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コンパクトLEDランプ 2
   
この欄の製作では重要な部材としてDC-DCコンバーターを使っています。 一般にはあまり馴染みのない部材ですので、その調達方法についてこちらで触れていますが、その結果のひとつとして本製作解説はなりたっています。

2010/02/05

構想

 購入価格が1個\500.-のHT7750Aを使った完成品のDC-DCコンバーターを使った
 モデルを3種類作ろうとしていますがその第一弾がこちらです。 

 このコンバーターの性能は正直言って余り良くありません。 例えば出力電圧は入
 力電圧の変化に連動して結構振れますが、負荷電流を100-150mAまでの範囲に
 抑えてやれば我慢できる範囲の動作をしてくれると考えています。

このDC-DCコンバーターに使われているIC(HT7750A)は単独でも販売されております。 \70程度とローコストで4個の部材を追加すればDC-DCコンバーターが出来上がりますから低廉さといったらその方が更にローコストになりますが、この完成品タイプではHT7750Aを含み全部材が面実装タイプの小さな物に置き換わっており、10 x 10 x 10mmという自作では及ばない小型サイズが実現できています。

本モデルでは以前にご紹介した8φのLED1本を使って集光レンズで軸上の明るさを増してやろうというアイデアです。
電流は20mAしか流れませんから、DC-DCコンバーターにとって全く無理のない負荷です。 木工部分は緻密な作業を求められますが、電気回路は極めて簡単ですので、出力電圧変動も小さいでしょうから、全体的な製作難易度はコンパクトLEDライト 1とあまり変わらないでしょう。

簡単に動作状況を説明しますと、単四乾電池2本の3Vが電源でDC-DCコンバーターで昇圧され出力電圧は5.0-5.2Vになります。 8φLEDの実測Vf(20mA流したときの値)は3.14Vでしたので、電流制限抵抗は100Ωとしています。

 左の図が回路図ですが、今回作る5種類のコンパクトLEDライトの中では
 最も簡単な回路になっています。

 プリント基板は右の様なレイアウトで、LEDとDC-DCコンバーターを固定
 するのが目的です。 電源スイッチとなる超小型トグルスイッチは単独で、
 木製ブロックに埋め込んでやります。

 全長90mm、幅30mm、厚み17mmと」見積もっておりいずれのサイズも
 コンパクトLEDライト 1よりも一回り小さくなります。
明るさについてはLED1本ですが、集光タイプとしているので照射角は狭くなるものの中心近辺では70ルクス近辺という結構な明るさが確保できます。  電源は単四2本ですが出力側で20mAしか電流を流さないこともあって、連続点灯時間は20時間近くになると予測しています。

 構想段階で最も頭をひねった部分はLEDが装填される頭の部分です。
 左の図がその構造的な詳細をあらわしており、5.5mmの合板と3mmのアガチスの板を加工
 した3枚の板を貼り合わせ、その過程でレンズを嵌め込んで、頭部のブロックとします。

 電源スイッチは背後から嵌め込みですが固定はエポキシ接着剤を使います。

 ブロックとして完成した物に後ろからLEDが挿入されそのリード線は穴あき基板(DC-DCコ
 ンバーター実装済み)
に半田付けされます。 これらは本体の外側を構成する3mm厚アガ
 チス板で覆われて固定されますが、分解不能の構造とします。



2010/02/12

製作開始

簡単な電子回路から組み立て開始をしようと考えたのですが、DC-DCコンバーターの選別をしておこうと少々脱線しました。 ここで使うHT7750Aを使ったモデルは3つ予定しているのですが、想定している負荷は重いほうから並べると150mA、80mA、20mAとかなり差があります。 一方DC-DCコンバーターのほうは性能にばらつきがありそうなので、重負荷により強い物で150mAを受け持たせたいわけです。

入力電圧の細かな変化にどう反応するかを見る必要もなさそうなので、3.2Vを上限とし0.4Vずつ下げて下限は1.8Vとし3個のDC-DCコンバーターの出力電圧の違いを、負荷抵抗220Ω(20-22mA負荷相当)、60Ω(80-85mA負荷相当)、33Ω(140-150mA負荷相当)でもって記録しました。 以下はその一覧表です。

