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インテリア志向スピーカー
   
2004/04/16

構想

今年の日曜大工プランに入れておいたテーマにインとリア志向のスピーカーシステムがあります。 デザインのことについては不得手な私がインテリア志向というのもおこがましいのですが、所謂スピーカーがあるぞという感じではなくより部屋の雰囲気を壊さないというか存在感を少なくした物をベッド横に置き、小さなレシーバーとCDプレーヤーでFMなりCDをBGM的に聴こうという魂胆なのです。

 そこでコンパクトなスピーカーに使えそうなユニットを色々物色したのですが、メーカーの余剰品放出
 以外で日本メーカーのものはFostexしかありません。 素性が良く判らないと設計も出来ないので
 Fostexの製品群から選ぶこととし、FE-87EFE83EFF85Kの3本の口径80mmフルレンジタイ
 プを検討しました。 

 FE87-83系はこれまでに何度も使ったユニットですが、少しでも低音再生にこだわると口径が小さ
 いにもかかわらず箱はあまり小さく出来ません。 残るFF-85Kはマグネット重量がFE83Eの1.6倍
 ある強力なもので、口径の割には低域再生能力はあるものの中低域からだらだら下がるオーバー
 ダンピングタイプのユニットです。 普通はこういったユニットはバックロードホーンに使われてだら下
 がりを補正することが多いようです。

 しかしバックロードホーンタイプでは箱の大きさが大きくなりますしインテリア志向の存在感のないスピーカーになるとは思えません。  色々試算した結果1.3リットルという小さな密閉箱で160Hzまでほぼフラットに再生できることに気付きました。 1.3リットルというと一升マスよりぐっと小さいわけですからかなり小さな箱です。 バスレフにすれば低域の再生はぐっと伸びますが、ポート容積が結構大きく1.9リットルくらいになってしまいますので小ささを優先し密閉箱としました。 但し100Hz程度まで再生が期待できる小さなバスレフタイプも捨てがたい魅力ですのでこれについては別な機会に具体化してみたいと思います。

 箱は一辺が140mmの立方体としました。 音響理論上は立方体というのは音質上あまり良くないのです
 が形として単純で魅力的ですし何しろかわいいので採用しました。

 箱の板厚を12-13mmと考えていますから内容積は約1.5リットルになります。 この小さな箱を固定する
 ためにカメラの三脚用のネジ(W1/4)を底面と背面に埋め込んで、ポールに固定するか壁に固定するか
 などを後で考えることにしました。  外観としては左のイメージ図のようなものを想定しています。

 これで終わりでは存在感があまりないミニキューブのスピーカーは良しとしても、低域再生能力が160Hz
 程度と面白くないままになってしまいます。 そこで低音再生を補うサブウーファーを考えることにしました。

 サブウーファーの構造には様々なものが存在しますが、ここで考えたタイプは20数年前に日立がASW
 (アコースチックスーパーウーファー)の名前で販売していたものを更に変えたものです。

 ASWは左に図のような構造で密閉箱に収められたスピーカー前面部分を外部に露出せずもうひとつの箱
 に繋いでその箱に低音輻射のポートを付けています。 その再生音を聴いて腰を抜かすような驚きを感じ
 たものですが、このタイプですと再生範囲が狭くASWの場合20−50Hz位だったと思います。 これでは
 ミニキューブにうまく繋がりませんので、密閉箱にポートを付けてこのポートは150Hz近辺で共振するよう
 にし、外部に露出するポートは70Hz近辺を共振周波数とする所謂ダブルバスレフ構成として、60-160Hz
 の音がポートから出るように考えています。

 それ以上の周波数は音響フィルターでカットして、ミニキューブに繋げるわけです。 また低音の方向感が
 ないことを利用し左右のユニットを1つの箱に収め音響的に左右の音をミックスしてやることで考えており、
 この意味では3D方式のスピーカーという事も出来ます。

 それと低音の方向感がないことを更に利用し、ミニキューブを置く場所から離したベッド横に設置してその
 上にアンプも載せてしまえば操作上も便利です。 従ってアンプ置き台として使うことを前提にサブウーファ
 ーの大きさを決めました。 (この辺りの設計手順は本来のやり方と全く反対ですが、インテリア志向であ
 り音優先の設計ではないためです。 だからといって音を犠牲にしているわけではないのですが!)


 こうして決めた箱の大きさは幅が380mm、奥行き300mm、高さが450mmとなりました。
 厚さが15mmの材料で作ると内容積は40リットル弱となります。  この40リットルにどんなユニットを入れ
 ようかと4日間考えた挙句出てきた結論はFE103 Memorialでした。

 TQWTの時にはオーバーダンピング気味を補正し切れませんでしたが、より強力な増強効果があるダブ
 ルバスレフですからその真価を発揮してくれるのではないかと期待しています。

 これがうまく行くと実に単純な構成となりますし、FE-103 Memorialの性能から言って60-70Hz程度までは再生可
 能になるはずです。 60-70Hzが再生できれば今回の目的には十分すぎるでしょう。

以上が構想であり具体性を帯びた設計は一応左の図のように考えました。 かなり虫の良い考え方ですので果たして目論見どおりうまく行くのかやってみないと判らないことだらけですが、想像上のイメージとしては面白そうなのでチャレンジしてみます。



2004/04/23

サブウーファーの製作その1

箱の製作に取り掛かりましたが、途中まで加工製作が進んだ時に私が考えたASW改造型の理論的な誤りに気づきさあどうしたものかと対応策を考えて余計な時間を食ってしまい、予定した所まで進まないわ!、新連載コラムの編集も出来ないわ!と被害甚大でしたが、多分事なきを得ていると思います。 理論的なことに余り説明を避けたくないので簡単に述べますが、先週解説した2つのポートの共振に対する考え方(第一ポートの共振周波数が第二ポートの共振周波数より高い!)では低音が伸びないはずなのです。

