頃になるとマイクロフォーサーズも更に揃ってくるだろうから、それらも含めてじっくりと再検討する必要性があるだろう。 特にマイクロフォーサーズ専用のレンズ群の充実次第では、さらにコンパクト・軽量で私の希望を満たすシステムが構築できる。 いずれにせよ衝動買いを避けてきた私もいよいよデジイチを使う可能性が濃厚になってきた。
2008/09/26
フォーサーズがいよいよ面白くなってきた!
今月始めに私の次世代デジカメについての想いを書いたのだが、その時に触れたフォーサーズフォーマットのカメラに付いて顕著な動きが出てきた。 第一がパナソニックが発表した第一世代マイクロフォーサーズカメラのLumix DMC-G1、その次にオリンパスが発表した第一世代マイクロフォーサーズとフォーサーズの追加機種の開発発表だ。 オリンパスはこれらを今開催されているフォトキナにてモックアップサンプルを展示している。
DC WatchにおけるLumix DMC-G1の紹介記事はこちらから、オリンパスのマイクロフォーサーズに関する記事はこちらから、オリンパスの新型1眼レフに関する記事はこちらからご覧下さい。
パナソニックの製品は賛否両論あるようで、総じてネガティブな捕らえ方の方が多いようだが、一度頭の中の既成概念みたいなものを取り払ってみた方が良い。 ステータス性を全く気にしていない私にとっては上記3モデルは全て購入対称としてじっくりと検討するに値すると考えている。 それらを判る範囲で現行モデルと共に一覧にすると、
モデル名 |
フォーマット |
モニター |
重量 |
サイズ |
ファインダー |
ボディー実売 |
オリンパス E-3 |
フォーサーズ |
フリーアングル |
810g |
142.5x116.5x74.5 |
1眼レフ |
\134,000 |
オリンパス新1眼レフ |
フォーサーズ |
フリーアングル |
600g??? |
??? |
1眼レフ |
\90,000??? |
オリンパスE-520 |
フォーサーズ |
固定 |
475g |
136x91.5x68 |
1眼レフ |
\55,000 |
パナソニック Lumix DMC-L10 |
フォーサーズ |
フリーアングル |
480g |
134.5x95.5x77.5 |
EVF |
\70,000 |
パナソニック Lumix DMC-G1 |
マイクロフォーサーズ |
フリーアングル |
385g |
124x83.6x45.2 |
EVF |
\75,000 |
オリンパス初代マイクロフォーサーズ |
マイクロフォーサーズ |
固定 |
300g??? |
120x65x32(モックのサイズ) |
無し |
\40,000??? |
註) 表中???は根拠のない私の勝手な期待値である。 また青字のモデルは現行販売機種。
私にとって好ましいのはレンズ交換可能カメラでフリーアングルモニター付きの選択範囲が増えたことで、ローアングルやハイアングル撮影の多い私にとり非常にありがたい。 マイクロフォーサーズではコンパクト化、軽量化が進むだろうから旅行の際に邪魔にならないばかりか、マイクロフォーサーズ機はアダプターを介してフォーサーズ用のレンズも使えるので、例えばコンパクトデジカメに近いサイズのオリンパス初代機は対応範囲の広い高画質コンパクトデジカメになるであろう。
フォーサーズグループはレンズの選択範囲が狭かったが、オリンパス、パナソニック、シグマが徐々に機種数を増やしてきており、この面での遜色はもう殆ど無い。 オリンパスの新製品2機種は早ければ今年末、遅くても来年全般には出てくると思われるので、その辺りが最終選択のタイミングになりそうである。 さあ貯金をしなくてはならないぞ!!
2008/09/12
ミニ夏休み
9月9日、9月10日と2日間mini-Shopをお休みさせていただき、久しぶりに泊りがけで家内と伊豆半島に出かけました。 私の自宅から一番遠い下田辺りまでドライブすると160km位でそれ程遠くありませんが、その途中はなうての渋滞多発になる所とあって、交通渋滞の嫌いな私にとっては土・日、休日には余り行きたくないところです。 一般の夏休みが過ぎ9月の3連休の前の平日とあって、まだ夏の感じは残っていましたが混むようなことはなく快適でした。
実は若かりし頃同僚などと海水浴に東伊豆には何度も行きましたし、そのうちの何回かは下田まで脚を運んでいますが、西伊豆には全く行ったことがないため今回は西伊豆の堂ヶ島に宿を取り、行く途中で東伊豆の城ヶ崎の散策を楽しみ、堂ヶ島では自然に出来た景観をゆっくりと楽しんだ次第です。
地学に興味を持っている私にとって城ヶ崎近辺の溶岩で出来たリアス式海岸と堂ヶ島近辺に見られる生成岩が侵食して出来た景観の違いは特に興味深く、砂嘴(さし)が干潮で見え隠れする現象もじっくりと眺めています。 最も、貧乏性と言うか、日曜大工に絡みそうな物への興味はこんな休みの時でもむくむくと起きて、旧家の展示で見つけた急な階段や道具箱も色々想いをめぐらせながら眺めていましたし、パズルを発見してこれを作ってみようかな?なんて一幕もありましたが。
ともあれたらふく食べた海鮮料理と共に十分に息抜きが出来た2日間ではありました。 以下にその際に撮影した写真を12点ほどお見せしますが、家内の撮影したものも4点含めてあります。 (各写真をクリックすると拡大写真がご覧になれます。)
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
城ヶ崎海岸(家内 撮影)
|
|
城ヶ崎海岸(家内 撮影)
|
|
城ヶ崎海岸(VIC 撮影)
|
|
堂ヶ島(VIC 撮影)
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
堂ヶ島(家内 撮影)
|
|
堂ヶ島(VIC 撮影)
|
|
堂ヶ島(VIC 撮影)
|
|
堂ヶ島(家内 撮影)
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
松崎(VIC 撮影)
|
|
松崎(VIC 撮影)
|
|
松崎(VIC 撮影)
|
