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LDルーム収納の詳細
   
2001/12/06

構想と留意点
写真を見てお判りのように、この作品は典型的な造り付け収納家具であり、間口2間、天井高2400mmの全壁面を使っています。 最初にこの家具に収納したものを抽出しました。 家内が一番使用頻度が高くなる筈なので、家内の意見を最重要視しました。 これが意外に時間がかかりますが、抽出した物品は次のようなものでした。

1−1.出し入れ頻度の低い収納物: 
     使用していない花瓶・大きな皿・飾り皿、ペット用品、アルバム、現像済みフィルム、LPレコード、レーザーディスク、オー
     プンリールテープ、8mmシネフィルム、ビデオテープ、ボンベ式卓上ガスコンロ、電熱式鉄板、生花・フラワーアレンジメン
     ト用品、懐中電灯、非常時用備品

1−2.毎日使用する家庭用品:
     電気掃除機、モップ、ハタキ、読み終えた新聞・週刊誌の一時収納、ポリ袋・包装紙・ショッピングバッグ・紙袋・紐の
     収納、ドライバー・ペンチ・メジャーなど簡易工具、バックアップ電球

1−3.家事関連:
     家内のパソコンコーナー、文房具、領収書・請求書・家計簿関連のファイリング、

1−4.飾り棚:
     リビングルームの一角として和やかな感じに!

以上の中でアルバム、LPレコード、レーザーディスクはかさばるのと同時に重量がかなりあります。 またダンボール箱に入ったペット用品や生花・フラワーアレンジメント用品、ガスコンロ、電熱式鉄板、大きな皿等もかさばります。 強度を考えてひとつのブロックの幅を狭くすると本棚の延長線上のイメージになりそうで余りやりたくない。 色々と矛盾をはらむ条件から構想がまとまるまでにかなりの時間を費やしましたが、この事前検討が非常に大事です。 他の項でも申し上げていますが、事前検討が十分にされそれを元に設計されれば、半分以上完成したも同然と私は考えています。 無駄口はこの辺にして、大枠から次のように決めました。

2−1.
右端のブロックを除きカウンターを間に挟む構造とする。 カウンターの高さはダイニングテーブルの高さにあわせる。(770mm)   カウンターとダイニングテーブル間にアイロン台を乗せてアイロンがけの大きなスペースが取れるのでは? と考えた結果です。

 2−2.
 右端のブロックは上から下まで奥行き500mm、内寸約570mmとし、1−2.の物品を全て収納する。 
 内寸はこのブロック内の内幅220mm奥行300mmの縦長の棚とその横に掃除機や掃除道具を入れたとき
 の総内幅が570mm程あれば良かろうという実験結果から決めました。 

 奥行500mmというのは一番奥のものに無理なく手が届く限界という私の考え方からきています。 
 また内部の棚の内幅220mmと奥行300mmはA4サイズ(4つ折りの新聞や週刊誌)がぴったり入る事を想
 定しました。


2−3.
壁の内寸は約3555mmでしたが(所謂芯ゝ2間18mm合板を側板として使うと、残りの幅が2950mm程度です。 それを3等分して3ブロック作ろうと考えましたが、3ブロックの真中の中心が、ダイニングテーブルの中心に一致したほうが良いのではと考えて僅かに幅を変え、左から内寸957、957、975mmと決定しました。 幅が900mmを超える棚というのは重量物収納にはたわみの問題が多いのですが、次の項で解決策について触れます。

 2−4.
 カウンターの高さが770mmと決まり、天井高は実測で2347mmありましたので、カウンターと天井の
 間に1577mmのスペースが出来ます。 アルバム・レーザーディスク、LPレコードの高さを調べたとこ
 ろ、335mm以上あれば良いことが判りました。 4段の棚を作ると、335 x 4 + 18 x 3 = 1394mm
 でスペース的に楽勝と思いましたが、これらの重量物で棚が持つの?と疑問を持ち、手持ちの端材で
 実験したところ奥行300mm、幅1000mmの板にアルバムを乗せてみたところ2mm位のたわみが出
 てしまうことが判りました。 