原設計は第一ポートは140Hz前後、第二ポートを70Hz前後としていましたが、第一のポートを60-70Hz、第二のポートを80-100Hz辺りにチューニングするか第一のポートを無しにして第二のポートを60-80Hz辺りでチューニングとすれば良さそうであると思考実験しています。

随分大きな設計変更ですがこの為に既に組み上げてしまった第一ポートとバッフル板を作り直すのも癪ですので、ポートの計算をし直してアダプターを追加製作しました。  理論的におかしいので多分駄目でしょうが、原設計のままで鳴らしたらどうなるかを含め、最終的なポートの調整範囲は、第一ポートは60-75Hzの範囲でアダプター取替えにより5Hzステップで変更可能或いはポートを殺してしまう、第二ポートに付いては60Hz-80Hzの間5Hz刻みで変更可能という対応をしました。  これらの組合せは25通りもあるわけですのでチューニングにはかなりの手間隙が掛かりそうですが、理論どおりには行かないことが多いですから仕方がないと思います。

材料は15mm厚メルクシパインの集成材ですが、バッフル板だけは割れる問題が出そうですし外側から見えなくなるところですので、ラワン合板としています。 ポート等は12mm厚のシナ合板(端材)を切って作り上げています。 但し前回のバスレフトールボーイの時と同様集成材は経時変化で割れたり継ぎ目がはがれてくる可能性があるので、箱が完成後内部を補強しニス塗りして湿気を吸わないようにしてやらねばなりません。

組立ては多数の木ダボ(全部で50本を越える。)を併用した木工ボンドによる接着としましたので、ネジ・釘の頭は全くありません。 自作大型クランプを使って十分に締め上げ接合部の隙間が出ないようにし接合強度を上げています。

裏蓋はポートの調整をする必要から取り外し可能としていますが、今回は3.5φ 40mmのタッピングビスで固定するようにしています。

外観的には先日作ったベッド横の引出し付きボックスと合わせる予定でチェスナット色ステインで着色後つや消しニスで仕上るつもりでいます。  前述のように作業が遅れ今回は天板を貼りあわせる作業と裏蓋固定の作業が残ってしまいましたが、次週には試聴の様子まで伝えられると思います。

このような経過を辿っている関係で設計図の詳細はまだお知らせしないでおきます。(誤解を招く可能性が大なため) 試聴とチューニングが済んでから掲載するつもりですのでご承知おきください。

それらの経過は以下の写真をご覧下さい。

原設計130Hz-150Hzのチューニングを想定した第一ポートを組み上げました。

こちらは第二ポートでこの写真のような位置に前板裏側に固定されます。

この写真の状態では80Hzにチューニングされた状態です。

両側から追加の板を上に重ねるとチューニング周波数は下がってきます。 この状態では70Hzになりますが、60Hzまでは変更可能です。

第一ポートをバッフル板にがっちりと固定しましたが、このあと理論上の問題に気付きさあどうする?ということになりました。

解決策はこの写真に写っている5種類のアダプターを作ったことで、チューニング周波数を大幅に下げられます。

これはポートを完全に塞ぎ上の部分を密閉箱として動作させASWと全く同じ動作とするアダプターです。(これは実例が既にありますから安全弁と言えるかもしれません。)

このアダプターを付けるとチューニング周波数は60Hzになります。 更にポート長の短い物に変更すれば、5Hz刻みで75Hzまでの間で可変できます。

恐らく駄目でしょうが原設計のままのポートもつかえます。 150Hzにチューニングしてあります。

同じく原設計タイプですが板を挟んでポート長を長くし、130Hzに共振周波数が下がります。

対応策が完了したので箱の組立て開始。 まず第二ポートを底板に接着しました。

次にバッフル版と底板を側板で挟み6φ木ダボ16本を併用し木工ボンドで接着しました。  密着度を上げるため大型クランプで締め上げています。

接着剤が固まったのでクランプを外した所。 2つのポートの一部が長く突出していますが、この部分は箱の補強を兼ねています。

前板貼り合せの準備加工が終わった所で何と木ダボを23本使っています。

前板を貼りあわせ木工ボンドの硬化中。 大型クランプがここでも活躍しています。 手前が前面になります。

裏から見たところ。 中央下の突出した補強板は裏板に締結されます。

 まだ天板が貼られていないものの正面から見ると完成後の大きさや外観がもうわかります。 中央縦長の開口がポート
 で他は何も見えませんので殆どブラックボックスのようになるでしょう。





2004/04/30

組立て終了とチューニング

上板はベッド横の収納ボックスと同様周りが2mm箱からはみ出す構造とし、後ほどトリマーで片銀杏面に成形するつもりでいます。 そうすると箱の前面と側面の仕上は後でしにくくなりますので、手前角の丸み付けと#240ペーパーでの研磨を前面と側面に施してから上板を貼りました。 次に裏蓋を固定する桟を18mm合板を20mm幅に切って貼り付け、裏蓋の隙間防止に2mm厚のスポンジテープを貼り付けました。  最後に集成材の接着面の剥がれや割れの防止の為に補強板を18mm合板から作り内側側面と裏蓋に貼り付けネジで固定しています。 この補強は箱の響きを押さえる効果もあり低音輻射能力が増すはずです。

ユニットを固定して裏ブタを閉じいよいよ試聴に入りました。 使用した機器はアンプはKenwoodのコンパクトコンポR-SA7とCDプレーヤーは同じくKenwoodDP-SA7です。 何れも高額なコンポではありませんがBGM用には十分な音質を持っています。(残念ながらこのシリーズはもう入手不能ですので最終的にはデノンのコンポを使うことになると思います。

