2010/01/22
構想
昨年末ぎりぎりにやっと退院できた私は寒空の下で作業するなんてことはお医者さんから禁じられています。 従って本来なら構想だけで中断している超扁平引き出しを作りたいところですが、屋外で電動トリマーを使っての作業が主要作業ですので、暖かくなるまで延期せざるを得ません。
代わりにコンパクトLEDランプを進めることにしました。 ただしその中で使われるDC-DCコンバーターを如何に調達するか?が完成度の高い物を考えるときには鍵になります。 なぜそうなのかと言うとLED駆動に使う電池の本数によります。 LEDを正しく駆動するとしたらたった1本のLEDであっても最低で3-4本の電池が必要になります。 この場合LEDの消費電流が20mAであるとすると、単三アルカリ乾電池を使った場合50時間位もの間連続点灯が可能ですが、おそらく多くの人は連続点灯時間が減っても使用電池本数の少ないほうがバランスが取れていると感じるでしょう。
ここで使おうとしているDC-DCコンバーターは正にそのような目的に使う物で電源電圧を上昇させる機能があります。 そして、
1.入力電圧は電池1〜2本を想定している
2.出力電圧は3.3〜5.0V辺りの物か10〜40V位に自由設定できる物
3.出力電流はせいぜい200mA程度までの小容量
といった仕様を持っています。
そのような物を調達する方法としては3種類あり難易度の低いほうから、
A.完成品を入手する
言わずもがなで完成品が手に入れば最も容易なのです。 ただし大手メーカーの安定した製品となるとちょっと見当りませんし、
入手可能な種類もごく僅かです。 以下は私が調べた物です。
A-1.TPS61200を使った物
入力電圧: DC 0.85-3.0V
出力電圧: DC 3.3Vまたは5.0V
出力電流: 入力電圧3V 出力電圧5Vで600mA以上、入力電圧2.4V 出力電圧3.3Vで300mA以上
モジュールの大きさ: 13mm x 18mm x 3mm
価格: 約\1,000.-
A-2.AS1322Aを使った物
入力電圧: DC 0.3-5.5V
出力電圧: DC 3.3Vまたは5.0V
出力電流: 出力5Vで入力3V時400mA、入力1.5V時100mA 出力3.3Vで入力2.4V時480mA、入力1.5V時220mA
モジュールの大きさ: 16mm x 21mm x 4.5mm
価格: 約\1,000.-
A-3.HT7750Aを使った物
入力電圧: DC 0.7-5.0V
出力電圧: 5.0V
出力電流: 入力3.9V時200mA、入力3.0V時150mA 入力2.0V時100mA、入力1.5V時25mA
モジュールの大きさ: 10mm x 10mm x 13mm
価格: 約\500.-
いずれの場合も発表されたスペックをそのまま信じて使うのは早計で、安全・安定性を考えるならば事前にテストするべきだと
思われます。
B.半自作(組み込み品流用)
何らかの機器に組み込まれたDC-DCコンバーターを外して流用する手で、具体的には携帯電話の充電器が考えられます。
携帯電話の充電器の中には単三電池2本を使って4.6-5.0Vに電圧を引き上げ出力電流が50-100mA程取れるようにしたものが
ありますが、これなどはそのままLEDの駆動用に流用できます。 上のAグループに対して価格的な魅力はあまりありません
が、入手性の点ではAグループよりも遥かに良いでしょう。
C.完全自作
目的に適う電源ICを入手して自作する方法ですが、DC-DCコンバーターの動作はファジーな部分が多々ありますので、結構ト
ラブルに悩まされる可能性が高いようです。 従って敷居はかなり高めになります。 現在入手可能なICを列挙しますと、
C-1.AS1322A 出力電圧:3.3-5.0V 入力電圧:0.3-5.5V 出力電流:100-200mA \600.-
C-2.HT7750A 出力電圧:5.0V 入力電圧:0.7-5.0V 出力電流:25-200mA \60.-
C-3.HT7733A 出力電圧:3.3V 入力電圧:0.7-3.3V 出力電流:25-200mA \60.-
C-4.TL499A 出力電圧:2.9-30V 入力電圧:1.1-10V 出力電流:60-100mA \400.-
C-5.NJM2350AD 出力電圧1.25-40V 入力電圧2.5-40V 出力電流:100-200mA \80.-
