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学習机
   
2013/09/27

構想

来年入学する孫のための学習机の製作は少々難度の高い部分があり骨格部分をどうするか長い間調査検討を続けましたが、どうやら基本構造がまとまりつつあるのでご紹介しておきます。

最初に依頼主(娘夫婦)の希望する条件を整理しておきます。

  1.組み立て式にして欲しい。
    想定する完成後の大きさは搬入がかなり困難となる可能性があります。 従って分解して搬入し設置場所で組立てることを
    希望しています。 このために接合部の強度確保の観点から構造に工夫を凝らさないとなりません。 また後述するように私
    がイメージしていた強度が取れる集成材が入手不能ですので、慎重に設計を進める必要があります。

  2.大きさは幅1000mm、奥行き700mmを考える。
    平均的な大きさと言えます。 また高さは720mm辺りと考えて良さそうです。

  3.孫は左利きなので袖机の引出しは左側に配置する。
    その構成は3個の浅い引出しとA4サイズ用引出しの合計4つの引き出しとして浅い引出しのひとつには鍵を付けたいとの希
    望があります。 またA4サイズ用引出しはハンギングホルダー対応としA4サイズバインダーも収められるようにします。

  4.机の天板下に幅の狭い引出しと幅が大きい引出し(何れも浅い)を並べて設置する。
    幅の大きい引出しにはA3サイズの書類を横長で入るようにします。

    尚Mustの事項ではないが成長に応じて机の下の引出しはキーボード対応引出しに置き換えられないかを検討します。
    (将来パソコンを取り込んだ時のスペースと使いやすさの確保です。)

  4.机の後ろ側には本棚を設ける。 A4サイズとB6サイズの本が入るスペースが欲しい。
    基本はA4サイズ用2段ですが、B6サイズ用の部分の上の空間がかなり大きくなるので引出しを付けてスペースの有効利用
    を考えます。

  5.椅子は木製で製作しても良いし市販品を購入でも良い。
    まだ結論ではありませんがいきなり人間工学の観点から見て優れた椅子を作るのは不可能に近いので、市販品から選別す
    る方が良さそうに思えます。

こんな条件をもとに先ず木部材料の検討に入りました。
強度的な観点からすれば合板の採用は極めて合理的です。 但しその場合木口の処理が問題に
なります。 私がよくやるように木口テープを貼ってしまえば問題なさそうですが、その場合は角を
丸めるのが困難で直角のままか45度傾斜としてやるかになります。

集成材を採用した場合長手方向は繋ぎ目の無い棒を寄せ集めたような集成材は木片を交互に並
べて接着したタイプよりも縦方向の曲げ強度が上がると共に外観上もムクと間違えそうなくらい良
好なのですが、扱っていたホームセンターが営業を終了してしまい市場から姿を消してしまいまし
た。 (右の写真はそのような集成材で作ったスピーカーで見た感じの品位が大変良いです。)

ところで私はラジアタパインの木目を大変好んでいますので、ラジアタパイン集成材を中心に10件
近くのホームセンターで調べましたが、1820 x 910 x 20mmという集成材としてはかなり幅のある
物をそのうちの1ヶ所で見つけました。 背面側にそびえる本棚(高さが1500mm程度になる。)
安定性を考えながら組み立て式にするには、本棚と机の側板は一体化するほうが良いのですが、
その場合は幅広の集成材があれば板取りが良くなりますので、これを有力候補としておきます。
板厚20mmは正直言うとあと2mmくらい厚ければ理想ですが、変なことをしない限り強度的な問題
は起きないと思われます。

あと詳細寸法に影響してくるのは3段レールを使うか2段レールとするか(荷重、スラ
イド量、スライドに要する力などから決定する。)
ですが、当面はどちらを選んでもよい
ようにしておきます。 そこで1回目の構想図面を書いてみました。

右がそれで高さは本棚部分が1500mm、机の天板の高さは720mm、机の奥行きは
700mmで奥の220mmは本棚と重なります。 袖机は机から分離独立している形態
が殆どですが、袖机のA4引出しを手前に引くとA4引出しの重みで袖机全体が手前
に傾くことがありこれを防止しないとなりません。 また机自身の安定度アップも図り
たいので袖机は机と連結させてしまおうと考えています。

袖机の幅は380mm位となりますが、その右側板位置と本棚の仕切りを合わせます。
そうすると総幅1000mmの本棚は380mmと620mmに分かれ沢山の本や書類が載っ
た時の撓みを多少なりとも少なくすることが出来るでしょう。 本棚は2段でどちらも最大A4が入りますが、B6からA5までの小さな本
を左側下段に入れることにします。 そうすると上の空きが大きくなるのでそこに小さな引出しを設置します。

また右側下段上部には20Wの蛍光灯の明るさと同等のLEDライトを組み込みます。 LEDライトユニットは前方向に140mm程度引き出せるようにして、半値角が80度と広角なLEDの光軸を10度傾けてやれば机の手前まで充分な光が届くと考えます。 駆動電流50mA、直列41〜42本を1系列とし2系列駆動で12W前後の消費電力となりますが、明るさは20Wの蛍光灯以上が得られると想像します。

この構想で大事な部分は机と本棚の側板を一体化している部分にあります。 そうした理由は強度と安
定度のアップにありますが、板取状不利になりやすい大きなL字型の部材を切り出さないとなりません。

したがって側板机部分の幅670mmと本棚の奥行き220mmはデリケートな寸法です。
というのは机の側板に引き出し前板20mmが当たりますがそれよりも机の天板は10mm手前に突出し、
670 + 20 + 10mmで机の奥行きは700mmとなります。 そして本棚の奥行きは220mmとしていま
すが、これはA4サイズ(297 x 210mm)の210mmより10mm長くしたわけです。

こうした時に1820 x 910mm の板からかなり良好な板取りが可能です。 右の図はそれを表していま
すが、220 + 670 = 890mmがポイントで、実際に購入する板の側面が良好で幅の寸法が正確に
910mmであれば、238 + 670 = 908mmとし、切り幅1.5mmを差し引き残りは研磨調整という最高の
板取になるでしょう。 その場合の本棚の奥行きはコクヨ製のA4バインダーと一致しうまく収まります。


以上簡単に1次の構想を解説してきましたが、これを元に依頼主とすり合わせをして更に詰めたいと考
えています。




2013/10/18

詳細設計1

構想図を元に問題点がないか検討を加えてもらいましたが、
基本的にOKでしたので各部の詳細設計に入りました。

最も構造上複雑になるのは一番大きなA4サイズ書類入れの
引出しです。 私の経験ではA4サイズの書類を単純に入れる
方法は書類がごちゃごちゃになりやすいので、ハンギングフォ
ルダーを使うことで仕分けもうまく出来ます。 またA4書類用
のバインダーが収まれば抜群の使いやすさになります。

ハンギングフォルダーの実寸は右の図です。 これはメーカー
コクヨが販売しているA4-HFPの寸法ですが、両端に飛び
出ている部分の下にある台形状切り欠き間の寸法(323mm)
は私の手持ちの実測です。 右上にあるのはINDEXで15mm
程上に出っ張っていますが、その位置は左右に自由に移動で
きます。 青く表示している部分は青、緑、ピンク、白、黄の5
色あります。 薄い黄色で示した部分は無色の半透明ですか
らハンギングフォルダーを取り出しただけで、何の書類かが判
りやすいです。

このハンギングホルダーを在庫している店は少ないので、
60枚まとめて取り寄せ注文しました。(単価\294.-) 包装が
10個単位になっているので、5色中シロを20枚とし残りの4色
を10枚ずつとしています。

これを最も簡単に使うにはハンギングフレームなる金属製の枠を引き出しに入れてやるのですが、ここでは木製引出しでこれを使える構造の物を作ります。

 構造は実に簡単で引き出しの側板は9mm
 と5.5mmのシナ合板を貼り合わせです。
 そして5.5mmシナ合板の上部は9mmシナ
 合板より10mm上に飛び出ます。

  5.5mm合板が引き出しの中側に来るよう
 にして5.5mmの合板の間隔が(芯々)
 323mmになるようにすればOKです。

 文章で書くとごちゃごちゃして理解しにくい
 ですが、左の図をご覧いただければ判り易
 いと思います。

 ここで机の構造材として使う集成材は板厚
 20mmですが、左の図の左右にある縦方
 向の板がそれで板の間隔が372mmになっ
 ていますが、これは以下のようにして導か
 れる絶対寸法で、スライドレールの間隔は
 誤差0.5mm以内に収める必要があるので
 高い工作精度を必要とします。

 ハンギングホルダーを受ける部分の中心
 から引き出し側板の外側の面までは、
 5.5mm÷2 + 9mm = 11.75mmですが、左
 右合計で23.5mmあります。
 これに323mmを加算した346.5mmが引き
 出しの外寸幅となります。 スライドレール
 の厚みは左右合計で1インチ(25.4mm)
 りますので346.5 + 25.4 = 371.9mmを切り
 上げて372mmとしています。

