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TVに連動するアンプ
   
2010/11/25

構想              (註: 本テーマに関する全てのご質問はお受けできません)

私はTVに内蔵されているスピーカーはどうしてこう音が悪いのか!
という想いが大変強いです。 このため先代のTV(36インチブラウン管
型)
ではTVに外部スピーカーが接続でき、リモコンで音量がコントロー
ル出来たので、本格的なオーディオアンプとTV両方で1セットのスピー
カーを共用する使い方をしていました。(右写真)

その基本的な構造はオーディオアンプの電源を入れるとリレーが作動
してスピーカーはオーディオアンプに接続されます。 オーディオアンプ
がOFFの時にはスピーカーはTVに繋がります。 単純にTVを見たい
ときにはオーディオアンプのことなど忘れていても構いません。 そして
それでもTV内蔵のスピーカーよりも良い音がします。
音に拘りを持つ私が使う時に始めてオーディオアンプを操作すればよ
く、大変合理的な使い方でした。


しかしこの優れものシステムも肝心なTVが故障して買い換えたと同
時に使えなくなりました。 というのは買い換えたTVはサイズこそ57
インチと大型であったにも拘わらず、外部スピーカーを繋ぐ事が出来
ませんでしたし、音声出力をアンプに繋いでもTVリモコンで音量レベルのコントロールが出来なかったので、家内を始め私を除く家族にとっては恐ろしく使い勝手が悪くなってしまいました。

 ただし内蔵されたスピーカーは比較的まともでしたので外部スピーカ
 ーを繋ぐのはあきらめDVD鑑賞も含めて内部スピーカーを我慢して使
 ってきましたが、このTVも既に購入後6年が過ぎています。
 修理部材も後2年も経てば無くなりますので、そろそろ後継機を考え
 始めるべき時期になってきています。(左写真)

 そこで候補になりそうな大型TV(50インチ以上の液晶タイプ)につい
 て少しずつ調べ始めていますが、その間にこれまでに私が気づかな
 かった音声信号出力のソリューションを発見しています。

 それについては後ほど触れますが、販売店の展示品をざっと見た所
 では内蔵されているスピーカーはBOXの内容積が確保できないせい
 か音質は良くなるどころか悪い方向に向かっている傾向にあります。
 特に低域が出ないのと音量が上げられない点が気になりました。

 そこで、これは以前と同様に外部スピーカーに常に接続できるように
 しないといけないなあ! 但しその時に使い方がややこしくなるのを
 避けるのが絶対的な条件! と考えました。 そして新たなシステムのアイデアが出てきつつあり、そのアイデアを含んだアンプを試作しよう!というのが本テーマで、『市販品にないから自作する』が製作理由になるわけです。 これが出来たら現在のシステムにも適用できます。


アンプになにをやらせるのか?

1.オーディオアンプの電源はTVに連動する。
  TVの電源のON/OFFは言うまでも無くリモコンでコントロール出来ます。 しかし自作のオーディオアンプではリモコンを作りませ
  んから(正確に言うと、作れませんから!、電源のON/OFFのためにオーディオアンプの所まで行かねばなりません。
  仮にメーカー製のアンプを使っていてリモコンが付いていてもTVとは別のリモコンになりますから使い勝手はよくありません。

  これを何とか解決したいわけです。 方法としてはTVの電源がON或いはOFFになった事を検出してオーディオアンプの電源を
  ON/OFFさせればよいのですが、TVを改造しない方法が条件です。

2.音量調節がTVリモコンで可能な事。
  TVよりの音声出力がデジタルのみのTVもちらほら見かけます。 また音声出力がアナログであっても現在の我が家のTVのよ
  うにリモコンでコントロール出来ない場合がやはりあります。 そのような場合にはTVのスピーカー出力から音声出力を引き出
  すなどの改造をしないとなりません。 ここでいう改造は、1.と違って電力配線部分をいじりまわすわけではありませんが、それ
  でもメーカー保障が無効になる可能性がありますので要注意です。

  ここで少し前に触れた音声信号出力のソリューションについて触れておきます。
  右の写真は現在使用中のTVの全面下中央にある蓋を空けた所で、予備のAV
  入力端子が見えますが、ヘッドフォーン出力ジャックも入っています。
  ここにヘッドフォーンジャックを挿し込むとスピーカーの音声は遮断されヘッドフォー
  ンだけで音声が聴こえるようになります。

  ヘッドフォーンの替わりに、片側は35φのミニヘッドフォーンジャックで反対側は
  RCA PINが付いたケーブルを接続すれば、オーディオアンプに接続でき、音量
  調節はTVのリモコンで可能と命題に対する答えとなります。

  条件としてTVの前面に常時1本のワイヤーがぶら下がることを許容できれば?
  というのがありますが、最近の大型TVのヘッドフォーンジャックは前面ではなくて
  側面や背面に移動しているケースが殆どのようですから、結線しても目立たない
  でしょう。

3.擬似サラウンド効果。
  これまでメーカー製のAVアンプは使ってきましたがフロントの左側だけボソボソと
  いったノイズを出すようになったこととDolbyやDTSで正規のエンコードをされたAV
  ソースなどを殆ど見ないことから使っておりません。 そして今ではAVアンプを買
  い換えるのはお金の無駄遣いでしかないと結論付け今回の自作アンプを使いま
  す。 但しその昔4チャンネル全盛時代に(30年以上昔)、擬似サラウンド効果で
  十分楽しんだ記憶がありますので、簡単な擬似サラウンド生成回路を組み込んで
  4アンプ、4スピーカーにしてやろうかと思います。

  そのためのアンプは今は無きTRIPATHのデジタルアンプ(TA2020-020)を使った
  パワーアンプ基板が手元に2組ありますから、追加の出費は僅かで製作できると
  思います。(右の写真で電源電圧13.5Vで8Ω 13W、4Ω 22Wの出力がある。)




2011/12/02

構想の続き

TV ON/OFF検出機構をどうするか?

TVがONまたはOFFのどちらの状態にあるかを検出できればその先に進められます。 そしてTVを改造しないでそれを実現するとしたら、ON/OFF時それぞれの時の電源コードに流れる電流の変化を検出する方法しかありません。 そこで今使っているTVと仮に買い換えるとしたらこの辺りかな?という46-60インチのTVの消費電力を調べてみました。

  メーカー/型番 画面サイズ 最大
消費電力
最大
消費電流
待機時
消費電力
現在使用中のTV エプソン ELS-57S1 57インチ 198W 1.98A 0.9W
仮定購入候補1 東芝 55ZG2 55インチ 215W 2.15A 0.12W
仮定購入候補2 シャープ LC-60F5 60インチ 165W 1.65A 0.1W
仮定購入候補3 東芝 47ZG2 47インチ 190W 1.90A 0.12W
仮定購入候補4 シャープ LC-46XF3 46インチ 145W 1.45A 0.2W


残念ながら消費電流の最低値がどうなのか判りませんが多分最大値と大きな開きは無いと思われますので、55インチ以上であれば1.2A以上の、46インチクラスであれば1.0A以上の電流が流れた時にTVの電源がONになったと判断する回路を作り、それでアンプの電源のON/OFFをすれば良さそうです。 また電流が0.1A以下になったらTVはOFFの状態と認識して良いでしょう。


電流検出方法 1

 上記の回路電流を検出する方法で最も簡単なのは、TVの電源コードに低抵抗を挿入してその両端
 に発生する電圧で流れる電流値を読み取る方法です。

 例えば左の図のように1Ωの抵抗を挿入したとすると、1.0A流れた時に1Vの電圧が抵抗両端に発生
 します。 この電圧で電源制御回路がリレーを作動させれば目的を果たします。

 この方法は簡単ではありますが、検出しようとする電圧は低いものの高い電圧の電灯線(AC100V)
 に検出回路が直結されるので、調整時に感電しやすいとか部材の耐圧以上の電圧を掛けて壊して
 しまう可能性とか色々注意しなくてはならない問題が出てきます。

 それと抵抗の両端電圧分だけTVの駆動電圧が下がってしまいます。 例えば上の例ではTVの駆動電圧は99Vになります。 この為にTVがうまく動作しなくなるようなことは無いでしょうが、これを解決するには挿入する抵抗値を下げれば良いわけです。 例えば0.1Ωに変えれば1Aが流れた時に抵抗の両端電圧は0.1VとなりますからTVの駆動電圧は99.9Vとなります。  一方0.1Vのままでは電源制御回路がうまく働かなければ、10倍の増幅回路を入れれば1Ωの抵抗を入れた時と同じ事になります。


電流検出方法 2

 次に考えた方法はトランスと同じ理屈を使って電圧として取り出す方法です。
 左の図は『右ネジの法則』から導き出したものですが、赤く太い線はTVの
 電源コードの片方の線だと考えてください。

 ある時に矢印方向に電流が流れたとすると、青線のような向きの磁力線が
 発生し磁界が生成されます。 これが『右ネジの法則』ですがそれを更に
 進めると、緑線の位置に導線があればこの向きに電流が流れます。

 これはどういう事かと言うと鉄心があり
 ませんが、赤線が巻き数1の1次側、
 緑線が巻き数が同じく1の2次側のトラ
 ンスになっています。

 トランスであれば2次側の緑の巻き数を増やしてやれ
 ば取り出せる電圧が増加します。 その結果TVの駆
 動電圧を下げてしまう弊害がない1次電圧でありなが
 ら2次側の電圧を高く出来て、アンプの電源制御が容
 易に実現できるでしょう。 もうひとつこの方法では
 AC100V回線から浮いた状態で検出できるので、検出
 回路の安全性の点で優位性があります。

 右の写真は高周波で使われるコイルで巻き数は50回程あります。 これではまだ巻き数が
 足りませんが、形状的なイメージはこんなコイルを想像すれば良いですし、1次側の巻き数
 1回分を加えると左の写真のようになるでしょう。 (白いビニール被覆線が電源コードの片側になります。)

以上2つの方法は頭の中で考えただけのアイデアですから実際に実験してみないと何とも言えない部分があります。 特に2番めのアイデアはコイルの出来次第で結果がかなり変わりそうですので、仕様の違うコイルを試作し比較しないと何ともいえない部分があります。

こういったことから、2番めのアイデアに沿ったコイルの試作と検出能力のテストを暫し続けようと思います。



2011/12/16

電流センサーの発見

 その後電流検出のコイルを作るべくポリウレタン線を購入し、コアをどうするか?とあれこれ検討
 している間に、もしかしたら見つかるかもしれないと平行してインターネットで電流検出コイル
 (電流センサー)が存在するはず!と調べていたのですが、殆ど偶然に発見しました。

 株式会社ユー・アール・ディーという名のメーカーでが、商品情報はこちらのページの左に、
 交流電流センサーという欄の一般計測用か精密計測用が対象になりそうです。

 電流センサーは秋葉原では見つけることが出来なかったので自作するしかないだろうと考えてい
 たわけですが、このメーカーは直接サンプル販売もしてくれるようですし、かなり詳しい技術情報
 もサイトから得られます。
 (左は私が目を付けた商品で型番はCTL-6V-Z、丸穴に電流を検出するケーブルを通します。)

 この電流センサーの仕様は、

   ・適用電流: 1mA〜15A(rms) RL 10Ω以下の時
   ・2次巻線: 800±2回
   ・2次巻線抵抗: 33Ω±3Ω

となっています。 大きさは右の図で基板に載る部品の中では大きいほうですが、
大きすぎる!ということもなさそうです。

ところで掲載されている特性グラフを見ると上の仕様以外の情報が読み取れます。
RLが10Ωの時の出力電圧は1次電流が1mAから15Aまでリニアーに変化し、1Aで
13mVでした。(上限の15Aでは195mVになる。) と言う事は、1Aの電流が被検出
ワイヤーに流れた時に出力電流は1.3mAになります。 このことはRLが100Ωになると1mA〜4.8A(rms)とリニアーな範囲は狭くなるものの、1Aで130mVの出力電圧という点からも確認できます。 更にRLを増やせば 出力電圧は上がりますが検出できる電流の範囲が狭まります。  出力電圧を増やしたい時には、被検出ワイヤーを複数回センサーに通す事で検出電流を増やすことをメーカーは推奨しています。

サンプル価格は1個\1,600.-とのことで、秋葉原で購入している様々な部品からすると高いなー?という感じもしないではありませんが、自作したら数回作り直しをするのは必至でしょうし、そうなったら投入金額は\1,600.-を軽く超える可能性大です。 またいつになったら完成するかも判りませんので、自作をあきらめて購入する事にしました。

ということで電流センサーはまだ届いておりませんが、この間にメーカーの技術資料を読んで勉強しておかねばと思います。 上でも触れたようにセンサーに100Ωの負荷抵抗を繋ぐと、1Aの交流電流でセンサーの両端に決して低く過ぎない130mVの交流電圧が取り出せますので、その後にどう料理するかは別として、難易度の高い回路を使わなくても目的を達成できると考えています。




2011/12/23

電流センサー回路の実験

センサー回路の構成は様々なものが考えられますが、四六時中通電させているわけですから消費電力が少ない方が良いのは勿論のことで耐久性と信頼性も大事です。 よってぎりぎりの無理な使い方は避けた方が良く、部品点数も極力少なくしたい所です。
色々な回路方式と組み合わせを思考実験で検討しましたが、

   1.理想ダイオード回路による交流→直流変換
   2.シュミットトリガー回路による明確なON/OFF動作点の確保
   3.トランジスターでリレーを駆動

という構成とすることにしました。

 1番目の理想ダイオード回路は、オペアンプ(1/2 LM358N)
 ダイオード、抵抗の組み合わせで0V入力から整流動作が可能
 な回路です。 通常のシリコーンダイオードは0.6近辺まで整流
 動作がスタートしないのでそれ以上の入力電圧でないと出力
 が出ませんが、0Vから整流動作がスタートするので、電流セン
 サーからの0.1-0.2Vという出力電圧でも確実に動作します。
尚正式な理想ダイオード回路は2本使いますが、ここでは1本で済ませる簡易型とします。

理想ダイオード回路は信号を増幅させる事も可能ですが、追加増幅無しでもシュミットトリガー
回路は十分に動作するのと、増幅度1とするとあたかも全波整流をしたかのような動作にな
り、その後のフィルター動作で都合が良いため増幅させていません。

 2番めのシュミットトリガー回路は基本回路であれば左のようにオペアンプ(1/2 LM358N)だけ
 で構成される大変シンプルな回路です。 オペアンプには帰還が掛かっていませんので最高
 増幅率(LM358Nでは100,000倍)で動作します。
 動作としては、Vrefよりちょっとでも高い電圧が入力されると出力は最高出力電圧(電源電圧
 に近くなる。)
となり、Vrefよりちょっとでも低い電圧に変わると出力は最低出力電圧(単電源
 であれば0Vに近い。)
になります。 従ってVrefが切り替わるターニングポイントですが切り替
 わりはごく短時間に発生します。

ところでシュミットトリガー回路では入力信号が若干変動することで切替時にバタバタとON/OFFを生じるのを避けるために、ヒステリシス特性を持たせることが殆どですが、ここでは使いません。 と言うのは、1A以上の交流電流が流れたらセンサーが検出してアンプをONさせますが、実際にTVが消費する電流はそれ以上の1.6-2.0Aが流れます。

仮に短時間のふらつきが発生しても1A以下に落ちるのは極めて少ないでしょうし、仮に1A以下に落ちても短時間のものであればシュミットトリガー入力ポイントの大きな時定数を持つローパスフィルター(元々脈流を綺麗な直流に変換する目的で入れている。)がふらつきを吸収してしまいますので、ヒステリシス特性は無用と考えました。 この為にヒステリシス特性を得るため必要な2本の抵抗が無い構成となっています。

ここで少々脱線となりますが、シュミットトリガー回路のVrefの安定性はセンサー回路の検出精度に拘わりますので、Vrefをどのように作るのか? 電源電圧変動をどう評価するか?について少し考えておきます。 その結果によっては安定化電源を使う可能性があります