C-1.とC-2.に使うICはA-2.A-3.に使われているものと同じですが、完成品よりも高い性能をチューニングにより引き出したいとなったら意味があるかもしれませんが、出来上がるものを小さくしたいとしたら完成品を選ぶほうが賢明かもしれません。
以上の選択肢がある中で、私としてはA-2.A-3.B.C-2.C-5.の5点に絞ってテストし、それぞれに適した使い方を模索したうえで、コンパクトライト本体の製作に入りたいと考えています。 今回はすでにA-3.を入手しましたのでこれをテストします。
・HT7750Aを使ったDC-DCコンバーター(完成品)のテスト
このDC-DCコンバーターの優位点はなんといっても安いことで、完成品が\500.-で
手に入りますが入手してみて判ったもうひとつのメリットがあります。
それは使われているICで、単体で販売されているHT7750Aは小信号トランジスタ
にそっくりですが、完成品に組み込まれている物は表面実装用に更に小さい物に
なっています。 同様に使われているコイル、コンデンサー全てが表面実装用の
部材ですからユニットとして10x10x13mmと大変小さくなっています。
(端子を切り詰めれば10x10x10mm位に出来る。)
左の写真はテスト用にリード線を半田付けしたようすです。
写真上側はコイルとショットキーバリヤーダイオードが付いている側で、下は反対
側で中心下部にIC(HT7750A)がその上にはチップコンデンサーが2本半田付けさ
れています。
実働試験は手持ちの100Ω1/2Wの抵抗を負荷として使いました。 これで負荷電
流は約50mA流れますが、日亜の「雷神」をつなぐことを想定しています。
また更に100Ω1/2W 2本をパラにつないで100mA相当の負荷電流、100Ω1/2W
3本をパラにつないで150mA相当の負荷電流としLEDをパラにつないだ時を想定し
ています。
実働テストの結果は価格相当と申しましょうか?多くは望めない感じです。
スペックでは出力電圧は5Vとなっていますが入力電圧に結構振らされておりこの
傾向は出力電流が大きいほど顕著です。 出力電流50mAの時出力電圧を5V
以上とするには入力電圧は2V以上、100mA出力電流では入力電圧が2.4V以上、
150mA出力電流では入力電圧は2.8V以上必要という結果でした。
変換効率に着目してみると負荷電流が50mAであると電池電圧が低いときでも
85%以上あり電池電圧が高いときには100%近くまで行きますが、負荷電流が150mAともなると電池電圧が低いと60%を下回り電池電圧が高くても80%に届きません。 その中間の100mA負荷の場合には70-86%の間にあり、これならば納得できる範囲です。
総合的な評価としては、性能的には余り優れていませんが若干控えめの電流で無理なく使うことにしてやれば、変換効率が良く調達価格も最も安そうなのが魅力です。 LED駆動電流100mAまでなら十分に使えます。(20mA 5本、30mA 3本、50mA 2本など)
総じてあまり良くない結果ですが、使っている部材はIC以外ではコンデンサー2本、ダイオード1本、コイル1個と大変シンプルな構成で、自作しても再現性はかなり良いかもしれません。 この後にオペアンプを使った低損失定電流駆動回路をつなげるなら、入力電圧が1.8-3.6Vの範囲で150mAまでの出力電流に対応できます。 また変換効率の良いところを使いたいのであれば、出力電流を100mA以下に抑える使い方も十分に意味があるでしょう。 またモジュールの小ささを切り口で(恐らくテストする5種類の中では最も小さい)作る方向なら最も有力なコンバーターになる可能性があります。(定電流駆動には若干目をつぶって)
2010/01/29
・携帯電話充電器のテスト
家電商品量販店にて携帯電話用充電器を購入し、DC-DCコンバーターとしての性能をテストしました。 私が購入したのは携帯電話がAUであることからAU用としましたが、他の仕様の物もかなり似通っていると想像します。 単三アルカリ電池2本付きで\880でしたので、本体部分を\740.-位に値踏みしてよいと思います。
発売元は(株)ラスタバナナ 052-201-1110 (FAX) 052-231-7388 です。
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パッケージから取り出して電池を挿入した状態。
