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格好良い箱を作る方法
2005/12/15

格好良い箱を作る方法

 最近数多くのトリマービットを試用する機会が増えています。 本数で言うと50
 以上になります。  その大きな理由はmini-Shopでの扱いの候補となったトリマ
 ービットで、私の方針として事前に確認しない限り販売しない為です。
 そこで30本以上のトリマービットを保管できるような箱を作らねばと思い立ちまし
 た。

 更に手芸などを趣味とする家内に細かな材料などを保管できるかわいい箱を作っ
 てやろうかな? とほぼ同じ時期に格好の良い二つの箱を作ろうとの構想を持ちま
 した。

 何が格好良い部分かと言うと箱を作
 る最も簡単な方法は上の図のように
 4つの角を総てイモ接ぎにしてしまう方法ですが、その4つの角を総て45度に切断して接合すると箱の周りの木口の部分が見えなくなります。(右の図参照)

これだけで想像以上に格好良くなり、今回作ろうとしているテーマを始め宝石箱、
オルゴールの箱、大事な小物を入れる箱などには最適です。

これを実現できる製作方法としては電動トリマーを使う方法と、ソーガイド併用の手引きノコギリ切断による方法の二つがありますので、トリマー収納ボックスと家内にプレゼントする箱をそれぞれの方法で製作し紹介しようと考えています。



格好良い箱の構造について

格好良い小箱を作る基本構造についてもう少し触れておきます。 但しプロの作り方のまねをするのではなくあくまでもアマチュア的な方法として進めますのでそのつもりでお聞きください。

 先ずロの字型になる箱の枠の部分ですが先週申し上げたようにアマチュア的に最
 も簡単に実現できる構造は左の図の通りでこれをどうやって作るかは後ほど詳しく
 説明しますが、この方法以外で比較的簡単に且つ格好良く作る方法はありませ
 ん。

 さて問題は上板と底板をどのように固定するかです。
 格好良く作る!との意味があいまいなのですが、ここで
 は木材と木材の継ぎ目が目立たない或いは判らなくなる
 作り方としておきます。 従って継ぎ目をそのように見せる
 (見せない!と言った方がよいかな?)構造上の工夫が
 必要です。

 右の図をクリックしてください。 箱の横断面が左の図のよ
うになる箱の底板と上板を取り付け方には3通りあります。

1番目の方法は上板、底板共に箱の内側に取り付けるタイプで、そのバリエーションとしてはこちらのようなものが考えられますが、組み立て精度を上げるのは何れも極めて困難です。 よって今回は検討外とします。

2番目の方法は上板は上から当てて底板は内側に嵌め込む方法です。 そのバリエーションこちらですが、バリエーション1はやはり底板の嵌め込み精度が高くて製作困難なものの、バリエーション2バリエーション3はかなり容易に作れます。 バリエーション3は電動トリマー無しで作る場合に容易です。

3番目の方法は上板、底板共に外側から当てて取り付ける方法でそのバリエーションこちらですが、製作は以外に簡単に出来ます。 例えば箱の底板部分も上板部分と同じように見せたい場合(例えばアタッシュケースのようなスタイルの箱としたい場合)には採用する価値があります。  ここでも上板や底板を薄くすると電動トリマー無しでの製作が容易になります。

ここでの結論としてはアマチュア用には2番目と3番目の上板、底板の取り付け方が作りやすいということになります。 どちらを選ぶかは箱の底の面を見せるかどうかによります。

 次にお話したいのは作業手順です。 ロの字型の枠を作って上板と底板を貼った後どのように作業を進
 めるかがポイントで、2番目の方法を基に説明します。 左の図をクリックして参照ください。

 上板と底板を貼った後の最初の作業は上板と箱の接着
 部分の成形です。 塗装前のペーパー掛けは後でやって
 も良いですが、蓋部分の切り離し後に成形をするのは作
 業がしにくくなります。

 電動ドリマーを使えれば複雑な形に成形できますが、上
 板が薄ければカンナとヤスリを使った手加工でも単純に
 丸めたり45度に落とすのは容易に出来ます。

 目標として大事なのは上板と箱の継ぎ目が角になるよう
 にしてしまうことで、これにより継ぎ目が目立たなくなりま
 す。  その一例は右の写真をご覧下さい。

これはトリマーで成形後の拡大写真で上板の厚みは5mmしかありません。 矢印の先の横の線が継ぎ目ですが拡大したから見えるものの、実際にはペーパーで仕上げて着色、塗装するとまず判らなくなります。 そのトリマーによる加工法は次で詳しく説明します。