 合板の厚み誤差は意外にありますから実際に製作する場合には厚みをノギスで測って引き出しの内寸幅(設計上は317.5mm)の増減で調整する必要があります。

今回その他のスライドレールは車輪式2段レールを使うことにします。 そうする一番の理由は引き出しの出し入れが大変軽やかに出来ることです。 A4サイズの引出しはかなり重くなることが予想されるので車輪式2段レールでは耐荷重不足になるのでスチールボール式3段レールにしました。

 車輪式2段レールの使い方は簡単なので、引き出しまわりの寸法詳細を詰めることにしまし
 た。 左の図がそれですがその1とその2が一緒になっているので大変大きいですが、クリ
 ックしてご覧ください。 ここでは机の天板の下に配される5つの引出しを含んでいます。
 実際には本棚の中にも小さな引出しがひとつ出来るのですが、そちらは本棚と一緒に検討
 することにします。

 ここでは断面図として描いていますが机の天板構造も描きこみました。 図の中で赤い線
 で表現しているのは引き出し前板の位置とそれらの寸法です。 先々週の構想図では左
 の上の3つの引出しはほぼ同じ高さで描いていたのですが、最上段は前板の高さが94mm
 でその下の120mmと開きが出ました。 これは引き出しの内寸高さが100mm前後ないと
 収納できない物が意外にありそうなことと、後述する引出しの変化技を考えると最上段は
 余り深くする必要が無いことによります。

使用するスライドレールはA4サイズ引出しを除き車輪式2段レールですが、最上段のレールは横付け式を使い他は底付け式です。 尚最上段の引き出しのレールの下にレールみたいな図形が描き込んでありますが、これは底付け式のレールで上にある横付け式レールと干渉を起こさないように、横付け式レールは3mm厚のスペーサーを挟んで固定してあります。

さてその2の話ですが上の図の右側には最上段の2つの引出しを抜いて18mm厚合板を引出しとした物に変えてあります。 これはパソコン用のキーボードを右にそしてマウスパッドを左に配して使う仕掛けです。 既製の机にも同様な仕掛けを組み込んだ物がありますが、キーボードテーブルが不要な間は2つの引出しとして使えるユニークな構造です。 先に触れた使わない底付け式レールを予め組み込んでおくのはこのためでした。

これで構造上一番ややこしい所は終わりました。 次回にはこれら引き出し群の奥行き方向と本棚の詳細設計に付いて触れる予定です。




2013/10/25

詳細設計2

5個の引き出し周りの次はその上本棚の寸法を決めてゆきます。 本棚の
総幅は机と同じ1000mmですが幅1000mmの棚では強度の点で合板より
落ちる集成材ですので、約600mmと400mmの2つに分けます。

具体的には左の引き出しの右側板をそのまま上に延長した物とします。
そして下の棚は600mm幅の右側に厚さ30mmのLED照明器具を内側上
部に設置して且つA4のバインダー・本が入れられる340mmとして左もそ
れに合わせます。

こうするとA5(高さ210mm)やB6(高さ182mm)用には上に空間があき過
ぎるのでここに高さ100mmの引き出しを設置します。 そしてこの引き出し
には依頼主のリクエストにより鍵を付けようと考えています。

その上の棚は高さ310mmですがこれもA4のバインダー・本が入れられる
高さです。 側板最上段は100mm突出するようにして載せた物が横方向
に落ちるのを防止します。 後ろ側に物が落ちるのは背面の4mmの板が
阻止します。

以上難しそうな部分はありませんが右の図左側で机と連結した状態の本
棚を確認下さい。

さて前面から見た詳細寸法はこれで決まりましたが、横方から見た寸法を決めねばなりません。 右の図の右側がそれです。
構想段階とは本棚の奥行寸法が220mmから240mmに増加しています。 本当は250mmにしたかったのですが次に述べる事情があります。 依頼主のリクエストは机の奥行が700mmでした。 集成材の最大幅は910mmで本棚幅240mmと切り幅2mmを差し引くと668mmとなり、この図面ではこの値を机の側板の幅にしています。 机の奥行700mmに対し32mm短いのですが引き出し前板の厚み20mmを差し引くと12mm残りこの値は机天板の前方向の出っ張りとなります。 本当は10mm位に留めたいのですがそうすると本棚の奥行が短くなります。

当然ながら本棚の奥行を理想の250mm(この奥行だとA4バインダーを載せたときバインダーの手前が10mm引っ込む)にすれば机の天板の出っ張りは22mmとなり引き出しへの出し入れが不都合になってきます。

仮に依頼主の指定奥行寸法(700mm)を12mm短い688mmでOKとしてもらえたら本棚の奥行を250mm、机側板の幅を658mmとし引き出し前板(20mm)を差し引き机天板の手前の出っ張り量は10mmとなり理想的ですので近日中に検討をしてもらいます。

さて引き出しの奥行ですが、キーボードテーブルと本棚下に入れる引き出しを除き500mmとしました。 A4サイズ用の最下段の引き出しには3段レールを使いスライド量は500mmより少し長いので引き出しを空けて全ての書類を真上に取り出せますが、それ以外はスライド量が400mmとなり引き出しの奥の物は若干取り出しにくくなります。

キーボードテーブル用には350mmの2段式を使います。 スライド量が275mmですがキーボードの大きさを考えると十分なスライド量です。 本棚に設置する引き出しは木製レールとして引き出しが目いっぱい大きくなるようにします。 引き出しの奥行は220mmでスライド量は200mmといった所でしょうか。 そして引き出し幅は371mmくらいです。 深さは96mmが設計値です。

さて横方向から見た断面で構造上重要なのは、この図に描いてある12mm厚の背板です。 これは木ダボと木工ボンドで机の側板と引き出しBOXの側板に接合されますが、机・本棚全体の横方向への撓みを防止します。 横方向の撓み防止はもうひとつ本棚の背面に貼る4mmの合板も加わります。



2013/11/01

一部設計変更

さて製作に入る前に板取検討に入りましたが、いきなり集成材のところで中途半端なサイズの端材が多いという板取りの悪さに気が付きました。 また集成材の板厚は20mmとしてきましたがあるホームセンターで18mm厚で3 x 6尺の物を販売していることを発見し、集成材部の重量が10%下がること、見えないところであれば合板・集成材どちらから切り出しても良いので板取りが良くなる効果があるための2つの理由で設計変更することにしました。 集成材板厚以外での変更は本棚のトップで、側板を最上段の棚板から100mm飛出るようにしていましたが、これをゼロ(飛び出ない構造)にしました。

こうするとL字形状の側板の高さは減少しますので余りの端材は大きくなります。 詳しくは後述しますがその端材の長さが372mm(引き出し部の内寸)になるように切断するとL字型を切り出す部分は1820mm - 372mm = 1448mmとなりますが、これが机・本棚の総合の高さ上限となります。(現在の設計値は1408mmで40mmの変更代は後ほど考える。)

 また各部を再度チェッ
 クすると寸法値が間
 違っていたり図が正
 確に描かれていなか
 ったりしている部分も
 ありましたので、全部
 を見直しして書き直し
 ました。

 左の全体図で殆どの
 部分の詳細が判りま
 すが、右のハンギング
 フォルダー詳細図と
 キーボードテーブルに
 変更後の詳細図が加
 わり全てとなります。

 設計変更後更に3回
 全ての寸法値を再確
 認しましたが問題は
 ありませんでした。

そこで板取りの作業に進みました。 右の図がそれで大変大
きな図面ですが、上の段は材料を購入して切り出す材料で、
下段は手持ちの端材で対応する材料です。

今回使う木材料は、18mm集成材、18mmシナ合板、12mm
シナ合板、12mmMDF、9mmシナ合板、5.5mmシナ合板、
4mmシナ合板と7種類もあります。

このため端材がかなり発生してしまう板厚のものがあります
が、それぞれの板厚には明確な採用する理由がありますの
で、残念ながら目をつぶらざるを得ません。

尚人によっては板厚によっては3 x 6尺ではなく長さ300mm、450mm、600mm、900mmなどに切断した物を購入すれば良
いのでは? と思われるかもしれませんが、私が材木店から購入している合板の価格は3 x 6尺でホームセンターでの価格より25〜30%安く、ホームセンターで販売されている短尺材は更に10%〜15%割高になるため、ホームセンターで購入する事はまずありません。



2013/11/08

製作 1

いよいよ製作ですが、その前に久しぶりの本格的な木工作業ですので、私が標準としてやる作業方法について触れておきます。

  1.120mm位までの切断
    切断する長さが120mm位までだと感じとしては棒の切断と言っても良いかもしれません。 その場合には265ノコギリとソー
    ガイドの組み合わせで切断します。 そうする理由は切断精度(直角度)が極めて高精度に出来る事と、切断寸法の微調整
    が不要であることでしょう。 因みに切断寸法精度はソーガイドの使いこなし次第で+0.3mm、-0.0mm以内に収められます。
    直角度については2方向に対して曲尺での直角度狂いの検出は不能な範囲に切断できます。

    尚切断長が120mmを超えますとソーガイドは切断方向に移動させないとならなくなります。 その場合切断精度を維持する
    のが難しくなるのと手間が掛かりますので、私は120mm以上ではこの方法を使いません。

