HOME
サイトマップ
アマ的手法
材料
工具
作品一覧
リンク
mini-Shop


 
PC用スピーカーとアンプ
   
2007/01/26

構想

1年前にパソコンに繋いで使おうと考えていたスピーカーとして音響迷路型とダブルバスレフ型の2種類の構想を考えましたが、構想のみに留まり結局製作には至りませんでした。  そうなってしまった一番の理由はモニターの両脇にスピーカーを配するという漠然とした使用目的と十分に根拠のある製作する理由がなかったから!ということになりますが、結論付けた一番のきっかけは息子から羅飛び入りで依頼されたPC用のスピーカーが余りにも期待以上の音質的な出来栄えにもあります。

そのスピーカーは内容積5リットルの何の変哲もないバスレフ型ですが、重低音は無論期待できないものの中音の美しさ、帯域全体のバランスの良さ、分解能の良さは格別でした。 私がこれまでに作った8cmスピーカーのなかで素直さという点でピカイチであるように思います。 

 こんなことから上述のように2つの構想
 は棚晒しになったのですが、たまたま
 最近家内のパソコンを新しい物に入れ
 替えた際に、「パソコンに繋がれてい
 るスピーカーから私の好きなボーカ
 ルの音が出ていない!」
とのつぶや
 きを聞いて、なんとかせにゃ!とばかり
 再度構想を練り直すことにしました。

 家内が好むボーカルとは8cm音響迷
 路型スピーカー
であることは判っていま
 す。 但し音響迷路型はどうしても箱の
 容積が大きくなることとボーカルは良い
 としても低域の量感がかなり不足し、
 前述の息子用に作ったバスレフの方が
 ボーカルの質が音響迷路型に近くてし
 かも全体のバランスがよいので、新た
 な設計のバスレフ型としました。 

 現状のパソコンの使われ方は左のとお
 りで、ごく普通のアンプ内蔵パソコン用
 スピーカーを繋いでありますが、左のス
 ピーカーは矢印の先にありますが手前
 に置いてある物にブロックされてます。
 この他にもデジカメの充電スタンド、メモ
 帳など折に触れて色々置きますので机上スペースをフルに確保するため新たなスピーカーはテーブルトップではなく吊り下げ式にしてやると良さそうだな?と取り敢えず考えました。

 ということで構想をまとめてみたのが左の図です。 机上スペースを確保するため上の棚板(可変式な
 ので簡単に外せる。)
に固定してしまいます。 またスピーカーの横幅は750mmと考えました。
 右側を更に伸ばすとパソコンの空気噴出し口を塞いでしまいますのでこれが限度でしょう。
 スピーカーの高さは150mm、奥行きは199mmとしており、液晶モニターをその前に設置します。 
 液晶モニターの右横にボリュームのツマミやアンプ電源ON表示のLED
 が見えるように考えますが、現在15インチのモニターを将来17インチに
 変更しても問題ないような位置関係を考えています。(青点線は17インチモニターの想像位置。) このスピーカーを駆動するアンプは、手持ちのデジタルアンプのキットを
利用する(右の写真)、パワーICを使って組み込むなどまだ複数の構想があり詳細は固まっていま
せんが、スピーカーボックス前面に電源共々組み込んでやる予定です。 決めうちにしているのは
その電源で、パソコン関連の様々なACアダプターが10個近くもジャンクボックスに眠っているのでそ
れをうまく流用してやろうということくらいです。  まあ木材で言えば端材の処理と同じです。

 スピーカーボックス部分の構想を詳しく描き上げたのが左の図です。
 単純な箱型ではなく上から見ると断面は凹型を逆さにしたような空間にな
 っています。 その前面の窪みの部分にデジタルアンプと電源を組み込んでしまおうということです。
 このスペースは奥行きが40mmしかない予定ですが、スイッチング電源であれば問題なく組み込めるでし
 ょう。 箱そのものは左右一体型でバスレフポートは中央に配置し底面に開口部があります。
 容積を計算したところ吸音材の追加分を差し引いて約10リットルになりますが、これは息子用に作ったバ
 スレフボックスを意識しており2倍の容積になります。  バスレフポートのチューニング周波数も同じく
 90Hzとしますが、完成後でもその±10Hz程度は周波数を可変できるように考えます。
 申し遅れましたが使用するユニットはFostexFE87Eで十分に実績のあるものです。

箱を作る材料は12mm厚MDFを主としペイント仕上げとしますが、左右のスピーカー周りだけはラジアタパイン集成材でサブバッフルを作りここだけは左右端を丸く加工した上でニス仕上げとし木目のアクセントを入れます。 それに円形のクロスグリルを嵌め込んでお化粧という魂胆です。




2007/02/02

スピーカー部最終設計と製作開始

 その後アンプも含めた構造とレイアウト、使用する材料の再検討をした結果、アンプ・電源
 収納部分の奥行きを安全を見て(何が起こるか判らないので)10mm増やし、その分左右
 のスピーカー位置も10mm前面に移動させました。

 アンプ・電源収納部分はより単純化し、窪みの大きさに近しい2mm厚アルミ板を若干浮か
 して落とし込み箱との間に6mmの空間を設けることにします。 このアルミ板に後述するパ
 ワーアンプIC、アンプ基板、電源ブロックを固定し、パワーアンプICが発生する大量の熱の
 放熱も重要な役目となります。

 この窪み部分の前面は4mm厚シナ合板をマジックテープで固定しアンプ、電源の調整が
 必要なときには前板をべりっと剥がすだけで作業が出来るようにしておきます。
 そしてこの窪みの上下には何も覆う物がありませんがより高い放熱効果を狙っての構造
 で、製作上も簡単でしょう。(上下に何も覆う物がなくても外観上の違和感は起きないと想
 像しています。)


 アンプには先週紹介したデジタルアンプキットではなくカー
 オーディオ用に設計されたパワーICを使うことにしました。
 東芝製で型番がTA-8220H、2チャンネル分組み込まれ
ており大変コンパクトです。 標準的な使い方では電源電圧13.2V19W x 2の最大出力ですが
これは4オームスピーカーの場合で、今回使う8オームスピーカーで12Vで動作させた場合理論的
な略算では8W前後まで下がりますが今回の使用目的には十分な出力です。

高級なホームオーディオのスペックと比べるのは無理にしても市販されている殆どのパソコン用ア
クティブスピーカーより遥かに高品位、高音質のものになるでしょう。

先週紹介したデジタルアンプを採用しなかったのは、このICにはスタンバイ機能、ミューティング機能、クリッピング検出機能といった便利な機能が内蔵されています。 それらの機能全てを使うわけではありませんが、スタンバイ機能を使うと電源を入れたままにしておいてもアンプはほぼ消費電力がゼロに近い状態からパソコンの電源を入れたとたんにアンプが作動状態に入る!という便利な使い方が出来そうだからです。

このためにはパソコンのUSB端子を使ってやろうとしていますが、電源ユニットの待機状態の消費電力は未知数なもののこれがうまく動作すればアンプのスイッチを使うたびにON/OFFする作業は不要になり使い勝手は随分良くなると思います。(詳しくはアンプを製作するときに解説します。)

 ひとつだけ面倒なのは組立てキットはありませんからこのパワーアンプIC用にプリント基板を作ら
 ないとならないことで、メーカーの推奨回路を参考にまだ実際の部品の寸法を十分に考慮していな
 い第一次のプリントパターンを描いてみました。
 一番厄介そうなのはパワーアンプICの脚の間隔は2mmしかありませんので、この辺りが手作りで
 は作りにくい所となりそうですが、プリント基板の取り付け場所は十分ありますので大きさを心配す
 ることがまず考えられないので、電気的な矛盾が生じないような更なる検討を加えて最終的なもの
 にする予定でいます。

電源についてはジャンクボックスを調べた所出てきた、とうの昔に廃棄してしまったノートブック用に自作した12V-2Aのスイッチング電源を流用することにします。 上記のICでフルパワーを得るには十分な容量ではありませんが、実際に使う音声出力はぐっと低いので問題はないはずです。 但しスイッチング電源は高周波のノイズを拡散するのでアンプとは極力距離をおくようにすると共に、場合によってはシールドなどの追加加工が必要になる可能性もあります。 またスイッチング電源の出力にはかなり雑音が含まれる場合もありこれらを低減する必要も生じます。  こんなことから電源とアンプの設置場所はかなりのスペースを予め確保しそれらの対策が可能なようにしておきます。

