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バスレf型ミニタワースピーカー
   
2004/08/20

構想

当サイトに掲載している様々な作品の中でスピーカーの製作記事は人気の高いテーマのひとつになっていますが、より簡単に作れて音が良いものという要望がちらほら聞かれております。 そこでローコストに作れて材料使用の無駄が少なく、そして音質的にはきらりと光るものがあり、且つチューニングを簡単に出来る!という大変欲張ったスピーカーシステムを製作することにしました。
    Fostex FE-107E
 音質に関してはスピーカーユニットに依存してしまう部分が多いので、最初のモデルを発売して以来
 30年を超える超ロングセラーFostex FE-103シリーズの最新モデルである FE-107Eを使用する
 ことに決めました。

 このユニットは防磁構造となっているためテレビのそばやパソコンのモニターの横においても色ずれの
 問題を起こさない、磁気カードのデータが消えてしまうなどのトラブルが起きないだけでなく、スピーカー
 ユニットそのものがバスレフ型の箱に最適になるように設計されている点も選んだポイントのひとつで
 す。 簡単に説明するとバックロードホーン用等に設計された低域がだら下がりのオーバーダンピング
 タイプではなく、バスレフ方式で豊かな低音を出し帯域バランスを取り易いタイプなのです。

 バスレフタイプのボックスはメーカー製市販品を始めとして大変多く出回っていますが奇をてらったところがなく、音響理論から見て明瞭な方式なので成功する確率が高く、これからスピーカーを作ってみよう!という方に最適な方式です。  但しこのバスレフ型もポートのチューニングが正しく出来たかどうかで、その再生音は大きく変わりますし、音質の好みの問題も含めてより自由度が高いチューニングが出来る構造を優先課題としました。

 構想段階で考えた寸法図は左の図のとおりで、コンパクトなタワー構造となっています。 ユニット取り付
 け位置は床から56cm位の高さになりますので、床に座って聴くのが基本になると思います。
 または40-45cm位の台に載せれば、ソファーに座って聴くのが適切な高さになるでしょう。 

 肝心なバスレフポートは塩ビ管のエルボを使ったL型とし、エルボに連結する直管の長さを替えることによ
 りポートの低域共振周波数を変更します。 この構造はバスレフタワースピーカーで採用しています。

 箱の実内容積は約8.5リットルでメーカー推奨の容積6リットル)よりも大きめですが、少しでも低域を伸ばしたいための配慮です。

バスレフポートのチューニング周波数は75Hzとして考えましたが、これまたメーカー推奨のバスレフボックスよりも低めの周波数で、私の計算ではメーカーのチューニング周波数は95Hz近辺にあるようです。  私の設計はより広帯域再生をを狙ったものにたいしメーカー推奨設計は、低域の量感に影響する部分に膨らみを持たせた設計と言えるでしょう。

前述のようにパイプの入れ替えによってチューニング周波数を60Hzから84Hzまでの間で変更できるようにしています。

 一方箱を作る材料は入手が容易な12mm厚シナ合板としました。 大きさは 3 x 6 の半裁ですが、ホー
 ムセンターで販売している 3 x 6 の半裁は、900 x 900mmとなっている場合があり、切り幅3mmのパ
 ネルソーで切断すると切り代不十分になることがありますので、ご注意ください。
 正しく半裁としたものは、910 x 908mmとなっているはずで、この場合には問題ありません。
 無論全て手引きノコギリで切断という場合には以上の問題は900 x 900mmの板から切り出しても発生し
 ません。  更に各部材の2次加工はこちらのとおりに作業します。

 ユニットやターミナルの取り付け穴はジグソーで切り抜き、組み立てはポートになるエルボを除けば、木工
 ボンド併用のスレンダースレッドネジ止めです。 そして接合位置を正確にするため隠し釘を使用します。

