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90度接合ジグ
   
2003/12/23

構想

 日曜大工において板と板を直角に接合する状況は大変多いのですがその多くは芋継ぎとも呼ばれ
 る接合法であり、板の切断面が90度になっていさえすれば圧着保持にネジや釘を使ったりクランプ
 など圧着保持具を使うことも出来るので比較的容易に精度の高い接合が出来ます。(左の図上)

 但し接合面を45度に切断して突き合わせる場合には、ネジで固定したりクランプで締めることも難し
 くそれようのジグがどうしても必要になります。(左の図下)

 その為の道具として特殊サイズの額縁を作る際に左の写真
 のようなジグを購入しました。 記憶では1個\800.-位であ
 ったと思います。

 ところがこれが大変曲者で、うまく正確に直角接合が出来な
 いのです。  そのために額縁作りは大変難航し、このジグ
 をだましだまし使い何とか製作を完了させた苦い思い出が
 あります。
 その原因を詳しく分析すると以下の通りです。

まず手元の端材をジグを使い45度に切断しました。 この自作45度切断ジグはなかなか高精度で切断できます。

そして直角接合ジグに材料を固定しましたが、ご覧の通り直角が出ませんし、接合面先端は開いてしまいます。

だましだまし使う方法として有効だったビニールテープ4枚重ねによる調整をしたところです。

こうしてからもう一度材料を取り付ければご覧の通り正確な直角になります。

その原因分析1。 角の所から10cmも離れていないのに隙間が1mm以上出ています。 計算してみると角度は89.3度でした。 これは完全に失格です。

原因分析2。 固定される材料が当たる面。 このように複雑な曲面でかなりうねっています。

原因分析2。 また材料を当てる面は垂直に立っていません。 見ただけで傾いているのが判ります。

その結果として材料を抑えるクランプを締めこんでもこのようにへんてこりんな隙間が出来てしまいます。

正しく直角に接合できない理由は原因分析1が最も大きく影響しますが、原因分析2や原因分析3は材料が捻れて固定される原因になります。 ようは、このジグはだましだまし使って直角は出せても捩れの問題は簡単に直せませんので、全体を研磨修整するしかない欠陥品なのです。

こんないいかげんな商品ですが、ブリスターパックに包まれていた為購入時に確認する事も出来ませんでした。 そしてその後mini-Shopを開店して以来幾つかの同じようなジグをテストしたのですが、大同小異でした。  いずれもとても責任をもって販売できる商品ではありませんでした。  数円円出せば安心して使えるものもありますが、出来れば4個欲しいこの手のジグに1万円以上の費用負担ちうのは納得できませんでした。

次から次へと45度切断の突合せ接合を使ったテーマが出てきますので、それじゃあ自作だ!!とばかりに上記のいかげんな物に比べたら遥かに精度が高くて安く作れる(端材利用であれば只!)ジグを作ろうというのが今回の目的です。


設計

 左は構想設計図とも言うべき段階ですが、このまま作って問題なく使えると思います。
 材料は総て18mm合板で色分けしたのはそれぞれの部材の形が判りやすいようにするためです。
 とても簡単な構造ですからこの図を見ただけで製作は可能だと思います。

 このジグの命は撓みが生じないことにあります。 18mm合板を使うのはその撓みが極小になることを考
 えているからですが、更にそれを強化する為補強板(図ではピンク色とオレンジ色の部分)を追加していま
 す。 
 直角を出す生命線はL字型に組んだ部分ですが、ここは格好良い箱を作る方法で解説したソーガイドを使
 って斜め45度に切断する方法で作れば、大変精度の良いものが出来上がります。(板が厚いので電動ト
 リマーでV溝切削する方法は使えません。)


そのL字型の部分は角を落としてありますが、これは実際に使うときに接合部からはみ出た木工ボンドを拭き取る必要が生じる為に落としてあります。

ところで寸法図中、円内の部分を拡大すると右のようになっています。
これは接着した根元から木工ボンドがはみ出ていたり、ゴミが詰まったりすると、直角接合する材料を当てたときに密着度が落ちてしまうのを防止するための溝
です。 この部分は組み立て前にトリマーで加工して彫っておく必要があります。