 バスレフポートは前回申し上げたように90Hzを設計共振周波数と考えており、この
 時に最もバランスが良くボーカルの分解能も高く出ると前作の結果により期待してい
 ます。

 但し今回のような変わったスタイルと設置条件の変化により低域をもっと豊かに鳴ら
 したほうが良い可能性と、逆に低域を制動したほうが良い可能性があるため、80 -
 100Hz
の間で自由に共振周波数が変えられるように設計しました。

 寸法図のままでは約100Hzが共振周波数となりますが、5.5mm厚の合板をポート
 に挿入しポートの長辺が短くなるようにしてやると、1枚挿入する度に共振周波数は
 約5Hz程下がります。 余りポートの断面積が小さくなるとうまく共振しにくくなるの
 で4枚程度の挿入に留めたほうが良いと思われますが、これにより80 - 100Hz
 間のチューニングが可能になります。

 この調整はスピーカーが完成後でも可能で、調整中は挿入する5.5mm厚の板は両
 面接着テープで取り付け取り外しが出来るようにしておき調整終了後は木工ボンド
 で完全に貼り付けてしまえばよいというわけです。


 イメージ確認と製作開始

 製作に取りかかる前に完成後にどうな
 るかを確認するために前掲の現状の写
 真に新たなスピーカーの外観図をはめ
 込んで見ました。

 左がその写真ですがただ単純に嵌め
 込んで右側に見えていたスピーカーを
 消しこんだだけなので、なにやらごちゃ
 ごちゃした感じが残り、色周りの感触も
 つかめないですが、机上スペースが広
 くなるのは間違いなさそうです。

 左側のスピーカーは手前に置かれる物
 があってもブロックされることなく、ボリ
 ュームツマミの位置も良さそうです。

 それにしても右側奥に見えてくる沢山
 のワイヤー!、パソコンに色々接続する
 とどうしても出てくる現象ですが、これ
 だけは何とかしたいところです。

 この写真を家内に見せて確認した上で
 製作に取り掛かることにしました。


 製作手順としては、

   1.スピーカーボックスの部分を組み上げて音質の確認調整を他のアンプを使って済ませる。
     (最終調整ではないが。)
   2.アンプ部分の製作と誘導ノイズなどの実態確認と音質の確認、調整作業。
   3.スピーカーボックスの塗装、仕上げ作業。
   4.アンプ、電源の組み込み作業で完成。


 といった4段階を想定しています。

 そして第一段階としてのスピーカーボックス部分の製作に取り掛かりました。
 左がその部材寸法図で、飾り前板を除き全て12mmMDF、飾り前板は18mm厚のラジアタパイン集成材で、これらは何れもベッドを製作したときの端材です。 私の場合端材利用をしているもののMDFを主材に使う理由があります。 それは切断が最も容易で加工寸法の調整がしやすい点で、他の例えば合板、チップボード、OSB、集成材、ムク材の何れよりも容易です。 スピーカーの箱を作る際の加工寸法精度は家具などより遥かに厳しくなりますから、重要点と言えます。  但し音質上で理想的かというと疑問の余地はあり、外観も木目を美しく見せる!というわけには行きませんが、初めてスピーカーの箱を作る場合にはお奨めの材料です。

各部材の寸法は設計値ですが、殆どが赤い色と青い色で表示されています。 これらの意味は赤い色の場合、切断後直線性と切断面の直角度を出すためカンナで削って仕上げ±0.2mm以下の高精度の寸法に仕上げる必要があることを意味しています。

また青色は設計値よりも若干大きめ(0.5-1.0mm程度)に切断(直線出し、直角出しは不要。)します。 そして組み上げてから接合面に出来る段差を削って所定の寸法に仕上げることを意味しています。 

えらく面倒なことをしているようですが、これは神経を集中すべき切断及びその後の調整加工が必要な個所と、その必要がなく後
で調整する個所を分けて、結果としてはより楽に高精度の組立てをするためのテクニックです。  この考え方は何もスピーカーだ
けではなく全ての製作テーマに言えることで、良い意味での手抜き?というか作業上のメリハリをつける方法です。

ところで飾り前板はスピーカー取り付け用に72φの丸穴をあけた上で、深さ6mm、直径114mmの座繰り
加工をシャクリ面ビットでやり、更に左右の角はボーズ面ビットで丸め加工と大変手間の掛かる加工を想
定していますが、このスピーカーの外観上最も大事な部分であり丁寧にやらねばならない部分です。
これが面倒或いはトリマーを使えない!ということであれば、5.5mm厚の合板かMDFを2枚に置き換え、
それぞれに72φの穴と114φの穴をあけて貼り合わせ、角はヤスリで丸く削りペイント塗りつぶしで仕上げ
るという手を取ります。  私の場合どうしても木目を見せたかったので集成材の採用となっています。

今回は全部材の切り出しまでしか終わっておりません。 組立作業は次週となりますが以下の写真でそれらの様子をご覧下さい。

12mmMDFの端材910 x 700mmあります。)から幅126mm+0.5-1.0mm)と幅182mm+1.0-2.0mm)各2枚を長手方向に切り出します。 勿論手引きで私は翔250を使っています。

切り出した長さ910mmの板4枚。 手前2枚は幅126mm+αで、奥の2枚が幅182mm+αになっており、手前2枚はこの後ドンピシャの幅に成形しながら、直線性と切断面の直角出しをします。

寸法出し、直線性出し、直角出しはカンナでこんなスタイルでやります。 このテクニックの詳しくはこちらをご覧下さい。 このカンナで削る作業はMDFの場合他の板材の何れよりも容易で、これがスピーカーボックスのみならず初心者が使う材料としてMDFを薦める理由です。(価格も合板より安いです! またMDFの短所もありますがそれは後で触れます。)

成形が終わり立ててみた幅ドンピシャ126mmの板2枚。 赤矢印の先は曲尺との隙間が一定でありこれは正しく切断面が直角になっていることを意味しています。(曲尺を接触させると板が曲尺に寄りかかるような場合直角度の確認が出来ません。) また黄色矢印の先には隙間がありません。(直線性が出ている!)  これらを十分に確認する必要があります。

スピーカーユニットが取り付く穴は電動ジグソーでほんの少し小さく切り抜き、曲面研磨の定番、替刃式ヤスリDR-1000P)で削り所定の直径に仕上げています。

MDFから切り出しが終わった全部材。 ただ切断するだけなら数時間で終わるでしょうが、寸法精度を厳しくしているために慎重に作業する必要があり、約1日を掛けています。

念のためにそれらを所定の位置に置いてみました。 寸法を間違えて加工したところがないかどうか欲確認する必要があります。 後ろに見えるのが天板で、最終的には手前の上に接着します。





2007/02/09

ボックスの組立て

いよいよ組立てですが、組立て方法は全て木工ボンドによる接着です。 ネジや釘の類は使いません。 その一番の理由はMDFの木口は簡単に割れやすいことにあります。 多少のヒビが入っても問題ないと判断できるテーマでしたら別ですが、スピーカーの箱の場合にはそうは行きません。  どうしても圧着保持の目的で隠し釘などを使わざるを得ないような場合には仕方ありませんが、原則禁止です。

木工ボンドで接着するときに一番大事なことは実用強度に達するまで圧着保持をすることにあります。 実際のところこの大切さを軽視している例は沢山見受けられます。 くっついていればよいとばかり、材料と材料がボンドで繋がっているようなやり方は最悪と言わねばなりません。  その一番の理由は接着強度が十分に取れるかどうかという一般的な理由とスピーカーボックスの場合間違っても接着部分に隙間が出来てしまっては困ることと、圧着度が悪い場合、ボックス材料を伝わる音の伝播の仕方が変化して音質悪化に繋がる可能性が高いことにあります。

よって今回は180mm300mmのハタ金、150mm250mmのバクマクランプ、そして50mmC型クランプを適宜使いました。  作業上難しいところはありませんが、1ヶ所接着するたびに接着位置が正確であることを確認すること及び接着部分が正確な直角になっていることを確認する必要があります。  もしもその際???なんていう場所が出てきたら、後で何とかなるだろう!なんて決して楽観視せずその???の原因を発見し修復してから次のステップに進むべきです。

