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新しい水性ニス/水性刷毛
2006/07/14 (再編集したものです。)
ご存知のように私は塗装に際して何かの一つ覚えのように、
「水性塗料は油性ニスに比べ劣る、駄目だ!」
と繰り返してきました。
昨今環境問題が社会的な関心事となり、塗装の分野でもより環境に優しく人体への有害性も低い塗装材料としての水性塗料はいずれのメーカーにおいても販売促進活動の中で最もスポットを浴びせてきた塗料になっています。
しかしながらこれまでの私は油性塗料の絶対的な優位性を説いてきたわけで、それは塗料としての最も本質的な部分である、
「木材の保護力」
、
「塗膜の物理的な丈夫さ」
、
「塗膜の化学的な丈夫さ」
において、油性塗料が圧倒的に優れておりしかも価格も手頃
(物によっては水性塗料よりも安い)
という点にありました。 無論有機溶剤を使用し、刺激臭が強くてというような短所はあったわけですが、本質的な部分を重視した結果、油性塗料を評価してきたわけです。
但し各メーカーのたゆまぬ努力・研究の結果水性塗料でありながら本質的な部分で油性塗料に肉薄するような出てきつつありここに紹介する和信ペイントの水性ニス群ももそういった塗料で、
mini-Shop
では
「水性ウレタンニス」
、
「水性フローリング用ニス」
、
「水性サンディングシーラー」
の3種類を販売しています。 いずれもこれまで業務用として充分な実績を積んだもので、油性塗料に匹敵する性能を有しています。 また同時に新開発の水性ニス刷毛と共に紹介いたします。
高性能水性ニス
水性ウレタンニス 水性サンディングシーラー 水性フローリング用ニス
商品名
成分
乾燥時間
溶剤
容量
塗り面積
販売価格
価格は2006/07/14現在で変動がありえます。
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に掲示された価格が最新の価格です。
水性ウレタンニス
(つやありクリヤー、つや無しクリヤー)
アクリルウレタンエマルジョン
90分(20℃)
水
300ml
畳2枚
\1,899.-
700ml
畳5枚
\3,699.-
水性サンディングシーラー
アクリルエマルジョン
2時間(20℃)
水
300ml
畳2枚
\1,250.-
700ml
畳4枚
\2,580.-
水性フローリング用ニス
ウレタンディスパージョン
1時間(20℃)
水
300ml
畳4枚
\1,530.-
700ml
畳9枚
\3,450.-
水性ウレタンニス
屋内木部用のニスです。 擦れ、耐熱性能など油性ウレタンニスとほぼ同じでこれまでの水性ニスとは一線を画す高性能で、水性系塗料に良くあるいつまでも残る
「引っつき感」
がありません。 更に油性ニスでは得られなかった特徴として安全性の点で、最も厳しい食品衛生法に適合していますから、例えば赤ちゃんがしゃぶってしまうおもちゃの塗装にも絶好で、これだけの高い安全性を持った塗料は殆どありません。
(註: 高い安全性は完全に塗料が乾燥した後に得られます。 生乾きの塗料は安全ではありませんのでご注意ください。)
乾燥時間が大変早く
90
分で指圧乾燥に達しますから作業が早く進みます。 つやありクリヤーとつや無しクリヤーの2種類がありますが、着色したい場合にはポアステインで予め着色してからニスを塗ります。 標準塗装面積は2回塗りで表示されています。
水性サンディングシーラー
水性ニスは油性ニスに比べると肉載りが少ないという問題がありますがそれを解決するのが水性サンディングシーラーです。 導水管への流れ込み性能がよく肉持ちや研磨性の向上も図れますので、必要に応じて下地用として使います。 従って上塗り材との組み合わせで完結しますが、水性ニス用であり油性ニスには不適ですのでご注意ください。 着色したい場合には予めポアステインで着色後にこの塗料を使用します。
水性フローリング用ニス
この塗料はどちらかと言うと特殊な用途用で、フローリング材の上塗り用
(メインテナンス用)
に開発されたものです。 耐磨耗性や耐熱性に優れているので床用として床暖房の場合でも使用可能です。
(塗装後1週間経ってから床暖房を使っても差し支えなくなります。)
大きな特徴としてはUV塗装やセラミック塗装などこれまでのニスでは密着性が悪くて使えなかったフローリング材でもOKな点にあります。 また塗装用具を選ばず刷毛以外にローラー刷毛の使用も出来ますし、1回塗りで済む為作業が短く済みます。 この塗料も食品衛生法に適合していますから極めて安全性が高いです。
上塗り用ですので木部生地に塗ることはお奨めできませんが、水性サンディングシーラーを塗った後に水性フローリングニスを塗るのは問題なく、コストパフォーマンスが良く丈夫な塗膜の塗装が可能になります。
共通した使用上の注意
・ 刷毛塗りの場合には和信水性ニス用刷毛をお奨めします。
(次の項目でご覧になれます。)
動物の毛を使用した刷毛は水
性塗料用に使用すると固まってしまうことがありお奨め出来ません。
・ 水性塗料は油性塗料に比べ乾燥時間が早く短時間で刷毛は固まってしまいます。 これを防止する為に刷毛の先は塗料に漬
けて置くようにしてください。 また定期的に
(30分間隔位)
刷毛を完全洗浄してから塗装作業を続けるようにすることで刷毛の
寿命が長くなります。
・ 密着性の問題から油性塗料の上に水性塗料を塗ることやその逆はお奨め出来ません。 油性塗料の上には油性塗料を、水性
塗料の上には水性塗料が原則とお考え下さい。 例外としては水性のポアステインで、油性ニス、水性ニス両方の着色剤と
して使えます。
新設計水性ニス用刷毛
新設計の水性ニス用刷毛。 見ただけでは従来の水性刷毛と何処が違うか判りませんが?
