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低周波発振器 2
   
2011/07/22

構想              (註: 本テーマに関する全てのご質問はお受けできません)

低周波発振器に関しては、3周波数切替(100Hz、1KHz、10KHz)で正弦波と方形波が発振できる物を簡易型として製作し、そこから様々なものを学び取りました。 そしてより本格的な発振器を製作すべく色々な検討を加えまとめつつあります。

今週は本格的な発振器の大まかな仕様と、使用するICの選択の様子についてご紹介致します。

目標とする低周波発振器の仕様

発振波形1 正弦波
発振周波数: 10 - 100Hz、100 - 1KHz、1K - 10KHz、10KHz - 100KHz
出力電圧: 5V以上(P-P値で15V)
残存歪率: 0.05%以下(100Hz) 0.01%以下(1 - 10KHz)
発振波形2 方形波
発振周波数: 100Hz、1KHz、10KHz、50KHzの4点
出力電圧: 15V (P-P値)
減衰器 1、1/10、1/100の3段切替
出力インピーダンス 600Ω
電源 AC 100V
付属回路 10Hz - 30MHz 周波数カウンター(出来た発振器の完成度次第で\6,500の追加投資をする!)

これらの仕様は一度簡易型低周波発振器の冒頭で発表していますが、ほぼ同じ内容になっています。 変わったのは出力電圧値で、正弦波、方形波共にP-P値で15Vを目標とします。 これは使用候補のオペアンプの±15V電源での最大出力電圧がP-P値で28Vありますが、歪を気にするとあまり欲張れないので、この辺りと考えています。 後は1/10、1/100の減衰器としたことですが、簡易型ですので-20dB、-40dBとはおこがましくて言えないものの、かなりそれらしくしたいと考えています。 また出力インピーダンスは600Ωに決めました。 これはバッファーアンプの出力を短絡してもバッファーアンプを壊さないため考えたというほうがいいでしょうか?

仕様の中で本当に達成できるかどうかまだはっきりと見えないのは、正弦波の残留歪率と50KHz方形波です。 残留歪率の測定については、パソコンベースのオーディオ帯域スペクトラムアナライザーをテストレコードに含まれる高精度の歪信号で校正したうえで測定しようと考えており確認や調整は最後になります。

方形波については簡易型では最高発振周波数は10KHzでしたが、ここでは50KHzとしています。 100Hzから10倍刻みで来ていますから100KHzにしても良さそうですが、周波数が高くなるほど綺麗な波形を得にくくなり、それが達成できないと意味がなくなることと、50KHz方形波で確認できる周波数特性上の極僅かなうねりやピークの範囲は5KHz〜500KHzと極めて広範囲で、オーディオアンプチェック用としては十二分である事によります。

手順としては入手可能なオペアンプの候補を拾い出し、それらを購入して予備実験で良好な方形波出力を持つ物を搾り出します。 ここで拾い出すオペアンプは1回路入りで、±入力、出力、±電源の合計5本のピンに互換性のある物に限定します。 というのは何らかの理由でオペアンプを最後の段階で変更することが発生しそうですので、ICソケットを使って交換可能にしておきたかったからです。 ICのピンはその他に3本ありますが、メーカーによって使用目的が変わりますので使いません。

そのような条件設定で4種類のオペアンプを拾い出しました。 NE5534APTLE2141CPLME49710OPA134がそれらで、何れもオーディオ用のハイスペックなものですが、価格は\350〜\550で高価ではないまずまずなものです。 残念ながらOPA134だけは私が通常購入している販売店では在庫が切れているので後日入手とし、残り3点で実験しました。

取り敢えず購入した3種類のオペアンプですが、今回の発振器で使う以外に近い将来オーディオアンプの製作にも使う可能性もあります。

実験する回路は弛張発振器で穴あき基板に
8PのICソケットと4本の抵抗器、1本のコンデ
ンサーを組み込んだものです。

部品定数は簡易型発振器のときと同じで、こ
れはメーカーが示す1KHz発振器の回路定数
を踏襲し、コンデンサーのみ0.1μFから0.001
μFに変更しています。 これで100KHz前後
を発振するはずですが、電源電圧の変化も
発振周波数に影響しますので、後ほどの測
定結果をよくご覧ください。

実験では100kHz発振でスタートし、波形を成
形・調整するような作業を一切せずに3種類の
オペアンプの結果から方形波発生回路に使
用するものを決定し、そのオペアンプで発振
周波数を50KHz前後に落とし、波形の様子を
再確認するという手順を取ります。(100KHzの時より波形は良好になるはず。)

以下の結果はあくまで弛張発振器として方形波を発生させた時の結果で、それらが本来得意としているオーディオ用とは使い方が異なるため、オーディオ用としての優劣から大きくかけ離れている事にご注意ください。

テスト用に選んだオペアンプの一部のスペック
型番 メーカー 電源電圧 スルー   
  レート
入力換算
雑音電圧
ユニティーゲイン
帯域幅
出力
インピーダンス
NE5534AP テキサスインストルメント ±5V〜±15V 13V/μs 3.5nV/√Hz 10MHz 0.3Ω(AVD 30dB)
TLE2141CP テキサスインストルメント ±2V〜±22V 42V/μs 10.5nV/√Hz 5.9MHz 30Ω(オープンループ)
LME49710 ナショナル セミコンダクター ±2.5V〜±17V 20V/μs 2.5nV/√Hz 10MHz 13Ω(オープンループ)
OPA134 バーブラウン ±2.5V〜±18V 20V/μs 8nV/√Hz 8MHz 10Ω(オープンループ)




総じて電源電圧が変わっても波形の相似性は維持されており、3つのオペアンプの中では最も素直な波形かもしれないがスルーレートはやはり一番悪いようだ。 電源電圧が±6Vの時トップ部分が緩く左に傾斜しているが、その平均部分の高さは2.4Div、また1波長は3.9Div程度でこれらからピーク出力電圧は4.8V、1波長が7.8μsecだから、周波数は128.2KHzとなる。 電源電圧を±15Vに増加した時はピーク出力電圧が13.3V程に増加、周波数は161.3KHzとこれがかなり増加している点は要注意。



こちらの波形もトップが緩く左に傾斜している。 今回測定した3種類の中でスルーレートは最も大きいが実験結果でもそれを感じる。 電源電圧±6Vの時ごく軽いオーバーシュートが認められ、立ち上がり立下りに妙な緩いカーブがある。 ピーク出力電圧は5.3V、周波数は4.3Divなので116.3KHzである。  電源電圧が±15Vになるとオーバーシュートは消え立ち上がり立下りの緩いカーブも減って良好になる。 この時ピーク出力電圧は14V、周波数は119.0KHzと増加はするがその量は僅か。



全体的に電源電圧の変化で波形の相似性が最も薄い結果が出た。 電源電圧±6Vでは立ち上がり立下り部分に不連続な変化が多く発生しリンギングも生じている。(この写真では判らないが、オーバーシュートではない。) その時のピーク出力電圧は5.3V、1周期が3.2μsであるので周波数は156.35KHz。 電源電圧を±15Vにした時には±6Vで見られた波形の乱れは殆ど無くなったが、マイナス側のトップ部分の幅がプラス側のトップ部分の幅の2倍近くになり、マイナス側出力はプラス側より小さくなっている。 P-P出力電圧は27V、周波数が192.3KHzまで増加した。

以上を元に絞込みの結論を出しました。 そこでは電源電圧±6Vの時の特性を重要視しています。 その理由は少々ややこしいのですが、次のとおりです。

まず正弦波発振器の出力電圧は電源電圧±15Vで最大3.5V程度取れそうだとの確信を簡易型の経験で得ています。(簡易型では電源電圧は±12Vだった。 一方弛張型方形波発生器では電源電圧に近い最大出力電圧が得られます。 発振器の使い勝手とバッファーアンプの最大出力電圧を考えると、正弦波と方形波の最大出力電圧は一緒になるようにした方が良いように思われます。