それは面倒だ!と考える方がいたとしたらいくら数多くの作品を作ろうとも完成度の高さの進歩はかなり遅々としたものになるでしょう。  何故そう断言できるかというとかく言う私も以前は(30才台頃ですが)そのようないい加減というか適当に妥協して早く完成することを目指し失敗作の山を沢山作っていたからに他なりません。

さてたわごとはこの辺で切り上げます。 作業の様子を以下の写真でご覧下さい。

最も複雑な内部から組み上げるのが常道ということで、バスレフポートの板を接着し180mmハタ金3本で圧着保持をしました。 ポートの穴を通す必要があるので、通常のクランプでは不可です。

接着部分が正しく直角になっているかの確認をしておきます。 これが狂っていたら切断面をカンナやヤスリで調整するか最悪の場合ポートの部材を作り直さないとなりません。

ポートのもう一方の板を同じく接着しました。 接着位置を正しやり且つ直角に接着できればご覧のようにポートの板の間隔はドンピシャ40mmとなります。

3時間ポートの板の圧着保持をした後に手前の窪んだ部分の前板を接着しました。 ここではポートの板への接着を確実にするためバクマクランプも併用しています。

そしてここでも接着部分の直角度の確認をしています。 尚全ての接着で木工ボンドがはみ出ていますが、接着作業終了後それらは接着部分の出っ張り調整をしながら削り取ってしまいますので、気にする必要はありません。

次が窪んだ部分の前板に固定される左右の幅狭の側板。 180mmハタ金3本で位置決めをしてから、前板との間をバクマクランプで圧着。 各接合部の段差はほぼない状態です。

そして次に背面の板を接着しましたが、直角度を出すために自作直角接合ジグを使用しました。 このジグの出番はかなり多く、自作したい便利な道具のひとつです。

直角接合ジグを使っている部分を内側から見たところ。 これを使えば直角出しは完璧に出来、曲尺で確認する必要はありません。

背面の板とバスレフポートの接着部分。 バクマクランプで圧着保持をしています。

更に3時間後左右の側板を接着。 ハタ金はより長い300mmを使っています。 縦方向はバクマクランプを使いました。

前面バッフルの接着。 250mm150mmのバクマクランプ各2本と180mmハタ金3本という大掛かりな?圧着保持をしています。

バッフルの穴を通して内側から150mmバクマクランプで締め上げていますが、圧着保持道具には適材適所があり1種類で万能とは行かない点に着目ください。

側面の接合部に見える段差(矢印の先)。 ここだけではありませんが、材料を設計値よりも大きく切断した部分はこんな風に接合部の木口が僅かに突出します。 無論失敗しているわけではありません。

組みあがった箱上面接合部の僅かな0.1-0.2mm位?)段差を替刃式ヤスリ(M-20GP)で落としました。 削りすぎると後で上板を接着した時に隙間が出来る原因となりますので慎重に。

上蓋を除き組立てが完了したスピーカーボックス。 まだ接合部の飛び出ている部分(矢印の部分など)の成形はしてありません。 上板を載せてみても変ながたは全くなく密着しほぼ満点と言える組立て精度となりました。 気の抜けない作業はこれで殆ど終わりです。

接着するたびに実用強度に達するまで3時間以上寝かさないとなりませんが、今回は6段階の接着しその都度3時間以上寝かせた結果、トータルの所要時間は20時間を超えました。 実際には3個所の接着を1日で2日掛かりとかなり気の長い話ですが、これだけははしょるわけには行きません。



2007/02/16

ボックス組立ての続きと試聴

スピーカーワイヤーを通す穴の加工をし吸音材を貼った上で上板を接着し、飾り前板の一時加工をして接着し試聴に進みました。
今週の加工で厄介というか少々工夫を凝らさないとならないのは前板の加工方法とその手順です。  前板は18mm厚の集成材を使い中心に72φの貫通穴をあけ、その周りには115φ、深さ6mmの座繰り穴をあけます。 更にスピーカー固定の為にM4の爪付きナットを埋め込むつもりです。  最後のネジについては木ネジでも良さそうなものですが、何度もネジを締めたり緩めたりするとネジ面が削れてバカになってしまうため、六角ボルトを使います。 そのナットには鬼目ナットが使われるのが普通ですが、前板が貼りあわせとなるために爪付きナットを埋め込んでやろうというのが魂胆で、価格が安い上に空気漏れを完全にゼロに出来るのが特徴です。

飾り前板は最終的に左右にボーズ面ビットで曲面を付けますがこれはどちらかというと単純な加工で、上述の座繰り加工と抜き穴加工のやりかたと手順が最も注意を要するところです。 今回私が考えた飾り前板加工手順は次のとおりです。

  1.114φの座繰り穴はテンプレートを作ってそれで倣い(ならい)切削することにします。 この目的の為にリョービの別売品
    (TRE-55では標準付属)のダブテールガイドを使います。

  2.テンプレートは厚さ5.5mmの合板に直径118mmの穴を電動ジグソーであけてヤスリで正確に研磨します。 また切り取っ
    た残りの板から直径60mmの円盤も作っておきこれもテンプレートとなります。

  3.これらのテンプレートを切削する飾り前板に固定しますが、テンプレートがずれてしまうと困
    るのでネジ止めします。 このために飾り前板の上下は全てを加工終了してから切断するこ
    ととして予め長目にしておきます。 (テンプレートを使う概念は右の図も参照ください。)

  4.6mmのストレートビットで彫り深さが6mmになるように調節し、電動トリマーで2つのテンプ
    レートに沿わせながらその間の全面を切削します。

  5.テンプレートを外して直径72mmの円を描きなおし電動ジグソーで抜き穴を切断し替刃式円筒ヤスリDR-1000P)で仕上げ
    ます。 (右の図のの部分が電動ジグソーで切り落とす部分です。)

  6.両端の曲面加工を廉価なハイストリマービット(1/2インチボース面)でやりました。 このビットにはガイドとなるコロが先端
    になく、先端は回転しながら材料に擦れますがこれが出来栄えに影響がほとんど出ず大変合理的なビットです。

  7.最後に前板上下を切断して所定の寸法としスピーカーボックス本体に貼り付けます。

この方法でやればトリマーによる座繰り切削時に電動トリマーの台座のかなりの部分がテンプレートに接触しますので、切削した底面の平面度はかなり良好になります。  そこまでの加工に関しては以下の写真でもご理解ください。

前カバーを固定するマジックテープを貼るための板を接着しました。 スピーカー取り付け面とは4mmの段差があります。

それが硬化後下の方にスピーカーケーブルを通す穴をあけました。 勿論ケーブルより大きな穴があきますので、ケーブルを通して隙間はエポキシ接着剤で埋め込みます。

吸音材を内部と上板裏側に貼り付けました。 私が気に入っているFMミクロンウールですが、通常の使用量よりも大目です。 これはバスレフポートより漏れる中音を抑えて前面からの音との干渉で起きる中音の汚れを抑えたかったことによります。

そして上板を接着。 ご覧のとおり手持ちのハタ金20本総動員でも足らなくてバクマクランプも2本使っています。 このまま5時間放置して完全硬化させています。

本体の接着硬化の間に飾り前板の加工です。 ベービーベッドを作った際の18mmラジアタパイン集成材の端材に、座繰り穴、スピーカー取り付けの抜き穴、そしてスピーカー取りつけ穴位置を線引きした後、取りつけ穴位置にの貫通穴をあけました。

貫通穴の裏側には16φ深さ2mmの座繰り穴をあけました。 この穴と先の貫通穴は何れも自作電動ドリルアタッチメントを使い直角度、彫りの深さの正確さを期しています。

座繰った穴にM4爪付きナットを叩き込み、爪付きナットが板の表面から出ていないことを確認します。 この面をスピーカー本体に貼り付けることになります。

テンプレートは5.5mm厚のMDFを使いました。 窪みの外周の切削寸法精度は如何に良好な円を作れるかが鍵ですので、替刃式円筒ヤスリ(DR-1000P)を使い±0.2mm程度に仕上げました。

