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個室2の収納家具
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最終設計 下段組立 上段組立 引出し組立 扉等細部の製作 ニス塗り ペイント塗り 完成
2003/04/17

構想

 ベッド横の収納棚が完成し寝室に然るべき物が移動されたため、全く手をつけていなかった個室2の収
 納家具製作構想が急にまとまりだしています。 8畳の大きさのこの部屋は通常は家内の趣味を中心と
 した作業などを行う部屋であり、来客が泊まるスペアーの部屋としても使われます。

 そのために端布、裁縫道具、ミシン等々手芸に関する材料、部材が置かれていますが、30年以上前結
 婚した当時に買った洋服ダンスや整理ダンスなどを利用し、これらの物を収納してあり極めて雑多なス
 ペース効率も悪い使い方になっています。

この部屋にあった美術全集が総て寝室に移動しましたので、それらこの部屋に置くべき物品の量はかなり明確になってきています。  それらの量を計算し今後増えるであろう量を30%増し程度に設定して収納家具のイメージを描いてみました。

 私の好きな左右対称的なデザインですが、次のような諸点を配慮項目としています。

 1.家内の趣味に関連する本などが総て納まり30%程度のゆとりがあること。

 2.家内の趣味・手芸用の材料を保管するスペースを引出しと開き戸両タイプで確保し、これも
   30%程度のゆとりがあること。


 3.ベッド横の収納棚に移動できなかった百科事典を整理できること。 但しこの百科事典はゆくゆくは処分される可能性が
   高いのでその際に矛盾が発生しないような構造を考えること。

 4.家内が大切にしている小さな写真立てを総て飾れるようにすること。

 5.この部屋で音楽を楽しめるようスピーカーを嵌め込み式で設置しておくこと。

 6.壁面を極力残して圧迫感の増加を押さえながら大きな額縁を掛けられるようにすること。

 7.部屋のスペースが狭くならないよう設置面積はぎりぎりまで押さえること。

かなり欲張った項目が並んでいますが、これまでに作った家具のどれとも構造的は違ったものとなる可能性大です。
計算してみると30%増しの収納能力を配慮しても、収納量はそれ程大きくないこともわかりました。

今回描いた構想図は以上の要求をほぼ満たす物ではないかと考えておりますが、例によって少し時間を置いてから見直すとより良いアイデアが浮かんでくる可能性が高いので、暫し(約1ヶ月)は様子を見ようと思います。

ただひとつだけ私がかなり意識しているのは、今回のテーマはこれまで使ってきたシハチ(4尺x 8尺で1220mm x 2430mm)の合板ではなく、サブロク(3尺x 6尺で910mm x 1820mm)の合板で作ろうとしていることです。 現在の構想図であると、サブロクの方が板取りが良くなる可能性が大であるからです。 サブロクのほうが一般的で入手しやすいサイズですからこの解説を読んでいる方にとって実現性が高いというか、より身近な参考になるのではないかと考えています。


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2003/07/03
最終設計と製作準備

 私の製作前の検討期間はかなり長いのですがやっとこれで行こうと
 構想が固まり設計図を描き上げそして材料の手配迄進みました。

 これまでの構想に対して余り変わっていないじゃないか?との声も
 聞こえそうですが、効率よい板取り検討まで含めると寸法図を描きだ
 してから板取り図の確認まで含め15時間は使ったでしょうか?
 ともかく板取り図を基に合板の発注と切断依頼、家具金物の発注を
 済ませてしまいましたので、それらが入り次第製作に掛かります。

 初めに最終設計の説明をしておきます。
 この作品は2階建てと言うか幅355cm、高さ75cm、奥行き45cm
 の壁と壁の間にすっぽり嵌りこむ大きな箱を作り、その両端上には
 幅88cm、奥行き30cm、高さ天井までの収納部が乗る構造をとって
 います。   (寸法図はこちらをご覧下さい。)

私の作る収納家具は長さ240cmの側板を立てて作る構造が多いのですが、今回の構造もそれとは違った作りつけ収納家具の基本形のひとつであり、LDルームの収納家具がこのスタイルです。