そこで正弦波の最大出力電圧を3.5V(RMS)としその時のP-P値である9.899Vをはしょった10V(P-P値)を方形波の発振器の最大出力電圧としました。 そして終段に入るバッファーアンプの最大出力は28V近辺と見られますので、バッファーアンプの増幅度を2倍以下に抑えれば最大10Vの入力に対し充分ゆとりのある動作になると考えられます。(一時はボルテージフォロワーも考えたのですが、少しでも動作が不安定になったり変な発振を起こされては適わないので止めました。)

そういうことで方形波発振出力は10V(P-P)となったのですが、電源
電圧は±6V程度でこれが得られます。
そして±6VではNE5534APが最も安定した発振をしていますから
これがベストと言う事になります。 少し心配なのは発振周波数が計
算値から随分ずれている事です。 そこで目標仕様の50KHzに近しい
コンデンサーの値をカットアンドトライで探すのと同時に1μFと0.1μFを
繋いだ時の発振周波数を調べました。

先ずCの値ですが、0.0018μFで50KHzに近い47.8KHzが得られてい
ます。 方形波によるアンプのチェックは周波数の値よりも波形がどの
ように変形してしまうかを見ることが重要ですから、10%程度のずれが
あっても実用上の問題は全くありません。

そのより重要な波形は右のとおりで、オーバーシュート、リンギング、
寄生発振などがなく立ち上がり立下りもスムーズで充分に使える波形
です。 出力電圧はP-P値でほぼ10Vになっていますが、±の電源電
圧の違いがデューティー比に敏感に影響するので、場合によれば電圧
可変とした方が良いかもしれません。

ところで1μFと0.1μF接続時にはそれぞれ106Hz、1055Hzの周波数でした。  これらの誤差も許容範囲です。



2011/07/29

予備実験の続き

正弦波発振部分は簡易型と全く同じ回路で、違うのは可変抵抗を使った連続周波数可変となったことです。 歪率を除いて特に問題があるわけではないので予備実験は考えておりません。 歪率はほぼオペアンプの性能に依存しておりますが、オペアンプは最終的に4種類から最も歪の少ない物を選択できるよう交換可能としています。 従って予備実験の必要性がないわけです。 簡易型の製作があったからこその筋書きです。

そして方形波発生回路は先週ほぼ見込みが立ちましたから、残る予備実験が必要な部分は減衰回路とバッファーアンプで、これらをまとめてやっておきます。  回路の順序は逆になりますが、バッファーアンプのことを先に触れてから、減衰回路に進みます。

今回選んだオペアンプは±15Vの電源で動作した時、歪を低く抑えられる最大出力電圧は7-10V(RMS)取れそうです。 この最大出力電圧をP-P値に換算すると20V-28Vとなります。

 一方実現可能な発振器の出力電圧は正弦波で3.5V近辺(P-P値9.9V)
 ですので、計算上発振器の出力を2〜2.8倍増幅してやると、オペアンプ
 の歪を抑えた最大出力の限界値になります。

 但しゆとりを常に持った方が安全なので目標仕様としてはP-P値で15V
 と設定しました。 これらから1.52倍の増幅度をバッファーアンプが必要
 になりますが増加できる余地も残したい所です。

 特性が優れていると言われるボルテージフォロワーを使わなかった理由
 は、増幅度が1に固定されてしまい、出力電圧を調整できない!
 という理由と、ボルテージフォロワーはオペアンプによっては回路動
 作が不安定になったりすることがある!
という2点です。

 左が暫定的な回路定数で、オペアンプはTLE2141CP、増幅度は1.545
 です。 出力端子に直列に600Ωの抵抗が入りますが、このバッファー
 アンプのほぼ出力インピーダンスになります。  これは600Ωの出力イ
 ンピーダンスにしたかった!というよりも、こうしておけば出力端子がGND
 にショートされてもオペアンプが壊れる心配がなくなるためです。

尚周波数特性については簡易型発振器の10KHz方形波で通過信号を見ただけですが、原波形に極めてそっくりですので、少なくとも100kHzまでのフラットネスは問題ありません。(後ほど50KHz方形波で最終確認します。)

 このバッファーアンプの前に減衰回路を追加したのが左の回路です。
 方形波信号又は正弦波信号を選択するスイッチの後で、3段切替の減衰回路に進
 みます。 信号出力を連続可変するのは3KΩの可変抵抗ですが、その頭に27KΩ
 又は297KΩを直列に繋ぐ事で、1/1、1/10、または1/100の減衰比を持たせます。
 簡単に作れますが減衰量を変化させた時に高域の周波数特性が変化する可能性
 があるので、それを事前に確認・調整をしておかねばなりません。

 先に結論を言ってしまうと減衰量が大きい時オーバーシュートが発生します。 ロータリーSWで1/1001に減衰させた時や、可変抵抗を大きく絞ったときに目立ちます。 そこでカットアンドトライでこのオーバーシュートを抑える手立てをしました。   どこに入れるか?定数をどうするかはカットアンドトライですが、現在の途中経過としては100PFのコンデンサーと3.9KΩの抵抗を組み合わせたローパスフィルターをVRの出力端子とオペアンプの入力の間に挿入します。(上の回路で点線で示した抵抗とコンデンサーです。)

オーバーシュート潰しの実験の全貌はお伝え出来ませんが、暫定方法として可変抵抗とバッファーの間に3.9KΩを入れ、その後に100PFをGNDとの間に挿入するローパスフィルターは充分に満足できる範囲で作動しています。 10KHzの方形波信号の角が丸くなる量はごく僅かなので、100KHz近辺までのでフラットネスが期待できると思います。

対策を施す前と施した後の違いは以下の写真で充分理解していただけるでしょう。

ロータリースイッチに信号が入る部分での10KHz波形です。 これに相似な波形が得られれば、100KHzまではフラットな周波数特性になります。

ロータリーSW出口の波形ですが1/100にてこのようなオーバーシュートが発生します。

その時にVR MaxポジションでVRの出力波形はこんな風で、ロータリーSW出口に似ていますが、

VRを絞ってやるとこのようにオーバーシュートの高さは信号の大きさに対して大きい比率になります。



ここまでが補正する前の状態で、ロータリースイッチに入る信号にオーバーシュートが無くても、減衰後には発生していることが確認できます。 同様にボリュームでもMAXポジションではオーバーシュートの増加は見られませんが、ボリュームを絞るとオーバーシュートが増加してきます。 そして一度発生したオーバーシュートは左の写真のようにバッファーを通過した後でも同じレベルで残っており出力に出てゆきます。

ところでこのオーバーシュートは100KHz前後の周波数で極僅かなピークが回路系に存在することを暗示しています。 そしてオーバーシュートに留まっているのであれば簡単なローパスフィルター(ハイカットフィルター)でピークを抑えることにより取り除く事が可能です。 これがオーバーシュートに留まらずリンギングと呼ばれる状態になると補正はかなり難しくなってきます。

 以下の写真はオーバーシュートを抑え込む実験の結果を表しています。 左側の写真は補正過剰状態で、右の方が適
 切な補正が掛かっています。 但しロータリースイッチやVRが信号を減衰していないときには、100KHz近辺の信号レベル
 が若干下がっている傾向があるので、もう少し全体を見ながら調整点を探す必要がありそうです。



ローパスフィルターを追加していますが、減衰回路を通らない時には高い周波数のレベルが僅かに下がり出している傾向にあります。

100PFとしたこちらは左の200PFの場合よりも立ち上がり、立下りが共に良いようです。 減衰回路通過後の波形との比較になりますが、50-70PF辺りが最適となる可能性があります。



