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AVスペースの詳細
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 2002/11/28
 構想と留意点

長年オーディオメーカーに勤務していた私にとってリスニングルームとかAVルームといった部屋を持つことは長年の夢でした。 しかし現実は厳しく現在の土地では他の居住空間を犠牲にしない限り専用のそれらの部屋を設けることは不可能です。 その上何々専用の部屋という限られた空間利用の点で面白くない設計の仕方も気に入らない私としては大きなスペースを食うそれらを確保する気にもなりませんでした。

 とは言え、なんとかよりオーディオビデオを楽しめる空間を確保したい夢は捨てられませんでした
 ので、リビングスペースとの共有空間として実現することにしました。

 従ってAVコーナーということになったわけです。 この部屋はもともと16畳のリビング・ダイニング
 ルームであったものですが、リビングダイニングルームとしても中途半端で使いにくかったため、
 リフォームの際に南側一部を拡張して19畳にしたものでL字型となっています。 

 左側8畳の部分を仮にダイニング占有スペースと考えるとリビングスペースは11畳となるわけで、
 レイアウトの仕方で十分リビングスペース・AVスペースとして機能すると考えました。

 その核となる大型収納家具をここに設置したのですが、私が作った一連の大型家具の中ではか
 なり異色の構造となっています。

 その大きなポイントは作り付けにしなかったことと、ユニット組合わせ構造となっていることです。 

 そうした大きな理由は何らかの事情で一部或いはかなりの部分を作り変えねばならない可能性
 が高いことによります。 そうなってしまう原因は使用する機器が技術革新の名のもとにどんどん
 変わっていってしまうからで、こればっかりはどうにもなりません。 

現にこのスペースの構想を考え出したのは10年も前になりますが、その当時にはパソコンがAVの核となる可能性など考えもしませんでした。 録画についてはビデオコーダー止まりで、HDレコーダーなんて存在は全くなくインターネットをAVコーナーに取り込む必要性も考えませんでしたし、家庭内LANの一角に入ることも想定できませんでした。  オーディオでもカセットテープ・CD止まりで今のようにMD、MP3なんていう存在はなかったわけです。

スクリーンで言えばブラウン管主体であったのにたいし、各種プロジェクター、プラズマディスプレーが大型のスクリーンとしてかなり普及してきていますが、ELデバイスを始め今後それらもどのように変化するか予想がつきません。

このように変化が激しい為一部の作り直しや大幅改造が出来ないと変化にうまく対応できなくなってしまいます。

そこでこのAVコーナーを構成するものは次のユニットに分けてそれらの変化があっても容易に対応、或いは最小限の出費と手間で対応できるようにしています。

   1.AVラック 2台
   2.CDアルバム引出し 2台
   3.1体型のスーパーウーファーとAVセンタースピーカー
   4.前方スピーカーシステム1対と専用スタンド
   5.後方スピーカーシステム1対
   6.上記2.と3.を覆うカウンター


次回からそれらのユニットをどのように設計し作り上げて行ったかを具体的に解説してゆきます。 特にスピーカーの部分は大変手間取りますし音響という感性や主観が入ってくるテーマですから、どこまで参考になるかは未知数の部分がありますが、極力詳細解説できるようにしたいと考えています。


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2002/12/05
AVコーナーの全体設計

 ここに何を作ったかは前述の6点ということになりますが、最初に全体設計について述べます。

 一番大きなテーマはAVサラウンドシステムの構築で、色々な構成が提唱されていますが、スピー
 カーシステムとしては5+1と称される構成を考えました。 
 メーカーによっては7+1や9+1などの構成をよりリアルな方法として提唱していますが、それら
 を実現すると人間の為のスペースではなくスピーカーのためのスペースとなりかねませんので、
 極めて標準的ともいえる5+1としています。