ソーガイドに翔265の替刃を『錆び難いTRY・USの替刃』に交換したものを組み合わせ切断中。 120mm位まではソーガイドを移動することなく切断可能です。

切断が終わった状態。 切り口付近の切り屑も払っていない状態ですが、切り口にはノコギリの刃の跡も殆ど目立たず大変綺麗な切断面です。

板の幅方向の切断面の直角度を見ています。 曲尺は隙間無く、或いは隙間が広がってゆくような直角度不良は全くありません。

厚み方向も同様です。 このように正確な切断が出来れば、接合時に変な隙間や直角接合が狂う心配はありません。


  2.120mm以上の切断
    この場合は普通の切断方法と言うか翔265の刃をTRY・USに
    替えたノコギリで手引き切断します。 但し以前と違って殆どの
    場合切断材料をバクマクランプで工作台に固定してやります。
    そうすると切断精度を容易に高くすることが可能になります。

    この方法の場合の切断精度は+0.5mm、-0.0mm以内に収まっ
    ています。 ソーガイド併用の場合より20%程度切断精度が悪
    化するわけですが、実際にはソーガイドの場合切断誤差は
    0.0mm〜0.3mmの間で固定値になり直線切断となるのに対し、
    ソーガイド無しでは0.0〜0.5mmの間でブレが出てミクロ的には
    直線切断にはならないと言う事ですから、切断後にカンナを掛
    けて+誤差分を削って寸法と直線性を改善します。
    また厚み方向の直角度の修正も同時にします。
    (右が現在の手引き切断で、クランプで材料を固定します。)

  3.集成材の切断方法
    集成材の切断は木目の硬い部分とそうでない部分で切断に要する力がかなり変化し手引きではつらいように思います。
    そこで電動ジグソーで切断する事にしました。 しかし本来直線切りが苦手な電動ジグソーは縦引きではうねるような切断に
    なりがちです。 そこで切断線より1mm程寸法が長くなるようにして切断後に電動トリマーに6mm2枚刃のストレートビットを取
    り付けて寸法出し切削をしました。 但し入り隅部は切削できませんので替刃式ヤスリで仕上ています。

  4.接合方法
    今回のテーマなど中くらいのサイズの物では接合にネジを使うのは見栄えの観点から避けたいと思います。 そこで接合に
    関しては18mm厚の板の場合には8φ、12mm厚の場合には6φの木ダボを使い木工ボンドで接着という方法を使います。
    私の分類では最強の木ダボ、ネジ、木工ボンド併用の1ランクしたということです。 この方法を取る時の注意は木工ボンド
    硬化時の圧着保持です。 これがある無しで接着部分の隙間の出来具合、接着強度に大きな差が出てきます。 ネジ併用
    ではネジが圧着保持をしてくれますがそれがないので、長尺のバクマクランプや自作の大型クランプで圧着保持します。

    尚引き出しの組立には木工ボンドのみの接合で、圧着保持には隠し釘を使います。 隠し釘による圧着保持は密着度をあま
    り上げられませんが、これまでにそのような方法で作った200個近くの引き出しが全く問題を起していません(剥がれなど)
    で、問題無しとしています。

切断しないとならない部材点数は69枚あります。 暫く手引き切断をやっていませんでしたから感を取り戻すのに暫しのんびりと進めましたので合計28枚でしたが、切断が手間取る18mmや12mm厚の70%程は終わりましたので、次週には残り全てを切り出せるでしょうが、4mm合板切断のうち引き出しの底板の一部は、この机を使う優真君が我が家に来た時に切断し引き出しに接着してもらおうと考えています。  今週の作業の様子は以下の写真をご覧下さい。

少し手間取った机本体側板の切断について紹介しておきます。 3 x 6 18mm厚の集成材を2つの工作台に載せます。 工作台はT字型に赤点線のように起きます。 そして黄色矢印方向から見ると?

こんな感じになります。 工作台の位置関係が良く判ると思います。 この特徴は小さな工作台でありながら切り離した板それぞれをきちんと受け取れる点にあります。

板取り図の最初の板を参照下さい。 長さ372mm x 全幅(910mm)で切断しました。 切断線は矢印先です。 手前の大きな部分はこの後2つのL型に切り分けられます。 

墨線を引いてありますが中央の切り抜かれる長方形部分の中央に、電動ジグソーをこのように逆さに握り、緩い傾斜の切込みを入れます。

電動ジグソーを手前にゆっくりと引きながら、切り込み量を深くしてゆきます。(手前に引くのはブレードの先端の当たりを回避するためです。)

更に手前にゆっくりと引きながら電動ジグソーを起こすようなスタイルと共に切断深さを高めてゆきます。

この辺りまで起こすとブレードの先端は板を突き抜けている筈でそうなったらしめたもの、手前に引くのは止めて電動ジグソーを定位置まで起こすのみです。

電動ジグソーは定位置になりました。 これで切り込みは終了で、続いて長方形の切り抜きに進みます。

矢印先が今入れた切込みで、そこから左上方に延びた切り込みは長方形の一辺です。 これを続けて抜き取ります。

中央に見える細長い長方形が今切り抜いた穴で、次に赤点線を切断すれば2つのT字型に切り分けられます。 ここでは作業台は縦長に2つ並べていますが、切り分けた後も2つの板は安定して作業台の上に残ります。

電動ジグソーの切断線はかなりブレを生じるので予め1mm程大きめに切り、その波打った切断線は電動トリマーにストレートビットを取り付けて切削し、最終的な設計寸法になるようにしました。 手間は掛かりますが、端材が少なく切断効率の良いやりかたです。

切り出した28枚の部材ですが大きなL字型2枚は左に立てかけてあり、その他は12mm厚MDFの上に部材ナンバーを書いた付箋を貼り付けて置いてあります。



2013/11/15

製作 2

材料切断の続きをして4mm厚合板と現物あわせ傾向となる12mm厚MDF天板と9mm厚裏板を除く全ての切断を済ませています。 4mm厚合板は11/18に来宅を予定している優真君に底板を切り出して接着してもらう予定でいます。 4mm厚ですからそれ程苦労する事は無いでしょう。

ここで使用する金具についてお知らせしておきましょう。 百聞は一見にしかず!ですので次の写真をご覧下さい。



上の写真は今回使用する金具類です。 上から500mm底付け2段式スライドレール2セット、350mm底付け2段式スライドレール1セット、500mm横付け2段式スライドレール2セット、500mm3段式ボールスライドレール1セット、下右側の塊はシリンダー錠です。

横付けスライドレールは底付けタイプよりも上限方向の取り付け位置をぶらし易いのでこれまで使っていませんが、今回は同じ場所に2つの引き出しを取り付ける必要性があるので使用します。 一般には底付けタイプをお奨めします。

左はシリンダーロックの詳細ですが、引き出し前板に17φの穴をあけて内側からロック本体を挿入してネジ止めします。 右側の写真はロック状態にした時で、ベロがにゅーっと出てきますが、引き出し上部の板に溝を彫っておけばこのベロがそれに挿入されロックが掛かる仕掛けです。


先週集成材を切断するのに電動ジグソーを使うと申し上げました。 そして電動ジグソーでは切断の直線性が良くないのでトリマーで切削し調整しているとも申し上げています。 その様子を以下にお見せしておきます。

2枚刃の6φストレートビットを使って切削中。 特に変わったことをやってはおりません。

切削が終わったこば面。 回転刃で切削した事が判る細かな波をうっている様子が判ります。 但しこの写真はその様子が判りやすいように強調しており実際にはこのようにはっきりとは見えません。 この理由で2枚刃のビットの方が好都合です。

上から見た切削前(左側)と切削後(右側)です。 左側に薄く見える墨線位置まで削りこまれています。 また左のこば面を見ると若干波うっているのが判りますが(恐らく電動ジグソーによる切断では最も精度が出ている範疇ですが?)右ではそれが完全に無くなり、寸法精度として±0.2mm以下を確保しています。


引き出し前板の左右の木口はボーズ面ビット(BZ-25G)で丸く削っています。(上の写真)

現物合わせ的な切断になる9mm厚の裏板、12mm厚MDF天板、そして4mmシナ合板を除き、全ての部材の切り出しは済みました。

寸法と直角精度を出す木口、木端のカンナやトリマーによる調整は済んでいますが、面取り、仕上げ研摩などは組立ながら、または組立後にやる事になります。

次週から組立ですが、シリンダー錠の取り付けは慎重に進めないといけないので、引き出しの枠組みから始めようと思います。




2013/11/22

製作 3

いよいよ組立開始ですが引き出しから始めます。 引き出しは全部で7つ作りますが、パソコンのキーボードとマウスを置くスライドテーブルが含まれており、スライドテーブルを使う時には2つの引き出し(最上段)は使わない為、同時に使うのは6つまたは5つです。 引き出しは構造上4種類になりますが、ロの字状に組み上げて底板と前板を貼る最も簡単な構造が4つ、ロの字の1対面は2枚の板を貼り合わせて内側を上に突出させハンギングフォルダーを受ける構造が1つ、引き出しのスライド機構に金属レールを使わない構造が1つ、そして引き出しとは言えない18mm合板にスライドレールを固定しただけの構造が1つです。