携帯電話に接続して充電中。充電中は携帯電話の赤いランプが点灯するが、充電終了でランプは消えて接続は外れる。 |
\880.-で購入した携帯電話用の簡易充電器。 これがLED駆動用に使えると入手性が良いだけに大変便利なことになる。 |
早速この充電器の実力がどの程度のものか分解することなく確認しました。 コネクターは多芯タイプでどのピンが電源に使われているか容易には判りませんが、携帯電話を充電する時のアダプター経由で簡単に判ります。 逆に言えば私にとってはAU以外の仕様の充電器を分解無しにテストするのは大変です。
取扱説明書の中に記載されている出力電圧と出力電流は4.8-5.2V、400mAとなっています。 それを期待してしまうとテスト結果はあまりよくないのですが、先週紹介したHT7750Aを使った物に比べるとこちらの方が優秀な成績と言えます。 それらのポイントは、入力電圧の変動に対する出力電圧の変化が小さい事、入力電圧の変化による変換効率の変化が少なく負荷が大きくなっても変換効率の悪化の度合いが少ないこと!などです。 そんな点から今回は負荷電流として200mAの特性も取ってみました。 メーカー発表値の400mA出力電流はそんなに大電流を必要としないのでテストもしておりませんが、出力電圧がかなり下がり変換効率も悪化して多分評価外になると想像しています。
出力電圧は低めですが変動が少ないので、150mAの負荷電流ですと出力電圧の変化範囲は0.1V程度ですからLEDに抵抗を付けただけの簡単な点灯方法でも行けるでしょう。 またほとんどの電池電圧で変換効率が80%以上あるのも心強い点です。 200mAの負荷にするとさすがに出力電圧の変化範囲は0.25Vとなりますし変換効率も電池電圧が少し下がると70%台になってしまいます。 これ以上は分解してみないと判りませんので、ケースを壊してDC-DCコンバーター基板を取り出しました。
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大きさはHT7750Aを使ったモジュールより遥かに大きく、28 x 15 x 12mmありました。 組み立て方もかなり大雑把で、性能が結構良かっただけにちょっとがっかりしました。
使われているICは左の下の写真の中央下に写っている2個ですが、表記もはっきりしておらず素性は全く不明です。 ICの素性が判れば色々改造のアイデアも浮かんでくるのですが、現状では何とも手のつけようがありません。 うまくすると出力電圧を可変できるかもしれないと期待していたのですが、勿論不可能です。 従ってこれ以上改造することなくこのまま使うしかなさそうです。
もしそうであれば私はケース本体を壊してしまいましたが、本体を壊すことなく電池BOX部分はそのまま生かして使い、上部の中央に出ているワイヤーにLEDと抵抗を接続すればLEDコンパクトライトとして使用可能です。 私のイメージとしては20mAのLEDを8本程木のブロックに埋め込んだ物を本体上部に被せた構造がとりあえず浮かんできます。
この場合うまく工夫しないとならないのは電源スイッチでしょう。
取りあえずLED点灯用に使えることだけは確認できましたが、他のメーカーや仕様の違いなど更に調べてみる価値がありそうです。
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・完全自作品の試作とテスト
完成品が2つ続いたのでここで完全自作品を1つ取り上げてみます。 このコンバーターはどちらかと言うとかなり欲張った仕様になっていて、電池電圧をアップする以外にコンバーターそのもので定電流を送り出せる!という特徴があります。
上で紹介した2つのDC-DCコンバーターの
機能は電池電圧(1.8-3.2V)を固定の5Vに
アップするものでした。
これでLEDを点灯するには駆動電流調節
用の抵抗を直列に繋いで出力端子に接続
します。 複数のLEDを点灯させたいので
あれば、同じようにLEDに電流調節抵抗を
繋いだものを並列に追加します。
左の最上段はこれらを表しています。
この方法はLEDの駆動本数が少ない場合
には良いのですが、常に一定率の損失が
ありますので面白くありません。
因みに損失は出力電圧(5V)-LEDのVf
(3.1-3.6V)÷出力電圧(5V)ですから、28-
38%の損失が発生します。
(DC-DCコンバーターの変換損失とは別にです!)