 念のために5+1とはどのようなスピーカー構成を指すかといいますと、

  前方の左右のスピーカー(2)
  後方の左右のスピーカー(2)
  前方のセンタースピーカー(1)
  スーパーウーファー(1)
 となります。 

ここで考えねばならないのは市販されている5+1のスピーカーシステムはどちらかというとAVサラウンド専用であり、従来の2チャンネルステレオには向いていないことです。 その理由は前方と後方のスピーカー(計4本)に非常に小型の物を使っており、これらだけでのHIFIとしての再生能力(特に低音)は低いからです。 言い換えると前方2本のスピーカーだけでは粗末過ぎて使い物にならないと思われます。

これは非常に困りますのでスピーカーは自作にすることとしたわけです。 私はどちらかというと小型のスピーカーで楽しむのが好きなタイプですので、山椒は小粒でもぴりりと辛い!的なものを作れば、2チャンネルステレオであろうとAVサラウンドであろうと矛盾無しに対応できると目論見ました。

とは言え最近は自作用のスピーカーユニットの選択肢は大変狭くなっており国産品ではそれように市販しているのはフォステクスしかありません。 このフォステクスは私には大変馴染みが深く、遠い昔の信濃音響という社名の時から使ったことのある会社で、この分野で大変評価の高いFE103という口径10cmのユニットのメーカーでもあります。 

そのフォステクスのAV対応と謳われた防磁対策が施されたFW127という口径13cmのウーファーとFT27Dというドームトゥイーターによる2Way構成でスーパーウーファーを除く全てのスピーカーを作る事にしました。 

このFW127はポリプロピレンをコーン素材として使用しており明るく軽快な音作りになる傾向があります。 昔と違って私はシリアスすぎる聴き方をしませんからもってこいのユニットのひとつです。
とはいえその質感はかなりのもので、2チャンネルステレオにも十分絶えうる物です。 

FT27Dはソフトドームを振動板としており刺激的な音がなくFW127とうまく繋がり高域のスムーズな
再生に寄与しています。 

これらのユニットを自作のネットワークで接続し小型のバスレフと呼ばれるボックスに入れてやりました。 前板の表面積はスピーカーが取り付けられるぎりぎりの面積とし、容積の確保は奥行を長めにすることで稼いであります。 この為低音輻射のポートは前面に配置できませんので背面に移動してあります。 このようなスタイルとしたのは設置面積を押さえたかった為です。 トールボーイとする手もありますが、前方と後方の音質が変わってしまう可能性が大ですので、前方は専用の台に乗せて後方は写真用の自由雲台で天井から吊り下げてあります。

一方センタースピーカーは同じFW127とFT27Dで構成したもののその設置場所はスーパーウーファーと同居のTVの下の部分としました。 このスーパーウーファーは同じフォステクスのFW21DVという大変変わった防磁対策されたウーファーを使っています。 また箱の構造も特殊で、スピーカーからの直接音を出来るだけさえぎり二重に配された低音輻射のポートからの音のみ使うような構造としています。 センタースピーカーはこの箱の一部を使っていますが、音響的には隔離されております。 最終的な設置状態はTV台のような感じとなりますから、いかにもAVサラウンドがあるぞ!という肩肘の張った外観とはなりませんし私の意図したところでもあるわけです。

 以上がスピーカーシステムの構成ですが、それに対する音源として考えられるのは、DVD、CD、
 MD、LD、ビデオテープ、LP、オープンリール、カセットテープ、FM、パソコンと実に沢山のソースが
 考えられます。 従ってそれらを再生する機器の数も多いわけで、うまく収めるにはかなり大きな
 ラックが必要となります。
 またラックの高さも結構ありモニターやスクリーンの邪魔になる可能性もあるため、配線上は理想
 的とはいえませんが内寸幅450mmのラックを2本左右に分けて設置するしか無しという結論にな
 りました。 図面をご覧になると判りますが、予算不足もあり現実では実現できていないものの、
 将来的には50"のプラズマディスプレーや100"の大型スクリーン設置も可能なレイアウトになって
 います。

