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2008/08/29
家具を作る際にどなたでも気になるのは、折角作った家具が壊れたり、壊れるには至らなくても撓みが出たり棚板が反ったりしてしまうことでしょう。 それを避けるためにどの程度の厚みの材料が必要か? と、かなり悩むと思います。 そこで耐荷重に拘わる幾つかのヒントをここで紹介しようと思いますが、それらは絶対保証ではないことをお断りしておきます。 と言うのも実際に出来上がった家具や各部の構造がどの程度の力に耐えられるのか?については、その家具を工業試験所に持ち込んで試験してみないと判りませんが、その為の費用はかなり高額であり、結果として壊されてしまいますし、なんと言っても作り付けで作った物を運ぶことも出来ませんからテストのしようがありません。
よって私が製作した物
(大型家具の全てが10年以上経過しています。)
が実際の使用の中でどう変化しているか? 変な不都合や
強度上の問題がなかったかどうかを元に解説いたしますので、ご了解ください。
1.板材の厚みと耐荷重
結論から申し上げると、家具の構造部分
(上下に使う側板や固定棚、横の仕切りなど)
に使う板
厚として18mmは通常の収納物に関する限り十分な強度を持っていると思います。
どうしてもそれでは不十分な棚板などでは鉄製チャンネルで補強すれば十分です。
但しこれは合板の場合の話で、構造的にランバーコアや集成材では合板のような耐荷重は取れ
ないように思います。 その観点から私は18mm厚ランバーコアや集成材を構造材として使ってお
りません。
特に側板としての18mmの板厚は私の製作した全ての家具で全く問題を感じておりません。
これは独立型の家具ではなくて、家具の両側又は片側を家屋に固定していることにも関連します
が、一番強度的には不利と思われる寝室の洋服ダンス部分の側板
(高さ約1,978mmの間に横
方向の補強がない。)
においても、側板の撓みは僅少になっています。
(右の写真)
固定棚
(全て8φの木ダボと45mmスレンダースレッドネジ併用の木工ボンド接着。)
に関して最も
厳しい使い方をしているのは書斎に作った大型本棚でして、びっしりと600mm幅に本を詰め込ん
でおり、中央部分が撓んで若干沈んでいます。 但しこれが破壊に繋がるかどうかは大きな地震でも経験しないと判りません
が、多分問題ないのでは?と勝手に想像しプライベートルームいうこともあって、みてくれの問題と割り切っています。
最近撮影した大型本棚の撓みの状況で、完成当時よりほんの少し撓みが増えているようです。 何れも幅600mm、奥行き300mmで荷重は15.5kg-17.0kg、左の写真は固定棚で平均して中央で1.8mm沈んでいますが右は高さ可変棚ですが、沈み量が平均2.5mmと大きくなっています。
一方荷重が大きくなりそうで且つ来客にも目に止まりやすいリビングルームの固定棚は、幅が957mmもありそれらに写真アル
バムなど重い物がびっしりと詰まっていますが、コの字型の鉄製チャンネル材で補強している為撓みは目立ちません。
リビングルームの収納棚で最も大きな荷重の掛かる棚の現在の様子。 棚幅957mm、奥行き350mmで扉が閉まっている棚にはなんと47.8kgの荷重が掛かっています。 正面から見ても撓みは感知しにくいですが、扉を開いて右側から撓みの様子を撮影した右側の写真のように若干沈んでおり、中央部の沈み量は2.2mmあります。
棚板横幅に対する沈み量を%で表すと、本棚の可変棚で
0.42%
、固定棚で
0.3%
、リビングルームの最も沈んでいる棚で
0.23%
となりますが、荷重は本棚が
16kg
前後に対しリビングルームの収納では
48kg
近い荷重ですから、鉄製のチャンネル材の効果
が極めて大きいことが判ります。
以上は撓みが最も大きい場所での実体でその他の場所での撓み量は大幅に減少しています。 従って18mmで十分と結論付
けているわけです。
私が18mmの板厚に拘るもうひとつの理由があります。 それはスライド蝶番を使用した場合板厚が
(家具本体、扉共に)
18mm以内であればスライド蝶番の購入費用が大変経済的になるからです。 私がこれまでに数百個使って品質、性能、価格
などを総合してベストと考えているスライド蝶番
(
mini-Shop
で販売しています。)
は、家具本体、扉の板厚が18mm以内であれ