次に蓋と本体の切り離し加工をします。 この切断は目の細かな手引きノコギリで慎重に進める必要がありますが、蓋と箱を別々に作るよりも精度の高い物が作れます。 切り離しが完了したら蓋が閉まるよう内側の板を貼り付けます。

3番目の方法を採用した場合は底板も上板と同様の仕上をすればよいわけです。


角の成形について

 2番目と3番目の組み立て方法の図をご覧頂くと上板(3番目の場合は底板も)が箱の枠部分より僅かに
 大きく描いてあります。 その理由は枠よりも少し(1-2mm)大きめ上板や底板を切り出し、角の成形の
 際に出っ張り部分を落としてしまおうという魂胆にあります。

 ここで使うビットはコロ付きのボーズ、サジ、角面などが使えますが、コロが箱の枠面から浮き上がらな
 いよう気をつけて成形すれば見事に出っ張りがなくなります。 作業難易度は高くありません。
 そしてビットの高さを調整すると接合部分が角になるようにできて目的を達成できます。

その様子は上の図をご覧頂くと理解しやすいでしょう。 尚上板が枠の面より小さくなると角の成形の自由度はかなり狭まりギンナン面や両断サジ面しか使えなくなりしかも格好はあまり良くないと思います。

電動トリマー無しで角の成形をする場合には上板が薄い方が成形上の乱れが目立たなくなります。 多分5mm厚くらいまでがやりやすい範囲だと思います。


底板固定法のカラクリ

2番目の組み立て方のバリエーション2の図を良く見ると、底板は枠の内側に溝を彫ってそこに落とし込む方法を取っています。 そして底板と溝の間には隙間があるように描いてあります。 この隙間が容易に組み立てる為のカラクリです。 例えば箱の枠の内寸が200mmだとしましょう。 そして底板は5mm厚、枠の内面に彫る溝は幅5mm深さ5mmとしておきます。 この時底板の寸法は両方の溝の底の距離である210mmよりも2mm短い208mmで切断します。 こうする事により底板の切断誤差が若干あっても2mmの隙間に吸収されて組み立て精度には全く影響しませんし、ここで出来る隙間は目に見えません。 実際には底板を嵌め込む時にほんの少しの木工ボンドを溝に入れればがたつきも全く生じません。 精度を気にしなくても精度高く作れる秘密がここにあります。

電動トリマー無しで作る場合には、箱の枠そのものを薄板貼り合わせで作りその過程で溝を作ってしまい溝を作ってやることが出来ます。 また底板を現物合せで切り出して桟を打ち付けておいてそこに貼り付けるという手が考えられます。

以上が加工精度にきりきり舞しなくてもピターッとキマッター!!と言えるような箱の作り方の数々のノウハウの一部です。 総ての方法を説明するには膨大な量になるので、他の方法は工夫してみてください。



箱作りの練習加工 その1

手引き鋸で作れるとは言っても結構難易度は高く本番に入る前に45度切断と接合の練習をしたほうが良いので、今週はその様子についてお伝えします。 これがきちんと加工できるようにならないとまともな箱は絶対に作れないからです。

手引き鋸で45度に板を切断する方法としてはソーガイドの併用が多分精度が出しやすいと思います。 多分と書いたのは理論的にはソーガイドはそのような高精度の切断が出来るはずですが、45度切断はまだ確認した事がなかったからで、その検証実験にもなりました。  そして結果としては全く問題ない切断が可能でしたが、その為にはソーガイドのガイド板の固定位置の調整が必要でした。 ただ漫然とガイド板を固定しても多分結果は良くないと思います。 その方法は写真にて後述します。

45度切断後にその部分を突き合わせて接合せねばなりませんが、その方法は実に簡単な方法で実現できます。 特殊なクランプも不要で、幅の広いマスキングテープがあれば良いのです。 これも後ほどの写真をご覧になったほうが理解が早いと思います。 ということで百聞は一見にしかず! 以下の写真と説明をご覧下さい。