ということで左右にはラックが配され、真中にはTV台を兼ねたスーパーウーファーの箱となりましたが、それらの間を埋めるべくDVD及びCDを収納する引出しを配するということで設計構想がまとまり各部の寸法を決定してゆきました。  

但しいずれのブロックも将来改造変更する可能性があるため同じ高さの2つのDVD・CDケースの間にスーパーウーファーを置きその上にカウンター材を載せてその両側にラックを嵌め込むという構造とし一体構造とすることは避けました。


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2002/12/19
引き出し部の詳細

AVコーナーに作った引出しは全部で10個あります。 えっ8個じゃないの?と言われそうですが10個あります。

写真を見て8個はすぐ確認できますが、残り2個はちょっと判らないと思います。 真中のスピーカーボックスを挟んで田の字型に配置されたCD/DVD用の引き出しはすぐ判りますが残り2つはそれらの下にあります。  常識的には幕板となる最下部はカセットテープ用の保管スペースとなっています。 この引出しの寸法図は
こちらですが、順を追って写真でお見せします。

片側の引き出しを正面から見たところ。 つまみはそれぞれの引出し用ですが、一番下の一見幕板も引出しです。

上の引出しを最も手前に引いた所。 全てのCD/DVDが、問題なく取り出せます。
引出しを取り出して真上から見たところです。 計算上の収納量は99枚。 全部で引出しは8個ありますから792枚の収納量と言うことになります。

同じく斜め上から見たところ。 各アルバムの上部は15mmほど突出しますので、取り出しの問題はありません。
引き出し最後部の上は欠き取られています。 このスペースを各種ケーブルが通過するのと、一番後ろのアルバムも取り出せるという仕掛けです。

本体の3段レールのクローズアップで、真中のレールはここまで滑り出します。
問題の最下段の引き出し。 取っ手がないため簡単に引き出せませんが、床面を滑りながら出てきます。

このスペースにカセットテープ、ビデオテープCカセットが丁度入る寸法になっています。 二つの箱が隙間を持ちながら前板2枚で連結された面白い構造です。


空間は全て使い切った引出しの構造がおわかり戴けるでしょうか。 最下段のカセット収納引き出ししかり、このAVコーナー収納の最後部下に配置されたケーブルパスのスペース確保と、最後部のCDアルバムが取り出せるというテーマをうまく片付けているのです。 

ここで使った3段式スライドレールは、アトムリビンテックフルオープンスライドレールと呼ばれる手ごろな価格のレールなのですが、名称とは裏腹にフルオープンではありません。 2段式よりはスライド量が大きいですが、冷蔵庫横のスライド収納に使った本物の3段式レールとは異なります。 その問題を奥行の短い引出しに長いレールを取り付けるということで解決しています。
ですから写真で判るとおり欠き取り部分があるのです。

ところで一番下の引出しは、床の上をするすると滑り出てくる。と述べましたが、これは家具の脚に貼って床を保護しながら滑りをよくするテープを貼り付けたわけです。 滑りを押さえるテープもあるので勘違いされませんよう。  このお陰で床が傷つく心配もありません。


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2002/12/26
AVラックの詳細

 2台のAVラックはこのAVコーナーの両端に配されており、CD/DVD収納部と共に左右対称を形成
 する要素となっています。 

 はっきり言ってこのようなレイアウトは配線が長くなり信号の劣化を考えると決して好ましくありま
 せんが、同じラックにアナログ機器とディジタル機器を混在させるとディジタル機器特有のノイズを
 アナログ機器で拾いやすいので、それらを出来るだけ離したかったことがあります。
 また予想される機器の数が多くてラック1台では入りきらなかったという事情もあります。

 構想検討時に想定したそれらの機器とは、

アナログ信号機器 ディジタル信号機器
AVアンプ(信号源では無いが)
CDプレーヤー
LPレコードプレーヤー
LDプレーヤー
VHSビデオコーダー
DVDプレーヤー
カセットデッキ
パソコン
オープンリールデッキ
DVDレコーダー
ケーブルTVアダプター
HDレコーダー
AM/FMチューナー
MDレコーダー