ところでDC-DCコンバーターの中には出力
電圧を可変できるものがあります。
このタイプでは出力電圧をR1とR2により分
圧してREF端子に繋いでいますが、REF端
子が1.25Vとなるよう出力電圧は内部調整
されます。 従って出力電圧は
(R1+R2)÷R1x1.25となります。
またREF端子には電流の出入が殆どあり
ません。 ということは、1.25÷R1で算出さ
れるR1に流れる電流はR2に流れる電流に
一致しますから、R2の替わりにLED(複数
を直列も可)に置き換えると、定電流
(1.25÷R1)で駆動できることになります。
この方法で何本のLEDを直列に出来るか
はコンバーターの出力電圧の発生能力に
拘わっていますから正確には実験してみな
いと判りませんが、基本的にはLEDのVf合
計+1.25Vが出力電圧になります。
この方法で例えばVfが3.1-3.6VのLEDを3
本駆動すると出力電圧は10.55-12.05Vで
損失電圧は1.25Vですから、10.3-11.8%と
上の方法より低損失になりますし、直列に
接続するLEDの本数が増えると損失の率は低下します。 従って多数本のLEDを駆動したい場合には駆動効率が良くなるという特徴があります。
1系統で駆動できる本数は最大出力電圧で制限されますが、同じ抵抗とLEDを繋いだ物を左のように追加すれば本数を増やせます。(ただしこの場合もDC-DCコンバーターの最大出力電流しだいですが?)
試作した回路は次のようなものです。 実際には15 x 55mmという細長い基板に電源スイッチも含めて作ることを考えております。 回路図中25Ωの抵抗はLEDに流れる電流を決定します。 最終的には24Ωと1Ωを直列にしますがテスト中は24Ω1本のみで実験します。 このため負荷電流は若干多い52mAになっています。 それと直列4本のLEDを245Ω 4Wのダミー抵抗に置き換えています。 近似値で実験しており各部の電流・電圧は最終的には変化しますので掲載しません。
左の写真は試作した基板で、最終サイズに切断しておらずまた電源スイッチは付い
ておりません。 赤と黄色のよじったワイヤーの先端に3本を直列にしたLEDを接続し
ますが、テスト中はそれぞれ245Ωのダミー抵抗に置き換えています。
使用する電池はこのケースのみ3本と考えて検討しています。 そうなった理由は、
ここで使う電源ICのNJM2360Aは入力電圧が2.5V以上となっており、寿命間際の
電池電圧は0.9Vで最低でも3本使わないと2.5V以上にならないことによります。
電源IC以外は入手が困難な特殊部材はありません。 電解コンデンサーは低ESR
品を使っています。 47μHのコイルは直流抵抗の小さい物を数種類購入し付け替え
て動作の違いを確認しています。
テスト運転の結果は次のグラフをご覧ください。
電池電圧が満タンから空っぽになるまでの間出力電圧は12.76- 12.64Vとたった0.12Vの僅かな変化でかなり優秀です。 また変換効率は69.5-74.3%で殆どの電圧領域で70%以上を確保しており、完成品であれば最低の部類ですが殆どチューニングもしていない自作品であれば優秀な部類に入るのではと思います。
このコンバーターでのLEDの駆動方法では、変換効率はDC-DCコンバーターの変換効率とLEDの駆動効率両方を含んだ値になります。 勘違いされないよう補足致しますが、前に紹介した完成品2種類の場合変換効率とLEDの駆動効率は別々になっており、コンバーター自身の変換効率は80%以上あり極めて優秀ですが、実際にはLEDを駆動する部分で使われる抵抗が20-40%の駆動損失を発生します。 従って総合的な変換・駆動効率は50-65%程度に低下するのが普通です。 それがこのDC-DCコンバーターの場合は総合で70-74%ですから省エネと言う点でも優秀と言えます。
この回路は数時間の安定駆動限界模索・調整により、LED4本を1系統として2系統(合計で8本)を駆動できています。 出力電力としては、52mA x 12.7V x 2 = 1321mWとなっておりますので、NJM2360A単体の回路としては限界に近いのではと考えています。
なにか自作した物をべた褒めしているようですが決してそんなことはありません。 性能的には一番優れているのは事実ですが、大きさの点では、13 x 50 x 12mmと圧倒的に大きくこれを劇的に小さくするのは不可能です。 また電池も3本使いますから大きさの小さなライトを作ろうという構想には逆立ちしても採用できません。
・心変わりの事前選別