入力電圧 負荷220Ω時出力電圧(V) 負荷60Ω時出力電圧(V) 負荷33Ω時出力電圧(V)
3.2V 5.10 5.11 5.08 5.14 5.14 5.17 5.15 5.16 5.09
2.8V 5.08 5.08 5.05 5.10 5.08 5.06 5.00 5.04 5.01
2.4V 5.04 5.05 5.03 5.02 5.02 5.00 4.80 4.89 4.83
2.0V 5.04 5.01 5.02 4.94 4.94 4.94 4.75 4.82 4.83
1.8V 5.01 5.00 5.00 4.89 4.89 4.88 4.26 4.48 4.53

あまり良くない印象を持ってテストを始めたのですが、意外にもばらつきは少ないという結果が出ています。

出力電流を150mA引き出したときに最もばらつきがでましたが、最も良い3番が4.53Vの出力、悪かった1番が4.26Vと0.27Vの差が出ています。  負荷電流が100mA以下では測定誤差の範疇に収まってしまうと言えますので、3種類の負荷に対してはそれぞれの色で染めたコンバーターを使うことにしました。  このコンパクトLEDランプ 2においては1.を使います。

製作の最初は電気回路の仕様を完成させます。 LED基板を作り動作試験をして各部の確認を致します。 製作の様子は後ほど写真をご覧いただくとして、電池電圧が3.2Vの時にはLEDに19.6mA、電池電圧が1.8Vに低下したときには19.1mAの電流がLEDに流れます。 設計値は20mAですから僅かなセーフティーサイドへのずれという状況です。 また電池電圧が寿命になったときの電流値の低下は2.6%で、これと比例して光量が低下しますが、肉眼で検地できるレベルではありません。

余り性能の良くないHT7750Aですが、負荷電流が20mAと小さいために出力電圧の変化も小さく好感触です。

基盤に固定するのはDC-DCコンバーター(右側半分)、8φLED1本、100Ωの抵抗1本、というシンプルな構成です。

基板の裏側。 これもどうと言うことのないシンプルなものです。

電池の代わりに定電圧電源を繋いで動作試験中。 結果としては流れる電流は設計値を僅か下回る状態でした。 また電池寿命の低電圧でも明るさの低下はごくごく僅かです。



2010/02/19

製作 2

さて電気回路はOKですので、本体の木工部分に進みますが、構想段階では明確でなかった機構関係も詳細に図示し始めたところ、電池ホルダー部分が今のままではうまく組みあがらないことが判り、構造から検討しなおました。 簡単に言ってしまうと、これまでの電池ホルダーはH型のフレームを組んでその空間に電池を2本嵌め込む構造でしたが、変更後はロの字型の中に2本を入れることになります。

 左が変更後の設計詳細ですが、こうなってしまった原因は本体の底部分に見える
 プッシュリベットを使ったロック機構にあります。 実は構想段階では3-4mmの軸径
 を持つ小さいやつを使えるだろと簡単に考えていたのですが、その後の思考実験で
 それは甘くて、かなり太い物を使わないと駄目なことが判りました。

 というのは、プッシュリベットで薄い金属板2枚を連結固定するのとは異なり、木の
 板を貼りあわせると厚みがかなり増加します。 そしてその場合にはより太いリベッ
 トを使わないと連結できません。(細くて長いリベットはないので!) ここでは3mm
厚のケースと電池ホルダー底板5mmと連結するので板厚合計は8mmにもなりますが、2mm厚鉄板を貼ってこれにプッシュリベット
を引っ掛かけることで実動上の厚みを5mmに下げようとしています。  その場合でも使えるプッシュリベットの軸径は5.1mm必要と
なっており、電池ホルダーの底板には直径6.5mmもの大きな貫通穴があいて更にそれを横切るガラスエポキシ板を固定する溝を彫
るなどすると、底板の強度が下がり使い物にならない!と考えたわけです。