上記のリストの順番は重要度の高い順になっておりますが、極めて多機種になります。 おまけにそれらの機器が延々といつまでも使われることはなく、新技術の機器に取って替わり消える運命のものも多くしかもそれがいつなのかを読み取るのは大変難しいことです。

 ということでAVラックの設計に当たっては使われる機器の変化に対応可能とするために、内寸幅の適応
 力確保と高さ変化に対応する棚板の高さ調節に配慮しました。

 具体的にはラックの内寸を市販されているAV機器の最も横幅のあるものでも入るよう449mmとしました。
 (AV機器メーカー各社の製品の横幅を調べた所、超高級の物を除くと420-440mmであることが判りまし
 た。 横長のパソコンもこの中の寸法に収まります。)


 高さ調節については左側のラックのみですが、ニッケルダボを15mm間隔で50組埋め込みましたので、
 かなり細かな高さ調節ができます。 右側は上段にかなり重いオープンリールデッキかパソコンのモニタ
 ーが入る予定だった為、固定棚1枚としたのみです。

 扉はスモークのかかったテンパードグラスと呼ばれる厚さ5mmの強化ガラスとしましたが、1枚\10,000を
 超える高い出費となっています。 その扉はガラス扉用蝶番でラック本体に取り付けられており、マグネッ
 トキャッチで扉は固定されます。

デザイン的には極普通のものであり、幕板の高さをCD/DVD収納などに合せた程度の配慮をしているくらいです。 組立は木工ボンドとネジですが、ネジ穴をパテで埋めてペイントを塗りネジが見えなくしてあります。 寸法や色を揃える必要がなければ市販品を買ってしまったほうがむしろ安いのではと思われます。

以下の写真でそれらの部分をご覧下さい。 (デジカメのレンズの歪曲がひどく修整しきれておりません。)

左側のラック全景。 最上段はLPプレーヤーですが、まだ使っています。 その下にAVアンプ、DVD/CDプレーヤー ・・・・と入っています。

右側はリビングルームパソコンとモニターを収納。
その下はLP/LDアルバムの一時置き場となっています。
左側のラックに15mm間隔で打ち込んだメスのニッケルダボ。 全部で200個埋め込まれています。

ラックの手前端に固定されたマグネットキャッチ。 
これでガラス扉は固定されます。
ガラス扉に発泡ゴムシートをクッションとして挟むマグネットキャッチの相方を外した所。

硬質プラスチック製のイモネジがついたガラス扉ヒンジ。
ガラス扉ヒンジを取り付けたところ。 プラスチックのイモネジが意外にしっかりと固定してくれます。

本体に埋め込まれたプラスチック製のヒンジを受けるカップ。

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2003/01/09
スピーカーシステム

左右とTV下にスーパーウーファー/センタースピーカー計4本のフロント

後方天井からつるしたリヤースピーカーが2本
AVサラウンドを実現するために合計で6個のスピーカーシステムを製作しています。 自作した一番大きな理由は、市販されている所謂 5 + 1にスーパーウーファーを追加したAVサラウンドスピーカーシステムの質は前方左右のスピーカーのみでの2チャンネル再生になどには到底使えそうにない代物ばかりで、LPやCDアルバムを沢山持っている私としては我慢ならなかったことによります。 

2チャンネル専用のスピーカーを別に持てばよいともいえますが、部屋の中が無機質的になりすぎて私の好みには合いません。  オーディオキチガイに入るかも知れない私ですが居住空間を壊してまで楽しもうとは思いません。(それでは本物のオーディオマニアじゃないと言われようと!)


