HOME
サイトマップ
アマ的手法
材料
工具
作品一覧
リンク
mini-Shop


 
スライド・回転式収納棚
   
 2005/04/29

構想

 そのうちに作らないとならないだろうと考えていた大型の棚が急に必要になりまし
 た。 実はmini-Shopで販売する商品を在庫しておく棚なのですが、これまで娘が
 使っていたスライド式の本棚を拝借しておりましした。
 ところが間もなくやってくるゴールデンウィークに引き取るとの連絡があり、急遽対応
 策を考えねばならなくなったというわけです。

 これまで使ってきたスライド式の本棚(左の写真)は高さが1,700mm、幅900mm
 奥行き450mmのもので奥行き方向を2分割して収納力を上げるために手前の棚は
 横にスライドするようになっています。

 これに対し考えている棚は奥行きは同じ450mmですが、高さは2,400mm、幅
 1,800mm
と容積は2.6倍くらいのものを想定しています。  久し振りの大型テーマ
 の製作と言う訳ですが、既製品にはないユニークなものにしたいと考えています。

 想定しているサイズの中で奥行きについては450mmという値は商品にとっては深すぎ
 ます。 大半の商品は150mm-250mm辺りが最も使いやすそうなので、奥行きを浅く
 したい所ですが、収納力を上げようとすると横幅が大き過ぎ設置場所に不都合です。

 そこで前後に棚を配して手前をスライド式にするこれまで使っていた本棚と同じ考え方を
 基本的に取らざるを得ません。 但しスライド式の棚にも収納効率で問題があります。

 左の図は既製品のスライド式の棚を上から見たところですが、スライドさせるためには手
 前1箇所は空きスペースとしないと、奥の棚のものが出し入れできません。
 従って使えないデッドスペースが出来てしまいます。




 この問題を抜本的に解決する一つの構
 造として、現在左の図のようなものを検
 討しています。

 手前の棚2つはスライド式ですが、左端
 の棚は左手前角を中心として回転する
 構造にします。

 こうしてやれば奥の物を取り出すときに
 は、左端の棚を手前にあけてスライド
 棚を移動すればよいわけで、無駄な空
 間は全くなくなります。

 但しアイデアはこれでよいとしても、回
 転軸をどうするかが問題で、重量級の
 扉用蝶番の採用になるのかな?と想
像しています。 

 また本体の安定性や倒壊防止についても考えねばならないなど、慎重に設計を進めねばなりません。 それと板取りをうまく考えないと結構無駄が出そうですので、棚の奥行きの種類もうまく考える必要がありそうです。

 幸いスライド式書棚用のレールや車輪などの部材は入手可能ですので、調達部材としては左端の
 棚を支えて回転させる蝶番の選択に手間取るかもしれません。

 構想段階のイメージ図は左のようなものですが、細部の寸法などはかなり最終的には変わるでしょ
 う。 製作開始は5月中旬になるかと思いますが、片開きの棚は別としてもスライド式の書棚を作っ
 てみたいという方の参考になるテーマと言えますので、勘所みたいな部分は詳しくお知らせしたい
 と思います。

 また全体の大きさに比べれば奥行きは浅いですから家屋に固定しないと地震などの際には容易に
 倒壊してしまうでしょうから、先日作ったばかりのアイアンセンサーが活躍する場面が出てきます。




2005/05/06

詳細設計・検討

 本テーマにおいて実用性と充分な強度のとれるものを作る上
 で鍵を握る部分は、回転棚の回転機構をどうするかに絞られ
 ます。 それように作られた回転軸はないので、重量級扉用
 の蝶番を流用するしかなさそうです。

 とは言ってもご存知の通常の蝶番の大きいやつでは強度が
 満足できたとしても取り付け精度が大変シビアで、スライド蝶
 番のように位置調整が簡単に出来ません。

 いろいろ調べた所、荷重30kg程度まで耐えられる蝶番で3方
 向(上下、左右、前後)の調整が可能なものが見つかりまし
 た。 (左の写真と右の図面参照)

 税込み定価が\3,654.-とかなり高価ですが、蝶番取り付け
 部分の彫りこみが全く不要のようで簡単に使えそうです。


 もうひとつの金具(スライディング棚)は以前から
 目を付けていたものがありますので、それらを元
 に構想を具現化しうまく行けそうかどうかの設計
 に入りました。 (右の図参照)


この段階で大事なことは板取り効率を加味した設計を心掛ける必要があります。
とはいっても寸法上実用性を無視した設計は意味ありませんから、収納する物品の寸法を整理して効率よく納められる棚の奥行きを考えておかねばなりません。

色々考慮すべきエレメントがありますので、整理していじれない寸法、適切で余りいじりたくない寸法を先ず押さえました。

1.スライド棚レールの長さと棚の総幅
  販売されているレールの定尺は1,800mmでこれはいじれません。 これに左端の側板の厚みを加えた1,818mmが自動的に
  収納棚の総幅になります。

2.棚の奥行き
  これは450mmに限定します。 この寸法をどう前後の棚に振り分けるか商品の大きさを一通り測り、何度か計算した結果、奥
  の棚を250mm、手前の棚を195mmとし前後の棚の間に5mmの隙間を設けることにしました。 背板は奥の棚には付けません
  が、手前の棚には通風も考慮して3mm厚の穴あき合板を貼り付けることにします。
  従って手前の棚の正味の奥行きは192mmとなります。

3.棚の内幅
  奥の棚は総幅1,800mmでその間に3枚の側板が入りますので、内寸は1,746mm残ります。 それを3等分し582mmを奥の
  棚の内寸幅としました。 手前の方は回転棚とスライド棚2つが並びますので、棚の側板分の厚みは108mm、棚間の隙間を合
  計で6mm取りますと残りが1,686mm、これを3等分して562mmを内寸幅としました。

 以上を元に描いた設計図が左です。
 また大雑把な板取りを考えました。 5回ほどやり直して、これなら
 かなり効率が良さそうだとのアイデアが出ましたが、4 x 8の合板
 を5枚、3 x 6の合板を3枚使い余りはかなり僅かです。 (右図)

 これで主要な材料を見積もってみると、板材(合板)が5万5千円程、
 金具類が1万円、その他の大きな出費は塗料で約\5,000.-、
 しめて7万円強で作れそうなことが判ってきました。

 図を見て判るように棚板が大変多く13段もあるため材料負担増に
 繋がっています。

 この辺を再検討すれば未だ下げられる余地はありますが、板取り
 効率にリンクしないと下がることはありませんから、慎重に考える
 必要があります。

 それと私がよくやる検討漏れや勘違いの部分がないかどうか少な
く共あと数回は各部の確認をしないと設計終了とは参りません。  それと撓みや歪みが発生して
使い物にならないようもう少し回転棚とその蝶番にかかる応力についても検討しておく必要があります。


 左の図は扉の蝶番にどのような力が加わるのかを検討してみた図です。
 図中の扉が均一な物質で作られていれば、その重心は扉の中心にあります。 そしてその
 重量をAとします。 Aという荷重は、重心位置と上下の蝶番を結んだ線に沿って、BC
 分解されます。 そして大事なことはBは蝶番を引っ張るように、Cは蝶番を押すように作用
 します。

 次にBCに分かれた力はそれぞれの蝶番に対して、B'B''。 C'C''。という力に分解さ
 れます。 扉の重心が扉の中央にあり、蝶番の取り付け位置が扉の端から同じ距離にある
 とすると、B'C'は同じ力ですが作用する方向が反対で、この扉を左に倒そうと働きます。

 B''C''も同じ強さの力で方向は同じ垂直方向で合成されるとA(扉の重量)と同じ値になり
 ます。

 撓みや扉の傾きを考える時には扉を閉めた状態(棚が収まった状態)と、扉を90度開いた状
 態(棚を壁に当たるまで開いた時)の両方を考えねばなりません。

 まず閉じている時ですが下の蝶番を押す力(C')は側板の裏が壁に密着しているため先ず
 問題にならないと思います。 問題は上の蝶番でこれを引っ張る力は側板の撓み(膨らんで
 くる)
をもたらす可能性があります。


