HOME
サイトマップ
アマ的手法
材料
工具
作品一覧
リンク
mini-Shop


刃研ぎグラインダーで切断
2007/03/23

 以前「ひとりごと」の欄で刃研ぎグラインダーの有用性に関して簡
 単に触れたことがあり、その後mini-ShopにてCG-11の販売を
 開始した。 刃研ぎグラインダーはその名から想像できるように刃
 を研ぐための道具として考えられた物だが、実はディスクグライン
 ダーと大変似ておりディスクグライダーの子供のような物と言え
 る。

 重量が軽く片手操作がしやすい点から私はディスクグラインダー
 よりも日曜大工の場面では作業性が良いと考えているが、たまた
 ま現在交換用のディスクのテストをしていることと、2mm厚のアル
 ミ板の切断をする機会があったので、刃研ぎグラインダーでの基
 本的な切断の方法をご紹介しようと思う。

 左はRYOBI製刃研ぎグラインダー(CG-11)


1.刃研ぎグラインダーで出来ること
  ひとことで言うと刃研ぎグラインダーの本来の目的である研磨のみならず切断作業も可能である。

  研磨では金属板の切断をした後の切り口の研磨と面の研磨において、ディスク(直径100mm)をそれら用に交換する必要が
  ある。 前者のような幅の狭い面の研磨面には、研磨砂を固めて円盤状(ディスク)にした厚み2-3mm前後の物が主で硬く
  て撓みがない。 そして研磨砂の荒さによりいくつかの種類がある。

  後者のような面研磨の場合にはしなやかさを有するディスクを専用部品を介して取り付けてやるが、自動車の板金屋さんが
  使っているやつの小型の物になると考えてよい。 そしてこれにも粒度によって数種類のものが存在する。

  CG-11には前者に相当するディスク(粒度#60が付属しており、他の粒度の物や面研磨をしたい場合には専用の取り付け
  部品を含めて購入する必要がある。

  一方切断に関しては割れにくくするための芯材と研磨砂を固めた厚み1-3mmが基本になっているが、鉄用アルミ用ステ
  ンレス用
石用レンガ用とこれまた多種あり、中には「なんでも切断できます!」というものまであるが、研磨砂の成分
  や固めるのに使っている材料など全く発表されておらず、どのような差があるのかは実際に使って見ないと判らないファ
  ジーな面もある。

  研磨はちょっと置いておくことにして切断に関し刃研ぎグラインダーでどの程度の厚みの金属を切断できるかだが、
  慎重に使えばかなりの厚みの切断でも可能!と、これまたかなり曖昧模糊とした言い方になる。 この慎重に!!という表
  現はモーターが停止してしまわないよう負荷を軽くして、モーターが異常発熱しないよう十分注意してやれば? ということ
  だ。 実際に私が経験した例では鉄パイプ、アルミ板で肉厚が5mm程度までは時間が掛かりすぎるようなことも無く切断でき
  た。 ステンレスの場合はかなり硬いので時間が掛かると思われるがそれでも3mm位までは容易な切断が可能だと思う。

  本格的なディスクグラインダーとの違いは回転数と回転力の違いにより切断速度(時間)に差が出ることであり、切断に時間
  が掛かっても良いなら、アマチュアが切断する対象としては刃研ぎグラインダーで賄えるだろう? というのが私の評価であ
  る。


 註: くれぐれもご注意願いたいのは、以上の刃研ぎグラインダーに関しての私の評価はメーカーの保証対象外の使い方
    であり、問題を生じても私が保証できるわけでないことだ。  但し正直に言わさせて戴くと、メーカーの刃研ぎグライ
    ンダーを切断用に使ってはならない!という表記や考え方は、安全度を高く見すぎた結果と私は見ており(基本的に
    プロの酷使に耐えられるかどうかという観点からの判断基準が元になっているためと想像するのだが?)

    FDD-1000とフォスナービットの組み合わせで35φの穴が問題なくあけられる私の経験なども含め、注意しさえすれ
    ば電動工具を壊すことなく使える限界はかなり高いと思う。




刃研ぎグラインダー使用上の注意

  モーターの回転はディスク取付け面から見て時計回りになっている。 このことよりディスク面を垂直に立てて使う場合には
  常にディスク取付け面が左を向くように使用しないとならない。 そう握って切断すると切断した切り屑は向こうから手前下
  (切断材料の下)に飛散するのが大半で切り屑での怪我の可能性が激減することと、切断中の反動は手前の方にくるから
  それをコントロールしやすいという点がある。  よって典型的な右利き専用の道具であり左利きには具合が悪い。

  また切り屑飛散防止のカバーは外さないで使いたい。 使用するディスク(サードパーティ製に見掛ける。)によってはカバー
  を外さないとディスクに当たってしまう事があるが、カバー無しでは切り屑による怪我や事故の可能性が上昇する。