30分毎に水洗いすることにより吃驚する位反復使用が可能。 また特殊な毛の断面により塗料を含む能力が大幅にアップ。
動物の毛で作った刷毛は水性塗料では固まってしまうことがあることと、水性塗料の特性により合わせるために新たに開発した水性ニス用刷毛です。 一見高価に思えますが、素材のナイロンの毛表面には塗料が固着しにくい処理がされており、定期的に
(約30分毎に)
水で完全洗浄すると根元のごく僅かな部分を除き塗料が残りません。 ナイロンが擦れに対し丈夫なことと相まって反復使用という点で従来の2倍以上使えますから最終的には割安です。
また毛に塗料が固着しにくい処理をすると毛細管現象が低下するので、刷毛が塗料を含む能力が低下してしまいますが、3種類の特殊な断面を持った毛を組み合わせ、従来の断面が円形の場合よりも毛細管現象が大幅に増加する構造となっていますから、合繊刷毛に良く見られる塗料の含み性能の低さがありません。 従って使用感覚や作業性の良さは所謂従来の安い合繊刷毛とは全く比較になりません。
実使用報告と作品の例
2005/07/29 以下にメーカーよりの試供品によるテスト結果をご披露します。
製作途中だった
プリンター置き台
の塗装は、箱部分に回転・スライド式収納棚に使用した水性ペイントの
残りを使う予定でいたが、ワンバイフォー材の柱部分だけはニス仕上げにしたいと考えていた。
箱部分が水性ペイントなので柱部分も水性のニスの方が適当と考え、たまたまメーカーから提供された
新製品の試供品を試してみることにした。
今回の使用経験だけでもって結論を出すのはまだ時期尚早であり、更なる使用実績を重ねて結論を出
そうと考えているが、すでに従来同社が販売していた水性ニスに比べて優れた点をいくつか発見しており、中間的な感想としてはかなり期待が持てそうである。
提供された試供品は4種類あり、メーカー発表の仕様概略は以下のとおり。
商品名
水性フローリング用ニス
水性外部用ニス
水性サンディングシーラー
木のヤニ止めニス
成分
ウレタンディスパージョン塗料
アクリルシリコン樹脂
アクリルエマルジョン
天然材料(シェラック)
乾燥時間
1時間(20℃)
3時間(20℃)
2時間(20℃)
1時間(20℃)
塗り面積
畳7枚/リットル(1回塗り)
畳3枚/リットル(2回塗り)
畳6枚/リットル(1回塗り)
畳13枚/リットル(1回塗り)
うすめ液
水
水
水
アルコール系専用うすめ液
特徴
UV、セラミック塗装の床や床暖房の床にもOKの上塗り用。 塗膜が極めて丈夫。
塗膜が丈夫で耐候性に優れる。 防腐効果も高い。
水性ニスの下塗り塗料で透明仕上げ用。
木部ヤニ止め下塗り塗料。 人畜無害な天然材料
上記中取り敢えず試したのは水性フローリング用ニスである。 そうした理由は簡単で屋外用のニスの場合太陽の直射日光、雨や、大きな気温の変化という塗料にとって大変厳しい環境が存在するのだが、それらに対する耐候性がどうであるかは、塗装してから屋外放置し1-2年経たないと本当に優れているかどうかの判断が出来ない。
一方屋内用であると擦れに対する丈夫さ、温度に対する特性、塗りやすさ、刷毛目の付き具合、などは短時間に良し悪しが判断できる。
120ml
の
水性フローリング用ニス
の試供品は大きな面積は塗れないが、プリンター置き台のワンバイフォー材使用部分の塗装には丁度良い量だ。 実は大きな勘違いを後で発見するのだが、2回塗りで試してみた。
写真で見てお分かりのように淡いベージュ色のエマルジョンとなっているが、乾燥後は無色透明に仕上がる。 特筆すべきは伸びの良さで、希釈することなく刷毛目も全く付かずに塗装が可能だ。 これは塗装の難易度をかなり下げてくれそうである。 また水性塗料によくある乾燥の速さはこの塗料でも例外ではなく、メーカーの発表値は1時間
(20℃)
となっているが、30分も経てば指触乾燥状態になる。
2回目の塗装が終了後塗膜の様子を確認したが爪を立ててのこすれの実験ではかなり耐性がありそうだし、水性塗料というとよくある「ひっつき感」も殆どなく良さそうだが、表面の艶は今一歩でとてもメーカーが言う1回塗りで済むとは思えない状態だった。 ここで何気なくカタログを見て吃驚! この塗料は既に塗られているフローリングの上塗り用であり、無塗装木部には使えない!と書いてあるではないか!