これはバッファーアンプの入力部での波形ですが、左肩が明らかに丸くなっており、補正過剰を表しています。

100PFの場合には肩が丸くなっている直前で綺麗にオーバーシュートを抑え込んだと言えます。



バッファーアンプの出力部では信号レベルがバッファーアンプのゲイン分だけ(1.545倍)上がっているだけで形は完全に相似です。

100PFの場合にはほぼ完璧な方形波の形です。 どちらの場合も波形のトップの部分の厚みが増していますが、これは外部のイズを拾っているようで、実際にはきちんとしたシールドが必要です。

最終的には部品間距離、配線の違いなどで同じ定数で同じような結果が得られると
は限らないので、完成後も素子を変更しやすいような配慮が基板設計時に必要で
す。 またVR最大の時には角が丸みを帯びる傾向があります。

これは過補償であるわけですが、同様の事が減衰器を0、1/10とした時にも起こる
はずです。 これらに対する対策としては2つ目のローパスフィルターを減衰器のスイ
ッチと連動させて減衰比が変わるとハイカットポイントも変えられる様にします。
そうするとこれまでのローパスフィルターのハイカットポイントはより上にずらせますから、VR最大時の過補償を抑えることができます。 右上はその回路の動作を表しています。 3接点ロータリースイッチは4回路も入っておりますので、この追加は小容量コンデンサー2個で実現できますから、最終設計には盛り込みたいと考えています。



2011/08/05

総合設計

オーバーシュートの補正は回路全体に含まれるストレー容量の影響を受けて補正状況が変化しますから、より実際に近い形で結論を出した方が良い筈です。 そこで実際に組み込む減衰回路/バッファー回路の基板を起し、最終的な部品を取り付けて調整する事にしました。 そうするためには全ての回路をまとめたり、ケースの構造、フロントパネルレイアウト、フロントパネル組立構造などを決定しないとなりません。 それらの作業を先ず進めています。

回路は『正弦波・方形波発振部』、『減衰器・バッファー回路部』、『電源回路部』、『周波数カウンター』の4つに分けてブロック化します。 最後の周波数カウンターは\6,500で売られている周波数カウンターユニットを導入する予定があり、それのことを指します。 これらの中で減衰器・バッファー回路部はミリボルトオーダーの信号を扱う可能性があるので独自にシールドケースに包み込むためひとつのブロックになります。 電源回路部は誘導ハム発生の源になる可能性がありますので、独自にブロック化してケース内で最も遠い所に配置となります。

 全回路は左の図が現在の状況を表しています。 発振部は特に変わったところはありませ
 ん。 減衰器・バッファー部は先週最後に触れた2段のローパスフィルターにします。
 詳しくは後ほど述べますが、1段目は簡単にコンデンサーの半田付け変更が出来るように
 し、2段目は半固定抵抗を使ってベストチューンとしやすいようにします。

 それと発振波形セレクターの後に1KΩ抵抗を繋ぎ、固定出力として出してありますが、この
 端子にはDMM(三和 PC-510)を繋ぎ発振周波数を読み取ります。 このDMMでの周波数
 読み取りは測定帯域が狭い(10〜125KHz)、測定感度が低い(300mV以上)と本格的な
 周波数カウンターに較べると見劣りしますが、発振周波数(10〜100KHz)、測定点では約
 5Vピークの出力電圧であり、測定確度は 0.01%rdg + 2dgt で充分な性能ですので、合理
的な運用ができると考えます。 電源部では方形波発振回路用の可変出力はやりすぎと考え±6V 固定出力としました。

これらのブロックを収めるケース フロントパネルのレイアウトが右の図です。 黄緑色の部分
『正弦波・方形波発振部』、水色の部分は『減衰器・バッファーアンプ部』基板で、内
部での位置関係を表しています。 基本的には電源部を除いてフロントパネルに固定されま
す。 従って±2定電圧電源と同じような考えかたで、フロントパネルをケースに固定できま
すが、きちんとした静電シールドをしないとならない個所が出てくるので、その部分の工作の
厄介さは増えると思われます。

ところで殆どのブロックはフロントパネルに固定と述べましたが、その固定法はほぼ検討済
みで、ロータリースイッチと可変抵抗のネジで基板とフロントパネルを共締めします。
こうする時に一番考えないとならないのはプリント基板とフロントパネルの間の隙間です。 プリント基板の裏側は単なる配線だけでしたら2mm位の出っ張りとなりますが、裏づけされる小さなバイパスコンデンサーがあり、普通は3mm程の出っ張りとなります。 従って最低でも4mmの空間は残さないとなりません。 これにフロントパネルの厚みと基板の厚みを加算すると、最も薄いケースでフロントパネル1.0mm、基板1.2mmの合計6.2mm。 フロントパネルが柔な感じがしなくなるのは1.5mmですがその時に合計6.7mmとなります。 プリント基板を奢ると更に厚みを増します。

 一方私が良く使うロータリースイッチや可変抵抗の固定ネジ長は8-10mmありますので、
 合計で6.7mmの場合でナットを締め込める距離は1.3-3.3mmになります。 ナットは2mm
 以上締め込めれば問題ありませんが、1.3mmというのは少なすぎて問題があります。
 実は1.3mmとなるのはロータリースイッチの場合で、根元に高さ1mmの段差があります。
 標準の固定穴ではこれに引っ掛かるようになっていますが、大き目の穴をあけて引っ掛か
 らないよう固定すれば、ネジの締め込み距離は1mm増加し2.3mmとなるので問題なくなり
 ます。 兎も角4mmのスペースを確保するのはぎりぎりですから、アルミパネル厚は1.5mm
 以下、プリント基板厚は1.2mmに抑えないとならないでしょう。

 ということで取り付けの部分の詳細は左の図のようにします。 バーニアダイヤルの固定と
 それへの連結は別な発想としないとならないので、可変抵抗を基板面から13mm浮かせて
 固定し、バーニアダイヤルのシャフト連結部分にうまく収まるようにします。

 そのケースをどうするかですが、安定化電源を作った時よりもシールド効果が重要ですの
 で、市販の金属ケースを使ってしまう可能性があります。 その場合は260(W) x 100(H) x
 180(D)がどうかなと考えていますが、フル木製ケースで行く可能性もあります。 但しシー
 ルドを厳重にしないとならない部分が多いはずなので、ケースの構造は複雑になり加工は
 かなり面倒になると思われます。

とまあそんなこんなで全体の骨格が良く見えるようになりましたので、減衰器・バッファーア
ンプ部の基板レイアウトを最終のものとしました。 右の図がそれですがこの図は部品取り
付け面を見ており実際にはこれが裏面になります。 左手はロータリースイッチで3段階の
減衰選択をし、右側が信号レベルの連続可変用のVRです。 そしてその右にバッファーアン
プを組み込んで右端に出力が取り出されます。 出力端子は基板には組み込まれません
が、この基板のすぐ右側に上下に並び最短距離で結線されます。

これでようやく今週の冒頭に掲げたオーバーシュート補正の最終回路を調整できる事になりました。 調整手順としては、減衰器1/1の位置で、2番目のローパスフィルターの半固定抵抗を回しVRを絞った状態でオーバーシュートが出なくなる位置を探します。 そして減衰器を1/10にして同じようにVRを絞った状態でオーバーシュートが消えるようC1を調整します。 同様に減衰器1/100でもC2を調整してベストな値を決めます。

出来上がった減衰器とバッファーアンプが一体になった基板。 これ全体と出力端子が銅板で作るシールドケースに収まります。

こちらが表面側になります。 この上に4mm厚のシナ合板がスペーサーとなり、1.5mmのアルミ板が上に載ってVRとロータリースイッチのナットで共締めします。

バッファーアンプ部でオペアンプは交換可能。 青いのがポテンショメーター(半固定抵抗)でその右上に100PFのコンデンサーがあり、2番目のローパスフィルターを形成します。 半固定抵抗は現在2.9KΩに調整されています。