メリットとしては240cmという長い材料を使わずに180cmの3x6合板で作れることで、材料の入手性や取り扱いが楽になります。

横長の箱は3つのブロックに分かれ、両端2ブロックは観音開きの扉がついた幅88cmの何の変哲もない収納部ですが、床面から12.5cmの幅木部分は深さ73mmの引き出しになっており、これが既製品の家具にはない工夫です。 浅い引出しですが内幅が80cm近くありますので、折り畳んでしまいたくないものや、大きな紙の収納など便利に使えると思われます。 これら2ブロックの上には前述のように奥行き30cmの収納部が載るわけですが、左側は本棚、右側は観音開きの扉付き収納棚となります。

 中央のブロックは180cmの幅がありここには深さ約15cm、内幅54cm、奥行き
 45cmの引き出しが12個入ります。 引出しの箱は12mmシナ合板で作るの字
 の枠に4mmのシナ合板を底板として貼る組み立てが簡単な構造ですが、これまで
 の経験では充分な強度をもっています。

 引出しにはスライドレールを使いますので引出し奥のものの出し入れも楽で、小さな
 ツマミひとつで出し入れ操作が可能です。

 そしてこれらの下には先日製作した音響迷路型スピーカーを嵌め込んでやります。

 これら3つのブロックの上にカウンタートップとを載せます。
 本来であれば30mm厚の集成材1枚板で作りたいところですが、今回は費用を押さ
 えるため18mm合板を横に2枚接ぐことにします。

 その上には当分の間百科事典を載せ、更にその上には棚を1枚渡して、家内が大
 事にしているぬいぐるみなどを飾ったりBGM用のオーディオコンポをこの上に置くこと
 になります。

以上の収納スペースに、裁縫、手芸、フラワーアレンジメント等家内の趣味の道具・材料そして本などが収まる訳ですが、収納場所としての引出しは棚よりも一般的に使い勝手が良いですから15個の引出しがかなり有効になると期待しています。


板取りと材料手配

板取りの検討では当初3x6の合板で板取りがうまくゆくであろうと推測していました。 しかし一部に4x8の合板を使った方が板取りが良くなることが判り、3x64x6の混合となっています。 また今回は外観にさほど影響しない所はラワン合板として極力コストを押さようとしています。   (最終的な板取り図はこちらです。)

その結果18mm厚の3x6ラワン合板4枚、3x6シナ合板2枚、4x8シナ合板2枚と12mm厚の3x6シナ合板2枚、4mm厚の3x6シナ合板3枚が使用木材で、加工代を含み合計で約7万円となっています。 
以上の内18mmは構造部分に、12mm4mmは引出し製作に使用します。

一方家具金物ではスライドレールスライド蝶番ツマミを使いますが、何れもアトムリビンテック製でネット通販で発注しました。

部材名 メーカー 型番 仕様 発注量
スライド蝶番 アトムリビンテック CR100D-9-6-RBK32 35φ半かぶせ、キャッチ付き 16組
スライドレール アトムリビンテック 新17S-D-D-450 450mm 底付け式2段スライドレール 14組
ツマミ アトムリビンテック ノスタルジア B-1 28φ 仙徳色 18個

これら家具金物の合計金額は約2万円となっています。

残る材料は塗料がありますが、多分6000円程見ておけば充分でしょう。 細かな物は別として以上と音響迷路型スピーカーの製作費用を加算すると約11万円になります。  無論小さな出費ではありませんが特注するよりは遥かに安いことは言うまでもありません。

註) ここで使用した材料のうち以下の物はmini-Shopからお買い求め出来ますのでご利用ください。

  9mm 半かぶせスライド蝶番 (セット)   450mmスライドレール (セット)
  8φ 30mm 木ダボ(50本)   50mmスレンダースレッドネジ (100本)
  ニッケルダボ9φ オス(個)   ニッケルダボ9φ メス(個)
  隠し釘22mm(50本)   隠し釘36mm(50本)
  ポアステイン   ツマミ ノスタルジア仙徳色 28φ


