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板取の勘所
  家具作りに特化した情報をお伝えしています。
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2008/07/25

前回は材料の選び方について解説しました。 その結論としては様々な意味で安全性の高い物はシナ合板で大きさは 4 x 8、または 3 x 6ということになります。 今回はその大きな板を上手く切り分ける(板取り)の基本的な考え方について述べます。

4 x 8のシナ合板の大きさは1212 x 2424mmあります。 しかし実際の寸法はこれより若干大きいのが普通です。 要するに1212 x 2424の大きさを最小保証値として考えてよいと思います。 私が推奨する板厚は18mmですがそうなる理由は後日に回すとして実際に18mm厚 4 x 8合板は大きいだけでなく大変重くて一人でやっと運べる重量だと考えてよいでしょう。 また長さが2424mmというのは殆どの家屋の天井高以上ありますので、家の中に保管するのも大変やっかいです。  こんな所から4 x 8の合板をそのまま購入するのではなく小さく切断してもらう方が送料や保管場所など様々な意味で賢明です。 その小さく切断する際に効率的な板取りの考え方が重要になります。

 簡単な例として4 x 8の合板を縦に半分に切断することを考えてみます。 切り離した2枚の
 板の幅が同じで最大となる板幅はいくつになるでしょうか?
 1212÷2 = 606mm なんていう答えはだめです! 何故ならば板を切断するノコギリの刃
 幅だけ目減りする分を考慮していないからです。 一般に大型のテーブルソーやパネルソー
 で切り幅が3mmの回転ノコ刃を使っていることが多いです。

 これにより (1212-3)÷2 = 604.5mmが答えになりそうですが、実際には最初の板を切り
 出す前に平行度の調整をするためごく僅か切り落として(3-5mm)やりその後2枚を切り落とすので、通算で3回の切断をするのが正確な板幅にするために必要です。

従って(1212-3-3-3)÷2 = 601.5mmから(1212-5-3-3)÷2 = 600.5mmというのが限界になります。 但し板の実寸法は1212mmより大きいのが普通ですのでもうすこし大きく切断することも可能ですが、ぎりぎりというのは切断作業者に無用なストレスを強いることになりますから、覚えやすい数字としての600mmを限界と覚えておくのが妥当だと思います。


 註)平行度調整の切断とは、パネルソーにおいて材料を載せる台とノコギリの進行方向がなす角度(設
   計上は90度)
と切断する材料の角度(これも建前上は90度)を完全に一致させる目的で行うもの。
   例えば90.1度とか89.9度の僅かな角度の狂い(±0.1度)がパネルソーか板の角にあったとしても、板
   の全長が長いために上部と下部では4mm以上の差異が生じてしまうためいきなり切断に入ると大き
   な誤差になる。(例えば上の幅が200mmで下の端では204mmとか196mmのように誤差が出る。)
   左の図はその概念を表したものである。

   テーブルソーの場合ガイドにきちんと沿わせればこの問題は発生しないが、作業性や切断精度の出
   しやすさでパネルソーのほうが有利なようで、これを使用している場合が多いように思う。



この600mmという値は結構重要な値です。 というのは、私は使いやすい収納部の奥行きの限界は600mmとしていることと、600mmあれば洋服ダンスのハンガーを吊るす部分に十分だからです。 簡単に言えば奥行き600mmの洋服整理ダンスを作るとしたら 4 x 8の合板数枚を600mm幅半裁としてもらうだけで、側板と棚板は出来上がってしまい、無駄はかなり少なくなります。(板取りが良いわけです。)  同じ事を例えば610mm幅にすると1枚切り出した残りは590mm程度しかありませんから600mmの場合の2倍の4 x 8合板を必要とします。 無論590mm幅の部分を有効利用する方法があれば良いのですが、一般的にはかなり困難が付きまとうでしょう。  ということで600mm幅というのは一種のマジックナンバーだと私は考えています。

 板幅が600mmより狭くなった場合にも考え方は同じで、例えば300mm幅の板であれば、
 4 x 8から切り出せる枚数は4枚ではなく3枚、200mm幅であれば6枚でなく5枚が限度とな
 ります。

 実際に家具を作る際に必要な板幅は数種類に及びここで述べているように単純なものでは
 ないことがしばしばですが、板取の考え方は全く同じであり、極力余りが出ないように板幅
 の種類とそれらの組み合わせを常に考えてゆくことが重要です。
 従って上で述べている「余り」の部分もその幅に相応しい有効利用を考える必要が当然あ
 りますし、20-30mmなどという幅の狭い余りも補強材とか桟として流用できます。