第一はAC100V回線の変動です。
私が経験上知っているのは、『±5V以内の変動を散見。』『電灯などでは判らないような瞬間停電が起きている可能性がある。』『破壊に繋がるような落雷、誘雷などによる高電圧が掛かる可能性』『何らかの理由での停電』ではないかと思います。

これら4項目のうち最後の2項目は打つ手が無いか破壊防止の為にコンセントから電源コードを抜くぐらいしか対応法が考えられませんが、前の2項目については対応を考えておく必要があります。

電源電圧の変動は±5%発生する(±5Vの電圧変動)という前提でどうなるのかを考えます。 センサー回路で使う電源は12Vですから±5%の電灯線電圧の変動はセンサー回路の電源電圧が11.4V-12.6Vに変化することを意味します。 シュミットトリガーの動作点となるVrefの電圧を12Vの電源電圧を単純に抵抗で減電圧して得るとすると±5%の変動がそのまま反映されます。 と言う事は1Aがシュミットトリガー動作のターニングポイントに相当するとなれば、検出の幅は0.95A-1.05Aということになります。 これはちょっと容認しにくい変動幅です。

第二はセンサー回路の電源電圧変動です。
前述のAC100Vの回線の変動によるもの以外に、トランスのレギュレーションに起因する要素があります。 センサー回路の回路定数は最終的にはまだ決まっておりませんが、消費電流の最大値は48mA位、最小値は3mA位になると思います。 一方使用予定の電源トランスの電圧変動率は20%程あると思われます。 とするとこれは計算上の話ですが、最大出力電流170mA時の値の出力電圧が12Vで出力電流0の時には15Vに上昇します。 その間の出力電流48mAの時には14.15V、出力電流3mAの時に14.95Vで、差し引き0.8Vの電圧変動が生じます。 0.4%(±0.2%)の変動ですから検出の幅が0.998A-1.002Aということで、これは無視しても構わないでしょう。

以上2つが絡み合えば無論容認できない変動になりますので、解決法を考えたいのですがそれには2つあります。
第一は電流センサー回路の12V電源を安定化してしまう方法です。 こうすると抵抗を使った減圧でVrefを作っても変動が少なくなるだけでなく、AC100Vの電圧変動とトランスのレギュレーションによる変動の両方から電流センサー回路全体が守られます。  もうひとつの方法は局部的な対処法で、センサー回路の電源からVrefの間にツェナーダイオードやシャントレギュレーターを使った電圧安定化回路を設け、そこからVrefを作り出す方法で、この場合はVref以外は安定化できません。

どちらが良いかの判断は難しいですが、以下に説明する理由から今回は前者の方法で行くことにします。

私がよく使うNJM7812FAという12V出力のレギュレーターを実験してみると、負荷電流が50mAの場合入力電圧が13.4Vまで低下しても安定した12Vを供給できます。 一方上で触れたのセンサー回路の最大消費電流(48mA)時の整流直後の電圧である14.15Vは電灯線電圧が5%低下した時には13.44Vになります。 このことはNJM7812FAをレギュレーターとして使う事で±5%以内の電灯線電圧の変動とセンサー回路自身レギュレーションによる変動両方を含み安定した12Vを得られることを意味しています。

ということでセンサー回路の電源は定電圧電源化し、更にVrefは電源電圧を抵抗で減電圧する簡単な方法と決定しました。

三番目のトランジスターによるリレー駆動回路ですが、最大コレクタ電流が3A、放熱板無しの最大コレクタ損失が1W(25℃)、hfeが最低でも100確保出来そうという都合が良さそうなトランジスタ(2SD1899)を見つけました。 リレーの駆動電流は43.6mAですので、放熱板無しでも十分なゆとりを持っており、その割にはベース電流は低く収まる(0.4mA位で済む?)でしょうから簡単でありながら信頼性も高いと思われます。

 以上の思考実験を踏まえた上で理想ダイオード回路とシュミットトリガー回路の動作を確認しました。
 左はその回路です。 入力には低周波発振器から50Hzの信号を注入しますが過大入力で回路が壊
 されないようダイオードを2本繋いであります。 これで計算上は±0.6〜0.7V以上の電圧が入らなく
 なるはずですが実際には±0.5V位でかなり頭が潰れてきます。 このダイオードの影響を受けない
 入力レベルと言うと±0.3V辺りまででしょうか? そうなると2.4A以上の電流は全て同じという認識に
 なりますが、ここでの使用目的では問題になりません。

シュミットトリガーのVref端子(オペアンプの6番ピン)の電圧は長期的な信頼性の観点から113mV固定としています。 切り替わった時にオペアンプの出力端子(7番ピン)に10.6Vの電圧が発生しますが抵抗で減圧して0.96V(d点)としています。 ここにトランジスターのベースを繋ぐ事になります。 それら動作確認の様子は以下の写真もご覧ください。

 


  上の写真は実験中の全容です。

  実験・測定環境は、
  オシロスコープ: ケンウッド CS2110
  低周波発振器: 自作品
  電源: 自作±2電源
  DMM: 三和 PC-510

  を使い、実験回路はブレッドボードで組んだバラック配
  線です。

  オシロスコープの波形撮影はパナソニックのDMC-G1
  と14-45mmレンズで撮影していますが、最もタル型の
  歪が少なくなる45mmの焦点距離を使っています。

  歪の量は最大で0.08%、平均で0.03%と専用のマクロ
  レンズにせまる微量ですので、撮影後に一切の修正
  を致しておりません。
 

シュミットトリガーが動作するレベルの信号を与えた入力部(a点)の波形。 ピーク値で0.174V、実効値で123mVになっている。

その時のダイオードの出力側(b点)の波形。 下半分を逆さにしたような感じで全波整流のように見えるが、プラス部分は入力信号が2本の2.2KΩを通ってダイオードの出力側に出てきたものである。(この時だけダイオードは存在しないと考えればよい。

c点のこの波形は100KΩと10μFのコンデンサーによる平滑回路を通って完全な直流になった波形であるが、114mVでVrefの113mVを上回っており、シュミットトリガーはON状態である。

d点はリレーを駆動するトランジスタのベースが繋がるが、ベース電圧が(0.6-0.7V)を超えるとトランジスタはONとなる。 ここでの実測値は0.955Vであるので無論ONである。

これもd点だがシュミットトリガー入力が113mV以下になりOFF状態に切り替わり瞬時に出力電圧が低下。(0.07V) ベース電圧が低いためトランジスターはOFF状態を維持。

 以上の結果を元に、電流センサー回路を最終仕様のものとし
 てまとめました。 左側がその回路図で、右が基板のレイア
 ウトになっています。
 回路的には実験回路の結果を尊重しており、それにトランジ
 スタやリレー、電源回路などを追加したものです。
実験回路でもちょっぴり触れたように長期的な安定性を求めて、半固定抵抗を使うような調整個所は
ありません。 従ってもし検出電流を変更したければ、オペアンプの6番ピンに入っている470Ωと150
Ωの値を変更して希望のVrefにすることになります。

基板サイズは85 x 70mm程になりますが、ここに電源トランス、フューズホルダー2個、リレー、電流センサーなどの大きな部品を含めて載せています。



2011/03/09

電流センサー回路基板の製作

暫く保留となっていましたが電流センサー回路を製作しました。 製作のお話の前に回路変更についてお断りしないとなりません。 前回提示した回路図と基板レイアウトは既に修正しておりますが、ブリッジ整流器の次に入れているコンデンサーは以前0.33μFとなっておりましたが、100μF x 2の電解コンデンサーに変更しました。

以前の0.33μFはレギュレーター(NJM7812FA)の動作だけを考えれば十分な値なのですが、コンデンサーインプット型の整流回路では、整流器の直後のコンデンサーの容量が不十分であると得られるDC電圧が低くなってしまうので100μF x 2としました。(2本に分けたのはスペースの関係です。)

またAC100Vレベルでの接続(3箇所)にはコネクターを使う事にしました。 小さなコネクターですが規格は250V 10Aとなっており、今回の使用目的(最も大きな電流が流れる所で最大4A程度。)には十分であると思います。 以上2点の変更に伴い基板のレイアウトも変更しています。

基板上の配線で通常と異なり気を使ったのはAC100Vのパススルー部分でした。 これはテレビの電源配線の一部でその途中に電流センサーが入りますが、流れる電流が最大で4Aと大きいためそれなりに太い銅線を使わないとなりません。  余り太くても配線作業がやり難くなりますので、直径が1.2mmの銅単線で塩ビで被覆された物を使っています。 調べた所では絶縁被覆が塩ビの場合許容電流は10A位と思われます。  TVがONの時に流れる電流は2.2Aが最大値ですのでまず問題にはならないと思われます。

出来上がった基板などの様子は以下の写真をご覧ください。

組立が終了した電流センサー基板。 肝心な電流センサーは左側中央のフューズの下に見える黒い部品です。 右端の黒い箱がアンプ電源をON/OFFするリレーで、電流センサーで検知して駆動されます。

電流センサーのアップ。 白い塩ビ被覆のワイヤーを通る電流が検地すべきTVの消費電流になります。

そのワイヤーは基板の裏から表面に出て電流センサーを貫通し再び基板裏に戻ります。

基板裏にはTVへ導かれる導線が通ります。 白い塩ビで被覆されたワイヤーはその一部です。

流れる電流の測定にはこんな測定器を使いました。 実は左側の黄色い部分は電流センサーと同じ原理で動作しています。

 センサー回路の実働テストですが、TVの替わりに繋いだダミーの負荷は動作点
 (100W)近辺ということで、私の使っている3本の半田鏝(60W、30W、20W)をテー
 ブルタップに挿し込みそれをスライダップに繋ぎました。 そのスライダップを電流
 センサー基板に接続しています。
 3本の半田鏝は計算上110Wの消費電力になりますが、センサーの動作点(1A)
 ドンピシャを探るためスライダップで電圧を調整し100Wの消費電力を得ています。

測定結果を記入した回路図は上の通りですが、実験段階で得た数値と極めて近い値を得ており大変満足しています。

先ずリレーが作動するときの入力交流電圧は125mVで実験段階と全く同じです。 その時にセンサー中央の穴を通過する電流は1.03Aでした。 入力交流電圧125mVは整流されて114mVの直流電圧となり作動点が113mVのシュミットトリガー回路が作動し出力電圧がほぼ0から10.6Vに跳ね上がります。(この辺りも全く実験段階と同一です。) これで駆動トランジスターのベース電圧は0.66Vに上昇しトランジスターはONとなりリレーが作動しアンプ電源配線がONになります。

尚センサーからの入力電圧に変化があった場合シュミットトリガー前の平滑フィルター(100KΩと10μF)のためにオペアンプ5番ピンの電圧は瞬時に変化せずジワーッと変わります。(約1秒の遅延が発生する。) そのため短時間で変化する電流の影響は受け難くなっています。

それと電流センサー回路はTVがOFFの場合でも動作しており、この時の消費電力(待機電力)は小さければ小さいほど良いわけですが、実測した所0.015A流れることが判りました。 従って待機電力は1.5Wになります。 メーカーが作る電子・電気機器に較べると一桁多いですが、トランスの2次側を外して再び測定した所0.015Aと同じ値が出ました。 クランプメーターの分解能に近い電流の計測なので精度は期待できませんが、大半がトランスの一次電流であることは間違いなく、これ以上減らすのはトランスを使わない回路に変更しない限り無理でしょう。

これで電流センサー回路は完成しましたので、アンプの製作に入りたいところですが、当初に考えた4チャンネルアンプは実現が困難であることが判りました。 それは4連の可変抵抗が入手不能な事で、2連の可変抵抗を2つ連動するというとんでもない機構を作らないとなりません。 そんなことまでして実現する価値があるとは思えませんので、アンプ部分の構想を全面的に見直ししています。



2011/03/16

アンプをどうするかの再検討

 4チャンネルアンプの製作が4連VR入手不能なために断念は残念
 でしたが、替わりのアイデアとして3Dシステムが浮上してきました。

 3Dシステムというのは、音声帯域を100Hz前後で2つに分けて、
 それより高い方はステレオの小型スピーカーで、低い方は低域再
 生能力のある大きなスピーカーをモノーラルで再生する方法です。

 低い周波数の音はその方向を認知し難いのでステレオにせずモノ
 ーラルで十分、そしてこれの採用により高価な大口径スピーカーを
 2つ買わなくて良い!というのが一般に言われている3Dシステムの
 メリットですが、貧乏人間向きのシステムみたいな響きがあります。

 しかし私はまともな低域再生を志向すると大きなTVの横に大きな箱
 2つが鎮座するという、インテリアぶちこわしの景観が嫌なので3Dシ
 ステムを使う!という考えかたで採用しています。

その方法はLとCを組み合わせたスピーカー用のデバイディングネットワークを組んでいました。 それはそれで良かったのですが、今回はそのデバイディングネットワークをオペアンプとCとRを組み合わせて作り、ウーファーと中高域スピーカーの駆動は完全に別アンプとします。 そうすることでそれらスピーカーの繋がり部分の調整がより細かに出来るというメリットが出てきます。

 オペアンプとCとRで作るフィルター回路には様々なものがありますが、
 12dB/Octで減衰するバタワースフィルターという名称フィルターを使いま
 す。 左がその原理的な回路で上がローパスフィルター(ハイカットフィル
 ター)
で下がハイパスフィルター(ローカットフィルター)となります。

 それぞれオペアンプにCとRを2個ずつ組み合わせたもので、ローパスと
 ハイパスの違いは、抵抗とコンデンサーの位置が変わったようなもので
 す。 カットオフ周波数の計算式はどちらも同じになります。

 この回路のゲインは1ですが、実際に使う場合はこの前段にボルテージ
 フォロワーを接続して正確な動作を期します。 カットオフ周波数を変更す
 るには抵抗・コンデンサーのどちらを変更しても良いのですが、抵抗の変
 更の方が正確な値を得やすくて安いです。

 そこで抵抗値を変更する方法を元
 にフィルターの前段や後段を含む
 回路を考えて見ました。

 右はその1番目で4回路3接点の
 ロータリースイッチを使って(80、
 100、120)
の3つの周波数を選べ
 るようになっています。
 本当は6つぐらい選択できるように
 したかったのですが、その場合には2回路6接点のロータリースイッチを使
 うしかなく、左右のチャンネルを個別切替えとなるのであきらめました。

 これを解決する方法として浮かん
 だアイデアはVRによる周波数可変
 です。
 右がそれで記載した定数で60〜
 150Hzの間の周波数を設定できます。 この回路の方が良さそうな感じですが、問題が2つあります。

一番目はVRの連動誤差でメーカーが提示している±10%程度の誤差が存在するようです
が、どの程度正確度を損なうか気になる所です。  もうひとつは左右のチャンネルを個々に調整しないとなりません。 同時に調整するにはまたぞろ4連VRが必要になります。

2つ提示したどちらでも前段と後段に同じ回路を負荷しています。 前段にはボルテージフォロワーではなくてゲインが2倍の非反転回路になっています。 これはTA2020を使ったアンプの入力感度があまり高くなかったと記憶しているためここでちょっぴり稼がないとと考え2倍のゲインを設定していますが、後ほどパワーアンプの感度を確認した上で決定しないとなりません。

またローパスフィルターを通った後で中高域がゲイン2倍の回路が追加されていますが、これは意識的にウーファーに行く信号レベルを上げるためです。 最終的にはこの出力とパワーアンプの間に可変抵抗が入り最終的なレベル調整をします。

こうすることで可変抵抗の前では間違いなくウーファーに行く信号の方が中高域よりも高くなるはずです。 そしてウーファーの音響エネルギーへの変換効率は小型のスピーカーよりも高いのが普通ですからウーファーからの信号レベルは更に高まります。 そこで可変抵抗で聴感上のバランスを取ってやるわけです。