この2mmのたわみは幅1000mm0.2%にしかなりませんし、棚が破壊するなどの危険は低いですがが、誰が見てもそっていることが判りますし、なんとなくやわでチープな感じを与えてしまいます。 かといって棚幅を狭くするのも本棚然とした感じになりやりたくありません。 棚板2枚重ねは、分厚すぎて外観が重たい感じになりそうです。 色々思案した結果鉄製のCチャンネルで補強することに決めました。 これの厚みが20mmありますので、棚の間隔は若干のゆとりを見て最終的に365mmとしました。

 2−5.
 カウンターの上部の中2ブロックは、下半分を空きスペースとし、飾り棚としての部分とパソコンスペー
 ス、或いは15インチクラスのTVも置けるようなスペースも確保しました。




2−6.
カウンター上部の奥行をアルバム、レコードのサイズから350mmと決めました。 またカウンター下は右端にあわせて奥行500mmとなります。 

 2−7.
 パソコンスペースは幅975mmありますが、カウンターの下右側に内寸379mmの引出しのスペースを
 とりました。 問題はキーボードの置き場所で、カウンターの奥行が520mmしかないのと高さ770mm
 はキーボード操作には高過ぎるので、スライド式キーボードテーブルをカウンター下に作って解決しまし
 た。



以上に基づき容積計算と収納量を見積もったところ、バランスのとれた収納となりそうなことが確認出来設計は完了しました。 
尚中の2ブロック中段を除いて扉をつけることとし、収納物が見えて雑然とした感じにならないようにするということで家内のOKも出ました。  ここまでに4ヶ月を費やしていますが、何度も言うとおりこれらの事前検討作業がこの後よりも遥かに大事です。

このページの一番下に参考図がありますが、以上の検討結果を反映したものです。



使用材料
使用材料は右端のブロック内の縦長の棚と引出しの箱以外は18mmシナ合板です。 実は上の説明を見て判るとおり、設計段階では板取りが良くなる寸法の検討は完全に無視して進めていますのでかなり端材が出てしまいましたが、この作品はもっとも初期の作品でしたので端材は後の作品にまわして無駄を省くことが出来ました。 その意味(板取り)では設計時のアプローチは理想的とは言いかねますのでお気をつけ下さい。 18mm合板以外では、12mm、9mm、5.5mm、4mmなどの合板を使っていますが、いずれもシナ合板です。  亜鉛引き鉄製Cチャンネル(断面40x20で肉厚が1mm)を約7m使い補強材料とします。

カウンターには30mm厚タモの集成材を使いました。 幅600mm、長さ3600mmの物で1万円ほどで購入しています。 手前の角はルーターで化粧加工してありますが、幅520mmの切断も含め材木店にお願いしました。 長手方向の切断は少々大変ですがゼットソーで自分で切断しました。

扉の蝶番は全てスライド蝶番で、半かぶせを27個、インセットを6個使用しています。 引出し、キーボードテーブルにはスライドレールを使って操作性の良さを確保しました。 アトムリビンテックの3段式フルオープンスライドレール500mmを3組、2段式の19S-RB-N-400を1組で、後者はキーボードテーブル用に使います。 高さ可変の棚用にニッケルダボを計72組、35φのステンレス貼りハンガーパイプ(これは寝室のクローゼット用の残りですが)350mm等が内部に使った金物です。

