HOME
サイトマップ
アマ的手法
材料
工具
作品一覧
リンク
mini-Shop


 
書斎の詳細
   
 2003/01/30
 構想と留意点

 書斎というと聞こえがよいのですが実際のところは作業場にかなり近しい部屋となっています。
 作業場と書くとホームページで標榜している、「工作室がなくても実現できる・・・・」に反するのでは?
 と思われる方も居られるかもしれませんが、狭すぎて工作室にはなりえません。
 何しろ4畳のスペースに持っている本すべてを詰め込む本棚と設計・検討作業を始めとした様々な目的で
 使うパソコンが5台(ホームサーバーを含む)と作業台としてのカウンター、電気・電子工作用の部品、計測
 器。 今はお休み中で分解収納されている大型と中型の天体望遠鏡などが同居しているからです。 
 せいぜい電気・電子工作をする程度で木工作業はとんでもはっぷんでリビングルームが木工作業の場所であることに変わりありません。

設計に際して留意した点は、

    ●材料は端材を最優先にして極力コストおおさえる。
    ●かっこよさは2の次とし実用第一主義に徹する。
    ●とにかく収納能力は目いっぱい取れるようにする。
    ●かといって心理的に窮屈なのは困る。
    ●早く作業が終わる構造とする。

というものでした。 材料についてはここまでに作ったLDルーム、AVコーナー、家事室、寝室の収納製作時に出た端材が沢山あります。 その中には繋ぎ合わさないとならないものもありましたが、それも良しとしてとにかく無駄が出ないように板取りを工夫しています。

私自身が納得できればよいので形、塗装共に簡単で強度が取れる方法に徹しています。 特に塗装は1液性速乾ニスの作業の速さと物理的な丈夫さを考えて扉を除く全てに採用ししかも粗が目立たないダーク調にステインで着色しました。 全面的にそうすると極めて暗い感じとなってしまいますから他の収納家具で採用した極く明るいベージュ系の2液性ウレタン塗料を扉、引き出し前板に使っています。

 収納される物の量がとにかく多く(家内に言わせれば全てガラクタだそうです。)スペースを目いっ
 ぱい使うことに専念しています。 従って窓も完全に無くしたかったのですがそれでは建築基準法
 に違反します。(部屋面積の1/7の採光面積を確保しないとなりません。) リフォーム時に散々こ
 の問題を考えた結果幅が狭く高さがある縦滑り出し窓にすることで最大の収納スペースが確保で
 きるという結論に到達しました。  (左の図をクリックすると窓による違いがわかります。)

 少々脱線しますがこの窓については今回のリフォームの大きなテーマとし、採光面積を確保し風通
 しが最もよくなり窓の開け閉めも楽で場所によっては収納効率確保という欲張った条件を満足させ
 ています。 この結果縦すべり窓やオーニング窓がかなり採用されています。

書斎では呼称寸法が縦1350mm、横600mmの縦すべり窓を間口2間の外壁に面した部分に取り付けたため、その両側に床から天井まで使える内寸幅計2947mmが確保できました。(仮に2間幅の引き違い窓を使ったら床から天井までフルに使える部分は1700mmもありません。) 窓の下の高さは床から1000mmの所としましたので、窓の前を座る位置と決めて幅3550mm、奥行き690mm、高さ750mmのカウンターを作りこれを作業台としました。 この作業台の下に奥行きが深めなため出し入れが楽なように合計18個の引出しとパソコン2台分のスペースを取っています。 カウンターの上部にはカウンターと完全に分離された吊り戸棚が窓を挟むように取り付けられ下の高さは床から1220mmのところとなっておりカウンター上面との間に470mmの空間ができます。 この空間に別なパソコン、プリンター、スキャナー、モニターを始め時間経過とともに変化する機材を放り込むわけです。

 4畳の部屋の短いほうの壁は内寸1720mm程度しかありません。 書斎の背面の壁は別項で解
 説している大型の本棚があり、奥行きが最大300mmあります。 カウンターの奥行きは690mm
 ですから差し引き730mmのスペースが残りこれは引出しを外して取り出すためのぎりぎりの寸法
 となります。 またパソコンのキーボードは引き出し式テーブルに乗せられ通常300mm程手間に
 出っ張ります。 ということは、座る位置では730mmのスペースではなく430mmしかないことに
 なり椅子の前後の移動もままならないことになりますが、椅子に座る位置では本棚の奥行きが
 200mmとなっていますからキーボードテーブルを引き出した時530mmの空きスペースとなり、
 ぎりぎり使用に耐える状況となっています。