それらの組立は基本的に接着剤(木工ボンド)によりますが、接着強度は圧着保持をしたかどうかにより大きく変化しますのでここでは隠し釘を使います。 隠し釘による圧着保持は保持力そのものはクランプによるものと較べると低いですが、私が過去に作った引き出しは同じ方法で製作していますが接着不完全と判断するようなトラブルは全くありません。

更に隠し釘を使うメリットとして、接着位置調節が容易で接着位置のずれも極少に抑えられる、作業性が良い、などがあります。 欠点としては釘穴が目立つ、隠し釘は高価と言ったところですが、使用場所を目立たないところにしたり少々面倒ですがパテで埋めてしまうなどを施せば解決できます。

6つの箱型の引き出しのロの字状の枠の組立をしてから、3個は最後の底板貼りまでやりますが残る3個は、次週に底板の切り出し、貼り付け、仕上げ研摩と優真君にやってもらうことにします。

それらの作業の様子は以下の写真と説明をご覧下さい。

(作業環境では色温度が大きく変化しカラーバランスが狂い易いため色味が変わって見える写真がありますが御容赦下さい。)

引き出しの接合は木工ボンドによりますが、隠し釘で圧着保持をする所が重要です。 また接合位置を精密に調整できる点もメリットです。 その接合方法の基本をお見せします。 先ず隠し釘を打ち込んで釘の先端が裏に1mm程度出るようにします。

ひっくり返した裏側はこんな具合です。 このごく僅か出ている鋭くとがった隠し釘の先端が接合位置に当てたときに横に滑り接合位置がずれるのを防止します。

木工ボンドを塗った接合位置に当てて隠し釘を打ち込みます。 これで圧着保持が出来ます。 3時間程寝かせて木工ボンド硬化後に釘の頭を横から玄翁で払えば頭が折れて接合終了です。

これは余談ですが、私は木工ボンドの容器を自作のこんなホルダーに差し込んで使います。 こうすると常に木工ボンドはノズルの先端に溜まって作業性が極めて良いです。

いよいよ製作開始! 先ずロの字の枠の隣同士を直角に接合します。 圧着保持は無論隠し釘(頭が青色の釘)ですが、直角度は自作90度接合ジグを使用しています。

こうして出来た2組のL字型を接合すればロの字型になります。 既に圧着保持用の隠し釘を打ち込んであります。

木工ボンドを塗りつけて位置合わせを正確にしたら少し押し込めば釘の先端が刺さり込み、横滑りをしなくなりますので玄翁で青いスペーサーが若干潰れるまで打ち込みます。

そして接合した2箇所を90度接合ジグで保持してやり木工ボンドを硬化させます。(木工ボンドの完全硬化は12時間程掛かりますが、接合部に無理な力を加えなければ3時間程度で実用強度になります。)

90度接合ジグを外しました。外観はロの字枠になっています。

次に隠し釘の頭を払い打ちして落とします。 この後仕上げ研摩をしておきます。

4組の単純ロの字枠が完成しました。 これらの内一番下の大きな引き出しの底板を貼り付けておきます。 残り3組の底板は次回に優真君に貼り付けてもらいます。

22mmの隠し釘(頭5mmは折られて実寸17mmになる。)を70〜80mm間隔位で打ち込み底板を圧着保持しました。

そのクローズアップですが底板は縦横共に2mmずつ大きく切断してありますから、周りは僅かにはみ出ます。

はみ出た底板は電動トリマーにコロ付き傘付き目地払いビット(MB-12.7G)を取り付けて切削します。 カンナを使うよりも作業性が良く底板以外を削る心配がありません。

切削後で簡単にツライチになります。 そして替刃式ヤスリで仕上げ研摩をしました。

完成した引き出しの箱。 接合部分は替刃式ヤスリで僅かに残っていた段差を削り取りましたので、指で触っても段差を感じないくらいに仕上がっています。

構造が複雑なA4サイズ書類用引き出しは、12mm厚(左側)と9mm厚(右側)の接合から開始します。 それら2枚の高さが違う事に注目!

同じようにもう一組を組み上げてやります。 前の例と同様これら2組を接合してやるのですがその前に!

9mmの板側の内側に5.5mm厚の部材を貼り付けます。 面積が大きいので大袈裟に見える圧着保持を沢山のクランプを使ってやっています。

そしてついにロの字状の枠になるよう接合しました。 ここでも直角を出す為に90度接合ジグを使っています。 この後底板を貼って箱部分は完成です。

出来上がったロの字状A4サイズ引き出しに、ハンギングホルダーを入れてみました。 寸法はドンピシャです。

そのクローズアップがこちら。 内側に貼られた5.5mm厚合板でハンギングホルダーを受けているのが判ります。




2013/11/29

製作 4 (優真君の登場)

引き出しの製作は構造が一番複雑な木製レール判が1個そして3つの引き出しの底板の切り出しと貼り付けを今週優真君にやってもらいます。 その前に改めて今回のテーマの工作精度について確認しておきます。

切断の精度は+0.2mm、-0.0mm以内に収まるよう進めてきました。 大変厳しい目標ですが、3段スライドレール取り付け位置の許容誤差に0.5mm以下(±0.25mmと考えても良い。)という項目があるためです。 その他の部分はそれほど高精度にしなくても良いのですが、全てをシビアに管理するのをひとつの目標として今回は考えていますので、切断精度を+0.2mm、-0.0mmとしたわけです。 こうすると余程油断しない限り組立後の寸法誤差は、+0.3mm、-0.1mmの0.4mm以内に収まると考えています。(当然3段スライドレールの要求精度はクリヤーする。)

さて優真君には『3つ分の引き出しの底板を切り出してもらい、それを貼り付けて仕上げ研摩する!』 という作業をしてもらうのですが、ここでも上で述べた工作精度は保たねばなりません。 しかし来年小学校に入学という優真君に大工仕事や工作が好きで興味があるからといってそれをストレートに求めるのは無茶です。 そこで頭をひねってそれが保てる方法や具体的な手順を考えて、底板貼りなら全く問題ないと決めたのです。  それらは、

1.優真君に切断・加工してもらう材料は4mm厚合板に限定する。
  熟練者がやっても加工切断する材料が厚くなると力が必要になり大変です。 また厚みが増すと切断の直線性以外に切断面
  の直角維持も問題になります。 従って薄い材料の加工組立ての方が非力な優真君に向いているわけで、4mmの材料を使う
  底板切り出しと貼り付けはもってこいです。 それより厚い材料(5.5mm、9mm)は切断済みなので4mm厚を選びました。

2.底板切り出しは切断のブレが最大±2mmあると想定して墨線を引いておく。
  右の写真は実際に引いた墨線で1箇所に2mm間隔で3本あります。
  そして約束として『真中の線にそって切断するように!』 とします
  が実際には左右にブレが出るでしょう。 そのブレは左右の線までを許
  容します。

  そして切断幅の設計値を例えば350mmとし2枚を切り出すのであれば、
  板の端から350mm、352mm、354mm、その次の板は754mm、
  756mm、758mmの位置に墨線としてやれば、実切断幅は350mmより
  小さくなる事がありません。 当然ながらこれを底板としてを貼ると出っ
  張りが出来ますが、傘付き目地払いビットで簡単にツライチ処理できま
  す。

以上の方法で優真君が作業した部分も作業難易度は高くないままで、結果として高い工作精度を保つことが可能になります。

以下に優真君が作業中の写真をお見せしますが、私が作業の様子を見ながら然るべき指示を出した事もあって想定どおり進み作業が完了しました。

かなり緊張して作業中の優真君。 まだ力を入れるところと抜くところを使い分けるなんていう芸当は出来ませんからかなり疲れると思いますが、一生懸命切断しています。 全切断長は500mmありますが手前の方は届かないので、私が半分ほど切断しています。

500mmは届かないので私が予め半分ほど切断してやりました。 従って優真君が切断したのは残る約250mmです。

その優真君が切断した部分のクローズアップ。 左右にふらつきがありますが、外側の線を越えていないので合格です。

枠に木工ボンドを塗ったら切断した底板を載せて隠し釘(22mm)で固定します。 隠し釘は正確に打たないと折れやすいのですが、72本打ち付ける中で折ってしまったのは2本ですから合格の範疇でしょう。

24本の隠し釘を打ち終わって木工ボンド乾燥中の引き出しと優真君。 うまく出来て満足そうです。

3時間経過後玄翁で払い打ちにより隠し釘の頭を落としています。 この作業も好きな作業になったようです。

ジイジ(私)が目地払いビットで底板のはみ出た部分を切削後に替刃式ヤスリで仕上げ研摩中です。 これで底板貼りの作業は終わります。

優真君が切り出した底板を貼り付けて仕上研摩まで終了した3つの引出しです。 ジイジ(私)は優真君が作業した部分だと言う記録をどこかに残しておこうと考えています。  初めての日曜大工へのチャレンジ優真君ご苦労様でした!