この聴感バランスを取る際にはローパスフィルターとハイパスフィルターの周波数を変化させることも含みますので、かなり調整に苦労したり混乱して何が何だか判らなくなる可能性もありますが、そんな時にはハイパスフィルターをフラットにして全域型スピーカーと聴き比べることにより、より容易に調整ができるであろうという魂胆でいます。

更にこの後段のアンプには低域増強回路も入っています。 立ち上がり周波数は200Hzとして計算してありますが、そう少し周波数を低くしたほうが良いかもしれません。

以上が3Dシステムのフィルター回路の概要ですが、これまで使っていたデバイディングネットワーク回路よりも痒い所に手が届くようになると思います。



2011/03/23

フィルター回路のテスト準備

オペアンプを使ったバタワースフィルターを製作したことがないので実働実験をすることとしました。 前回述べた2つの方式のうち可変抵抗を使った60-150Hz連続可変方式を試して見ることにします。 ここで一番心配なのは可変抵抗の連動誤差ですが、10KΩの可変抵抗に繋ぐ6.8KΩ(可変周波数幅を限定するのが目的)によって、連動誤差は結構薄まるはずなのでそれもみたい所です。

 回路は左図のとおりです。 基板レイアウトについて
 は右のようにまとめました。 

 1段目のアンプはLME49720の1チャンネル版と思わ
 れるLME49710を使いました。 ローパス、ハイパス
  2つのフィルターを1個のLME49720で賄います。
 可変抵抗にはこれまで小型アンプで頻繁に使ってき
 た、価格が手頃で音も良い小型の基板直付けタイプ
 を使います。

ところでスイッチで切り替えてハイパスフィルター無しで全域スピーカーを鳴らせるように考え
ていますが(これはクロスオーバー周波数調整に有効な機能になります。)、基板中央上の
ジャンパーピンブロックの空あいたピンにもジャンパーを挿してしまい、右手のジャンパーピン
はFlatのポジションとすることにより、前段のアンプにハイパスフィルター素子が負荷となる
状態で、ハイパスフィルターをバイパスする接続になります。

これがどの程度信号出力に影響するのかを確認した上で問題が少なければこのスイッチを2回路タイプで両チャンネルコントロール、駄目であれば高価で動作が重い4回路タイプの仕様となります。  それ以外一般的な発振しないかどうか?、必要な出力電圧が得られるかどうか?、クロスオーバー周波数の精度は?、なども当然確認事項として入ります。

こんな実験回路にはブレッドーボードを使うことが多いのですが、可変抵抗がぐらつかないよう固定して回転角が読めるような目盛板を取り付けるなど、少々込み入った仕様になりますので、穴あき基板に組み上げ実験することにしています。 従って余程のことが無い限り最終的なレイアウトで実験したいと思いますので、上の基板レイアウトはまだ最終ではなくまだ検討を継続しています。  私が抱いているイメージは左右のフィルター回路は別基板として組み上げ上下2段に組み上げます。 そして4個の可変抵抗はそのまま前面パネルから飛出る構造を考えています。

 ここで全体がどうなるかを一度整理・確認しておかないと矛盾をきたすような事が
 起きてしまうぞ?と気が付いたので、回路全体を描き上げて妙な問題が無いかの
 検討も開始しました。

 左がその最初のバージョンになります。 電源についてはトランスによるものとして
 いますが、デジタルアンプ2台用の12V 10A、7個のオペアンプ駆動±12Vを得る
 24V 320mA、そして電流センサー回路用の12V 170mAと3個のトランスを使いま
 す。 一見無駄なようですが、動作タイミングが合わない後者2つを一緒にするの
 は不可能ですし、デジタルアンプのノイズが混入する1番目と2番目を一緒にする
 のも避けたいので、しかたないと思われます。

 尚デジタルアンプのTA2020は動作電圧の絶対最大値の16Vを超えるとあっけな
 く破壊するらしいので、電源回路には注意が必要です。
 使うトランスの容量は10Aあり、それなりにレギュレーションも良くなるので(予定
 のトランスは電圧変動率が10%以下)
無信号時と最大出力時の電圧差は余り大き
 くならないはずですが、電灯線電圧の変動はそのまま出力電圧に影響するので
場合によっては1次側のタップは110Vを使い、出力電力低下には目をつぶらないといけないことも考えられます。(実際に電源回路を組み上げて負荷電流の変化で出力電圧がどう変化するかを確認後決定する必要あり。)

またデジタルアンプが電源ON/OFF時に出すポップノイズはスピーカー出力端子をリレーでON/OFFする回路にしていますが、ON時に遅延動作、OFF時には即断となるようにしています。
尚リビングルームにはLPレコードプレーヤーがあるのでイコライザーアンプを組み込みますが回路はデスクトップ小型アンプで使う物と全く同じです。 その他に信号レベルが100mV前後のソースとしてTV/CD/DVD/ブルーレイディスク/iPODなどがありますが、DVD/ブルーレイはTVの映像入力に?ぎそこから音声はTV入力端子に入りますので、PHONO/TV/CD/AUXの4系統を入力選択可としておき、AUXはRCA/Mini Phone Jackの排他接続でフロントパネルに入れればよいかな?と考えています。



2011/03/30

大幅な変更

もうフィルター回路の実験に入れると考えていたのですが、機構関係を確認しているうちにかなりの変更をした方が良いとの結論に至り、設計変更を致しました。 それら変更部分中大きなものは2つあります。 

一番目はトーンコントロール回路の追加です。 いらないという考え方もありますが、録音の
帯域バランスは録音エンジニアによりばらばらで極が変わると響き方が変わるのが普通で
す。 そのバランスの異なり方ではトーンコントロールで調整したいことがしばしばあります。
3Dシステムにしたときには低域と中音以上のエネルギーバランスは、クロスオーバーの調
整、低域レベルのコントロール、バスブーストと結構多彩な調整が中低音部でできますが、
全域型スピーカーをそのまま鳴らす場合にはトーンコントロールを欲しいですし、3Dシステム
の場合でも中音から上はトーンコントロールがないと調整不可能です。

回路方式としてはオペアンプを使ったNF式で、デバイディングネットワーク回路は共にゲイン
1ですが、デジタルパワアンプの最大出力時の入力電圧は0.9Vほど必要なので、前段に
約9倍の増幅度を持つバッファーを置いて、トーンコントロールの動作が正常になるようにしてやります。
尚低域が持ち上がりだす周波数は340Hz、高域は3KHz、最大ブースト量或いはカット量は12dBとして設計しました。

二番目は位相を反転させる回路です。 2次フィルター(減衰スロープが-12dB/Octになる。)はクロスオーバー点でローパスフィルターとハイパスフィルター間の位相が180度異なります。 このために信号同士がキャンセルしあってディップを作ってしまいます。 但しこれは電気信号レベルで論じるとそうなのですが、音響信号では再生される部屋の特性、試聴距離、低域スピーカーと中高域スピーカーの特性など様々な要因で単純にディップが出来てその部分の音が欠落するというわけではありません。

従って実際に位相を切替えてどちらの音が好みか聴き比べして決める! という使い方になります。 尚位相を反転させるには、低域か中高域のどちらかのスピーカーの極性を反転させても良いのですが、アンプに組み込むことで短時間で切替えられ、音の違いを容易に確認できます。

今回のネットワークでは周波数連続可変としたのも問題が起きやすいクロスオーバー近辺の調整を微妙にやりたかったからですが位相反転が出来るとより万全な調整が可能になると言ってよいでしょう。

回路としてはオペアンプを使った増幅度1の反転型アンプを組み込み、スイッチでこの回路を通すか通さないかで、正相、逆相を選択します。

この他にもこれまではアンプの電源はTVがONになるのを検出してONとなるAUTOモードのみでしたが、手動で電源をONに出来るようスイッチを追加したとか、パイロットLEDが電源ONで赤く点灯し、数秒後にスピーカーを繋いだ時に青に切り替わるようにしたとか細かな 追加があります。

 ここまで進みましたので、構造的な検討に入った方が良かろうと考え、ほぼ構想をまとめま
 した。 先ず大きさですが、300 x 200 x 100 の上背が高い蓋付きシャーシに 200 x 120 x
 100 の蓋付きシャーシを連結し、幅420、奥行200、高さ100mmのボックスをケースとして使
 います。

 これの前面にはアルミ板を貼り付け、左右と上下の面は板を被せて、最終的には442mm x
 200mm x 111mm となるでしょう。 私の作ったオーディオラックの内幅は450mmあり、高さ
 の調整は15mm刻みで出来ますので、ドンピシャの収まり方をすると思います。

 2つのシャーシを連結するのは大きなシャーシが見つからなかった事と、小さなシャーシに
 はイコライザーアンプなど微信号を扱う基板を完全シールド状態にて組み込めます。

 左の図は上から上面透視図、前面断面図、前面外観図で、各基板はまだファイナルでは
 ありませんが、多分大きくサイズが変わらないと思われます。 少々理解し難い構造は
 デバイディングネットワークの回路でしょう。 3つの同サイズ基板を長さ30mmのスペーサー
 で連結し、それを90度回転させて固定します。 このブロックに使われる6個の可変抵抗
 は、ヘッドフォーンアンプ1で使った小さな物で、使い心地が良いのと音質もなかなか良い
 ため採用しています。 固定方法はナット締めではなく基板に半田付け固定です。

フロントパネルは1.5mm厚のアルミ板を使いますが、ヘッドフォーンアンプ2でやろうとしている紙を貼る方法で行こうと思います。 但しアルミのサッシ棒をあしらって少々お化粧を施したいと考えていますが、うまい材料が手に入り次第です。



2011/04/06

最後の変更?と基板レイアウト

このテーマはどういうわけか進むに従い変更がどんどん発生しています。 前回でほぼまとまったと考えたので、電流センサー回路以外の各基板のレイアウトを考え始めたのですが、その途中にヘッドアンプを追加してやろうとのアイデアが再び湧いてきました。 ヘッドアンプはヘッドフォーンアンプと紛らわしいのですが、オーディオの世界では出力電圧が極めて小さいムービングコイル型(MC型)カートリッジの出力電圧をイコライザーの入力電圧まで増幅するのに使います。

私の所有しているカートリッジの中にはムービングコイル型カートリッジの定番になっているDENONのDL-103があります。 以前はこれを昇圧比10倍の専用トランスをイコライザーに繋いでいたのですが、ムービングマグネット型(MM型)のカートリッジを使う時には接続を変更しないとなりません。

 MM型カートリッジの方が色々な個性があって使用頻度が高く、接続変更が面倒
 なDL-103は出番が低い状態でした。 これは大変もったいないのでヘッドアンプ
 を自作し、その中にヘッドアンプをバイパスする回路を入れて、接続変更無しで
 MM型とMC型を使用できるようにします。

 ヘッドフアンプそのものは10倍(20dB)のフラットアンプですから雑音発生を最小限
 にするような回路と素子(オペアンプ)を選ぶだけで意外に簡単に出来ます。
 そのオペアンプはまたぞろLME49720ですが、十分に低雑音増幅をしてくれる筈
 です。 左はヘッドアンプを追加後の全回路です。

このヘッドアンプの前後にはリレーが存在し、プレーヤーからの信号線をヘッドアンプに繋ぐか或いはバイパスするかを入力・出力双方で完全に切替えます。 MM型カートリッジの場合にはバイパスするのですが、リレーには電流が流れず、ヘッドアンプ用オペアンプも作動は停止します。

リレーを2個に分けたのは微弱な信号が通るので、そのラインが長くなるのを避けるためです。 結構贅沢な追加ですが私はまだ1000枚ほどのLPアルバムを所有しているので、レコードプレーヤー関連の出費は贅沢とは言えません。

これで全基板のレイアウトを最終とすべく集中してまとめ上げました。 右側のうなぎの寝床
の様な基板にはヘッドアンプとイコライザーアンプが入ります。 ヘッドアンプ部は最もノイズ
に邪魔されない位置となり入力端子(RCA端子)にも近くなっています。 既に述べたように
このヘッドアンプは2個のリレーに挟まれたレイアウトですが、ちょっと離れてイコライザーが
位置しています。  これの出力は入力セレクターに流れ、入力セレクターの出力は隣のボ
リュームに進み、その後トーンコントロール基板へと流れます。

 次がトーンコントロールアンプ基板で、前段に9.2倍の増幅度とバッファーの役目もするオペアンプが
 あり、それにNF型トーンコントロールが繋がります。

 3Pの電源コネクターが二つ付いていますが、隣の大きなブロックに存在する電源回路から電力を受
 けるのと同時に、イコライザー・ヘッドアンプに受け渡すためです。

 この基板には2連VRを2個繋がないとなりませんが、その結線とBoost、CutがVRのどちらの端子に
 なるのかを記入しておきました。 これで左側に回しきった側の端子にこの図の黄色○から接続すれ
 ば良いことになります。 実体配線図ほどではありませんが、これで配線が楽になるでしょう。

 最後が電源基板で、デジタルパワーアンプ用とそれ以外の
 オペアンプで動作する回路群用に分かれています。 前者は
 電源基板といってもトランス、整流器はケースに直付けですか
ら、4本の大容量コンデンサー(3,300μF x 4)しか基板には載りません。(右中央上の基板)

オペアンプ用の電源基板には24V出力(中間タップ付き)で電流容量が250mA取れるトラン
スを基板に載せています。 その位置はケースの残りのスペースで最もノイズの弊害を出さ
ないような場所を左端手前と決め、基板をL字型にして残りの整流器、遅延動作のリレー、
そして2色LEDのコントロール回路に6本の1000μFの電解コンデンサーなどがロジカルに収
まるよう、L字型にして実装面積を稼いでいます。

 基板が最終に近いものに出来ましたので、ケース内
 レイアウトも最終仕様とすることが可能ですので、
 ヘッドアンプ追加などの変化を含めて再検討しまし
 た。 その結果が左の図のとおりです。

 内部レイアウトは左側の大きなブロックは、これ以上はもう入らない(2層にすれば入るが)
 という満杯の状態です。 但し各ブロックや本体に直付けの部品配置はロジカルになって
 いると思います。

 フロントパネルは中央から右手が変わっており、右手下のトグルスイッチ(MMとMCの切替
 え)
を加えるスペースを確保するため、上下方向中央に位置していた4個のツマミを上に移
 動しています。 またトグルスイッチの左側には3.5φのミニフォーンジャックを追加します。

 これはAUXの端子で背面に取り付けるRCA端子と排他接続されます。 こうすることで iPod
 Nanoも簡単に繋がります。 また文字はパソコン用プリンターで印刷できるので、
 VIC's D.I.Y. やパネル下部の文字などこれまでと違った表現が出来ます。




2011/04/13

うっかり忘れたフィルター基板など

基板レイアウトをすべて終了したと思っていたら、大事なフィルターと位相反転基板についてすっかり忘れていました。 もっともある仕様のために部材の現物を入手しないとレイアウトは組めないので、所詮先週に全てのレイアウト検討を終了する事は不可能でした。                                         左がこれまで使ってきた5045シリーズで右は今回追加した5046シリーズ
その部材とはコネクターです。 私は電流が余り流れない部分では
Molexの5045シリーズ ストレートコネクターを基板とケーブルの接続用
に使っていますが、私自身は『縦挿し』と称しているように、メス側の
コネクターは基板に対し上から挿し込むようになっています。
通常はこれでよいのですが、デバイディングネットワーク用の2枚の基
板と位相反転回路と2倍増幅/低域ブーストアンプを含む基板1枚は
30mmのスペーサーを挟んで連結して90度回転させて固定します。

このブロックには3Pの電源コネクターが合計で5個、入力/出力信号用
の2Pが8個、3Pが1個、4Pが4個と合計で13個ものコネクターが使わ
れます。 そしてこれらは『縦挿し』ではメスコネクターの挿入は可能な
ものの引抜が極めて困難(ロックを解除し難いため。)なので、ライトア
ングルコネクターと称する『横挿し』タイプを使わないとなりません。
但し下の写真のようにライトアングルタイプは占有スペースが大きく、
メスのコネクターを含めた頭が飛出ないように固定すると基板の大きさ
が増大します。 よって現物を入手後でないと基板のレイアウトも最終
のものを作れません。

2種類のオスの3Pコネクターをコネクター位置(赤い線)を揃えて挿すとその右側に出る量が異なる。 メスのコネクターを挿してその頭が出ないようにすると、そのスペースは穴の間隔で5以上(13mm以上)必要になる。


 縦挿しを横挿しに変更する時以前のレイアウトのままコネク
 ターがはみ出ないようにすると基板の奥行が長くなり、直付
 けする整流器やリレーと干渉しかねません。
 デバイディングネットワーク基盤はオペアンプ1個に周辺部材
 ですから奥行きはあまり大きくなりませんが、位相反転と6dB
 増幅の基板ではオペアンプを2個搭載するので、かなり奥行
 が必要になります。

 そこで前後方向を圧縮するようなレイアウトを再検討し無理
 やりの感があるものの何とか収めました。 左がデバイディン
 グネットワーク用の基板で、これが1チャンネル分ですから
 2枚必要になります。 そして右が位相反転回路と6dB増幅/
 低域ブースト回路が入る基板です。

 最終的に基板を固定した状態でも接続をしたり外したり出来
 るよう、コネクターの出る位置は背面か上面に限定していま
 す。 このためジャンパー線を使わないと配線がやたら長くな
りますので、通常より多くなっています。(灰色の線が裏面のジャンパーで青白い線が表面のジャンパー)

左側の基板を2枚30mmスペーサーを使って挟み、その上に右の基板を同じく30mmのスペーサーを介してM3の長ネジで連結し左に90度回転させて出来たブロックをシャーシに固定すれば、信号は右側のシャーシ内のトーンコントロール回路からブロックの右手にやってきて、ブロックの左端からパワーアンプに流れてゆきます。 信号のフローもまずまずと言った所でしょう。



2012/04/20

基板のアセンブリーは進んだのですが?