ここまでで完成品1台、完成品流用1台、完全自作1台の計3種類のテストが終わったわけですが、当初の予定では完成品(A-2.)と自作品(C-2.)が残っています。 しかし以下に述べるようなその後発見した理由でそれらのテストは中止し、テストが終わった3台を元にポータブルランプを作ることにしました。
それらの理由とは、(A-2.): 16mm x 21mm x 4.5mmのサイズは大きすぎる、価格が高い。 (C-2.): HT7750Aを使った完成品は一般に入手が困難な表面実装部品で作られており同じ物を自作するのはほぼ不可能なことと、性能の面でも自作は及びそうもないし、\500で買えれば自作の意味なし。 といったところでテストした3台で十分に使い分けに耐えられると考えました。
テストが終わった3種類の仕様を一覧にして見ます。 一番右にはコンパクトライトとしての作り分け方針を入れました。
名称 |
大きさ |
価格 |
安定出力 |
変換効率 |
NSPWR70CS-K1 安定駆動可能数 |
製作コンセプト |
HT7750A 完成品 |
10x10x10 |
\500 |
5V 100mA |
70-86% |
2本 |
サイズ小を追求 |
携帯電話充電器 |
28x15x12 |
実質\740 |
4.7-4.8V 150mA |
77-85% |
3本 |
作りやすい大きさ |
NJM2360A 自作品 |
13x50x12 |
約\400 |
12.7V 104mA |
70-74% |
8本 |
コンパクト大光量 |
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2010/02/05
おおまかな構造・構想の検討
3種類のDC-DCコンバーターを使ったコンパクトなLEDライトを製作するに当たり、方向性というかコンセプトがはっきりするようおおまかな構造と構想の検討しそれらを比較しないとなりません。(木よりも森を見ておきたい段階です。)
そこで使用する電池を単三、単四、単五の3種類としそれらを2本ないし3本使ってバランスが取れそうなLEDとの組み合わせでどのような大きさになるのかのイメージ図を合計で5種類描きあげました。 以下はそれらですが、一番上の物が103mm、一番全長の短い3番目で84mm、最も光量が高くてパワフルな一番下が136mm程で、期待していたよりも小さくならないなあ!という感じがしています。 その大きな原因は使う材料で、ケースを板で作ることを考えるときに入手性を考慮すると3mm厚が最も薄いのが実状で、木工に拘ると小さくするのは難しいです。
単に小さなものを追求するのであれば、金属板やプラスチック板を使い電源もリチウム電池に変えることにより可能ですが、私の趣味の原点と言うか木工という切り口とコストバランスを重要視し、ここではこれ以上サイズには拘らないことにします。
下の図をクリックすと5種類の製作記事それぞれが開くようになっています。 お好みのタイプをクリックしてみてください。
但し出来上がった5種類のコンパクトLEDランプの性能比較テストの段階で、このページに再び戻るようになっています。
実際の大きさをイメージできるよう以下の図面には縦に2本の青い線を引きその間隔を100mmとしました。
2010/04/23 製作を中断しテストに入ったコンパクトLEDランプ群
5種類のコンパクトLEDランプ実動テスト
何れのコンパクトLEDランプも私が考えている完成の領域には到達し
ておりませんが、何れも電気的な動作は最終的な状態になっておりま
すので、先に照明器具としての実力、それぞれのランプの違いを確認
すると共に総合的な評価をしておくことにします。
テスト項目
1.重量・大きさ
アルカリ乾電池を含む総重量と大きさ。
2.連続点灯試験
アルカリ乾電池を使い連続点灯時間を測定します。
方法は5分間隔で時計と電圧計を撮影し電池電圧が1本辺り
0.9Vになった時を電池の寿命と判断します。
3.1mの距離における明るさ
軸上の明るさを測定します。
4.照射範囲
軸上に対して明るさが半分になる範囲を測定します。
また写真撮影をして比較します。
5.駆動電圧の変化VS明るさの変化
駆動電圧を電池1本辺り1.5Vから0.9Vまで変化させた時の明
るさを軸上1mの距離で測定します。
1.重量・大きさ
重量は電池込みの値です。 最軽量と最重量では3倍以上の開きがありますので、持ち運びのしやすさに影響が出てきます。
無論大きさにもついても同じことが言えますから、明るさや寿命との兼ね合いで使用目的により選択する必要性が出てきます。