メインスピーカーは個室2の収納家具に埋め込んだFE-87音響迷路型ですが、低音を押さえるために低音輻射ポートに詰め物をして大型密閉箱の動作となるようにしています。  こうした時のFE-87150Hz以下はだらだらと下がって低音の再生はかなり押さえられます。 最終的にはFF-85Kとするわけですが、その前にFE-87でつながりを確認しておこうというわけです。

前にもお話した通りこのサブウーファーの低音再生を左右するパラメーターは沢山あります。 一覧にしますと、

  ・第一ポートの共振周波数(共振周波数変更のアダプターを5種類を準備)。
  ・第二ポートの共振周波数(共振周波数変更の追加の板を4枚都合5種類をを準備)。
  ・中音より上の音を減衰させる音響フィルターの量と位置。
  ・内部の定在波を減衰させる吸音材の使用量と使う位置。
  ・ポートの共振を制御するダンプ材の必要性と量。


とまあ総ての組合せを試したらとんでもない数になります。 これでは時間がいくらあっても終わりませんので、過去の経験に基づき絞り込んでテストしてゆくことにしました。 それでも通算8時間はとっかえひっかえ聴いたでしょうか? これならいけるという所まで何とか追い込みました。 そこまでの経緯を総てお話できませんが、現時点でのチューニングの結果をまとめると次のようです。

1.第一ポート
  設計上の共振周波数を60Hzとしています。 但しこのような2重ポート型の場合には第一ポートの共振周波数は実際には高め
  に出る傾向がありますので、65-70Hz辺りが真の共振周波数になっていると思われます。

2.第二ポート
  共振周波数は60Hzです。 第一ポートの共振周波数より若干低い値になっているわけです。 これでおおよそ50-55Hzまでの
  低音再生が期待できます。

3.音響フィルター
  定位感を損なわないため150Hz以上の音を減衰する目的でFMという名の特殊な吸音材を音響フィルターとして使い、第二室の
  ポートとスピーカーユニットの間に貼りました。 これの効果は絶大でサブウーファーポートから漏れ出す中音がかなり減衰して
  います。(バスレフタイプではこのポートからの中音の漏れが大きく音質にかなり影響しています。)

  但し音響フィルターは低音のレベル低下も起こしますが、もともとFE-103の音圧レベルはFF-85KFE-87に較べ3dB高いの
  で、バランスを取るためにも適度な低音の減衰は期待していたので、問題はありません。

4.吸音材
  第一室の内部前面と第二室のかなりの部分及び裏蓋に粗毛フェルトを定在波吸収の為に貼ってあります。(量と位置は写真を
  ご覧下さい。)
 私がバスレフタイプのスピーカーを作る場合の吸音材の使用量に比較すると遥かに多いですが、サブウーファー
  では中音域で箱が振動しては欲しくないのでそれを押さえる意味もあります。

5.ポートの制動(ダンプ)
  現時点ではポートそのものの制動はしていません。 上記3.4.により低域レベルは低下しており更に制動をかけると聴感
  上低音不足となるためです。

以上の状態は最終的ではありません。 FF-85Kをコンパクトな密閉箱に収めたものと組み合わせた時のバランスは違ったものになり、再調整を必要とするからです。  しかしFE-87との組合せでこのシステムが十分に期待に答えてくれるという自信をかなり持ちました。

ここまでのチューニング状態でサブウーファーの設置場所を何処にしようと聴感上の低音の定位はほぼFE-87の間になります。 これはサブウーファーから余計な中音がかなり減っていることを意味しています。

理想的にはサブウーファーへの結線の間にチョークコイルを入れて中高音を減衰させる(これが本当の3D方式)べきですが、インテリア志向として音が汚くならなければ若干の定位感の問題は無視することにし良しとしています。(まともにそのようなチョークコイルを作ると恐らく1万円程度掛かるでしょう。)

また低音の質は十分に締まった音程感がはっきり判るもので、無論ベストにチューニングしていたはずのFE-87音響迷路型より遥かに上質でより下のほうまで伸びています。(聴感上は50Hz程度までかな?)

以上がチューニングの様子ですが以下の写真も参考にご覧下さい。 

前板の角を成形した後に上板を貼り付けました。 6φ木ダボを15本使用しています。

ポートアダプターを押さえるのに4本のボルトを使っています。 蝶ナットを使ったので後からのアダプター交換も楽。

またまた自作大型クランプで締め付け。 こういったクランプがないとこのスピーカーは作れません。

クランプが足らないので2回に分けましたが、裏蓋固定の桟を貼り付けているところです。

更に内側側面と裏蓋に補強板を貼りました。 これで集成材の剥がれ・割れ防止はほぼ完璧!

2mm厚のスポンジテープを裏蓋締め付け時の隙間防止の為に貼りました。

音出しができる状態になったサブウーファー。 残る仕上げと塗装は総てが完了後です。

サブウーファーの裏面。 3.5φ 35mmのタッピングネジ 20本で固定。 やりすぎのような気がしないではないですが、空気漏れ防止にはこの位必要です。

チューニング中の様子。 左側のFE-87(下のほう左手に見える)の更に左手にサブウーファーを置き、定位感のチェックもしています。 右手下には低音輻射を殺すため詰め物をしたポートが見えます。

第二室側から見たユニット取り付け部と第一ポート。 ポートアダプターは60Hz用です。

狭い第一室の中は全面を粗毛フェルトを吸音材として貼り付けてあります。

私として異例なくらい吸音材の使用量が多いです。 これも中音輻射を押さえるためと低域のレベルを3dB減らすためです。

コの字型に挿入された淡いベージの部分が特殊吸音材FMを使った音響フィルターで、大幅に中音を吸収してくれました。 その他は粗毛フェルトを敷き詰めています。



2004/05/07

メインスピーカーの製作その1

サブウーファーが期待していたレベルに入りましたので、メインスピーカーとなるミニキューブスピーカーの設計に入りました。
基本的には構想段階と違いないのですが、よりこのスピーカーシステムのコンセプト(インテリア志向)に近く、オーディオ趣味よりも日曜大工的な発想を濃くしてまとめました。