|
堂ヶ島(VIC 撮影)
|
|
2008/09/05
デジカメ1眼レフの世界がにぎやかだ
私の期待している内容とあまりにもかけ離れているためと、購入後短期間で陳腐化してしまう
理由でずーっと見送ってきたデジカメが最近になって大変賑やかになってきている。
一番大きなトピックスはニコンが発売したD700で、俗に言う「フルサイズ フォーマット」で価
格が最上位機種のD3に比べぐんと下がり手が届きそうな範囲に入ってきた。
現在実売最安値が\250,000前後と下がったとは言えまだかなり高価な部類だが、現在最も
売れているデジカメ1眼レフらしい。 これは大変な驚きだ。
もうひとつのトピックスは「マイクロフォーサーズ」という新規格の発表で、1眼レフは作りにく
いがレンズ交換可能なコンパクトなデジカメに大きな期待を寄せられそうだ。
今年中にその第一号が発表される可能性があり、こちらも私にとっては大変興味がある。
そもそも私が仕事中心に使うデジカメ(撮影枚数が年に1万枚前後)に何を期待しているかというと、
・ 使いやすいライブビュー機能
・ バリアングル液晶(低位置撮影が多いので)
・ シャッターのタイムラグが小さいこと
・ フォーカス速度が速いこと
・ マクロ撮影に強いこと
・ 強力な(殆どメンテナンス不要な)撮像面のゴミ取り機構
・ 軽量コンパクト
・ 歪曲収差の少ないレンズ群
・ 防水・防塵機構
などであり、一般に問題視される高感度時のノイズ、等倍に拡大して粗探しするような病的としか思えない画質評価なんかには殆ど関心がない。 そして私が求める内容だけであれば、撮像素子の小さな所謂コンパクトデジカメで十分なのだが(耐久性の心配はある。)、バリアングル液晶付きのカメラが少ない、シャッターのタイムラグが大きい、付いているレンズが粗末、フォーカス速度が遅いなどの理由で現状では満足するものがないのが実状だ。
1眼レフタイプになると更に選択肢の幅が狭く、オリンパスのE-3だけが候補として残る。
但し大変重く(ボディーだけで810gとニコンのD700 995gに近い。)、とても軽量コンパクトとは
言えないのと交換レンズ購入費用を考えると出費が大きくためらっている。
問題のニコンD700はどうかというと手持ちのレンズ資産が生きる(17mm-400mmまで各種
10本程度ある。)ので、取り合えず手持ちのレンズを活用するのであれば費用負担は少ない
というメリットはあるものの、バリアングル液晶ではなくゴミ取り機構もまだ不十分のようであ
り、重量は無論重過ぎるので、これまた是非とも購入したいというところには至っていない。
問題はマイクロフォーサーズ規格のレンズ交換式デジカメで、これの出来具合によっては大
きな候補になりうるかもしれない。 駄目だった場合にはE-3を選ぶかオリンパスが表明している年内に追加するというフォーサーズの新型を検討してみる価値がありそうだ。
昔から軽量コンパクトできらりと光る何かを持っているカメラに心を奪われた私にとっては(その典型がオリンパスペンで独自性の高い機構と優美でシンプルな造形、そして極め付きの優秀なレンズ群にしびれていた。)、同じオリンパスのフォーサーズというフォーマットは十分なサイズでありそうで、フルサイズなんかは宝の持ち腐れというかアンバランスな物でしかないのかもしれないと考えている。 とは言えホームページに掲載する写真のためにそろそろ真剣になって次期候補を考えないといけないので、目を光らせている毎日だ。
最も気に入っていてまだ現役で使っているオリンパスペン。 右端のPen Fは私の青春時代を一緒に駆け抜けた。 |
2008/07/25
忙しさの山場は越えたかな?のこのごろ
7月19日は学校の夏休みが始まった日であったようだが、私と家内が所属する合唱団の
第38回定期演奏会があった。 大変暑かった日だったので聴きにこられる方にも影響す
るのではと心配していたのだが、満席に近い850人と聞いてほっと一安心。
出来栄えはというと無論完璧だったとは言えないがアマチュアの合唱団でもあるので、
「来場者に楽しんで頂けたかどうか?」という観点からの自己満足評価では、まずま
ずだったのではなかろうかと考えている。
私自身は以前アメリカに8年間滞在した経験があり、その間にニグロ スピリチュアル、デ
ィキシーランドジャズなどを始め生の黒人が持つ独特の感性の音楽に触れる機会があっ
たから特に6曲あった「黒人霊歌」には大変期待していたのだが、リズム感、発音、演奏
速度など難しい部分がかなり多く、残念ながら完成度はいまいちだった。
また團 伊玖磨さんが作曲された合唱組曲「紀州路」は参考になりそうなCDも出ておら
ず、これを演奏するにはソプラノソロ、クラリネットソロ、ナレーションが必須との珍しい
構成とあって取り上げる合唱団も大変少ないそうだが、練習を重ねるに連れてその素晴
らしさを十分実感でき、新たな名曲と感じている。
もうひとつのステージである「中田喜直作品集」は曲そのものを知っている方が多いだ
けに意外にも手ごわさがある。(手抜きや間違いが誰にも判りやすいのだ。)
これら以外にアンコール曲として「歌の翼に」(クラリネットソロとソプラノソロ付き)と、「コスモス」(山口百恵ちゃんが歌って大ヒットしたあれです。)を歌ったのだが、これらは指揮者の新倉先生が編曲したもの。 実は新倉先生は、「自分が編曲したものは恥ずかしいからプログラムに載せたくない!」とのことでそうなっているのだが、素晴らしい情感のある編曲であり次の機会には堂々とプログラムに正式に載せて欲しいと思う次第。
私たち夫婦にとってはこの定期演奏会が1年の区切りになっているような感があり現在は、さあ来年の定期演奏会は!! という心持ちに早くも変化しつつある。 その来年にはオーケストラとの共演で「イタリアオペラ歌曲集」や「混声合唱組曲」などとあり、また新たな挑戦になるだろう。
これで7月の大きな山場は越えたことになり、残るは「ゲルマニュームラジオ製作」の原稿を仕上げることに専念すればよい。
様々な60の手習いももう一息だ!! 暑い暑い!なんて言っていられないぞ!!
2008/07/11
これって高い?それとも妥当?