エルボをエポキシパテで接着する部分だけは硬化に24時間ほど寝かせたいので、1日で完成とは行きませんが、それ以外に要する組み立ての時間は2時間もあれば十分です。



2004/08/27

製作詳細

本題に入る前に設計値の若干の修正をしたのでそれについて簡単に触れておきます。
箱のサイズや板取り図には全く影響しませんが、ポートに付いて若干の加工を加えて取り付けることにしました。 そうした理由はバスレフポートの共振周波数の計算に間違いがあり、期待した範囲の共振周波数でのチューニングが出来ないことを発見したためです。 従って寸法図を入れ替えてありますのでご承知置き願いたいと思います。

 エルボは#50タイプのものを使いますが、中心を通る長さが103mmありそのままではほぼ設計値の75Hz
 が共振周波数となり、それ以上の周波数にチューニングすることが出来ません。
 そこでエルボ両端を13mmずつ切断して中心を通る長さを77mmと短くします。 こうすることにより延長
 パイプ無しの時の共振周波数は計算上86Hzと高くなります。 むやみに共振周波数を低くしてもエネルギ
 ー感がなくなってしまいますので、設計値の75Hzを中心として±10Hzを可変範囲として考えた次第で
 す。  短くしたエルボは接着時に箱の内面に接触しますが、これも接着を確実にする上で有利です。
 また寸法図には5種類の共振周波数とする際に必要な塩ビ直管の長さも載せておきました。

さて他には特に述べることはありません。 以下の写真と説明をご覧になって組み立て作業をご理解ください。

エポキシパテの硬化に時間が掛かるため、後板だけを切り出して、ポート穴とスピーカーターミナルの穴をあけます。

エルボは先端から13mmのところにマスキングテープを巻き、ジグソーによるまわし切りで切断します。

切断したエルボは#60のペーパーの上で切断面を研磨し仕上ます。

端材の板に後板内面を上に向けて置きエポキシパテを斜め(約60度)にこすりつけます。

その上からエルボを所定の向きになるようにしてから底当りするまで押し込みます。

次にエルボと穴の隙間にエポキシパテを指で詰めながら写真の程度にパテを盛り上げてならします。

そっと持ち上げてポート内部にはみ出たエポキシパテを取り除きます。 エルボの縁についているパテを取り除く必要はありません。 それよりエルボを動かさないよう要注意です。

このまま12時間以上寝かしてエポキシパテを硬化させます。(私は夕方終了し1晩寝かしてやりました。)

残りの部材を切断し前板にスピーカー取り付け穴(赤線)をあけますが、スピーカー取り付けネジ位置(青線)も描いておきます。

そしてスピーカー取り付け穴をジグソーであけます。 こうするとスピーカーの取り付け位置が正確になります。

1ペアーのスピーカーシステムを作る板材一式です。

こちらは吸音材を除いた残りの部材です。

両側板のネジ位置に3mmドリルで下穴をあけました。 正確にネジ止めするには不可欠です。 写真にはありませんが上板、底板、前板にもネジ穴をあけておきます。

上板と底板を前板に接合しました。 無論木工ボンド併用です。

背板を接合しました。 背板の方向を間違えないよう注意します。 またエポキシパテは未だ完全硬化していませんから、エルボに無理な力を与えないよう注意します。

左側板を接合しました。 角の直角出しと前板や背板の僅かなそりによる接合位置のずれに注意します。

判りやすいためスピーカーとターミナルの取り付け、そして配線は済ませましたが、箱が完成してから取り付ける方が安全です。

吸音材は相対する面の片側だけに貼り付けるのを私は標準としていますが、具体的に今回はこのように貼りました。

吸音材を貼り終えたところですが、この上に固定する右側板には貼り付けません。

組み立ての最後の作業となる右側板を接合しました。

組み立てが完了したバスレフミニタワー。 ここまでの所要時間は慎重にやっても3時間あれば十分です。 すぐに音出しと行きたいところですが、木工ボンド及びエポキシパテが完全硬化するまでは音質がかなり不安定になりますので、更に24時間寝かせてからにしました。