こちらは1番目のローパスフィルターのコンデンサーのクローズアップで、上の20PFは1/10ポジション用で、下の100PFは1/100ポジション用で、何れも容易に交換可能です。

最終的な2段ローパスフィルターの効果は次の写真をご覧ください。 先週の1段フィルターに比べ格段に良好な動作をしております。

減衰比が1/1でもVRを絞ると左のようにオーバーシュートが発生します。 そこで半固定抵抗を調整しオーバーシュートが丁度消える位置を探したのが右の状態で、抵抗値は2.9KΩでした。 前は3.9KΩでしたから、過補償だったわけで、計算上は34%程カットオフ周波数が高い方にずれています。

その時のVR最大の時の波形ですが、補償後は極々僅かなスルーレートの悪化がありそうです。 しかしその傾斜は以前の時よりも明らかに急傾斜で良好です。

減衰器が1/10でVRを大幅に絞った時の波形は1/1の場合とほぼ同じ量のオーバーシュートが発生しています。 従って1番目のローパスフィルターでは軽く効かせた程度で充分機能します。 (実際のところ現状ではC1に20PFを使い右のような補正が出来ています。)

1/1の時に較べると1/10では補正後の傾斜はほんの少しなだらかさを増していますが、それでも1段フィルターの時より傾斜は急で、スルーレートの悪化は少なくなっています。

1/100に減衰させVRを絞った時のオーバーシュートはかなり大きいです。 ここでC2として100PFを使って右のように抑え込んでいます。

減衰器が1/100の場合には何とVRが最大でもオーバーシュートがこのように発生しています。 そしてC2の100PFはこれにも効果的に作用しオーバーシュートを消しています。 ここでもスルーレートの悪化は極僅かです。



2011/08/12

電源ブロック基板

ここまでは先日完成した±2定電圧電源で予備実験を進めてきました。 消費電流がいつでも判るので大変便利でしたが、正弦波発振器とバッファーアンプは±15V、方形波発振器は±6Vと異なる電圧を供給しないとなりませんから、この発振器に使う電源を作ってから、発振器基板の製作に進むことにしました。

 電源部の出力電流は使うオペアンプにもよりますが、±15V回線が10mA前後、6V回線が5mA前後程度
 であろうと思われます。 使うレギュレーターは価格が大変安いので(\65.-前後)採用したものですが、
 放熱板無しでも最大出力電流が1A、消費電力が1W程度まで取れます。

 トランスは手持ちから出力電圧18Vで110mAが最大電流の物を選びましたが、バラックで組んだ無負荷の
 時の整流器の最大出力電圧は約±28Vでした。 そうすると±15Vラインではレギュレーターの消費電力
 は130mW、±6Vラインでは約110mWがピークの値になります。  レギュレータの絶対最大定格に対し充
 分にゆとりがあり、発熱も僅かでしょうから、放熱に対する配慮は最小限で済みそうです。

 ということで、左の図のような放熱の事を余り気にない比較的実装密度の高いレイアウトにしました。
 尚ショットキーバリヤーダイオードを4本ラッチダウン防止に使っています。 整流器は1N4007を4本使って
 ブリッジ整流していますが、1個でブリッジ整流用になっている物を私は余り使いません。
 それはこの場合のように4本を分離して配置し合理的で省スペースになる使い方が出来るためです。
 合計4系統の出力はコネクターで各ブロックに結線します。

発熱しやすい部品も幾つかありますが、見込みではかなり小さい電流ですので発熱量はかなり少ないと見ています。 このため熱に弱い電解コンデンサーと発熱しやすい素子などの距離もかなり狭まり、密集度の高いレイアウトです。


発振回路基板

 左の図は発振回路基板のレイアウトです。 図では既に出来上がっている減衰
 器/バッファーアンプ基板を実際に固定される位置に描き込んでいます。

 心臓部となる正弦波と方形波2つの発振回路は、このように減衰・バッファー回路
 基板の上に位置します。 この図は部品取り付け面となる裏側から見ているため
 左右が反転しますが、左側に正弦波発振器が右側には方形波発振器と並び、
 正弦波の方はレンジ切替以外に連続可変となっているため、ツマミは3個並び
 左2つは正弦波用で右が方形波のレンジ切替えとなります。

 そして左端はバーニアダイヤルを使い滑らかに周波数が変化するようにしてあり
 ます。 バーニアダイヤルはVRの回転角(約300度)を5回転半で回します。

 バーニアダイヤルの固定方法とそれにVRを連結する部分の構造は、この図では
 非常に判りにくいです。 従って後ほどお見せする写真をご覧頂いた方が理解し
やすいと思います。 ということを前提としてその構造概略を説明しますと、バーニアダイヤルは3本のM3のネジでフロントパネル、スペーサー、プリント基板に共締めされます。 緑色の小丸が3本のネジ位置です。 VRはプリント基板から3個の木片で浮いたアルミパネルに固定されます。

最も加工・組立作業で精度を確保すべき部分はバーニアダイヤルがVRに連結される部分で、本当はフレキシブルジョイントを使う所ですが、そのようなスペースを取り難いので、直結します。 この時両軸の中心がずれると滑らかにバーニアダイヤルが回らなくなってしまいます。 従って加工精度を上げる事のみならず芯ずれを調整できる固定方法を取らないとなりません。

プリント基板に12mm浮かして接着するアルミ板にVRが固定されますが、この時にバーニアダイヤルとの連結量は調整可能で適当になります。 左の図ではこのアルミ板を紫色で染めていますが、上方には長方形の欠き取りがあり、ここにバーニアダイヤルの固定ネジの1本が入ります。
このような取り付け構造にした上で大変原始的ですが、バーニアダイヤルをパネルとプリント基板に固定VRの軸をバーニアダイヤルに差し込む(連結固定ネジは締めない。)VRを固定台座にナットで締め込む。(VR固定穴は直径を1mmほど大きくしておく。)連結固定ネジを締め込む。 の方法で芯ずれは許容値以内に抑えられるのでは? と考えています。

左端のツマミとその右のツマミの中間に発振信号の選択をするトグルスイッチがあります。  発振器には周波数を決定するコンデンサーが12本あり、それらの片足はロータリースイッチに接続されますが、接続固定方法は簡易型でやった、小さな基板にコンデンサーを固定しその基板をロータリースイッチの近くにエポキシで接着します。 これで不安定な宙ぶらりん配線は無くなります。

穴あけ加工が終わった発振回路基板。 中央と右の穴はロータリーSWが固定され、左に見える三つの穴はバーニアダイヤル固定の穴ですが、これらはフロントアルミパネル、スペーサーと共締めされます。 中央下に見えるのは12mm合板を切断したVR座受けでこれから基板に接着します。

フロントパネル(1.5mm)とスペーサー(4mm)の替わりに5.5mmのダミーの板をバーニアダイヤルとプリント基板の間に挟んで固定しました。 これでVR取り付けが頭の中で考えたとおり行くかどうかを確認します。

バーニアダイヤルを取り付けたプリント基板の部品取り付け面。 鉛筆で線を引いたところに12mm合板を切って作ったVR座受けを貼り付けます。 右の座受けは反対側中央が削られています。