モデル |
ランプ 1 |
ランプ 2 |
ランプ 3 |
ランプ 4 |
ランプ 5 |
重量 |
80g |
40g |
50g |
40g |
125g |
厚み |
21mm |
17mm |
18mm |
21mm |
23mm |
幅 |
37mm |
31mm |
31mm |
21mm |
39mm |
長さ |
109mm |
94mm |
91mm |
119mm |
146mm |
これらの数値と実際に持ってみたりカバンやハンドバッグに入れてみたりした結果では、ランプ2、ランプ3、ランプ4の3モデルがかさばらなくて常時カバンやハンドバッグに入れておける範囲だと思います。 ランプ1は若干大きい感じがしてハンドバッグに入れるには問題ですが、男物のビジネスバッグなら問題ないかもしれません。
ランプ5は車のダッシュボードに入れておくとか日用雑貨などと一緒に置いておくような使い方が適当なサイズですし、照射性能も本格派です。
2.連続点灯試験
このテストは電池の寿命がどの程度取れるかがポイントです。 アルカリ電池を基準に考えておりましたので、アルカリ電池を使っ
てテストしますが、電池のメーカーは富士通となりました。 一般的に評価の高いのはパナソニック製(俗に金パナと呼ばれる物)
でそれにしたかったのですが、偶々行きつけのホームセンターに富士通以外の単五電池がなかったたので単三、単四も含め富
士通としました。 それ以外の理由は特にありません。
尚メーカーによる性能の違い以外に、市場在庫期間の長さや保存温度によって結果に影響するファクターがかなりありますので、
今回のテストの結果が全てを表しているとはお考えにならないようにお願いいたします。
テスト方法はデジカメのインターバル撮影機能で5分毎に時計と電圧
計を撮影します。 連続点灯時間は電池電圧が1本辺り0.9Vになった
時を電池の寿命とし、通電スタートからそこまでの時間を計算します。
連続使用のテストですから間歇使用よりも厳しい結果になります。
またDC-DCコンバーターの能力によっては電池電圧が低下すると明
るさが低下する場合もありますので、3.も併せて評価しないとならな
いでしょう。
左は測定中の様子を撮影したもので、現在電池電圧は2.113Vです
が、これが1.8V以下になった時が電池寿命となります。
尚左上方にシミのようになった部分は壁に貼った粘着テープで照射
軸中心を表しますが、その周りがボーっと明るいのは照射されている
ためです。
本テストはそれぞれ1回しかやっておりませんが、その結果は以下の
表のとおりです。
モデル |
ランプ 1 |
ランプ 2 |
ランプ 3 |
ランプ 4 |
ランプ 5 |
点灯時間 |
3時間10分 |
22時間50分 |
1時間20分 |
1時間5分 |
2時間20分 |
ランプ4はLEDに流れる電流を80mAと抑え気味の負荷ですが電池の容量が小さい(単五)点が結果に出ています。 ランプ2はLEDに流す電流をぐっと絞って20mAとランプ4の1/4、にもかかわらず電池容量は1段大きな単四を使った効果が出て24時間近い値になりました。 これらの点だけで言うとどちらも余りバランスが良いとは言えないでしょう。
ランプ5に関しては、既に製作したLEDフラッシュライトにてアルカリ乾電池で4時間という結果が出ていますが、LEDフラッシュライトではLEDを9本、単三アルカリを6本使っていました。 それに対し同じLEDを8本、単三アルカリ3本で2時間20分ですから、ほぼ同等の駆動効率と言えます。 これはランプ5のDC-DCコンバーターが完全自作だけに嬉しいことです。
ランプ3はもう少し点灯時間が延びて2時間程度になれば理想的という気がします。 ランプ1は全ての点で中庸という性格になりそうな気がします。 次週に続くテストの結果が楽しみです。
2010/04/30
テストの続きと評価
これ以降のテストでは電源として電池ではなく定電圧電源を使っています。 そうした理由は電池は消耗部品ですからテスト中に駆動電圧は刻一刻と変化してしまい、同一条件で比較することが出来なくなるためです。
このために定電圧電源を接続するためのアダプターを作りました。
とは言っても10mmや15mmの太さの丸棒を切断しネジを埋め込んでそこにワイヤーを縛り付けてホルダーに嵌め込んだ簡単なものです。
3.1mの距離における明るさ
LEDの位置から露出計受光部までの長さを1mとして測りました。
駆動電圧は3.0Vとしています。(ランプ5のみ4.5Vです。) 測定結果は以下のとおり。