 実際にこのジグで直角接合をする際のイメージは左の
 ようになります。 薄い青で描かれたのが直角に接合さ
 れる材料です。 木工ボンドなどで接着される部分は全
 く覆われませんから、はみ出た接着剤を拭き取る事が
 出来ますし、接着部分が硬化後更に横から釘を打つの
 も可能、更に予め横溝ビットで彫りこんだ部分に補強の
 板を挿しこむことも可能です。

 尚このジグでは材料を固定するのにクランプで青矢印部分を挟む事にしました。

蝶ボルトと爪付きナットを使って45度切断ジグの時と同じ方法で材料を固定しても良いのですが、クランプ利用の方が材料の幅に対する自由度が上がるのと、何しろ製作が簡単になることからこのような構造にしました。



2005/01/13

製作

作業時間や加工点数が多いわけではないので百聞は一見にしかず! 以下の一連の写真とその解説を読んでください。
但し構想の最後に半日で出来る!と申し上げましたが、トータルの実作業時間はその程度ですが、接着剤の乾燥時間が入ると完成までに2日間かかります。
(L型の部分の接着は完全硬化まで寝かせる必要がありますが、木工ボンドは20℃でも完全硬化まで12時間と言われており、気温の低い今は更に時間が掛かるためです。)

この作品で絶対に妥協を許さない加工部分は2ヶ所あります。 第一はL型に組む部材の直角度で、曲尺を当てて隙間が全く出ないようにする必要があります。 私の使っている曲尺mini-Shopで販売しているShinwa #10640)の直角度に関するメーカー保証値は500mm0.5mm以内ですから、隙間が全くでないように追い込めば角度の誤差は0.1度以下になります。 これを実現するには正確に45度に切断した2枚を突き合わせて接着しないとなりません。 気楽に直角に切断した板2枚を貼り合せてもよさそうな感じがしますが、接合部分の段差が問題になりますし、圧着保持がしにくく(後の加工を考えるとネジ釘を使えない)精度が出ないと思います。  45度切断はソーガイドを微調整しながら切断する必要がありますが、こちらを参考にしてください。

もうひとつはL型に組む板が台に接着される面の直角度です。 これはL型に組む板を切り出した後切り口をカンナで整形することにより直線性と共に直角出しをするか、(この方法についてはこちらの最後のほうに詳しく解説してあります。)ソーガイドを調整しての正確な直角切断をする必要があります。

以上2点を適当に済ませてしまうと冒頭に述べた市販のいいかげんなものと同じになってしまい意味がなくなりますのでご注意ください。 それ以外の寸法は変更されても特に問題はありません。 私は18mmの合板の端材が沢山あるためそれらを使いましたが、15mmでも問題ないと思います。12mmだと少々強度に心配があり精度に影響しそうです。)

また難易度には関係ありませんが温度が高いと木工ボンドの硬化速度が上がるからといってストーブのそばで過熱するのは絶対に避けましょう。 木工ボンドは温度が高すぎると軟化して剥がれてしまうからです。

部材寸法図ですが画像をクリックすると拡大画像が見れます。

私は設計図どおりのものを4個と30mm長くしたものを2個作りましたが、これが全部材です。 L型を組む部分は接着に時間が掛かるので既に切り出してあります。

台となる部分を板に線引きした状態。 上の図面と比較してください。

L型に組む板。 ソーガイドを使って正確な45度に角を切断しますが、その詳しいやり方はこちらを参考にしてください。

45度に切断した部分をぴったりと突き合わせて20mm幅のマスキングテープを貼ります。 上のほうはそれをひっくり返したものです。

そして木工ボンドを塗り貼り合せてゴムバンドで軽い圧着力をかけます。 曲尺で正確な直角が出ていることを十分に確認してください。 出ていなかったらこの部材の切り出しからやり直しになります。 この後なるべく気温の高いところで15時間程寝かせます。(ストーブのそばで過熱するのは不可!)