最近家内がある方から聞いた興味ある話をひとつ。
近くでコンビニをやっているお店の持ち主(この地域では旧地主さんというか色々な方に顔が効く人と聞いている。)がお客さんから相談されて知っている塗装屋さんを紹介したらしい。 注文内容は3本の柱の再塗装だそうだがそれ以上の詳細は不明だ。 その塗装作業は無事終わったらしいのだが、支払った費用でそのお客様は大変不満らしい。
柱1本辺り1万円で3本だから3万円だったそうだが、「たかが3本の柱を塗りなおすだけで3万円は高すぎる!!」というのが、そのお客さんの不満の内容らしく、「全く知らない所へ頼んだのならいざ知らず、数十年に渡って付き合ってきた人に紹介してもらっただけに納得できない!」 とのコメントだったらしい。(コネで多少は安くやってもらえると期待したようだ。)
さて皆さんはどう思われるだろうか? 私の想像では「そりゃあ高いよー!」と感じる方が多いのでは?と思う。 何故なら3万円のお金を使って出来る買い物はかなりのものであり、比較するに塗装なんて数時間で終わってしまう簡単そうな作業に思えるからだ。 一般論としてそのような感じ方は決して間違っているとは言えないだろう。
ここで私は少々乱暴で珍妙な計算をしてみた。 乱暴というのは塗装の仕様が全く判らない(使った塗料、作業手順、作業時間、塗り回数、塗り面積、屋内か屋外かなど)ままの計算だからだ。 要するに独断の試算なのだが以下をご覧頂きたい。
塗装仕様の仮定:
1.柱は屋外の木製太さ10cmの物で高さは2,400mm(8尺)あったと仮定する。
柱の外周は40cmになるので、柱1本の塗り面積は約1.0m2となり、3本では3.0m2となる。
これから使用した塗料の容量、価格を計算した。
2.使用塗料は油性屋外用ウレタンニスと仮定し、3回塗りとする。
3.塗装前の下地処理
サンドペーパーと剥離材で既塗装面を落として着色調整をしてから塗装に入るものとする。
4.以上の総実作業時間は6時間掛かるとする。
3本の柱をサンドペーパーと剥離材での研磨に最低でも3時間は掛かるだろうし、塗装については1回辺り
1時間としても3回塗りだから実作業時間は3時間になり合計で6時間になる。
材料費・経費の試算:
以上を元に塗装屋さんの出費(材料費+経費)を試算してみると、
油性ニス: |
\2,500.- |
剥離材: |
\1,500.- |
刷毛損料: |
\1,000.- |
薄め液: |
\500.- |
ペーパー、その他: |
\500.- |
|
材料費合計: |
\6,000.- |
| |
ガソリン代: |
\300.- |
通信費用: |
\20.- |
|
経費合計: |
\320.- |
収益計算:
\30,000.-の支払いを受けたわけだから上記材料費と経費の合計金額を差し引いた\23,680.-が収益になる。
実作業時間が6時間であるが、3往復の移動時間と作業準備や後片付けの時間を考慮すると総拘束時間は9時間は
考慮しないとならないだろう。 とすると、時間あたりの収入は\2,631.-という計算になる。
|
何度も申し上げるが以上の計算はテンコ盛りの仮説の上で成り立っているから±両方へのブレは相当発生する可能性はあるのだが、ひとつの試算として聞いていただきたい。 この1時間辺り\2,631.-は時間給だから日給に換算すると\21,048.-、月の労働日数を20日と計算すると\420,960.-であり、年収では505万円となる。
こうしてみた時に\30,000.-の塗装代は高すぎるだろうか? 私自身は、高い!と決め付けるのは難しいような気がしている。
と言うのは、上の場合3日間掛かって完了する言わば効率の悪い作業である。 つまり作業量が少なすぎて効率が悪いから他の仕事と掛け持ちでやらないとならないだろうし、そのために行ったり来たりしなくてはならない。 連続して一日作業が続けれられう場合より割高になりやすい小さな仕事なのだ。 職人さんによってはこのような小さな仕事は受けない場合すらあるだろう。
更に職人さんなどの収入はサラリーマンと違い仕事が無ければ無収入になるから安定してコンスタントに収入があるわけではないから、実際の年収は505万円よりかなり下回る可能性もあり得る。 何れにせよこれらの年収は高い!と目くじらを立てるレベルには至っていないと思われる。 いやむしろここを叩き過ぎると職人さんの生活を脅かす方向に向かうのでは?と私は考えてしまうのだ。
一方VIC's D.I.Y.的に考えるのであれば(自分でやってしまえば!)、材料費合計の\6,000.-で同じ目的を達成できることになる。 何と\24,000も出費が抑えられるわけだ。 材料比率で言えば20%であり、これは特注家具等ではもっとメリットが発生しそうで、10数年前に特注家具を見積もり依頼して得た値を元に、それを私が自作した時の材料代から計算した材料比率は12%位だった。(50万円と見積もられた場合に材料費は6万円になるので、仕上がり感は別として44万円セーブできることになる。)
この辺りは大量の機械生産・販売の商品の価格構成とは大きく異なる所であり、それらの場合には価格競争力が先ず重要だから人件費を含む経費と利益は極限まで抑えなければならず材料比率はかなり上昇するのが一般的だし、そういった商品を自作しても価格的にはメリットが少ない。(価格以外の理由でのメリットが発生する場合もあるが。)
Why D.I.Y.?? 以上のような計算結果の違いと考え方が、営々とやってきた私の実益主義D.I.Y.の原点であり、日曜大工を推奨したい最大の理由でもある。
|
2008/06/27
私が選ぶ日曜大工のテーマ
先週、先々週と私が過去約30数年にわたり変化してきた日曜大工での学習効果について触れたわけだが、どのように日曜大工のテーマを選んできたかについて簡単に触れたい。
私はこの30数年間で日曜大工にかなりのめりこむことを2回経験している。
