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ウェルカムボード
2005/05/13

 久々の日曜大工入門用テーマでウェルカムボードと名づけた屋外用の工作物で、mini-Shopを開いて以来
 我が家にこられる方が増えてきており、その際に場所を発見しやすいようにと考え作ることにしました。

 幅が50cm、高さが140cmを考えていますが、小型の立て看板みたいなものですから似たような衝立風の
 工作物製作の参考になるかと思います。

 屋外用工作物はデリカシーこそ余り要求されることはありませんが、環境が屋内用工作物に比べると遥か
 にきついですから、それなりの工夫配慮をしてやらないと長持ちしません。 また仕上げとしての塗装も寿命
 に大変影響します。

 そういった配慮が成されていないものは1年で使い物にならなくなることすらあります。 従って単にウェルカ
ムボードを作りますというのでなく、構造上や塗装において守るべき重要なポイントについて詳しく触れ、応用が効くようにしたいと考えています。

 またこのテーマではいつか実験したいと考えていたことをやろうと思います。 
 それは塗料でして、常用している油性ウレタン着色ニスを使ってみることです。

 かなりの使用実績があり私が信頼しているこのニスは、これまで屋内用の作品に
 しか使ってきませんでした。 ところが120ml270ml容器入りにはなんと
 「屋内外木部用」と表示されています。 (右の写真は270ml容器の例。)

 これは私が気が付かなかっただけなのですが、屋外用に使って耐久性があるの
 であれば、屋外用工作物の仕上げの選択肢が増えます。

 そこで使い始めて1年を経過し良好な性能を確認している、屋外用ステイン系塗料
 ガードラックと併用し、耐久性を確認しようというわけです。
 その結果は最低1年待たないと出ませんから、その報告はずっと先になりますが。

構想のあらまし

製作開始は次回になりますが、簡単に材料や構造について触れておきます。
案内板として「VIC's D.I.Y.」の文字が入る部分は、14mm厚の良く乾燥して枯れたムク板を2枚貼り合せようというアイデアです。 この材料は風雨に晒されるようなところに使うのはもったいないのですが、ウレタンニスを含侵させることによりそのデリカシーのある木目がどの程度持つかがポイントになります。

そして手前の板にはVIC's D.I.Y.を抜き文字で入れることにします。 貼り合わせには木工ボンドは使えませんのでエポキシ接着剤を使わねばなりません。 そして貼り合わせ後に前述のように薄くしたニスを含侵させるわけです。

その他の部分はワンバイフォー材で作りこれらはガードラックを使って仕上げます。 このワンバイフォー材で作る部分は、腐れ防止のために水溜りが出来ないよう、水平面を少なくするよう構造を考えます。 それとこのウェルカムボードだけでは風で簡単に倒れるので、下の部分は隙間の大きなスノコ式とし、ここに大型の植木鉢を置いて安定化させると共に、花を飾りたいと考えています。



2005/05/27

最終設計と製作開始

 最終設計に入り若干の変更を加えました。 そのポイントは中段に奥行きの浅い棚を設けた点にありま
 す。 こうした理由としてはしかる板取りが中途半端であることが判ったことと、ちょっと殺風景過ぎるか
 な? という家内のコメントがあった為です。

 後でお見せする板取り図を見るとお見事と言うしかない無駄が殆どないものとなっており、SPF材のワン
 バイフォー5枚で作れます。(VIC's D.I,.Y.のサイン部分は除く)  実は近くのホームセンターではワンバ
 イフォー材が5枚束ねて\795.-という廉価なものがあります。 1枚1枚選別した方が節やそりの少ない
 ものを選別できるのですが、その場合には1枚\265.-と大変割高になるので何とか5枚で多からず少な
 からずにしたい!と考えていたため、正におあつらえ向きでした。

但しこうした束ねて売られている材料は注意しないと間に挟まっている板の反りが多かったり節が多かったりする可能性がありますが、束ねられていても結構中の板がどう反っているかは判別できるものです。 また節が多目の板はそれらを使う場所を考えてやればよいです。

中段の棚には小さな鉢を載せてそこから垂れ下がるような花や観葉植物を置いてやれば殺風景さが改善できると考えています。  この変更で重心が手前のほうに移動してくるため、全体の構造は構想段階で考えた逆T字型ではなく逆L字型に変更していますが、この作品の倒壊防止の基本は台座に乗せる大きな鉢の重量に依存するようになるでしょう。 また場合によっては台座の上にコンクリートブロックやレンガを載せその上に植木鉢というアプリケーションになるかもしれません。