 14cm四方の立方体をどう設置するかについては、床置きタイプとテーブルの上に置くタイプの2種
 類で考え、設置位置の高さはステンレスパイプを使うことにしました。

 このステンレスパイプには様々な太さがありますが目安としては24-26mmの太さの物を考え
 (もうちょっと細い方が格好良いかな?)、長さ182cmを半分に切断しスピーカーボックスと台座を
 挿しこんだタイプを前者に、パイプを短く切断したものを後者にということにしました。

 今回は前者で作ることにしますが、デスクトップで使いたいときはパイプを短い物に交換するだけで
 変更できます。
 この辺は当初に考えた三脚の止めネジを後ろと下の面に埋め込もうとしていたよりもかなり単純と
 いうか簡単な構造になります。

 スピーカーボックスとパイプの連結は、パイプの直径と同径のスピーカーボックスに設けた深さ
 24mmの穴に差し込むだけとし、そのパイプの中にスピーカーケーブルも通してしまおうという魂胆
 です。  そうすることによって余り美しいとは思えないスピーカーケーブルが殆ど目立たなくなりま
 すし、スピーカーターミナルも必要なくなります。(スピーカーターミナルは結構高い材料です。)
 まあこの辺はインテリア志向的な発想から来ていると考えればよいでしょう。

 作る上での注意は、スピーカーケーブルを取り出す部分に隙間があるとまずいのですが、その対
 策に付いては製作の段階で説明します。

 立方体の箱を作る材料は手持ちの12mmシナ合板を使うことにしますが、小さいだけに木口を見
 せなくする作業が重要ですので、仕上はペイントの塗りつぶしとします。
 また前面をちょっとお化粧しようと考え5mmMDFに丸穴をあけたサブバッフルを貼り、その穴に
 ジャージーを貼ったグリル12mm厚のMDFで周りを丸く加工する。)を嵌め込む構造とすることに
 しました。

 ここだけMDFとするのは、合板よりも丸穴の切断面が綺麗で研磨も容易にできるためです。
 左の寸法図をご覧になると判りますが、ここの加工を簡単に済ますには電動トリマーが必要となり
 ます。

 グリルの固定は単純に圧入とするか、マジックテープで止めることになるでしょう。

ペイント塗りつぶしの仕上げということで組立にはネジを使ってパテで埋めますので、サブウーファーとは違って作り方は大変簡単になります。 



2004/05/14

メインスピーカーの製作その2

メインスピーカは12mmシナ合板で作りますのが木工ボンドと隠し釘で組み立てるため箱そのものの製作は大変短時間でできます。 但しこのスピーカーボックスや台座をステンレスパイプにどう固定するかが問題で、この部分では時間の掛かる作業になります。

特にパイプの上端はスピーカーボックスに差し込んだだけとしたいので、スピーカーボックスの振動でパイプ鳴きが発生しないようにする必要があります。 そのため今回は穴を大きめにあけてパイプとの隙間をたこ糸を巻いてエポキシ樹脂で固めその制動効果を期待していますが、それでも不十分な場合にはパイプ内にコーキング材を詰めるなどの追加作業が必要になるかもしれません。

その判断はパイプに取り付けずに試聴した時とパイプに取り付けた後での音の違いを確認した上での作業になります。 この辺はやってみないと判らない部分で、外観に拘った為に音色がおかしくならないよう手間が掛かりますが、止むを得ません。

接着剤が完全硬化してからの作業が2回ありましたので、取り敢えず聴いてみようという程度の試聴しかしておりませんが、正直言って先はまだ長いなあとの感想です。  第一が高域端の張り出しがありすぎです。 これについてはメーカー発表のFF-85Kの周波数特性を見て気付いていたことで、アンプの高音調整をブーストしたように高域端がしゃくれ上がっています。 好みの問題もあるでしょうが、私には音色がきらびやかになりすぎ大変疲れます。

この問題の予測はついていたのでチューニングの段階で高域のレベルを下げる音響フィルターを追加してやる積もりですが、エージングですこしおとなしくなる要素もありますから、暫くの間は手を付けないことにします。

次が低音で明らかにエネルギー不足の感じです。 よく聴いているとかなり下のほうまで再生しているのですが、低中音のある部分がそっくりなくなっているか階段を下りるように低域レベルが下がって聴こえます。 簡単に言ってしまえばメインスピーカーとサブウーファーのつながりが悪くバラバラに鳴っている!!といったほうが判りやすいでしょう。

この辺はサブウーファーのチューニングを最初からやり直しになりますが、傾向としてはサブウーファーの音響フィルターを緩める方向になるので、サブウーファーからの中音漏れがまた問題になる可能性もあります。 但し音響フィルターの調整ではなくサブウーファーのポートの調整でバランスが取れる可能性もありますので、これまた色々やってみないと判らない部分です。

なにかはちゃめちゃな感じですが、ただひとつの救いは音色が根本的におかしくなっているとか制動の利かないだぶついた低音ではないので、チューニングさえ旨くできればかなりのレベルに追い込めると思います。

次週にはチューニング追い込みの結果をお知らせしたいと思いますが、場合によっては間に合わない可能性があることもありますのでご承知置きください。

以上の様子は例によって以下の写真をご覧下さい。

フロントグリルとサブバッフルを除くメインスピーカーを作る全材料。 台座が19mm厚パイン集成材、その他は12mm厚シナ合板です。

組立の最初はパイプ受けの板を貼り付けることからで木工ボンドと隠し釘併用としています。

台座を木工ボンドで貼りあわせクランプで締め上げました。 ここで一昼夜寝かし完全固着させました。

台座の裏パイプが通る部分に35φ深さ12mmの座繰り穴をフォスナービットであけました。 少し気の毒ですがFDD-1000であけることが出来ます。 (この写真を含め数枚の写真が変な色になっていますが、赤っぽい電灯光下で色温度が大幅に変わり補正しきれないためです。)