以上の板取は全てシナ合板の長手方向(2424mm)を元に解説してきました。 その理由は長手方向に木目も走るほうが一般には綺麗に見えるからですが、中には板の長手方向と直角に木目を走らせたいこともあります。 その場合には当然ながら最長の長さは1212mmであることを認識しておかねばなりません。(尚木目方向については図の中では青い ←→線で表示しています。)

また3 x 6の材料を使う際にも同じ考え方が適用できますので、部材の長さや幅次第で3 x 6の材料とのミックスも当然ありうるわけで、板取作業は製作コストを考える時には構想・設計作業と同じレベルで重要度が高いと言えると私は思います。  何しろ総材料費の60-80%は木材が占めその大半がシナ合板になるわけですから。

 もうひとつ板取の中で長方形ではないL型、凸型、凹型などの部材を切り出したいという考えがあるかもし
 れません。 左の図はそんな一例で横から見るとL型に見えるような家具を作りたいと仮定します。
 中央横に走るのはカウンタートップということにしておきます。  このL型はそのまま側板の形を表すわけ
 ですから板取として3種類を考えてみました。(左の図をクリックしてください。)

 3種類の板取りのどれが良いかは難しい所で斜線で示した余りの部分をどう使えるかの違いで決まってし
 まうでしょう。 問題は私自身は△印を何れにもつけていることで、これはあまりよくないことを意味してい
 ます。 何が良くないかというと、「L字状に切断する部分は手加工でやらないとならない可能性があり、切
 断精度の低下やそれを補う2次加工の手間が発生する可能性がある。」
 という点です。

 L字状の交わった部分はパネルソーでは切断不能。 テーブルソーでは切断しきれませんから手引きノコ
 や電動ジグソーも併用した切断となり、その結果ここに段差が出来てしまいその段差をヤスリで削って平
 らにする!という余計な作業が出てきます。  これを精度高く切断するには相当大型なバンドソーを使うし
 かないでしょうが、そんな機械を使って切断してくれる所はかなり限られます。

こんな理由で私は切断依頼する板の形状は長方形に限る!という原則をお奨めします。  そしてこういった異形の材料を使わず長方形の組み合わせで実現できる方法については後ほどの項目で解説する予定です。


さて家具の設計や構造の解説をする前に2回に渡って使う材料や板取の基本的な考え方について解説してきました。 
これを変な順序だなー?と考えられるかが居られるかもしれませんが、その理由はこんな所にあります。

我々が大型収納家具を作ろうと考えた場合に様々な制約が発生してきます。 その制約の中で最も大きいのが材料の入手方法であり、大型の家具であるが故に発生する材料の切断問題です。  前者についてはインターネット通販で質の高い切断サービスを伴う木材販売が増えてきましたので、近い所に小売販売してくれる材木店が見当たらない方でも問題解決できるでしょうが、切断サービスの使用も含めていますのでそれらの販売店でどこまで出きるのかがひとつの鍵になります。

よって材料となるものが手に入るのかどうかと共に、切断サービスはどんな精度でどこまでやってもらえるのか? という問題を構想を練ったり設計する前に十分に確認しておく必要があります。 そのための基本知識や私が経験で得たノウハウを紹介しているつもりです。 ここを上手くクリヤーすることで自分での切断作業を最小限に抑えて取り掛かれるわけで、そうなれば小さな家具よりも遥かに簡単に無い無いづくしの環境でも大型収納家具が実現できることになります。

従って収納家具を作ろうと考えたら先ず、購入先候補を幾つか決めてそれぞれに受けられるサービスの内容を確認する!ことが重要です。 その確認は、前回と今回の解説を参考にした上で、次の諸点を調べた上で絞り込み決定します。(列記したのは最低でも確認したい項目です。)

   ・ 購入可能な材料(材質、厚さ、大きさ、送料)
   ・ 切断サービスについて(保証切断精度、ノコ刃の切り代、出来ない切断、切断費用、提供必要な図面)
   ・ 販売店の保証内容(不良品発見時の対応、交換の送料負担)

以上が済んだらいよいよ構想を練って製作に入りますが、次回には基本構造について解説します。





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