翌日試聴を開始しました。 ご覧のように正面から見るとTQWTミニタワーよりもふたまわり大きい感じです。


聴いた感想

エポキシパテは後4-5日待たないと完全硬化しませんので、ポートはエルボだけとなり共振周波数は86Hzです。 取り敢えず聴いた感じはかなり荒っぽいイメージでしたが、10時間近くならしっぱなしの後再度聴いてみると随分丸みが出てきてエージングの効果が出てきたようです。

中音の一部に汚れっぽい部分があるものの全体のバランスはかなり良く、これまでの経験からするとポートを更に長くしない方が良さそうに思えます。  Fostexの推奨するはこの容積に対し2.5リットル大きく、ポートの共振周波数も推奨ボックスが95Hzに対し9Hz低い値ですから、推奨ボックスではあるであろう80-90Hz近辺のふくらみは私の試作品では殆どないまま低域がより伸びているはずです。  ポートを延長すれば更に低域の再生能力は増大しますが、替わり全体のエネルギーバランスが崩れて低域不足のように聴こえて来るはずですので、このままの状態の方が良いのでは?との想像です。
しかし実際にポートを延長して確認する必要がありますので、エポキシパテが完全硬化してから検証することにしました。

中音の一部の汚れは、ポートからもれ出る中音の干渉が減員では?と吸音材の切れ端をエルボの曲がり角に軽く詰めたところかなりすっきりとしてきました。 但し単純に吸音材を詰め込むと低域共振の動作もおかしくなりますので、エルボ内部にフェルトを貼る等の低域共振に与える影響を押さえながら不要な注音をダンプする方法を考えねばなりません。

これらも後日ということになりますが、総論としては非常に素直な再生音で、FE-103シリーズの明るく明快な中音の再生が見事です。  その意味でスピーカーボックスとして基本の又基本であるオーソドックスなバスレフ型を再認識した次第です。



2004/09/03

製作の続きと最終チューニング

エポキシパテが完全硬化する1週間が過ぎましたので、ポートを延長する塩ビパイプを2種類作りました。 電動ジグソーで所定の長さに切断し、エルボにきつめに嵌るよう紙やすりで削っています。 特に難しいところはありませんが、塩ビパイプを紙やすりで削るのは少々根気が要るかもしれません。 作業方法は百聞は一見にしかず! 以下の写真をご覧下さい。

切断する前にパイプの先を#60サンドペーパーで包んで右手でパイプを捻じって削ります。 かなり根気が要りますが出来るだけ平均に削るよう心掛けます。 エルボに挿しこんできつめに底まで入るようになったらOKです。

切断位置にマスキングテープを巻いて電動ジグソーで廻し切りします。 CJ-250に鉄工用の替刃を取り付けて切断しましたが、低重心設計のメリットでグリップ位置が切断点に近いためコントロールが楽でした。

切断面を#60のペーパーで平らに削ります。 角の面取りもしておきます。

出来上がった2種類の延長パイプ。 左が長さ83mm65Hz、右は38mm75Hz(設計中心値)の共振周波数用になります。

それぞれの延長パイプをエルボに差し込んだところで、左が65Hz、右が75Hz、パイプを抜けば85Hzと、3種類の共振周波数で比較試聴をしました。 試聴時にはこんなデベソスタイルですが、最終的にはユニット開口から決定した延長パイプをエルボ内部に挿しこむことになります。


