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初心者に適した材料
2003/03/20
日曜大工の初心者用に最適な材料が何かを詳しくお話したいと思います。
誤解なきよう最初にお断りしておきますが、初心者用に最適な材料だからといってそれを軽視しないようお願いします。

「弘法筆を選ばず!」の例えと全く同様材料の良し悪しが作品の出来に影響することはなく、作者の技量にのみ拘わっています。

さて初心者用に求められる材料の条件とは、

1.価格が極めてリーズナブルなこと。
  言うまでもなく失敗して作り直しが発生しても低価格であれば損した気分が拡大することがありません。

2.加工が楽で適度な硬さの材料であること。
  硬くては切断に苦労してしまいますし、柔らかすぎても強度が取れない等の問題が残ります。

3.ネジ、接着剤(木工ボンド)の何れもが接合に使えること。
  広義の木材の中にはネジの効きが悪い物や、木工ボンドがうまく接着できない物があり、接合法が特殊になります。

4.木工らしい風合いが期待できること。
  人工的に作られた広義の木材の中には出来上がっても風合いがイマイチで、塗りつぶすなどの表面処理をしないと完成品と
  して見られない材料があります。 木工らしい木目を生かした作品に仕上げられる方が好ましいと思います。

5.仕上げに手間取らない。

  好み次第ですが、白木のままでも楽しめる物であれば塗装作業を省くことが出来ます。 塗装作業は初心者にとって結構ハ
  ードルが高い作業かもしれませんので大事な条件です。

6.入手性がよいこと。
  これは特別説明する必要はないと思います。 入手性が悪くては気軽に取り組みません。


SPF
   さて以上の条件に合致する材料として最適なのは、

   SPF材ホワイトウッドです。




   SPF材は北米産に対して後者のホワイトウッドは欧州産という違いはあるものの何れも広い意味での
   松系の材料です。
   無論上記の6つの条件は総てクリヤーします。 これらが有する他の材料と比較した時の大きな短所
   は松脂の問題くらいなものでしょう。

   どのような大きさで販売されているかと言うと、

名 称 厚さ 長  さ
 ワンバイフォー(1x4) 19mm  89mm  1830mm(6フィート)。 3660mm(12フィートは殆ど見掛けない。
 ワンバイシックス(1x6) 19mm 140mm  1830mm(6フィート)。 3660mm(12フィートは殆ど見掛けない。
 ワンバイエイト(1x8) 19mm 184mm  1830mm(6フィート)。 3660mm(12フィートは殆ど見掛けない。
 ツーバイフォー(2x4) 38mm  89mm  1830mm(6フィート)と3660mm(12フィート)
 ツーバイシックス(2x6) 38mm 140mm  1830mm(6フィート)と3660mm(12フィート)
 ツーバイエイト(2x8) 38mm 184mm  1830mm(6フィート)と3660mm(12フィート)
 ツーバイーテン(2x10) 38mm 235mm  1830mm(6フィート)と3660mm(12フィート)

ツーバイフォー材の材料寸法は中途半端な値ですので慣れないと面食らうかもしれませんが、これらの寸法を前提とした設計をすればよいわけで、大きな支障にはなりません。 
価格についてはホームセンターで販売される材料の中で最も量販され目玉商品として位置付けられることが多いため極めて低価格で、ワンバイフォー材の場合単価が\200.-を下廻ることも珍しくありません。

標準的にカンナがけされたものが殆どで、使用目的によっては便利な面取り加工されたものもあります。 購入上の注意点としては、反り・捻じれ・節・松脂の存在などかなりのばらつきがありますので、念入りに選別することです。 無節が理想とは申しませんが、50枚に1枚くらいは無節のものを発見することもあります。


設計上の勘所

 1.面をどのように作るか?
   通常の設計は作品のサイズを決めてから、さあどのように材料を切り出すか?と考えることが多いものです
   が、ツーバイ材で作る場合には面となる部分を縦貼りで覆うのかそれとも横貼りで覆うのかを考えます。
   そして材料を並べる側の長さをツーバイ材幅の倍数か組み合わせで希望の物に近いところに決めてしまい
   ます。 (例えば1x4を使うとして、89mm178mm267mm356mmのように)
   物によっては敢えて隙間を与える作り方もあります。
例えば1x4材を使って1mmの隙間を設けるのであれば、面の幅は90mm180mm270mm360mmとなります。 こうした方が加工量が減りますし、見た目にも綺麗になります。 