 これの防止策は側板のこの辺りを壁にしっかりとネジで固定できれば万です。  私が収納棚の奥
 行き450mmに拘ったのは、間柱がこの付近辺りにあって固定できる可能性が高いためですが、そ
 れを確認するために最近製作したばかりのアイアンセンサーを使って調べました。 (左の写真) 

 センサーを使ってネジ位置を探している動画をこちらからご覧いただけます。 
 センサーをタテ・ヨコ・ナナメと移動させながらネジ位置を特定する様子をご覧下さい。


 尚動画を見るにはQuick Timeが必要です。 お持ちでない方はこちらからダウンロードしてインス
 トールしてください。


 その結果奥の壁面から406mmの位置にネジがあることを発見しました。
 ここから上下にアイアンセンサーを移動してみると30-45cm毎にネジが見つかりますので、間違い
 なくこの位置に間柱が入っていることが確認できたわけです。

 従って収納棚本体の左側板は奥から約400mm前後の所で壁に締結できることになり、上記の撓
 み(膨らみとなって現れる。)防止の上で大変有利になります。

 ちっちゃなそれこそ馬鹿にされそうなアイアンセンサーが見事に活躍してくれた場面でした。


ところで収納棚を開いた時にはB'C'、それぞれの力は、蝶番固定部分へのせんだん力(ずれの力)となって現れます。 これへの抗力は殆どネジの引き抜き強度で決まりますが、指定されているのタッピングネジ4本止めであれば、引きぬけてしまう危険性はかなり少ないと思います。

 それと重心位置は収納するものの配置の仕方によってずれてきますが、考えやすくするために上下にず
 れて扉の重心が蝶番の高さと同じ位置になった時にどうなるかを考えます。

 左をクリックすればどうなるかは一目瞭然です。 面白いことに重心が上の蝶番と同じ高さになった場合、
 扉重量は総て下の蝶番に掛かり、重心が下の蝶番と同じ高さになった時には扉の重量は総て上の蝶番
 に掛ります。 この間蝶番を押す力や引っ張る力(B'C')には全く変化がありません。

 もうひとつのケースは横方向に重心がずれた時にどうなるかです。  右の図が
 同様に応力の変化を描いてみたものですが、結論から言うとB'C'という扉を倒
そうとする力は重心が蝶番から離れると増大してゆき、蝶番に接近すると急激に小さくなります。
この時に蝶番の垂直方向に掛る荷重の合計は全く変わりません。 扉ではこのような重心の移動は発生しないのですが、収納棚になった場合には起こり得ますので注意する必要があります。

考え方としては、収納棚の幅を広くしすぎないようにする。 収納棚に入れるときには重心が蝶番の方に寄るように工夫すると耐荷重は上がる。 という実生活で気づいている結論になります。

以上の考察はかなりラフなもので、実際には蝶番の構造がそれほど単純なものではありませんから、蝶番の耐荷重を決める要因は大変複雑です。 そこでメーカーに問い合わせてみた所、

「扉の全荷重が片方の蝶番に掛ることがあり、使用する個数を増やしても耐荷重が増大するとは限らない!」

とのコメントがありました。  これを言い換えると、メーカーが発表している耐荷重(約30kgは1個で得られる値と理解して良さそうです。 となると重心移動があっても総重量が30kg以内であれば問題ないことになります。 それと棚の幅は600mm弱であり平均した扉幅が770mmであるのに比較し狭いですから、上で述べた理屈で耐荷重の上では有利になります。

(大雑把な計算では600mm幅の収納棚を倒そうとする力は30%近くも減少します。 無論蝶番にかかる垂直方向の力は変わりませんから耐荷重がこれに比例して増大するわけではありませんが。)

多少の紆余曲折や理屈っぽいことを申し上げましたが、蝶番の本来の使い方ではないだけに何か拠り所が必要なため、検討をしてまいりました。 そしてこの蝶番が回転棚用に使い物になりそうなことだけははっきりしてきました。



2005/05/13

最終設計

大型の家具、特に高さが部屋の天井と同じになる場合には完成してから据え付ける場所に運び込む!という手段は取れず、据え付ける場所の近くで最後の組み立てをしなければなりません。 また組み立てに大人数が必要にならないように考えねばなりません。 これらは構造上の配慮が必要になります。 おかしな構造にしてしまうと組み立てられない!或いは所定の強度が取れない!という矛盾を起こしてしまうからです。

 先ず台座ですが田の字型に組んで補強を充分にした枠に台板を載せて固定するという大変簡単な
 構造にしました。 補強としては横1直線に2本の板を通し1本は固定棚の側板の端が載る位置
 に、そしてもう1本はスライド棚のレールの真下に入れて横方向の撓みを抑えます。
 更に固定棚側板の真下になる部分に短い補強板を挟みます。 これらは木ダボ併用のネジ止めとします。 ネジの頭が見える個所がありますが、強度優先として目をつぶることにします。  この台座の組み立てはどこでも製作可能ですから、平らな床の部分で歪みが出ないよう組み立てて設置場所に運びます。

 問題は本体不可動部分の組み立てです。 組み上げ後には左のような構造をイメージしております。
 タテの一点鎖線はアイアンセンサーで特定できた壁裏の間柱や柱の中心線を表します。 そして小さな赤丸は壁
 に締結するネジを表しており家屋と一帯になるようにします。

 この状態になるまでの組み立て手順を時には余り腕力が無い家内の手を借りるだけで組み立てられように考え
 ねばなりません。(余談ですが数年前まではパワーが有り余った息子たちが同居していましたから、かなりの力
 技が必要なやり方も出来ましたが、現在は家内以外おりませんので悩むわけです。)


 思いついた手順は次のとおりです。 (左の図を参照。)
 予め固定棚の真中の部分となるブロックAを床の上で直角度やねじれに注意しながら組み上げて
 おき、これを台座に木ダボを使い固定します。 この木ダボは固定にネジを使えないため位置決め
 精度を上げる点で結構重要です。 このブロックAの予測重量は、18mm 3 x 6 合板の重量より
 若干軽いはずなので、私が持ち上げて木ダボに落とし込むのに手間取ることは無いでしょう。

 次に左側の固定棚となるブロックBを予め組み立てておき、これを左側に接合します。 この接合には木ダボとネジを併用しますが、ネジ打ちは赤矢印のように斜めに打ち込むようになります。 左の側板の下部は単純に左からネジ数本で固定するだけです。

 次の作業は右端の固定棚部分の組み立てで、ここだけはブロックにしてしまうと嵌め込むのに大
 変苦労するはずなので、総ての部材を現場組み立てとします。 しかしどのようにやるのかこの図
 だけでは判らないと思います。 後ほど作業の様子の写真で実際のやりかたをお見せします。
 ここでも木ダボとネジ併用で、一部のネジは斜め打ちになります。

 これが終わったら壁に本体を移動し(家内と二人でやっと移動できる?)、天板を乗せて下からネジ
 止めし、左の壁と奥の壁に本体をネジ止めで固定棚部分の組み立て終了!となります。

以上の説明で触れておりませんでしたが、最終的に奥の壁に締結するために存在する緑色の板ですが、これは組み立て途上で、ブロックAやブロックBの状態の時に棚板が撓みやすくぶらついて接合部分が破壊されないための支えにもなるはずで、どうということ無いかもしれませんが、結構知恵を使っている部分にもなっています。

過去の大型収納家具の製作の過程で得た知恵をフルに使っているつもりですが、こんな手順を考えることは加工技術とか器用かどうかとは全く無関係で、大型収納家具を簡単に作れるかどうかの分かれ道になってしまうと言っても過言ではありません。

 最終設計に影響するものとして、スライド棚に使う金物が寸法上どう影響するかを確認しておかね
 ばなりません。 金物類の詳細な寸法は入れてありませんが、メーカーの指定どおりに取り付けた
 らどうなるかを描いてみたのが左の図です。

 一通り説明しますとスライド棚底に付く車輪は幅13mm、長さ40.5mm、埋め込み深さが21mm
 あります。 使用予定の18mm合板では3mm突出します。 この為にだからと言って24mm合板
 にその穴を彫るのは、面倒なことと板取りの無駄が多く出ます。

 そこで私のお得意の貼り合わせ法を使います。 底板を作るのに18mm合板と3mm合板を貼り合
 わせ車輪を埋め込む穴を貫通穴としてあけます。 その後3mmの合板を更に貼り合せるという魂
 胆で、最終的に底板は24mm厚となります。