第一の波は1979年に念願の家を新築した後で、かなり付け焼刃的な発想だったが3点ほどの作り付け収納家具を作った。 未経験のままいきなり作り付け収納家具という敷居の高さからかなり完成度が低く製作完了まで2年ほど費やした。 かなりあちこち失敗のある作品だったが、その気になればやれないことは無い!という自信は付いた。 1983年に社命でアメリカに駐在することになり日曜大工から離れざるをえなかったが、滞在中により進んだD.I.Y.環境の洗礼を受け無数の知識や知恵だけはどんどん頭に入り、1900年に帰国するまでは充電期間となった。
帰国後貸していた家はかなり傷みがひどく一緒に住む家族構成も子供が別所帯にと離れだし以前とは大きく変化してしまうため、大型の改築ということで計画を練り始めた。 改築の構想をまとめるのに5年も掛かったがその中には改築後に作る収納家具全ての製作構想も含まれていた。 そして1996年の秋に着工し翌年早々に完成した。 改築後の大型家具はアメリカで購入した家具の一部以外は全て作ることにしたので、正直言って生活するのに大変困る家というのが暫く続いた。 これが2回目の波で現在でもこの波の名残と言うか延長線上にある。 設計図面をExcelで描きだしたのもこの時で、その当時はExcel Version 5.0、OSはWindows 3.1であった。
早く作らないと生活が上手く出来ないので急がないとならない所だが、私の勤務部署が海外営業であったこともあり、出張が続けば週末に日曜大工は実行できず結局計画した収納家具全てが完成したのは2001年に退職した後の夏であった。(約4年半掛かったことになる。) その後に不十分な技術でも高価な工具が無くとも或いは工作室が無くても工夫次第で実用性豊かな日曜大工が可能なのだ! ということに気が付き、「無い無い尽くしの日曜大工」として2001年10月にVIC's D.I.Y.を公開し、日曜大工をやってみたい方の為の叩き台になれば? との想いで今日まで来ている。
こんなことより私の日曜大工のテーマは、作ってみたいから!という趣味性の濃いものではなく、作らねばならない!という必要性に迫られたものが多い。 作品欄で言えば大型家具の多くはそれらであるし、小型の作品や入門用テーマの一部にも見受けられる。
無論趣味の領域のテーマもあるのだが、実益重視の私の感性はアメリカ滞在時に受けているように思う。(それだけアメリカで受けたインパクトは大きかったと言える。)
時々読者から、こういった内容のものを作って掲載してもらえませんか? とのお便りを頂くことがあり中には製作テーマとして面白そうだな?と感じるものがあっても私がそれを作ることは先ず無いと思う。 理由は簡単で、「我が家では必要としていないから」であり、小さな家で広く住むには、余計なものは持ち込まないのが鉄則だと考えているからだ。(そうしていても徐々に品物は増えている?!)
かわりに私が心がけているのは、テーマそのものよりも他のテーマに応用可能な、構造、加工方法、組立て方法、材料選択などでのヒントや様々な提案をしてゆくことにあり、私が作ったものをそのまま製作して頂くことは極一部を除いてあまり期待していない。 個人個人によって生活の仕方、価値判断は違うから、そのような観点でテーマを選んでもあまり参考にならないと訳だ。 そういった観点から製作テーマを読む利用価値を見い出していただきたい。 それが私の切なる願いだ。
2008/06/20
暫し製作解説は休みます。
間もなく今年も半分を過ぎ7月になろうとしているが、これから私は暫しの間大変忙しくなりそうだ。
というのは私が参加している混声合唱団の定期演奏会が7月19日にあり、今後土・日の多くで仕上げの練習が予定されていることが先ず挙げられる。
またある出版社からの依頼で7月中にゲルマニュームラジオ製作の原稿を書き上げなければならない。 VIC's D.I.Y.に掲載しているゲルマニュームラジオが目に止まったようなのだが、随分前に製作したこともあり追加の実験やリファインしたい部分もあるので、これにもだいぶ時間を割かれそうだ。
引退したとは言えmini-Shopの運営をしている私にとって実際は現役時代と同じように働いており、日曜大工は正にその名のとおりウィークエンドにしか手をつけられない。(例外的には塗装作業で、夜でも実施可能だが?) そのウィークエンドが別な目的で費やされるので7月末までは日曜大工には使えないとなる。
ということで、暫しの間時間の掛かる製作解説はお休みするのでよろしく。
2008/06/13
私の日曜大工の学習効果 その2
先週は30年以上前のやりかたと現在にやり方がどう違うかを3つに分類して解説したのだが、それらを元に日曜大工のレベル(作品の出来栄え。)を上げるポイントについて触れてみたい。
先ず非常に大事なことは3つに分類した2番目(作業手順、やり方)と3番(加工精度、仕上がり基準)は技術の問題ではなく、知識、考え方、経験、目標設定の違いにある。 よってその気になり学習しさえすれば誰でも身に付けられる。 実はこれらに関するヒント・情報はVic's D.I.Y.のコンテンツのあちこちに含まれている。(私の独断と偏見もあるが!)
VIC's D.I.Y.をご覧になる方が最も読まれる記事は圧倒的に「工具」と「材料」に集中しているようだ。 それはそれで結構なのだが、「製作解説記事」や「一歩進んだ日曜大工実現のコラム」にはより良い日曜大工に繋がる情報やノウハウが随所にある。 製作解説について、その製作テーマそのものに興味がないと読まれない方がいるかもしれないが、他のテーマに応用できる具合いよいヒントや新たな情報が含まれており、興味が無いから読まない!というのでは大切な情報を逃してしまう可能性もある。 従ってサイト内のコンテンツ全てに目を通しておいて欲しいと思う次第だし、急ぐのであればサイト内検索機能で知りたい単語を入力してより絞った情報を得る手もある。
そうすれば2番目と3番目に付いてはほぼクリヤーできる。(繰り返すが決して腕の問題ではなく知識の問題だ!)