中心に固定する直径60mmのテンプレートの外周を替刃式ヤスリ(M-20GP)で研磨。 こちらの寸法精度は1mm程度で十分使い物になります。

切断と寸法出しの研磨が終わった2枚のテンプレート。 小さな穴が6個見えますが、テンプレートを飾り前板にネジ止めする穴で、鉄工ドリルで皿もみをしてあります。

飾り前板に2枚のテンプレートをネジ止めしました。 固定位置精度はネジを締め付ける前に十分に確認しておく必要があります。 またネジの頭はテンプレート面から飛び出てはなりません。

こちらは電動トリマーの準備。 ダブテールガイド(黒く見える円盤部分)をトリマー台座に固定し、6mmのストレートビットを取り付けてビットの突出量が11.5mmになるよう調節しました。(切削深さはテンプレートの厚みを差し引いた6mmになる。)

切削開始。 2つのテンプレートに沿わせて外周と内周から切削してゆきます。 あっという間に切削屑で埋まりますが、トリマー台座は常に2枚のテンプレートに接触しているので大変安定した作業が可能です。

切削の途中で切削屑を掃いました。 内外周は終わっていますがご覧のとおりそれらの間はまだかなり残っています。

切削作業を続けてトリマービットが材料に当たる音がしなくなったら完了。 ご覧のとおり切削底面はほぼ平らに削れました。(深さの切削誤差は±0.1mm程度になっていると思われます。

2枚のテンプレートを固定していたネジを緩めて外しました。 そして次の加工である72φの円切抜きのための線引きをコンパスでしました。

スピーカー取り付け穴を切り抜いて替刃式ヤスリ(DR-1000P)で成形、寸法出しした後にボーズ面ビットで飾り前板左右のエッジを丸く切削しました。

ここで使用したハイストリマービット(1/2インチ ボーズ面)。 先端のガイド部分にコロがありませんので回転しながら材料面を擦りますが、仕上がりに影響することはなく大変コストパフォーマンスが良いです。

上下が長かった飾り前板を所定の寸法に切断しスピーカーボックス全面に接着しました。 これでボックスの組立作業が終了することになります。(仕上げ研磨作業がまだありますが、それは試聴の後での塗装前にやります。)


音出しの様子

飾り前板の接着が完全硬化する12時間後にスピーカーワイヤーを配線してユニットを取り付け早速音だしをしてみました。 ところで今回のユニットはFE-87Eではなく1世代前のFE-87を使っています。  秋葉原に買出しに出かけた際偶然にもFE-87OEM品を発見し価格が安かったこと、これまでに12個以上使っており素性が良くわかっていることの2点で躊躇なく購入しています。 OEM品といっても取扱説明書がない、スピーカー背面の塗装無し、ラベルが貼られておらずFE-87の印刷のみという違いだけで、ユニットは純正のFE-87と全く同じ物で、これまでに小型音響迷路スピーカー、家具に埋め込みの大型音響迷路型やミニタワースピーカーに使用しています。

従って後日の比較試聴でもユニットの条件が同じになるので好都合です。 最も現在売られているFE-87Eとの違いはごく僅かで、中高音で旧型の方が僅かに元気の良い音がする程度ですから、大きく印象が異なることはないでしょう。

取り敢えずの試聴はリビングルームの大きなティーテーブルの上に目の高さと同じになるような台を置いてその上にスピーカーを載せ、その手前にDENONの単品ミニコンポを置きました。 試聴位置から1m未満の近距離ですが、これは実際の使われ方に近くなるようにしているわけです。 この状態で家内が最も聴く合唱曲やボーカルを中心に10枚ほどのCDをかたっぱしから聴いてみました。 その結果は予測していたとおりの範疇で新たな発見はないものの、バランスが良くFE-87の特徴である中音から高音にかけての分解能の良さを確認できています。  但しまだまだエージングが必要で、ジャジャウマというか曲によってはかなり荒削りな音色も感じられます。  少なくとも1週間はエージングをする必要がありますので、バスレフポートの調整もせずに暫しは鳴りっ放しにしておきます。  最終的に組み合わせるアンプは変わるもののパソコンに繋いで聴くスピーカーとしてはかなり贅沢というか質が伴った物になるのは間違いないでしょう。

今回使ったFE-87(OEM品)ですが、取り付けてしまうと正規品との見分けはつきません。スピーカーケーブルはガーゼにボンドG-17クリヤーを塗りつけて巻きつけボックスの穴に圧入しています。

実際の条件とは違いますがまだ本格的でなチューニングをするわけではないので、初回の試聴のセットアップは大きなガラストップティーテーブルにこのように並べました。

使ったアンプとCDプレーヤー。 何れもコンパクトながら良質のDENON製単品ミニコンポです。

取り敢えず聴いてみたCDアルバム。 手前に見えるのはボーカルのチェックに良く使う鮫島由美子さんのアルバム。

実際に聞いている位置とスピーカの距離はこのように近距離ですが、実際にスピーカーをセットするとこんな距離になるはずです。 取り敢えずの印象は予測していたとおりですが、レコードによってはかなり荒削りな部分が出てきます。 暫くエージングしてからチューニングしないと意味ありませんが、男性ボーカルの低い方が制動不十分というかぼやけ気味で中低音を若干抑えこまないとならない感じがしています。




2007/03/02

音のチューニング

 お雛様が片付くまで大工作業中止ということで、エージングももうそろ
 そろ良かろうとばかり片っ端から約70枚のCDをとっかえひっかえ最終
 的な試聴とチューニングを施しました。

 エージングの効果は十分あり研磨で言えば#60ペーパーで磨き始め
 たのが#400ペーパーで研磨が終了したようなもので、変なざらつき
 や角が無くなったより滑らかな再生音になっています。
 CDをとっかえひっかえというとなにやらかなり大げさな感じですが、
 私の音の聴き方やバランスの取り方は至極単純な方法で、これまで
 に良く聴いている様々なジャンルのボーカルを聴いて良し悪しを判断
 し、調整できる場合には吸音材の量や貼り付け位置の変更をしたり、
 ポートをいじったりするだけです。(全域型スピーカーではいじれるとこ
 ろは少ない!)


 様々なジャンルとは正に様々であり、クラシック、ポップス、ジャズ、
 ロック、カントリーアンドウエスタン、演歌、落語等々本当にあらゆる
 ジャンルです。 そんなことをしたら収拾がつかなくなる!とお思いの
 方も居るかもしれませんが、現役時代には悲しいかな好まれるスピ
 ーカーを求めて必死になって自分の好みのジャンルではない領域の
 音楽も試聴の対象に入れざるを得なかった仕事の名残です。

 要するに私の聴き方は百貨店みたいなものですから、何でもそつなく
 再生するスピーカーを良しとしてしまう傾向があるかも知れません。

しかしながら再生帯域の範囲から女性ボーカルは中高域で癖やヒステリックな色づきが付きやすく、男性ボーカルでは中低音での分解能不足、ダンピング不足が目立ちやすく、結果として良し!の判定をしたスピーカーは中高域の質が十分備わった物となります。 音楽を構成する最も大事な帯域は100数10Hzから数kHzの所謂中音領域であることははっきりしていますから、ボーカルに着目してのチューニングはそれなりに意味のあることと私は思います。

今回比較に使ったスピーカーはフォステクスが以前限定販売した6N-FE-103をダブルバスレフとしたもので、FE-103の音としては非常に広帯域をバランスよく聴かせてくれますが、そこはやはりFE-103ファミリーの特色は色濃く残っており中高域に独特のカラレーションがありパンチ力が備わっています。 そして聴く音楽によってはこれが大変心地よいのですが一部の女性ボーカルでは「口裂け女!」になってしまう?という個性の強さがあります。(口裂け女なんて勿論おりませんからイメージとしてこんな声を出すのではとの想像によるもので、適切な表現ではないのを知りながらそれでいて何となく判りやすい表現?!だと勝手に思っています。)

さて今回のFE-87 OEMのバスレフはどうだったかというと、女性ボーカルでは大変楚々とした品良い感じに聴こえ当然ながら定位感は抜群でした。 また男性ボーカルでは中低域でかぶることが少なく(この時はポートに調整用の板を挿入していないので、共振周波数は100Hzになっています。)これも良好でした。  但し音量を上げるとかぶり傾向が増大するのでその場合にはポートの共振周波数を下げて中低域のふくらみを抑えたほうが良いと思いますが、このスピーカーの使い方(40-50cmしか離れていないのと再生レベルは高くない!)からすれば共振周波数を下げると音が痩せて聴こえるようになりますので共振周波数はこのまま(100Hz)に留めたほうが良いとの判断をしています。

私が所属する合唱団の演奏会の録音を聴くと仲間の団員の声がはっきり分解して聴き取れますので、家内の要望もほぼ満たせているでしょう。 最終的に繋ぐアンプは変わりますし設置する場所も大きな窪みのようなものですからそれらによる影響でまたいじらないとならない可能性は十分ありますが、更なる製作作業前のチューニングとしてはこれで良しとしました。(というかポートチューニングも含めて結果としては何もしなかったのですが?)