 次が最上部のガイド車輪ですが、メーカーは外寸で幅22mm、高さ13mm、厚み1mmのコの字型
 のアルミ押し出し材を指定していますが、長さが3,700mmもあり無駄が多く出るので、この寸法は維持しながら、ホームセンターで入手可能なコの字型かL字型の押し出し材を使って作り上げようと考えています。

但し18mm合板に13mmの溝を彫りこむと彫りこんだ部分が薄くなりすぎて強度的に問題となりそうですから、その部分に12mm厚の板を貼り合わせて補強することにします。

こうして上下の空き寸法を2.5mm6.5mmと決定しここからスライド・回転棚の高さを算出した所、2,203mmと求まりました。 尚最上部と天井の間には計算上手前側で38mm、横には50mmの空きが発生します。 これらは完成後に板を貼りまわして埋めてしまいます。 無駄と言えば無駄な空間なのですが、これがないと組み立てが出来ません。

 というような検討を加え寸法の微調整そして部材の再確認をもう一度した
 上で、寸法図を最終的なものとしました。(左の図及び右の図)

 以前触れた棚板の段数は固定棚側は10段、スライド・回転棚側を13
 とすることに変更しました。 固定棚は奥行きが深いのに比例させて棚の
 高さを高くした!とも言えますが、高さ可変の棚は固定棚の場合55mm
 間隔で、スライド・回転棚は42mmステップで高さが可変できるようにしま
 した。

 こうすると3 x 6 18mm 合板1枚分節減でき、しかも端材の量は構想段階
 の時より減るという好都合な結果をもたらしています。
 (私の買値で約\3,500.-の節減です。)

 棚板高さ可変はニッケルダボを使いますが、合計でオスのダボが204個、メスのダボが936個と
 大変多く、部材見積もりのアップ要因になっています。(ダボだけで\15,000.-近くになる。)

 そして最終寸法図を元に板取り図も最終としましたが、棚板段数節減が
功を奏して3 x 6 合板1枚分材料が減っています。 それ以外に構想段階では入れていなかった 3 x 6
3mm
穴あき合板が3枚加わりましたが、手元に以前の残りが2枚あるため追加購入は1枚で済みます。

これでまだ引当が済んでいない部材が数点残りますが、それらは手持ちの端材で対応する予定です。

最終的な材料見積もりとしては、

    合板類:  \53,000.- (前回計算しなかった3mm穴あき合板を含む)
    金物:   \26,500.- (ニッケルダボの算入が大きい。)
    塗料:    \5,000.-
    その他ネジ・接着剤など

で合計\85,000.-くらいになります。 構想段階の見積もりでは\70,000.-でしたが、ニッケルダボを入れていなかったのが響いています。 今回のテーマは金物の負担がかなり大きいですがそれでも木材が全体の62%を占めます。 コスト低減には木材が鍵になると言う原則は今回も変わりません。



2005/06/03

主要部材調達完了

いささかスタートが遅れ気味ですがやっと主要部材が届きました。 それらを簡単にご紹介しておきます。

木材は4 x 8 18mmのラワン合板5枚と3 x 6 18mmのラワン合板2枚、3 x 6 3mmの穴あきラワン合板3枚で、3mm厚のものを除き総て板取り図の縦方向だけは切断して納入してもらいました。

この縦方向の切断だけを依頼してしまうやり方は、手引きで切断する量を極力減らすだけでなく、完成までの材料置き場に苦労しないために必要で私の常道です。 それでも後ほどお見せする写真のようにかなりの場所を塞いでしまいます。

またこうするためには設計段階で、切り出す板の横幅は絶対に設計変更がない!!という詰めが絶対条件となることは言うまでもありません。 一見面倒なようですが、こうすることにより手工具だけでも大型収納家具を製作可能にする極意です。

金物では上部レールを除きスライド棚用に作られた重量級部品と重量級の3方向調整蝶番が届いています。 特に蝶番は大変興味があったので、どのような構造になっているのか眺めつすかめつしました。 上下の蝶番が前後・左右それぞれ2mmずつ調整可能ですから、上と下とで最大4mmが調整可能と実に巧妙な設計です。 上下方向は最大調整範囲が8mmありますが、 扉重量は総て下の蝶番で受けるようになっておりますので、下の蝶番の固定は充分強度に注意する必要があることが判りました。

スライド棚に使う金物では下部の車輪が興味を引きました。 というのはこれまでに一般家庭用のスライド書棚に使われている車輪を何種類か見てきていますが、それらは何れもプラスチック製であったのに今回調達したそれは鋼鉄製で軸受けはスチールボールで埃侵入防止のシール付きのものだったからです。

プラスチック製が駄目ということは必ずしも正しくありませんが、鋼鉄製の車輪でスチールボールの軸受けであれば、耐荷重の信頼性がより高くなるのは間違いありません。 この車輪を受けるレールは真鍮製ですが面白いことに車輪と接触する上面が凸型になっています。 こうなっていると棚を移動させた時に進行方向と直角方向にずれやすくなり、少なくとも調芯機構のような作用をしないのですが、その理由は良く判りません。

毎回のことですが、長い部材を長期間置ける場所はここしかありませんが、縦方向は所定の寸法に切断してあるので2次加工は手工具だけで楽に出来ます。

スライド棚用の金物一式。 印象深いのは4方向からお見せしている下部の車輪です。

それのクローズアップ。 鋼鉄製の車輪で軸受けにはスチールボールを使ったもの。 多分ボールベアリングユニットを使用していると思いますが、耐荷重の高さを想像できます。

下部レールの切り口のアップ。 不思議なことに車輪との接触面は凸型です。 側壁があるので脱輪の心配はありませんが、なんとも理解しがたい構造です。

化粧カバーをつけた状態の3方向調整蝶番。 調整機構無しの普通の蝶番との違いは全く判りません。

化粧カバーを外した3方向調整蝶番のアップ。 左側の写真は扉側と本体側の羽を外した状態で、右はそれらを差し込んだ状態です。 上部用蝶番の受けの軸はスプリングで沈みますので、扉の全重量は下部の蝶番に掛ることになります。 それにしても巧妙な調整機構で、化粧カバーの内側にこんなカラクリが隠されています。



2005/06/10

製作その1

ウェルカムボードが完成しましたので早速こちらの製作開始としました。 気象庁は未だ何も言っていないものの外は今日も雨模様。 しかし殆どの作業を居間の一角で済ませますので、雨が降ろうと私にとっては関係無しです。

製作順序は配達された板を積み上げたのを確認した所幅193mmの板14枚が一番上にあり、これらは手前のスライド及び回転棚に使われるため、それらから始めることとしました。  順当な考え方は本体からかもしれませんが、設計寸法は5-6回確認して問題ない自信がありますので、37枚も積み上げられたのをひっくり返すことなく上から使って行こうというわけです。

棚作りは簡単に出来そうですが、どっこい高さ可変とするニッケルダボの打ち込みの手間はかなりなものです。 側板1枚辺り90個、側板は6枚ありますから合計540個のニッケルダボを埋め込むわけで、難易度は高くないもののかなりの作業時間が掛ると思われます。  但し穴あけの手間は電動ドリルアタッチメントのお陰でこれまでより遥かに楽に出来ました。 その一番のメリットは垂直に穴をあけることよりも穴の深さを一定に出切る事です。

ノギスでメスのニッケルダボの高さを測ったところ6.5mmでした。 一方8.5φのドリルの先端と穴の底を削る刃の先とは3mm離れています。 従って電動ドリルアタッチメントの穴の掘削リミッターは9.5mmとセットしました。 これで何を考えなくても穴の深さのストッパーまであけてやれば正確に深さ6.5mmの穴があきます。 そしてメスダボを打ち込む際に打ち込み量を確認する必要なく、底当たりするまで打ち込めばよいわけで、従来電動ドリルアタッチメントがなかったときに比べると格段の進歩となりました。