曲尺のお尻のスケールで深さを確認しています。 正確さを期すならばノギスですが、簡易的にはこれでもOKです。

フォスナービットであけた穴。 ご覧のように中心に小さな円錐状の凹みができる以外は平らな底面となります。

スピーカボックスの底板と台座に16φの貫通穴をあけました。 この穴の垂直度は正確さを要求します。

15φのパイプを太くする方法。 先ずパイプ先端の油分をアルコールでぬぐい、24mm幅にエポキシ接着剤を塗ります。

たこ糸(太さ0.4mmをこのように巻いて行きます。 糸の端は内側に巻き込んでしまいます。

最後の7mm位の部分にU字型に折ったたこ糸を挟んで最後まで巻き糸の端をU字の輪の部分に通します。

そうしたらU字の輪の糸の右側部分をぐいっと引っ張れば巻いた糸の端がこのように潜り抜けるので、端をはさみで切ります。

まいたたこ糸の上にエポキシ接着剤を塗りつけると糸に接着剤が沁み込みこのように黒ずんで見えます。 この状態で1昼夜硬化させます。

こうして太くしたパイプの直径は表面が凸凹のためばらつきますが約15.8-16.0mmになります。 しかし16φの木工ドリルであけた貫通穴は実際には16.1-16.2φになっておりまだ緩いです。 台座側はパイプを固定してしまうので後ほどエポキシパテで埋め込み固定しその固定時に垂直度の調整も併せて行います。 またスピーカーボックス側のほうは穴にペイントを塗りつけてきつからず緩からずに調整します。




スピーカーボックス底板の穴にスピーカーケーブルを通し隙間にボンドG17を塗りつけます。 ボンドG17は乾燥すると縮むので、一度に埋めようとせず3回くらい塗りつけた方が良いでしょう。

いよいよボックスの組立です。 まず前板と背面の板を木工ボンドで固定。 隠し釘で密着度を上げます。

続いて上板を接着します。 これも隠し釘で圧着しています。

引き続き側板を貼り付けます。 クランプで圧着して行くのと異なり、隠し釘での圧着は木工ボンドの硬化を待たずに次々と作業が進められ能率がよいです。

内部を見せるため露出オーバーの写真ですが、グラスウールの吸音材を隙間なく詰めました。 密閉箱ですのでバスレフタイプの箱と異なり吸音材は多めにしています。

スピーカーユニットにワイヤーを半田付けしネジ止めで一応視聴できる状態になりました。

FF85Kバッフル開口に関する注意

左の写真はFF85Kの取付穴を説明書の通りにあけたもので通常の円切りぬき以外に端子板が当たらないよう更に切り欠くよう指定されている。 ところがこうするとパッキンとバッフル面に隙間が出来空気漏れを起こしてしまう可能性が大となることに気付いた。 

メーカーに問い合わせた所、

太いケーブルを半田付けした場合円状の切抜きでは端子板が当たって入らず、曲げて入れようとして端子盤を破損させる問題があるための処置。

との説明であったが、同時に空気漏れが起きてしまうことも認めていた。 メーカーの抜本対策は至急やっていただくとして現状では、

半田付けしたピンをマグネット側に曲げる(端子盤は曲げてはいけない!)

ことにより、円の切り抜きでもぎりぎりユニットを嵌め込むことができることを確認している。 また切り欠くならば指定寸法どおりよりも若干小さめにすれば、隙間が出来る可能性は殆どなくなる。


 早速音出しをしていますが、高域のしゃくりあがりと低域の音域に欠落が多く感じられ、納得できるレベルになるにはかな
 りの時間が掛かりそうですが、基本的な素性は良さそうですのでじっくりと調整を進めます。





2004/05/21

メインスピーカーの製作その3

チューニングでやらなければならないことはたくさんありますが、先にメインスピーカーをやっつけてしまおうと言うことで、サブバッフルとフロントグリルの加工に取り掛かりました。 エージングが進んでもこのユニットのキャラクターとして間違いなく高域のしゃくり上がりが問題になるはずなので、音響フィルターが必要になると考えました。 音響フィルターと言うとなにやら仰々しいですが、一言でいえばフロントグリルのジャージーに障害物を貼り付けて高域のレベルを下げようという魂胆で、その為にフロントグリルを先に作る必要があるわけです。

これも正統的なオーディオの考え方からすれば電気的に調整することが多いのですが、そうするとまた敷居が高くなるのとメーカー発表の周波数特性を見ると正面ではしゃくれ上がりがあるものの30度ずれた位置では高域はだら下がりになっていますから、電気的に一様に高域カットするよりも正面(軸上)だけ落としたいわけで、その方法としてはユニットの中心近くに障害物を置いて拡散するか吸収してしまえばよいことになり、電子的なチューニングよりも原理的には優れているはずです。

何を障害物に使うかはテストしてみなければなりませんが、グラスウール発泡スチロールボール紙などをジャージーの中心に両面接着テープで貼り付けるなどが考えられます。

ということでメインスピーカーは塗装を残すところまで製作が完了しましたが、早速聴いてみるとバランスがかなり改善され高域がしゃくりあがった感じがほとんどありません。 ボーカルを聴いてもサシスセソが強調されることが殆どなく上手い線をいっています。

これには多分3つの理由があると思います。 第一は低域の量感不足を改善するため現在はサブウーファーの第二ポートのチューニングを計算上60Hzから80Hzに上げてあります。(第一ポートは60Hzのままです。) このあたりの周波数が低音の量感にもっとも影響するためですが、この効果はてきめんで全体のバランスがかなり改善されています。(まだ低音の一部帯域の欠落みたいなものは少し残っていますが。)