以上で如何に空間を有効利用したかがお判りいただけると思いますが、同時に「それでは窮屈で快適ではないのでは?」と感じるのではないかと思います。 しかし心配ご無用! 床面では確かにカウンターと本棚の間は730mmしかありませんが、吊り戸棚が目線の高さでは奥行き250mmで本棚との間は約1270mm、パソコンに向かった時の私の目の位置から窓までの距離は1400mm程開いています。そして窓の外が見えますので閉塞感や窮屈な感じは意外にありません。
D.I.Y.雑談で解説した私の空間論の許容値内にかろうじて入っているのでしょうか。

早く作業が終わる。という条件は、「収納家具を一体化しない。」ということで解決しました。  実は完成してしまった後ではあたかも一体のような感覚で使っているのですが、実際には吊り戸棚2つとカウンターの計3つのブロックになっております。  製作順序として吊り戸棚2つを優先しこれを完成させてからカウンターの製作に入っています。 無論3つのブロックは完全に分離されております。 これにより一番目の吊り戸棚が完成次第そこに収納物を放り込んで二番目の吊り戸棚製作に取り掛かり、これも完成即収納物放り込みとして、カウンターを作れるスペースをひねり出したわけです。 一体化してしまうと全てが完成するまで使用不能ですが、この方法なら別です。

大変雑な作り方をしたように思えますが結果として満足度は極めて高くその後サイト開設そして毎週のアップデートも快適に効率よくできており、書斎や作業場というより情報発信基地として充実した使われ方をしています。



2003/02/06
製作物の寸法

 壁面の総幅は3500強ありますが縦滑り出し窓が真中からやや左にシフトした位置にあり、これを挟む形で
 左右に吊り戸棚を挟み込んでいます。 吊り戸棚は上のほうが奥行きが深く350mm、下半分は250mm
 となっていますが、目線の高さで少しでも空間を確保しようとした結果です。 中段に幅209mmの細かな
 仕切りがありますがこれは小さな引出し12個を入れた部分で、大半はフロッピーディスクが入っています。
 それぞれの棚の窓側最下段にはAVコーナーで述べたのと全く同じ構成の小型スピーカーシステムが嵌
 め込んでありますが、壁に密着しておりその隣に本が詰まっていることから低音の再生力は極めて大き
 く、スピーカーが場所をふさぐこともなく座った位置ですこぶるハッピーに音楽を楽しんでいます。

カウンターは幅を部屋の内寸いっぱいを使用し引出しを19個配しています。 そのうち13個は3段式フルオープンスライドレールを使用し、4個は家具最下段の空きスペースを使った自作ならではの引出しで、ペーパー関連の収納となっています。 右端下には1枚板の引き出し?があり、これも自作ならではのユニークなものです。 残り1つは他の家具でもおなじみの引き出し式キーボードテーブルです。 寸法図をよくご覧になるとLAN、ISDNのコンセントがあり電源コンセントも4箇所見えますが(部屋トータルでは6箇所あります)、リフォーム前に書斎収納の基本設計が完了していたため可能となった仕掛けです。


吊り戸棚の詳細

書斎の中で最も慎重に製作を要したのは吊り戸棚です。 その一番の理由はかなりの重量になるものを
どうやって安定した方法で固定するのかです。  何しろ右側の吊り戸棚は扉なしの出来上がった状態で
大人2人でやっと持てる位です。 扉を付け収納物を全て入れた状態ではゆうに100kgは超えているはず
です。 これの構造と取り付け方法そしてどうやって取り付けたかは全ての吊り戸棚製作の参考になると
思います。 私自身吊り戸棚の製作は既に7台目でそれらの経験に基づきそれなりの標準的な構造が出
来上がっています。 無論それらの吊り戸棚の中で使用中に外れかかった、落下したとかいうような事故
はおきていません。 というか固定強度のマージンがありすぎるのかもしれませんが、荷重試験や量産を
するわけではない自作の場合は強度のマージンは高ければ高いほど良いわけです。 

 前置きはこの位にして早速吊り戸棚の構造のお話をしましょう。
 左の図は書斎に設置した右側の吊り戸棚の構造です。 最終的には固
 定棚の仕切りやスピーカーボックス、そして可変棚が入りますが、理解し
 やすくするためそれらは省いてあります。

 A−F迄6種類の部材を使っていますが、吊り戸棚固定の鍵を握っているのはです。 
 (重要な部材ですから空色に染めてあります。) の共通点は、棚の側板である4枚に凹状
 の切込みを入れて嵌め込んだ通し構造となっていることです。
 この凹状の切り込みへの嵌め込みは木工ボンドと3.5φ50mmのネジを1箇所あたり3本ずつ使い、
                   ネジの打ち込み角度はそれぞれ変えてあります。 