残る引き出しは木製レールを使いシリンダー錠の付くもので、一番小さいのですが手間は数倍掛かる物です。 これだけはシリンダー錠取り付けの都合で、箱の組立のみならず引き出し前板の貼り付けも拘わってきますので、前板の着色と塗装も済ませてしまいます。 以下はそれらの様子です。

構造的に一番面倒なのは木製レール仕様の引き出しです。 1個作るだけですが、底板を除きこれだけ必要です。 上の左から側板、引き出し側下のレール、引き出し側上のレール、本体側レール、下の大きな板は前板です。

底版と引き出し側上のレールを接着します。 レールは9mm強突出しています。

反対側に引き出し側下のレールを貼りますが、間に本体レールと2つ折りしたコピー用紙を挟みます。(これで0.2〜0.3mmの隙間が上下のレール間に出来ます。)

左右の側板が完成しました。

前後の板に側板を接着し隠し釘で圧着保持します。 これをもう一組組み立てます。

出来上がった2組を連結して接着し隠し釘で圧着保持した上で、90度接合ジグで保持します。

仕上げ研摩をしてロの字の枠が出来上がりました。 この後底板を貼れば引き出しの箱は完成でシリンダー錠取り付けに移ります。

18mm厚前板には17φの穴をあけ後からシリンダー錠本体を挿しこんでネジ止めします。 前面の出具合微調整の為に錠の当る部分は0.8mm削りました。

引出し箱側のシリンダー錠が当る部分には40φの穴をあけ、上にロック弁の出る部分を欠き取りました。

前板を引き出しの箱の所定の位置に当てるとこんな具合になりますが、相互の位置関係は高精度であらねばなりません。

ロック内側が見苦しいのでカバーを付けることにしました。 材料はアルミ押し出し材で厚み1.2mmです。 またロック背面に2mm厚発泡塩ビ板(右側)のスペーサーとを貼ります。

ロック背面にエポキシ接着剤でスペーサーを貼り付けてやります。

そしてアルミカバーもエポキシ接着剤でこのように貼り付ければ完成となります。

ロック弁が上方に突出した状態を引き出し内側から見たところです。

シリンダー錠を真上から見たところです。 ポピュラーな手工具での加工はこの程度の仕上がりが限界でしょうか?

前面から見たシリンダー錠とロック弁が突出した状態です。 以上はまだシリンダー錠やアルミカバーはまだ仮に両面接着テープで貼った状態で撮影しています。 最終的な固定は(接着は)前板の塗装が終了後になります。

2倍に薄めたポアステイン チェスナット色を6回塗って木目が見えなくなる限界に近い濃い目に着色しました。

着色後水性ウレタンニス透明クリヤー5回塗り(塗り重ね前には#400空研ぎペーパーで研摩)、水性ウレタンニス艶消しクリヤー1回塗りで半艶に仕上ました。



2013/12/06

製作 5

木製レール引き出しの前板を引き出しの箱に接着し、シリンダー錠の固定とアルミカバーの取付けをしてこの引き出しを完成させました。 そして机本体の組立に入りました。 ここで気をつけないといけないのは組み立てる順序を間違えると途中で組立不能に陥る可能性があることで、どのような手順で進めるかは十分に思考実験をしないとなりません。 以下の手順は一部妙なところが生じますが、組立不能に陥るのを避ける為とお考え下さい。

てなことで本体の組立に入りましたが、引出しの右側板と机の天板を受ける4枚の板の接合及び机本体の右側板との接合から始めました。

塗装が終わった木製レール引出しの前板を木工ボンドで貼り付けました。 いささかオーバーに見えますが4本のバクマクランプで圧着保持しています。

シリンダー錠カバーもエポキシ接着剤で貼り付けて引き出しは完成です。(ツマミを取り付けるのが残っていますが?)

シリンダー錠周りはこんな具合でピシッとまとまったと思います。

さて机本体の組立に入りました。 机の天板受け板4枚を引出しボックス部分の右側板に貼り付けますが、両端2枚をこのように木ダボ、木工ボンドで接着しスレンダースレッドネジ45mmで圧着保持の上90度接着ジグで位置決めしています。

上側左手前の角はこのように天板受け板が20mm突出するように接着します。

次に間の2枚を同様に接合しますが、4枚の板の端を別な板を介してこのようにクランプで固定します。(4枚の板の接着位置安定化のため)

そして90度接着ジグを取り付けて4枚全ての接着角度を90度に揃えます。(12時間放置して完全硬化を待つ!)

引出しブロック右側板上部にキーボードテーブルとの干渉防止の切込みを電動ジグソーでやっています。

その切り口は自作替刃式平ヤスリ(手前がそれで奥は通常使っている替刃式ヤスリ。)で仕上げます。

この切り込みの幅は24mmしかなく、通常の替刃式ヤスリでは頭が研摩面に当って傷つけるのとストロークが20数ミリしか取れません。

一方自作替刃式平ヤスリはヤスリ本体が当って傷を付けることなく150mmのフルストロークで研摩できますから効率的で作業性が良いです。

次に正確な引き出しレール位置を計算して仮止めしました。(位置精度は0.5mm以下) この写真の上側が引き出しボックス内側の右の面で、4枚の細い板が上面になります。

引出しの箱にもレールを固定して仮止めした本体側レールに嵌め込みました。 引出しの位置のみならず引き出し間に出来る隙間も0.5mm以内の誤差で十分に満足できます。

本体の左側側板内側にスライドレール5本の位置を決めるためネジ止めします。 一番上のレールは2.7mm厚合板を挟んで浮かしてあります。 終わったら全てのレールは外してしまいます。

本体左側板に取り付くレールは2本ですが、上のレールはやはり浮かして取り付けます。

その方法はこの通りで、2.7mm厚ラワン合板をレール幅に切断して接着します。 圧着保持には22mm隠し釘を使っています。

右側板の上側のレールを当てて見ました。 ちらっと見える左側のレールはキーボードテーブル用のレールで同時使用ではありません。

左の写真を左に90度回転させアップして見ました。 上のレールは浮いているので、この引き出しが下のレールに干渉することはありませんし、下に取り付くキーボードテーブルは厚さ18mmですから上のレールに干渉しません。

出来上がったL字状の引き出しブロックを右側板に接着する準備です。 木ダボを11本使いますので、マーキングポンチを差し込んで位置決めをしています。 4枚の板はクランプで仮に連結し位置決めしやすいようにしています。

マーキングポンチにL字状ブロックを当てて押し込んでいる所です。 L字状ブロックの背面には3本の支柱をネジで仮固定してあります。 これが終わったらマーキング位置に穴をあけて全体を床の上に逆さに置きます。 つまりL字ブロックの上に右側板を載せて固定するわけです。



そしてネジ締めです。 またこの写真では見えませんが、背面の3本の支柱もネジ止めしておきます。(上の写真)

ネジ止めが終わったら4枚の板を連結していたクランプを外し上の写真から右へ90度回転させて、90度接合ジグを当ててクランプで固定し12時間寝かせます。 (右の写真)

これで右側2/3の組立が終わりましたので、最も幅の大きい引出しの動作確認をしました。(無論動作OKです。)




2013/12/13

製作 6

右2/3の組立が終わりましたので、左1/3(引出しブロック部分)の製作に入りました。 12mmの天板受けは右2/3の4枚の板の延長のような物ですが、これを接合する事から入ります。 そして天板を現物合わせにて仮止めします。 そこへ本棚の仕切り板を仮止めし更に本体左側板を当ててみます。 それらが妙なずれもなく合わさるようでしたら完璧なのですが、接着位置のずれなどによる誤差の増大で若干狂いが出てきますので何らかの修正が必要になるかもしれません。 

それらを十分に確認した上で、12mm天板を着色してしまいます。 やけに早い段階での塗装作業ですが、本体を始め殆どの部分は淡い茶色に着色するのに対し、天板とその周り縁は濃い茶としてコントラストを付けたいのですが、組み上がってからそれをやると他の淡い部分に濃いステインを付けてしまう可能性があるからです。

さてその天板の塗装詳細ですが、これまで様々な塗装をしてきた中で最も手間の掛かった塗装となりました。 簡単に箇条書きで言えば、ステイン着色5回塗り、水性ウレタンニス透明クリヤー2回塗り、水性ウレタンニス ローズ色1回塗り、ステイン着色1回塗り、水性ウレタンニス透明クリヤー1回塗り、水性ウレタンニス艶消しクリヤー1回塗りと、ステイン6回、水性ウレタンニス5回塗りということになります。

何故こんな面倒な事をしたかというと、MDF独特の美しさが全く感じられない材料を高級木材のテイストに変えてしまう!という点にあります。 それならばMDFを使わなければ良いでは? と思われるでしょうが、ムクの材料よりも廉価で反りがなく、加工性が良いにも拘わらず表面は意外に硬め!というのが採用の理由です。 このMDFの表面のチープな質感を何とかしようという作業は今回で2回目ですが、今回の完成度は遥かに良かったように思います。 近々標準作業手順としてまとめようかと考えています。