それでも何せ数が多いですから線引きして穴をあけメスダボを打ち込む作業は側板1枚辺り4時間掛っています。 6枚を加工するのに2日半掛ってしまいました。

今週はここまでで、次週は移動棚と回転棚の枠組みと上下車輪の固定などの作業に進みます。

スライド棚/回転棚用の側板にメスのニッケルダボを埋め込む位置を線引きしました。

電動ドリルアタッチメントを使う手順を紹介します。 先ずノギスでメスのニッケルダボの厚みを測りました。 約6.5mmあります。

8.5φ木工ドリルの刃先と中心の先端部分の長さをノギスの段差測定機能で測定しました。

ノギスを裏返すと目盛りが読めます。 約3mmです。

ドリルを電動ドリルアタッチメントに取り付け、ドリルの先端をそっと材料に当てて掘削ストッパーをスライダーの上端に当たるよう(赤矢印先)にして仮固定。 その後スケールを移動して0に合わせます。

掘削ストッパーを緩めて9.5mm(6.5mm + 3mm)下に移動しきつく締め上げて固定し準備完了です。

そして穴あけですが、掘削ストッパーに当たるまで穴をあければよいので、非常に楽に穴あけが可能です。 但し穴あけ位置の調整は慎重にやる必要があります。

穴あけ後ノギスのデプスバーを使って深さを測りました。 約6.5mm、当たり前ですが計算どおりです。 これらのような確認にノギスがあると大変作業が楽に進みます。

1枚分、90個の穴をあけ終わったところです。

ドリルが正確に垂直に当たるため、と穴のあけ始めに出来やすいバリが全く見当たりません。

ニッケルダボの打ち込み手順。 左側がバラの状態で直径は9mmあります。 右のようにオスメスを締結して打ち込み開始です。

穴は8.5φですので、まずこのように穴の中央に乗せて玄翁で打ち込みます。 0.5mmの直径の差が適当なきつさで打ち込まれます。

メスの部分が見えなくなるまで打ち込みばOKなのですが、ドンピシャの深さに穴があいているので、底辺りするまで打ち込んでいます。

オスを緩めて外せば終わり。 オス1個だけは打ち込み専用に使い頭は徐々に潰れてゆきますが、打ち込む数が多いので止むを得ません。

1枚分(90個)を打ち込み終了。 1枚目で手順の確認もあり4時間以上掛っています。

この写真では判りづらいですが、穴の深さが一定なので綺麗に揃っています。

作業に専念できなかったこともあり結局2日半を540個の穴あけとニッケルダボ打ち込みに費やしてしまいました。 でも奥の不可動の棚のニッケルダボ打ちが396個あります。(いささかうんざりしていますが。)



2005/06/17

製作その2

棚ダボの打ち込みが終わったので、スライド棚と回転棚の枠の組立てに入りましたが、これまでの解説でスライド棚に使う部材や取り付けの詳細図は掲載したものの、肝心なスライド棚全体の構造について触れておりませんでしたので、簡単に説明しておきます。

現在書棚を始めとして家具店などで販売されている物は一般家庭で使える軽荷重用と考えてよいと思います。 別に調べてみたわけではありませんが、構造的な観点から最大荷重は数十kg止まりだと思われます。 決して大きな値ではないので棚の奥行きも20cm以下のものが殆どで、荷重が大きくなり過ぎないようにしているように思います。

構造的には殆ど車輪の数は2個になっています。 車輪が2個しか使われていないため数十kg程度の荷重しか許容できないといってもよいでしょうが、だからといって車輪を増やせばよいかというとちょっと違います。  例えば車輪を4個使うとレールを2本使うことになりますが、2本のレールが3次元的に完全に平行になっていないと、また4個の車輪が同一平面状に取り付けられていないと、レールに対して接触する車輪に掛る荷重にばらつきが出てしまいます。 こうした時には最も荷重の掛った車輪で最大荷重が決まってしまいますので、車輪を多くしても最大荷重はそれに比例して改善しません。  なかんずくコンクリートの床に比べたらぶかぶかとも言える一般家屋では工作精度を上げてもレールの3次元平行性を保つのは不可能です。

 ということで一般家庭用のスライド棚では車輪を2個使った物が多くなるわけですが、この構造は引戸と全
 く同じです。 最近の引戸は金属製のレールを敷居の部分に埋め込み、引戸に埋め込まれたプラスチック
 製の車輪がその中に落とし込まれ大変スムーズに開閉できます。 (左の図参照)

 スライド棚はこの引戸の厚みを増して棚板を取り付けられるようにした物と考えると非常に判りやすいで
 す。 ここで使う車輪の耐荷重を上げることにより実用性が増し、プラスチック製でもより破壊強度の高い
 物を使ったり、鋼鉄製の車輪にボールベアリングを組み合わせることにより耐荷重を上げられます。
 またこれに併せてレールも引戸用であればアルミで充分な所を真鍮やステンレスなど、より強度の取れる
 ものに変更するだけで済みます。

但し引戸の上部は窪んだ部分に入れて、扉の厚み方向の揺れで擦れるのを滑りやすくしているだけですが、重量が大きくなるとこの擦れの力も大きくなりますので、回転軸を垂直にした車輪をトップに取り付けて、摩擦力を抑える工夫が必要になります。  この上部の車輪は棚の重心が前後方向に中心から大きくずれない限り大きな負荷が掛るわけではないので、下部の車輪ほどの強度を必要としません。

ということで大雑把に言ってしまえば、スライド棚は「引戸に毛の生えたようなもの!」と言い切っても良いくらいで、軽荷重でしたらスライド棚用に設計された車輪でなくても、比較的重量級の引戸車輪を使うことも可能です。

私が今回使う車輪はスライド棚用に設計された1個で25kgまで耐えられる車輪ですので2個使いで最大荷重は50kgということになりますが、メーカーはかなり安全係数を取っていると思われるので、恐らく70-80kgまで問題ないと予測しています。
(勿論私がそれを保証するわけではないのですが?!)

そういう次第ですので意外に敷居の高くない、どちらかというと簡単に作れるテーマと言えることをご理解ください。

さて今回はスライド棚と回転棚の枠の組み上げまでを済ましていますが、以下の写真でそれらをご覧下さい。

例の作業台をT字型に配置しノコ刃が作業台の隙間を通るようにすれば安定してこんな長い板を切断できます。 後ろが狭いので通常よりノコギリは短く握っています。

6枚の側板を所定の寸法に切断。 固定される棚板12枚、そして下駄となる3mmの合板から切り出した棚板6枚、合計24枚を所定の寸法に切り出しました。

夕食後底板を3mmの板と18mmの板を貼り合わせました。 最終的には更に1枚貼り合せ24mm厚になりますが、完全密着し充分な強度が出るようクランプで締め上げています。

クランプで締め上げて3時間後貼り合せた後の3枚の底板です。 手前の右が斜めになったのが回転棚用になります。

左2枚は左面に3mmの合板を貼ってあり、右端の回転棚の底板は両面に3mmの合板を一度に貼って24mm厚としてあります。 

スライド棚用底板には車輪アセンブリーを挿入する穴位置を線引きしました。 これをジグソーで切り抜きますが翌日の作業としました。

朝一で車輪が嵌りこむ穴をCJ-250で切り抜きました。 21mmの厚みなのですが相変わらず取りまわしがよく、切断後のヤスリ掛けはしていません。 この後もう1枚の3mmの板を貼ってしまいます。

接着硬化の間に木ダボ穴をあけました。 底板の接合部分には全重量が負荷となりますので、木ダボ4本3.3φ50mmのネジ4本で接着と同時に補強します。 電動ドリルアタッチメントがここでも活躍です。

マーキングポンチ併用で木ダボ穴の位置は大変正確にあけられています。

底板の接着開始。 先ず底板の木ダボ穴に木工ボンドをたらしこみます。

そして木ダボを挿しこんだ後玄翁で叩き込みます。

木工ボンドが少なすぎて接着不良は最悪の結果になりますので、たっぷりと塗布しました。 当然はみ出ますが濡れ雑巾で拭き取ります。

そしてネジ止めしその上の棚の固定に進みます。 こちらは大きな負荷が掛りませんから、ボンドにネジ4本で固定しています。

更にその上の棚板を固定し、このあと反対側の側板を同じ手順で接着固定します。

最後に最上段の板を挟んで固定しひとつの棚の枠が出来上がります。

尚回転棚の右側の側板は斜めに接着されこんな風になりますが、赤線の右側の出っ張りは後で削り落とします。(カンナか電動トリマーを使う予定。)