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2003/07/17
製作開始

いよいよ製作開始ということで取り敢えずこれまであった家具などを解体したり片付けて製作作業が出来るように腰をあげたのですが、片付け始めてとたんにぎょっ!! こんなところにコンセントがあった! このコンセントを使いたいのだがさあどうすべえ! とまあ予期していなかった事態が早速あり、TVと電源コンセントを上に移動したのですが壁裏でケーブルがステップルで固定されていることもあり、かなり余計な時間を費やしたお陰で製作場所の確保まで進んだのがやっとという次第でした。

従ってあまり見るべきところはありませんが、取り敢えず進んだ所までをご紹介します。

これまであった家具など。 右の整理ダンスと洋服ダンスは結婚以来使った想い出深い?物ですが、もうガタガタですので解体しました。

家具をどけてギョッ! ACコンセントとTVコンセントが床から15cmの高さにあるのを忘れていました。 上に移動しようと位置を決め穴あけ迄は簡単に済んだのですが!

ACケーブルが壁裏でステップルで固定されておりこれを外すのに四苦八苦。 3時間掛けて何とか配線を変更しました。


次にカーペットとカーペットの裏に敷いてある粗毛フェルトを切り取りました。 この粗毛フェルトは吸音材としてスピーカーボックス用に使えます。  (カーペット周りの構造詳細は個室1の収納家具こちらを参照ください。)

 更にカーペットずれ防止の板、周り縁を取り払い掃除機をかけて前準備が終了。
 早速先日作った音響迷路型スピーカーの箱を所定の場所に置きました。(破損防止のためスピーカーは外しました。)
 前にも説明したとおりこのスピーカーが納まる部分は通常デッドスペースとなるところです。 その両側に下段組立の材料
 が置いてありますが、ここに薄べったい引出しが入り総合的にデッドスペースがなくなるというわけです。



2003/07/25
下段の製作・組立

やっと組立に入りましたが、今回の製作では従来木ダボ、ネジ、木工ボンドを併用していた接合方法からより簡単な木ダボを省いた接合方法を採用しました。 前者の方法と比べると接合面に掛かるせん断力(ずれの力)に対する抗力が木ダボがない分低下しますが、ネジの本数を増やす事により対処しています。 又こうした時にはネジの締結時に接合位置がずれやすいのですが、隠し釘で予め位置決めをしてからネジを締めこむという方法を取っています。 実はミニタワースピーカーの製作でこのやり方を試してみたのですが、作業性が大変良かったので、大型家具にも使えるということで採用した次第です。 使用したネジは軸細コーススレッドネジ(スレンダースレッドとも言う。)50mmの長さです。

設計途上では余り真剣に考えなかった音響迷路型スピーカーからのケーブルが引き出しの出し入れの際引っ掛かる可能性があることが判り、スピーカーボックス後端に沿わせてステープルで固定した上先日移動したコンセントの穴から壁内を通しTVコンセントと一緒に取り出すようにしました。 その上で旧コンセントの穴は1mm厚の塩ビ板で塞いでいます。

具体的な作業手順の様子は以下の写真でご覧下さい。

左及び右のブロックに使う側板には予めスライドレールやニッケルダボのメス部分を固定してしまいます。 
(これらを組み立ててから取り付けるのは大変困難。)

簡単で強力な接合方法のスタート。 右側のブロックの組立ですが、木工ボンドをぬって接合位置を決め36mm隠し釘で仮固定します。

50mm軸細コーススレッドネジを打ち込みますが、隠し釘のお陰で接合位置がずれることはありません。 ネジ締めが終ったら隠しくぎの頭は落としてしまいます。

こうして出来上がった右のブロック。 木ダボの埋め込み加工がない分短時間に組みあがってしまいます。

右側の壁にブロックを押し付けてその左にスピーカーボックスを締結しました。

左手前の空きスペースの間隔を正確に採寸しそれより1mm小さくした値を左ブロックの最終幅としてG'H'の幅を算出し切断した上で左ブロックを組み立てます。

左ボックスを嵌め込みスピーカーボックスに締結。 設計時には気がつかなかったのですが、スピーカーケーブルが引き出しの出し入れ時に引っ掛かりそうなので、スピーカーの後端に沿わせてステープルで固定しました。