ソーガイドのガイド板はこのように固定します。 微調整をしないと正確な切断は出来ませんが、それはとりあえず切って組み立ててからやります。

60mm幅、厚さ12mmMDFで試し切り開始です。 MDFを使ったのは切り口の写真が見やすいと考えたからで本番ではムク板かシナ合板を使います。

切断が終った所。 ここで注意して欲しいのは傷が付いても構わない板の上に載せてきっていることで、下の板にも若干切り込む事になりますが、こうしないと肝心な材料の切り終わりの部分が欠ける心配があります。

切り落とした板を取り除きました。 下敷きの板に薄っすらと切り込み線が入っている事が判ります。

切断後そーっとソーガイドと切断した材料を持ち上げました。 このクサビ状に尖った部分が45度になっていれば完璧なのですが、分度器で測った程度の精度では確認できません。

それと切断後のこの直角度も大変重要です。 この直角度が出ていれば先に進みますが、出ていなかったらソーガイドの台座の固定ネジ4本を緩めて調整し再切断する必要があります。

いよいよ突合せ接合です。切断した傾斜面を下にしてこのように2枚の板を突き合わせます。 薄っすらと隙間の線が見えていますが、実際には線が見えなくなるよう突き合わせた方が良いです。 それと前述の直角が出ていないと赤矢印の先の線が直線になりません。

そして突合せ部分の上から幅の広いマスキングテープを貼って繋げます。 斜めに切り落とされた下の面との具合をご覧下さい。 

マスキングテープで繋いだ板をそーっと裏返します。

そしてV字状の切断面に木工ボンドを塗ります。 この写真のボンドの量は多すぎでもっと薄く塗った方が良いです。

そして板を折り曲げて貼り合せます。 密着度を上げるためゴムバンドで締めていますが、本番ではそのような必要もありません。

木工ボンド硬化後にマスキングテープを剥がしました。
見事に突き合わせ接合が出来ていますが?

こうして見ると先がほんの僅か開いています。 また直角ではなく90度より僅かに大きくなっています。 理想は90度より本の僅か小さい方がよいです。

その為にはソーガイドのこのネジを緩めて(反対側も含め合計4本あります。)締め付けるときの角度を調整し再び切断のテストをし接着して確認する必要があります。


以上の方法で接合した部分の接着力はクランプなどで圧着保持をしなかったにも拘らず、想像以上に強力です。 それは切断面がフラットになっているためマスキングテープでの押さえだけで密着度がかなり上がる事によります。

尚45度切断が正確に出来たかどうかを分度器などで測っても判らないと申し上げたのは、僅かの狂いでも接合後にその誤差が2倍になるからで、上記の試作品を測定した所、角から220mm離れた所で4mm外側に開いていました。 これから角度を計算すると90.3度ということになります。 接合前は半分の45.15度ですから、分度器などではとても測定できないわけです。

また写真中のコメントで、接合後90度より僅かに小さい方が良い!と申し上げたのは、この接合を4回繰り返して四角い枠にするのですが、90度より大きいと最後の所で接合できなくなってしまうか、無理して接合すると枠はタル型に膨らんでしまうからです。

接合角度が90度より大きくなったのはその後ソーガイドのガイド板固定ネジを調整し問題なくなりました。



箱作りの練習加工 その2

今週は電動トリマーによる45度接合の加工法を説明いたします。 高価な電動トリマーやトリマービットですが、さすがにその使用効果は高くソーガイドと手引きノコギリで45度切断した時のような角度微調整もなく、容易に実現できます。  電動トリマーをお持ちの方は是非ともこの加工法をマスターしてもらいたいものです。

電動トリマー使用の加工方法の前に、前回お見せしていなかった手引きノコギリ法でソーガイドの角度微調整をした上で作ったサンプルもお見せします。 それと切断時の板の支え方についてこの方法のほうが良い!というものを発見しましたので、それも写真でご紹介しておきます。

45度接合に使用するトリマービットは、V溝ビットと呼ばれmini-Shopでも販売しているARDENVB-90Gを使用しました。 
このビットは先端の角度が90度になっており最大切削幅が27mm取れます。 完全なV字状に切削する場合の最大深さは切削幅の半分になりますから、板厚では13.5mmまでということになります。 従って12mm厚の板までと考えた方が良いでしょう。