スライド・回転棚枠が組み上がった状態です。 枠の直角度の狂いが出ないためには接着剤が完全硬化するまでは寝かしておいた方が良いのですが、場所がないので立ててあります。 この状態でひとつの棚の重量は12kgあります。



2005/06/24

製作その3

製作開始後第3週になりましたが、残っている長尺の板を所定の寸法に切断することに先ず専念しました。 奥の移動しない固定棚用部材や移動棚用高さ可変棚は総て翔265による手引き切断としましたが、台輪の仕切りとなる部材は直角度が非常に重要なのと幅82mmしかないため、ソーガイドを使った切断としています。

直角度が非常に重要と書いた理由は接合個所が大変多いことにあります。 後ほどお見せする図面を見ると判りますが、前後方向の中仕切りの接合個所が6箇所もあり。これが最もクリチカルです。 直角度が出ていなければ、枠は捩れや撓みでどうしようもなくなります。 特にこの収納棚の全重量を出きるだけ分散してu辺りの荷重を減らすには、台輪の枠各部が均等に床に接触してもらわなくてはなりません。

また移動棚を左右に移動した時に撓みが残っていると棚がよろけるよう移動するはずですので、このためにも出きるだけ正確な枠にする必要があります。 とは言えソーガイドを使えばその加工は極めて容易に進みます。

66枚の部材を切断した後はこの台輪の組み立てに入りました。 これだけは全長1800mmですので、1階で組み立てて運び上げるのも容易です。 組みあがった台輪に底板を貼り付けて1晩寝かし木工ボンドを完全硬化させて翌日屋外で下レールを嵌め込む溝を電動トリマーで加工ともくろんでいたのですが、雨模様で見送りとなり、結局今週はここまでの作業で終わりです。

来週は梅雨前線が南に後退するとの予報(当たればいいんですが?)ですので、電動サンダーによるペーパー掛けやトリマーによる加工を一気に屋外でやらねばと考えています。

先週お見せした替刃式ノコで切断している所が逆光でよく判らないとの指摘がありましたので、逆から撮影しました。 目線が切断部分の真上にあることに注目。

左足で材料を押さえノコギリは両手で握っています。 そして作業台の隙間を刃が通過しています。 こうすると切断後材料が落ちる心配無しです。

台輪を作る部材は直角精度が大変重要なので、念のためにソーガイドを使っています。

奮闘およそ1.5日で残る部材合計66枚の切断が終りました。 残る切断はごく僅かとなります。

 その結果リビングルーム一角の作業場はこんな状態になります。 奥の工作台の下にはのこぎり切断屑が2cm近く
 積もって? います。  無論掃除機を掛けてしまえば、綺麗になりますが?!

これもリビングルームの一角ですが、定番の材料置き場はごらんの通り殆どなくなりました。 予備加工は山を過ぎたと言うことです。

さて台輪の組立てに入ります。 枠は最も単純な芋接ぎで、木工ボンドで接着しますがネジで接合強度を上げ密着度を高めます。 問題は組立て順序を間違えると、ネジが締められなくなるので、そのコツをお見せします。

先ず図面の青のネジを打つ作業です。(勿論木工ボンド併用です。)

その裏側にもう一枚の板を赤のネジで斜め打ちして固定します。

このように十字型に組み上がりました。

もう1個所も同様に組み上げてやります。

もう一枚の長い板に青のネジを打ち込み短い板を固定しました。

その板を十字型に組んだ板の上に乗せて固定しますが、赤のネジで斜め打ちとなります。

ここまで出来たら真横から見て変な捩れや曲がりが出ていないか十分確認します。

そうしたら外側の長い板を固定します。(緑色のネジです。)

最後に両端の板を紫色のネジで固定して枠が出来上がります。

これは裏から見ていますが、出来上がった枠に台板を貼り付けました。 無論ネジ止めしています。



2005/07/01

製作その4

本体の組み立ての前の予備加工がまだまだ残っています。 その中で先週組み立ての終った台座にレールを埋め込む作業から始めました。 私は18mm合板の台座の上板に幅12.6mm、深さ5.5mmの溝を電動トリマーで彫ってしまいましたが、電動トリマーがなくても12mm5.5mmの合板貼り合わせで溝を作ることも可能です。(詳細は省きますがどうすればできるかは考えてみてください。)

さて溝の幅を12.6mmとしたのはレールの埋め込み部分が13mmあることによります。 0.4mm溝幅が狭いので上から叩き込み圧入することになります。 この理屈は9mmのニッケルダボを打ち込むために8.5mmの穴をあけるのと同じです。 そして溝幅はかなり正確にしないと圧入できず浮き上がったり、きつ過ぎて圧入出来なくなります。

その溝堀に私は6mmのストレートビットを使いましたが、リョービの電動トリマーの台座の幅が90mmであることを元に、2本のガイド棒を所定の位置にネジ止めし、何を考えなくとも12.6mm幅の溝が彫れるようにしています。 このガイド棒を正確に固定するのがミソですが、その為にはノギスが絶対に必要です。(メジャーや曲尺では精度が保てない!)

その次の作業は奥の固定棚側板へのニッケルダボ打ち込みです。 手前の棚に比べると間隔が少し広いので打ち込む本数は少ないのですが、それでも400個近くありますからこれまた時間の食う作業でした。  更に固定棚との結合部分に木ダボ穴をあけますが、ここで使う木ダボの目的は接合強度を上げると言うよりも、組立てを容易にするという意味合いの方が強いので1箇所辺り2本の木ダボしか使っていません。

そして左端の側板を除き3枚の側板を台座に固定する位置決めの木ダボ穴をあけて予備加工は終了です。
来週はやっと本体の組み立てに取り掛かれそうな気配となってきました。

6mmのストレートビットで12.6mm幅の溝を彫るには、ガイドとなる棒2本を溝の中心から48.3mmの位置に固定すれば良い。(リョービのトリマーを使ったときの値です。)

そのとおりに準備した所。 棒の間隔はノギスを使えば極めて正確に確認できます。 (96.6mmドンピシャです。)

左側のガイドの棒に沿わせて切削開始。 最後まで進んだら戻りは右のガイド棒に沿わせて切削します。 

真中に僅かな未切削部分が残りますが、トリマー台座をややネジってガイドに当て、削り落とし終了です。

削り屑を払い落としてレールを当て木をしながら玄翁で叩き込みました。

奥の棚の側板3枚を固定する位置に木ダボ締結の穴をあけました。 1箇所辺り3個としています。

メスのニッケルダボ打ち込みがまだ400個近く残っています。 忍一筋の加工です。

予備加工が終わった奥の固定棚側板は台座に木ダボ3本で位置決めしますので、マーキングポンチを使って慎重に穴あけ位置を決定します。

台座に側板を乗せた全景。 天井との隙間は30mm程度しかありませんが、2階の天井高は更に10mm前後高いのでもう少し隙間が出来ます。



2005/07/08

製作その5

残る予備加工が終了した後に部材を総て2階に運び上げ、本体組み立ての作業に入りました。
最初にするのは設置場所の準備です。 これまで大型収納家具を作った際には、設置場所のカーペット、幅木、周り縁などは総て取り去って壁面に密着して固定するのが原則でしたが、今回は幅木と周り縁はそのままとし、カーペットだけを取り除くやり方としています。

そうした理由は、作業が簡単になるという手抜きの理由以上に、棚の中の換気というか空気の流通を少しでも良くしたかったという理由が大きいです。 中に入る物は商品ですから間違っても金属部分に錆びが出る!なんてことは許されません。 しかし空気の流れがなくよどんだ場所では現在のような高湿の季節には吃驚するくらい早くさびが出てくる経験を何度もしています。 隙間が多いということは埃も進入しやすくなりますが、それよりも錆びなど湿気による被害が出ないことが優先されます。

幅木の厚みは12mmありますので、棚の右横と上部にその隙間が自動的に出来るわけで、十分な空気の流通が図れるでしょう。

さて本体の組み立ては、「一人でできること!」を約束してきました。 そしてその通りに実現していますが、構想段階で解説したのとは少し変更しました。 最終的な方法はより合理的で力も要らない方法です。 過去には一部の組立てで必ず家内の手を借りていたので、「組み立てが終ったよ!」と家内に声を掛けた時には、「えっどうやって組み立てたの?」と家内も驚くほど順調に進んでいます。