モデル |
ランプ 1 |
ランプ 2 |
ランプ 3 |
ランプ 4 |
ランプ 5 |
軸上1mの明るさ |
33ルクス |
40ルクス |
33ルクス |
110ルクス |
88ルクス |
消費電流 |
298mA |
35mA |
325mA |
150mA |
435mA |
消費電力 |
894mW |
105mW |
975mW |
450mW |
1,958mW |
軸上で最も明るかったのはランプ 4ですが、これは照射角度を絞っているタイプのLEDを使ったためです。 ランプ2も照射角度を
絞り込むことで明るさを確保しているタイプですが、連続運転時間を長く取れる点に力点を置いています。
これらに対し軸上での明るさは突出していないものの、ランプ1、ランプ3、ランプ5は総光量最強の広角型LEDである雷神を使っ
ています。 後ほどの写真で判るとおりそれらを使った場合は軸上での明るさはそれほどでなくても広角のお陰で部屋全体を明
るくする力があります。
参考までに消費電流値を測定しましそこから消費電力を計算してみました。 消費電流の値は電池電圧が下がると上昇する傾
向になります。 当たり前ですが広角の照射力を持つランプでは消費電力は大きめに出てきます。
4.照射範囲
露出計を使って軸中心から上下左右方向で明るさが1.の半分になる点を探しました。 照射範囲はLEDの固定が不正確でなけ
れば、円形または楕円形になるはずですから、この測定結果を見れば照射範囲はほぼ検討がつきます。 測定結果は以下のと
おりです。 (ランプ2ではレンズを使って集光している関係で、急に暗くなる部分がありますので、そこまでの距離としています。)
モデル |
ランプ 1 |
ランプ 2 |
ランプ 3 |
ランプ 4 |
ランプ 5 |
中心から左へ |
46cm |
11cm |
51cm |
12cm |
45cm |
中心から右へ |
50cm |
10cm |
49cm |
11cm |
47cm |
中心から上へ |
48cm |
11cm |
47cm |
14cm |
40cm |
中心から下へ |
49cm |
11cm |
51cm |
14cm |
40cm |
次の写真は各ランプの照射状況を写真に撮ったものです。 撮影条件は下に記載してありますが、上の数値表示だけでは判りにくい部分がずーっと理解しやすくなります。
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使用カメラ: CANON PowerShot Pro1
絞り: F 5.6 (共通)
シャッター: 1/2秒 (共通)
感度: ISO 50(共通)
色温度補正: 自動(共通)
各写真は同一条件で撮影していますから写真間の明るさ
の比較が可能です。
また露出は意識的にアンダーとし、露出過剰でつぶれて
明るさの違いが判らなくなるのを防止しています。 従って
実際に見た明るさはこれらより遥かに明るく感じます。
各画面の横の長さは実際には約1.2mあります。 ほぼ中
央に小さなシミのような物が写っていますが、これは照射
軸中心の目印のために貼った布粘着テープです。 |
これらを比較すると各ランプの光軸での明るさのみならず総光量の違いが明瞭に把握できる。 その意味でランプ 5は正に大光
量である。 但し広角・大光量は消費電力も大きくなるので、ランプ4のような考え方(狭角照射で軸上を照らして消費電流を抑え
る。)もあり得るが、ランプ2はそれをやりすぎた例と言えなくもない。
5.駆動電圧の変化VS明るさの変化
電池電圧は新品の時には1.6V程度ありますがその寿命が尽きた時には0.9Vまで下がります。 これを2本または3本直列にして
使いますから、通常は電源電圧として3.2V〜1.8Vまたは4.8V〜2.7Vというように変動します。 理想的なDC-DCコンバーターで
はこれら入力電圧の変化に対し出力電圧は一定にならないとなりませんが、実際には変動します。 その変動に対し明るさが変
化しない駆動方法もありますが、ここでは簡易的な駆動をしているため明るさに影響が出る可能性があります。
それを確認するテストがこれで、結果は以下のとおりでした。 (電源電圧欄の( )内はランプ5の値。)
モデル |
ランプ 1 |
ランプ 2 |
ランプ 3 |
ランプ 4 |
ランプ 5 |
電源電圧3.0V(4.5V) |
33ルクス |
40ルクス |
33ルクス |
110ルクス |
88ルクス |
電源電圧2.8V(4.2V) |