そこで翌日和信ペイントに電話し、それ以外の質問事項をまとめて尋ねた。 以下はそれにより得られた情報である。
1.水性フローリング用ニス
既に塗装されているフローリング材の上塗り用のニスで、主成分はアクリルウレタン。 こすれには極めて丈夫であり、姉
妹品の業務用は体育館の床用に使用されているくらい丈夫。 また耐熱性も高い(100-110℃)。
無塗装部分に塗った場合塗膜が薄くて肉乗りも少ないのでかなり塗り重ねをしないと艶が出てこず現実的ではない。
その場合水性サンディングシーラーを塗ってから塗装すれば良いが、水性サンディングシーラーはアクリル系なので、擦れ
に対する耐性は若干低下するものの、床用でなければ十分な擦れ強度を持つ。
2.水性外部用ニス
主成分はアクリルシリコン樹脂で、外部用として使ったときの耐候性は油性ガードラックよりは低いが、油性ウレタンニスよ
りも高い。 防腐性能もあり一般的に使いやすい。
3.水性サンディングシーラー
主成分はアクリル樹脂。 水性ニスは油性ニスに比べて肉乗りがよくない部分をカバーするために下地材として有効。
但し油性系のニスの下地としては密着度が低いためにお奨めしない。
4.木のヤニ止めニス
主成分はシェラックで天然材料。
(註: この材料は食料品や化粧品にも使われるくらい安全性が高い。)
ヤニ止め用の水性ニス用下地材用としているが、これのみの単独塗装も無論OKである。 溶剤は専用うすめ液を使用す
るが、アルコール系なので刺激臭は少ない。
ところで今回塗料以外の大きな発見があったので、それについても触れたいと思う。
それは水性塗料に使用する刷毛なのだ。 実は油性塗料に私がお薦めしているヤギの毛100%の刷毛
は水性塗料に対する相性が悪い。 何故かと言うと水性塗料をヤギの毛
100%
の刷毛に含ませると刷毛
が硬くなってしまい、油性塗料の塗装に際してあったデリカシーがどっかに飛んでいってお世辞にも巧く
塗れなくなるのである。
和信ペイントはこの点に着目し水性塗料の塗装に最適な刷毛を新製品として発売した。
実はこの新製品は
100%
合繊の刷毛にも拘らず価格はヤギの毛
100%
の刷毛よりも高価とあって、大変ネガティブな印象を持っていた。 しかし実際に使わないとその真価は判らないので、
30mm
の物を今回
スライド・回転式収納棚
の塗装にホームセンターで購入した
\500
程度の表示された
50-70mm
の刷毛と一緒に使ってみた。
その結果は大変驚くべきもので、ホームセンターで購入した刷毛は毛の根元に近い所がどんどん固まりだしてしまい、20畳ほどの2回塗りで3本捨てる羽目に陥ったのに対し、この
30mm
刷毛は水洗いしながら6色の水性ペイントを塗り分けたにも拘らず、根元が固まってしまうこともなく新品に近い状態で使用でき、更にはプリンター置き台の水性ニス塗りをこれで完了させることが出来てしまったのである。
どうやらこの刷毛に使用していうる合繊の毛はナイロンなのだが何らかの表面処理が施してあるらしく、塗料が付着して固まり難いようだ。 しかし塗料をたっぷりと含める能力はしっかりと有している。 塗料が付着し難いのは毛の表面張力が低い点にもあるはずなのだが、それを独特の断面形状をもった毛の組み合わせで、全体としての表面張力増大につなげた結果として塗料をしっかり含んでくれているようだ。 こんな経験はこれまでに使った合繊の刷毛になかったことで、塗りごこちも適度な腰があり塗りやすかった。
実際のところ6種類の色の水性ペイントを塗り分けて、最後にはニス塗りまでやってのけた上で乾燥後はほぼ使用前の状態!という高寿命は単価が少々高くても充分に割安感がある。
「やってくれたね!和信ペイントさん!!」
という思いが残った次第で、高くてもそれなりの価値観のある一品だ。
以上の5品目は
mini-Shop
での扱いが大変濃厚になってきているが、もう少々実験・テストを重ねた上で、上手な使いこなし方法も含めて改めてお知らせしたい。 これでやっとお奨めできる水性ニス塗装材料が提供できそうになってきている。
次の作品は全面的に水性ウレタン塗料群を使用しています。 使用結果は極めてよく塗装後の実使用において油性ニスとの比較で劣る部分が全くないことを確認しています。 クリックして詳細をご覧下さい。
A4サイズの箱
2005/12/02 製作完了
クリスマス用テーブルランプ
2005/12/09 製作完了
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