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ミニハイバックチェア
2002/11/07
ミニハイバックチェア その1

 このミニハイバックチェアは室内の小物としての飾り棚を考える過
 程で浮かんだアイデアを基に具現化したもので、低コストでありな
 がら極めてハイセンスに仕上がった私の傑作のひとつになりそうな
 作品です。

 原案は籐で出来た小さな椅子でした。 家内はこの椅子に娘が小
 さい頃かわいがっていた大きなモンチッチを飾っていました。 
 これを見て小さな椅子を飾り棚として使えるぞと思いながら背板を
 上にスーッと伸ばしそこにも引っ掛けられるようにするともっと良い
 のではというような経過でハイバックとなった次第です。

 材料についてはSPF材(ワンバイフォー88 x 1830 x 19mm)2枚で
 まとめた為、接合用の材料費を加算しても\600.-以下という超低
 コストです。(加工賃は含みません。)

 花瓶、壷、植木鉢、人形、ぬいぐるみなどを飾るのに極めて好適
 で、背面の板厚を15mmとしたため市販されている鴨居などにかけ
 てつかう金属製のフックを追加したり、つまみなどを取り付ければ
 また違った飾り方が可能です。

 しかしながら正直言って小型の作品ながら製作の難易度はかなり
 高い方で、組立て精度にこだわりを持たないとそれらしき形にはな
 っても実用に供しにくい難しさもあり、日曜大工入門のテーマとし
 てはハードルが高めであることをご承知おき願いたいと思います。

 またミニハイバックチェアとの名称をつけておりますが椅子として使
 えません。 軽荷重の置き台としては全く問題ありませんが、外観
 重視の設計であるため動荷重や横方向の荷重が掛かった場合な
 どへの十分な補強がされておりませんので、小さな子供であって
 も椅子として使うことは危険を伴います。


材 料

 1.SPF材
   SPF材或いはホワイトウッドと呼ばれるものを使います。 1枚の寸法は幅88mm、長さ1830mm、厚さ19mmで、2枚使いま
   す。  

 2.ネジ
   スレンダースレッドネジ又は軸細コーススレッドネジで直径3.3φ長さ45mmのものを6本、35mmのものを4本使います。
   

 3.隠し釘
   座面や座面枠と柱の組立て固定は木工ボンドを使いますが、固着するまで密着度を上げる為隠し釘を使います。
   長さは36mmで20本程使いますが、大型のクランプやハタガネの使える人は不要です。

 4.ラミン棒
   背板の組立てに釘を使いますが釘の頭を埋め込んで隠す為6φのラミン棒を使います。 ホームセンターで長さ90cmのもの
   を\100.-程度で購入できます。

 5.釘
   私としては珍しく普通の釘を使いましたが、太さ1.9φ長さ36mmのもので背板部分の組立てに16本使います。

 6.塗料
   新しい塗料を色々実験的に使っている中で、サンデーペイントのエコウッドカラーステイン(ホワイト)を使ってみました。
   ステインとの名の如く塗装しても木目はつぶれません。 今回使うホワイトはあたかも薄化粧のような感じといいましょうか、
   1回塗りで白木の感触がいつまでも残るような質感になります。 植物性の原料で出来ているらしく生体への安全性も高そう
   なので近々に作ろうと考えている犬小屋にも適しているのではと思います。


使う道具・工具

 1.電動ジグソー
   曲線カットが主体となる為電動ジグソーが必要です。 手作業では回し引きノコということになりますがカット量が多いので作
   業効率は大幅に変わります。

 2.電動ドライバー
   長さ45mmのネジを手締めでというのは厳しい作業になりますので電動ドライバーをお薦めします。 ここでは\4000程
   で購入可能なリョービのFDD-1000を使用しました。 ふところの狭い所も小型の為作業がやりやすいと思います。

 3.木工ヤスリ
   片面が粗目、反対側が中目のものと、薄い金属板を使ったものを使用しましたが、切断面の仕上げに使います。

 4.カンナ
   面取り用に使います。 木工ヤスリやサンドペーパーで代用してもかまいません。

 5.サンドペーパー
   #120と#240があればよいでしょう。 塗装前の仕上げに使います。

 6.曲尺(指金)
   線を引く、直角が出ていることを確認する、などに使用します。

 7.木工ドリル
   ラミン棒を挿し込む穴を開けるのに6φの物を使います。 本当は5.8φ位のものがあると隙間なくラミン棒を挿し込めるので
   すが、6φで穴径が大きくならないよう注意して開けます。

 8.M5のボルト
   穴の中に釘を打ち込む際に釘締めの変わりに使います。 直径が5mmの金属棒であれば代用可能です。


設計

 すらりとした直線と一部の曲線だけで構成された造形を目指しパソコンでイメージスケッチを10数枚描
 いた中から絞込み、高さを900mmと決めてしまい各部の寸法をバランスが取れるよう配分しました。

 材料はワンバイフォー材ですから板厚は19mmとなりますが、薄すぎず厚過ぎでもない組立てに楽な厚
 みです。 但し背板の間に挟んだ正方形に近い板4枚だけは15mm厚として凹凸感を出すと共に金属
 製のフックが引っ掛けられるようにしてあります。 (寸法図詳細は左の図をクリック)