比較試聴の感想

先週お伝えしたように延長パイプ無しの状態でもかなり音質はまとまっておりました。 唯一気になったのは中音が汚れっぽかったことでしたが、挿しこむ延長パイプが長くなるとその中音の汚れっぽさがかなり減少します。 エルボだけの時にはエルボ内に吸音材を貼り付けて中音の輻射を押さえましたが、どうやらパイプを追加する場合にはその必要性は無さそうです。 因みにポートから出てくる音に違いも確認しましたが、明らかに中音の輻射は低下します。 但し最終的にこれで問題がないかはまだ未知数です。 というのは、延長パイプをエルボ内部に挿しこんだ場合には、パイプの先がスピーカーに接近し如何にも直接音を拾うような位置に固定されるからで、吸音材を若干入れてダンプする必要性があるからです。 もっとも延長パイプを外付けのままで採集しようとする手もあり、75Hzチューニングの場合にはパイプの突出量は26mmですから、そのような判断も良いかもしれません。

1.75Hz(設計値)の時
低域再生においては、エルボのみ85Hzでも結構いい線を行っていたのですが、75Hzとした時には低音がぐっとしまってきてウッドベースの音程の移動がより明瞭になり、再生帯域のワイド感が増しました。 決して低域のエネルギーが増大しているわけではないのですが、中域の汚れっぽさや騒がしさが無くなって中音域の輻射量が減少したため相対的に低域の量感が増したのであろうと考えています。
その辺りは色々聴いた中でボーカルにおいて特に顕著でした。 歌手の口の大きさがひとまわり小さくなったような感じで聴こえ定位感もよりはっきりしています。

2.65Hzの時
チューニングを65Hzとした場合には更に低域の再生限度が下がってきて広帯域にはなるものの、帯域バランスが狂って低域の量感が不足してくる傾向になりました。 但しトーンコントロールで低音を3dB程ブーストすると広帯域のままバランスが良くなりますので、小音量でクラシックを聴くなんていうのには良いかもしれません。(小音量と申し上げたのは低域ブーストによりスピーカーに低域の信号がより多く入るため破壊に繋がる可能性があるためです。 因みに3dBのブーストで低域のスピーカーへの入力信号は倍の値になります。)

3.85Hzの時
再度延長ポート無しで聴いてみたのですが、エレキベースを使うロック系ではこの延長パイプ無しの状態が良いかもしれません。 というのはエレキベースの録音はスピーカーからの再生音を録音するため、意外に重低音が含まれていないからです。 重低音感に影響する70-90Hz辺りが若干膨らむような特性のほうがそれらしい感じで楽しめますが、85Hzチューニングは正にこれに該当します。

私個人の好みは何でも聴くとはいえ主力はジャズが多いので75Hzチューニングをベストとすると思います。
こんな風に表現すると究極的にはどれも良いように聞こえますが、最終的にはリスナーの好みで最も気に入ってポイントに設定すればよいわけで、ある周波数にチューニングするのが絶対的みたいな言い方をするのはそれこそ独善的だと私は思います。
その観点からするとポートの長さを簡単に変更できて色々チューニングする試みが容易に出来るこのシステムは、スピーカーシステム製作入門用として大変適しているわけです。

それにしても口径10cmFE-107Eは流石に名機と言われるユニットです。 細かいことを言えばハイエンドが伸びていないとか元気すぎて粗っぽいとか言う方もおりますが、おおらかで明快なその音色はCDを片っ端から替えて大いに楽しんだひと時をもたらしてくれ魅力にあふれていました。


台座の製作

音には直接関係ないのですが、これだけ楽しませてくれるスピーカに台座をしっかり作ることにしました。 フロントグリルも後日作りますが、安定した設置に台座は重要です。 材料は手持ち端材の15mmラワン合板と12mmシナ合板を225mm x 225mmに切断し貼り合わせたものです。 当然シナ合板が上になりますが、木口については合板独特の積層面を木口テープで覆ってやることにしました。 これにより28mm厚のムク板のイメージとなりますので、スピーカー本体はペイント塗りつぶしとするものの台座は木目を生かしたニス仕上とし外観面でのアクセントとなることを狙います。