以前息子に頼まれて作ったFE-87Eのバスレフよりも若干おとなしい感じに仕上がっていますが、帯域のバランスが良くこけおどし的でない再生音は長時間聴いていても疲れは少ないでしょう。  価格が安いだけではなく癖の少ない抜群の素直さを改めて再認識した次第です。



2007/03/09

本体の仕上げ研磨と塗装作業 1

3月に入ったからというわけでもないでしょうが屋外にいても首をすくめることも無く風も殆ど無いことに気づき、それっとばかりに塗装前の仕上げ研磨を施しました。 昼食後に始めたので薄暗くなってくる5時半近くまで約4時間強で#240ペーパでの研磨までが終わりました。 但し今回のやり方はペイント塗りつぶしとなるMDFの表面には作業時間短縮の為に使った荒目ヤスリによる傷が残りますので、それをパテで埋める作業がこの後必要になります。

基本作業としてはMDF同士の接合時に出来た段差とはみ出た木工ボンドを完全に削り落としてやることで、金属板粗目ヤスリ、替刃式ヤスリ、#240を付けたハンドサンダーと3段階の手順を取ります。 但しパイン材の飾り前板の木口だけは時間が掛かるのですが、粗目ヤスリを使わず替刃式ヤスリで飛び出ている部分を削り落としその後#240サンドペーパーを付けたハンドサンダーで仕上げます。(荒目ヤスリを使わないのはニス仕上げとする部分では深い傷をつけてしまった場合にパテで埋める手をつかえないためです。)

当然ながら前面のスピーカーユニットは外してその穴はバスレフポートの開口と共にボール紙を切って被せマスキングテープで固定し養生をします。 さもないと研磨屑が内部に入り吸音材に付着してどうにもならなくなるでしょう。

塗装作業は雨の心配も無い屋内でやっています。 最初が飾り前板の着色です。 着色にはステインを使ってニス塗りとは分けてやる方法と、着色タイプのニスを使う方法の2通りがありますが、今回は油性ウレタン着色ニス(チーク色)を薄めたもの(色を薄くしたいので30%近くの薄め液を加えてあります。)で一回塗りとしています。 3時間後に油性ウレタン透明クリヤーに薄め液10-15%を加え着色しないMDF部分全体を塗りました。 この作業はサンディングシーラーの代用で、市販品ではラッカー系のシーラーが販売されていますが塗膜の物理特性が良くないので私は油性ニスそのものをシーラー替わりによく使います。  そして一度塗っただけでは大半はただ沁み込むだけですので、4時間経過後にもう一度全てを塗って一晩寝かして完全乾燥させます。  これで表面に塗膜ができて艶も出てきます。

接合面の出っ張りを荒目ヤスリで削り落とします。 この時に矢印の先の表面に引っかき傷が付き易いですが後でパテで埋めることにし、角が斜めにならないよう注力します。

荒目ヤスリで段差が0.5mm以下になったら替刃式ヤスリに変更し段差がほぼ無くなるまで削り込みます。 替刃式ヤスリは#120-#180程度の粗さでかなり表面は滑らかになります。

最後は#240ペーパーを取り付けたハンドサンダーで研磨。 接合部分を触っても全く段差を感じなくなります。 勿論はみ出ていた木工ボンドも全く残っていません。

一方飾り前板の木口部分の段差は替刃式ヤスリのみで削り落とします。 その理由は粗目ヤスリで深い傷を作ってしまうと修復が不可能になるためです。

MDFの接合面のクローズアップ。 ご覧のように接合面にあった段差は完全に削り取られ指で触っても判らなくなっています。

但しMDFの面の一部には粗目ヤスリで付けた傷が認められます。(矢印の先)  これは下地塗装後の研磨で様子を見ながらウッドパテで埋めてやります。

飾り前板木口は替え刃式ヤスリで段差を取り、#240ペーパーで仕上げてつるつるになりました。 MDFより硬いので時間が掛かりますが、粗目ヤスリを使うと深い傷の修復が出来なくなります。

飾り前板の横の面は接合部が連続しますが、ここも指で触っても段差を感じなくなるまで研磨してあります。

研磨終了後飾り前板の部分だけは油性ウレタンニス(チーク色)に薄め液を約30%加えたもので着色しました。 1回塗りで済ましましたが、美しい飴色に変化し透明感が出てきています。

3時間後に薄め液を15%加えた油性ウレタン透明クリヤーで残りのMDFの部分を塗りました。 1回目は大半が吸い込まれてしまうので通常より多めに刷毛に含ませています。

塗装直後に判りやすいよう逆光で撮影しました。 光っている部分はまだ濡れていますが、それ以外は既に吸い込まれてしまい反射しません。

30分後の同じ部分。 殆どの部分でニスは吸い込まれて塗膜は表面に形成されませんが、MDFは特に塗料を吸い込みやすい材料ですから極普通に起こることです。

4時間後に2回目の塗装をして12時間経過後の写真です。 これも油性ウレタンニスに薄め液を15%加えたものですが、手持ちの関係でつや消しクリヤーにしています。  下地塗装にはシーラーを使うのが普通ですが、このようにニスをシーラー代わりに使う手もありしかも物理特性はこちらの方が数段優れています。

飾り前板全体の様子。 下地塗装とは言え既に2回塗っているのであたかもこのままで良さそうなレベルにほぼなっています。

飾り前板と本体の貼り合わせ部分。 全く隙間や段差が無いことが判ると思います。

一番ぼろを出しやすい接合が連続している部分ですが、ほぼ完璧で隙間、段差共にありません。 矢印の先に見られる着色斑部分はこの後ペイントで塗りつぶすので問題無しです。

この矢印の先は木工ボンドが付着したため白っぽくなっていますが、この部分はアンプや電源が入りその後覆われるため最初から意識して手を抜いた部分です。



2007/03/16

塗装作業の続き

2回目の油性ウレタンニスを塗装後結局2昼夜乾燥させて研磨に入りました。 この乾燥時間は研磨で問題を起こさないよう長いにこしたことはありません。 というのは、不完全な乾燥状態で研磨に入ると研磨屑が完全乾燥していないためよれた細い糸のようになり、ペーパーの砂目の間への目詰まりもしやすくうまく研磨が出来なくなるからです。  完全に乾燥した後なら後ほどの写真で見るように研磨屑は微粒の粉状になります。

もうひとつ塗装と塗装の間の研磨で注意があります。 サンドペーパーとしては#240-#400を使いますが、砂目が細かくなると木材の研磨と違い塗膜の研磨では研磨屑が目詰まりし易くなる傾向にあります。 洋紙サンドペーパーは格安で気軽に使えるものの目詰まりが発生しやすくその目詰まりが浅い傷を表面に付けたり、頻繁に交換せねばならず研磨効率が落ちてしまいます。  そこで登場するのが空研ぎペーパーです。 一言で目詰まりしにくいサンドペーパーと言えるものですがその本領は塗装面の研磨で発揮します。 つまり重ね塗りをする前の研磨にもってこいなのです。 価格としては洋紙ペーパーと布地ペーパーの間で、例えばmini-Shopで販売している手研磨用で比較すると、洋紙\43.-/5枚)、空研ぎ\97.-/5枚)、布\130.-/5枚)ですが、目詰まりしにくい特性は布よりも上です。 この為に空研ぎペーパーでは一番細かな物は#600まであります。

空研ぎペーパーのご利益がどのくらいあるかは後ほどの写真でお目にかけますが、重ね塗り前の研磨に使用した場合私の経験では使用枚数は3-5倍の開きが出てきます。 そうなると費用的には洋紙を3-5枚使う\25 - \43)場合に空研ぎであれば1枚\20.-弱)と安く済むだけでなく、その間のペーパー交換は空研ぎの場合には発生せず作業効率は極めてよくなります。