このテーマのデバイディングネットワーク基板の動作が気になっていたので、手持ちの大きな端材の穴あき基板から、2種類の電源基板、デバイディングネットワーク基板を2枚、トーンコントロール基板、ヘッドアンプ/イコライザー基板、位相反転/ローブスト基板と残り全ての基板を切り出しました。 そしてまだ余りがあるので、デスクトップアンプ用のイコライザー基板も切り出しました。

切り出しは電動ジグソーですが硬いエポキシ基板の切断なので、鉄工用ブレードを使っています。 また切断精度を上げるのが不可能なので基板と基板の間は穴のスペース(2.54mm)分あけています。 そして線を引けませんからマスキングテープを貼る事で切断線としています。

切断は何事もなく順調に進んだのですが、切断が終わって付着した切り屑をブラシで落としている間に何かイヤーな感じがふっとよぎりました。 そして数秒後にそれが何であるかがはっきりしました。 電源基板のひとつはL字型になるのですが、裏表を逆さの状態で切断したのです。 注意が散漫になって作業をしていた結果で、新しい基板を購入して作りなおすしかありません。(シャーシ内の基板のレイアウトはぎりぎりであるので、左右を反転させない限りレイアウト変更では逃げられない。)

大きなポカをして多少気落ちしている状態でデバイディングネットワーク基板のアセンブリーに進みました。 これは2枚製作するわけですが1枚を作り終わったところで、ちゃんと働いているかどうかの確認をした所、ローパス、ハイパス何れのフィルターもVRのツマミを右に回すと遮断周波数が高い方に移動し遮断カーブの精度がどうかは別として一応動いている事が確認できました。

これで一安心とコネクターの部分にメス側の部分を挿し込んでみたら、『あれっ隣同士のコネクターは1スペース空けてやらないと挿し込めなくなるぞ!』ということに気が付きました。  オス側は隣どおしが干渉する問題がなく基板に固定できたのでこんな事に気が付かずここまで来ています。 これら2つのの様子は以下の写真をご覧ください。

切断線が判るようマスキングテープを使っています。 テープとテープの間が穴の1スペースになっている部分の中央を切断しヤスリで仕上ます。

これは半田面を上にして並べていますが、左上のL字型基板は部品挿入面でこのようになれば良いのですが逆になっています。 これが1番目の大ポカ

気を取り直してデジタルパワーアンプの電源基板を作りました。 トランスとブリッジダイオードは外付けのためコンデンサー4本の簡単な回路で問題なく完了。

デバイディングネットワーク基板で1枚が完成しました。 結線して動作させてみた所、所定どおりの動作をしているようでやれやれです。

いちばん右が配線終了でその左がもうひとつのネットワーク基板、更に位相反転、6dBアンプ基板と組み上げようとしましたが、まてよ?

完成した基板にメスコネクターカバーを挿し込んでみたら、コネクターとコネクターの間は1スペース空けないとコネクターカバーが干渉して入りません。(2番めの大ポカ)

頭の中はかなり熱くなっていますので、暫し時間を置いてコネクター固定位置の修正を施してやらねばなりません。 半田付けしてしまった部品を痛めることなく外すのは非常に難しく、組み立てる技術より数倍高い技術を求められますから、最小限の変更で済むようじっくりと考えることにします。

頭を冷やす意味で別な基板、それも簡単なやつをということで、デジタルパワーアンプの電源基板(コンデンサー4本だけ)を組み立てました。 さらにデスクトップアンプ用イコライザーを組み立てて簡単な動作試験をした所、RIAAの補正カーブは正確な測定は後程として1dB以内の誤差になっていそうな事だけは確認できました。  但し出力になんと-0.6〜-0.7VのDC電圧が出ています。 残るヘッドアンプ/イコライザー基板も組み立ててそれと較べる事にしましたが、やはり-0.7〜-0.8V位のDC電圧が出ています。 これはオフセット電圧のようなのですが余りにも大きいのでその原因は?と頭をひねって暫く考えた所、私がある事をすっかり忘れていたのに気が付きました。 (これが3番目の大ポカです。)

私が設計したイコライザーの回路は信号電圧(交流電圧)のことだけを考えて設計されており、直流的な動作の検討が不十分だったのです。 どういうことかというとこの回路はDC電圧に対する増幅度が400倍以上と大変大きくなっています。 従って入力に発生するオフセット電圧(メーカーのスペックでは0.1mV)が小さくてもDCの増幅度が高いので、出力にはとんでもなく大きな値となって出てきてしまいます。 これ以外にも更にDC電圧が増大する理由があるのですが、それは省くとして何らかの対策を施さないとなりません。

第一の方法は出力コンデンサーを入れてDC電圧を遮断してしまう方法です。
この場合数μF〜10μFのコンデンサーを入れれば済みます。 出力端にはDCは
出ないものの、増幅の過程で音声信号がDC電圧で変調され音質に悪影響を及ぼ
す可能性があります。 但し小さなコンデンサーで済みますから改造も楽です。

 第二の方法は220Ωの抵抗と直列に大容量コンデ
 ンサーを追加して、DC電圧に対して増幅度を1に
 近づける方法です。  左の図をクリックするとその
 動作が判りますが、大きな容量のコンデンサーで
 あればオーディオ領域ではコンデンサーを繋ぐ前と
 全く同じ動作をします。  しかしDC電圧に対してコンデンサーは無限大の抵抗とみなせますから、
 220Ωの抵抗に直列に繋いだコンデンサーは共に無いのと同じになり、ボルテージフォロワーに近
 しい動作をしてゲインは1に近づきます。

つまりこのコンデンサーと220Ωの抵抗でローカットフィルターとしての動作をしますのでコンデンサーの値はあまり小さく出来ません。 簡単な実験をしてみた所220μF〜470μFの値になりそうです。 従って上の場合よりもコンデンサーが大きくなり、より大きなスペースが必要になります。 但し音声信号がオフセット電圧で振らされる心配はありません。

第三の方法はもっと大掛かりで、DCサーボ回路を追加する方法です。 この回路を追加すると等価的にローカットフィルターを入れたことになりますので、オフセット電圧を大きく減少させられます。 DCサーボについてはヘッドフォーンアンプ2で使っていますので、そちらも参考にしてください。 この回路はオフセット電圧を減少させながら音質に悪影響を与えないと言う意味で大変有効なのですが、オペアンプ1個、抵抗6本、コンデンサー2本の追加とかなり大掛かりな変更になります。



2012/04/27

大ポカの修復

暫しデスクトップアンプの2つの基盤作りで頭を冷やした上で、デスクトップアンプのイコライザーのオフセット電圧の修復を先週述べた2番目の方法(220Ωに直列に大容量コンデンサーを入れる。)で試み、問題が完全解決する事が確認できました。 そこでこちらの基板も同じ方法で修復を図ることにしました。

 こちらの基板は一部の部品移
 動でかなりのスペースが出来
 るので、大容量コンデンサー
 は表面に立てています。
 但しその代わりに100PFのコン
 デンサーは裏付けにしました。
最初からこうだったように綺麗に仕上がりました。 その後簡単な動作
テストをしましたが、デストップアンプのイコライザーとほぼ同じ特性が
得られています。(0.1dB以内の違い。)

コンデンサーと抵抗4本をリレーのすぐ横に2スペース移動後、空いた所に電解コンデンサー(矢印)を追加しました。

これは裏側ですが、表面に電解コンデンサーを挿入する場所を作るため、100PFは外して裏に半田付けしました。(矢印先)

 さてひとつのトラブルが順調に修正できて気をよくしましたので、次にデバ
 イディングネットワークのコネクター干渉の修正を致しました。
 こちらは一部のコネクターを最大で2スペース移動するだけで済みます。
 一部の配線が少々長くなりますが動作上問題にはなりません。

 修正後に基板の簡単なテストを致しました。 2枚作った基板の1枚は
 ローパスフィルターのカットオフ周波数が61〜149Hz間を可変できること
 が判りました。 もう一枚では59〜146Hzでした。
 設計値は60〜150Hzであり、使っているC・Rは±5%誤差がありますの
 で、充分に満足すべき結果だと思われます。

 一方ハイパスフィルターの方ではカットオフ周波数範囲は、84〜213Hz
 とかなり設計値からずれています。 もう一枚の基板も同じような周波数
 範囲で、このままでは使えません。 配線ミスは何度か確認し無い事を
 確認しており部品の定数が間違っているわけでもありません。

 暫く考えた結果私の使った計算式が間違っている!と結論付けました。
 左の図は既に紹介しているものですが、ローパスフィルターの計算式は
 ある文献を参考にしたものです。 一方ハイパスフィルターの方は一般に
 はあまり見掛けない使い方(2つのCを等しく、2つのRの値は2:1とするの
 が殆ど)
で計算式が見つけられませんでした。 多分同じ計算式で良い
 だろう? と考え記入しています。  しかしハイパスフィルターの実際の
 カットオフ周波数は設計値の√2倍高くなっているようです。 
 (84〜213Hzを√2で割ると、59〜151Hzと設計値の60〜150Hzに近い。)

 そこでハイパスフィルターの0.22μFの√2倍である0.31μFの近似値と
 なるよう0.22μFに0.1μFを並列に繋いだ0.32μF、および0.11μFの√2
 倍である0.156μFの近似値となるよう0.11μFに0.047μFを並列に繋い
 だ0.157μFでもってカットオフ周波数を調べたところ、変化範囲は58〜
 147Hzと少し低い方にずれたもののかなり設計値に近づきました。

 これ以上の分析は40年以上も使ったことのないので忘れてしまった高等数学が必要とあってとても無理ですが、上の実験から左の図の下の計算式を fc = 1/πCR に置き換えてよいのではと思われます。

現実の対応法としては、0.22μFには0.047μFを2個並列にした0.314μF、0.11μFには0.047Fを繋いだ状態の0.157μFでカットオフの周波数特性を5点位変化して測定し、問題が無ければ良しとします。

さて残る基板は、トーンコントロールとL字型の電源基板です。 既に組み上がったブロックとケース内に固定する主要なパーツは以下のようです。

まだ出来ていないL字型の大きな電源基板とトーンコントロールが加わると量産品ではありえないブロック点数の多さになります。(ブロック間の結線で部材コストと手間が増える。) 手前の3つは立てて30mmスペーサーで挟んで組み上げますので、容積という意味ではそれほど大きくなる事はないでしょう。



2012/05/04

残る基板の製作

 まず3つの大ポカのひとつであったL字型電源ブロック基板を切りなおして組み立てました。
 完成後動作改善のために定数をいじっていますが、左は最終的な定数になっています。

 この電源は8個のオペアンプと2個の24V リレーを駆動しますが、オペアンプは1個で10mA
 電流が流れますので合計80mA、リレーは電源で使うパワーリレーが69mA、ヘッドアンプ
 使用時に2個で41.6mA、他にはLEDが1mAですので、最大で192mA、最低で140mAの電
 流を供給すると計算されています。

 そこで電源出力±両端に220Ω 10Wのダミー抵抗を入れたところ、出力電圧は±13.6Vに
 なりました。 消費電流は124mA流れており、上記の最低値よりも下目です。 従って実際
 の出力電圧は更に下がるでしょうが、設計値の±12Vよりは少し高くなるでしょう。 この電
 圧で壊れる素子はありませんのでこのままにします。
 (参考までに最も耐圧が低いのはオペアンプで±18V。)

この電源基板にはデジタルパワーアンプが発生するショックノイズ対策のため、スピーカーを遅延接続する回路が組み込まれており、外部接続のパワーリレーを駆動します。 ここで動作実験をしている間に私の勘違いを発見しましたので定数変更をしました。 2SD1899のベースに繋がる抵抗680KΩは大きすぎて十分なベース電流を供給できませんので、この抵抗値をを100KΩに変更しました。 そうすると100μFのコンデンサーと形成した時定数が小さくなり遅延時間が短くなりすぎます。 そこで100μを470μFを2本並列に変更しました。 この結果遅延接続時間は約2.5秒になっています。 これでも短すぎる場合には更にコンデンサーの容量を追加する事になります。

切断し直した電源用のL字型基板。 穴あけなどの2次加工も済ませてあります。

組立が終了した電源基板。 外付けの部材はパワーリレーで、最終的にはケースの底に固定します。



トーンコントロール回路基板の製作

次にトーンコントロールの基板を組み上げました。 例によって簡単なテストをしましたが、Bass Treble共に機械的な中心位置にセットして1kHzの方形波を通してみた所、原波形に極めて近い出力波形が観測できました。

これはVRの中心位置でほぼフラット(うねりがあってもごく僅か)であることを意味しており、大変満足できる結果です。 但しBassブーストの場合オフセット電圧がかなり増加します。 これはこのトーンコントロール回路の低音側はDCアンプになっており、ブーストMaxではDCゲインが10倍以上あるため、入力のオフセット電圧が増幅されてしまうからです。 これを軽減する方法として出力にDCカットのフィルター(1μFのコンデンサーと22KΩの抵抗)を挿入しました。(左の矢印の4点の部材)
但し後ほどこのあとにデバイディングネットワークを繋いで総合的に動作させたときの状況により、22KΩの抵抗を外してしまう可能性があります。

VRとの間は細いビニールコードで結線しているが、3本を軽くよじって煩雑な感じにならないようにしている。 最終的には長さは短くて済むので、シールド線も使っていない。

このトーンコントロールはオペアンプ(LME49720)のデータシートに掲載されたものの定数を私好みに変更したもので、変曲点は下記のとおり。 一般に見られるものより低域変曲点は下の方へ、高域変曲点は高い方にずれており、大袈裟な効きかたをしないようにしている。