第二はスピーカーユニットのエージング効果で、その後1週間ずっと鳴らしっぱなしでいましたから角も取れてきたはずです。 そして第三はジャージーです。 すっかり忘れていましたが今回選んだジャージーは織り具合がつんだものを選んでいるので、高域端はその影響を受けて若干減衰すると思われます。

ということで更なるサブウーファーのチューニングを追い込む過程で、全体のバランスを見ながら再度調整の必要があるなら手をつけることにし、当面はメインスピーカーはこのままとします。

加工ではありませんがパイプを如何に正確に直角にスピーカーボックスと台座に固定するかと言う命題が残っています。 パイプの固定にはエポキシパテを使うつもりでいますが、完全に固まらせるには12時間寝かせる必要があります。 そこで正確に位置を固定できるジグを考えました。 端材の12mm4mmの合板で作りましたが、設計図と言う程のものではないので後掲の写真をご覧下さい。  簡単な構造ながら完璧な垂直取り付けが可能です。

次回にはサブウーファーの最終チューニングの詳細をお知らせできると思います。 そして残る塗装の様子もお伝えできればと考えています。 ここまでの詳細は以下の写真をご覧下さい。

スピーカーユニットをはずして接合部のわずかな段差を平やすりと替刃式やすりを使って削り取りました。

指で触ってまったく段差を感じないよう研磨してあります。 こうすればペイントで塗りつぶすと継目は見えなくなります。

5.5mm厚のMDF141mm四方(若干大きめ)にカットし中心に直径116mmの穴をあけたサブバッフルを貼り付けています。

更にメーカーの指示に随って余計なカットをしたユニット取り付け穴を埋め戻し、円形にしました。

木工ボンドが乾燥後再びやすりで段差を削り落としてしまいます。 小さな凸凹が見えますが後でパテで埋める予定です。

フロントグリルは12mmMDFで作りました。 先に中の穴(83φ)をあけてしまいます。(これは楕円型額縁を作ったときの端材です)

電動トリマーにコロ付しゃくりビットを取り付け、幅9.5mm、深さ5.5mmを落としました。 うっすらと見えているのが外径の線です。

外径部分をジグソーで切断し周囲を平やすりで成形しました。左が裏で右が表になります。

表側の角をボーズ面ビットで丸く削りました。

スピーカーボックスとフロントグリルの取り付けを理解する写真で、グリル無しの時はこのような感じです。

グリルはこのように落とし込みますが、裏側がしゃくってありますからスピーカーには当たりません。

フロントグリルにジャージーをボンドG17クリヤーで貼り付けました。 これは裏側です。

 完成したフロントグリルを嵌め込みました。 元々のグリルの直径はサブバッフルの開口より1.0mm小さいのですが、
 ジャージーを貼ったのでちょうどよいきつさで固定できました。 メインスピーカの残る作業は塗装のみとなります。

パイプを垂直に固定するジグ。 4mmの合板を10mmの間隔を空けて12mm合板に貼っています。 右側はひっくり返したものです。

2つのジグでパイプを挟みクランプで締め付けました。 手前側が上になります。

パイプを押さえているところのアップ。 4mm合板の間の10mmの隙間に嵌るのでパイプの位置はずれません。

この上にスピーカーボックスや台座を載せてこの受けの部分にハタ金で固定すれば、完璧に垂直に固定できます。 終わったらクランプを緩めてジグをばらせばよいわけです。



2004/05/28

スピーカーシステムの仕上・塗装と最終チューニング

 塗装作業の前にサブウーファーの内部構造を最終的なものとしました。
 仮に止めてあった音響フィルター用のFMミクロンウールを枠を作ってそれにボンドG17で貼り付けていま
 す。 全ての音がこのフィルターを通過して第二ポートから外部の出ることになります。

 音響フィルターは周波数が低くなると吸収率が下がるので中低音より高い周波数はかなり減衰し、低域は
 それほど減衰せず放射されます。  このことによりサブウーファーから出る音の中音以上はカットされて
 FF-85Kと上手く繋がると共に、ウーファーとなるウーファーの音圧レベルがFF85Kより約3dB高いのが押
 さえられ、全帯域のバランスが取れるようになります。 従ってこのシステムの場合音響フィルターを省くこ
 とは出来ません。

 またポートは第一ポートが断面30 x 30mm、長さ50mmが最終寸法で約60Hzにチューニングされていま
 す。 第二ポートは色々試聴した結果、50 x 148mmの断面、長さ75mmとし、この場合約75Hzにチュー
 ニングしました。 それ以外の内部全面に粗毛フェルトを吸音材として貼り付けています。 最終的な構造、寸法は左の図をクリックしてご覧下さい。

メインスピーカーの塗装前の仕上げは油性木工パテで表面の凹み、傷、接合部分の極僅かな隙間、深い木目などを潰し、6時間経過後に#240ペーパーで表面を研磨しつや消しニスを塗りました。

おやっと思うかもしれませんが、パテを擦り付けた後にニスを塗るとパテの後が目立って大変みっともなくなりますが、ここでニスを使ったのは目止めや下地作りのためなのです。 最終的にはペイントの塗りつぶしですが、作業効率を考え6時間程度で間違いなくペーパーが掛けられるニスにしたわけです。(ラッカーは乾燥時間がかなり早いが物理的性能があまりよくない。) そして6時間経過後#240ペーパーで研磨しました。 一部にはまだパテで埋めきれない部分がありますから、もう一度パテを擦り付けて更に6時間後に#240のペーパーを掛け2度目のニスを塗って下地仕上げは終わります。(合計24時間以上掛かることになります。)

ここまで出来たらパイプスタンドに固定します。 すでにタコ糸を巻いてエポキシ接着剤で固めたパイプの上に、再びエポキシ接着剤を塗りつけてボックス底の穴に差込み先週作ったジグに固定して12時間寝かせます。 (完全硬化にはこの位寝かさないと駄目です。)  同様に台座もパイプに固定しました。