ば変な干渉が起きる危険性は全くありませんが、板厚が20mm以上になると、扉、本体、蝶番の間に干渉が発生し、扉は所定
の開き角度が得られなくなります。
(スペックは100度の開角度。)
これを避けるには大きな開角度を可能にした150度タイプにすれば解決しますが、購入価格は4倍以上高くなってしまいます。
ところで引き出しに使う板材についてはどうかというと、四方の枠については12mm、底板に関して
は4mmというのが私の経験則で十分と考えている値です。 12mm厚で十分という背景には引き出
しに取り付けるスライドレールが引出し側板の曲がり防止の補強材のように働く部分もありそうで、
むしろ後述スライドレールの耐荷重のほうを気にする必要があります。
但しここで言う底板は枠に完全に接着し隠し釘で固定している簡単ながら十分強度が取れる私の
やり方が前提であり、格好良く仕上がるからと底板を大入れ構造にする場合がありますが、その場
合には底板を枠に完全に接着しないと引出しへの収納物重量が増えると底が飛び出してきて、
最悪の場合には底が抜けてしまうこともあります。 また底板を挿し込む溝を彫るのに電動トリマー
が必須の道具となりその負担が発生します。
2.スライド レール/蝶番の耐荷重
スライドレールの耐荷重は一般にはスライドレールを最も引き出した時が問題になりますが、片側にローラーを2個使ったタイプの物はスチールボールを沢山使った物より耐荷重が低い傾向にあるので注意が必要です。 因みに
mini-Shop
で販売している2段式ローラータイプスライドレールのメーカー発表の耐荷重は400mmタイプで25kg以下となっています。 この値はそれ程大きいわけではありませんが、私が洋服ダンスや整理ダンス部分で使っている物がこの10年以上の実使用において全く問題を起こしていないことは、十分な実用性を持っていることを裏付けています。
仮に耐荷重について更なる値を求めたいのであれば、より高い工作精度を必要とするものの、スチールボールタイプのレールの使用を検討する価値があります。 詳しくは解説しませんが、私自身600mm以上のスライド長が取れる物でありながら、54kgの耐荷重の取れる物で大変便利に使っている冷蔵庫の横に作ったスライド式収納棚の例もあります。
但しスライドレール全般的に気をつけたいのは、使っている材料厚、メッキの良し悪し、スチールボールやローラーの品質、加工・組立て精度などの面で千差万別の物が存在することです。 安い物の中には「それらしき程度の信頼性しかないという物もありながら、外観からでは良し悪しの判別がつかず、使い出して何年後かにトラブルが発見されその時点で互換性のある物がない!という事態で、家具の修復そのものが出来ないことすらありますので、心得ておく必要があります。
スライド蝶番に掛かる荷重は取り付ける板の重量、幅、高さにより変化します。 必要最少個数としては勿論2個ですが、扉が大きくなった時にどのように使用個数を増やせばよいかは簡単に算出できないものの、扉の幅の最大値を60cmとし、板厚を18mmとした場合、高さが900mmまでは2個、1,600mmまでは3個、2,000mmまでは4個、2,400mmまでは5個というのを目安にすればよいでしょう。 この場合両端の蝶番は扉の端からなるべく短い距離とし、残りは等間隔で取り付ければ良いです。 私の場合両端の蝶番は端から50-80mmの間に取り付けています。
尚扉幅が600mmより長くなることは蝶番に無理な力が掛かりやすくなるのと、扉の手前に大きなスペースがないと開けられなくなるので、避けた方が良いように思います。
また前述のスライドレール以上にスライド蝶番においては玉石混交の状態にあり、互換性の点でも極めて問題が多い部品ですので、安定して長期間使用できる物を選ぶことが肝要です。 またまた私事で恐縮ですが、我が家で使っている洗面化粧台、システムキッチンなどでスライド蝶番を使用している箇所がありますが、それらの信頼性や耐久性は自作したものより低く、使用期間が殆ど同じであるにも拘わらず、錆び、破損、調整不良のトラブルを経験しています。 その点で
mini-Shop
で販売している私が実際に使ったスライド蝶番
(これまでに合計で数百個使っています。)
は全くトラブルなし!!という大変優秀な結果を得ており、スライドレール共々超お奨めの部材です。
材料の選び方
板取の勘所
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