  つまみを計12個使いましたが、アルミ削り出しで表面を光沢がありこげ茶色で真珠のような輝きのある
 大変品があって重量感もあるものとしました。 寝室のクローゼットのときと同様つまみは決して馬鹿に
 出来ない材料で、こだわりを持って選びたいものです。 因みに私の選んだつまみは、アトムリビンテ
 ック
エトワールA-11(口径25mm黒Niパール)というものです。 仕上げについては、カウンター、
 キーボードテーブル、キーボードテーブル前板そして下部の前板はステインでこげ茶色に着色した上
 で、ウレタンニス仕上げ、他の部分は全て淡いベージュ色の2液性ウレタン塗料です。 材料費が合計
 で11万円ほどかかっていますが、合板の端材が多く実質材料費は9万円くらいでしょうか。

後日注文家具のビジネスをしている知人に作品を写真で見せたところ、50万円位の見積もりになるでしょう。 との事で大変得した気分になりました。  



加工組立
加工寸法図にしたがって全ての切断と、カンナによる寸法の微調整そして手前側に来る木口のペーパー掛けは終わったものとして説明します。

3−1.
Nのカウンター用集成材の仕上げをします。 気が早いようですがカウンター材を組上げてから塗装するのは容易でなく、ニスの塗装の出来映えも組み立て前に終了するほうが絶対に良いですし、作業も簡単です。 #240以上のペーパーを使いサンダーで表面を滑らかにし、ステインで着色します。好みの色に仕上がったら1昼夜寝かせてください。 その後表面を#240以上のペーパーで毛羽立ちがなくなるよう軽く研磨します。  

また私はコントラストをつけるため、キーボードテーブル、下の幕板等はステインで着色してニスを塗りましたが、同様な仕上げとするならここで一緒に塗装しておきます。

3−2.
AA'D2枚、D'MOH1枚、H'参考図1のような箱を作り上げます。 

組上げる前に可変棚用のニッケルダボAA'に叩きこみます。  DAMの接合には普通の接合強度 1の方法でやります。 ODのたわみ防止でDのほぼ真中に木工ボンドとネジを使って止めます。 他はすべて接合強度をかなり大きくする方法でやりますので、木ダボ用の加工をあらかじめしておきます。 この段階では接着しませんが、Iとの接合部分にも木ダボ加工をしておきましょう。  ところでADD'H'を両側から接合する部分が3箇所ありますが、斜め打ちの方法を使って両面からネジで固定します。   組上げ時に直角が出るべきところが出ているか、曲尺や下げ振りでチェックします。 またAA'の手前の木口が1直線となることを確認しましょう。 完全固着するために6時間は寝かしてください。

3−3.
Nのカウンター材に1液性ウレタンニスを塗ります。 ダイニングテーブルの上に新聞紙を3枚重ねとした上にカウンター材を乗せて塗装します。 塗装バケツにはニスの容器から出しすぎないよう注意します。(乾燥時間が短いのと残ったニスは捨てるしかなくなるため) 幅70mm位の刷毛で厚塗りとならないよう手際良く塗ります。 15-20分で指で触れてもつかないくらいとなりますので、同じ所を何度も塗るのは余り薦められません。 せいぜい3回以内とし、塗ってから30秒以上経過したところを塗りなおしてはいけません。 塗り終わりましたら2時間寝かせます。 本当はもっと寝かせたいところですが、刷毛が使えなくなってしまいますので妥協して2時間とします。 #240以上の細かいペーパーを木片に巻きつけて、塗装面のざらつきがなくなるよう軽く研磨します。 そのあと固く絞った濡れ雑巾で研磨カスをふき取り乾燥後2回目の塗装に入ります。 2回目の塗装が終わりましたら4時間以上寝かしてやりましょう。 これでかなりの艶が出ますし普通の使用には十分な耐熱性があり、水濡れにも強くなります。

3−4.
D'H'3.5φのドリルでカウンター材Nを固定する抜き穴を適当数あけます。 その後カウンターを3−2.で出来た箱の上に載せます。 妙な隙間が出ないこと、カウンターの前面がAA'の木口から20mm出ることを確認し、カウンター材を3.5φ35mmのタッピングネジで固定します。 またカウンターの右端は379mm出っ張っているはずです。 この出っ張りの長さは3段レールの取付け精度の要求から、+0.5mm、-0mmを要求されるので、十分にチェックし修正しておきます。