更にスピーカーケーブルを旧コンセントの穴を通して上方のTVコンセントの部分から引き出すよう細工し、コンセントの穴は1mm厚の塩ビ板で塞ぎました。

今回使った唯一の木ダボでスピーカーボックス上に固定される側板の位置決め用です。 ここの部分は木工ボンドで固定せず木ダボに側板を差し込んだだけです。

木ダボに側板を落とし込むとこんな按配になります。

スピーカーボックス上の側板と右側ブロックをIを介して木工ボンド併用でネジで連結しましたがここでも木ダボは使っていません。 Iの右側はネジの斜め打ちで固定しています。

更にその右側の側板にIを挟んで組み立てます。

連結が完了しました。 これで右側のブロック、左側のブロックそして中央部が一体になったわけです。 組み立て上の問題がないよう確認後、家屋本体(壁の隅の木部及び床)にネジで締結しました。

こうして見るとIHH'の幅、木目方向、材質がばらばらですが、この上に天板が乗り木口しか見えなくなるので問題ありません。 これは木取りを検討する時に有利になります。

天板(D2枚)を接ぎます。 継ぎ目を目立たなくするには左右のブロックと中央部の境目にもってくれば良いのですが、ダーク系に着色して目立たなくなるため真中で接いでいます。 尚奥行きは板取をよくするため45cmですが、21mm幅に切った板を後ろ側に継ぎ足します。(詳細後述)

カウンターの両側に載せる奥行き300mmの収納部が固定される位置に木ダボ穴をあけました。 これ以降は木ダボを使いません。

 予備加工の終わった天板D2枚を所定の位置に載せてHH'Iを通して35mmのネジで固定しカウンター部分はごく一部
 を除き完成しました。 (ごく一部とはカウンターの木口前面に木口テープを貼り合板独特の見え方を消してしまうのです
 が、塗装直前の下地作業の一部として後日やります。)




出来上がって一体となった横長の箱は極めて頑丈です。 大人が上に乗っても撓みが殆ど出ません。

今回の作品ではカウンターに18mm厚シナ合板を使っていますが、上の写真でお分かりのように半分以上の部分は別な18mm合板で支えるような構造のため実質25mm厚の合板程度の強度が取れます。 それらの受けは端材や余りの材料を使えますから板取り上都合が良くなります。

またカウンターは最終的な奥行きが470mmありますが、470mm幅で切断すると板取りが悪くなるため450mm(サブロクの半裁)とし、足りない部分を以前の端材を切って継ぎ足しました。 これらの継ぎ目はダーク系のステインで目立たなくしてしまいますが、日曜大工ならではの解決策と言えます。

尚奥行きを450mmにしてしまえば、このような継ぎはぎをしなくて済みますが、その場合にはスライドレールの長さを450mmより50mm短い400mmに落とさねばならず空間の有効利用という点で面白くありません。


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2003/08/01
上段収納部の組立

上段部の組立でこれまでのやり方と異なるのは、全く木ダボを使わなかった点にあります。 実は4枚の側板Aをカウンターに固定する際位置がずれないよう木ダボを使おうと考えカウンターにその穴もあけましたが最終的には木ダボを使わず組上げています。 全工程で木ダボを使ったのはスピーカーボックスの上に立てた側板の位置決めだけでした。  

こうしたことにより作業時間はかなり短縮され、今回お知らせする部分の正味製作時間は13時間程度となっています。 木ダボ無しで組上げる方法は既にお伝えしているように隠し釘で位置決めをしてからネジを締めこむ方法で無論木工ボンドも併用しています。

それらの様子は以下の写真をご覧下さい。

先ず側板Aをカウンターと天井間の高さより5mm短く切断しますが、場所によりこの高さは数ミリの差異が出るのが普通ですのでそれぞれに位置の高さを測った上で切断します。 写真は切断後確認している所です。