4本のコンパクトスピーカー      
コンパクトスピーカー寸法図   使用ユニットのスペック
フロントとリヤーのスピーカーは、幅160mm、高さ320mm、奥行き265mmと長い奥行きを持ったコンパクトなもので、2本のスピーカーだけでも音楽を(音でなく)十分楽しめる再生能力を持っています。 

左右フロントのスピーカー。 12mm合板で作ったスタンドに乗せて使います。

真横から見たところ。 奥行きが長いのが音の良さの秘訣!?
フロント用正面のルックス。 前板の幅を限界まで小さくしています。

背面。 中央は低音輻射のポート穴で、その下は入力端子。
天井から吊るされたリヤースピーカーは横向きの配置です。

吊るすのに使ったカメラ用自由雲台のクローズアップ
左右のフロントスピーカーはこれを専用のスタンドを作り視聴位置の耳の高さになるようになっています。 一方リヤースピーカーは設置場所の関係で天井に写真用の自由雲台を介して横向きに取り付けてあります。 自由雲台を使った為方向調整が簡単に出来ます。

口径の割に大きなマグネットのウーファー (Fostex FW127)

アルミダイキャストの頑丈なフレーム。 良い音が出そうな雰囲気!!
前方及び後方の左右のスピーカー計4個とセンタースピーカーは全く同じ構成で、Fostex(フォステクス)のFW127という12cmのウーファーにFT27Dというドームトゥイーターの2Wayシステムです。 このFW127は振動版にポリプロピレンを使った明快で元気の良い音がし私の好みのスピーカーのひとつです。(明るくて元気の良いスピーカーだけが好きという事ではないのですが)  同じ材料の振動版を使ったスピーカーユニットとして古くはUSAのインフィニティーが知られています。

正面から見たドームタイプトゥイーター (Fostex FT27D)

その背面。 コンパクトですが防磁型になっています。
組み合わせるFT27Dは刺激的なところがなくてスムーズにFW127につながりますが、これらのユニットを選んだ大きな理由はしっかりした防磁対策にもあります。 防磁対策のスピーカーはテレビのすぐ横においてもブラウン管を磁化して画像がめちゃめちゃにならないよう開発されたものですが、それ以外にも磁気データを使っているカードやフロッピーディスクのデータが誤って消えてしまわないような配慮でも有利であり、音質もさることながら私のスピーカー選定ではかなり重要項目となっています。

ネットワーク回路図。 カットアンドトライで調整した最終値です。

自作したネットワーク。 部品はG-17で基板に貼り付けてあります。
これらFW127FT27Dは自作の2Wayネットワークを介してアンプに繋がります。 FW127の高域再生はあばれがなく素直なのですが指向性は5kHz以上となると急激に悪化するようです。 一方FT27Dは2kHz以上の帯域で使うようにと指定されていますので5KHzをクロスオーバーとして決めウーファーのそれ以上の周波数とトゥイーターのそれ以下の周波数の音はオクターブ辺り12dBの減衰となるよう定数を計算しました。 

またトゥイーターの方が能率が良いため単に繋いだのでは高域のレベルが上がりすぎますので減衰回路を入れてあります。 市販の試作用の一番小さな基板で組み立てましたが、部品全てを接着剤(G-17)でベークライト基板に貼り付け振動しないようにしてあります。

背面に設けられた低音輻射のポート(四角の穴)

ウーファーの取付け穴から覗いたポート。 左に吸音用フェルトも見えます。
これらのスピーカーを収納するキャビネットはバスレフレックスと呼ばれるウーファーの低域共振周波数辺りを増強するタイプで、箱の容積や低域輻射のポートのサイズなどは、Fostexの推奨値をそのまま尊重しました。 スピーカーの能力を目いっぱい出すには違った設計もありますが、サラウンド用に使う場合コンパクトなほうが有利ですのでそうしたまでです。 

但し低域輻射のポートはキャビネットの前板をぎりぎりまで詰めた結果前板(バッフルボードと言います。)には入りませんでしたので裏板に移動してありますが、低域の指向性はブロードですので音質上の影響は少ないはずです。 ということで同内容積の箱に比べると前面の面積に対し奥行きがかなりありますが、これまた私の経験では前後に長いスピーカーは定位感が良かったことに起因している部分があります。