3−5.
Cをカウンターの上に立てます。 天井にぶつかってはまずいです。 天井との間に5-10mm位の隙間が出るよう現場合わせで高さを調節しておきましょう。 次にCに加工すべき木ダボ穴、タッピングビスの抜き穴、ニッケルダボの取り付けなどを全て済まします。
カウンターの上にCが3枚固定されますが、その位置をシャープペンで引きます。 その後カウンターとCとを連結する木ダボの穴をあけます。  Cそれぞれに対し3箇所あければ十分です。

3−6.
収納家具の左の側板は内側から壁に固定しますので、壁のどこに間柱などネジの打ち込める場所があるか特定せねばなりませんが、釘位置探索器を使って位置を確認し左端Cの内側に線を引いておきます。

3−7.
左側のCを床の上に寝かせ、E3枚を接合します。(接合強度をかなり大きくする方法)  櫛の歯のようになると思いますが、直角に接合されているか確認します。  4時間以上寝かした後誰かに助けを求めて、Eが接合されたCを起こしカウンターの一番左に木ダボと共に接合します。 不安定な状態ですが、このまま全体を横にスライドさせて固定する左の壁に押し付け、誰かに支えてもらいます。 E3枚の木口に木ダボを木工ボンドを塗ってから嵌め込み、カウンターの左から2番目のCを固定固定する木ダボ穴にも同様に木工ボンドを塗って木ダボを嵌め込みます。 次に左から2番目のCE或いはカウンターとの接合部分に木工ボンドを塗ります。 そうしましたらCをカウンターの上に移動し右に傾けながら木ダボとCの穴の位置が合うように降ろします。 そして傾けているCを少しずつ起こしながら一番下のEの木ダボに嵌め込み、次にその上のEにという順序で組上げて行きます。 ここですんなりと嵌まり込むとは思えませんので、木片をあてた上から玄翁で叩いてやれば良いでしょう。 C2枚が手前や後ろに傾かず垂直に立っていればしめたものです。

3−8.
右側から3.5φ35-40mmタッピングビスか3.3φ40mmスレンダースレッドネジで、E3枚とC間を隙間が全くなくなるよう締め付けます。 この状態で左右・前後方向の垂直が出ていることを確認、調整しましょう。  正面から見ると参考図2のようになります。

3−9.
残りのCをカウンターの上に固定しながらE2枚をCの間に固定します。 組上げのこつは、3−8.と同様ですので詳細は省きます。 終了しますと参考図3のようになりますが、 緑矢印の部分へのネジ締めは斜め打ちの方法を使って固定します。 左右前後の垂直は出ていますね?

3−10.
Bを接合しますが、Cと同じように天井との間の隙間が5-10mm残るようにあらかじめ調整しておきます。 細かくは申し上げませんが、下からI、カウンターの木口、F2枚の順序で、BCに接合して行きます。 接合方法は、接合強度をかなり大きくする方法ですが、カウンターの木口へは木工ボンドと3.5φ40mmのタッピングビスによる接合のみでOKです。 Bは上から下まで繋がった1枚板ですから、垂直方向の直線性がさらに良くなってくるはずです。 
引出しの入る部分の横内寸が379mm +0.5mm -0.0mm以内になっていますね? これで参考図4まで完成しました。

3−11.
B2枚にPMを木工ボンドとタッピングビス併用であらかじめ取り付けます。 その上で右側のBを壁に立てかけてF2枚を挟み込んで見ます。 少々きつめに嵌まり込み、収納棚左端・右端と壁の間に隙間がなければOKです。 きつすぎて入らなければカンナで削り、逆に隙間が出てスカスカでしたら薄板やボール紙を切ってFBの間にはさんでやります。 前面の木口が1直線になることも確認してください。