こんなことから空研ぎペーパーは重ね塗り前の研磨剤としてピカイチのお奨めです。 更に工芸品などの塗装や鏡面仕上げとなると水研ぎ研磨が出てきますが、その前に空研ぎペーパーで塗装の質を上げる練習をした方が良いでしょう。

もうひとつスプレー塗装をする前にペーパーがけをする理由に関し簡単に触れておきましょう。 塗膜の上に更に塗装(重ね塗り)をする場合に注意すべきことの一つに、「上手く載るかどうか?」が重要です。 そしてその上手く載るかどうかは使用する塗料が違ってしまうと判断が難しくなります。  よく油性塗料の上に油性塗料、または水性塗料の上に水性塗料は問題ないが油性塗料の上に水性塗料、或いは水性塗料の上に油性塗料はまずい! などの話を聴いたことがありますが、実際はそのように単純なものではありません。

限られた実験ですが、水性塗料の上に油性塗料を(またはその逆)でも問題ないことがあり、油性に上に油性でも駄目な場合もあります。  基本的には既に塗られた塗膜が経年変化で油分(油脂質)が完全に抜けている場合にはどんな塗料でも良く載ります。 また上に塗る塗料に含まれる溶剤で塗ろうとしている塗膜の表面が僅かに侵される状態があればより載りやすくなりますし、表面が完全につるつるの状態よりもざらつきのある場合の方が載りはよくなります。

この辺りは書き出したらきりの無い奥の深いテーマですのでいつか改めて解説したいと思いますが、最後に挙げたざらつきのある状態!を意識して作り出し、載りを良くするために研磨しています。  勿論ざらつきといっても#400番ですからミクロ的な意味でのざらつきですが、そうしない場合に比べてスプレー塗料の載りは格段に改善されます。

研磨が終了後飾り前板部分をマスキングテープで覆ってスプレーペイント2回塗りで仕上げました。 アクリルラッカー系ですから乾燥が速く下手な厚塗りさえしなければ1時間後に2回目の塗装が可能でその乾燥も含めて半日あれば終わってしまいます。  そしてスプレー塗料が完全乾燥(約12時間後)に飾り前板部分を仕上げ塗装(油性ウレタンつや消しニス)を塗って本体塗装作業は終了です。

それらの様子は以下の写真をご覧下さい。

スプレーペイント塗装前の仕上げ研磨を洋紙#240でやってみました。 スピーカー本体の上面2/3を研磨しただけでこのように目詰まりが増殖。 矢印の先のようなものになると浅い傷が付きます。

そこで空研ぎペーパー#400と目を細かくした物に変更しました。 残りの1/3と反対の面を研磨してこんな感じです。 勿論目詰まりは無く指先で擦ると研磨粉がさらさらと落ちます。

箱前面を研磨し終わっても#400空研ぎペーパーは目詰まりを起こしていません。 洋紙の#400でやっていたら多分4回はペーパーを替えないとならなかったでしょう。 作業性が良く費用的にも安くなる空研ぎペーパーはメリットがあります。

接合部段差を取るために粗目ヤスリで傷が付いた部分には研磨屑(粉状)が詰まってわかり易くなります。 今回この面は全く見えない背面となるため傷を埋める作業はスキップしました。

研磨が終わって濡れ雑巾で研磨屑を拭き取った後の角のクローズアップ。 段差、接着部分の隙間や浮きが無く完璧な出来栄えといってよいでしょう。

スプレーペイントで塗装しない飾り前板は新聞紙とマスキングテープで覆い、バスレフポートの部分には新聞紙を詰めて内部にペイントが侵入しないようにしました。 ポート内部は後で手塗りでつや消し黒を塗ります。

猫のひたいのような狭いバックヤードで塗装開始。 実は午後になると突風が吹き荒れ模様の天気になりそうだとの予報があり急ぎましたが、2回塗りが乾燥も含め5時間で無事終わっています。

新聞紙とマスキングテープで覆っていた部分を剥がし、飾り前板部分に油性ウレタンつや消しクリヤーを塗って塗装は終了です。 この部分は構想段階でイメージした通りの木目の出方と色合いになりました。

木繊維を直角に切断する部分は着色、塗装共に難しい(色むら、濃度斑が出やすい。)ですが、まずまずうまく行っています。 これと同じ仕上げが木製アンプパネルで出てきますので参考になります。

再度スピーカーユニットを取り付けて試聴しました。 無論音色上の問題は無く、前面バッフルを除きスピーカーとして完成しました。 残るは前の窪み部分にアンプと電源を組み込む作業となります。



2007/03/23

アンプの製作

やっとアンプの製作に入れますが、かなり大雑把にマクロ的に考えていた部分を詳細に検討した上でプリント基板の最終レイアウトを考えました。  メーカー発表のデータシートはこちらです。  構想段階では前面窪みの全てを放熱板面積として考えていましたが、データーシートを参考にどのくらいのものとしたらよいか検討しました。

まずパワーICの最大許容損失はの負荷で15Wとなっています。 今回使うスピーカーはですが安全を見てとして考えることにします。(理論上8Ωの許容損失は半分になる。)   またデーターシートによれば、熱抵抗3.5℃/Wの放熱板に
ICを直付けした時に周囲温度50℃で許容損失は20Wまで取れるようです。  そこで予定の2mm厚のアルミ板を使い放熱板が他の部品の邪魔にならないようレイアウトを考えたところ、前面窪みの右半分の部分に、横幅175mm、縦142mmで良さそうだ?としました。 この時のアルミ板の面積は248cm2で熱抵抗は2℃/Wとなり、20W許容損失の場合の放熱板熱抵抗 3.5℃/Wに対し1.5℃/Wのマージンがあります。  結論としてはマージンの上にマージンを重ねたようなもので、放熱能力としては十二分です。

 この放熱板を10mmのスペーサーで浮かして窪み部分に固定すれば、アルミ板の両面は自然対
 流により冷やされるようになります。 さてアンプの基板はこの放熱板に垂直に固定せねばなりま
 せん。 一時は放熱板とアンプ基板を平行に固定しようとしましたが、ICの基板への固定にかなり
 無理が生じますので、垂直に固定するしかありませんでした。

 この場合前面窪みの奥行きは49mmしかなくそこから前カ
 バー4mm)、放熱スペース(10mm)、放熱板厚み(2mm)
 を差し引くと33mmしか残りません。 よってアンプ基板は
 かなり細長い物にせねばならず部品配置にかなり頭をひね
 りましたが、なんとか幅98mm、奥行き24mmでロジカルな
 レイアウトにまとまりました。 それとこの基板は天地を逆さに取り付けることになります。(基板の裏面が上を向く。) というのはパワーICのピンの配列の関係で入力関係は基板の左側に、出力関係と電源入力は右側に集まっ
てしまいます。

基板レイアウトについて簡単に触れておくと、この図は部品取付け面から見ている状態で配線の全ては裏側にあり、透視して見ていると考えてください。 尚配線中点線で示したのは絶縁されたビニール線を使います。 その他は全て錫メッキ線です。
抵抗は82Ωの物を除き全て立てて配線します。 入力信号はパソコンが右側にあるので右側に、電源周りは左にあるので左側にしたかったので、上下を反対にせざるを得ません。 最も基板の裏面が上を向くのはある意味で好都合です。 というのは放熱のために基板の上は空きっぱなしになっており埃が溜まりますが、基板が完全に完成したら薄いプラスチックフィルムを裏側に貼ることにより溜まる埃の掃除も簡単に出来るし電気的にも安全性が高まります。

ところで設計の基本としたデーターシートに含まれる標準回路のみを右に載せておきます。
それらの定数と私が実際に決定した定数には若干違いがありますが、アンプの増幅度を40dBに抑えたかった為に470Ωを追加、それに伴いポップノイズ低減の為に4.7μ3.3μへ、47μ33μへ変更しています。

またパソコンのUSB端子のDC電圧をスタンバイコントロールとして使うことを考えています。 
パソコンがOFFの場合にはUSBDC電圧は0Vですが、このときアンプは待機状態で消費電流は1μAしかありません。 パソコンONと同時にUSB端子には5VDC電圧が生じアンプは動作状態になり、アンプを通電状態にしたままでもON/OFFのコントロールが可能になる筈です。 (但しアンプの消費電流が1μAでもスイッチング電源のアイドル電流が加算されるのでトータルでの待機電流は増えますが、それがどの程度かは実際に回路を組んで検証します。)