 解決策では6.5mmを横切るように存在するガラスエポキシ板を両端に移動して全く干渉し
 ない構造にしています。 この変更によって本体の全長と厚みは変化しませんが幅は
 0.9mm増加します。
 この変更でLEDブロック部分の寸法にも一部変化が起きますので、それらを修正したのが
 左の図です。

 これにてやっと木工作の作業に入れることになりますが、以上の問題は現物が出来上がら
 ないと完全に解決したのかどうか判りません。 従って製作は電池ホルダー部分を最初に
 作り強度的な問題がないかどうかの確認をします。

電池ホルダーを構成する部材の寸法図は掲載しませんが、上の図面から割り出したものです。 グラスエポキシ基板の切断は鉄工用の替え刃を付けたCJ-250で、板の切断は「粋な奴」を使い若干大きめに切断しておいて寸法出しは替刃式ヤスリ(M-20GP)でと言うのが標準作業法です。 5mmの板で作った電池の上下方向に入る部分には、プッシュリベットが膨らんで引っかかる為の1mm厚鉄板と電池受けの電極を予めエポキシ接着剤で貼り付けてからロの字に組上げます。 その組上げにもエポキシ接着剤を使います。 ところで電池受けの電極はそれように出来上がっている物を使いました。 メーカーはタカチ電機工業ですが、大変丁寧に作られているようで、市販の電池ボックスの殆どは電池受けの接触抵抗が大きくて使い物にならないと考えていたのですが、多分良い結果を得られるのではないかと思います。

電池ホルダーを構成する部材。 左の2枚はガラスエポキシの穴あき基板から切り出した側板、中央上下2枚は電極が付く上下の板、右上はプッシュリベットのストッパー、その下は電池受けの電極です。 中央の板だけは寸法出しの成形をまだしてありません。

上下の板に電池受けをエポキシ接着剤で固定。 上側の電極には予めワイヤーを半田付けしておきます。

左は半田付けしたワイヤー部分を見せていますが、板を削りこんでいるため突出無しです。 右は下側の裏で、プッシュリベットが引っかかる1mm厚鉄板がエポキシ接着剤で貼ってあります。

上下の板に片側の側板を接着。 これもエポキシ接着剤ですが、180mmハタ金で圧着保持しています。 きらきら見えるのはハタ金にエポキシが付かないように挟んだポリエチレンシート。

硬化後にもう一方の側板を貼り付けて電池ホルダーは完成。 30分効果開始型エポキシ接着剤は4回に分けて使っており、1回辺り1時間硬化時間を置いていますので、完成までには少なくとも4時間掛かります。

完成したロの字型の電池ホルダー。 電池を装填すると下のような具合です。 電池の抜け止めはありませんが、ケースを被せるまでに簡単に外れることはありません。

プッシュリベットの作動具合も確認しました。 ケースの替わりに同じ厚みの小さな板を使いましたが、期待通りしっかりとホールドします。




2010/02/26

製作 3

こちらも電池ホルダーの構造変更をしたもののケースの固定方法はうまく行きそうですし、ケースの寸法変更に繋がることもありませんでしたので、LED周りの残る加工に進みました。

コンパクトLEDランプ 1と違ってLED周りの構造はかなり複雑である上に、失敗をして作り直しを一部の部材で行ったために、一日近くを費やしてしまいました。 材料としては5.5mm厚のシナ合板、3mm厚アガチス板、プラスチックレンズ(こちらの解説に出てくる物を切断・研磨しています。)です。 失敗しやすいのは5.5mmシナ合板の芯材で簡単にばらばらになりやすいので、一部は瞬間接着剤を沁み込ませて補強しながら加工しています。 また3mm厚アガチス材も一部はトリマーで削って1.5mm厚とし、非常に薄いためにちょっとでも無理な力が加わるとばらばらになります。