3−12.
右側の壁のネジを打てるところを釘位置探索器を使って特定し、その位置をBの内側にシャープペンで引いておきます。 Bを右壁に立てかけMPに木工ボンドを塗りつけた上でFを挟み込みます。 そして3.5φ35mmタッピングネジで、PMFを固定します。  これで参考図5のようになります。

収納棚は既に壁と壁の間にすっぽりと収まっていますが、全体或いは一部が手前に傾いていたり、後ろに倒れているようなことがあるかもしれません。 その場合には、AA'Bの下部に楔を打ち込むなどして調整してやりますが、家屋本体がゆがんでいたり床の水平が出ていないない場合は別として、それらの狂いは加工精度と組上げ精度に依存しているわけですから、合板の切断からここまでの作業は、慎重の上に慎重を期してやりましょう。

3−13.

収納棚を家屋に固定します。 最初に左端のC及び右端のBの内側から3.5φ
50mm
タッピングビスで、壁に固定します。 次にD'GLを天井の桟に3.5φ
50mm
のタッピングビスで固定するのですが、例によって釘位置探索器でネ
ジの打てる位置を特定しておきます。 これが済みましたら、スレンダースレッ
ドネジで、CBの上端をD'GL、に斜め打ちで固定します。  
これで家屋に固定できたわけで地震がきても倒壊する危険性はなくなります。

次にC'の貼りつけです。 C'はアルバムやLPレコードの出し入れ時に蝶番に
当らない為のスペーサーですから、固定強度は必要ありません。 適当な方
法で木工ボンドで貼りつけます。 但し手前の木口はペーパーを掛けて平らに
してから貼ります。  (参考図6

E'F'K'C'同様接着の強度は全く問題にしませんので、D'GLに60mm
位の細いステンレス釘で木工ボンドを塗った上で固定します。
Cチャンネルはの穴を1本当たり4箇所あけ、8φのドリルで座ぐっておきます。  切断した切り口、ドリル穴は錆び易いので、錆止め塗料を塗っておきます。 固定には3.5φ15mmのタッピングビスを使用します。 (参考図7



引出しの基本構造
  (少々脱線します。)
引出しの製作に入りますが、その前に私の作る引出しの基本構造についてお話したいと思います。 大きさの違いは別として、私の作る引出しの基本構造は4種類に絞っています。 

スライドレールを使う引出しの場合、単純な箱型と、ハンギングフォルダー対応型の2種類あります。 スライドレールは使用目的により2段式を使ったり3段式を使ったりしますが、引出しの箱の構造そのものは全く変わりません。 単純箱型の場合は12mm合板で箱を作り、底板が3-4mmで18mm合板の前板がそれに貼りつけられます。 ハンギングフォルダー対応の場合には、少々複雑な構造になり加工精度もかなり厳しくしないとなりませんが、箱は12mm合板、9mm合板、5.5mm合板の組み合わせで、底板が4mm、前板が18mmとなります。  

次に木製の棒をレールとした引出しが2種類あります。 レールで中受けとしたタイプと底受けとしたたいぷですが、中受けタイプは引き出しを数段重ね引出しの箱の間を狭められるので、柔らかい収納物で引出しの深さを取りたいときに便利ですが、組み立ては少々面倒になります。 底受けタイプは作り方も簡単ですが、引出しを重ねる際には引出しと引き出しの間にレールが入りますので、中受けタイプに比べると引出しは浅くなりますが、必要材料も当然減少するのでその意味でメリットがあります。 

木製レールを使う場合の最大の長所は何と言ってもコストが安いことですが、引出しへの収納物が重いとスムーズに動かなくなることと、手前に全部引き出すと外れたり、レールが支えきれなくなる。等の短所もありますので、収納物により使い分けましょう。 

 このLDルームの収納家具では、3段スライドレールを使ったハンギングフォルダー対応の引出しが1個と
 通常の引出しが2個、更に右端の内部に底受けタイプの木製レールを使った引出し2個が作られていま
 す。