引出しブロック部分の天板受け4枚を接合します。
接合方法は木ダボと木工ボンドですが、圧着保持の為に45mmのネジを各2本使います。



4枚の板を接合した後は端材を当ててクランプで固定して連結し、90度接合ジグで接合部分を直角に保持します。


そのネジを打ちたい位置は右側の天板受けが邪魔しているので、このように斜め打ちして、穴は後でパテで埋めます。



天板となる12mm厚MDF。 天板に何故MDFを?と疑問に思うかもしれませんが、表面が均質でやや硬質なので、上に紙を置き鉛筆で書くのに好適である!という理由です。

現物合わせですから十分に各部の収まり具合を確認し調整しておきます。


塗装の仕様はかなり複雑ですが、オーク色ポアステインを水で2倍に薄めて5回塗りで求める基本濃度になりました。 その後水性ウレタンニス透明クリヤーを2回塗りしてから水性ウレタンニス ローズ色を1回塗った状態がこの写真です。 無論塗装と塗装の間には研摩作業をしています。 この後#240、#400の空研ぎペーパーで地肌が出ないように削り込んで表面をつるつるにします。

そこにオーク色にウォールナット色を加えて黒味を増したポアステインを通常より厚塗りし色斑を出します。 乾燥後透明クリヤーと艶消しクリヤーを各1回塗って完成としました。

完成した表面はローズウッドを見ているような感じで、意識的に作った色斑がローズウッド特有の木目に見えます。 左はMDF表面ですが、MDFとは思えない仕上がりです。


塗装面は指で押しても指紋の凹みが残らない所謂指触乾燥状態になりましたので、本体に当てて左の側板も嵌め込んでみました。 各部を確認したのですが取り立てて問題はないのでこのまま組み立てられそうですが、塗装面は完全乾燥常態にならないと例えば、『塗装面にクランプを当てて締め上げる!』なんてことをやったら、凹みが出て一貫の終わりになってしまいます。

ということで最低でも1週間、できれば2週間はこのまま寝かして完全乾燥にすべきなので、その間は棚板の仕上げ加工、シリンダー錠のロック弁が差し込まれる部分の加工、側板の内面の仕上げ研摩、LED照明の詳細設計等に時間を費やす事にします。



2013/12/20

製作 7

天板の塗装を完全乾燥としないと本体に固定できないので、2週間は別な作業
を済ませることにします。 その1は本棚棚板幅の寸法調整です。

設計寸法は250mmなのですが、棚板(合計4枚)は撓みへの耐性を考え集成
材ではなくてシナ合板にしています。 シナ合板の木口、木端は美しくないので
木口テープを貼ることにしますが、そうすると幅が0.5mm大きくなりますので板
幅を0.5mm縮めます。 
たった0.5mm位どうでも良いのでは?といぶかる方もおられるかもしれません
が、棚板を接合する本棚側板は集成材で幅が250mmドンピシャに切断されて
います。 そうすると250mm幅の棚板に木口テープを貼ると棚板が0.5mm飛び
出てしまいます。 これはみっともないので棚板幅を詰めて調整した次第です。
但しその加工には電動トリマーを使いスピーディーな作業になっています。

シリンダー錠のロック弁は厚みが2.8mm、幅16mm、ストロークが8mmあります。
そこでシリンダー錠付き引出しの上の棚板の前側に深さ9mm、長さ20mm、幅
3mmの溝を電動トリマーで切削しました。

詳細は右の図の通りですが、2.8mm厚のロック弁に対し0.2mm溝幅を増やした
程度にも拘らずうまく動作しています。 尚この溝は厚さ1mm以上の鉄板で周り
を保護してやらないとならないかな? と一時は考えましたが、ロック弁幅が
16mmありストロークが8mm、そして溝から棚板前面までは20mm近くもありま
すので、通常の力でこの溝を破壊するような事は先ず起きないと判断し、彫った
ままとすることにしました。

木口テープを貼る事にしましたので、板幅を0.5mm詰めてやらないとなりません。 カンナで削るのでも良いのですが作業のスピード、加工精度、何れの点でも電動トリマーでやる方がより良いです。

トリマーで切削した面に付着した木屑を落として木口テープを貼ってやります。 板厚が18mmなので4mm幅広の22mm木口テープを使っています。

貼ってからその上を何か凸面の物で強くこすり接着力を高めます。(貼り直しは厳禁です。 やっても接着力は大幅に低下して簡単に剥がれます。)

このように木口テープの端が板の木端や木口からはみ出るようになればOKです。

はみ出た木口テープをカッターナイフでこのように切り落とします。 その後替刃式ヤスリ(M-20GP)で切り落とし面を慣らします。

更に#400サンドペーパー(私は空研ぎペーパーを使う。)で仕上げ研摩をして作業完了です。

3枚の本棚の板の木口テープ貼りが終わりました。 簡単に出来る作業ながら質感アップが大きいので、出来上がると特に嬉しくなります。

シリンダー錠のロック弁が収まる溝彫りをしました。 溝幅は3mm、深さは9mmで、単純に3mmストレートビットで彫りました。

その他全ての木部の塗装面は#400ペーパーで仕上げ研摩を施しいつでも塗装に入れるようにしていますが、改めて作業の様子をお見せするまでもないので、その様子は割愛します。

またLED照明器具の設計製作にも取り掛かりましたが、その様子は別テーマとしてお届けしますので、こちらからご覧下さい。



2014/01/24

製作 8

1ヶ月強LED電気スタンドの部分の製作で離れていましたが、机本体の製作作業を再開しました。 その最初の作業は棚板を左右に分ける仕切り板に棚板3枚を固定する作業です。 これは出来上がると『土』の字を逆さにしたような形になりその左右の端は机本体側板に固定され、土のてっぺんの部分は机の天板に固定されます。 机の側板に固定されると全部で接合部分が8ヶ所になりますが、それぞれの接合部分の接合精度が集積されるととんでもないいびつな物になる可能性がありますから、十分に慎重な作業が慣用です。 そのトラブルを少しでも回避するため、天板への固定は接着せず木ダボで締結するのみとし、天板の固定も仮止めとして全体のずれ具合を確認した上で最終的に固着します。

今週は『土』の字型の本棚の組立までですが、それらの様子は以下の写真をご覧下さい。

木ダボ結合の穴あけ開始。 板厚方向は深さ12mmとしましたが、電動ドリルアタッチメントを使い深さをコントロールしました。

1個所辺り3本の木ダボを使いますのでこのようになります。 尚縦の仕切り板は両面に木ダボを打ち込みますが、干渉しないよう双方とも10mmずらしてやります。

板厚と直角方向は22mmの深さで穴あけしました。 これで接合の準備が整いました。

先ず縦仕切り板と幅の狭い板を締結します。 そして45mmのネジで圧着保持しますが、直角接合ジグも併用し精度の高い接合としています。

次が幅の広い棚板を接合しますが、こちらは木工ボンドだけで接合し、直角接合ジグで接合精度を上げて固着させます。

幅広の棚のネジによる保持は斜め打ちによります。 このネジ穴は頭が見えてみっともないようですが、左上にシリンダー錠の溝が彫ってあるとこから引き出しが付くところで、ネジは完全に隠れる所ですので良しとします。

本棚のトップの棚板を接合しました。 ネジ位置にはご覧のような穴(8φ 10mm)があけてあり、ここに45mmのネジを締め込みます。

接着剤が硬化後に 穴に木工ボンドを垂らし込み8φの丸棒を叩き込んでノコギリで切断しました。  塗装前にヤスリで飛出ている丸棒を削って平らにします。

出来上がった『土』の字を逆さにしたような本棚のフレームを塗装が終わった机のトップボードと共に所定の位置に載せてみました。 ごく僅かなずれが見受けられますが、大きな狂いに発展してうまく組み立てられない!といったトラブルには繋がらないと思います。



2014/01/31

製作 9

骨格部分の最終組立をする前に12mm厚机の天板、机本体の左右の側板、そして先週組み立てた本棚のフレームが問題なく組み上がるか?、トリミングの必要性は?、トリミングが必要だとしたらその量は? などについて確認をする事にしました。  その為に骨格となる全部材を仮組みして突合せ部分の誤差の確認やトリミングの必要性の検討などをほぼ半日かけ念入りに調べました。

その結果として、調整やトリミングが必要な点は、1.机天板の前面の出っ張り(約1.5mm)を削り天板受けと段差が出ないようにする。 2.引出し部分の内寸が0.5〜1.0mm大きく、このために天板左側がその分だけ引っ込んで天板受けとの間に段差があるので天板受けと天板欠き込み部分を削って調整する。 3.左右の側板の高さを棚の高さに合わせる。 であることが判りました。