それらの側板Aの前加工(棚板の位置を示す線引き、ニッケルダボ メス側の叩き込み、前面木口のペーパー掛け。)を済ませてしまいます。 更に固定棚を切断します。

釘位置探索器で天井の桟の位置を探します。 これは自作した物ですが、詳細はこちらをご覧下さい。

釘位置の探索の結果壁面より26.5cmの位置に桟があることが判りましたので、ここに最上部の棚板を固定します。

固定棚を側板Aに接合しますが、棚板に木工ボンドを塗り隠し釘で両端を仮固定します。

その後50mmスレンダースレッドネジ4本で締め付けます。

反対側も同様な組立て方で上部収納部のブロック組立が完了しました。(最上部の棚はまだ固定しない。)  この写真は左側の物ですが、右側も全く同じ方法で組み立てます。

組み立てたブロックを天井を傷つけないよう所定の位置に移動し固定したところですが、家屋等への固定状況は次の図をご覧下さい。

 収納部上部は図のようにネジで家屋本体に固定しています。 尚収納部下部は同様に床板にネジ止めしており収納家
 具全体が完全に家屋と一体になっており地震に対する耐性も十分となります。


中央の1800mm幅の物は中心での撓みが何も載せなくても10mmありました。 載せる予定の物は軽いのと棚受け金具などで壁を傷つけたくなかったので、肉厚1.5mm、18mm角の鉄パイプで補強し撓みを3mm程度に押さえました。

全ての可変棚を取付け上部収納部の組立が終了しました。
残るは引出しと扉の加工となります。


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2003/08/08
引出しの組立

骨格の部分の最後の工程の引き出し製作が終了しています。 2段レールの引出しの製作は加工組立寸法の精度をそれほど求められませんので淡々と進みましたが、それでも14個は1週間に実働約1.5日しか製作時間が取れない中でどうにか終了できたといったところです。 設計時に心配していた左右両端下部の引出しもカーペットを擦ることもなく使えることが判りほっとしています。

以下の一連の写真と解説によりそれらの様子をご覧下さい。

あらかじめ縦方向は切断されて購入した部材(12mm厚シナ合板)を所定の寸法に切断し56枚の引出し枠材とします。

長さ450mmの板の両端には36mm隠し釘の先が2mm程度出るように打ち込んでおきます。

前板(若しくは後板)の木口に木工ボンドを塗り、側板を当てます。 釘の頭が出ているので隙間が見えていますが位置を調整した上で押し込みます。

そして玄翁で打ち込みます。 この方法で作業性が良く精度の高い接合が可能になります。 普通の釘では太すぎて位置精度が悪いのと釘の頭が邪魔になります。

組み立てた枠は平らな面におき接合角度が直角になるよう曲尺で確認・調整しておきます。

14個の枠が出来上がりました。 木工ボンドを完全硬化させるため一晩寝かします。

翌日の底板を貼る作業開始で先ず貼り付け面にボンドを塗ります。

手前両端を22mm隠し釘で固定します。

左奥の角を直角が出るよう調整した上で隠し釘で固定します。

残りの部分は間隔が100-150mm程度を目安に隠し釘で固定します。

底板貼り付け終了後2時間寝かします。

スライドレールの固定は前側からで、スライドレールの端が面一になるよう調整しネジ止めします。

次に後ろ側をネジ止めします。

最後に真中を固定して終了。 スライドレールにはネジ穴が底面と側面各6個ありますが、底面3箇所だけで十分です。

スライドレールを取付けた引出し14個を家具本体に挿入した全景です。

2段式ですから引出し全てを引き出せるわけではありませんが、木製レールに比べれば遥かに手前まで出てきます。

左側レール(右)と右側レール(左)の違いが判りますか?  これがレール取付け位置(引出しの幅と本体の内幅の差)がシビアでなくて済む理由です。

問題の幅木部分に作った引出し。 カーペットにこすれるようなことはありません。

その引出しのクローズアップ。 浅い引出しですが幅が大変長いです。


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2003/08/22

扉と引き出し前板の取付け

加工組立もいよいよ最終工程に入りました。 扉と引出しの前板の取付けがそれらでいずれも見栄えに大きく影響する所ですが、現物合わせの概念がかなり出てきますので、特に慎重な作業を必要必要とします。