 先週「アマチュア的作業の勘所」でお話した木部が地面に接触する部分の腐れ防
 止としてここでは最終的にプラスチックツマミの付いたM5のボルトを脚の裏に捻じ
 込むことにします。 受ける方は爪付きナットでどちらもステンレスではないのです
 が、ユニクロメッキされていますから多分2-3年は持つと思います。

 両方で僅か\180.-でしたので、錆びて駄目になったら引っこ抜いて交換すれば良
 いと考えています。 これでしたら高さやがたの調整が指で回すことにより簡単に
 出来ますし、プラスチックのツマミ部分が地面に接触するので、設置予定場所のタ
 イルを傷つけることもないでしょう。  またこのために木部が地面と接触する面積
 を減らすための切り欠き作業を省くことが出来ます。

 板取り図は右のようですが、今回は各部材に記号をつけ
 るのではなく、色分けして表現しました。 無論これらの色
    M5のプラつまみ付きネジと爪付きナット      は前述の寸法図の色とリンクしています。

今週は上段のサインを除き塗装するまでをお伝えしますが、塗装には和信ペイント製のガードラック
使用しました。  これまでに使った屋外用ステイン系塗料の中ではかなり木材の保護・防腐性能が高
いという途中経過が出ており、この塗料は私の屋外用工作物の定番塗料として今後使うようになると期
待しています。 唯一の問題は刺激臭が大変きついですが、臭いのきつくないものは先ず防腐性能も低いのが普通ですし、水性塗料などはお金の無駄遣いになるだけですから使いたくありません。 ガードラックを試してみたい方はmini-Shopで販売しておりますので是非ご利用ください。 割安なセット品もあります。

SPFワンバイフォー材。 5枚で\795.-と超格安で、VIC's D.I.Y.のサイン部分を除き使われます。 この中から反りの少ない2枚を柱に使います。

板取り図通り切断開始。 切断直角度が重要なのでソーガイドを使いました。 また各板の端を数ミリ切り落としてから採寸して切断します。

角を丸める部分は電動ジグソーCJ-250)で切断後木工ヤスリM-20GP)で仕上げました。

切断が終了した全材料。 のんびりやっても半日で終わります。

台座の枠部分の組立て開始。 まずコの字型に組みますが、ここで万が一捩れがある場合には薄い紙やプラスチック板を挟んで捩れが出ないようにネジ(3.3φ45mm)を締め付けます。

更にロの字型に組み上げました。 捩れが出ていないか十分に確認します。

次に間の板4枚を挟んでネジ止めします。 (ここでも3.3φ45mmを使用。)

スペーサーを手前の外側にネジ止めします。3.3φ35mm)

柱の板と上部の横板を固定します。 (台座へは35mm、上の横板へは45mmのネジを使用。)

台座に固定する際の直角度は大変重要。 慎重に固定します。

両方の柱を固定したら一応立てて確認。 傾きやガタは出ないはずです。

台座の外側の側板をネジ止め(3.3φ 45mm使用)します。

2つの台座の外側の側板を固定したら台座部分の組立ては完成。

中段の棚の組立て開始です。(3.3φ 45mm使用)

中段の棚枠が完成したところです。

中段の棚板を固定します。(3.3φ 45mm使用) 棚板と棚板の間は数ミリの隙間を設け水が溜まらないようにします。

組み上がった中段の棚を柱の間に3.3φ 35mmのネジで固定します。

立てた状態ではこんな風になります。

上段のVIC's D.I.Y.のサインを除き組立ては完成しました。

念のため設置場所に置いてみました。 中段や座板に乗せた植木鉢は仮ですが、イメージ通りに出来上がっています。

高さ調整の脚の事を忘れていました。 8φのドリルで穴をあけて爪付きナットを玄翁で叩き込めば後はネジを締めこむだけの簡単作業です。 塗装時にはネジは外しておきます。

私が使う屋外用塗料の定番となりつつある木材保護効果が大変高い油性ステイン系塗料ガードラック。 臭いはきついですが屋外で使えば気になりません。 色はライトオークです。 mini-Shopで販売しています。)

作品を倒して台座の裏側から塗りますが、塗るという感覚よりも沁み込ませる!という感覚が大事で、ニス塗りとは考え方を変えて繋ぎ目などの隙間にもたっぷりと充分沁み込むよう作業します。

台座裏が終わったら脚となるネジを締め込み本体を立てて上部の塗装に続きます。 乾燥時間が長いので塗り斑を作らないような修正もおちついてやれます。

1回目の塗装終了時にはもう夕方になってしまいました。 2回目は6-12時間後ということでこのまま一晩寝かします。

翌朝2回目の塗装をしましたが、1年前に同じガードラックで塗装したプランターボックス2の再塗装も併せてやることにしました。 これは2回目の塗装及び再塗装前の写真です。