以上の修正・調整作業をした上で、本棚枠を右側板と天板に接合しました。 それらの様子は以下の写真でご覧下さい。

赤矢印が天板を受ける部材ですが、黄色矢印の天板前面は約1mm飛出ているので、目地払いビット(MB-12.7G)で削り段差を無くしました。

天板を仮固定(裏から25mmのネジで固定。)した上で、本棚のフレームが天板に乗る部分を木ダボで位置決めします。 3個の穴をあけてマーキングポンチを挿入しました。

その上に本棚のフレームを載せて位置を調整した上で上から押し付けてマーキングします。

マーキング個所に穴をあけて木ダボを差込み天板に挿入しました。 接着はしませんがこれで位置がずれる事はなくなります。

底板の高さを調整すべくジグソーで約1mm長く切断しました。 接合すると若干飛出ますが、目地払いビット(MB-12.7G)で後ほど段差を無くします。

天板受けの部材が若干長過ぎる(0.5〜1.0mm)ので、6mmのストレートビットで調整トリミングをしました。

天板が側板に被る部分(黄色矢印先の面)も0.5〜1.0mm削ってやりました。 これも6mmのストレートビットを使っています。

左側板を2本のネジで仮止めし調整トリミング後の確認中。 段差が無くなりどんぴしゃに収まります。

これで天板は仮固定から最終固定に変更します。 天板受け下側から20本のネジで締め付けました。

これは左側板固定の前準備ですが、ネジを埋め込んで隠すための8φ 10mmの穴を仕切り板内側の底に近い部分にあけました。 その後3mmの貫通穴を8φの穴の中にあけます。

← 右の側板に本棚フレームの右側の棚板2枚を固定する為の木ダボの穴(深さ11mm)をあけ、マーキングポンチで棚板にあける穴位置を印します。

マーキングした位置に穴(深さ21mm)をあけました。
この穴に木工ボンドを少し流し込み木ダボを完全に挿し込んでその頭に木工ボンドを塗り、左写真の穴に挿し込みます。



↓ 本棚フレームを接合後の圧着保持には自作中型クランプを2本使いました。 \1,000以下で作ったクランプで見事に圧着保持が出来るのは痛快そのものです。 そしてこのまま12時間寝かせて木工ボンドが完全硬化するのを待ちました。

さて左の側板を接合すれば主たる構造部分は接合完了となるのですが、左側板を接合するには一度に4ヶ所を接着しないとなりません。 そして圧着保持も確実にする必要があるので、4箇所それぞれをどのように扱うのかを確定しておかないとなりません。

先ず真中の締結部分はネジを8本使えるので圧着保持は万全です。 上部2箇所は本棚フレームとの結合で、ここは予め自作の中型クランプを分解して本棚枠に通しておいてこれで圧着保持します。 問題は引出しブロックの底に近いところに挿入する板です。 奥行が700mmある部分ですから自作の大型クランプも小さすぎて使えません。

そこで考えたのが上でちょっと触れたネジで圧着保持する方法です。 と言ってもまともに表側には打ちたくないので、机の内側の面でネジ打ちすることにします。

具体的に手順を申し上げると、引き出しブロックの底に近いところに入れる板(幅372mm、奥行550mm)は予め左側板に木ダボと木工ボンドで接合します。 圧着保持は中型クランプ2つで可能です。 そして左側板を机本体に接合する時に左側板に接合した板の反対側は、既に完成している机本体右2/3の仕切り板に接合します。 この接合の圧着保持にネジを使います。 但しネジの頭は埋め込んでその上に丸棒を挿し込んで隠す!ということになります。

この目的があったので、『左側板固定の前準備』なんていう妙な作業が上の写真の中に出てきたわけです。

ということで左側板の固定までの様子を以下の写真でご覧下さい。

左側板の内側底近くに引き出しブロックの底板を接着しました。 600mmバクマクランプ、自作中型クランプを使い完全な圧着保持をしながら直角接合ジグで接合精度を高めています。

その後左側板内側には3列(赤矢印先)の木ダボ穴をあけます。 そしてその穴にマーキングポンチを挿入し本体側に穴位置をマーキングしドリルで穴をあけます。

空色の矢印部分は既に接合が済んでいますが、黄色矢印は木ダボと接着剤で接合しバクマクランプと自作中型クランプで圧着保持を、赤矢印部分は木ダボと接着剤で接合後45mmのネジを締め込み圧着保持しました。

これで骨格部分がようやく完成いたしました。 早速ですが全ての引出しを装填してみました。 無論全く問題なく引出しの出し入れができます。 木工部分で一番難しいところが無事通過し、組み立て誤差も最少に収まったように思います。



2014/02/07

製作 10

さあ製作の峠は無事越えましたので残るサブの加工を粛々とやってゆくだけです。 ということで、背面板底部(厚さ9mmのシナ合板)の貼り付け、机が床面に当る部分にクッションを貼り付ける、天板背面の受け板貼り付け、仕切り板底部のネジ穴を8φ丸棒で埋める、その頭と本棚天板の丸棒の頭をヤスリで削り落とす、本体側板トップを本棚天板と同一面になるよう目地払いビット(MB-12.7G)で削る、キーボード用引出しの最終加工・レールの取り付け、引出しの前板仮止め、引き出しの取っ手仮止め、鍵付き引出しのレール貼り付け、本棚裏板(4mmシナ合板)のネジ穴あけとマスキングテープによる養生、全面的な仕上げ研摩、ということになります。

それらの様子は以下の写真をご覧下さい。

左側板の面に背板を固定する桟(10 x 10mm)を木工ボンドで貼り付け細い釘で固定しました。

背板を固定する細い釘を予め打ち込みました。 その打ち込み先の桟や木端、木口に木工ボンドを塗りつけます。



↑ 赤い線に沿って細い釘を約80mm感覚で打ち込んで固定し、黄色部分に桟を外から木工ボンドで接着して右横から釘を打って固定後、内側(向こう側)から細い釘で固定しています。 これで机の横揺れは発生しなくなります。

← 次に机を90度回転させ底に打っていた撓み防止の桟を全て外し、机の側板と仕切り板の底面に分厚いフェルトを切って貼り付け、傷防止としました。



↑ 天板後側の下に受け板を接着します。 こうすることでこの上に本棚背面板を貼り付けて釘、またはネジ止めできる部分が確保され、天板自身も補強されます。


仕切り板内側にはネジを埋め込んだ8φの穴があいています。 ここに木工ボンドを塗って8φ丸棒を叩き込みノコギリで掃う様に切断します。

切断した後は僅かに出っ張ります。 接着剤が完全乾燥してからカンナで出っ張りを削り落としヤスリで均します。

同じような8φ丸棒の出っ張りが本棚天にもあります。 こちらはカンナを使うとシナ合板の突き板部分を削ってしまいやすいのでヤスリ(M-20GP)のみで平らにします。

ヤスリで削り落とした後に#400サンドペーパーで仕上げ研摩しました。 指で触っても段差はありません。

机本体の側板トップも僅かに飛出たままです。 これを傘付き目地払いビット(MB-12.7G)で削ります。

MB-12.7Gは一度に15mm幅しか削れませんので、先ずコロが天板に当る位置にセットして削ります。

MB-12.7Gを更に5mm深くセットしなおして次の切削をします。 こうすると境目にごく僅かな段差が残りますのでヤスリで削って仕上ます。

次はキーボードテーブルの加工です。 板幅の設計寸法は942mmで、その寸法で切断しておいたのですが、電動トリマーで1mm削り取って最終としました。 また長さ150mm、幅22mmの切り欠きを施しました。

最上段の二つの引き出しを抜いてキーボードテーブルに入れ替えました。

キーボードテーブルを引き出した状態。 キーボード、マウス何れも十分な操作スペースがあります。 優真君はサウスポーですので、左右が反対になるようにしています。

キーボードテーブルに前板を接着しました。 木ダボを7本使い木工ボンドで接着ですが、ご覧のようないささかオーバーに見える圧着保持をしています。

次に全引出しの前板接着です。 貼り付け位置は微妙に調整しないとなりませんので、先ずネジ二本で裏から止め、位置関係を調整後木工ボンドで接着しネジで圧着保持します。引き出し間は隙間が無さ過ぎになっているので、後ほどトリマーで調整します。

引出し前板の取り付けが全て終わったので、引出しの構成の変化のデモンストレーションです。 左はスタート時点で引き出しは合計で6個あります。(鍵付き引き出しはまだ付いていないが。) 右は上部の2個の引き出しを外してキーボードテーブルに入れ替えた時で、パソコンの学習机への導入が無ければ左のままもあり得ます。

鍵付き引出しの取り付けは木製レールを木工ボンドとネジで取り付けることによります。 引出しの上には約1mmの隙間が出るように取り付けています。 もっと隙間を少なくした方が格好良いのですが、上の棚にぎっしり本が載ると撓んで中央部分が引き出しに擦れ出すので、1mmとしています。

残る作業は机の天板周りの飾り縁の固定、本棚トップのR加工、上半分の背板の準備、仕上げ研摩、そして塗装です。 塗装時には取っ手は一旦外し個別に塗装します。 背板は塗装後に取り付けます。 それらは次回に御紹介します。



2014/02/14

製作 11

残る僅かな木工作業を済ませ全面的に仕上げ研摩を施した上で塗装作業に入りました。 その塗装作業ですが大変悩んだのは着色作業です。 冒頭でお話したように椅子は私は作らず完成品を求めてこれに合わせることにしていましたが、手持ちのポアステインで似たような色というとチーク色に白を加えて水で1.5倍に希釈し1回塗りとした淡い色を候補に考えました。 水で薄めた着色は経年変化で木の下地が茶褐色系に変色しやすい傾向にあり、水ではなくて白で薄めた色(液が水っぽくない)の方が紫外線に対するフィルター効果で変色を抑えやすいと考えたからです。