電動トリマーにビットを取り付けた後に最も慎重にやらねばならないのは、ビット先端の出具合の調整です。  考え方としては板の厚さに対して0.3mm前後浅い溝になるよう調整せねばなりません。 板に溝を切削した後にばらばらにならないよう皮一枚繋がっているような状態にします。 これよりも浅いと貼り合わせた後の角がシャープにならないからです。

それとV溝ビットにはコロが付いていませんので、切削時にはガイドが必要になります。 リョービの電動トリマーの場合回転軸中心と台座の外周までは45mmありますので、切削中心より45mm離れたところにも線を引いておきここにガイド板を当ててクランプでしっかり固定して切削します。 切削深さがかなりあるため電動トリマーからの反作用がかなり強いですから、ガイドを手で押さえた程度では簡単にずれてしまいます。

また電動トリマーで溝を切削する前に切削線の反対側にはマスキングテープを予め貼っておきます。

こんな所がポイントですが具体的には次の一連の写真と説明をご覧下さい。 前回同様格好良い箱を作る為に一番肝心な作業の部分ですので、正しく理解していただく為にかなり詳しく説明しております。

本題の前にソーガイドを使った手引き切断法の補足。 切り落とされる部分がこのような位置に来るようにするのが最も作業しやすいようです。

ARDENIの90度V溝ビット。 mini-Shopで販売しており価格は\3,780.-、高価ですがこれを使えば簡単に45度接合が実現できます。

切削前のビット先端の出具合の調整。 切削する板をトリマー台座に当てて、ビットの先端が板厚よりほんの少し引っ込むよう調整します。 この目的にはラックピニオン機構付きのトリマーがやり易い。

クランプでしっかり固定したガイド板に沿わせて切削開始。 この写真は一旦切削を止めて撮影しました。 そうでないと切削屑が舞い上がって写真になりませんので?!

試しに切断してみた12mm厚のMDF。 合板より切削面が理解しやすいのでMDF]を使いましたが、本番の箱の場合にはシナ合板かムクの板を使います。

切削線の反対側にはマスキングテープが予め貼ってありますので、折り曲げて角度を確認しました。 このとおりぴったり90度になっています。

調整が終りましたので幅60mmに切断したMDFでテストサンプルを製作します。 これは切削線の裏にマスキングテープを貼った所です。

切削が終了した板。 V溝の中心と右側の線(ここにガイド板を固定しました。)の間隔はトリマーの中心と台座の外周までの距離(45mm)になっています。

X印がトリマーで加工した板で○印はソーガイドと手引きノコギリで切断した板です。 比較する為先週紹介したまだ不完全なサンプルも一番奥に置きました。

手引きノコギリで切断した板をマスキングテープで繋ぎました。 ご覧のように皮一枚繋がっているトリマーで溝を切削したタイプは折り曲がりません。

両タイプのV溝に木工ボンドを塗りつけます。 先週より少ないもののこれでも量は多すぎます。

折り曲げてゴムバンドで軽く圧着保持しました。 このまま2時間放置します。

最終手引き加工のサンプル(上)と電動トリマー加工によるサンプル(下)の角の出来具合。 ○×が付いていなかったら、どちらかの判別は不可能なくらいうまく接合できています。

先週紹介した切断角度の微調整をする前のサンプル。 曲尺を当てた上のほうに隙間が出ており、これでは使い物になりません。

こちらはソーガイドの微調整に2時間掛けてから切断し貼り合わせたサンプル。 曲尺を当てても隙間が発生することなく完璧です。

そしてこちらは電動トリマーでV溝切削したサンプル。 無論こちらも完璧で短時間でここまでの加工が出来ますが、道具にお金が掛るのが玉に瑕!?

3枚のサンプルを重ねてクランプで固定し角度の状態を比較しました。 もう一度繰り返しますが、電動トリマーを使ってもソーガイドと手引きノコギリで加工しても結果は全く同じです。 違いは手間隙が掛る?掛らない? そして道具にお金が掛る?掛らない? です。


 以上は基本加工法の解説です。 具体的な製作例として、ソーガイドと手引きノコギリによる製作例はこちらに、
 電動トリマーによる製作例はこちらで紹介していますので続いてご覧下さい。





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