また組み立て後の総合的な寸法精度、直角度、垂直度も誤算の範疇と言えるほど良好な結果となっていますがそれらは、

  1.肝心な部分の正確な切断(寸法精度が所定の寸法+0.0mm-0.3mm以内で加工した。)
  2.隙間の少ない接合・締結


によって実現されています。 寸法について+0.0mm、-0.3mmとしたのは、接合を重ねていった時に総寸法が大きくなるのを防止する為で、こちらで解説しています。  加工については正直言って総ての部分をこれらの精度で仕上げたわけではありません。 むしろ実用性が満足できれば良いので、かなり雑な加工をした部分もありますが、押さえるべきところは押さえた!というのが本音です。 その結果垂直度は上部と下部で最大1mmのズレ!という良好な結果となっています。 次週に取り掛かる回転棚の蝶番取り付けでも調整で苦労することはないと思います。

やっと大きな山を越えたな!という感じがしており、残る加工は来週終了し完全完成の時期は塗装次第!というところまで来ました。

設置場所のカーペットの切り出しが本体組み立て前に必要です。 カーペット折り返しを残す為台座より10mm短く切断します。

カーペットを切り取った所。 黒っぽく見えるのは私がスピーカー製作で吸音材として使う粗毛フェルトです。

その粗毛フェルトは台座より35mm大きく切断しておきます。

粗毛フェルトを切り取るとコンパネの床板が露出します。 この上に設置というわけです。

更に周りに打ち込んであったカーペット固定の板を取り除いて準備完了。

カーペットを切り抜いた部分に台座を落とし込みますが、左端は十センチ程空けておきます。


一番左端の側板に固定棚板を木工ボンドとネジで固定します。 棚板の奥の部分は壁にネジ止めするためL字型になっており、片側を固定しただけで結構ぐらつかなくなります。
 

その左端棚板を壁に寄せて立てかけました。 そのままでは倒れてしまうので残りの側板で抑えてあります。 そして棚板が垂直に立っているかどうか下げ振りで確認します。 側板上部で約2mm手前の方に傾いていることが判りました。 これはこの側板を固定する時に修正します。

次に台座を左の壁方向に押し側板を挟み込みます。 そして左から2番目の側板を固定してから、そーっと台座を20cm程移動します。 その上の側板などはかなりぐらつきますので慎重にします。 

そしてスペーサー(縦に見えるこげ茶色の長い板)を間柱の上にネジ止めしておきます。 (間柱は事前の調査で右の壁から406mmの所にあることが判っています。)

そして左端の側板と台座をネジ5-6本を使って固定します。 そしたら台座を再び壁に押し付けます。

左から3番目の側板に固定棚を木工ボンドとネジを使って固定します。

それを台座の上に移動し連結させますが、このように台座の木ダボに落とし込み、次にその上の棚の木ダボを連結、そしてその上の棚の木ダボと連結というように、下から嵌め込んで行きます。

完全に嵌りこんだら左側から50mmネジを斜め打ちにより固定します。 右端の側板も同様な手順でやれば、一人で組み上げて行くことが可能です。 注意としては締結部分に隙間があるとそれが累積されて上のほうが広がったような棚になってしまいます。

こうして奥の棚の組み立てが完了しました。 カーペットの切抜きから初めて約8時間掛りました。 予備加工に膨大な時間が掛ったのに比べると大変短時間に終ります。

垂直度の確認です。 左右方向はごらんの通りほぼ完璧で、上部と下部とのずれは1mm以内でした。 ほぼ完璧の仕上がりですが、この後本体を家屋に固定しました。 固定個所は奥の壁面に75mmのネジで6箇所。 左の壁面に5箇所で、全くぐらつきがなくなります。

手前のスライド棚と回転棚を取り敢えず載せてみた所です。 私の姿を 見せるのが目的ではありませんがほっと一安心、大きな棚であることがお判りになると思います。  残るは天板の固定、移動棚の裏板貼り、そして移動棚の調整があるのみです。



2005/07/15

製作その6

本体組立ての最終コーナーに入りました。 天板にはスライド棚の上部車輪を挿入する溝を彫らねばなりませんが、専用のレールは長さが大変長くて無駄が多いのでホームセンターで販売されているアルミの押し出し材を使うことにしました。 断面がL型で幅9mm、肉厚が0.8mmしかない華奢な物ですが、これに当たる車輪には大きな力が掛るわけないので十分耐えられると思います。 長さはドンピシャ1820mmで切断することなく使えます。

溝彫りはやはり電動トリマーを使いましたが、切削幅や深さが下レールの時より大きいので、15mmのストレートビットを使い、左図のようにガイドの板を固定して往復でそれぞれのガイドに沿わせて切削しています。 吃驚するくらいの切削屑が出て切削中にトリマー台座の下や横にそれらの屑が挟まる為、一度では正確な切削は不可能ですので、一度目が終ったら手箒で屑を払いのけてもう一度往復してやらないとなりません。

断面L字型のアルミの押し出し材は5分硬化型エポキシ接着剤で貼りました。 図の通りに切削するとアルミの厚みが0.8mmであるため、目標とする20mmの内寸幅より大きくなりますが、貼り付ける際通常はクランプで圧着する所を今回は何もせずに押し当てただけにしていますので密着度が低く隙間をエポキシ接着剤が埋める格好になります。 その為内寸が僅かに狭くなり結果として20mmにほぼ近い値になっています。 エポキシの場合充填効果がありますからこんなやり方が可能なわけで、木工ボンドではこうは行きません。

 出来上がった天板を本体の上に載せて下からネジで仮止めしました。 そしてスライド棚の上部と
 下部に車輪を2個ずつ固定し早速試して見ました。

 実にスムーズに移動し妙に当たる所もなく良好だったのですが、2つの棚のうちひとつは長方形で
 はなく、平行四辺形に歪んでいることが判りました。 もうひとつの歪んでいない物と並べると、上
 部で接触しているのに下部では約板厚分18mmの隙間が空いてしまいます。(左の図参照)
 角度にすればたった0.5度程の狂いなのですが、高さがあるだけに無視できません。

この狂いを見る角度を変えると左図中央のようになります。 曲尺を当てて見ると確かにこのような4.5mmのズレが確認できています。 片側の車輪を4.5mm浮かせればよいようにも思えますが、そんなことをすると上部のレールに本棚が当たってしまうので不可です。

こうなった原因を色々考えたのですが、少なくとも材料切断時の直角度不良や接合時のミスとは考えられません。 あり得るかもしれないという想像なのですが、スライド棚を組み上げた後に木工ボンドが完全硬化するまでの間場所がなくて立ててしまったことが原因ではないかと考えています。

前面の棚には裏板を貼りますので、その際に強制的に修正する手も考えられますが、後ろ側の歪みはそれでよいとしても棚枠前面の歪みは修正しきれないでしょう。 そこで少々面倒ですが奥の手を使って歪を取り除くことにします。  アイデアとしては次の通りです。

図の中で示した計算上の対角線は、ひずんでいる棚長い方の対角線が2,287mmと、正しい長方形となった場合の対角線(2,282mm)よりも5mm長くなっています。  そこでこの対角線に沿って棒を固定しネジ止めするとき対角線が5mm短くなるよう強引に縮めてやります。

その後接合部分を加熱し木工ボンドを軟化させてやれば歪が取れる!! というちょっとした荒技です。  この方法は木工ボンドの熱で軟化してしまう短所を逆用したもので、万が一の場合覚えておくとよいテクニックですが、後ほどお見せする写真も参照して下さい。

歪の修正が終った所で裏板を貼り木工ボンドが硬化する間に回転棚の蝶番の取り付けをしました。 大変丁寧な取り付けの説明と取り付けようテンプレートのお陰で、「案ずるより生むが易し」のことわざそのもののように無事調整まで済みました。 但し真中の棚共々裏板を貼ってしまうと裏側の様子が見えなくなってしまうので、貼らないまま各部の具合を確認しています。 従って後で荷重が大きくなった時に蝶番の再調整をする必要が若干ありますが、それはドライバー1本で可能です。