そのような考え方での塗装作業とその前の最後の木工作業の様子は以下の写真をご覧下さい。

← 机の3面に貼り付ける飾りぶちの化粧加工です。 中央左上に見える板と2本のバクマクランプで2つの工作台を連結し全長を1200mmにしています。 左下が削り始めで、約250mmほど離れた所をクランプで固定しています。 使用するビットはボーズ面ビット(BZ-25G)で、別な板でテスト切削し刃先位置の調整を済ませておきます。



↑ 約200mm程度を切削し終わりました。 使用した米栂材はいきなり切削量を大きくするとパーンと割れることがあるので、一度の切削量を約1〜1.5mm程度に抑えて切削しました。 従って3回くらい同じ場所を切削することになるので、トリマーの台座が浮き上がらないようにしないと、段差の発生や切削面の波打ちを起こしやすいので要注意です。


クランプの位置を既に切削し終わった板の端に移動して、右上のクランプのところまで(端から約900mm)一気に削ります。

これが削り終わったところですが、同様にクランプの位置を変えながら全長1820mmを削ってやります。 切削の?ぎ目部分は特に注意して作業しないとなりません。

原材料幅は45mmでしたが33mm幅(設計値は30mmだったが原物合わせで変更した。)に電動ジグソーで切断しました。

 電動ジグソーでは直線性が良くないので、0.5〜1.0mm幅広に切断しカンナで削って33mm±0.1mmとしています。

ジグソーでの切断面を再びボーズ面ビットで先ほどと同様の方法で切削しました。

木口のクローズアップですがかまぼこの様な切断面になりました。 この後所定長さにて45度切断加工に進みます。

90度切削ビット(VB-90G)で12mm厚の板に対し12mmの深さで切削する調整をしています。 切削速度を上げられないので焼け跡がありますが、接着してしまうので問題はありません。

左の切削した板を曲げるとこのとおり。 正確な直角になります。 念には念を入れてこの調整は十分にやらないと良好な結果を生みません。

さて本番ですが、切削部分の裏側にはマスキングテープを平面部分に貼って切削後の板がバラバラにならないようにします。

細い棒をガードとして挟んで切削しました。 こガイド幅を電動トリマー台座幅とし両方向から切削して中央で止めて、切り終わり部分で板が裂け易いのを防止しています。

90度切削が終わった3枚の部材を隠し釘と木工ボンドで固定しました。 この部分はダーク調に着色しますので、釘穴は目立たないと思います。 机の骨格組立が最も難易度の高い作業でしたが、この飾り縁貼り付けもその後の作業の中では難易度の高い所ですのでほっとしています。

角の突合せ部分です。 木工ボンドが完全硬化後に角を丸く研摩して怪我の防止とします。

最後の切削作業は本棚トップの角をボーズ面ビット(BZ-25G)で丸める作業です。 これによりぶつかって大きな怪我に繋がる角などは無くなりました。

木工作業の最後は裏板の準備です。 一旦仮釘にて貼り付けてやりますが、前面から本棚の全ての入り隅部分をシャープペンでなぞり貼り付け位置とそうでない部分の境を明確にしておきます。

そして背板を剥がして線の中央にマスキングテープを貼ります。 貼り付け面は18mmでマスキングテープ幅が15mmですから都合の良い接着面が出来上がります。

← この写真の2つ上の机の角にある飾り縁はそのままでは尖っていて危険です。 そこでヤスリで丸く研摩しました。 電動トリマーにボーズ面ビットを付けて切削すれば簡単ですが、栂材のパキーンと割れが出やすいのが怖いので手研摩としました。 残る塗装前の作業は仕上げ研摩です。 改めてお見せするような作業ではありませんので写真は省略します。

これで木工作業は全て終わりましたが11/8に製作を開始し、間にLED照明器具の製作で36日間のブランクがあり、正味の木工作業日数は65日です。 私の製作速度の中では極めて遅い部類に入りますが、失敗が許されない!(どんなことがあっても3月半ばに納められなかったら意味がない。)ので、各作業では何度も確認しながら進めたのと作業法に速度よりも安全性の高い方法を優先して、失敗しての作り直しを避けたためです。

次回は塗装作業の様子をお伝えします。


2014/02/21

塗装作業

塗装作業は着色後に水性ウレタンニス透明クリヤー2回塗り、水性ウレタンニス艶消しクリヤー1回塗りの標準コースですが、着色に関してはかなりの時間を費やして色出しをしました。 というのは完成品を購入する椅子の色に合わせるという条件を付けていたためです。 結果から言うと丸2日かけて色の調合に腐心した次第で、基準の色はチーク色1に対し白を2としてそれを水で2倍に薄めます。 但しそれでは赤みと黄みが足らないので、赤みの増強としてはマホガニーブラウンを、黄みの増強にゴールデンイェローを少量追加しています。

また着色は1回塗りで済ませることにしました。 これは着色斑の点では不利になりやすいですが着色面積が大きいですから1回で済ませるか数回着色するかは結構所用時間に影響します。

ということで以下の写真で作業の様子をご覧下さい。



↑ 購入した木製の椅子の色に机本体の色を合わせるため、集成材の端材に混合したステインと水性ウレタンニス透明クリヤーを塗って調整中。 左下の白っぽい大きな板は無着色の集成材で中央右上の黄色の枠内がOKとした色。 チーク色1に白2が基本色で、微量の(数cc)マホガニーブラウンとゴールデンイェローで色味を調整した。

ご覧のとおりほんの少し椅子よりも明るめだが径時変化で明るさが減少傾向になるのを見越したつもり。

← 原材料と着色サンプルだけの比較写真。 右下がOKとした色でその左に対しゴールデンイェローを全量500ccに対し2cc程追加した。 微量の追加だがあきらかに色味が変化する。

尚木目は潰れてしまう事はないが目立ちにくくなる傾向にあり、如何にも集成材然とした感じが薄まるのではと期待しています。


500cc強作ったポアステイン。 白1、チーク2、少量のマホガニーブラウンとゴールデンイェローを混合し水で2倍に薄めでいます。

本棚の内側全てと木端前面を着色しました。 側面の方にステインが回りこまないようマスキングテープで覆っています。

引き出しから外した取っ手は木の棒にM4 50mmを介して片止めし、内側と外側を一度に着色しました。

マスキングテープで接着部分を覆った裏板は最も大きな面積を占める本体の色と同じにします。

本体の左側側板と机の下の右側の内部の面、それと背面の内側を着色する為右面を下にして回転しました。(矢印先が着色面です。)

引出し前板着色の準備。 引出しの運ぶ分は無着色、無塗装なので、マスキングテープで覆ってやります。

着色の終わった引き出しを完全乾燥のために積み重ねています。

本体左面の着色は完全に乾燥しましたので、今度は右面の着色です。 この写真では見えませんが足元の左面内側も着色します。 ご覧のように所狭しといった感じでひっくり返さないよう要注意です。

右面の着色が完全乾燥しましたので飾り縁のマスキングテープを貼りなおしてこの部分の着色をしました。 ステインの色はオーク色を水で2倍に薄めたものです。 米栂はステインを良く吸い込むせいか2回塗りでこんなに濃度が上がりました。 これでも机の天板より若干明るい色になると思います。

最後にキーボードテーブルの着色ですが、米栂に較べると着色濃度が上がりません。 左は1回目で右が3回着色後です。  このキーボードテーブルは飾り縁の近くになりますから最終的には4階塗りとしてOKとしました。

夜が明けてこれから引越しでもしそうな雰囲気ですが、いよいよ水性ウレタンニスを塗ります。 予定は透明クリヤーを2回、艶消しクリヤーを1回ですが、塗料の吸い込み具合によって透明クリヤーを3回塗りとする部分も出てきます。

全て1回塗るたびに#400で研摩して次の塗装をしますが、木製取っ手は凸面、凹面だらけなので、スポンジ研磨剤(極細目)を使いました。

引き出し前板両端は丸く成形されていますので、ここでもスポンジ研磨剤(極細目)を使っています。 その他は空研ぎペーパー(#400)をハンドサンダーの取り付けて研摩しています。

一部残っていた透明クリヤーの2回目の塗装を済まし水性ウレタンニス艶消しクリヤーの塗装が終了しました。 但しひっくり返した時にもろに圧力が掛かる飾り縁の部分だけは生地のままにしています。 12cmも積もった雪の反射で普段とは日の差し方が全く違って見えます。

最後の艶消しクリヤーが完全乾燥後LED電気スタンドの最終的な取り付け配線を済ませました。 これは消灯状態でLEDハウジングアームが棚下に収まっています。

LEDハウジングアームを手前に引き出すと点灯します。 光量調整は矢印先のトグルスイッチを上に倒せが光量大で、下に倒せば光量は半分に低下します。

完成した学習机の全景です。 運び出しをするまで約2週間は塗装の完全乾燥のために寝かしたいのとLED電気スタンドの連続試験運転に費やします。 従って3月の雛祭りの後に納入となるでしょうか。


----- 完 -----


 
  
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