プランターボックス2の塗膜の剥がれはありませんが、ごらんのように一部の木口には細かなひびが入り始め、再塗装しないと寿命が短くなるでしょう。

2回目の塗装と再塗装が終わったウェルカムボードの枠とプランターボックス2。 若干濃度が上がっているのが判ります。

プランターボックス2にややあった退色はなくなりましたが、重ね塗りの為に濃度が全体的に上がりました。 (左上は製作直後の色)

ウェルカムボードの枠部分はこれで完成ですが、塗装が完全乾燥するには1週間掛かります。





2005/06/03

トップサイン部分の製作

トップサイン部分は14mm厚杉の柾目板2枚を貼り合せて作りました。 この板は去る所から頂いた端材で表面には細かな傷や汚れがあるものの柾目の為反りは殆どなく、8年近く寝かされたものですから充分に乾燥しています。

今回の目的に使用するのはちともったいない気がするのですが、単なる油性ウレタンニスの耐久テストだけでは面白くなく、格調高い木目の美しさも楽しみたいので採用しています。

構造としては前面の板にVIC's D.I.Y.の切り文字を入れ、後ろにもう1枚の板を貼った後で塗装という按配ですが、この時に木工ボンドは使えません。 木工ボンドは完全硬化しても水分を吸収すると軟化して接着力がなくなり剥がれてしまうからです。  水濡れに強いエポキシ接着剤を使い圧着にはクランプを8本使って24時間放置し完全硬化させました。

塗装は文字の中を除いてエボニー色(こげ茶色)の油性ニスを使いましたが、1回目だけは原液に40%程の薄め液を加えたもので塗り奥まで含侵させています。 大変薄くしたため色の濃度が低く、2回目以降は通常の薄め具合(10%-15%)にしたものを使い所定の色濃度を出していますが、3回塗りで所定の濃度になるだろうという読みは見事にはずれ、5回ないし6回塗りが必要になりそうな気配です。

一方文字の中はニス塗りが終わった後に白の油性ウレタン塗料で塗りつぶしますが、このペイントは業務用で外壁に使って15年持つという超耐久性を誇る物ですから、その他の部分に塗る油性ニスとの比較にはもってこいです。

さて実際の経緯はどうかというと、板の貼り合わせ後合わせ目から垂れ落ちた余分なエポキシを削るのにディスクサンダーを使ったのですが(カンナでエポキシの塊を削ったら短時間で刃がぼろぼろになる!)、雨にたたられれてこの作業が出来ず、その後のカンナによる成形と木工ヤスリによる仕上げ含めて塗装作業開始が3日目になってしまい、その塗装作業も5-6回塗りが必要ということで本体枠が1日強で完成したのとは大違い、まったく予想外の遅れとなっています。

よって予定していた本体への固定までは無理で今週はニス塗りの途中までしか進めず、残りの作業は次週になります。

VIC's D.I.Y.の文字の書体は以前アメリカで購入したTrue Type Fontですので、215ポイントに拡大しA42枚に分けて印刷し板に貼り付けました。

黒の部分をジグソーで抜き取るためのドリルで貫通穴をあけました。

もはや私の定番ジグソーとなったCJ-250で抜き穴の作業中。 小型で低重心設計がこんな小さな抜き穴でも正確に出きる鍵でしょう。

僅かな切断誤差の修正はこれまた定番のM-20GPRL-330PRS-310P そして目立てやすりを使ってやりました。

文字の切抜きが終了しほっと一息。 正確な切断はゆっくりと落ち着いてやる必要がありここまでで1日使いました。

ぬるま湯で糊で貼った型紙を剥がし乾燥中です。 もう一枚の板との貼り合わせは完全乾燥後となるので一晩このまま寝かせることにしました。

翌日もう一枚の板とエポキシ接着剤で貼り合わせクランプで締めて24時間放置。 ごらんのように合わせ目からエポキシがはみ出ています。 これはカンナで削ると刃はぼろぼろになります。

そこでディクスサンダーで荒削りしカンナで削って最後に定番の木工ヤスリM-20GPで仕上げました。 そしてボーズ面ビットで角を丸く成形しました。

塗装前の成形作業が完了したサインボードです。

これの塗装には油性着色ニス(エボニー色)を使いましたが、1回目は薄め液を40%近く加えうすくしたものとしました。

通常の塗装方法とは違いたっぷりと塗り付け沁みこんだらまた塗りと3回同じ面を乾かないうちに塗っています。 (目的がとにかく1回目には深く沁みこませたいためで、乾燥後の2回目以降は通常のやり方になります。)

これが3度目の重ね塗りを終えた状態で、私のイメージはもっと濃度を落としたので、この調子では5回は塗らないと所定の濃度に到達しそうにもありません。 (ちょっと拘りすぎるかな?)