 2.面と面をどのようにして直角に接合するか?
   幅の狭い材料で面と面を直角に接合するには工夫が要ります。 誰でも思いつくのは当て木をしてやる方
   法ですが、当て木無しでも直角に接ぐには図のようなやり方があります。
   これを全面的に採用した私の製作例が室内用犬小屋です。


      3.荷重の掛かる脚をどうするか?
        1x4材で作る際厚みが19mmということで長い足を作ろうとした場合強度不足(撓み)が心配になることがあ
        りますが、簡単な解決策は2枚の1x4材をL字型にネジで接合してしまうことです。
        この構造は捻じれに対しては問題が若干ありますが、撓みに対しては極めて丈夫になります。 私自身
        89mm幅の1x4材を縦に2等分してもらい(幅約43mmになる。)、これをL字型に接合して脚として使います
        が、4本脚で100kg以上に耐えられます。(脚の固定方法の方が問題になる。)


4.締結はネジの使用が主
  19mm同士を重ねて締結する場合には35mmスレンダースレッドネジが適しています。 それ以外の締結部分は45mm
  スレンダースレッドネジが良いでしょう。 木目に対しネジの方向が平行となる木口では、ネジの効きがかなり低下します。
  更に長めのネジを使うか木工ボンド併用で解決します。

  尚ネジを使う時の共通問題として、割れの問題があります。 軸細コーススレッドはこれより太いコーススレッドよりも割れが発
  生する可能性は低いですが、私の経験では数十回に一回は割れが発生しています。
  これを完全に回避するには下穴を空けます。 2.7mm-3.0mmのドリルでネジを締める上側の板のみに貫通穴を空けます。
  こうするとほぼ100%割れを回避できます。

  ネジを使って組上げる方法は屋外使用となる作品には好適です。 というのは、木工ボンドは接合部が濡れた状態が続くと大
  幅に接合力低下を起こすからです。

5.仕上げは木目を生かす仕上げが基本
  美しい木目を塗りつぶしてしまっては折角の木目の風合いが消えてしまいます。 塗装するしないは別として、木目を生かす
  仕上げを前提に考えましょう。  屋内用であれば、塗装しなくても白木用のワックスを塗ると汚れに対して強くなりますし艶も
  出てきます。  水が常に掛かることなく擦れもあまりないのであれば、水性ニスで仕上げると短時間で塗装が終わります。
  擦れが多発するような作品の場合には、面倒ですが油性ニスを数回重ね塗りしてやりましょう。 

  一方屋外使用のものでしたら、屋外用水性ステイン系の塗料で乾燥も速く間違いなく1日で塗装作業は終了しますし、木目の
  美しさはそのまま残せます。

最後に私の作品の中でSPF材またはホワイトウッドで制作した実例を以下にリストアップしておきますので、板取り・構造・接ぎ方・塗装などの具体例を参考にしてください。

作品名 コメント
 ミニハイバックチェア  とても安い材料で作ったとは思えない外観です。
 室内用犬小屋  横貼りとした壁の木目が素敵です。
 観葉鉢カバー  水性ステイン系塗料で重厚な感じを出しました。
 プランターボックス 1  最もポピュラーなサイズのプランターに併せて設計してあります。
 プランターボックス 2  曲面を入れてよりエレガントな外形を施したプランターボックス。
 多目的置き台  塗料が工作物に移るのを防ぐためこれだけは白木のままです。
 コーナーラック  置物を引き立てるため白木に近い薄化粧を油性ステイン系塗料で施しました。
 プリンター置き台  ワンバイフォー材を骨格に使った応用の利く構造が特徴です。
 園芸用収納庫  ワンバイフォー材だけで作った屋外用の収納庫です。
 物干し台の収納庫  これもワンバイフォー材だけで作った屋外用収納庫の1例です。
 花車(一輪車)  屋外使用に耐えるよう水性屋外用ステイン系塗料で仕上げました。
 2段植木鉢台  1日で全作業が終了する簡単に作れる植木鉢台です。
 ウェルカムボード  大型植木鉢を安定化のために使った上背の高い屋外用作品です。



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