 左の写真をクリックするとそれらの詳細が確認できます。





3−14.
引出しを実際に作る際の共通した重要点は、如何に寸法の正確なねじれていない平行四辺形となっていないロの字型の引き出し枠を作れるかにあります。 

引き出し枠の側板及び前板・後板の切断精度と直角が出ているかどうかが最初の関門です。 切断精度はノコギリでカットした後にカンナで修正しますが、同時に曲尺で直角が出ていることも合わせて確認します。 (寸法精度目標は±0.3mm以下)

なかでも3段式スライドレールを使う場合、前板・後板の幅の寸法精度は特に重要です。 前のほうで引き出しの取り付けられるA'Bの間隔が379mm +0.5mm -0mmと注意したと思いますが、これはハンギングフォルダー対応の場合の絶対寸法だからです。   もしもその範囲内に収まっていなければ、ハンギングフォルダー対応の引出しはあきらめなければならない可能性すらあります。  引き出し詳細図に各部の寸法が入っておりますが、 引出しの箱の幅は347mmとなっています。 正確な表現をするとこの幅はA'Bの間隔 - 31mmで許容誤差は、+0.0mm -1.0mmです。 従ってA'Bの間隔がどんぴしゃ379mmであれば、348-347mmが幅の許容範囲ですが、板を接合した後寸法が大きめになる傾向があるので、347mmと指定しています。 ややこしいようですがこの辺りが取付け誤差の厳しい3段レールを使いこなす鍵になりますので十分ご理解ください。 

さて寸法どおりに加工できたとしますと残りは組上げ時の注意です。 重要点は組上げ時に枠がねじれないようにすることと、ロの字が平行四辺形にならないことです。 組上げるときには、接合強度はあまり問題にならない方法をとりますが、この方法のメリットは接合する板に隠し釘をあらかじめ打ち込んでその頭をちょっと出しておくことにより、接合位置の微調整が容易でズレが発生しにくい点にあります。 これでねじれの発生を最小限に食い止められます。 

組上げ後完全固着までに4時間かかりますが、床の上に新聞紙を引きその上にロの字の枠を置き、ごく僅かな残るねじれは上に板を敷いてその上に重しを乗せて固着の間に修正します。 またこのときロの字が長方形でなく平行四辺形とならないよう曲尺でチェックし修正しておきましょう。

3−15.
接合部分が完全固着するまでの間に、家具本体のレールの取付け部分に線を引きます。 引き出し詳細図では、青の線で示してあります。 きりでネジ位置に下穴をあけます。レール1個辺り6箇所のビスとなり数が多いようですが、横方向のレールのたわみ防止に必要のようです。 レールは3.5φ15mmタッピングビスで固定しますが、頭が飛び出ていると引き出し側のレールに当たりますのできっちり締め込みます。  

さてロの字の枠が完全固着しましたら底板を貼りつけます。 この底板だけは引出し詳細図よりも1mm程度大きめに切っておいた方がきれいに仕上がるかもしれません。(貼りつけた後でカンナではみ出た所を削る。) 貼りつけは木工ボンドですが、隠し釘で固着までの補強をします。 接着後4時間経ったら隠し釘の頭を落として、引出し側レールを3.5φ15mmのタッピングビスで固定します。 これで本体のレールに挿入してみましょう。 加工誤差の問題がなければスムーズに動くはずです。 但し前板をまだ貼っていないので、中間レールが飛び出してきますが、これは問題ありません。

右端の内部引き出しは、5.5mmのシナ合板で作った箱に12mm合板の前板を貼り合わせたシンプルなものです。 木製レールが1箇所しか寸法図にはないので疑問に感じられるのではと思いますが、これは下のレールは棚板に敷居すべりを貼っただけとしたためで、この引出しの中には軽いものしか入りませんから、こんな構造でも底が擦れるような事もありません。