さてさて難物は1番目に分類された事項だ。 何しろ「純粋な技術そのもの」であるから、解説を読んだら出きるようになる!なんていう性格のものではない。 「手引きノコギリで正確に切断する方法!」、「刷毛塗り技術!」 何れもVICの裏技情報で動画にて情報配布しようと真剣に考えてきたことだが、未だに実現していない。 ながーくさぼっていた!!と言えばそれまでなのだが、よく理解してもらい習熟しやすくするのは動画を使っても非常に解説方法の難易度が高いことが判ってきてまだ手が付けられない!というのが本音だ。
何れにせよより理解しやすい方法で手引き切断をマスターする解説はいつかは必ず実現したいと思うので気長にお待ちいただきたいのだが、技術無しでかなり解決できる部分もあるので、それについてはお伝えしておこう。
その1
ソーガイド併用の手引き切断で、長い切断にはあまり向いていないが、所定の調整法を施せば誰がやっても正確に直線切りと直角切りが実現する。 所定の調整法が鍵だがこれについてはmini-Shopでソーガイドを購入した方には裏技情報として配布しているので、それを参考にされたい。 切断長さが10cm前後、厚みが4cm程度までであれば極めて快調で、私自身もその程度の切断には必ず使用している。 例えばワンバイフォー材を切断する!(幅89mm、厚さ19mm位)なんていう場合にはおあつらえ向きだ!
|
その2
ナーンダ!と言われそうだが木材を購入したホームセンターや木材店で切断してもらうこと。 これは一見簡単に出来そうだが大事な注意点がある。 それは切断依頼する時点で設計がほぼ完全に出来て細部の部材寸法が決まっていないとならないということだ。 従って私が薦める事前の十分な構想検討、設計図の作成、板取り検討などをやることが前提にある。 そうでないと寸法調整に為の切断が後日発生したり短すぎた場合には材料が無駄になりかねない。
|
私自身も「急ぎ仕事」と「我が家の車に大きな部材は乗せられない」場合にはお願いしてもらうが、手引き切断をかなり節減できる。 但し切断精度が1mm以内でやってもらえることを確認した方が良いだろう。 ホームセンターによっては切断機(パネルソー)の管理・調整が悪いか使用者の技術が低くてどうしようもない所もある。
(最近私の近くでオープンしたホームセンターでは何と、「切断誤差を3mm以下には出来ません!」なんて表示していた。 そんな低精度切断だと後の作業で修正・修復が多発し全く意味をなさない。 管理・調整がきちんとされたパネルソーをしかる技術のある人間が使えば1mm以下の切断誤差は困難ではない。 私にはその経験があるから断言できる!)
この2つの方法を使えば手引き切断の頻度が下がるから切断精度を確保するための追加作業(カンナやヤスリで削る。)の量も減り楽になるし、合間を見て手引き切断の練習をすこしずつしてゆけばよい。
塗装についてはうまく理解してもらうことが更に難しいテーマで手引き切断以上に頭を抱えているが、手引き切断共々技術向上の勘所を何とか紹介したいと念じている。
さてどうだろうか? 手引き切断と塗装技術を除けば知識で殆どカバーできるとしたら、日曜大工はより楽しいものになるに違いない! そして私が推進している趣味ではなく実用性を重視したやり方であれば、周りの方の応援や賛同も得られてより充実した生活がおくれるのではないか思う次第だ。
2008/06/06
私の日曜大工の学習効果 その1
最近ふと昔の(30年以上前)の私の大工仕事がどうであったかを振り返り、現在のやりかたと比較してみた。
それらには「純粋な技術そのものの向上」、「作業の手順・やり方の変化」、そして「加工精度、仕上がり基準の変化」、の3つにくくれるのではないかと気づいた。
それらの殆どが大型リフォームの後に我が家の家具の大半を製作するという膨大な作業量と集中した日曜大工作業の中で生まれてきたものだ。 そして私はプロではなく非常に制限されたやり方(トップページで言う、無い無いづくしの日曜大工。)をしているのだが、実用性においてはかなり評価できるものになってきていると思うし、これから日曜大工をされる方やレベルアップしたいと思う方の参考になるのではと考え、2回に分けてお話してみたい。 今回は3分解の概略について触れてみよう。
純粋な技術そのものの向上
・ 手引きノコギリでの切断精度
切断時の直線性と直角性が大幅に良くなっているように思う。 その要因は切れなくなったら格安に新品の刃に交換で
きる替刃式ノコギリと切断時に使う適切な高さのしっかりした台の使用を元に切断時の姿勢や動作を試行錯誤の中で
工夫した点にある。 現在の平均的な切断精度は直線性は+0.3mm位、直角精度は切断後木口をカンナで二・三回削
ればドンピシャになる。
実は30年以上前に私は高価な両刃ノコギリ(その当時2万円近くしたと思う。)と電動丸ノ
コを切断の道具として使っていた。 そしてアマチュア用としては最高の道具だと思って
いたのだが、切断精度は今に比べれば遥かに粗末で、直線性については±1.0mmの狂
いは当たり前、直角性に関しては「気象庁発表の週間天気予報!」みたいなもので、結
果を見なけりゃ判らない!!という粗末なものだった。 両刃ノコギリは大変よく切れて
いたのだが、ある日家内が使って刃をボロボロにこぼしてしまい、全目立ての見積もりを
取ったら6千円と言われて使うのを止め、現在は丸ノコとともに赤ワシの状態だ。
・ 刷毛塗りの仕上がり
30年以上前には各種塗料の特性を考えたり選別することはあまりなく、単純に油性塗料の方が耐久性が良いだろう?