前板の接合部クローズアップ。 完全に密着されています。

同じく背面。 右下側面からネジを打ってあるのですが判りません。
箱の材料は18mmシナ合板でサイズが小さいのでこれまでに作った収納家具の端材で十分間に合います。 接合は全てイモ接ぎですが、切断した木口をカンナで入念に仕上げた上で木工ボンドを塗り35mmタッピングネジで十分に締め付けてありますから十分に強固であり空気漏れは一切ありません。 それらのネジの頭を全てパテで埋めて平らになるまで研磨してから2液性ウレタン塗料で3回塗装としていますので、ネジで固定していることは外見上全く判りません。 低域輻射ポートは12mmシナ合板で作って接合してあります。 

使用吸音材は何と床のカーペットの下地に使われたフェルトです。 寝室の収納家具を作ったときに切り取ったものを保管していましたので、それを切って使いました。 

ところで余談ですが吸音材は沢山入れたほうが結果は良いと考えておられる方が多いのですが、私はある周波数の部分が強調される現象(定在波という)を抑える程度が良いと考えています。 吸音材の入れ過ぎは音をむしろつまらなくするからです。 

これは箱自身の振動が必要以上に減衰してしまうためです。 俗に言う箱鳴りにも良い場合と悪い場合があり、適度で綺麗に響く箱鳴りは楽器の音作りと同様非常に大事です。 (従ってオーディオマニアは箱を作る材料、組み方、塗装などを気にします。)

よい箱鳴りはかくも大事ですが吸音材の入れすぎはその箱鳴りを殺してしまうのです。



前方中央下のスピーカー     スーパーウーファーの前面寸法図   使用ユニットのスペック
フロント中央のテレビの下にはスーパーウーファーとセンターチャンネル用のスピーカーが配されています。 
この箱は872 x 531 x 450mmとかなり大きなものでセンターチャンネルスピーカーとスーパーウーファーが一緒になっていますが、音響的には完全に分離されています。 

そしてこの箱の両側にはCD/DVD収納の引き出しが挟まりその上に35mm厚のカウンター材が載って一体になっています。

センターチャンネル用はユニットの取り付け位置が異なり、低音輻射ポートも断面を長方形にして前面に出してありますが、それら以外は前述と全く同様です。
TVの下のスピーカーボックス。 それらしくないデザインとしています。

フロントグリルをはずして見える大きな穴は、スーパーウーファーの低音輻射用
3枚のグリルを外した。 沢山のネジで固定した前板はスーパーウーファー部

左前板を外す。 余計な振動を抑えるための内部補強が見える。
右前板を外すと前面からL型に曲げられたポートが見える。

そのポートを外すと奥にスピーカーが見える。(Fostex FW21DV)
スーパーウーファー用にはフォステクスのFW21DVという大変変わった20cmユニットを使っています。 何が変わっているかというと8Ωの入力端子が2系統あって様々な使い方が出来る点にあります。
例えばアンプの左右の出力をそれぞれの入力端子に繋ぐとスピーカーからはモノーラルの音として合成されて出てきますが、電気的には分離したままです。 入力端子を並列にすれば4Ω入力、直列に繋げば16Ω入力となります。

このユニットを使って低域のみ輻射するスーパーウーファーを構成しているわけですが、低音はポートを通じて聞こえるのみで、スピーカーは内部に埋め込まれています。 この辺りの箱の構造や先ほどの2個のボイスコイルをうまく使う方法が実用新案或いは特許の取得に繋がる可能性があるため、これ以上の詳細をお知らせできませんが、口径20cmであるのにもかかわらず25Hz程度まで楽々再生できますので、サラウンド用のみならず2チャンネルステレオの場合でもスーパーウーファーとして(この場合は3Dシステムと呼ばれますが)使うことも考えられます。 但しメインとなるFW127+FT27Dのコンパクトスピーカーに大変満足していますので、今のところ何も手をつけていません。

以上5回に渡って解説しましたが、相当はしょっているところがありますので、疑問点など御座いましたらご遠慮なくお便りをお寄せください。
--- 完 ---


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