3−16.
上記引出しと平行して製作すべきものですが、スライドキーボードテーブルについてちょっとだけ触れておきます。 言ってみれば深さが0mmの引出しみたいなものですが、ここで作ったものは上記の3段引出しの上に配されており干渉するために、キーボードテーブルA'の両方に欠き込みを入れ互いにぶつからない構造としています。 使ったスライドレールは全長400mm、スライド長315mmで、キーボード、マウスパッドやアームレストを置くのに十分なスペースが取れます。 余談ですが、ワイヤレスキーボード、マウスとしたため、カウンターに載せたパソコンとの接続が不要であり大変快適に使っています。

3−17.
扉を取り付けます。 蝶番の取付く側の木口だけをサンドペーパーで仕上げておきます。 そして所定の位置にスライド蝶番を取り付ける直径35φ深さ11mmの穴を空けます。(35φの穴あけの方法) 殆どが半かぶせ蝶番ですが、パソコンテーブルの下の扉と、右から2番目のブロックの右側の扉だけはインセット蝶番となり、穴の位置が若干違いますのでスライド蝶番取付参考図をみて位置を決めてください。 また左から2番目と3番目のCには両側から蝶番が取り付けられるため、同じ高さですと蝶番のネジが干渉しますから、どちらかを10mm程ずらしてやりましょう。 以上が終わりましたら蝶番を3.5φ15mmのタッピングビスで固定します。 次に本体側に蝶番の台座を3.5φ15mmタッピングビス3本ずつで固定します。 そうしましたら扉を本体に取り付けますが、詳しい調整手順解説が加工/組み立て編にありますので、そちらをご覧下さい。  

これで終わったわけではありません。 寸法図に入っている扉のサイズは、棚本体の組み立て誤差や蝶番の取付け誤差を吸収できるよう、0.5mm - 1.0mm大きくなっています。 従って観音開きの場合、左右の扉がこすれあったり、ぶつかりあったりするでしょうし、扉の上下に出来る隙間も均等にはならないと思います。 よって木口のトリミング(3面)をここでやります。 面倒といえば面倒な作業ですが、仕上がりを良くするためにはやむを得ません。 

 まず、蝶番が取り付けられた方の木口が本体側板に7mmかぶるよう蝶番を
 調節します。 またはかぶらない部分が11mm残るようにと考えたほうが良い
 かもしれません。 本体側板の左右に扉が付いて居る場合には、間に4mm
 の隙間が残ることになります。 インセット蝶番の場合には、本体との隙間が
 1mmくらいに調整します。 

 そうした上で観音開きの扉の真中がどの程度重なりあうのかを調べ、互いに
 こすらなくなるような位置にシャープペンで線を引いておきます。(0.5mm -
 1.0mm
の隙間が目標です。) 上下の木口もかぶり具合が7mmとなるよう、
 横に並んだ扉の水平方向が1直線となるような位置にシャープで線を引きま
 す。 

 そうしましたら扉をはずしカンナで引いた線まで木口を削り落としますが、一
 度で削り落とすのではなく目標の8割くらい削り落として扉を取り付け調整具
 合を確認しながら、丁度良い寸法に仕上げます。(要するに現物加工というわ
 けです。) 一通り終わりましたら、家具から離れて全体を眺め隙間の線がき
                               れいにそろって見えるようでしたら完了です。 最後に再び扉をはずし、削った3ヶ所の木口をサンドペーパーで仕上げます。 その後ツマミの取付けをします。 扉の厚みが18mmですから、ネジの長さは25mm位が適当です。 

3−18.
引出しの前板を取り付けますが、扉と同様側板には7mmかぶる設計となっています。 この前板の場合には高さの設計寸法は、1mm - 2mm位大きくしてあります。 これは3段スライドレールの場合、閉じた引出しの上下方向の位置が引出しの重量や重心位置のズレで大きく変化するため、いきなり前板をうまい位置に取り付けることが大変難しいためです。(2段レールではその様な癖は少ないです。) 