座受けの接着が終了しました。 左側の座受けは2分割ですが、その間のスペースにバーニアダイヤル固定ネジが通ります。

そして右側の座受けは反対側がえぐられトンネルが出来ているので、このようのドライバーを差込み、VRシャフトの固定ネジを締め付けることが出来ます。

座受けには2mm厚の座金が固定され、ここで見えているVRは実際には、この後加工する座金に固定されます。

最終的に座金には2mm厚アルミ板を使いました。 そして加工終了後にエポキシ接着剤とネジを併用して固定しています。

上の写真との違いが良く判ると思います。 目論見どおり、バーニアダイヤルとVRの軸ずれは許容範囲に入っていると思われ、回転中に妙に渋くなるような事はありません。

プリント基板に半田付け以外の方法で固定する部材がやっと取り付け完了しました。 これで配線に入れます。

その基板を下方から見たところ。 左端のバーニアダイヤルに取り付けるVRが如何に後方に突出するかが良く判ります。

4個ずつ3ブロックのコンデンサーはそれぞれミニ基板に半田付けされ、その基板はロータリースイッチの脇に垂直に固定されます。

ミニ基板の下には4mm合板を4mm幅に切った棒を貼り付け、メイン基板への接着面積を稼ぎます。

基板レイアウト図の所定の位置にミニ基板を接着します。

これで予め半田付けしておいたリード線を所定の接点や基板に半田付けすれば終わりで、プラプラ不安定な空中配線を回避できています。

正弦波・方形波各発振回路部分の配線を済ましました。 誤配線がないか充分に確認をしておかないとなりません。


動作確認

最終的な調整(と言っても殆ど歪率と出力安定度の兼ね合いだけだが?)はシールドで周りを囲んだ上で木製のケースに収めた状態でやりますので、現在は目視による出力電圧調整と動作状態の記録に留めます。

尚方形波発振部は既に紹介したとおりの内容ですので割愛します。

1.正弦波発振に使うオペアンプ
  繰り返しますが、まだ歪の測定が出来ませんので後日変更があり得ますが、動作が最も安定していそうなオペアンプを差し替
  えて確認しました。 その中でLME49710が最も出力電圧の安定度が高かったようですので、これにてこの後のテストをしてい
  ます。 因みにTLE2141CPOPA134LME49710に較べると若干劣るかな?という感じで、NE5534APは高域端(100KHz
  以上)
で出力電圧が安定せず発振気味の状態になりました。

2.正弦波出力電圧の調整
  基本的に出力電圧を高めにした方が出力の安定度は高くなります。 これは電圧安定のための『電球』に掛かる電圧が高くな
  り、電球の反応が高まる事によります。 但し歪の方は電圧が高まるにつれて上昇傾向となりますので、どこかで妥協しないと
  なりません。 現時点では歪の測定は出来ませんので、オシロスコープを見ながら周波数変更をした時の信号出力安定所用
  時間を、私が許せる範囲の長めに設定しました。 無論この時に歪が満足すべき値になっているかどうかは確認できません。

  1KHzにおいてそのような調整をし、その他の4点の周波数にての信号レベルは以下のようになりました。

周波数 レンジ No P-P値 実効値換算 1KHzに対するレベル値
10Hz 8.8V 3.11V -0.4dB
100Hz 9.2V 3.25V ±0dB
1KHz 9.2V 3.25V ±0dB
10KHz 9.0V 3.18V -0.19dB
100KHz 8.4V 2.97V -0.78dB

  取り敢えずの感想としては、電球だけによる最も簡単な出力安定化の割には充分使えそうだな?と感じています。

3.発振周波数
  各レンジでの発振周波数範囲は次のとおりです。

レンジ 発振周波数範囲 設計値
1: 7.4Hz 〜 105.1Hz 7.4Hz 〜 106Hz
2: 74.4Hz 〜 1056Hz 74Hz 〜 1060Hz
3: 746Hz 〜 10.6KHz 740Hz 〜 10.6KHz
4: 7.53KHz 〜 107.4KHz 7.4Hz 〜 106KHz

  使っているコンデンサーのメーカー発表偏差値は±5%、VRのそれは±10%あります。 それを考慮すると得られた発振周波数は
  信じられない位精度が高いと言えます。 これは大変な驚きでした。


4.消費電流
  電源電圧は±15Vですが、この時の消費電流は6mAでした。 一方方形波発振回路が3mA、バッファーアンプが4mAですの
  で、合計の消費電流は13mAとなります。 製作した電源回路にとって大変低負荷です。

ということで基本的には動作上の問題はありませんでした。 但し正弦波発振器の周波数レンジが4で発振周波数が高めの状態で、発振信号に何やら別の信号らしきものが載っている事を発見しました。 これは推測ですが外部から入ってくる電波信号(AM)ではないかと思われ、異常発振現象ではなさそうです。 であるとすると、シールドについては減衰器以降だけを考えていましたが、全体のシールドも考えないとなりません。



2011/08/19

シールドボックスの製作

少々遠回りになりますが、外部のノイズが飛び込んでくるようなので、減衰器/バッファーアンプだけを考えていたシールドを発振器ブロックにも施し、外来電波の混入と見られる現象の低減効果を確認をすることにしました。 ケースは木製ですが、その内面に0.3mm厚の真鍮板を全面に貼り付けてしまう(結果としてメタルケースと同じシールド効果?)ことも考えられますが、発振器ブロックを減衰器/バッファーアンプブロックと同じような金属の箱に入れてしまう方法で実験してみたいと思います。

こうする一番の理由は近くのホームセンターでは大きくて格安な金属板がなくて、200 x 180mmの小さなもので作らないとならない事にあります。 シールドの材料としては0.3mm厚真鍮板としこれで作ったボックスで包み込みます。 アルミ板のほうが安いですが、真鍮板であると半田付けで組み立てられる(電気的な接続も半田付けで確実)という理由です。

 左がシールドボックスを作る真鍮板の加工図です。 上で触れたように1枚の大きさは200 x 180mmと小さな物です。
 この180mmの両端を1cmで折り曲げた160mmの長さが発振器と減衰器/バッファーアンプの両方に丁度良い大きさ
 になります。 減衰器/バッファーアンプは横幅が短いのですが、出力端子をこのシールドケース内に入れてしまうこと
 が出来て具合が良いでしょう。

 本体は断面がコの字型になり、両端は1cm折り曲げて側板を半田付けする部分にします。 特に目立った構造では
 ありませんが、これが後で述べるうまく曲げられる構造だろうと考えています。

 尚出来上がった箱は縁の部分がぺこぺこして不安定ですので、幅6mm、厚さ1.5mmの真鍮板を曲げてロの字型の枠
 を造り内側に嵌め込み半田付けしました。 この枠に2.3φ、長さ6mmのタッピングネジで蓋が固定されます。
 蓋は周囲を1cm弱で折り曲げて被せるスタイルで、当然ながらボックスよりひとまわり大きくする必要がありますが、
 シールドボックス本体が出来上がった後で現物を採寸し最終的な寸法を決めて製作に入ります。

とここまでは特に問題なく進みそうな気配ですが、実は0.3mm厚真鍮板の切断と曲げて箱にする方法は長い間思考実験の末に決定しています。 先ず切断方法ですが、最も簡単なハサミでの切断は過去の経験で、平面を保てず焼いたスルメのように曲がってしまうため早々とあきらめました。

次に考えたのがジグソーでの切断です。 しかし小さなピースでの切断実験でも、薄い材料では切断面に凸凹が出来やすく平面を保つのは不可能でした。(1.5mm厚アルミ板は平面が損なわれる心配がなおので、ジグソーで切断しています。)

最後の方法は刃研ぎグラインダーを使う方法です。 これの場合は切り代が大きい(直線で2-3mm、曲線だと10mm以上削り取られる事が多い。)、発熱(摩擦熱)が大きい、ディスク進行方向のコントロールが難しい、という問題があるものの、薄い板の平面性を損なわない点では最も優れています。 そこで切断時の緊張度は非常に高いですが、これで切断線よりも0.5-1.0mm大きめに切ってヤスリで仕上る事にします。