  ディスクグラインダー共々刃研ぎグラインダーの使用で絶対不可欠なのはゴーグルの使用と素手での作業である。

  前者は言うまでもなく目の保護にある。 研磨・切断どちらの作業をするにせよ回転するディスクが接触する部分から切り屑
  はかなりの勢いで飛散する。 前述のように右手でディスク取付け面が見えるように握ると大半の切り屑は向こうに飛んでく
  れるし、飛散防止のカバーがあるので手前の方に飛んで来る切り屑は激減するがゼロにはならないし遠心力で飛ばされる
  から結構な速度で飛んで来る。
  かなり前のことだが、手元にゴーグルがないまま眼鏡を掛けているから大丈夫だろうとたかをくくってディスクグラインダーで
  作業したことがあったのだが、作業中に目尻のところに金属の切り屑が当たってびっくりした経験がある。
  目に飛び込んだら角膜を確実に痛めただろうし、運悪く大きな切り屑が飛び込んだら失明していたとも限らない。
  従ってゴーグルの使用は絶対に不可欠である。

  次の「素手で作業せよ!」というのを奇異に感じる方が多いかと思うが、これも安全に作業するためには常識外れに思える
  かもしれないものの重要なことだ。 手を保護しようと手袋を使いたい方は多いと思うが、その手袋に回転するディスクが触
  れて巻き込んだりしたらあっという間に手や手首に大怪我する可能性が極めて高い。
  特に軍手(これが最も保護用として使われていると思う。)は巻き込まれ易く最悪だ。  素手で作業していてディスクが当
  たったら当然ながら怪我をしてしまうが、せいぜい引っかき傷、悪くても浅めの切り傷で済んでしまう。  そして大怪我に繋
  がる可能性はかなり低い。 従って素手で作業した方が大局的に見た安全性は高いわけでこれは道具の操作もし易い。
  どうしても手袋を使いたい場合には、極薄手の簡単に破れやすいゴム手袋やプラスチック製の手袋を使ったほうが良いだろ
  う。 これは道具のコントロールし易さでも有利である。

  以上が使い方の要点だが、実際の切断の様子は以下の写真と解説でご理解願いたい。

テスト中のディスクとCG-11(刃研ぎグラインダー)。 研磨用、切断用、粗さの違い、用途別など実に色々の種類がある。

ゴーグルの使用は安全上絶対に不可欠。 これはmini-Shopで販売しているTSK#305ANSI規格に適合する信頼性の高い物。 長時間使用してもゴーグル内部が曇りにくい。

切断用ディスクを取り付けて2mm厚アルミ板の切断準備完了。 ディスクは2本の付属スパナを使い、十分に締め付けておく必要がある。

ディスクの先端のアップ。 既に数回使ったものであるが、1mm厚というのは想像以上に薄い。 但し繊維状の芯材と共に固められており割れる可能性は低い。

切断開始。 切断線はマスキングテープを使って見やすくしている。 矢印がディスクの回転方向で、反動は手前の方に来るので左手親指を切り屑飛散防止カバーに添えてコントロールしている。

板厚2mm2/3をちょっと超えた辺りまで切断した(削り込んだと言っても良い!)状態。 横方向のぶれが結構あるのでディスクの厚みが1mmなのに拘わらず、削り込みの幅は2mm近くある。 この辺りを考えて最終的な切断線より外側を大きめに切る必要がある。

そのアルミ板をひっくり返した状態。 刃研ぎグラインダーを押し付けているために薄くなった部分で僅かに曲がりだしているが、切断後に切り口付近の平面性が悪くなることはない。 特に薄板の時に感じる電動ジグソーでの切断では得られないメリットだ。

切断が終了した状態。 切り込むというよりも削りこんで切断するのでこのようなバリが沢山出る。 よってこの後の寸法出しと仕上げ研磨が必要だ。

ディスクを研磨用の物(粗さ#60)に交換した。 ディスクの色(研磨剤の色)はメーカーによりまちまちだが、材質が明記されていることが少ないのでそれらによる差はなかなか判断しがたい。

その先端のクローズアップ。 切断用ディスクと異なり、厚さは2mm以上あるものが殆ど。 注目すべきは研磨面に縦横の溝が切られていることで、作業中の研磨屑の掃出しを良くする効果があると言う。

切断面を研磨中。 切断する材料は切断線に沿ってマスキングテープを貼ってあり、材料に傷が付きにくいので、切り屑飛散防止カバーをこれに当ててコントロールしている。

研磨終了後。 2枚上の写真と見比べて欲しい。 バリは綺麗に無くなりマスキングテープを貼った位置に対し0.2mm程大き目に研磨が出来ている。  この後おなじみの替刃式ヤスリM-20GPで仕上げ研磨すれば万全だ。


以上紹介した金属板切断以外にステンレス、鉄製のパイプの切断、ネジを短くするための切断など刃研ぎグラインダーの出番は沢山ある。 VIC式一歩進んだ日曜大工の中の道具の選択では、結構優先順位は高い方に挙げられる!というのが最近の実感である。  少なくとも私の場合の出番としてはインパクトドライバー、電動丸ノコ(一応まだ持ってはいるが出番は極めて少ない)などより遥かに出番が多いのが実態だ。 ひととおりの道具を揃えられた方は是非とも検討されては如何?



Copyright (C) 2001-2019, Vic Ohashi All rights reserved.