組みあがったLEDブロック部分。 この角度で見た感じが図面との比較では判りやすいでしょう。

正面を上にしたところ。 丸い部分には凸レンズが嵌め込まれています。 左の黒っぽい窓にはスイッチのレバーが出ています。

LEDを挿し込むとこんな具合です。 DC-DCコンバーターもスイッチにぎりぎりのところまで接近してきます。

斜め前方から見たところ。 

コンパクトLEDランプ 1に比べると、ケースを構成する板の切り出しは落とし込みの溝加工がないので単純に8片を切り出すだけです。 そしてケースのLEDブロック周りの2枚をLEDブロックと電池ホルダーに貼り付ける作業をします。 この時の貼り合わせ位置精度は出来栄えに影響しますから念入りに調整してやらねばなりません。 その為に30分硬化開始型エポキシを使いました。 更に残りのケースを構成する部材を貼り合わせてしまえば組立ては終了なのですが、電気回路部分は全くいじれなくなりますので、暫しはこのままとし色々な確認を済ませてから最終組立てをします。

ケースを構成する板は8枚ありますが、その内LEDブロック周りの2枚をL型に貼り、それにLEDブロックと電池ホルダーを接着します。

接着したLEDブロック周り。 電気配線は最終的な状態に結線してあります。

L型に貼ったケース(左のその一部が見えます。)に電池ホルダーを貼り付けた様子です。

L型に貼ったケースの意味が良くわかる撮影角度です。 プラスチック、木、金属などいろいろな材料を含んで接着するのでエポキシを通して使っています。

電池を装填しました。   そしてスイッチをONとすれば当然ながらLEDは点灯します。 続いてケースの組立てをしても良いのですが、電気関係に全く触れることが出来なくなるので、暫しこのまま色々な確認をします。



2010/03/05

製作 4

その後電気的な動作確認を念押ししてからLEDブロックの外側を完全に覆いました。 そして電池カバーの部材のLEDブロックへの当たりや収まりを確認しながら修正研磨をした上で電池カバー部を組み立てました。 組み立て方や成形の方法はコンパクトLEDランプ 1と全く同じですので、大幅に省きますが写真を後ほどお見せします。

ボーズ面ビットで角を成形してステインでの着色に入ったのですが、2作目で油断をしていたせいか材料の小さな欠け部分にエポキシが埋まっている部分に気づかず、着色中に着色できない部分が出てきたという失敗もしています。

ポアステイン(ミストグリーン)原液による着色後の塗装は水性ウレタンニス(透明クリヤー)の4回塗りとしその後24時間寝かせて完全乾燥させています。 次回には帯の塗装と仕上げのニス塗りで完成となる予定です。

LEDブロック部分を完全に覆いました。 LED部分保護のためマスキングテープを貼ってあります。

電池カバー部分の組立てです。 電池ホルダーとの間の隙間の作り方は前作と全く同じです。

外側の組立てが完了し、接合部分の段差とはみ出た接着剤の削り落としが終わりました。

前後を反転させた状態です。 電池カバーがLEDブロックに付き合わさる部分の調整研磨も念入りにしてあります。

底板を貼った部分の出っ張りもきれいに削り落としてあります。

前後の突き合せ部分のクローズアップ。 この程度の密着度というか修正状態がベストでしょうか?

そして全ての角をボーズ面ビットで丸めてスポンジ研磨剤で仕上げ研磨を施しました。

シンプル イズ ベストの好例?みたいな前面の感じです。

同様に背面です。 真っ黒ではない中間色のプッシュリベットがあると良いのですが?

ポアステイン ミストグリーン原液のままによる着色が終わったところですが、木材の欠け部分に埋まったエポキシ接着剤があったのを発見。(矢印の先) 今更削るわけにも行かずそこだけは着色できませんから目立ってしまいます。

この角度には幸い削り忘れの接着剤はありませんでした。

24時間寝かせて完全乾燥後ニス塗り作業となります。

1次塗装が終わりました。 あちこちに色の斑があって完成度はあまり良くありません。 2作目ということで油断した結果かもしれません。

後ろからの眺め。 プッシュリベットによるロックはまあまあですが、リベットの色は何とかして欲しいところです。

コンパクトLEDランプ 1とのツーショット。 このかわいらしさと電池寿命の長いこと(後でテストしますが、予測は20時間以上。)が身上です。

まだ完成はしておりませんが電気回路部分は5種類とも最終的な状態になりましたので、まとめて実動テストを致します。 その様子はこちらからご覧ください。


----- つづく -----


 
  
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