程度の判断でペイントを選び、刷毛の重要性も気にせず使っていた。 所詮素人には塗装は難しすぎて無理だ!と半ば
あきらめかけていたように思う。 どちらかと言うと塗りつぶしが主で木目を生かそうなんてことは殆ど考えもしなかった。
そしてその影響は12年前に大型リフォームの後に収納家具を作り始めた時にも残り、塗装はペイントで塗りつぶし!と
いうのが実に多かった。 しかしある時高価なプロ用の刷毛(1本\5,000前後)を使う機会がありそれによる塗り斑の少
なさに愕然として、もっと低価格ながら良質な刷毛を捜し求め始めるとともに油性ウレタンニスを使い始め、試行錯誤の
繰り返しにより昔とは格段に違う結果を得られるようになった。 この変化は僅か10年で起きている。 無論プロから見
ればまだまだ然るべき質には程遠いが、何とか一応様にはなってきていると思う。
|
作業手順、やり方の変化
・ 十分な事前の検討と設計図の描き出し
大工仕事を始める前にどんなものを作るかの事前検討は勿論やっていた。 しかしその内容は頭の中でざっと考えて大
きさや使う材料を考え、紙に走り書き程度の粗末な図面だけで材料を調達し切断加工を始めていたのだ。
それに対し現在は例外なく構想検討と設計図をパソコンにて作成しそれに忠実に作業を進めるというやり方に替わっ
た。 構想段階では使う材料に幅を持たせて調査しそれらの寸法を元に設計図を描いてゆくので、かなり細かな部分ま
で決められることと起きるかもしれない問題やトラブルもかなり予測可能となっている。 また図面を描きながら製作手
順や最適な加工組立ての順序までも予め決定できてしまう。
これらから来るご利益は絶大で、「無駄を排除できるので安く作れる!」 「失敗をする可能性の激減!」 という
点で、昔と全く比較にはならない。(その昔は製作途上であきらめて製作しなおしたり断念したテーマが20%程度あっ
た。 現在はまったくない。)
・ 釘からネジへ変更
締結材料としての釘は長い歴史を持っているわけだが、15年程前にこれを全面的にネジによる締結に変更した。 これ
により接合力・組立て後の寸法精度の確保は大幅に改善されやり直しも容易になっている。 現在使用している釘は
隠し釘、仮釘、飾り釘など特殊なもののみ。
・ 接着剤の使用法
木工だからと何が何でも木工ボンド一筋!というのが以前の接着剤選択で、適材適所みたいなことはあまり気にしてい
なかったのだが、現在では木工ボンド以外にエポキシ接着剤、瞬間接着剤、合成ゴム系接着剤を使用目的に合わ
せて使い分けている。 それと大きな変化は圧着保持と実用強度に達するまできちんと寝かせることにもある。
ここで言う圧着保持とはネジやクランプを使ったかなり強力なものを指し、重しを載せるなんていう不十分な方法は含ま
れていない。 実は重し程度でも十分だろうと考えていたし乾燥時の収縮なんてまったく考慮していなかったのだ。
・ ネジなし接合の拡大
接合に釘からネジに変更とともにネジそのものも使わない接合も順次追加していった。 単純に接着剤だけで接合する
場合に始まり、隠し釘・仮釘などで簡易型圧着保持併用、木ダボ併用による強度アップなどがあるが、基本は芋継ぎ
+αという簡単な構成だが、接着剤の選択により実用強度は十分取れている。
・ 研磨作業の改善
改善と言うのは少々大袈裟だが、使う研磨道具の特質を考えきちんと使い分けることと、研磨面の粗さの適切な選択を
している。 道具としては替刃式ヤスリ、ハンドサンダー、電動サンダー(大・小)、粗目ヤスリ、スポンジ研磨剤であり、
使うサンドペーパーでは#60、#129、#240、#400、#600を洋紙、布地、空研ぎ用の3種類を局面により使い分ける。
スポンジ研磨剤は最も細かな#1000を超えるものまで6種類の使い分けだが、細かなものではプラスチックの切断面を
鏡面仕上げするのにも使える。
・ 自作道具・工具の拡大
ここでは細かく解説しないが、「工具」欄の最後の方に掲載しているのが自作の道具だ。 これらは作業効率を上げた
り工作精度を高めるのに多大な貢献をしている。
まだまだ他にもあるのだが、主だったものは以上。
|
加工精度、仕上がり基準の変化
・ 切断精度の向上
手引きノコギリによる切断精度が向上し現在では切断精度を+0.3mm、−0.0mmにおいている。 必ず僅かに長めに
切断しその後直角度出しを含めカンナやヤスリで削りドンピシャ(曲尺での目視では設計値どおりの寸法)とする。
これが以前では大方±1.0mmで時にはそれを逸脱することがあり、カンナで調整しても削る量が多くて嫌になり大きい
まま先に進んでいたこともある。(それが失敗に繋がったことも!) またここぞと言う時にはソーガイド併用の切断も多
い。 この場合+0.2mm以下−0.0mm程度に切断ししかも直角度はドンピシャとなる。 長い切断には向かないが大
いなる手引きの助け舟である。
ところでそのような精密切断を電動丸ノコで出きるか? 答えは色々工夫しても先ず極めて困難と言わざるを得ない。
特に切断中に精度の狂いを感じても調整不可能で後の祭りになりやすい。 おまけに電動丸ノコは危険極まりなく木
ぼこりが舞い上がるので屋内ではとても使えないのも重欠点だ。
・ 組立て誤差の基準
設計値に従って材料を正確に切断しても組み上げ後に寸法が変化することがあるが(普通増大方向だ!)、その上限を
大型のものでは+1mm、中小型では0.5mmに私は設定している。 なにかこの値は甘いようだが、ある長さの中に接合
箇所が複数入っていると組立て後の誤差は大変で易くなり油断していると1mmなんて軽く突破してしまう。
これを防ぐにはクランプやネジを使った圧着保持は絶対に不可欠であり、1箇所接合するたびに寸法を確認し必要とあら
ば調整しながら進めないとならない。
・ 研磨作業の手順と絶対目標設定
カンナで面を削るのは高度な技術とカンナの手入れを要するのであきらめ、替わりにヤスリによる研磨で代用している
のが私のやり方だが、研磨の目の粗さに関して明確な作業基準を設定している。 荒材からスタートしたり表面に大き
な傷や凸凹がある場合には#60から始め倍々の目の粗さでサンドペーパーを替え、仕上げの段階では#240でつるつる
になるまで磨く。 ホームセンターで販売している集成材、合板の類は一見表面が綺麗なようだがこの場合も#120また
は#240からの研磨は例外なく不可欠だ。 小型の作品や工芸的な味わいを出したい時には最後は#400で磨き上げる