2005/06/10

ウェルカムボードの完成

トップボードの拘り塗装は結局着色ニス7回塗りで私のイメージしていた濃度に達しました。 その後艶なし透明ニスを塗ってニス塗りは終了ということになりました。

ところでこの間に和信ペイントから大変興味ある情報を頂きました。

「屋外用にニスを使う場合には透明なニスよりも着色ニスの方が長持ちしますよ!」というのです。 
「えっどうしてそうなんですか?」と思わず質問した所、「太陽の直射日光で塗料が劣化するのは紫外線の影響なのですが・・・・・」と言い出したのですが、とっさに私はその意味するところが判り、「着色ニスに含まれている顔料が紫外線に対するフィルターの役目をするので、ニス成分の劣化が抑制されるんでしょう?」と続けた所、「仰る通りです! 顔料は紫外線に晒されて退色しますが、ニスの保護はかなりしてくれるため長持ちします。」 ということでした。

ニス塗りの着色には既にお伝えしているとおりステインで着色してからニスを塗る方法と着色ニスを使って同時にしてしまう方法があり、屋内使用の場合耐久性には差がありませんが、日光に晒される屋外では、前者の場合ニスの塗膜を通過してから着色層に紫外線が到達するので、ステインの紫外線フィルター効果はありませんが、後者ではニスの塗膜の中に着色顔料が拡散しているので紫外線に対するフィルター効果があるわけです。

このような点を知らずに着色ニスで塗装開始したわけですが、この方法は結果的には最良の方法であったということになります。

その後最後の手間が掛る作業(文字の中の塗装)に入りましたが、構想段階で考えた業務用の耐久性の高いペイントの使用は止めました。 替わりに手元にあったプラモデル用の塗料を面相筆で塗るという方法に変更しています。

そうした大きな理由は業務用ペイントは一度固まったペイントを軟化させることが出来ません。 文字の中はかなり慎重に時間を掛けて塗装する必要があり、面相筆の使用がMUSTですが、塗装完了までに固まって使えなくなった面相筆が何本も出てしまう可能性があります。  プラモデル用の塗料は成分がアルキド変性アクリル樹脂ということで屋外用に使うのは気の毒なのですが、その下地部分はニスをがっちりと沁み込ましてあるので、剥がれるようなことがあっても木材保護には影響ないのでは? との期待をもっています。

文字の塗装も本当に手間がかかり結局3回塗りで正味1日半を費やしました。 ミクロ的に見ればかなり雑い仕上げですが、実際にこれを眺める距離からすれば、問題ない程度には出来上がったと思います。

最後の作業は本体の上部に固定ですが、30mmのネジで裏から固定し、サインボードと本体の合わせ目には変性シリコーンのコーキング剤で隙間を埋めました。

ということで無事完成しましたが、今後半年毎に劣化の様子を観察したいと考えていますので、サインボードの完成状態の様子は100枚以上のクローズアップ写真を撮り後日比較できるようにしています。 それらの様子は以下の写真をご覧下さい。

文字を塗装するのに使ったプラモ用塗料と筆。 成分はアルキド変性アクリル樹脂と書いてありますが、屋外では長持ちしないでしょう。

狭い所を塗るので刷毛の替わりに面相筆と呼ばれるかなり細い筆を使っています。

 着色ニス7回塗りの後に艶なしニスで仕上げた上に文字を白く塗りました。 期待していたコントラストが出たように思いま
 す。 かなりの手間と時間を使いましたが、これでサインボードが完成しました。

 これらはサインボード各部のクローズアップ写真ですが、100枚強の一部で後日屋外に晒した時の劣化具合と比較するの
 に使います。

サインボードを本体上部にネジで固定し合わせ目の部分はシリコーンコーキング剤で塞ぎました。 白い細い帯がそれです。

予定していた場所に設置しました。 道路からはこのように見えますので、来訪者が我が家を特定しやすくなると思います。

横から見るとこんな具合です。 4本の脚を調節してタイル床の僅かな傾きに合わせて垂直に立つように出来ました。 下段は高さ調整と倒れ防止の為にレンガを敷いて鉢を載せています。

事前に調べたのではないのですが、おあつらえ向きの陶器製プランターがあったので、中段はうまく収まりました。 左下に見えるプランターボックスと共に塗装耐久試験に入ります。

製作が終わり据え付けた4時間後から雨が降り出しました。 その翌日も雨!というわけで、いきなり水濡れ試験になっています。 無論問題はないのですが、それにしてもタイミングが良すぎます。
----- 完 -----

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