従ってが壁に強固に固定できれば側板が外れることはまずありません。 Bの棚板は木ダボ、ネジ、木工ボンドを使ったイモ継ぎの中では最も接合強度の高い方法で取り付けてあります。 Dの棚板は外観を考えて通し構造とし間の側板へは下側から木ダボ、ネジ、木工ボンドで固定し、両端は同じく木ダボ、ネジ、木工ボンドを使っていますがこちらは横から止めています。

 一般に接合部の破壊強度は、圧縮強度が最も高く、次いでせん断強度(接合面のずれ)、曲げと引っ張り
 強度の順で低くなってゆくことが多いですが、ABの間は棚板幅が大きくなければせん断力が最も大き
 く、ADの間は引っ張り力が最も大きくなっています。  肝心なEFに対しては圧縮力が主ですからE
 Fさえうまく壁に固定できれば、この吊り戸棚の一番弱いところはADの接合部だということになります。

 棚に物を入れたときの荷重はそれぞれの棚との接合部で受けることになります。 上段の棚荷重は接合
 部に対するせん断力が主となりますので有利です。 下の棚では中2箇所の接合部には引っ張り力が掛
 かりますので若干不利ですが、両端ではせん断力が主ですから、中2箇所を木ダボ、ネジそして木工ボン
 ドの併用による最も強固な接合法の採用で解決しています。 

 このような構造の採用で上のほうの棚の接合部分には下の棚の荷重が掛からないようになっています。
 板取りだけの観点からみるとAがL型になっているのは欠き取りによる無駄が出て不利なのですが、もし
 板取りを優先して棚板に側版がぶらさがる構造とした場合には、上のほうの接合面にはそうでなくとも不
 利な引っ張り力が積算され、接合面の破壊につながる危険性があります。
 従って余程の事がない限り側板は1枚構造とし、引っ張り力が掛かるような接合部は極力避けたほうが間
 違いありません。

 結論として吊り戸棚の荷重はの接合部分に掛かりそれらは圧縮力が主であるための壁面への
 締結力が十分であれば相当の棚重量に耐えられることがお判りいただけるのではないかと思います。

 ということでEFが強固に壁に固定できれば極めて安定するわけですが、私の場合壁そのものの下地を
 コンパネにしてもらいました。 壁の下地には石膏ボードがよく使用されますが、石膏ボードはネジが効き
 ませんのでコンパネにすることにより、どこでもネジが打てることになります。
 更に釘位置探索器で間柱や柱の位置を確認できますから、それら柱へのネジでの締結も簡単です。
 (柱へは3.8φ75mmのネジを使っています。)


吊り戸棚を取り付けるときには3人の助けを借りました。(2人でもどうにか可能だったと思います。) 
3人で持ち上げてもらい肩に乗せて所定の位置に移動し天井に触れるまで上げてそこで支えてもらいます。  私はインパクトドライバーでEの上部の左右端にネジを1本ずつ打ち込みます。(場所はあまり気にしなくて良い。) この後は天井の桟の位置に2本打ち込みここで手助けは終了です。 そしてEの他の部分をネジで壁に固定しました。
(右の吊り戸棚の場合3.5φ55mmを36本をコンパネへ、3.8φ75mmを6本の計42本使っています。)

こうして固定した後は吊り戸棚にぶら下がろうがみしりとも言いません。



2003/02/13
引出しの詳細      引き出し詳細寸法はこちらから

既にお伝えしているように書斎には沢山の引出しを作ってあります。 その理由の一つは物の出し入れ・整理がし易いという点にありますが、4種類の構造の引出しを作っていますので順を追って説明して行きます。

 1.3段レール使用の引き出し
   これが全部で13個あります。 3段レールを使うメリットはスライド量が多く取れる点にありますが、ここ
   ではアトムリビンテックのフルオープンスライドレールの550mmの物を使っています。
   当然引出しの奥行きも550mmということになり、カウンターの奥行き690mmに対して随分ゆとりがあ
   りますが、これは引き出しの奥はパソコン用を始めとした沢山のケーブルを隠してしまうスペースにして
   いるためです。
   スライド量は528mm取れますし30kg程度の荷重にも耐えられるので、雑多な部品、部材等々私の趣
   味関連の物(ガラクタ?)の収納にはもってこいです。

   それらのうち座る位置の両脇下にはハンギングフォルダー対応の引出しが1個ずつあり、書類の整理
   やA4サイズバインダーがぴったり収まるようになっています。
   (ハンギングフォルダー対応引出しはLDルーム収納や家事スペースの収納でも使われています。)

 2.2段レール使用の引き出し
   引出しには違いありませんが実際にはキーボードテーブルです。
   この構造は個室1の収納LDルームの収納でもキーボードを収める方法として採用していますが、使
   わない時に格納できてしまう。テーブルの上の作業面が広く取れる。 キーボードの高さが人間工学上
   適切な位置に来る。 等のメリットがあり大変重宝しています。 幅が800mmありますのでキーボード
   とマウスを操作する充分なスペースが確保できます。
   使用レールはアトムリビンテックの19S-RB-N-400で、スライド量は300mmとなっています。