ことがあるが、これらをきちんと済ますことで塗装の出来具合の半分以上が決まるのだ。
一方その昔はどうだったかと言うと使うヤスリと目の粗さは点でまちまち。 塗装前の仕上げ研磨もやったりやらなかっ
たりで、はっきり言えば研磨の大切さをしっかり認識したやり方ではなかった。 特に仕上げ研磨が塗装の質に大きく影
響するなんて考えもしなかったのである。
|
3種類への分解は大体おわかりいただけただろうか? 次回はそれらを踏まえた(一歩進んだ日曜大工となるための!)提案をしたいと思う。
2008/05/02
次女と久々のお出掛け
昨年6月末突然の入院・手術の後は治療・経過観察などがあってなかなか遠出をする気にもならなかったのだが、良好に推移しつつあることもあり久しぶりに我が家の次女(7歳になるミニチュアダックスフントのデミちゃん)も一緒に4月29日に日帰りでどこかに行こうか? と家内に声を掛けた。
とは言っても犬も一緒に入場を許可してくれる所は少ないので、インターネットであれこれ調べてみた所、千葉県富津市のマザー牧場が引っ掛かった。
マザー牧場とは250ヘクタールという広大な土地に畜産振興を期して作られた牧場で、牛、馬、羊、山羊、豚、ウサギ、モルモット、アヒル、アルパカ、ラマ、ロバ、ダチョウを飼育しており、動物園と違って来場者はそれらの動物に様々なアトラクション共々より身近に接することが出来る。(マザー牧場の詳細はこちらのホームページでご覧下さい。)
それらの動物はどちらかと言えばおとなしく臆病なので、犬を連れて行った場合にはそれらの動物に接近するのは制限されるから、本来は子供連れで動物に接する機会とした方が良い。
今回は数年後に孫を連れて行く価値の下調べと割り切り、東京湾フェリーを使えば楽に1日で往復でき、起伏がかなりありそうなので運動不足解消にも良かろうということで決めた。 問題は交通渋滞なのだが富津市近辺が潮干狩りを始めとして混雑するのは北方からのアクセスで、フェリーを使うと南方からのアクセスだから渋滞はほぼなかろうと想像した。
更に早起きは3文の得とばかりに5時30分に出発し6時50分発の
フェリーに乗船、7時35分に金谷到着そしてマザー牧場に7時55分
着で開園の5分前と渋滞ゼロの高効率。 入園後アップダウンが
かなりある広い敷地内を散歩しながら色々な動物を見たりドッグラン
でたっぷりと遊んで昼食を取り一服した後の13:30には帰宅の途に
ついたのだが、約6kmを歩く運動と渋滞によるイライラ感無しの充実
感を味わった。
さて子供にお勧めかどうかというと、動物に接する機会として最高の
場であると思うが、高低差がかなりある場所なので体力を要するた
め小学生以上でないと親は大変なことになるかもしれない。
また遊園地として期待すると失望する可能性もあるが、私の受けた
感じは下手に遊具満艦飾の場所よりも動物に接する価値観は非常に高いと思う。
(是非とも孫を行かせたいがかなり先になりそう!というのが結論。)
ということで最近の私の近況ですが、おかげさまで元気にやっております。
以下はその際に撮った写真で、デミちゃんが一緒だと動物に接近できないので、マザー牧場を理解する写真にはなりませんが、縁取りの白い写真はクリックすると拡大します。
|
|
|
|
|
|
一応記念写真を。 ツツジが咲き始めていました。
|
|
|
|
|
|
|
|
5月間近ですが、菜の花がまだ沢山咲いていましたが、周りは一面の新緑の季節まっさかりでした。
|
|
ボール遊びが大好きなデミちゃんは、近くにいたワンちゃん のをお借りして(取り上げて?)お母さんとかけっこ。
|
|
|
|
|
|
|
|
家内の撮った写真。 奥行き感のある写真で高低差のある園内が良く判ります。
|
|
家内がフェリーボートから撮ったカモメのスナップ。 家内は偶然だと言っていますが絶妙なタイミングだと思います。
|
|
2008/04/04
切るのが嬉しくなる?ノコギリのその後
数ヶ月のテストを経て販売開始した精密切断用ノコギリ「粋な奴」について、
私以外の方が使った時の感想がいくつか入ってきました。 最初は私の娘のお婿
さんで、偶々孫を見せに立ち寄った時に私が「粋な奴」で作業しているのを見つけ、 「かわいいノコギリですね!」と言うので、「試してみる?」と彼にノコギリを渡し、 「力まずに肩の力を抜いてゆっくりと切ってみたら?」とだけアドバイスしました。
彼は日曜大工は一切やらず、実は彼らの住まいの家具の一部は私が作ってあげ ています。 切断したのはツーバイフォー材の端材でしたが、切断し終わってのコメ ントは、「へーサクサクと簡単に切れるもんですね!」とのことでした。
次はmini-Shopで販売後実際に「粋な奴」を購入された東京都にお住まいのIさんからのコメントで、同時に翔250も購入されたのですが、原文をそのまま紹介すると、
「粋な奴」の詳細はこちらとこちらから。
[前略]
鋸はゼットソー265を使ってましたが、翔250で切り口が違うのが直ぐ分かり、するどく精密に切断でき嬉しかったです。
ドウツキノコギリ(「粋な奴」を指す。)の方はコメントでありました、切るのが嬉しくなるノコギリですね。 力を必用とせず、さくさく切れますね。私には難しいかもと思いましたが、こぶりの為か、使いこなせそうです。もう少し練習して本番に使います。
[後略]
これらを聞いて私自身やはり嬉しくなってしまいました。 第一番目には、大工仕事を殆どやらずノコギリを比較できるようなことが不可能と思われる娘のお婿さんが、「簡単に切れる!」と感じたこと。 次が3種類のノコギリを比較して私の感想に近いコメント、「力を必用とせず、さくさく切れますね。」を得たことににあります。
正直言って「粋な奴」はかなり高価ですので、その価値を見出すのは難しいかな?!との思いもあったのですが、特に娘のお婿さんの作業を見ていると、初心者でも使う価値があるのでは?とも考えるようになりました。 だって「サクサクと気持ちよく切れる!」という嬉しい感触はなにもベテランだけが得られる特権ではないからです。 そんな「粋な奴」の評価が変化した今では、一人でも多くの方にこの心地よい経験を味わっていただければと念じています。
2008/02/22
切るのが嬉しくなる?ノコギリ