更にアンプが動作状態にあるかどうかのインジケーターとしてLEDをUSB端子のDC電圧で点灯させるようにしています。  高輝度LEDを使い1KΩの抵抗を入れて2.2mAという僅かな電流としていますが、これでもまぶしいくらいの明るさが取れますし、USB1端子辺り供給できる電流は500mAと言われていますので、パソコン電源に対する負担は無視できます。

製作過程に関しては数枚の写真を以下にお見せしますので、それらをご覧下さい。

アンプを作るのに使った部品。 部品点数としては決して多い方ではありません。 プリント基板はこれを切断して所定の寸法にしました。  これ以外にパソコンに接続するためのミニフォーンプラグやUSBコネクターなどがあります。

配線が終わったアンプ基板。 前に掲載したプリント基板レイアウト図と同じ方向から見たところで、実際にはこの面が下を向きます。

中央に白っぽく見えるのがパワーICですが、この面に放熱板を固定することになります。

基板の裏側。 穴のピッチが2mmしかないので、半田付けの際ちょっと油断すると隣同士がショートし易く、組み上げ後にルーペで角度を変えてショートさせていないか、誤配線がないかを何度も確認しました。

組みあがったアンプ基板をジャンクボックスにあったアルミ板を仮の放熱板として洗濯バサミで固定しスイッチング電源と接続し通電しました。

その後USBコネクター付きケーブルを稼動中のパソコンに接続しパソコンの電源をONとした時の写真です。 どこが違うかって? 矢印の先に注目ください!

上段は上の写真矢印の先のクローズアップ、下段は左の写真矢印の先のクローズアップです、これら2つが違う部分になります。 (LEDはスタンバイ解除時にUSB端子の電圧により点灯する。)


 補足: 出来上がったアンプの基本動作の確認をしていますが、私がもくろんだ通りの大事な部分が上手く作動している
 ことが判りました。 それはUSB端子の電圧を利用したオートスタンバイで、パソコンの電源ON/OFFでアンプを、
 動作状態/非動作状態に自動的に切り替える機構です。 但し非動作状態であまりにも消費電流が大きいのでは意味が
 ありませんのでそれを確認したわけです。  上のクローズアップ部分のメーター表示は実はクランプメーター(交流電流
 計)
でAC100Vラインの電流を測っています。 USB電圧が0V(パソコンがOFF)の場合には12mA、5V(パソコンがON)の場
 合には30mA流れていることが判ります。

 メーカー発表のデータではアンプ部分のスタンバイ時の消費電流は1μAとなっているので、上記の12mAは殆どがスイッ
 チング電源での消費電流で約1.2Wの待機電力となります。 一方アンプの動作状態での無信号時消費電流は標準で
 120mA、最大で250mAとなっています。 消費電力に換算すると1.44W - 3Wですが、上記のAC100Vラインでの消
 費電力はスイッチング電源の消費電力と合算されますので無信号時に3Wはつじつまが合う範囲に入ります。

 待機電力1.2Wという値は大変簡単な電気回路だけに当たり前と言えばそれまでですが十分に低い値であり、十分実用
 性が高いと考えます。 これによりスイッチング電源の電源スイッチは付けないことに結論付けました。




2mm厚のアルミ板を切断して放熱板と音量調整ボリュームのホルダーを作りました。 アルミ板の切断には刃研ぎグラインダーを使っていますが、こちらで解説しています。

放熱板にアンプ基板を固定し音量調整ボリュームもホルダーに固定し残るはスピーカー本体に実装です。 左は電源ケーブル、右はUSBケーブルと音声入力ケーブルです。

放熱板に固定したアンプ基板のクローズアップ。 固定にはパワーICの2本のM3ビスだけですが、ぐらつくようなことはありません。 USBケーブルと音声入力ケーブルは接続部分が切れやすいので、ご覧のように1mm厚アルミ板を曲げて押さえています。 LEDは前の実験のままにまだなっています。

音量調整ボリュームのホルダー。 アルミ板で作った単純なL型ですが、厚さが2mmあるので柔な感じはまったくしません。  これを右側の窪み壁面に固定します。

USBケーブルと音声入力ケーブルのプラグ部分。 音声入力用ジャックは入手が容易ですが、USBプラグは随分探し回りました。 入手が難しければ標準のUSBケーブルを買って切断して使うほうが簡単でしょう。



2007/03/30

完成までの様子

アンプ周りと音量調整ボリュームを予定していた位置にネジ止めしそれらの仮配線をして試聴してみました。 最終的に接続するパソコンでのテストは場所が足らず、これまでスピーカー自身の試聴とチューニングを施していた場所でやっています。  入力はこれまで使っていたDENON製アンプのヘッドフォーン出力ルを使い、USBによるスタンバイON/OFFはノートブックを引っ張り出しその
USB端子に繋いでいます。 そんなテストの仕方ですからナンジャコリャ??というようなミョウチキリンな光景です。

先ず音ですが、1時間ほど聴いているとほんの少し薄味かな(或いは細身と言っても良い。)という印象で、パンチのあるダイナミッ
クな音ではありませんが、汚れやざらつきが少なく長時間聴いていても疲れない音のようです。 但し最大出力が大きくありませんから音量を上げるとクリッピング歪が目立ちます。 本格的なオーディオコンポと比較するのは所詮無理ですが、期待以上の音質であり市販のどのPC用アクティブスピーカーより遥かに高い質を有しています。

次にアンプの発生する雑音をチェックしました。 入力のジャックを引き抜いて音量調整ボリュームを最大にしてスピーカーに耳を近付けるとかすかにサーッというノイズと僅かなハム音(電源周波数に同期した交流ノイズ)が聴こえますが、実際の使用時にツマミを最大に回すことはありませんから十分な低ノイズです。  それよりパソコンからの信号に含まれるノイズのほうが遥かに大きい
筈です。 更にまだ固定していないスイッチング電源をアンプに近ずけてみたのですが、スイッチング電源が発生するノイズによる
影響は殆ど無視できました。  ラジオはかなりの受信障害になることが確認できたので、スイッチング電源をシールドケースで覆われたタイプに変更してラジオへの障害を軽減することにしました。 変更後の電源は容量が 12V 2.0Aと小型ですが、これが最大出力に影響することは先ずありません。(4Ωのスピーカーの場合には問題。) パワーアンプICからの発熱は実際の音量より大きめにして5時間連続慣らしっぱなしにしましたが放熱板はほんちょっと暖かくなったかな?という程度でこれまた問題ありませんでした。

ということで無事実装時の試聴テストも終わったので、ぶらついている配線や仮配線を整理して固定し、窪み部分の前カバーの製作に入りました。 この部分はお金を掛けるのであればアルミ板を貼り付けたいところですが、昨年の金属高騰後の価格はえっ!!というくらい高いので、5.5mm厚のシナ合板を使っています。 但し金属板の質感みたいなものを出したかったので、銀色のスプレー塗料で梨地風の仕上げにしています。 この板の固定は頭の小さな2mmの木ネジでネジの頭を極力目立たないようにしています。 またこの板にLEDを取り付けますが、手前側1.5mmの深さは直径2mm、奥の4mmは直径3mmとしてここにLEDを挿し込みLEDの光って見える部分を小さくなるようにしましたが、それでもまだ光量が多いのでLEDのレンズの頭を青のマジックペンで塗って光量を落としながら色をエメラルドグリーンとなるよう手を加えています。

以上で完成で所定の場所(棚板の下にぶら下げる。)にネジ止めしましたが、このとき12mm厚の端材を挟んで、窪み部分の上面に空気が通り抜けられるような隙間を設けてあります。

スピーカ本体にアンプ基板を実装し音量調整ボリュームを取り付けて再生音の確認テストをしました。 入力信号はDENONのアンプ前面のヘッドフォーンジャックからとり、スタンバイON/OFFのコントロールは右下のノートブックPCを使っています。 また電源はラジオへの輻射ノイズ軽減のためスピーカーの上のシールドケース付きに変更しました。

アンプの実装部分。 スピーカーワイヤー(赤白)とLEDは仮配線です。 緑色のケーブルはツマミに触れると誘導ハムがでるので、ボリュームホルダーをGNDに仮接続です。