 私の作品の中では珍しく効率よい板取りに関して全く考えず出来上がった外観優先の設計で、後述す
 るようにかなり切断が面倒となっています。  
 外観優先を若干緩めて作り易さ優先の設計も考えられるのですが、ぼてっとした感じになる可能性があ
 りそうなので、この設計のまま話を進めます。





加工

板取り図をご覧になると判りますが、2枚のSPF材(88 x 1830 x 19mm)で済むとは言うものの、一部の部材は縦方向に36mm幅、22mm幅、41mm幅、74mm幅に切り出さねばなりませんので加工が大変やっかいになります。 

いっそのことホームセンターの切断サービスを利用してしまった方が楽かとは思いますが、20数カットとなりますので材料の価格の3倍から4倍の加工費となってしまうと思われますが、それでも総費用は\2,000.-以内に収まりますから価値としては十分あるでしょう。  (複数の方に完成した物を見せたところ、買うとしたら\5,000.-以上の価値がありそうといわれています?!)
それは別としても手加工では加工精度を出すのが極めて困難になると思います。

背板の部分に使われる80x88mmの板4枚は15mmの厚さに削りましたが、SPF材の19mmのままでも構いません。 但し背板の凹凸感に結構影響するのと前のほうでも触れた金属性フックを引っ掛けるには15mm厚とする必要があります。 切り出した全部材は左の写真のとおりです。


組み立て

例により以下の写真によって組み立て手順をご覧下さい。

背板ブロックの900mmの棒Aに図のような印をつけます。 ここをクリックすると図が拡大します。

6φの穴位置を木口(側面)に印しました。
6φの木工キリで深さ20mmの穴を開けます。 
回転数の遅いリョービFDD-1000で落ち着いて作業可能。 白いビニールテープは穴の深さの目印です。 

2本の棒Aの木口に合計16個の穴が開きました。 
この後穴をあけた反対側の面だけ仕上げ研磨をします。
(背板Gを接合すると研磨しにくくなる為。)
開いた穴に釘を打ち込みますが垂直に打つことが非常に大事で、釘の頭は穴の中間に位置し穴の縁に当たらないよう注意します。
 
背板Gに木工ボンドを塗りM5ぼボルトを釘に当てて玄翁で打ち締め棒を固定します。 背板Gの取り付け位置はあらかじめ付けた目印を頼りにします。
背板G4枚を片側の棒に固定しました。

更にもう片方の棒を同様に背板Gに固定し背板ブロックが組みあがりました。


前脚組立ての参考図。 断面の木目方向に注意。 CDを接合し前脚を2つ作ります。 
接合は木工ボンドで36mm隠し釘で固定します。

後ろ側はEを19mm内側にずらして取り付け前側はツライチです。 木工ボンド併用ですが、前側は45mmネジ1本で、後ろ側は36mm隠し釘で固定します。

前側のネジ固定部分のクローズアップ。

ここで背板ブロックの釘穴に6φラミン棒を叩き込みノコギリで払うように切断します。

図に従って座板F3枚を加工します。

加工が終了した4枚の座板Fです。

背板ブロックの上部の丸め加工(半径約23mm)をします。 この後背板ブロックの幅が150mmとなるようラミン棒を打ち込んだ面をカンナで削ります。 座板受け枠の窪みにきつくなく入るようになればOKです。

背板ブロック、L字型前脚2本、座板受け枠、座板の全ての表面研磨と面取りを済ませます。



脚の方向を間違えないよう注意。 前面からは接合部が見えない方向が正しいです。

前脚を座板受けに45mmのネジで内側隅から45度の角度で2本打ち込みます。(木工ボンド併用)

座板受け枠に前脚を固定した所です。 背板ブロックに座板受け枠を35mmネジ2本ずつで固定します。(木工ボンド併用)


座板受け枠を背板ブロックに固定した後のクローズアップ。
後は座板を固定すれば組立ては終了です。

上の写真を見てお気づきかもしれませんが、10時に作業開始して以上までが終了したのは夕方5時になってしまいました。 かなりのんびりとやっているように思えますが、実は2台組立ながら1工程ごとに写真を撮っていたので時間が掛かっています。



2002/11/14
ミニハイバックチェア その2

前回に続き座板4枚を固定から完成までです。

既にカット済みの一番奥の座板のコの字状切り欠きを木工ヤスリで仕上げぴったり収まるようにします。

座板全ての合わせ目の面取りをした上で念のため並べてみます。
座板受けに写真のように木工ボンドを塗ります。

奥の座板を嵌め込み手前の座板を載せる度に36mm隠し釘で固定します。

塗装に入る前に念入りに各種やすりで仕上げます。 これは座板の曲線部分。
 
この写真の例では殆ど完璧ですが、座板と背板の間の隙間が大きければパテで補修します。
裏から見た背板取り付け部分のアップ。 ここも見映えに影響する部分ですから仕上げは念入りに。
 
前面から見た背板上部の丸い角。 ここも見映えに影響します。
屋外用ステインで仕上げたミニハイバックチェアの全景です。
 
----- 完-----
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