最後のペイント塗装ですが、これには缶入りスプレー塗料を使いました。 アクリル系のラッカータイプで塗料としての性能はあまりよくありませんが、下地にウレタン系ニスを使っていますし、表面の丈夫さが問題ならばその上にウレタンつや消しスプレーを使う手もあります。 ラッカー系のありがたいところは乾燥時間が早いことで、2回塗りが3時間で終了しています。

さてサブウーファーの塗装は内部からです。 集成材の面全てに油性ウレタンニスを2回塗りしました。 これは少しでも集成材が吸湿するのを押さえ、またひび割れ接合部のはがれ防止のためで、合板だけで作る場合には必要ありません。
次に箱の表面をステインで着色しました。 使ったのは水性ポアステインのチェスナット色で、これはベッド横の収納ボックスと同じ色です。 その上につや消しウレタンニスを2回塗りしています。 またステイン着色後ポートの上部にポート幅と同じ幅の1mm厚アルミ板をアクセントのために貼り付けました。 このアルミ板は自前のヘアーライン加工をしてあります。 これは大変簡単で#60のペーパーを板切れに巻きつけて表面を削っただけのものですが、簡単な割に高い質感が出ますので他にもいろいろ応用が効きます。 #60という極めて粗いペーパーを使うところがみそです。

最終チューニングの仕様は既に上で説明しましたが、このスピーカーの音質は想像以上に広帯域感があります。 無論10cmのユニットを使っていますから何個使おうと所詮10cm以上の能力があるわけではなく本当の広帯域ではなく広帯域感でしかありませんが、誰が聞いても10cmのユニットから出ている低音とは思えないでしょう。 高域端はFF-85Kの特徴と言うか大変華やかな感じでこれを嫌う方もいるかもしれませんが(だから音響フィルターをグリルに取り付けようかとも考えた!)、前回お伝えしたように高域を押さえなければ駄目と言うことはないように思います。

試聴時にはクラシックからポップス系、ロック系、ジャズ系、ボーカル、演歌とそれこそ多様な音楽を聴きましたが、大変メリハリのあるネアカの音がするといってよいと思います。 といっても決してデリカシー不在ではなく、弦楽器も華麗な響きを伝えてくれています。

低音に付いては大太鼓やパイプオルガンがもたらす地響きのような感じが期待以上に出ており、ながら的BGM用に作ったにしてはまじめすぎるかもしれない音になっています。 唯一残る問題はサブウーファーのポートから洩れる中低音で、通常のバスレフ型のスピーカーに比べればその洩れは小さいですが、これが定位感を若干損ないます。 これがどうしても気になるようでしたらメインスピーカーの間にサブウーファーを設置すれば先ず問題はありません。

所期の目的であるインテリア志向のスピーカーとして個性的なルックスのものが無事完成しました。 ウーファーから出る中音から高音を音響フィルターでカットし、音響的にFF-85Kの低域を押さえて繋ぐという純然たる日曜大工的手法でまとめようとしたシステムでしたが、期待通りにまとまりました。 

  台座の塗装。 和親ペイントの油性ウレタン着色ニス(ブラッ
  クオリーブ色)
で塗装しました。 これは一度目の塗装後で
  す。

3回塗り後の状態。 ノーブルな感じに仕上がったと思いまが、ブラックオリーブと言うよりダークグリーンと言ったほうがよさそうです。

  僅かに残る傷、凹み、段差、隙間を油性木工パテで埋めて
  乾燥したところです。

パテ塗り、#240で研磨、ニス塗り、#240で研磨、パテ塗り、#240で研磨、そして2回目ニス塗りを終わったところ。 矢印部分の次のアップに注目。

  右上の写真の矢印部分のドアップで、板は12mmシナ合板
  です。 この写真の矢印の先に埋めきれなかった小さな欠け
  があります。

ペイント2回塗装後。 繋ぎ目、段差は完全に消えてしまい矢印の先の小さな欠けがなければ同一部分とは判りません。 我ながら上出来です。

  ペイント塗装に入る前にステンレスパイプにエポキシ接着剤
  で固定。 このジグで支えたまま12時間放置します。

同様に台座にパイプの反対側をエポキシ接着剤で固定。 これまた12時間放置です。

  メインスピーカーを斜め前からクローズアップ。

スプレー塗料を2回吹き付けて完成。 ロボットみたいな感じもしますが、コンテンポラリーデザインの範疇に入るでしょう。

  同じく正面から。 シンプルですが大変シャープな感じ
  に仕上がっています。

  #60のペーパーを木片に巻きつけてアルミ板のヘアーライン
  加工をしている所で、簡単ですが質感が大変上がります。

ヘアーライン加工が終わったアルミ板の表面。 量産品はアルマイト処理をして腐食を防止しますが、ここではつや消しニスで表面を保護します。

  チェスナット色のステインでサブウーファーの箱を着色後、ア
  ルミ板をボンドG17で貼り付けました。

音響フィルターとしてのFMミクロンウールを固定するため、第2ポートの上の板の高さで内枠を作りました。

  ボックス内部の集成材の面をニス塗りしたところ。 集成材
  ではこの処理は剥がれ、割れ防止のためにMUSTだ。

そしてボックス外部、裏蓋両面の塗装の塗装を済ます。 大変時間が掛かるがあせってはならない。

  今回音響フィルター用に使ったFMミクロンウール(左)と、そ
  の他の部分の吸音用の粗毛フェルト(右)