33ルクス |
40ルクス |
30ルクス |
105ルクス |
88ルクス |
電源電圧2.6V(3.9V) |
33ルクス |
40ルクス |
30ルクス |
110ルクス |
88ルクス |
電源電圧2.4V(3.6V) |
30ルクス |
40ルクス |
28ルクス |
110ルクス |
88ルクス |
電源電圧2.2V(3.3V) |
30ルクス |
40ルクス |
25ルクス |
110ルクス |
88ルクス |
電源電圧2.0V(3.0V) |
30ルクス |
40ルクス |
25ルクス |
110ルクス |
86ルクス |
電源電圧1.8V(2.7V) |
26ルクス |
40ルクス |
25ルクス |
105ルクス |
85ルクス |
考えていたよりも電池電圧の変化に対する明るさの違いは少なかったようです。 これは明るさの測定が余りにもアバウトである
ことと測定分解能が不十分であることにも原因がありそうです。 そのような測定上の問題点はあるのですが、ランプ3の結果は
余り思わしくありません。 このランプに使用しているDC-DCコンバーターはランプ2やランプ4と同じHT7750Aですが出力電流
がランプ2では20mA、ランプ3では150mA、ランプ4では80mAとなっており、ランプ3の使い方はちと厳しすぎる負荷であることに
起因していると思われます。
その意味で同じ重たい使い方をさせているランプ1は携帯電話充電器のDC-DCコンバーターを流用していますが、がこれと自作
したDC-DCコンバーターを使っているランプ5は大変良い成績です。 但しDC-DCコンバーターの占有スペースを考えると、
HT7750Aの小ささも捨てがたい魅力です。
総評:
製作した5種類のコンパクトLEDランプはそれぞれ強みと弱みを併せ持ちながら明確な方向性の違いを有しています。
明るいということが重要であれば照射範囲を絞ったランプ4の考えかたは消費電力も明るさの割には小さいので、充分検討の余地があります。 また動作時間が長い方が良いというのであるとランプ2のようにLEDの使用本数を押さえた上に照射範囲を絞る手もあります。
ところで実際に使ってみると照射範囲の広いランプ1、3、5は消費電力が大きく贅沢気味ですが大変使いやすいです。 以上のような観点から浮かび上がったコンパクトライトの考え方があります。 それは2種類の性格の異なるコンパクトランプを使い分ける事です。
その一がランプ5です。
要約すると若干大きく重めでも良いが明るさと照射角が充分に大きく連続で2時間以上点灯可能な物です。 これを車のダッシュボードや部屋の日用雑貨品の間に収納します。 別な言い方をすると私が作ったLEDフラッシュライトの代役が充分務まる性能の物です。 実際ランプ5の仕様は殆ど変更の必要はないと思います。 もしもランニングコストを抑えたかったらエネループを使用すれば良いでしょう。
次にランプ3を変更した物で、要約すると出来るだけ軽量・コンパクトで明るさや照射角はそこそこ、連続で2時間以上使用可能な物となります。 LEDの部分はランプ4のような狭角照射タイプを束ねて軸上照射中心とするか、照射角50度程度と若干ひろげてやります。 消費電流はこれらによりランプ3の半分程度には下がりますので、電池の寿命は3時間くらいになります。 電池は単四そのままですから大きさはランプ3と変わらず、ハンドバッグやカバンに入れておくことが容易に出来ます。 へまをしたランプ5は折をみながら作り直しをしますので、そのタイミングでランプ3改を作ってみたいと考えています。
それらの仕様を一覧にすると次のようになります。
スペック:
モデル名 |
明るさ (軸上1m) |
半値角 |
点灯時間 |
大きさ |
重量 |
大型コンパクトランプ |
88ルクス |
80度 |
2時間30分 |
23x39x146mm |
125g |
小型コンパクトランプ |
100-70ルクス |
20-50度 |
3時間 |
18x31x91mm |
50g |
仕様・製作材料:
モデル名 |
電源 |
LED |
DC-DCコンバーター |
ケース材料 |
大型コンパクトランプ |
単三アルカリ 3本 |
雷神 x 8本 |
NJM2350AD 自作 |
アガチス 3mm |
小型コンパクトランプ |
単四アルカリ 2本 |
5φ 15-45度 x 4本 |
HT7750A 完成品 |
アガチス 3mm |
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