これまでの過程では現物合わせの考え方無しで進んできましたが、扉や引出しの前板の取付けは設計寸法どおりに取付けてもうまく収まりません。 というのは本体材料や引出し部材の切断誤差、組立誤差、スライドレールの取り付け誤差などがプラスマイナス入り混じって微妙な狂いを生じているからです。 扉に関しては取付けるスライド蝶番が上下、左右、前後の微調整機構をもっているため修正は簡単に出来ますが、扉の前板はそのようなわけには行きませんので工夫を要します。

よって以下の写真による作業解説は引き出し前板の取付け調整に関して特に詳細説明することにします。
尚前板の取付け時の調整法はここに述べる以外にも考えられ、取っ手取付けの穴を利用する方法については個室1の収納も参考にしていただけたらと思います。

予め縦方向に2分割された2枚の板の木目を揃えて線引きします。

6枚を切り出した後で位置関係を変えなければ木目が綺麗に揃いますから裏に印をしておきます。

スライド蝶番を取り付ける位置に35φフォスナービットで深さ11mmの穴をあけます。 穴位置の詳細はこちらをご覧下さい。

あけた穴にスライド蝶番を固定しますが、直角度を出す為に曲尺を使います。

中段の扉が取り付けられました。 取り付けとスライド蝶番の調整方法についてはこちらをご覧下さい。

上段の扉が付きました。 天井との間に空きが出来ますが後で幕板を貼ります。

同様に残りの扉を全て取付け完了したところです。

引き出し前板の固定。 上段からやりますが、所定の(ここでは4mm)隙間を残して前板を当て引き出しレールの底部分にシャープペンで印をつけます。

付けた印に両方のレールの底が一致するようにあわせます。

更に前板の左右の出っ張りが等しくなるよう位置を調整します。

位置が確定したら、25mmタッピングネジ2本で内側から仮固定します。 これで引出しを挿入し0.5mm以内の取付け誤差でしたらOKとします。 2段目以降の取付けで前板同士がこすれる程度は後で調整可能です。

一番下はその上の引出しを入れたまま前板と本体側板が当たる部分に印を入れます。

上の引出しを抜き最下段の引出しを入れ前板が印と一致するよう当てて引出しと前板をしっかり握り外します。 その後レール底部に印をつけて位置調整をし前板を仮固定します。

こうして扉と引き出し前板が取付けられた全景です。



2003/08/29
細部調整加工その1

飛び込みの用事が発生し予定通りの作業が出来ず、引き出しの前板の調整とその完全固定のみしか出来ませんでした。
以下僅かの写真ですが4時間を要した作業の様子をご覧下さい。

引き出しに仮固定した前板を外し、引出しと前板に合印をつけた上で全ての木口にペーパーをかけました。

その後ボンドを塗り完全に固定しました。 僅かな微調整を済ませて1時間後にツマミを取付け引出し部分は完成です。



2003/09/05
細部調整加工その2

暑い中ふうふう言いながら全ての細かな加工や細工が終了しました。 それらは本体下部のスピーカー部分の化粧板の固定、スピーカーグリル板の加工取り付け、カーペットの敷き戻し、本体天井部分の隙間の埋め込み、同じく上部幕板、カウンター小口への木口テープ貼り、残るつまみの取付けです。

 一番ややこしいというかやり直しが効かない為慎重に作業を進めねばならないのが、カーペ
 ットの敷き戻しです。
 この件に付いては個室2の収納家具でも触れていますが、左の図がカーペットのずれを防
 止し且つ簡単にはがせる構造の断面です。

 壁面から10mm離れた所に釘を逆さに打った板が貼ってありこの釘にカーペットの端が刺さ
 りこむことによりカーペットはずれなくなります。 釘の先はそれ程長くないのでカ-ペットを突
 き抜けて出てくることはありません。 そしてカーペットの端は折って壁との隙間に挟み込ん
 であるだけです。 この固定板の厚みは6mmありますが、下地の粗毛フェルトがやはり
 6mmの厚みでその上にカーペーットが6-7mmの厚みで敷かれるので、カーペット面は床
 から12-13mm浮くことになります。

 音響迷路式スピーカーを作る際に当初の設計時は12mmの合板を使う予定でしたが、土壇場で15mmの合板に変更しましたが、このカーペット表面よりもポートの面が若干高くなるようにしたかったからに他なりません。