FMミクロンウールを音響フィルター枠にボンドG17で接着しました。

  音響フィルター部分を反対側から見たところです。 全ての
  音はこのフィルターを通って、真中に見えるポートから外部に
  出てゆきます。

他の内壁部分は粗毛フェルトで完全に覆い尽くしました。 これで箱鳴りはかなり減少します。

  メインスピーカー内の吸音材はFMミクロンウールを当初に比
  べかなり詰め込みました。

そしてユニットを取り付けてメインスピーカーが完成。 
シャープなイメージです。

  メインスピーカーとサブウーファーの配色がばらばらのようですが、実際にはこのように置くわけではないので違和感は
  ありません。
  なおサブウーファーとメインスピーカーはアンプの左右のスピーカー端子それぞれにパラレル(並列)に繋ぎます。

  最終確認の試聴中。 製作やチューニングの難易度はかなり高いですが、かなり満足度の高いシステムになりました。
  個性的なルックスと10cmウーファーとは思えない低域の馬力と広帯域感が楽しめます。 サブウーファーは矢印の所に
  横置きに設置しています。



2004/06/04

補足 (インテリア志向のスピーカーの構造)

 本題に入る前にこのスピーカーの結線方法に付いて全く説明しなかったためここで追加します。

 内部結線
 メインスピーカーのスピーカーユニットとワイヤーの結線は、スピーカーユニットの赤マークの端子にワイヤ
 ーの赤側を、無印の端子に黒側を半田付けします。 またサブウーファーのスピーカーユニットと端子盤の
 内部結線もユニットの赤マーク端子と端子盤の赤マークを繋ぎ、無印の端子と端子盤の黒を結線します。
 この極性を間違えると音がキャンセルされたり、定位感が極端におかしくなりますのでご注意ください。

 外部結線
上の図を参照ください。 基本的にアンプに対してサブウーファーとメインスピーカーはパラレル(並列)に接続されることになります。
この為アンプから見た負荷は4Ωのスピーカーが繋がったのと等価になるため、4Ωのスピーカーが問題なく駆動できるアンプである必要があります。


さて本題に入ります。 あまり理屈を並べたくないのですが、どうして今回のスピーカーが上手くまとまる可能性があるのか、少々理論的な背景を補足説明します。 特に電気的なフィルター無しで作り上げてしまった点が興味あるところかもしれません。

 今回のシステムの基本構成は二昔前に存在した3Dステレオシステムによります。 この方式は
 80Hzから100Hz前後の周波数でステレオ信号を電気的に分け高いほうの信号はステレオで、低
 い方の信号は合成してモノーラルで鳴らします。

 こうすると価格の高い大口径ウーファーが1個ですみますから費用的に有利になります。 また人
 間の耳は周波数が低くなると(100Hz以下)方向感覚が大変鈍くなるので、モノーラルとしてもステ
 レオ感には影響しないという理論的な背景がありました。

この方式のまともなシステムは見かけなくなりましたが、この考え方を使いながら電気的な信号処理ではなく、音響的に全て済ませてしまおうと言うのがインテリア志向スピーカーの技術的な背景です。  その為に、

  1.メインスピーカが200Hz以下ではスムーズに減衰するよう箱の大きさを押さえた。 また箱を小さくしたときに中低域にピーク
    が出ないようなユニット(オーバーダンピング的なユニットがこれに相当しFF-85Kはそのようなタイプです。)を使った。

  2.メインスピーカーには吸音効果の高い吸音材をかなり詰め込み、更に中低音にピークが出ないようにした。

  3.サブウーファーのモノーラル再生は左右のユニットを1つの箱に入れることにより音響的に実現した。

  4.サブウーファーのユニットは共振周波数を低めにした第1ポート60Hzからの音声と合成され、60Hz-100Hzにディップが
    生じるようなチューニングを施した。
    (通常のバスレフタイプでこんなチューニングをすると、音が痩せて聴こえ実用になりません。)

  5.60-100Hzのディップは、第2ポートの共振(75Hz)により補正され、合成音声が低域が強調されながら帯域が広がるように
    した。

  6.これだけではサブウーファーから出る低中音が多過ぎるため音響フィルターを通し吸音材を多用してて高い周波数がより減
    衰するようにした。  しかしながら低域も音響フィルターにより多少減衰するので、FF85KよりもFE-103の音圧レベルが
    高いのが補正された。

というような手法を採用しています。 まるで手品のような話ですが、その辺りの考え方を周波数特性で表現するとこうなります。



ご注意願いたいのは周波数特性を測定するとこうなる!というのはなく、音作りをしていった考え方をあらわしていることです。 私が聴いた感覚ではこのように聴こえるといっても良いでしょう。 聴感上は50Hz近辺まで十分に再生しています。 また図のように60-75Hz辺りにやや膨らみがあるようで、これが低音の豊かさに貢献していると思います。 最初に聴いた時には第2ポートのチューニングを欲張って60Hz近辺にしていましたが、この為60-80Hzのレベルが下がって何か欠落した感じがしていたのだと考えています。またその当時は音響フィルターもなかったので、低音のレベルが高すぎドンドン、ボコボコというような音でした。

さてこの図でもおおよそ見当がつくのですが、サブウーファーからの最終的な音声は高域の減衰がいまいちです。 それとサブウーファーとメインスピーカーを繋いでいる周波数が、180-200Hzと本来の3Dシステムの繋ぎ目より高いほうにずれています。

この辺りが今残っている唯一の泣き所であり、定位感が若干損なわれている原因にもなっています。 しかし現在の方式でこれ以上中低音をカットするのはかなり難しいためやむ無しとしています。 但しこれによる音の汚れはありません。 高いレベルの音質を確保できています。

最後にご注意ですが、メインスピーカー、サブウーファー共に背圧がかなり掛かりコーン紙の動きが抑制されて相当の入力があってもボイスコイルの底当たりが起きにくい構造になっています。 このためがんがん鳴らし気味にし易く(実際鳴らしたくなってくるものです!)その結果としてボイスコイルが当たる前に焼損してしまう危険性がありますのでご注意ください。

----- 完 -----

 
  
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