VRを機械的な中心にセットしたときだが、現波形に極めて近しく、周波数特性におけるうねりはごく僅かであることを示している。

低音を最大ブーストしたときの波形で、右の最大カットしたときの波形を左右反転したようになっている。

ACアンプの低域方形波特性のに発生するサグが極端に発生したように見える。

急峻で高いレベルのオーバーシュートの形となっているが、リンギングが全く見られない。 従って動作は安定していて発振の心配はない。

高域減衰が極端に起きたことを表す典型的な波形。 こちらもリンギングが全く見られない。


位相反転/ローブースト回路基板の製作

デバイディングネットワーク基板2枚と組み合わさる位相反転/ローブースト回路基板を組み立てました。 これが最後の基板になります。 ややこしい動作をさせている部分はないので、淡々と製作は進み動作テストを済ませています。 この基板に含まれるローブースト機能は単純な2倍の増幅器だけではもったいないと追加したものですが、使うサブウーファーが役不足だったりする場合トーンコントロールによる補正では中域がブーストされるので困る!といった場合に有効に使えます。 因みに低域補正の立ち上がりは111Hzと低めにしているので、中域が被るような事はないでしょう。 替わりに最大ブースト量は10dB弱に留まります。

手前のVRはウーファーのゲインコントロール、奥がローブーストコントロールです。 両面基板を使っていますが、偶々端材で適当なサイズがあっただけで、片面の方が作りやすいです。

位相反転回路には2つの出力がありトグルスイッチで切替えますが、上がノーマルで下は極性(位相)が反対になった波形です。

バスブースト回路に1KHz方形波信号を入れました。 レベルコントロールをミニマムですが周波数特性は完全にフラットになっています。

こちらは右へ回しきった状態で、10dB近く低域がブーストされています。



2012/05/11

デバイディングネットワークの調整

デバイディングネットワークのハイパスフィルターはコンデンサーの値をこのよ
うにすれば良いのでは?というところで止まっており、それで本当に良いのか
どうかの確認をしておりません。 そこでこの作業をやっておく事にします!と
いうことで始めたのですが、簡単には終わりませんでした。

右の図が採用している回路でカットオフ周波数の変化は抵抗値によります。
前回申し上げたようにローパスフィルターはC=C3=C4 x 2とした時にカットオフ
周波数は、f = 1/√2 x π x C x Rとなりますが、ハイパスフィルターは
C1=C2 x 2としたこのような回路を使われることが大変稀で、文献の中から計
算式は探せませんでした。 但しC1=C2 x 2の関係さえ維持できれば、カット
オフ周波数がどうなるか判らないだけで、フィルターの性能には影響しません
ので、C1、C2を変えてカットアンドトライで探し出せば良いわけです。

ところで簡単に進まなかった原因は発振器の出力電圧が周波数を変えると
変化してしまうため、常に出力電圧を監視しアッテネーターで調整してやらね
ばなりません。 正直言ってこれまでのテストでは発振器の出力電圧チェック
をしていませんでしたので、前回のテスト結果も全く信用できませんし、計算
式も成り立たないことが判りました。
よって2つのコンデンサーの容量の比は2:1の関係になる!!という基
本を守りながらコンデンサーの値を変えてそれによるカットオフ周波数測定と
いう正にカットアンドトライの手法で進めました。

そのカットアンドトライによる定数の追い込み作業結果を一覧にすると次のと
おりです。 実験番号の後のAまたはBは基板番号を表しており、Aが満足で
きる段階になってから基板Bを改造し同様にテストしています。 尚カットオフ
周波数の設計値は60〜150Hzですので、これに近いほど良い事になります
が、目標としては設計値の±5%以内に入ることとしました。 従って低い方のカットオフ周波数は57〜63Hz、高い方のカットオフ周波数は143〜157Hzということになりますが、その範疇に何とか入れることが出来ています。

実験
番号
C1の値(実験5ではC3) C2の値(実験5ではC4) C1/C2 VR Min
カットオフ
VR Max
カットオフ
コメント
1A 0.22μF(0.22のみ) 0.11μF(0.1+0.01) 2.00 84Hz 213Hz テスト方法に不備あり。
2A 0.32μF(0.22+0.1) 0.157μF(0.1+0.01+0.047) 2.04 58Hz 147Hz テスト方法に不備あり。
3A 0.314μF(0.22+0.047+0.047) 0.157μF(0.1+0.01+0.047) 2.00 71Hz 169Hz テスト方法修正後
4A 0.363μF(0.33+0.033) 0.183μF(0.15+0.033) 1.98 62 151 この誤差ならOK!
4B 0.363μF(0.33+0.033) 0.183μF(0.15+0.033) 1.98 61 155 この誤差ならOK!
5A 0.22μF(0.22のみ) 0.11μF(0.1+0.01) 2.00 68 154 ローパスフィルター
5B 0.22μF(0.22のみ) 0.11μF(0.1+0.01) 2.00 66 155 ローパスフィルター
6A 0.2268μF(0.22+0.0068) 0.1133μF(0.1+0.01+0.0033) 2.00 63 152 ローパスフィルター これならOK!
6B 0.2268μF(0.22+0.0068) 0.1133μF(0.1+0.01+0.0033) 2.00 63 151 ローパスフィルター これならOK!

結果としてハイパスフィルターのカットオフ周波数は設計値に対して約3%以内の誤差となっており、ローパスフィルターよりも良好となりました。  そのローパスフィルターは所定の周波数に対してコンデンサーの容量が少ないようでしたので補正しほぼハイパスフィルターの誤差と同じになりました。 尚ハイパスフィルターのコンデンサーの容量比は2:1になっておらず1%の誤差がありますが、この程度の狂いはフィルターの動作上問題ないと思います。

補正後の誤差はローパス、ハイパス共に5%以内の誤差となっており十分満足できる状態です。 追加したコンデンサーは表面にはもうスペースがないので裏面に接続しています。

ハイパスフィルターの最終改造後。 左の表面側は0.22μFを0.33μFに、0.1μFと0.01μFは0.15μFと0.033μFに交換しました。 右は裏面ですが、0.33μFには0.033μFを裏付けで並列に繋いでいます。 最終的にはローパスフィルター側も0.0068μFと0.0033μFを裏付けしています。
3つの基板を30mmスペーサーを使って連結してみました。 左は前側です。 右の写真の後ろ側と上側に沢山見えるコネクターを使って基板間の接続はなされますが、新たに出てきた問題をどうするか決めるまでは作業ストップです。

新たな問題は何かと言うとフロントパネルに貼り付ける紙をどうするか? という問題です。 私もうっかりしていたのですが、ヘッドフォーンアンプ2のフロントパネルの加工中に気づきました。 それはA3の用紙ではパネル幅に対して小さすぎる!ということです。

A3は大きいというイメージが頭の中を去来していたのですが、A4の2倍の大きさですから、幅は297mm、長さは420mmになります。 まてよ!? この420mmは2つのシャーシ連結後の幅では? ということで確認した所そのとおりでした。 外観的なイメージは2つのシャーシを連結してその両側に12mm厚の化粧板を貼り付けて総幅を444mmと考えていました。  自作オーディオラックの内寸幅が449mmであることから考えた幅です。 貼り付ける紙の長さがシャーシ2つを連結した幅と一緒ということは、全く余りなく印刷しないとなりません。 そんな事は事実上不可能なので、何とかこの寸法問題を解決できる方法を決める必要があります。

1番目には更に大きい紙を捜すことですが、印刷品位を落とさない表面の滑らかさが良い紙というとやはりインクジェット専用紙が欲しい所です。 候補としてはA3ノビサイズが考えられます。 これを在庫している店は少ないですが、サイズが幅329mm、長さ483mmと450mm位までの印刷ならなんなくこなせます。 価格は50枚で\1,000前後で、既にA3のインクジェット紙を100枚も買ってしまった私としては"痛っ"といったところです。

2番めの方法はデザイン処理で逃げる方法で、パネルをツートーンで仕上ます。 そして色の境目を継ぎ目として450mm幅を2分してやることになります。 この方法で行ければ手持ちのA3サイズで十分行けますが、デザイン上みっともない事にならないかどうか難しいところです。

3番目は300mmと120mmのシャーシを連結して420mmと考えていたのですが、120mmのシャーシを外して300mmシャーシの前後を幅400mm位のパネルで挟み、シールド効果を確保するよう上下と右端を薄いアルミ板で覆う方法です。  こうすると印刷長は400mmを確保できれば良いので420mmで間に合うはずです。 その両側に18mmの板を貼れば総幅は436mmとなりラックに収めた時に左右に6.5mmずつの隙間が出ますが、これは問題ないでしょう。 この方法ではシャーシ、ケース加工の手間がかなりのものになります。

他にもアイデアがあるかもしれませんが、少々頭を冷やして考える事にします。



2012/09/28

ケースの製作開始

デスクトップスリムアンプが完成しましたので3種類のアンプのしんがりとなるテレビ連動アンプのケースの製作に取り掛かります。
このテーマの最後にお伝えしたのが5/11でしたから約4ヶ月半中断していたわけですが、その間に余りのんびりしてられないぞ!という事態が起きました。 それはTVの買い替えです。 以前のTVは57V型のリヤープロジェクションタイプでしたが今回は55Vの液晶パネル型です。 購入価格はほぼ半分で画質を始め殆どの点で以前の物より格段に良いのですが、ひとつだけあきらかに見劣りする部分があります。

それはスピーカーです。 どの程度の口径のスピーカーが付いているのか不明ですがTV本体の厚みは約30mm、そして額縁の幅が最大30mm位になっており取り付けられるスピーカーの大きさはたかが知れています。 以前のTVには13cmの全域型が取り付けられており結構まともな音が出ていたので、これはなんとかしないとなりません。  というかこうなる事態を想定してこのアンプの製作構想がスタートしているわけです。 従って可及的速やかに作業を進めることにします。

さて中断する前に悩んでいた件ですが、A3ノビのマット紙でフロントパ
ネルを覆うことにします。 勿論そのままではA4のプリンターには通り
ませんが、縦長に半分に切断すれば物理的なパスはOKになります。
この後はソフト的に大きな紙への印刷が出来るかどうか実験してみま
した。

実験印刷するファイルは、後ほど御紹介する前面外観図とします。
これはほぼ実寸大で描かれていますから都合が良いです。 Excelに
てこの図の全てを印刷範囲と設定します。 用紙はA4のコピー用紙を
セロファンテープで縦方向につなぎ、用紙設定を210 x 594mmとしまし
た。 これでキャノンのPIXUS iP 7100というA4中級機で印刷したもの
が右の写真です。

中央右寄りに縦に光っている部分がありますが、これが2枚の紙のつ
なぎ目のセロファンテープです。 紙の大きさが判るようコンベックスの
目盛を一緒に写し込んでいますが、実寸大印刷の為アンプの横幅が
450mm弱である事が確認できます。

ということで、A4サイズのプリンターで見事印刷できる事が判りましたので、外観、ケース構造、ケース各部の寸法、フロントパネルの詳細、内部レイアウトの詳細をファイナルとすべく作業に入りました。

 先ず外観ですが左の図の如くまとめました。 ケースの大きさは420 x
 200 x 100mmですが、これは大小2つのケースをつないで実現します。
 これから前面は420 x 100の大きさになりますが、同じ大きさで厚み
 2mmのアルミ板を部品取り付けのネジで共締めにすると共に一部は接
 着します。 このアルミ板の上に文字入れをプリンターでした紙を貼り付けます。 こうした場合フロントパネルのエッジ部分は紙がめくれてみっともなくなるので、側板と飾りアルミ棒で4mm被せてめくれを防止します。 側板の4mm被せは4mm厚シナ合板によりますが、側板本体は9mm厚シナ合板との貼り合わせになりますので、視覚上は13mm厚に見えます。

ケースの詳細寸法については右の図をご覧下さい。 この図で薄い水色
で着色した部分がシャーシを表します。 フロントパネルは同サイズです
がその断面(厚み2mm)は薄いベージュとしています。 前面の赤線で
記載した部分がアルミの飾り棒でデスクトップスリムアンプのブラケットに使った断面がJ型の物です。 横断面図ではピンク色に着色しています。 これと側板による被せからフロントパネルとして見える部分は412 x 92mmとなります。 尚この図で青の2点鎖線で描かれているのはツマミですが、小さなツマミだけはパネルに13φの穴をあけて貫通して取り付けることになります。

 さてケースの中に全ての部材、ブロックがロジカルに納まるかどうかは非常に重要
 ですので、図面で持ってかなり時間をかけて検討しました。 その図が左のとおり
 でほぼファイナルだと考えています。

 図中下2/3は背面のレイアウトを内部から見たように描いてあります。(検討段階で
 はこの方がわかり易い為。)


 この図で1個所妙な描き方をした所があります。
 それは大きな電源トランスで固定ブラケットの一
 部を切断したように描かれています。
 この電源トランスには上下2つの固定用ブラケッ
 トが付いていますが、下の物は横への張り出し
 が大きくて、他のブロックと干渉してうまありませ
 ん。 ところが上のブラケットの張り出しは3.5mm
 (両方で7mm)減り、他のブロックとの干渉が軽
減されます。 このブラケットはボルトを緩めれば簡単に外れますので、刃研ぎグラインダーで削って上下のブラケットの横への張り出しが同じになるようにしようと考えています。(右図参照)

ところでご覧のとおりこのレイアウトは右側の小さなシャーシ内はゆとりたっぷりに対し大きな
シャーシ側の水平方向はブロックの固定位置を数ミリずらしただけで干渉を起してしまうような
ぎりぎり状態になります。 垂直方向はそれ程窮屈にはなりませんので、3個のACアウトレット
やスピーカーターミナルをデジタルアンプの上の空間に設置と若干苦し紛れのレイアウトになっ
ています。  このレイアウトが問題ないか確認する為実際にブロックを並べてみたので次の写
真です。

2つのデジタルアンプ基板の下側に黄色い線が引いてありますが、これは完成後の長時間実働テストにて発熱量を確認した上で放熱板が必要かどうか判断する事を意味しています。(販売していたカマデンは放熱板不要としていましたが、一応安全を見ています。) 




2012/10/05

ケースの製作2

 ケース構造の最終確認をしている中で、ここで使う大小2つのシャーシは蓋付きであったことを思い
 出しました。 これまではシールド効果を持たせる為に真鍮の網を木製天板に貼り付けることを考
 えていましたが、アルミ板の蓋を使わない手はありませんので設計変更しました。 左の図がそれ
 で、ピンク色の飾り棒の横の紫色で塗りつぶした物が蓋になります。 蓋のアルミ板は板厚1mmで
 すので、これに貼り合せる木の天板の板厚は4mmとして合計5mm厚となるよう変更しました。
 また以前はJ型断面のアルミ棒に天板が被る部分を座ぐることにしていましたが、J型断面のアルミ
 棒とアルミ天板が段差無しで繋がりますので、座ぐりは致しません。

もうひとつの変更は13mm厚側板の収め方です。 以前は420mm幅
のシャーシに9mm厚の側板を当てる構造としアンプの総幅は438mm
でした。 そして4mm厚の棒をパネルの端に貼り付けてやることで、
前から見た側板は13mm厚に見えるようにしていました。 ところがこ
うすると側板の上面は9mm厚となり、妙な見え方になります。
これを改善する方法を考えたのですが良い知恵が浮かびませんので、
側板を最初から13mm厚(9mmと4mmの貼り合わせ)とし、アンプ総
幅を446mmに増加させることにしました。(オーディオラックの内寸幅
は449mmですから挿入が困ることはありません。)


こうしておいて側板に溝を彫りそこにフロントパネルを落としこんで紙の剥がれ防止とします。 これによりフロントパネル幅はシャーシより4mm大きくしますが、これらの変更を反映した寸法図を描き直したのが右上の図です。 またこの描き直しの中で、先日試しに印刷した前面外観図は幅が大きく高さは小さくなっていたので、幅は縮めながら高さ方向は引き伸ばす調整もしています。

 そしてこの図面に文字を加え寸法線等を消したパネル面の印刷用図面
 を左のように起しました。 パネル面の色味についてはまだ決定してい
 ませんが、何がしかの淡い着色を施すつもりです。
 以上のフロントパネル加工/寸法図と文字印刷用図面を試しに印刷した
 写真をこのあとお見せしますが、以前あった縦横の実寸法の狂いはパネ
 ル総幅(424mm)で0.2mm以下の誤差に収まっています。
この上と右上の図はモニターで見ると縦方向が延びていますが、先ほど申し上げたように縦方向は延ばし、横方向は縮める調整をしたためで、印刷すると正しく表示されます。