まず引出しの箱の手前側にに3.5φの貫通穴をあけて、前板をこの当たりでよいだろうというところに3.5φ25mmのタッピングビスで中から仮止めします。 全ての前板を仮止めしてから、前板と前板同士のぶつかり具合をチェックし、削り落とす部分をシャープペンで引いておきます。 左右のかぶり具合も等しくなるよう線を引いておきましょう。 

そして前板をはずしカンナで線を引いたところまで削った後再度取り付けます。 前板同士が当たらなくなりましたら、引出しの中に重めの本を入れて引出しを開け閉めし上下の前板とこすれ合わないかどうか確認します。 この時本が引出しの手前にあるときと奥にあるときでは、引き出しを閉じたときの前板の上下位置が変化しますので、じっくりと落ち着いて確認します。 

何度か繰り返して、当たり、こすれがなくなるまで調整します。 前板同士の隙間が2mm以上開く場合もあるかもしれませんが、レール自身の癖から来るのでやむを得ません。 この前板の位置修正は実際に家具を使い出してから再び発生するかもしれませんので、取り敢えずは木工ボンドで接着せず、実使用で十分確認してから固定したほうが良いでしょう。 或いはタッピングネジ4本とツマミで固定されるのでこのままで十分と考えても差し支えありません。 これらが終わりましたら木口をペーパーで仕上げます。

3−19.
上下の幕板を固定します。 固定には3.5φ25mmタッピングビスと木工ボンドの併用です。  塗装前の作業でパテによる穴埋めがあります。 組み立てた時に出来たネジ穴、大きな隙間、傷、へこみ、木口に所々残る穴などは、パテで埋めてしまいます。 パテのパッケージにはプラスチック製のへらが入っていますから、これでこすりつけるようにして埋めます。 但し1回で完全に埋まるのは深さが1mm以下の極く浅いものだけだと思って間違いありません。 こすりつけた後最低でも12時間は寝かせてからペーパーで穴の周りにはパテが残らなくなるまで表面を削り落とします。 その上で再びパテをこすりつけてまた削る。 を繰り返し、表面を指で触っても全くへこみを感じなくなったら完了です。

3−20.
最後の工程が塗装ですが、カウンターのみはウレタンニスで仕上げていますので、残りの部分を好きな色で塗装することになります。 準備作業として境目の塗ってはいけない部分をマスキングテープで覆います。 特に塗装済みのカウンターと接触している側板との間、天井と接触する隅の部分などにご注意下さい。 使用するペイントは自由ですが、私は耐久性から2液性ウレタン塗料を使用しました。 この作業については加工/塗装編で詳しく述べておりますのでそちらを参考にしてください。

本体と引出しをを先に塗装します。 2回塗装としても扉の場合には両面塗装する関係上、4回塗りと同等の時間がかかります。 ウレタン塗料の場合には、2回塗装後1昼夜寝かせれば使用可能になります。 扉を塗装する場合当然ながら蝶番とツマミははずしますが、蝶番をはずすときには何処についていた蝶番か判るようにマジックインクで蝶番と扉の丸穴に位置を特定する記号を書いておくと、蝶番の再調整が殆ど不要になります。



あとがき
この作品の説明はかなりくどくなってしまいました。 私の表現力のなさもありますが最初にも申し上げたように、大型作り付け収納家具の基本的構造が随所にあるのと、組上げ順序をロジカルにしないとまともに完成しない可能性があるため、こだわった解説になってしまいました。 これ以外の作品の製作詳細では重複する部分を省く予定で居ます。 正直言って製作所要日数は3ヶ月を超えました。(勿論土曜日曜だけを使って) 逆にいえば同じものを注文したとするととんでもない価格になる理由がよくわかりました。    (全く手間の塊です。 従って自作するメリットがあるわけです!!)

参考資料:   外観図   寸法図   加工図1   加工図2   キーボードテーブル詳細図   引出し詳細図
  
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