曲げる方法は更に敷居の高い作業です。 過去にも色々な機会でささいな板金作業の経験をしましたが、小さな板の加工ならいざ知らず、曲げ部分の長い場合はどうしても曲げた角が丸くなってしまいます。 板金屋さんが使う曲げの道具は一過性の作業でしかない身ではとても購入できるものではありません。 特注で頼んでも良いのですが、これまた目が飛び出るほど高い請求がされます。 作るシールドボックスは外部から全く見えない内部に配置されますので、外観は無視して電気的或いは構造的にOKな物を作る方法を考えました。

曲げる部分をペンチでくわえて・・・・!?なんていう方法は、平面の部分が殆ど無いくらい凸凹だらけになってしい全く駄目です。 バイスでくわえて一気に曲げる方法は、バイスの幅より曲げる長さが短いと良好に曲げられることを経験しています。 しかし最長の曲げる長さは160mmありますので、バイスで一気に曲げるのは不可能です。 そこで余計な加工の手間がない材料をあれこれ物色した結果、断面がL字型のアルミ引き抜き材を発見しました。 幅15mm、厚さ3mm、長さ300mmあります。 これを2枚使い切断線に沿って真鍮板を挟み、出た部分を木材の棒を当てて一気に曲げる!という方法です。

アルミは柔らかく曲がりやすい材料ですが、3mm厚あれば厚さが0.5mm位までの金属板(チタンやステインレス板は除く)を曲げる時に発生するストレスに耐えられると思います。 次の写真はそのL字型アルミ材と曲げる方法を表していますが、後ほどの実際に作業時の写真も参照ください。

曲げるのに使う材料として選んだアルミ材。 厚さ3mm、幅15mm、長さ300mmありますがこれを2本使います。 直角の角は硬くないので長持ちしませんが、薄板を10数回曲げる程度であれば何とか持つと思います。

2枚のL字型アルミ材で曲げたい材料をこのように挟み、矢印の部分に角棒を当てて矢印の方向に一気に曲げてやる!! という仕掛けです。


ところでこのシールドボックスはプリント基板、スペーサー、フロントパネルと一体になって
VR、ロータリースイッチ、バーニアダイヤル組み立てられます。
従ってシールドボックス製作と平行してフロントパネルも一緒に加工せねばなりません。
そこでフロントパネルのレイアウトを決定し図面を起しました。(右の図)

フロントパネルの材料は1.5mm厚のアルミ板ですが、これまでに製作してきた安定化電源、
±2定電圧電源と同じ厚さにしています。 その理由としてはペコペコした柔な感じがない
ことと、1.6mmのストレートビットで彫った溝にぴったりと嵌りみ都合が良い点にあります。

シールドケース作りは緊張と忍耐と強いられる作業でしかもその割に出来栄えが良くなくて極めて長い作業時間になりますからハッピーではありませんでした。 しかし大きな山を越えたな!という感じがあります。 そこまでの様子は以下の写真もご覧ください。

0.3mm厚真鍮板を切断する前に位置の判っている穴をあけました。 薄いから加工は楽!と思ったら大間違い。 切り口近辺が曲がりやすいので、ゆっくり慎重に進めるしかなく、くとんでもない時間が掛かります。

フロントパネルは柔らかいアルミ板とは言え、1.5mm厚ありますので、加工は真鍮板よりも楽なくらいでした。 しかし真鍮板2枚とアルミ板の予備加工で1日を費やしてしまっています。(切断はシールドボックス完成後に!)

刃研ぎグラインダー使用時にはゴーグルが絶対必需品。 私はTSK セーフティーゴーグル #305を使っています。  安いだけの物では得られない安全性、安定性、長時間使用時の快適さが得られます。

刃研ぎグラインダー(CG-11)で切断中。 白っぽい縦の線が罫引きで引いた切断線で、それより0.2-0.3mm外側を切断できています。 また切断により平面がぺこぺこになることはありません。

切断が完了した大小二つのシールドボックスを作る材料。 ここまでは目論見どおりに進むことが出来ました。

曲げ作業のスタート。 前にお見せした曲げる方法の写真と全く同じ方法で、手前に見える棒を当てて一気曲げします。

当てた棒は向こう側にあるので見えませんが、一気曲げに入った所です。 これにはかなり力が必要になります。

1回目の直角曲げが終わりました。 曲げた角の光の反射で曲げのシャープさが判りますが、私が期待していたシャープさの60-70%位しか得られていないようです。

長い部分の曲げが終わった後に、端の耳の部分の曲げを施したところです。 その為にL型アルミ材を内寸幅に切断しています。

全ての耳の部分が曲げ終わりました。 曲げた後の最大寸法誤差(設計値に対して。)は1mm以内で、寸法誤差が余り影響しない物なので、辛うじて合格です。

側板を耳の部分に当てて半田付けしました。 銀色っぽい筋になっているのがそれです。

そして蓋のない箱の状態になりましたが、予想以上にぺこぺこしていて強度的に弱いので補強をします。

厚さ1.5mm、幅6mmの真鍮棒を曲げてロの字の枠を作りました。これをボックスの内側に半田付けします。

補強が終わったシールドボックス。 みてくれがあまり良くないのが残念ですが、強度はぐんと上がりました。

現物合わせで蓋を作りました。 被せ代は約9mmあります。

そして蓋はこのようにタッピングネジ(2.3φ)で固定されます。

3本の電源ケーブル(平行3芯)と二つのBOXを連結する2本のワイヤーを引き出す穴をあけます。 蓋を外すだけでケーブルも外れる構造です。

電源ブロックとはこのように連結されます。 これでようやくシールドボックスの製作が終了です。 実動4日間を費やしました。



2011/08/26

金属加工の残る作業

シールドボックスが出来上がってもまだ幾つかの加工作業が終わらないと実動試験には入れません。 そのひとつはフロントパネルです。 事前加工の殆どは済んでいますから、所定サイズに切断してやります。 これには電動ジグソーを使いました。 薄くてペラペラではないので、ジグソーが使えます。

その後にヘヤーライン加工を#120ペーパーで施し水洗いしてから水性ウレタンニスを2回塗りしました。 この後1日置いて完全乾燥後にインスタントレタリングで文字入れします。 終わったら水性ウレタンニス艶消しクリヤーを2回塗っています。 これでパネル表面は傷つき難くなり大変丈夫になります。 尚バーニアダイヤルの固定ネジ穴を現物合わせであける作業とLEDの窓穴と電源スイッチの座金をエポキシ接着剤で固定する作業がまだ残っています。

二つの基板の裏に4mmシナ合板を切ったスペーサーを両面接着テープで貼り付けます。 基本は基板を固定するロータリースイッチとVRの周り、それに基板の配線がされていない空き部分に適当に貼り付けます。 1.2mm厚の基板は撓みやすく、配線部分がシールドボックスに接触しないようスペーサーの配置には工夫が必要です。 特に裏付け部品に気をつけるべきで、ここでは0.01μFのコンデンサーを6本裏づけとしていますが、その部分の基板表面からの突出量はノギスで測ったところ3〜3.5mmもありました。  従ってゆとりはあまりありません。

スペーサーを例えば5.5mmなどにすれば楽勝ですが、その時はフロントパネル面からロータリースイッチやVRのネジ部分が出てこなくなりナットが締められなくなります。 こんな点がこの組立構造で要注意部分です。

あとバーニアダイヤルのロックネジを締めるためにシールドボックスにドライバーがさせるよう二つの穴をあけて金属加工作業は完了です。 そこまでの作業の様子は以下の写真をご覧ください。

切断線に沿って電動ジグソーで切断しました。
(1.5mm厚もあるので電動ジグソーが使えたわけです。)

#120のサンドペーパーでヘヤーラインを入れました。 表面の細かな傷などはこれで消えてしまいます。

その後水性ウレタンニス透明クリヤーを2回塗り完全乾燥後にインスタントレタリングで文字入れ。 その後水性ウレタン艶消しクリヤーを2回塗りました。 更にバーニアダイヤル固定穴とLED窓穴をあけています。

4mm厚シナ合板を切ってスペーサーにしました。 基板の配線がない部分にこれを両面テープで接着しています。 

4mm厚のスペーサーは実はぎりぎりの厚さで、ここに見える黄土色の裏付け部品などは突出量が大きいので?