これでやっとパネル切り出しから作業に取り掛かりました。 以下の写真も参考にご覧下さい。

構造を一部変更し、印刷時の寸法誤差を調整後A42枚に印刷し繋ぎ合わせたフロントパネル 加工/寸法図です。 寸法誤差は総幅(446.5mm)に対し0.2mmしかありません。

上の図をコピーして寸法線等を消し、印刷すべき文字を入れてフロントパネル印刷の版下としました。 パネルの加工が済んだら、その上に貼り付けます。

フロントの文字印刷をするA3ノビ サイズの用紙を入手しました。 表面はマット面です。

その用紙を縦半分に切り分けました。 寸法では483 x 165mmとなります。

フロントの背景色を若干変えた3枚を印刷しました。 これらから1枚を選ぶ事になります。 一方穴あけ用テンプレートはA4 2枚に印刷しました。 ここでは縦に並べていますが貼って繋ぎます。

やっと加工に入れますのでフロントパネルの切り出しをしました。 厚み2mmのアルミ板で、切断方法は非鉄金属用ジグソーブレードです。 その後ヤスリでドンピシャとなるよう寸法調整をしました。



2012/10/12

ケースの製作3

10月6日から8日まで3連休とあってケース製作がかなり進むはずでしたが、その間に運動会があるやら、同窓会があるやらで結局1日しか作業に使えず余り進んでおらず、パネル加工はまだ終了していません。

先ず2つのシャーシを連結します。 方法はM3のネジ6本で2つのシャーシを繋ぎます。 大きなシャーシの6箇所に3φの穴をあけました。 次にバクマクランプ2本で2つのシャーシを挟みます。 こうしておいて大きなシャーシから3mmのドリルをフレキシブルジョイントに取り付けて小さなシャーシに穴をあけました。 そしてM3のネジで締結して終了です。 これだけでは心許ない感じがしますので最終的にはエポキシ接着剤も併用しますがそれは最後のアセンブリー段階とします。

次に切り出したフロントパネルに両面接着テープで穴あけのテンプレートを貼り付けてセンターポンチで浅いマーキングを付けます。 これを深いマーキングにしてしまうとアルミ板が反ってくる可能性がありますので決して深くしてはなりません。 そしてシャーシの所定の場所にフロントパネルを当ててバクマクランプで固定し穴あけを開始しました。 但しこうしたときにはいきなり太いドリルを使ったのでは浅いマーキングは役に立ちません。 そこで私は1.5mmから穴あけをスタートします。 1.5mmの次はLEDが取り付く部分に2mmのドリルで貫通穴をあけます。 その他の場所は3mmのドリルとします。(トグルスイッチのレバーが出る小判状の穴は3mmを2個あけてからヤスリで小判状に広げますので、3mmで終了です。)

ボリュームとかロータリースイッチの取り付く穴はもっと大きくしますが、パネルをシャーシに仮固定する為3mmをあけたら一旦止めます。 ここまできたら仮固定していたバクマクランプを外して3mmの穴のあいた所を数箇所ネジ止めしてパネル位置がずれないようにし、デバイディングネットワークブロックの6個の可変抵抗のツマミが出る穴を加工します。 私は3mmの穴があいているところを5mm、7.5mmのドリルで拡大し、さらにリーマーで10mmまで広げてから太さ11mmの丸棒やすりで12mmまで削り、更に回転ヤスリをFDD-1000に取り付けて、12.6mmまで広げました。 ツマミの直径は12mmですのでツマミとパネルの間に0.3mmの隙間が出来る事になります。(隙間が均等であれば?)  手加工であれば恐らくこれ以上小さく出来ない隙間だと思いますし、穴の位置と6個のツマミが一致していないと意味ありませんのでもう少し後でそれらを確認しながら最終としますが、この6個の穴あけはこのパネル加工作業で一番難しい部分だと思いましたので、最初に手をつけ6時間以上手間を掛けました。

次にトグルスイッチの穴あけを致しました。 こちらも最大径4mmの丸棒ヤスリと1辺4mmの正方形断面のヤスリを使って小判状に広げます。 言うまでも無くアルミ板は2+1の3mm厚ですからこんな細いヤスリで削るのは一苦労ですが、4個の穴を4時間掛けてあけました。

残りの穴は7φが3個、8φと9φが1個ですが前者は6.5φの、後者は7.5φのドリルで拡大してから丸棒ヤスリで仕上げました。(30分) 最後にテンプレートを剥がし、両面テープの粘着材を落としてパネル加工作業は終了です。

大きなシャーシと小さなシャーシをクランプで連結しておいて、ネジ穴をあけています。 狭い場所での作業なのでフレキシブルジョイントと低速のFDD-1000の組み合わせです。

6本のネジでシャーシを結合してからフロントパネルを所定の場所に当ててクランプで固定しました。 フロントパネルには穴あけのテンプレートが既に貼られ、センターポンチでマーキングもされています。

LEDの光が見える穴は2mmですが、その他は全て3mmの穴をあけておいてからクランプを外し、それらの穴の一部をM3のネジで固定しました。 クランプで固定するよりこの方が作業しやすいです。

1.5→3.0→6.0→7.5とドリルで穴を広げ、リーマーで10φにしてから丸棒やすりで12φに広げ、最後に12φの回転ヤスリで12.6φまで削りました。(なんと6時間掛かりました。)

テンプレートに描かれた穴の線の一番外側の縁まで削りました。 真円度、揃った直径(12.6mm)、研削断面の綺麗さなど手研摩としてはかなり上等に仕上がったと思います。

次がトグルスイッチ用小判型の穴です。 左が3mmの穴二つをあけた所ですが、最大径4mmの丸棒ヤスリで3.5mm位まで丸穴を広げ、最大4mmの正方形ヤスリで2つの穴の間を削り小判の幅を4mmにして丸穴を4mm径にします。(右写真)

残る7〜9mmの穴あけは簡単。 フロントパネルの加工が無事済みました。 フロントパネルのテンプレートは剥がしアルミ板に付いている粘着剤も綺麗に落とします。



2012/10/19

ケースの製作4

もっとも手間取るフロントパネルの加工が終わりましたので、シャーシの背面の加工、回路基板、トランスなどを固定する穴あけへと進みました。 穴あけの難易度はぐんと下がりますから全部で40個以上にもなる穴あけもすいすいと参りますが、その前に回路基板、トランスの配置は念には念を入れて検討する必要があります。

加工する穴は殆どが丸穴ですが、ACコンセントとACインレットについては四角或いは変形六角形です。 これらの穴は電動ジグソーに円切り用ブレード(mini-Shopで販売しているNo.5)を使って図形の内側を切り取りヤスリで仕上ます。 円切り用ブレードを使う事で曲線切りも容易ですから広範な大きな穴の切り取りに応用できます。

丸穴については私の標準工程では、先ず1.5φのドリルであけてその後は2mm前後のステップで目的の直径より0.5ー2.0mm小さい穴まで大きくしてゆきます。 例えば8φの穴でしたら、1.5φ→3.2φ→5.0φ→7.5φとします。 その後丸棒ヤスリで8.0φに広げてやります。

1.5φからスタートするのはセンターポンチでのマーキングが浅くて小さなものでも良いからで、アルミ板や薄い金属板の場合深いマーキングを施すとマーキングした周りが飛出たり板が曲がったりするのを防ぐ意味があります。

ここまでの作業の様子は以下の写真をご覧下さい。

シャーシ背面の加工ですが、全ての穴は1.5φの穴をあけることからスタートします。 この写真はその後3.2φのドリルで拡大したところで、アース端子(左から2番目)とACコンセント、ACインレットの固定ネジ穴はここで終了です。

RCAピンジャック、スピーカー端子、ACコンセント/インレットの抜き穴部分は6.0φ、7.5φと広げました。 そしてRCAピンジャック穴は丸棒ヤスリで8.0φに広げて終了です。

スピーカー端子穴は10φに拡大しました。 私の使っている10φのドリルは切れない代物で汚らしい穴になりますが?

その後太い丸棒ヤスリで12φとなるよう広げます。 この段階で丸穴の切り口も綺麗になります。

ACコンセント、ACインレットの穴は電動ジグソーに曲線切りのブレードを取り付けて切断します。

円の左端から四角の左の辺の内側に沿って切断します。

円の右端から左へ曲線を描きながら切断し穴を広げます。

そんなことを繰り返しながら内側を切り取りました。

そして墨線のところまで平ヤスリで削って終了です。

それらの穴にはこんな風にACコンセント、ACインレットが入ります。

シャーシの底部には電源トランス、回路基板、リレー、整流器などを固定する3.2φの穴が40個近くあけます。 また左右の側面には木製側板を固定するネジ穴が4個ずつあけられます。

シャーシに固定される全部材を仮止めしてみました。 スピーカー端子穴が若干小さい、電源トランスの右側に1mm厚のスペーサーを挟む必要がある、などの若干の問題を発見しましたので後ほど修正します。

シャーシの加工はまだ全て終わったわけではなく、天板固定のネジ穴切り、2個のトグルスイッチ固定用金具製作・貼り付け、デバイディングネットワークブロックの固定金具製作・貼り付け、などが残っています。



2012/10/26

ケースの製作5

 シャーシの加工はちょっとお休みして、シャーシに接着するトグルスイッチ4個とデバイディン
 グネットワークのブロックを固定するブラケットを作っておきます。 左側の2つはトグルスイッ
 チを固定するブラケットで、幅15mmに切断した1mm厚のアルミ板を曲げて作ります。
 また右側はディバイディングネットワークブロックを固定するブラケットですが、こちらは10mm
 幅のL字型押し出し材を加工・切断します。(詳しくは左図をクリック)

次にシャーシにM3のネジ切りをします。 このアンプの天板の固定法はデスクトップアンプに非常によく似ています。 既製品のアンプでは天板をネジ止めすることはしませんが、私が作るアンプはシャーシを逆さに使い空いた上面は平板の金属天板をネジ止めする構造を使う事が多いです。 その理由は一般に使われるコの字型のカバーは自作が不可能であり、既製品を使うか特注するしかなく、サイズの自由が効かないか費用が大きいなどの問題があるからです。 この場合ネジの頭が格好良くありませんが、ネジの頭の厚みが1mmという超扁平飾りネジを使う事で解決できています。

下の写真の黄色と赤の線で十字を描いた5箇所を天板固定ネジのネジ穴とします。 右の2箇所はもともとシャーシにあいていたネジ穴を使いますが、その他の3箇所は2mm厚の裏補強をした上でネジ切りします。


シャーシに雌ネジが切り終わったらアルミ板の天板加工に進みます。 先ず大きなシャーシの方の蓋に、追加した雌ネジにボルトが通る穴をあけます。 そして放熱口をあけます。 放熱口の直径は3.5mmで6mmの間隔で1列47個で9列の合計423個としました。 9列の真上は4mm厚シナ合板の天板に切られた幅3mmの溝になりますから、開口率が50%程度の放熱口になります。 幅が300mmあるので、電源トランス中央部、ブリッジダイオード、デジタルアンプのICなどの真上になり一応ベストの配慮ではないかと思います。

 ところで1mm程度のアルミ板に沢山の穴をあけるときには要注意事項があります。
 それは板の歪み発生です。 センターポンチで深いマーキングをすると反対面はか  なり突出してしまい修復不能に陥ります。
 左の写真はその失敗例です。沢山穴をあけられた部分が上に飛び出しています。
 この場合穴の大きさは1.5φで間隔は4mm、全部で116個ですが、コの字型の蓋の
 裏側からセンターポンチで深く大きめのマーキングをした結果発生しています。

 こうならないようにするには、

 1.マーキングを浅く小さくしてやる。

 2.あける穴が大きいと突出した部分を削り落として消えてしまうので極力大
   きい方が良い。
 の2つを守れば防止できます。

今回はセンターポンチでマーキングをする時には225g玄翁の首のところを握り大きな力でポンチを叩かないよう注意して裏側への突出を最小限に抑えました。(それでもマーキングが終わった板をひっくり返して置くと中心部は2mm位突出しています。)

その後1.5mmのドリルで穴をあけると突出量は1.5mm程度に減少し、更に3.5φのドリルで穴をあけ終わるとほぼ平面に戻り突出は完全に消えました。(無論この間に板を叩いて突出を減らすなんて事はしておりません。)

ところでシャーシ内部の電源トランスを固定する部分はシャーシ組立のための折り返し部分(厚さ2mm)とそうでないぶぶん(厚さ1mm)にトランスはまたがって固定されます。 このためトランスは傾いてしまうので修正するのと少しでもシャーシの強度を上げる為に、1mmアルミ板を切ってエポキシ接着剤で貼り付けます。 またスピーカーターミナルの一番端もシャーシの折り返し部に一部引っ掛かりうまく固定できませんので、1mm厚アルミ板で下駄を履かせます。

以上でシャーシの加工は終了ですが、放熱口についてちょっと触れておきます。 今の所放熱口をシャーシの底にはあけず天板にのみあけようと考えています。 これは手抜きではなくて、電源トランスがかなり重いので放熱口をあけてしまうとシャーシの強度が低下し、ゆがみ易くなりそうだな?と考え、少しでも強度を確保するために底部には放熱口をあけません。 しかしそうすると内部の温度が上昇しすぎて問題が起きる可能性がありますので、電気配線の途中で内部温度上昇試験を施し温度上昇が許容範囲に納まるかどうかの確認をしようと考えています。 その結果不可であれば、一度解体して底の裏に補強のリブを追加するとか抜本的な強度アップの対策をした上で放熱口をあけようと考えています。

因みに予想される最大の発熱源は電源トランスです。 TA2020のデジタルアンプの最大消費電流は2〜3Aと予測します。 そのアンプが2台ですから電源トランスの消費電流は4〜6Aと言う事になります。 一方DMMで測定したトランス2次側の直流抵抗は0.1Ω前後のようですので、2次巻線から発生する熱は1.6〜3.6W程度となります。 1次側にも発熱があるはずですから合計で3-7W程度の発熱は十分想定されます。 この量は決して無視できる量ではありませんから余り効果的な方法ではないものの、天板にスリットを入れて上から冷たい空気が入りトランスを冷やして温まり上に抜ける! という対流により放熱させようという考えでいます。
他に熱が出る部分としてはデジタルアンプのICや電流検出回路とオペアンプの電源トランスはかなり発熱量が低いので、底板に放熱口が無くても問題なく運用できる可能性はあります。

それらまでの作業の様子は以下の写真と解説をご覧下さい。

デバイディングネットワーク固定のブラケットの加工。 L字型アルミ棒に墨線を引いた上で、適当な棒に両端をクランプで固定します。 そして刃研ぎグラインダーで削り取りました。

平ヤスリで墨線まで削って直線になるよう仕上ました。(ヤスリで削る際は木の棒に固定したままの方が安全です。)

次に木の棒にまたがるように載せて両端をクランプで固定し3.2φの穴をあけました。(1.5φの次に) そして赤線の所をジグソーで切断します。

完成したブラケット。 以上の加工法はアルミ板が曲がったり撓んだりしないための工夫を凝らしています。

デバイディングネットワークブロックにブラケットを取り付けました。 後ほど矢印の面にエポキシ接着剤を塗りシャーシ前面の裏側に接着します。

こちらはトグルスイッチを固定するブラケットです。 曲げた部分のシャープさがありませんが、それによる問題はありません。

トグルスイッチを取り付けるとこんな具合で、こちらも矢印の先の面にエポキシ接着剤を塗ってシャーシ前面の裏側に接着します。

天板を固定するネジ穴は長さ25mm、幅9mmに切断した2mm厚アルミ板をシャーシ折り返し部分の裏に貼り付けます。

接着は無論エポキシ接着剤ですが、信頼性と強度が最も高い60分硬化開始型を使い20時間放置しました。

そしてM3のタップで雌ネジを切りました。 

一方アルミ天板には放熱口をあけます。 穴径は3.5mm、穴の間隔は6mmとし、9列 x 47 = 423個となりますが、この右側はセンターポンチで浅いマーキングを施した所です。