電源は周りを金属ケースで覆われ輻射ノイズが少ないタイプに変更しました。 最初に考えたものよりも容量が若干少ないですが(12V 2.0A)、サイズも小さくなっています。

スイッチング電源を取り付け、ばらばらになっているワイヤー類も束ねました。 上方左はAC100Vのワイヤー、右はUSBケーブルとオーディオ信号ケーブルですが、これらも棚板に固定する際スペーサーの間に挟んでしまいます。

前カバーを加工しシルバー色のスプレー塗料で2回塗りし固定しました。 緑色LEDは明るすぎるため青のマジックインクをレンズ先端に塗って光量を落としながら、色味を私の好きなエメラルドグリーンにしました。

前カバー取り付けた全体の感じはこんな具合です。 ごちゃごちゃした部分が全て隠れたので大変すっきりした外観に変貌しました。 真中の大きなシルバーのスペースは手前にモニターが置かれて殆どが隠れます。 特製の?エメラルドグリーン色LEDが小さな面積ながら素敵なアクセントになっているように思います。

12mmのスペーサーを挟んで棚板にネジ止めし棚板を載せワイヤリングを済まして早速使用状態にセットしました。 ビフォア(左下の写真)とアフターでは空間の利用効率が大きく変化しております。 スピーカーユニットの高さは椅子に座った時に耳の高さに殆ど一致しこれも好都合です。 ボリュームツマミも手を伸ばして無理なく届く位置になっています。

右側の空間は従来のスピーカーに替わりフォトプリンターとデジカメのクレードルが使い易く収まりました。

15インチモニターの背面と側面ははまだゆとりがあり、将来17インチモニターに変更しても設置上の問題はありません。

早速家内に使い方(と言っても音量調整しかない)を説明し試してもらいました。 彼女が良く聴く合唱のCDを始め数枚替えていましたが、以前に音響迷路型スピーカーで人の声が良く判る!と言っていたのに近しい聴こえ方のようで一安心。 これまで使っていたスピーカーを取り除いた場所に最近購入したフォトプリンターが丁度上手く納まり、家内のPCワーキングスペースの充実度はかなり上昇したように思います。

 ところでスピーカーのフロントグリルをまだ製作しておりません。 私自身はスピーカーむき出しは
 決して美しいと思いませんので、原則としてフロントグリルは付けるようにしています。

 現在考えているのは厚さ5.5mm4mmのMDF或いは合板を貼りあわせて作る構造で左の図の
 ようなものです。  貼り合わせ構造としたのは5.5mmの部分はユニットの周りに落とし込みます
 が、スピーカー固定ネジ近くでは枠の幅が5mm程度しか取れず簡単に壊れてしまいそうなので、
 その上に小さな直径のリング状にした4mm厚を貼って補強しようという構想です。  但しグリルが
 ユニットの前面をブロックしないような寸法になっています。  またこうするとグリルは周囲がテー
 パー状にカットされたような形となり、凹凸感が増加し造形に変化が出ると予測しています。



2007/04/06

スピーカーグリルの製作

先週の最後にご紹介した寸法図に従ってスピーカーグリルの製作に入りました。 今回は5.5mm厚と4mm厚のシナ合板を貼り合
わせて作っていますが、同じ物を例えば9mm厚のMDFから電動トリマーで削りだす方法もあります。(厚みに0.5mmの差が出る。)

少々脱線しますが、ほぼ同じサイズのグリルながら周りを丸く削ったなものは以前製作しており、立方体の箱に対し変化を持たせるため角を丸くしたグリルとしています。  今回は飾り前板の左右に大きなアールを付けていることもあるので、グリルの角部分は直線的な表現とし変化を持たせようとテーパーとした構造の違いがあります。

 5.5mmの板には直径114mmの円の中にフリーハンドで描いた膨ら
 んだ正方形のような穴を切り抜き、スピーカーユニットに干渉しないよ
 うにします。  そしてその上に4mmの板で直径が100mmの円で直
 径85mmの抜き穴としたリングを貼り付けます。 但しこの4mmの板
 はスピーカーの固定ネジに干渉するので、電動トリマーでその部分を
 深さ1.5mm程削り取りました。

 抜き穴はジグソーで線より外側を切断しヤスリで所定の線に沿うよう
 削りましたが、凸曲線のみならず凹曲線が大変多いので、3本の替
 刃式ヤスリM-20GPDR-1000PRS-310P)を使いましたが、
 DR-1000Pにはグリップに直径の小さい替刃を追加して両刀使いと
 し作業性を良くしています。(左は上からM-20GPRS-310P
 DR-1000Pだが、DR-1000Pには別売りの径の小さい替刃を追加
 してあります。 これらはmini-Shopで販売しています。)
 

 その後2枚の板を貼り合わせれば枠の出来上がりで、表面側をつや
 消し黒で塗りつぶした上でジャージーを貼り付けてスピーカーグリル
 が完成です。 ジャージーを貼り付けるのにこれまではボンドG17クリヤーを使ってきましたが、今回はゼリー状の瞬間接着剤を使いました。 作業性が良く短時間で終了するのでそのポイントを以下の写真でご覧下さい。

電動ジグソーで大きめに切断後替刃式ヤスリ(上の写真)で削って所定の大きさに削りました。 左が5.5mm厚の下の枠、右が4mm厚の上の枠で、上の枠はネジと干渉する部分をトリマーで削ってあります。

上下の枠は後でこのように重ねて接着しますが、左が表側、右が裏側になります。

下の枠の外周寸法は大変重要で、嵌め込む窪み部分に落とし込んで外周が窪みに対し1.5mm前後小さいのがベストです。 また真円に極力近づけるよう削るのも重要です。

念のため使用予定のジャージーを挟んで嵌め込みました。 緩からずきつからず嵌め込めればOKとします。

上下の枠を接着してから表側だけをつや消し黒のペイントで塗りつぶします。 右は未塗装の物。

そんな面倒なことを?とお思いの方はこれをご覧下さい。 左がつや消し黒を塗らないままジャージーを被せたもので、右は塗ってから被せたもの。 塗らないと枠が透けて見え台無しです。 明度の低いジャージーだとこの傾向は更に強くなります。

グリル枠にジャージーを貼り付け開始。 今回はゼリー状瞬間接着剤を使いましたが、従来使ってきたボンドG-17より作業が早く進められます。 先ず対角線上に2点止めします。 矢印先がジャージーに沁みて固まった接着剤です。

更に90度回して同じく点で接着します。 ジャージーは軽く引っ張って貼り付けます。

4箇所点止めした中間を更に点止め(合計8箇所になる。)しますが、私のやり方をお見せします。 先ず瞬間接着剤を枠に垂らしてジャージーを摘んで僅かに引っ張り接着部分にダンボールの切れ端を介して5秒間押さえつけてやります。

そして押さえを外せば、瞬間接着剤はジャージーに沁み込んで固まりますが、引っ張っている状態は10秒ほど念のために保持した方が確実です。 親指の先に接着剤が点の状態で滲んでいるのが判ります。

8箇所の点止めが終わったらその間のまだ接着していない部分の枠表面に接着剤を塗り(今度は線です。)貼り付けて接着が完了します。

数分経ったらよく切れるカッターナイフで、枠の内部の角を僅かに共切りするように切り落としてやれば終わりです。

完成したスピーカーグリルのアップ。 ほぼ完璧に近い感じに仕上がりました。 上の写真に見えるように裏側はお世辞にも綺麗とはいえませんが、手貼りではこの辺りが限界かなという気がしています。  グリル周辺のテーパー状の見え方はどうでしょうか?

設置場所はかなり暗いのでグリル単体の写真と随分色味と濃度が異なって見えます。 グリル周辺のテーパーは前面部分の凹凸感をもたらし木目部分とその両端の丸くした部分と上手く調和しているように思われます。 

グリル取り付け後の全体の雰囲気です。 スピーカーユニット剥き出しよりもぐっとエレガントになったと思いますが如何でしょうか?

想定していたよりも手間が掛かりましたが、家内へのごますりテーマ?!が無事完了しほっとしています。 というか家内はかなりハッピーな様子で、家内のワーキングスペースから音楽が流れている時間が増えています。

------ 完 -----


 
  
Copyright (C) 2001-2019, Vic Ohashi All rights reserved.