定規をスペーサーに当ててみましたが、先ほどの部品は隙間の残りが1mm以下です。 かと言ってスペーサーをこれ以上厚くするとVRやSWをナットで締められなくなります。

シールドボックスに収めてからバーニアダイヤルロックネジを締められるよう、追加の穴をあけてこのようにドライバーが挿せるようになりました。

2つのシールドボックスを共締めして蓋をする前です。 パネルにまだ固定していない部品は電源スイッチとLEDです。(右にその穴が見える。)

蓋を被せて電源基板と接続しました。 木製ケースにはこのような位置関係で固定されます。

電源スイッチ固定金具とLEDを固定する4mm厚の小さな板は何れもエポキシ接着剤で固定しました。


シールドボックス付きの動作確認

早速実動テストに入りましたが妙な信号が混入して動作が非常に不安定です。  そんなバカなー!と思いながら数時間あちこちいじってみましたが一向に動作は良くなる兆候がありません。 そこでどこが不具合なのかは中が全く見えないのでは調べる事が出来ませんから、蓋を外してあれこれチェック、それでも何ら変化がないのでシールドケースを再び外してみた時に、それまですっかり忘れていた大事な事を思い出しました。

それは、フロントパネルやダイヤルシャフトなどの電位がフローティング状態になっていた! ということです。 普通は変なノイズの混入、発振、不安定動作などが起きないようフロントパネルやダイヤルシャフトなどはGNDの電位にします。 完全なバラックでの動作の時にはワニ口ケーブルで一応GNDに接続していたのですが、蓋が付くシールドボックスになった時にはワニ口ケーブルが使えないため、GNDに繋ぐのを忘れてそのままにしておきました。 そこでバーニアダイヤルシャフトとフロントパネルを、正弦波発振器回路の近くでGNDに接続して見たところ、完全に問題は解決してしまいました。 おまけにシールドボックスはなくても変な信号の混入はないようです。

これは想像ですが、振り返ってみると外部電波が混入していたような状況時にはバーニアダイヤルシャフトやフロントパネルが不確実にGNDと繋がっていたか全く繋がっていなかった可能性があります。 そしてその現象を見てシールドが必要と勘違いしたように思います。 どちらにしてもダイヤルシャフトとフロントパネルを確実にGNDに接続した事により、変な信号の混入は消えてしまったのです。

2つのシールドボックス製作に4日間もの時間を使った苦労の作品ですが、完全に包み込まれる構造から起きる扱い難さが多々ありますので、発振器用のシールドボックスは外してしまう事にしました。 減衰器とバッファーアンプは数ミリボルトの微弱信号を扱うこともあるので、シールドボックスはそのまま(と言うか最初のアイデア状態で)使う事にします。

そして動作確認に入りました。 先ず外部ノイズの飛び込み(混入)の再確認ですが、数時間近く動作を続けて頻繁にオシロスコープを監視しましたが、以前確認できた外部ノイズらしき物は全く発見できませんでした。 発振動作も大変安定しています。

一番気にしていた方形波については前回やったオーバーシュート補正後の波形(10KHz)との比較という事で同条件で写真を撮りました。  各左側が前回のオーバーシュート補正後のもので、右下に『補償後』と入っています。 右側が今回撮影したもので右下に『FINAL』と入っています。

ご覧のように前回/今回の違い(左肩の丸み具合の増加、オーバーシュート、リンギングの発生)はまずないと言って良いでしょう。 但し出力がピーク電圧3mVになるとごく僅かのオーバーシュートが出てきます。 これを補正する事は可能なのですが、大きな信号電圧で肩が丸くなるのと、方形波のピーク電圧3mVを使うケースは先ず考えられないので、このままにしておく事としました。

むしろそれ以外の現象ですが、以前は立ち上がりや立下り部分に僅かな乱れが出る場合がありましたが(原因不明)、それがなくなってスムーズになっており、測定用の信号としてより良くなっております。 それらの違いが判る部分にはコメントを入れておきました。

大きなシールドケースは無くても何ら問題は無い事が判ったので外してしまいました。 木製ケースの内部にこのように装填されます。

前面はこんな具合。 下二つの小さなツマミは動作確認用に取り敢えず付けているだけで、最終的には上と同じツマミに変更されます。

右側は目標スペックに合わせて最大出力を調整後(P-Pで約15V)。 1/10ではP-P 1.5V、1/100でP-P 0.15Vになる。

左の写真では波形の立ち上がり/立下り(垂直部分)に点線のような不連続部分があるが、右のシールドケース装填後にはこれが消えている。

 

減衰比1/10でもアッテネーターを絞ると不連続のような現象が見えてくるが、シールドケース装填後にはこれが消える。

減衰比が1/100になるとVRがMAXの状態でも不連続のような波形が認められるが、これもシールドケース装填後は問題ない。

ピーク電圧が5mVという微弱な信号でもオーバーシュートは見られない。 2段階のフィルターによる補正が実にうまく出来ていると思う。

ところが出力信号電圧を更にVRで絞ったところピーク電圧3mVになるとご覧のように極々僅かだがオーバーシュートが出てくる。

これをどう扱うか暫し悩んだが、これを抑えると高い信号電圧で肩が丸くなることと、方形波のピーク電圧3mVという微弱な信号を必要とする可能性が無いと考えこのまま行くことにした。

(5mv/Div)



2011/09/02

木製ケースの製作

木製ケースは同じ構造の物として3作目になります。 最初が定電圧電源で放熱器が外側に飛び出す為にかなり変形していましたが、『木製のコの字の開いた部分を上面にして、それに彫られた溝にフロントパネルを挿し込んで固定する!』という基本構造は2作目の±2電源でも採用し、3作目の今回もそれに準じます。  何度も同じ構造を採用するのにはそれなりの理由があります。

 1.アルミ板フロントパネル固定ネジがなく好都合
   フロントパネルは1.5mm厚アルミ板を使いますが、たまたま1.6φストレートトリマービットがあり、これで単純
   に彫った溝に、アルミ板をきつからず、緩からず落とし込めます。 組立・分解も容易でアルミ板固定ネジが
   ありませんので外観上も都合がよいです。

 2.断面がコの字の木製ケース
   アルミ板を上から落とし込むためにコの字に組み上げるのですが、上板や背面板はその上からネジ止めに
   するため、分解して内部の点検、調整、修理が容易に出来ます。 そして組み上げた後には前面を除いて
   完全に木部だけになります。 その外観の温かみは金属ケースでは絶対に得られません。

 その昔はオーディオビデオ機器を始め木部を取り込むことにより高級感や温かみを出す製品が多くありました
 が、現在では超高級品を除きほぼ全滅状態です。 従って『日曜大工でないと実現できないケース構造!』
 というのが最大のメリットかもしれません。 その意味で私が拘りを持っているのは事実です。

 ところで良いこと尽くめのようですが、弱点がいくつかあります。 第一はシールド効果がないことで、シールド効
 果を持たせるには金属板を内張りするなど構造的に大変複雑になります。  またフロントパネルは通常GNDと
 して電位を設定しますが、独立したアルミ板になりやすく注意を払わないとフローティング状態になり、機器が妙
 な動作をするようなことも起きる可能性があります。
 第二は木は熱を通しにくいので発熱量の大きい機器にはなじみ難いことです。 無理やり製作しても木部乾燥
 による変形でトラブルを起す可能性もあります。

 ともかく同じ構造のケースを、14mm厚ムク板を底板と側板用に、5.5mmと4mm厚のシナ合板を天板と背面板に
 使って製作します。 具体的な寸法は左の図面をご覧ください。