ということでまだ裏板貼り、お化粧加工、棚板にダボが嵌りこむ溝彫りなどのマイナーな作業は残っていますが、構造、骨格部分は総て完了いたしました。 回転棚、スライド棚の作動の様子を後ほど動画でもご覧いただけますので、より深く理解していただけると思います。

上部レールとして使用したアルミ押し出し材。 幅9mm、厚み0.8mmを2本使いました。 大変華奢ですが大きな荷重が掛るわけではないので、充分使えます。

所定の寸法の溝をトリマーで彫り、エポキシ接着剤でL型のアルミ押し出し材を貼り付けました。

一方スライド棚の上面には上部用の車輪を固定しました。 前後方向は中央に固定されています。

そのアップの様子です。 3.5φ 16mmタッピングネジ2本で固定という簡単なものです。

そしてスライド棚底面の予め加工された切り欠きに下部用車輪を落としこみ固定します。

そのアップですが、やはり3.5φ 16mmタッピングネジ2本で固定しただけの簡単な留め方です。

天板を最上部に乗せて所定の位置に仮止めし、スライド棚2本を挿入しました。 大変スムーズに移動するのですが、なんと右側の棚は長方形から平行四辺形に歪み、左側(こちらは正確な長方形になっている。)の上部に接触させると(黄色矢印部分)、下は約18mmの隙間(赤矢印部分)が出来てしまいます。


そこで大技ですが、対角線が長くなってしまっている部分に、対角線が5mm短くなるよう力を加えて棒をネジ止めしました。 これは両面に施す必要があります。 

何故対角線が5mm短くなるようにしたのかは、前文のこちらをご覧下さい。


その結果曲尺で確認するとほぼ正確な直角となっており、角度の狂いが矯正できたことになります。(右の写真)
 

 

その状態を保ったままヘヤードライヤー(私は家内が使っている女性用のものを使いました。)で接合部分を両面から加熱します。 目標は木工ボンドが軟化する60℃以上ですが、内部までそうなるには結構時間が掛ります。

木工ボンドによる接合部分8箇所の両面を加熱してボンドを軟化させた後1時間ほど経ってから、裏側の棒を取り除いて裏板を貼ってしまいます。 これで大技による歪矯正が完了です。

スライド棚の裏板接着後乾燥させている間に回転棚の蝶番を固定します。 蝶番のパッケージの中には蝶番取付け用のテンプレートと詳しい説明書が入っており、これらに従うと実に簡単に作業できます。


まず扉側蝶番のテンプレートを棚に当ててキリでネジ位置を記します。 当然ながらこの方法で上部端及び下部端から等距離の位置に蝶番が取り付くことになります。


上部/下部の扉側蝶番をネジ止めしました。(右写真)
使用ネジは付属の物ではなく同じ太さのちょっと短い3.5φ 16mmを使っています。 実は引き抜き強度を大きくする為に最終的にはM4のボルトで固定することを念頭においていますが、正しく動作するかの確認の為の仮止めというわけです。
 

 

次に本体側(扉枠側)蝶番のテンプレートを当ててネジ位置をキリで記しました。 この時下に3mmの板をはさみ標準より3mm上に固定するようにしています。

メーカーの仕様では下部に3mmの隙間が出るように考えられていますが、私の設計では右側のスライド棚に合わせて6.5mmの隙間が出るようにした為です。 約0.5mmの誤差が生じますが、蝶番の上下調整でその差を修正可能です。

上部の蝶番の位置はテンプレートを使ってそのまま決めています。 これらも3.5φ 16mmのネジ止めですが、最終的にはM4のボルトに置き換えます。 (右の写真)


 

回転棚を本体側蝶番に落とし込みました。 また歪矯正が終了した右側の移動棚も挿入しました。

問題の右側の移動棚はご覧の通り歪の補正が巧く行き、下部にあった大きな隙間がなくなりました。

以下の4枚の写真で回転棚、移動棚を動かして奥の棚にアクセスする様子をご覧下さい。
 
また左の画像をクリックすると、上記4コマでご覧いただいた回転棚、スライド棚の移動の様子を動画でご覧いただけ、より構造や動作を理解していただけると思います。

尚動画を見るにはQuick Timeが必要です。 
お持ちでない方はこちらからダウンロードしてイントールしてください。






2005/07/22

製作その7 (トラブル発生!!)

最後の作業として奥の固定棚部分の塗装を施し、回転棚とスライド棚の裏板を貼ってこちらも塗装をしようとしまhしたが、その前に回転棚の簡単な耐荷重テストをしておこうと20kgのダミーウエイトを用意し実験に入りました。 20kgの荷重としたのには次の理由です。

メーカーがガイドラインとして発表している蝶番の最大荷重は30kgとなっています。 棚の最終的な自重は23kg位と予測していますが、現在は高さ可変の棚が入っていない為13kg位になっています。 それに20kgのダミーウエイトを積むので蝶番に対する総負荷は33kgとなり前述の推奨最大荷重を10%オーバーしますが、これで蝶番が破損することは先ず考えられません。 可変棚を総て挿入した時には10kgの収納物重量にしたときと等価になります。

その結果は蝶番の動作には全く異常がありませんでしたし、妙なきしみ音もなかったのですが、棚の枠そのものが大きな撓みを発生し、とてもこのままでは使い物にならない状態になっています。 これは想像以上の事態であり、善後策を必要とします。

その詳しい状況は左図のようなもので、最も厳しい条件である20kgの荷重を右側に寄せた時です。
棚の上部右角が30mmも前方に突出し、右側下部も2mm程飛び出てきます。 そして底板の右端は約3mm沈んでいます。 もしも裏板を貼っていなければ、右側上部の前傾現象は起きないでしょうが、底板の沈みはもっと大きくなるでしょう。

因みにダミーウエイトの位置を中央に寄せた場合には、右側上部の突出は20mmに、そして底板の沈み込みは2mmに減少します。  更にダミーウエイトを左端に移動すると右端上部の突出は9mm、底板の沈み込みはほぼセロとなりました。

また荷重を10kgに減らし中央に置いた時は(これは10枚の高さ可変の棚を追加した時とほぼ同じになります。)、右側上部の突出は10mm、底板の沈みは1mmでした。

撓みの改善策の前に目標とする数値を仮設定することにします。  棚の総重量は前述のように23kgになりますがそのうち10kgは今回のテストの中では装着していない高さ可変の棚板分です。

従って実際には10kgの収納物を載せるとテストで発生した撓みが出ることになります。 10kgというのは余りにも小さいのでこれをなんとか15kg程度まで増やしても問題ないようにしたい!というのが希望です。

ただしこの時の蝶番への荷重は38kgとなりますので、マージンを考慮しても限界に近いと思われます。 そのような前提で、改善策のアイデアを次のように考えました。

  1.棚枠の角の木口面に補強の金属板を貼り付ける。 (左の図参照)
  2.棚枠の角内側にL金具を貼り付ける。 (左の図参照)
  3.底部に撓み防止の板を追加する。 (右の図参照)
  4.高さ可変の棚板の数量を減らす。
  5.高さ可変棚の軽量化を図る。


 といった所ですが、1.2.の方法の場合、角部分はそれでよいとしても、棚板が歪んであま
 り効果が出ない可能性があります。 その点では3.の方法が有効かもしれません。
次の4.は消極的な方法で、高さ可変棚1枚が1kgありますから、半分に減らしただけで、5kg収納物の重量を増やせます。
5.の方法は最も無駄が出やすいので最後の手となりますが、棚板をフラッシュ構造とすれば実現可能です。

以上の中から部材を購入しないで出来る3.を先ず試した結果、ダミーウエイトを右に寄せた時上部の突出は30mmから12.5mmと半分以下に減少、ダミーウエイトを中央に乗せた場合には約20mmから7mmに減少、そして左に寄せた時には9mmから2mmに減少と大幅に改善されています。

この補強板の効果は大変良いだけでなく、回転棚は開け閉めの際に棚に載せたものが滑り落ち易いのをこの補強板が滑り止めになり、収納物によっては一石二鳥になります。  そこで補強板を上部にも追加して撓み強度を高めました。 但し上に追加した補強板の幅は撓み防止の観点からは幅は広い方が良いのですが、物の出し入れが容易でなくなるので半分の幅としました。