一方アルミ天板の前側は断面J型のアルミ棒と突合せになるので、重なる部分をカットするため赤線のところをケガキます。

穴あけが無事終わりましたが、何と線引きから6時間掛かりました。 但し沢山あけた穴による突出問題は3.5φの穴あけ後には完全に解消しています。 アルミ天板の前側の切断線に沿ってマスキングテープを貼り付けて切断します。

赤矢印と黄色矢印は電源トランスの固定ネジ穴ですが、赤矢印側はアルミの折り返しがあるため気入り側より1mm高いので、黄色側にダミーのアルミ板を貼りつけます。

スピーカーターミナルも右端の物は折り返し部分にまたがって穴があいているので、ターミナルの固定が不安定なため、下駄を履かせないとなりません。

段差修正の結果はそれぞれこんな具合です。 これで固定・締め付け上の不安定さや傾いた固定状態が無くなります。



2012/11/02

ケースの製作6

木の側板はシャーシの内側からネジ止めするため電気回路の組立前に完成させねばなりません。 その為に仮止めしてあった全ての部材を外してありますが、大小のシャーシの連結を正式に行います。 既に説明しているとおり6本のM3のネジで固定しますが、十分に締め付けた上でネジに瞬間接着剤を沁み込ませて緩み止めとしました。 当然これは2度とばらせなくなる事を意味していますが、次のフロントパネル貼りも同様です。 ここで若干脱線ですが最近mini-Shopで販売開始したスタービードライバーならでの使い方の実例をお見せします。

スタービードライバーNo.60ですが格好がちょっと違います。(左) 実はこんな形になっております。(中央) 分解すると右側のようで左から本体、付属のビット(ここでは使っていない)、ANEXドライバーセットの六角レンチ、レンチ接続部品です。 こんな応用が出来、狭いところで便利です。

フロントパネルをシャーシに貼り付けました。 エポキシ接着剤90分硬化開始型を使っていますが、クランプを4本使い何度も接着位置を確認した上で締め上げました。 そして12時間以上寝かさないとなりませんが、その間にフロントパネルに貼る紙を塗装しました。 この塗装はきれいにすると言うよりも紙の面を汚れから守る、汚れても汚れを落としやすくする!というのが目的ですので、物理特性が抜群の水性ウレタンニスを使いたかったのですが、刷毛塗りでは斑が出やすかった為アクリル系のスプレー塗料としています。 処方は透明クリヤーを薄く2回、艶消しクリヤーを1回で、完全乾燥させないといけないので12時間寝かせています。

その後フロントパネルに印刷した紙を貼りますが、汚れ防止を目的としてアクリル系のスプレー塗料を塗りました。 1層を薄くして艶ありクリヤーを2回、艶消しクリヤーを1回の処方です。 それを両面接着テープでアルミフロントパネルに貼りますが、気泡が入らないよう細心の注意が必要です。

 さてシャーシの加工組み立ては全て終わりましたので(正確には後ほど
 の実験で問題が無ければ)
ので、木工部分に入ります。
 ケースの組立を簡単に言ってしまうと、高さ100mmのシャーシに1mm厚
 のアルミ板で蓋をしその上に4mm厚の木製天板を載せます。 底部には
 5.5mm厚の木製の板を当てますので、総高さは110.5mmになります。

それよりも側板の高さは2mm高くなるようにし、側板は底部天板部それぞれ1mmずつ飛出るように当てるという構造です。 天板・底板はそれぞれ4mm・5.5mmのシナ合板ですが、側板は9mmと4mmのシナ合板を貼り合わせて作ります。 よって側板の厚みは13mmとなります。 本当は15mm位にしたかったのですがそうするとラックに入らなくなるので13mmに止めた次第です。

実際の作業は簡単で上の図面の寸法を見ながら4mm厚合板で側板と天板を、5,5mm厚合板で底板を、9mm合板で側板を切り出し、9mmと4mmの側板を貼り合わせます。 そうそう4mmの側板はフロントパネルを落とし込む溝を切削した後に切り出すほうが精度が上がります。 また天板には放熱を目的とした溝をストレートビットで彫りますが、うっかりミスで天板の作り直しを致しました。 木工作業の最後は側板、天板、底板の切り口に木口テープを貼る作業です。

木口テープの貼り方に関する詳細は『サイト内検索』で、[木口テープ]と入力し選択すれば行き着けますのでお試し下さい。

少々作りなおしでつまづいたものの何とか残る作業は塗装というところまで進んでいます。

大袈裟な!と思われること必定ですが、アルミフロントパネルをエポキシ接着剤で貼り付けるのに密着度を上げたい為に4本のバクマクランプで締め上げました。

12時間以上圧着保持するのでその間にフロント用紙を塗装しました。 アクリル系スプレー塗料の透明クリヤーを2回、その後艶消しクリヤーを1回塗っています。

12時間以上寝かせてからクランプを外しました。 僅かな(0.2mm位?)接着位置ずれがありましたので、丸棒ヤスリで微調整をしています。 フロントパネルの上下方向はシャーシの高さに等しいですが、幅はシャーシよりも左右とも2mm出ています。

フロントパネル用紙を貼り付けました。 貼り付けには両面接着テープを使っていますが貼り方を工夫しないと気泡が残ってみっともないことになります。

右上に見られるような刃先が狭角となっているカーッターナイフを使い押し切りの要領で少しずつ抜き穴を切り取ります。

4mm厚シナ合板で天板を作りますが、切り出す前に放熱口のスリットを電動トリマーに3mmストレートビットを取り付けて彫ります。 ところがガイド板の固定位置を1個所間違えて間隔が違ってしまいました。 取り敢えずは作りなおしはせず作業を進めましたが、後ほど結局作りなおさないと駄目!という事態になります。

木工部分の材料はこれだけ。 天板、底板、側板2枚ですが、側板は4mmと9mmを貼り合せた13mmです。 また側板にはアルミパネルの両端を落とし込む3mm幅で深さ2.5mmの溝が彫ってあります。

側板をシャーシの内側からネジ止めし天板の長さをカンナとヤスリで微調整しながら落とし込みます。 底板も同様です。
ここまでは天板の溝を彫り間違えた件は良かったのですが、このあと放熱の為の抜き穴加工をしている時に1本の細くなった(幅約1.3mmで赤矢印先)部分が折れてしまい結局作りなおしをしました。(次の写真

結局作りなおした天板。 この写真では放熱口の抜き穴加工、5本の止めネジ穴あけが終わり、アルミ板と共締めとしています。 負け惜しみみたいですが作りなおしたこちらの方が木目はぐんと美しいです。

側板の高さは上下に1mm程度出っ張るように切断してありますが、天板と同じ高さから0.3mm高い状態になるようカンナとヤスリで削りました。 この後木口テープを貼るので最終的には側板は天板より0.5〜0.8mm程度高くなります。

側板下側も底板と同じ高さから0.3mm程出っ張る範囲となるよう削って調整しました。

底板が外れないようクランプで抑えてシャーシの内側からネジ穴の位置をシャープペンでマーキングします。 ここに10φで深さ4mmの穴をあけネジの頭が納まります。

ネジの頭の実直径は6mm、頭の高さは2mmですから切削位置や深さがずれても問題は置きにくいです。 それよりもネジの数の多いこと。

フロントパネルはアルミだぞ!!という自己主張?の飾り棒(断面がJ型)を上下に嵌め込んでみました。 私の目論見は上手く行きそうです。

塗装前の最後の作業は木口テープ貼りです。 想像以上に簡単な作業でありながら外観に大きなご利益があります。 右の写真はそのご利益がはっきり判るよう、木口テープを貼った面(角の右側)と貼っていない面(左側)を見せています。



2012/11/09

ケースの塗装作業

塗装作業は既に何度も説明しているので、手順だけを以下に示します。

   1.#400ペーパーで塗装前の仕上げ研磨
   2.着色剤(ここではポアステイン オーク色)を2.5倍に薄め、3回塗り
   3.全体の毛羽立ちを#400ペーパーで軽く研磨
   4.水性ウレタンニス透明クリヤーを3回塗る(乾燥後#400空研ぎペーパーで研磨)
   5.水性ウレタンニスつや消しクリヤーを1回塗り


塗装が完全乾燥したら木製天板とアルミ天板を貼り合わせます。 この貼り合わせのメインは両面接着テープですが、放熱の抜き穴部分だけはエポキシ接着剤を木製天板の裏面に楊枝で点々と置いてゆく形で塗りつけその他は両面接着テープとしました。 そしてエポキシ接着剤が完全硬化したら細筆にて水性ペイント艶消し黒を塗りこみます。 この際溝以外もペイントが盛大に付いてしまいますが、それらは濡らした雑巾で溝を1本塗るごとに拭き取ってやります。

底板はゴム脚とネジで共締めすることでシャーシに固定しますのでその部分にはシャーシ内部に2mm厚のアルミ板を貼ってネジを切りますが、1箇所だけは電源トランスに干渉してしまうため止めネジはその近くに独立して設け、ゴム足は底板に両面接着テープで固定します。

側板をシャーシに内側からネジ止めしたら断面J型のアルミ棒を固定しますが、この棒は天板、底板で抑え付けられた状態になるため両面接着テープによる固定としました。

以上でケース製作の全行程が終わります。 ケース製作の詳細設計を開始してから約1ヶ月ですが、まずまずのテンポかな?と考えています。

着色はポアステイン オーク色を水で2.5倍に薄めたものを3回塗りとしました。 前回のデスクトップスリムアンプに比べると濃度は薄くなっています。 この写真は2回塗ったところです。

ニス塗りは水性ウレタンニス透明クリヤー3回塗り、水性ウレタンニスつや消しクリヤー1回塗りの私の定番処方です。

艶の具合が判るように露出を切り詰めて撮影しました。 上品で鈍い艶が大のお気に入りで、難点も隠してくれるというありがたい処方です。

放熱口の溝の中は黒く塗りつぶしますが、それはアルミ天板を貼った後です。

溝の中を水性ペイントつや消し黒で塗りつぶしました。 方法は簡単で細筆で強引に中に塗りつけます。 当然塗らなくて良いところが出てきますがそれは濡れ雑巾で拭き取ります。 水性塗料ならではの手法です。 ところで この過程で溝の下に密着しているアルミ板も塗っています。

脚は底板をアルミケースに止めるためにもあります。 これは少し柔らかめのドアクッションを流用しています。 3箇所はクッションの中心に3φの穴をあけ両面接着テープとネジ止めとしていますが、1箇所のみ電源トランスに干渉するので、脚は両面接着テープのみとしその近くに独立したネジ止めとしています。(右側)

断面がJ型のアルミ押出し棒の固定状況です。 左は天板固定後で右は単板を外した状態です。 左右を比べて判りますが木製の天板は約2mmぴったりと被り押さえつけてくれます。 そのためこの飾り棒は両面接着テープでの固定としました。

製作が終了したケースです。 いささか常識外れの写真ですが上が背面で下が前面です。 全面の上下に入れたアルミの棒は、フロントパネルが紙で覆われてしまい3mm厚のアルミであることが全く見えないのですが『ここはアルミのパネルだよーっ!!』と訴えているようです。 それはともかくとしても素晴らしいアクセントになっているのは間違いありません。



2012/11/16

ケースへの組み込み 1

ケースへの回路組み込みは数段階に分けてそれぞれ確認・調整しながら進めます。 これは各ブロックの動作確認はしているものの全体を接続しての動作確認はしていないためです。

 早速第一ステップの電源部にとりかかるところですが、
 忘れかけていたあることを思い出しました。
 それはデジタルパワーアンプのオフセット電圧調整回
 路です。 以前TA-2020のキットを製作した時に調べ
 たのですが出力端子に出るオフセット電圧は数10mV
 から100数10mVまでばらついているようです。

 計算してみるとそれらのオフセット電圧でスピーカーが破損するようなことは無さそうですが、ボイスコ
 イルの動作中心がずれて多少なりとも音質に影響が出そうです。 これは精神衛生上良くないので
 オフセット電圧をゼロにする調整回路を組み込もうということです。 左がその回路で電源電圧からツェナーダイオードで3Vの定電圧を作り可変抵抗と固定抵抗を組み合わせ1.8V〜3.0Vが取り出せるようになっています。 4チャンネルあるので4組としていますが、基板レイアウトは右上の通りです。 後ほど実際のオフセット電圧を調べたところ、フルレンジ出力の左が15mV、右が-59mV、スーパーウーファー出力の左が28mV、右が14mVとなっていました。 調整後はそれぞれ無論0Vとなっています。

さて組み込みの第一ステップは電源部で所定の電圧が出ているかどうかの確認です。 特にデジタルパワーアンプは絶対動作電圧が16Vと定められており、レギュレーションがあまり良くないリニヤー電源では無信号時に電圧がかなり高くなるので要注意です。 デジタルアンプを接続せずに直流電圧を測定したところ何と16Vとほぼ絶対動作電圧の値がでました。 トランスの接続は1次側が100V、2次側が12Vで入力はスライダックで100Vに調整した状態です。 電灯線電圧は若干の上下がありますからもっと電圧を下げてやらないとパワーICが焼損してしまう可能性があります。 そこで1次側を110Vに接続してみたところ15Vとなりました。 これですと交流電圧が10%増加すると16.5Vとなりまだまだ安全領域とは言い難いです。 そこで1次側を100V、2次側を10Vとしたところ13.3Vを得ました。 これですと交流電圧が10%上がっても14.5Vに留まりますので十分な安全領域に入ったと考えて良いでしょう

尚こうすると消費電流が増大した時(最大出力の時と考えて良い。)は電源電圧がトランスのレギュレーションの為に低下してしまいます。 トランスのメーカーの仕様によると電圧低下は10%以下とありますので、最大出力電流の10Aを取り出すと12Vまで下がる可能性があります。 但しこれまで経験したTA-2020の消費電流はどうも2.5A程度ですので2個使っても5A程度が最大消費電流になると思われます。 さすれば電源電圧は12.7V程度になります。 当然そのような電源電圧低下に応じて出力電力も低下しますが、技術資料によればミュージックパワー的な考え方(瞬間的には大容量電解コンデンサーが高電源電圧を維持できる。)ではクリッピングで18W、0.1%程度の低歪で抑えても11W位の出力が得られるので、このアンプの目的とする使用範囲では十分な出力と考えています。(連続出力はこれらより下がる。)

オペアンプ用の電源は全く問題無しでした。 次にTV用のACアウトレットに旅行用ヘヤードライヤーを繋ぎ電圧セレクターをAC220Vとして消費電力を350Wに落としてTV ON/OFF検出回路の動作確認をしました。 次がデジタルパワーアンプ部分ですがここで前の方で触れた内部温度上昇試験を致します。

 測定は天板を閉じた状態にて内部3箇所に設置した温度センサーをミノムシクリップで繋ぎ変えて読み取るの
 と外部環境温度を独立した温度計で読み取ります。 内部3箇所用の温度計はLM35DZ(0℃〜100℃の測定
 が可能)
を使ったもので、一過性の使い方なので手持ち部品を流用し安く(\500)仕上げました。  左の図が
 そのセンサーリードを固定する小さな基板ですが、コストを抑えるためミノムシクリップで繋ぎ変えます。

 これで内部温度上昇試験に入りました。 電源トランスに1番目のセンサーをテープで貼り付けます。 2番目
 のセンサーはパワーアンプIC1と整流器の間に、3番目のセンサーはパワーアンプIC2の横5mm程離れた所と
 しました。 天板をネジどめして電源スイッチをONにして4Ω負荷で出力電力が最大に近い6.6V(出力電力
 10.9W)
として5分毎に温度を測定し温度が飽和状態になったと思われる時点まで続け、その後出力電圧を半
 分の3.3Vとして(出力電力は1/4になる。)温度が安定するまで測定しました。