本日アップした「積み木の製作」で少々お見せしたノコギリは実は数週間前からテスト運転中の物です。 mini-Shopで販売しているノコギリは9寸目に始まり8寸目、7寸目と続き全て片刃の替刃式ノコギリですが、このテスト中のものは6寸目のやはり替刃式でかなりコンパクトな物です。 私が取引している問屋さんの営業の方が訪問された時に「試験してみてください!」と置いていってくれた物なのですが、現在のところの印象は「切るのが嬉しくなる!」というのが判りやすい表現と思います。
このノコギリは所謂「胴付きノコギリ」と呼ばれるたて引きの精密切断用に属する物で、細工と呼ばれるようなデリカシーを求めらる切断で威力を発揮しますが、刃が大変薄いために通常は背金と呼ばれる部材で刃が曲がらないようにしてあります。 この為に厚切りが出来ないという問題があるのですが、このノコギリには背金がないため切断厚みの制限がありません。
mini-Shopで販売している翔220もそれに近しい仕様になっていますが、このノコギリは更に徹底した作りです。 先ず刃渡りですが、翔220はその名の通り220mm(7寸目)ですが、190mm(6寸目)と短く、全長も20mm程短いです。 また重量を測ってみたところ翔220が約130gに対し100g強となっています。 僅か30g前後の差ですが持ってみてオッこれは軽い!とはっきり判ります。 これは重心位置がよりグリップに近い方に寄っていることによるのかもしれません。(重心位置の確認はしておりませんが。) と言うのは翔220の刃厚は全面で0.4mmなのですが、こちらは先端部分で0.25mm、中央と刃の一番手前の部分で0.35mmと先の方が薄くなっているためです。 尚グリップに挿し込んだ部分は更に厚く1mmあります。 従ってグリップを握り左右に振って刃の湾曲させてみると翔220が刃の中心辺りから曲がるように見えるのに対し、テスト中のものはより刃の先端に近い方で曲がるように見えます。 焼入れの仕方もかなり違うのでしょうが、こんな作り方は全く量産向きではありません。 というかかなりクレージーな作り方です。 しかしこのような構造ですから薄くてぺらぺらしやすく背金がなければ使いにくくなるのを上手く押さえ込んでいるようです。
|
|
|
|
上から翔250(8寸目)、翔220(7寸目)そしてテスト中の6寸目です。 かなり小ぶりであることが判ると思います。
|
|
|
|
|
|
翔220はどこでも刃の厚みが0.4mmでしたが、このノコギリは場所によって微妙に異なります。 またこの写真の上下方向では中心が上下よりも僅かに薄い!!という大変手間の掛かる研磨をしています。
|
|
|
|
|
|
|
|
翔220(上)とテスト中のノコギリの刃の接写。 翔220は未使用品です。 焼入れの仕方が違っているな?というのが判ります。 実は刃の研ぎ出し、焼き入れ、刃の調整研ぎと2回刃を研いでいるそうです。
|
|
グリップも良くみると中央部分は翔220よりもかなり細く、巻いてある籐も幅が狭い物になっています。 こんな所も拘りを持って作った結果と言うことが感じられます。
|
|
|
|
|
|
30 x 30mmのスプルースの棒を切断した面のクローズアップ。 大変綺麗な切断面であることがご理解いただけると思います。
|
|
|
|
|
|
この辺りの差の比較として22 x 30mmのラワン棒を厚さ5mm程切断してみました。 左が翔265、右がテスト中のノコギリによります。 左の写真の縦方向に見える筋はノコギリの刃の跡です。 右ではほとんどノコ刃跡が判りません。 また周りにできるバリもかなり様相が異なります。
|
|
|
|
|
|
上の写真の切断面を#240のペーパーで同じ回数研磨した比較です。 右の写真では全くノコギリの目の跡が見えませんが、左ではまだ研磨しきれないものが2筋(矢印先)残っておりこれを消すには更に研磨しないとなりません。 よって切断後の仕上げ研磨作業量に差が生じます。
|
|
実際に切ってみると、とにかく力を掛けることなくサクサクと極めてスムーズな切れ味を示します。 ただし正しく刃を前後に直線上を滑らせるかの如く正確に操作しないと切断面は曲がり易いので、ノコギリ操作に十分慣れていないと良好な結果は得にくいです。 これはソーガイドを併用してみても起きることで、完全使いこなしには修練を要します。 そして細工用のノコギリとして万全だ!と感じる点は切断後の切り口の様子です。 最もポピュラーな翔265で切断した場合との比較では、翔265がはっきりとしたノコ目を残すのに対しこのノコギリでは極僅かなノコ目しか残りません。 従って切断後のカンナ掛けやペーパー掛けも軽い作業で済みます。
このノコギリのテストはあと少なくとも1ヶ月は続くでしょうが、多分mini-Shopでも販売するようになるでしょう。 但し価格はかなり高い物になってしまいます。 前述のようにクレージーとしか思えないような効率の悪い作り方をしており、道具の中の芸術品の領域にかなり近づきつつある物だからです。 玄翁で言えばmini-Shopで販売している「広輝」玄翁と普通の玄翁の違いのようなもので、「感性の領域での差や価値観のある一品!」という言い方がぴったりくるように思います。
2008/01/03
あけましておめでとうございます!
次女のデミちゃんはブランコが大好きなので家内と近くの公園で
あけましておめでとうございます。
昨年は年明け早々に1番目の孫が生まれそして8月には2番目の
孫とめでたい話が連続した一方で、6月中旬に体調不良を覚え病
院に検査に行ったところ、2週間の入院と手術が余儀なくされるとい
う私にとっては激動の1年でした。
幸いその後体調は順調に回復しつつありますが、やはり年相応に
自重しないとならないのは事実ですので、以前のような頻繁なホー
ムページのアップデートや様々な製作解説を続けることは難しいで
す。
とは言え気力の方はしかる充実しておりますので、無理のない範
囲にて活動を続けて参りたいと念じています。
尚我が家の中には日曜大工で何とかしたテーマが殆どなくなってしまいました。 友人や離れて暮らす家族などの依頼でもない限り正調の日曜大工のテーマは出にくく、よって日曜大工とは言えないようなテーマや工作も遡上に載ってくると思われますがその点はご容赦ください。
そういうことで今年もよろしくお願いいたします。 また本年が皆様にとっても良い年でありますようお祈りいたします。
2008年1月 Vic's D.I.Y. / Vic's D.I.Y. mini-Shop 主幹 Vic Ohashi こと 大橋 克人
Copyright (C) 2001-2019, Vic Ohashi All rights reserved.
|