念のために直角度を曲尺でチェック。 この通り目視により判る隙間はありません。 ということは角度で誤差は0.1度以内ということです。

再度お見せしますがいいかげんな市販品。 左手のほうに明らかに隙間があり、隙間の量から計算した角度は89.3度とマイナス0.7度の誤差です。

台座と補強の三角板を切り出しました。 これらの切断は寸法精度、直線性、直角度いずれもジグの精度に影響しないので気楽に作業できます。 (註: 後述しますが最終的に補強の三角板は使いませんでした。 その分加工は楽になります。)

電動トリマーに2.5mmのビットを取り付けて深さ2mmの溝を彫りました。 これも加工精度は特に問題なくトリマーがなければ彫刻刀で幅、深さがおおよそ2-3mmになるよう彫ればよいでしょう。

溝を彫り終わった台座はこんな感じですが、この面が上になります。

L字型部材が台座に接着される外側2面の角をカンナで2-3mm削り落とします。 設計段階では斜めカットではありませんが、この方が簡単で実用上の問題もありません。

L字型部材を台座に固定するのは木工ボンドですが、横方向のずれに対する補強と圧着保持を兼ねて隠し釘45mmを使いました。 隠し釘を使う意味はもうひとつあり先端を1-2mm出しておくことにより、接着位置が正確に定められます。

左の写真の赤枠内のクローズアップ。 隠し釘の先端がこのように出ていますが、接着位置を調整後ぐっと押し付けると先端が台座に食い込み、木工ボンドによる接着でよくある「ぬるっと横に滑って位置がずれる」ことがなくなります。

接着時の位置合わせは矢印先の部分に注意を注ぎます。

真横から見るとこんな風になればよいです。

最終的な形にかなり近くなりました。 なお隠し釘は5時間程度経過してから頭を横から払うように叩けば頭がポロリと折れます。 接着剤が硬化する前に頭を落としてしまうと、圧着保持の意味がなくなります。

接着したL型の角は図の灰色斜線部分を切り落とします。 L型の部材を接着する前に切断したほうが楽ですが、それでは直角接着部分の面積が小さくなり、90度を維持しながら台板に固定できなる心配があるのでこうしています。

 
片手引きの切断は精度が狂いやすいですが、少し外側を切り落としてから粗目ヤスリと替刃式ヤスリで成形します。

全ての切断が終わりました。 後は好きなように角の成形などをすればよいでしょう。 無論塗装の必要無しです。

冒頭でお見せした自作45度切断ジグで切った板を早速固定してみました。 左の写真は固定方法その1で上下をクランプで挟んだ場合です。 右の写真はクランプで横方向を挟んだ場合。 どちらが良いかは状況によりますし両方を併用する場合もあるでしょう。 いずれにしても合わせ目に隙間は発生しておりませんので、自作45度切断ジグで高精度の切断が出来ることが証明されたことにもなり、一安心しました。

左はL字型部材の角を落とした部分のアップ。 ここの切り落としは結構面倒な加工だったのですが、実際に使うとき角を落としたために隙間が出来ますので、はみ出た接着剤を拭き取ることが出来ます。(右の赤矢印) また接合部の先端は露出していますからここに補強の釘や溝を彫って板を挟む等の付帯作業をすることも可能です。(右の黄色矢印)

 完成した6組のジグ。 端材だけで作りましたから費用は隠し釘代程度のみ。 これで小さい(1辺60cm前後まで?)枠で
 あれば四隅をいっぺんに、大きなものでも2回に分けて接合が出来るでしょう。 勿論市販品より遥かに高い直角精度が
 出ます。

補 足

補強用の三角板は使うのを止めました。 その理由はクランプで挟むときに邪魔になることと補強板無しで十分な強度が取れていると考えたからですが、強度については別に測定したわけではないので、しばらく使った後で必要とあらば裏からネジ止めすることや隅の所だけに補強の板を貼る事を考えています。

更にL字型に組んだ部分の幅は50mmで設計しましたが、上記の2番目のクランプの使い方(材料を横方向で挟む)をすると50mmクランプは懐寸法が小さいため使えないことが判りました。 但しジグの板厚が18mmありますから50mmクランプで挟める材料は30mm以下なので実際には75mmクランプの出番のほうが多いかもしれません。 それと1番目のクランプの使い方(上下に材料を挟む)であればこの問題は解決しますので、暫し実際に使ってみてから判断したいと思います。

完成したジグを利用した色々な90度接合を使った作品を近いうちに紹介したいと考えています。 (構想だけで中断しているLPアルバム用額縁もそのひとつです。)  日曜大工の習熟度には関係なくこのジグがあると製作できるものの範囲が一回り大きくなります。 製作難易度は低いので是非とも端材を利用して製作し常備の道具に加えていただきたいと思います。

----- 完 -----


 
  
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