そして再度ダミーウエイトを乗せましたが、ダミーウエイトの重量が26.8kgプラス棚本体の重量が補強板を追加することにより2.2kg増加した15.2kgと、蝶番への負荷は42kgに大幅アップしています。 また現実を考えて今回はダミーウエイトは中央に乗せました。

そしてその結果ですが、上部の突出が約1.5mm、下部の沈み込みが約1mmと素晴らしい結果になっています。
現実を直視すると更に撓みを改善できてたとしても、蝶番への荷重はすでに推奨値をかなり超えている為、この蝶番を使う限りこの程度で良しとすべき!と判断しました。

残る高さ可変の棚の挿入枚数は8枚ありますから、最大で18-19kgの収納物を載せられることになります。 決して大きな値ではありませんが、軽くてかさばる物は結構ありますから無駄なスペースにはなりますまい。

ということで一応問題解決とばかり塗装を続行しました。 後ろの固定棚の塗装はほぼ終っていますが、棚板の枚数が大変多いため2回塗りとは言えども固定棚で0.7リットル缶2本。 各移動棚で0.7リットル缶を1本と合計5本も使います。

塗料代も馬鹿にならないのと乾燥時間を考えるて早く進めたいので、ここでは2年間もほったからかしにしていた手持ちの水性ペイントを使うことにします。 恐らく今回使わなければ捨てるしかないでしょうから、廃物利用のつもりです。  無論質感や塗膜の丈夫さでは油性にはかないませんが、実用性さえ確保できれば問題ない作品なのでその辺りは目をつぶります。

以下はそれらの経過の写真です。

         奥の固定棚の塗装を済まし手前の移動棚2つの裏板を貼り付け、塗装前の最終確認とば
         かり、回転棚の負荷試験に入ったのですが?

20kgのダミーウエイトを中段と下段の棚右側に載せて撓み状態を見たのですが、ご覧の通り惨憺たる有様です。 まだ高さ可変の棚板約10kgが載りますので、これでは使い物になりません。

それではとダミーウエイトを左に寄せたのですが、それでもかなりの棚の撓みが発生しており、このままでは実使用に耐えられないとの判断をしました。

一計を案じて固定棚に補強板をもっこうとボンドでネジを併用して固定し、再度テストしました。 今回はダミーウエイトを27kg近くまで増量したのですが、効果てきめん!! ごらんのとおり、ごく僅かな撓みしか発生しておりません。 蝶番への負荷を考え今回はこれで良しとしました。

         やれやれ一安心ということで、ようやく塗装の再開です。 今回は手持ちにあって2年間使
         わなかった0.7リットル缶6本の水性ペイントを使用。 廃物利用のつもりですが、6本それ
         ぞれが別な色ですので、苦肉の策??の配色でごまかそうとしています。



2005/07/29

実用部分が完成

使える状態に早くたどり着こうと6色の0.7リットル缶を配分して最上部と台座の化粧周りを残し塗装を済ませました。
また塗装乾燥後、51枚の高さ可変棚のニッケルダボが落とし込まれる溝をトリマーで切削しましたが、これには専用のジグを作り作業性を良くしました。 12mm厚の端材を切断しネジ止めしただけの簡単なものですが、正確な溝堀が可能になっています。 そのジグの構造は左の図と後ほどご覧になれる写真を参照ください。

家内にも手伝ってもらい4ヶ所に分散していた商品が見事に収まりまだ35%位の空きスペースが残っていますので、今後の増加に対しても当分対応できそうです。 このあと隣のプリンター置き台の塗装も済みましたので、ほっと一息ついています。

ニッケルダボが嵌りこむ溝を電動トリマーで切削する治具。 ビットには12mmU字溝ビットを使いました。

作ったジグを棚板の端にこのように挟みます。

そうしたら電動トリマーを手前から先の方に移動し当たるまで切削すれば所定の溝になります。

2箇所の溝を彫り終わりました。 51枚の棚板 x 4個所 = 204個の溝を彫るのでこのようなジグが極めて有効です。

棚板を挿入し早速予定していた商品を収納棚に納めました。 4箇所に分散していたのを2箇所にまとめることが可能となり、出し入れもしやすくなりました。

回転棚を開いてスライド棚を左に寄せた所ですが、奥の棚にもこのように巧く整理して収めることが可能になっています。 そしてまだ35%位は空いており、ゆとりが残っています。 強度は充分で実用性の極めて高いものが完成しました。

少々の化粧加工を残すのみとなっていますが、ここでスライド棚と回転棚に使った特殊金具について整理して、同様な物を作られたい方の参考になる情報をまとめておきます。

1.スライド収納棚
  スライド収納棚を作る上で、それように作られた金物使用をお奨めするのは、下部レール、上部と下部の車輪の3点です。
  それ以外の上部・下部用ストッパー、上部用レールは、硬めの木片を代用或いはホームセンターで販売されているアルミ
  の押し出し材で充分代用可能です。

  下部の車輪については耐荷重が1個10kgの物と25kgの物の2種類がありますが、棚をフラッシュ構造で作らない場合に
  は棚自身の重量がかなりのものになりますから(私の場合大きいこともあり13kgを超えました。)、安全を見て25kgタイプ
  (この場合2個使いで耐荷重50kgとなる。)を使ったほうが良いと思います。

  上部車輪については埋め込み型とねじで表面固定型の2種類がありますが、棚の構造によって選べばよいでしょう。
  耐荷重はどちらを使用しても問題にはなりません。

  下部レールは軽荷重用のもの(アルミ製)と重荷重用(真鍮製)の2種類がありますが、アルミ製の軽荷重用は長さが
  3,700mmもあり、長い物を作らない場合には無駄が多くなります。  一方重荷重用は長さが1,800mmということで、無
  駄の少ない一般的な大きさになると思います。 それと重荷重用レールに軽荷重用下部車輪を組み合わせても一向に構
  いませんので、価格は若干高いですがこちらをお奨めします。

  上部レールは私がやった方法が一例ですが、適当なアルミ押し出し材を流用し方が安くて無駄が出ないと思います。
  また上下のストッパーはレールに嵌りこむような木のブロックを切り出してネジ止めすれば充分で、何も専用部品を使う必
  要はないでしょう。

2.回転棚
  耐荷重の大きな蝶番が手に入ればOKですが、少なくとも上下の調整だけは出来る方が便利です。 工作精度が余程悪く
  ない限り左右や前後の調整の必要性はないように思います。(固定棚は家屋に締結してしまうことが前提です。)

以上で述べた特殊金具はmini-Shopにて取り寄せ可能ですが、レールについては長物のため仕入れ時の送料を削減するために他の商品の発注に合わせたいと考えています。 この場合納期としては3-4週間を見込んでいただきたいと思います。 即納を求められる場合には通常の送料以外には取り寄せ送料として\1,000の負担をお願いすることになります。

以下はそれらの一覧ですが、部材名が青くなっている物は今回私が使用したもので、詳細は上の解説をご覧下さい。

部材名 形状詳細 仕様 価格(税込み) 送料
下部車輪 こちらから 軽荷重用(耐荷重10kg/1個) \245.- 60サイズ
下部車輪 こちらから 重荷重用(耐荷重25kg/1個) \1,050.- 60サイズ
下部レール こちらから 長さ3,700mm アルミ製軽荷重用 シルバー色 \965.-
ブロンズ色 \965.-
受注時にご案内
(長物の為送料は高額になります。)
下部レール こちらから 長さ1,800mm 真鍮製重荷重用 \3,680.- 受注時にご案内
上部車輪 こちらから 埋め込み型 \455.- 60サイズ
上部車輪 こちらから 表面取り付け型 \202.- 60サイズ
3方向調整蝶番 こちらから 推奨扉重量30kgまで
(色: シルバー、アンバー、ゴールド)
\3,050.- 60サイズ(4セットまで)
上記の価格は2005/07/29現在のものです。 最新価格についてはお問い合わせください。


追って化粧加工が済みましたらその写真を掲載いたします。

---- 完 -----

 
  
Copyright (C) 2001-2019, Vic Ohashi All rights reserved.