 3.レール無しの引き出し
   カウンターの一番下は通常幕板を貼って化粧してありますが、一種の空きスペースでもったいないので
   ここにも引出しを作りました。 レールを使うことなく床面をレール代りとして前後に滑らせるわけです。
   同様の発想のカセットテープ収納をAVコーナー収納で実現していますが、ここではペーパー類の整理
   保管に使っています。 床を滑らせるわけですから傷防止の手当てをしなければなりませんが、引出し
   の裏に敷居すべりを貼って解決しています。

またカウンターの一番奥の部分は扉がついておりこれをあけると望遠鏡が分解収納されています。 その中に赤道儀という望遠鏡架台の心臓部が収まっていますが、これが非常に重く衝撃に要注意の精密機械(25kg位あります)であるのと同時に他にも重い部材が詰められているので、それらをまとめて18mm合板の上に載せ(総重量80kg位?)前後にスライドして出し入れするようにしています。 無論この18mmの板の裏にも敷居すべりを貼って動かしやすくしてあります。

 4.木製レールの引き出し
   1985年に私がアメリカにいた当時パソコンを使い始めましたが、それ以来溜まったフロッピーディスクが
   1300枚ほどありこれの保管に困っていました。 それらを一挙に解決したのが12個の小さな引出しで
   木製レールによる底受けの構造をとっています。

   簡単極まりなく製作費も安く出来ますから、軽量な物品の収納にいろいろ応用出来ると思います。
   この引出しの取っ手は1本\120の白ラワンを切断して貼り付けただけで、これも安く上げる工夫ですが外観的な面白みも出ています。 尚前板と取っ手はウレタンニスで仕上げています。


その他工夫した部分

上の引出しの写真でお判りと思いますが、吊り戸棚中段にスピーカーシステムを嵌め込んでいます。
使用ユニットはAVコーナーで紹介した物と全く同じ構成でフォステクスのFW127とFT27Dでボックスの内容
積も同一ですが、所謂ブックシェルフスピーカーの設置となっているため低音の再生能力は1段と上で、
当初はスーパーウーファーの追加も考えていたのですがその必要性は全くなく極めてハッピーなサウンドを
響かしてくれています。
このスピーカーも前面の面積をぎりぎりに詰めていますので、低音輻射のポートは下に設けそこからスピー
カーワイヤーも取り出すというメーカー製にはない簡潔明瞭な構造となっています。

 このスピーカーをドライブするのはケンウッドのR-SG7というコンパクトコンポで入力系統がAM、FM、CD、
 TAPE、MD、AUXの6系統ありますが、CD、TAPE、MD、AUXは100mV-200mV位の入力に対応した物で
 名称が違うだけですから、パソコン数台の音声出力をここに繋いで、CDの再生はパソコンのCD-ROMを使
 っています。

 従ってこのR-SG7だけで完結しており場所を食わず快適な使用感ですが、残念ながら既に製造中止とな
 り他のメーカーの物も含めてこのような廉価で内容の良いコンポはもう入手不可能です。

書斎でやる仕事というとパソコンの使用頻度が大変高いですが、我が家のファイルサーバーと私のメイン
パソコン以外に横長デスクトップ、ミニデスクトップ、ノートブックがカウンターの上に置かれています。

それらは万が一の時のためのバックアップ用等目的がはっきりしているのですが、想定していなかった数
になり実は困っています。 とは言ってもキーボード、マウス、そしてモニターはぷらっとほーむ製の切り替
え器で共用していますのでパソコン本体が増えているのみで留まってはいますが。

 カウンターは18mmシナ合板を貼った物で本来であれば30mm厚の集成材などを使いたい所ですが、
 予算を押さえるための選択です。

 但しその下には18mm厚の端材を使った補強がされていますから強度上の問題は全くありません。
 扉も同様端材を極力使ったため一部の扉は木ダボでつぎはぎした構造となっていますが、繋ぎ目の段差
 を押さえパテで埋めたので指摘しない限り判らないでしょう。


けちに徹した材料手当て(徹底した端材の利用、ツマミは廃品の利用)と短時間製作、という切り口から製作した物ですが、背面の本棚と込みでの実用性という点では一連の製作した家具の中で最も活躍してい
る作品です。

何しろこのサイトの全てがここから生まれて来ているわけで、Vic Ohashiの情報発信基地なのです。

--- 完 ---

 
  
Copyright (C) 2001-2019, Vic Ohashi All rights reserved.