以下がその結果をグラフにしたものですが、実験開始後1時間50分後に温度は飽和状態になってその時の最高温度はパワーアンプIC近辺で64.3℃でした。 その後出力電力を1/4の2.7Wに下げたところ2時間30分後にほぼ54.7℃に下がって安定しました。
連続でほぼ最大出力を取り出した時のパワーIC近傍温度は上限値として64.3℃まで上がりましたが、この時実験をした部屋の温度は23.2℃でした。 真夏の暑い時に動作環境が35℃に上がったとすると実験時の部屋温度よりも11.8℃高くなります。 同じだけアンプ内部の温度が上昇するとしたら76.1℃となります。

一方メーカー発表の『自由空間における動作温度上限絶対値』(Operating Free-air Temperature Range)は85℃とありますのでまだ余裕があります。 そして最大出力に近い状態で長時間使うなんてことは先ずありえません。 1/4に落とした2.7W x 4がせいぜいだと思われます。 であれば上面の穴だけの放熱構造でも温度上昇の上限は55℃程度ですから環境温度が53℃にならない限り熱による破損は発生しませんから問題なしと結論づけました。

尚最大出力については4チャンネル同時に同じ入力を加えた時に11.2W(at 4Ω)で電源電圧は11.8Vまで下がります。
2チャンネル同時に同じ入力を加えた時には14.4W(at 4Ω)まで増加します。 この時電源電圧は12.3Vです。
1チャンネルのみでの最大出力は2チャンネル同時と同じでした。 電源電圧も同じです。

期待していたよりも出力電力が小さいですが、これは殆どトランスのレギュレーションがあまり良くないので、無負荷時の高電圧でICを壊さないために電圧を抑えたのが原因です。 但し既に得られている出力は使用目的上十分な値であり、ここでは問題無しとします。(経験上私の聴き方は平均出力は1W以下しかありません。)

電圧ゲインは19.9〜20.1dBです。 20dB(10倍)として計算して問題ないでしょう。 最大出力を得るにはICの入力電圧は約0.6Vとなります。 雑音特性についてはオシロスコープで観測しましたが1MHz近くの高周波の雑音が0.08〜0.1V発生しています。 耳に感じるような低い周波数の雑音は極めて小さく前述の高周波ノイズにマスクされ測定不能でした。 よってS/N比の測定は不可能でした。 但しスピーカーを繋いで耳を近づけても全く無音で、S/Nの問題はありません。

せっかちな私は周波数特性を取るよりも方形波応答で周波数特性を推測する方が好きですので(非常に敏速に高周波の微妙なうねりやピークが発見できる。)100Hz、1KHz、10KHzの各チャンネルの応答を調べました。 そのうち1KHzと10KHzは後で掲載しますのでご覧下さい。 これまでの経験では-1dBの周波数特性は、20Hz〜40KHzくらいであろうとみています。 そして動作不安定や発振しやすくなるようなピーク、うねりなどは全くありませんでした。

急遽追加したオフセット電圧調整基板は、2つのシャーシの結合面壁に接着しました。

矢印の先にパワーICの10番ピン或いは13番ピンから引き出したワイヤーを繋ぎその上の青いポテンショメータでオフセット電圧がゼロになるよう調整します。

そして全ての電源回路、TV ON/OFF検出回路、デジタルパワーアンプ回路を組み込みました。 手前に伸びる黒いワイヤーはパワーアンプ入力から引き出した3芯シールド線、黄色が電源スイッチへのケーブル、左はLEDのワイヤーです。

次に準備したのは電子温度計です。 温度センサーの右端はLM35DZでダンピング用の抵抗を繋ぎ熱収縮チューブで絶縁しました。 引出し線はシールド線に単線を加えた物。

温度センサー3本を小さな基板に固定し、ミノムシクリップで測定点を繋ぎ変える簡単な構造です。

赤矢印は温度センサーを固定したところ、左は電源トランスに貼り付け、真ん中はパワーアンプICとブリッジ整流器の間に、そして右はパワーアンプICに近接させています。 これらのワイヤーはフロントパネルのまだ部品が固定されていない穴から手前に引出し、それらの穴から空気が出入りしないよう蓋をしました。

かなり大掛かりになってきましたが、これがアンプ内部温度上昇試験の全貌です。 左上は電子電圧計で出力電圧をチェック、その右側は即席で作ったダミーロード、出力波形を監視するオシロスコープ、その手前は簡易型の低周波発振器、テーブルの左下には電源が見えますが、温度計に6Vを供給します。 その右にぶら下がっているのが温度計基板で、DMMで温度を読み取ります。 フロントの穴を塞ぐために段ボールを被せています。 尚あたりまえですがテスト開始前に天板を被せて固定してしまいます。

ダミーロードは2Ω 20Wのセメント抵抗2本を直列にしたものを1系統とし4系統を合板の上にラグ板を使って固定しました。

ノイズ波形を見てみました。 周期が1μsですので約1MHz、レベルは0.08〜0.1Vとかなり高いレベルでした。 しかし周波数が高いので耳には全くノイズを検知できませんでした。

4チャンネルの方形波応答は1KHz、10KHz共にほとんど同じ波形になっています。 これは中域から高い周波数域がほぼ同じ周波数特性を持っていることを表しており見事なものです。 またいずれの波形にもオーバーシュートやリンギングが見られず、10KHzの左肩が丸みを帯びています。 これは40KHz辺りからなだらかに減衰していることを意味しており、動作が不安定になったり発振しやすいなどのクセがないことを表しています。



2012/11/23

ケースへの組み込み 2

組み込みその2はトグルスイッチのブラケットをエポキシ接着剤で固定し、更にデバイディングネットワークのブロックも接着剤で固定しました。 そしてLEDを固定し3個のVRとロータr−スイッチを取り付けとフロントパネル面に取り付く全ての部材を固定しましたので、外観的には最終となりました。 その感じは思い描いていたイメージそっくりでしたので極めてハッピーです。

そしてデバイディングネットワークから配線を始めましたが、『待てよ?!』と何かを忘れていることに気づきました。 それは8個のオペアンプ用電源の動作確認をしていなかったことなのです。 こりゃまずいとばかり取り敢えず無負荷の状態で出力電圧を測ったところなんと+18.75V、-18.55Vもあります。 オペアンプメーカー発表の絶対電源電圧値は36Vですが、ここではそれを超える37.3Vもあります。 もうひとつ再確認したリレーの最大駆動電圧は定格(24V)の110%でした。 ということは26.4Vですが±2電源のプラスとマイナス間を使っているので±13.2Vになります。

実際には140-160mAの消費電流になりますので電圧は下がるでしょうが、トランスメーカーの言う最大22%の電圧変動があったとしても14.5V以上の電圧が出ます。 その場合オペアンプは安全領域に入りますが、スピーカー接続のリレーは駄目です。 こうなるとレギュレーターで12Vぴったしの電圧を作るしかありません。

 そこでレギュレーター回路を追加する検討に入りL字型の電源基板を外して
 改造すべくレイアウトの変更を作図しました。(追加回路は左の図参照。)
 ところがかなり多くの部品を移動することになり、とても手間が掛かる上に綺
 麗に仕上がらないと思われます。

 綺麗に作るには新たな基板と全ての部品を新たに購入しないとなりません
 が、そのためには秋葉原へ行かねばなりません。 交通費と部品購入費用
 は純損となり決して見逃せない支出になりこれも面白くありません。

 そこで土曜日丸一日を使い改造後の基板レイアウトを数種類考えたり他に
 うまいアイデアがないかと、あーたらこーたらと思考を巡らせたものの良い
 アイデアは出ませんでした。 翌朝、日課で5.5kmの道を散歩途上、公園の
 横を通り過ぎる時に、子供3人と遊んでいたお母さんが、『おんぶにだっこ
 なんだから!』
と言っているのが耳に入ってきました。
 『おんぶ!か? 英語ではピギーバック(piggyback)だよな!』なんて頭の中
 でなんとなしに考えていましたが、(piggyback)には"電気回路基板を上乗
 せする"という意味でも使われます。  ・・・・・・・ん? これだっ! 『別
 な基板を上に2階建てのように載せて回路を追加すれば下の基板をいじるのは最少で済むではないか!』
という名案があることに気がつきました。  そこで追加基板のレイアウト、元の基板の改造箇所、載せる場所などを描き上げましたが、右がその図です。

元の基板の改造には基板を一旦外さねばなりませんが、非常にラッキーなことに配線を外
すことなく出来そうです。 ただし上乗せ基板は高すぎるとトグルスイッチの配線に支障が出
ますので、下の基板で最も高いリレーより0.5mm高くなるよう長さ26mmに切断したアルミパ
イプをスペーサーとし基板の高さがトグルスイッチと並ぶようにしました。

改造終了後無負荷の出力電圧をチェックしました。 結果は+12.10V、−12.12Vで全く問題
ありません。 メーカーの技術資料に載っているデータでは予想される150mA位の負荷電流
で入力電圧(整流器の出力電圧)が13.4V程度まで下がっても12Vを維持します。
これは無負荷時の整流器出力電圧の20%強電圧が下がることを意味していますが250mAが
最大出力電流のトランスですから、まずそのようなことは起きないと思います。
という次第で今週は一回休みというか少々道草となりましたが、スマートな解決策が見つか
りほっとしています。

おんぶしてもらう追加基板に部品を取り付け配線しました。 左中央下に何やらワイヤーの先を曲げたものが見えますが、これを下から突き抜けるワイヤーに半田付けします。

元の基板はワイヤーの切断2箇所と連結ワイヤー5本を接続します。 そして連結ワイヤーには26mm長のエムパイヤチューブを通しておきます。

追加基板をおんぶする第一歩。 5本のワイヤーをしょていのあなに通します。 これを楽にやるため5本のワイヤーは長さを変えてあります。

次にスペーサー・ボルトを通して元の基板に固定します。 更に下から通したワイヤーに上のワイヤーを半田付けします。

トグルスイッチとデバイディングネットワークがフロントパネル裏に固定されたのが判りますが、今回追加したPIGGY BACK構造の電源基板です。 高さをぎりぎりに抑えたので下のトグルスイッチと同じ高さになり、配線も楽にできると思います。



2012/11/30

ケースへの組み込み 3

先週のウィークエンドは家内共々大学時代のコーラスグループOBの親睦会で2日間を使いましたので、作業はほんのちょっと進んだだけです。 具体的にはパワーアンプの前の段で、ハイパス側(全域または中広域スピーカーが繋がる。)はゲイン1の位相調整段でローパス側(スーパーウーファーが繋がる。)は信号レベルを0からハイパス側より6dB高い範囲で調整するのと、ローブーストの機能を持たせます。

ところで配線を開始したところ位相選択基板の接続コネクターの一つが先週追加した電源基板に干渉することが判りました。 そこで急遽電源基板を再び外し干渉する部分をディスクサンダーで欠き取る作業をしています。

この辺りからデバイディングネットワークの配線はかなり込み入ってきますしトグルスイッチとの結線で勘違いを起こしやすいので、1点、1点慎重に確認しながらすすめる必要がありかなり時間がかかっています。 配線終了後動作確認をしましたが動作波形観測結果は以前撮影したこちらと同じですので参照ください。

中央左手に先週追加した基板が見えますが、その右側をディスクサンダーで欠き取りこねくたーの干渉を解決しました。 そして結線していますがシールド線のGND側の結線でループを作らないよう細心の注意をしています。

この基板だけでコネクターを6個も使っており、そのピンへの配線も時間がかかる作業です。 配線が乱雑に見えますが最後に結線バンドで束ねます。



2012/12/07

ケースへの組み込み 4

今週はデバイディングネットワークブロック、トーンコントロール、ボリュームコントロールの配線を致しました。 デバイディングネットワークブロックの配線は4回路 ON - ONのトグルスイッチ周りがごちゃごちゃし易いのと誤配線をしやすいので慎重にも慎重を重ねて配線・半田付けを進めています。

ところで配線図には描かれていながら何れの基板にも搭載されない部品があります。
それはボリュームの入力端子に直列に接続される1μFのDCカット用コンデンサーで
す。 安定性を考えるとこれを空中配線にするのはどうかと思われますので、VRと一
緒に小さな基板に固定することにしました。

よって基板に固定できるVRが必要なのですが、ラッキーにもこの事情を考慮すること
なく丸型ではなく角形の物を購入していましたので、スマートな解決法となっていま
す。(右が小さな基板に組み込んだ状態。)

さて動作確認の方ですが、デバイディングネットワークは各ツマミの位置と変曲点周
波数は次のとおりとなりました。


ハイパスフィルター(中高域) 左回し切り 中央 右回し切り
左チャンネル: 64Hz 90Hz 157Hz
右チャンネル: 64Hz 90Hz 153Hz
ローパスフィルター(サブウーファー)      
左チャンネル: 65Hz 88Hz 150Hz
右チャンネル: 63Hz 86Hz 149Hz

前でも触れていますが±5%の誤差を持つ抵抗とコンデンサーを組み合わせていますので設計値の60Hz、150Hzに対し十分許容できる誤差だと思われます。 またVRの単純中央点で90Hzと覚えておいて差し支えないことも便利だと思います。(実は90Hz近辺でクロスさせるケースがかなり多くなると思われます。)

尚デバイディングネットワーク絡みの6個のツマミには最大と最小の間を10分割してありますが、ローパスとハイパスのツマミを同じ目盛に合わせると変曲点はほぼ一致します。 これも実用上重要なことです。

トーンコントロールの変化特性については既に述べていますので割愛します。



上の写真の左から2番目のトグルスイッチから右端のトーンコントロール基板が今週配線が修了した部分です。

4回路と2回路のトグルスイッチの周りは14本のワイヤーが交錯してごちゃごちゃになり易いです。(左の写真)

デバイディングネットワークでは18個のコネクターを使い後々の修理や保守がしやすいようにしていますが、配線にはかなり手間取ります。(下の写真)

尚トーンコントロール基板では2つのコネクターが未使用になっていますが、電源ケーブルがまだこの写真では接続されていません。

そしてトーンコントロールからVRへは2つのシャーシが合わさった部分を信号ケーブルと電源ケーブルが通過することになります。





2012/12/14

完成まで

ボリューム周り、入力切替スイッチ、イコライザー/ヘッドアンプの組み込み・配線へと進みましたが、MC/MMカートリッジ切り替えに使っているリレーの駆動回路に逆起電力を抑えるダイオードが入っていないことに気づきました。 そのダイオードは目的からするとリレーの駆動コイルに近く接続すべきですので、裏付けすることとしました。  そのため一度固定して配線を済ませたイコライザー/ヘッドアンプ基板を外さないとなりませんでしたが、予め解体が容易にできるよう考えていたため造作無く作業できています。

これで全ての組立作業が終わったわけで、一通りの動作テストをしましたが何も問題はありませんので、所定の場所で運転開始と致しました。

これにて市販品にはない変わったアンプの2連作デスクトップ薄型アンプ、TV連動型アンプ)が無事終了したわけですが、それらの完成には何と2年を費やしました。  そうなってしまった一番の理由は言うまでもなく電気工作の私の力不足そのものに起因しているわけですが、僅かとは言え木工部分(主にケース)は沢山の大小の家具を作って得たノウハウが、外観的に完成度の高いものを作る上で貢献したのかな?などとうぬぼれています。

MC/MM切替のための2個のリレーに逆起電力を抑制・消去するダイオードが付いていなかったのを発見したので裏付けしました。(黄色矢印の先)

全ての組込みと配線が終了しました。 大変時間が掛かりましたが(構想開始から2年、製作開始から1年9ヶ月)、動作も正常ですのでこれで製作完了です。 完成したアンプのいろんな角度からの外観は以下の数枚をご覧下さい。



今後暫しはヘッドフォーンアンプ製作に没頭したいと考えています。

----- (完) -----


 
  
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