慎重に加工すべきはカーペーットの端で壁までの距離よりも7-9mm長く切断する点にあります。 正確に測りながら切り落とすことが出来ないので少しずつ切り落として無理なく隙間に挟み込めるかどうか確認しながら進めるしかありません。

正直言って個室1の時には一部で短く切り過ぎて仕方なく両面接着テープの助けを借りましたが、今回は学習効果もあってかうまく処理できました。   ということで加工組立の最後の詳細は以下の写真でご覧下さい。

両端の引出しの部分は壁が無いので引出しの下にカーペットの端が潜り込みカーペット固定板に挿し込まれるようにしました。

スピーカー部分はグリルが壁となります。 従ってグリルの下部は丸まったカーペットの端で押されて固定されます。

低音ポート部分ですが、隠し釘2本で固定された厚み12mmの棒はカーペット押さえの壁となり敷き込んだ後ではほぼ見えなくなるはずです。

カーペット押さえ板を全て打ち付けていよいよカーペットの敷き戻しです。

カーペットの敷き戻しが終った全景です。

問題の低音ポート部分。 底板は15mm厚ですがカーペットが若干膨らんでいることもありほぼ同じ高さとなっています。

スピーカーグリル部分はグリルの下部がカーペットで押し付けられています。

スピーカーの直ぐ上の引出しを抜いて見た所。 グリルの固定は2箇所に貼ったベルクロのみ。

両端の引出しのカーペット敷き戻し状況。 引出しとの間に隙間が5-6mmあります。

引出しを引き出してもカーペットにこすれるようなことはありません。 完璧!!

今回カウンターの木口だけは天然木の木口テープを貼りました。 粘着材つきですので簡単に施工できます。

貼り終った木口テープのアップです。 木目が強めに出るタモを使っています。

 最後に上部の幕板を貼り、天井と側板との間の隙間を細く切った端材を挟みこんで組立作業は終了しました。
 残るは塗装なのですがニスで仕上げようとしている扉、引き出し前板、下部の化粧板の着色をどのようにするかまだ迷っ
 ています。  


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「ニス塗り」へは こちらから移動ください。  「ペイント塗り」へはこちらから移動ください。



2003/10/10

完 成

構想開始から半年近く、製作開始から計算しても3ヶ月掛かりやっと完成しました。 日曜大工ですから実働日数で言うと22日間となります。 言い訳がましいですが、並行してワインホルダー/テトリス型収納ボックスを作ったり、防湿庫関連の実験が入ったり、サイトへのアップデートで時間が食われたりしていますので正味の作業日数は15日間位であろうと思います。

実は9月28日が結婚記念日ですのでそれまでに何とか間に合わせようとしていたのですが、2週間近く遅れてしまいました。 2回目の塗装終了後家内にもう使ってもいいよ! と声を掛けた所早速いそいそと各部に収めました。 まだその整理は完全には終っていないものの、14個の引出しが約70%、左右の収納棚が約50%、本棚が55%位の使用率となっています。 構想設計時点で20%程度の余裕が出るよう考えていましたのでほぼ予定通りです。

問題の百科事典は以下の写真でご覧のとおりうまく収まり、幅木部分に埋め込んだスピーカーを鳴らすミニコンポは百科事典の間に入っています。 現在は捨てられないこの百科事典を処分する時が来ましたら、中央の長い棚板を撤去して更にすっきりとした感じになるでしょう。

青緑色のステインによる着色がかなり落ち着いたノーブルな感じを醸し出しているのではと思うのですが?
 音が下から出てくる仕掛けも仰々しい感じが全くなく我ながらGOO!!だと思います。

百科事典に挟まれたオーディオコンポ。 放熱の問題はありません。

部屋への入口から眺めたところ。 奥行きが浅いことが判りますが、不必要に深くないことが使いやすく部屋を狭くしないポイントです。
引出しの中には裁縫用の生地を始め、手芸用材料などがびっしり。

問題の深さ65mmしかない引出しの使用状況はこんなです。 細かな材料も重なることなく収納できるので使いやすいと思います。


----- 完 -----

  
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