2011/09/16

木製ケースの製作 2

製作が2週間空いてしまいましたが、実際には先週作業を開始しました。 但し折からの紀州半島に大きな被害を置いていった大型台風の余波が残っており、時々前触れもなく雨が降り出す悪天候での作業でした。 電動工具を使っているので雨は大敵になりますから要領よくてきぱきと進めないと! という気が先立ち、振り返ってみれば慎重に作業を進めないといけないにも拘わらず、雨を恐れてはしょった部分が幾つかあり、トリマー切削加工が終わったと喜んだのもつかの間、最大で2mmの切削寸法誤差がある!という大失敗で、全てやりなおすことになりました。

ということで再度切削加工作業をしたわけですが、今回は無論雨の心配をしなくて済むので、1ステップ毎に称呼点検による確認をし、念入りに時間を掛けて、失敗を防止した次第です。 その成果は無論OKなのですが、箱の形が出来上がるまでに3日間も費やすことになりました。 まあ残る作業は塗装と電源基板を取り付けるだけになりましたので、次週には遅ればせながら完成ということになると思われます。

そこまでの様子は以下の写真もご覧ください。

この横に木目が通っている板の上下は200.5mmあり、ケースの奥行 + 0.5mmです。 そしてトリマーで前と後のエッジを加工後、左側板、台板、右側板に切り離します。 加工寸法精度を上げる方法のひとつです。

先ずアルミパネルを落とし込む溝を1.6mmのストレートビットで彫ります。 深さは2.3mmとしました。 私のトリマー加工ではこの1.6mmストレートビットは高価ですが大活躍しています。

前側の縁から5mm離して1.6mm幅の溝が彫り終わりました。

次に45度傾斜切削ですが、V溝ビット(VB-90G)を使うのでビットの軸中心は板の前の縁になります。 従って溝の前川の縁から40mmの位置にガイド板を固定します。 ご覧のようにノギスを使って万全を期しています。

VB-90Gを取り付けてビットの突出量を5mmにセットしました。 この調整・確認にもノギスを使っています。

そして切削。 この上の写真の作業を開始する時からここまでに1時間近くも掛けました。 何度も確認してボンミスを避けるためと、加工精度を0.2mm程度まで高めようとした結果です。

後ろ側は10mmのストレートビットを使い、4.5mm幅、深さ5mmで欠き取り、今週の最初の写真の板(幅200.5mm)の前後はこのようにトリマーで加工されてから側板2枚と底板の合計3枚に切り離します。

右側板の底板が接着される部分の加工は2段階で。 第一は10mmストレートビットで幅9.5mm、深さ5mmで先ず削り落とします。 赤線を引いた部分は後程斜めに切削します。

天板が落とし込まれる部分は深さ5mm、幅6mmで欠き取ります。 左側板も同じように加工します。

これは加工が終わった左側板で、手前が前側の縁、左が天板嵌め込み側で右が側板接着側です。(右側の斜め切削加工はこの下の写真にて。)

台座は左右の角を45度の切削します。(切削幅、切削深さ共に5mm。)

側板の台座を接着する部分も45度に斜め切削します。 一部にバリが残りますので、それらを全てヤスリで削り取ります。

トリマー加工作業が終了しました。 上の左は左側板で、右は右側板。 そしてそれらが載っているのが底板です。

3枚の板の組み上げは接着で。 30分硬化開始型エポキシ接着剤を使っています。 フロントパネルを落とし込んで接着位置が狂わないようにして、ハタ金で4時間保持しました。

ケースのコの字部分が完成しました。 アルミフロントパネルは落とし込んだだけで接着していません。 従って抜き差しが出来ます。

左の写真に見られるように、底板の面よりも側板は突出しています。 これは意識してそうしたのですが、接着後に笠付き目地払いビット(MB-12.7G)で突出部分だけを削る事が出来ます。(右の写真)

天板には空気流通のためのスリット状の穴をあけますが、裏側に36 x 50の大きさで深さ2.75mmの座繰り穴をトリマービットで削ります。

6mmのストレートビットで削り終わりました。
次に表面側に3mmのストレートビットで深さ2.75mmの溝を等間隔で6本切削します。 すると裏側の浅く削った部分は細長い穴となって残ります。

溝の切削が終わった天板を現物合わせでサイズを調整し嵌め込みました。
裏板も現物合わせで切断し天板と接着します。

その後天板と裏板をネジ止めする桟を4箇所接着しました。(左) また天板と裏板の接着を補強する棒を接着しています。(右)
天板の前縁にシナの木口テープを貼り、合板であることを隠すお化粧をしました。 これでやっとケースの製作が終了しました。 シナ合板とムク材の色違い、明るさ違いが大きいですが、着色過程で調整して合わせます。



2011/09/23

完成まで

残る大きな作業は塗装です。 もう私の完全な定番となっている艶消しニス仕上げとしていますがその全工程は、

  1.#240、#400 サンドペーパーで全体を仕上げ研摩。
  2.ポアステインによる着色。(水で2倍に薄めて3回塗り、シナ合板部分は4回塗り)
  3.水性ウレタンニス透明クリヤー2回塗り。
  4.#400-#600 空研ぎペーパーで塗装面を軽く研摩。
  5.水性ウレタンニス透明クリヤー1回塗り。
  6.水性ウレタンニス艶消しクリヤー1回塗り。

今は気温が高いので乾燥が速いため、1日で全作業が終わりますが、油性ニスを使うと3日は掛かってしまうでしょう。 その意味で水性ウレタンニスは作業性が良くありがたいです。

この後は電源基板をケース内にネジ止めし、残る配線と電源コードの引き出しをすれば完成です。 それまでの様子は以下の写真をご覧ください。

オーク色ポアステインを水で2倍に薄めて1回目の着色。 左の蓋はシナ合板なので色身が右より薄いです。 右の白っぽい斑は取りきれずに残っている接着剤ですが、底面なので無視しています。

右は3回目の着色で左は1回多い4回目としました。 色味・濃度がほぼ同じに仕上がっていると思います。 こうなれば木目の違いは気が付かれなくなります。

乾燥した状態での左は天面、右は側面になります。 少し違う感じがしないではありませんが、濡れた状態(ニス塗り後もそれに近い。)ではぐっと接近します。

同じく乾燥後に組み上げました。 なんら違和感はありません。

水性ウレタンニス透明クリヤーを1回塗った状態です。 艶はごく僅かしか出ず色身の深みがありません。

透明クリヤーを2回塗った後空研ぎペーパーで研摩し、更に透明クリヤーを1回塗った状態です。 色身がぐっと落ち着いてきました。

最後は艶消しクリヤーニスを塗りますが、艶の出方の違いをよくご覧ください。 左は透明クリヤー3階塗りの後で、綺麗な艶を出すと言う意味ではまだまだ不十分ですが、艶消しニスを塗った後の右は、非常にしっとりとした上品な5分艶に変わりました。 この艶が正に私の求めるものです。

電源基板を固定し、内部の残る配線を済ませれば完成です。 やけにがらんとしていますが、、電源のノイズが飛び込まないよう離しているためです。

天板のスリット内部を水性ペイント艶消し黒で塗りつぶしました。 一本の溝に細い筆で塗るというよりも『落とす』ような感じで素早くペイントを塗りつけます。 当然ニス塗り下部分にはみ出ますが、それは濡れ雑巾で直ぐに拭き取ります。

ようやく完成しました。 定電圧電源で2種類、そして今回の低周波発振器と本物木目ケースは3作目になります。 これでアンプの製作などで、周波数特性、増幅度、最大出力の測定などが可能です。 また後ほど歪率の発生具合を確認すれば(私の期待は中域から高域では0.01%以下、低域で0.1%以下です。)、歪率測定にも使えるはずです。

----- 完 -----


 
  
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