木口テープを貼る作業は、「材料の特質と使い方」で詳しく解説しておりますので、そちらでご覧下さい。



チューニングが順調に進み台座も完成したバスレフミニタワースピーカー。 塗装とフロントグリル取り付けが終了したらさぞや素敵なものになることでしょう。



2004/09/10

塗 装

サイト内でお知らせしているようにこのスピーカーを製作講習会のテーマとして決定しました。 講習会の開催は未だ先ですが、塗装まで済ませるとどのような出来栄えになるのかをご覧頂きたくて、塗装に入りました。

この作品の場合接合にネジを使っておりそのネジが外観上は見苦しく見える部分になっています。 無論これは最初から判っていたことですが、これらネジ穴をパテで埋めてしまい見えなくしてから塗装します。 こういった目的では塗りつぶしの概念が重要ですから木目を生かしたニス仕上は採用できずペイント仕上となります。

これからお見せする作業は根気は必要とするものの高度な技術無しでペイント仕上で成功を収めやすい方法について詳しく解説します。

その手順を箇条書きにしますと、

  1.接合部分の段差を無くす。
    カンナと替刃式ヤスリ(M-20GP)を使って接合部分の段差を完全に無くします。 替刃式ヤスリの替わりにサンドペーパーを
    使った場合には、作業能率が落ちシャープな仕上がりは期待できなくなります。
    (尚この段階に来てからでは遅すぎるのですが、木口面が僅かに突出している方が、段差を無くす作業は楽に出来ます。)

  2.木工パテで埋める。
    ネジ穴及び接合部分の隙間、木口面の木繊維断面の小さな穴(導水管)をパテで埋めます。 大きな窪みのネジ穴は一度
    では埋めきれませんので、この作業は最低でも2回することになります。

  3.パテで埋めた部分の研磨
    12時間以上経過後#240サンドペーパーで研磨しますが、パテの盛り上がった部分は替刃式ヤスリの方が早くシャープに削
    れます。 この研磨で表面をつるつるにします。

  4、木工パテで埋める。
    研磨後きつく絞った雑巾で研磨屑を拭き取り、研磨されていない窪みの部分(ネジ穴等はその部分です。)に再びパテを擦
    り込んで窪みを埋めます。

  5.仕上研磨
    #240-#400のペーパーと替刃式ヤスリを使って仕上研磨を施します。 これで塗装の準備が完了ですが、ここまでが最も
    根気を要する作業です。

  6.艶ありクリヤー ウレタンニスの塗装
    5-10%のペイント薄め液を加えたウレタンニスで刷毛塗りします。 ニス塗りは駄目だと言ったのに何故ニス塗りをするの?
    と訝るかもしれませんが、ここでのニス塗りは目止め(サフェーサー)として使っています。 サフェーサーとして販売されてい
    るものもありますが、ウレタンニスの高性能な物理特性で木材を保護しようという魂胆です。

  7.ペーパーで研磨
    6時間以上経過後#400サンドペーパーで表面のザラツキを取りながら完全に滑らかで平らになるよう研磨します。

  8.艶ありクリヤー ウレタンニスの塗装
    5-10%のペイント薄め液を加えたウレタンニスでペイント塗装前の下地作りを完成させます。 これによりウレタンニスの皮膜
    で完全に覆われますので、その上のペイント塗装の皮膜が薄くても木目が浮き出たりすることはなくなります。

  9.スプレー塗装による仕上塗装
    6時間経過後アクリル系缶入りスプレー塗料を吹き付けます。 厚塗りは禁物で1回で色味が均等にするのは無理ですか
    ら、最低でも2回この作業を繰り返します。 2回目は1時間以上経過すれば可能です。 尚重ね塗りする前に表面を触って
    ザラツキ感があれば、#400ペーパーでさするようにザラツキを落とします。

以上が作業手順ですが、かなり時間が掛かるなー?と感じられると思います。
作業そのものは難しくありませんが、根気は必要と書いたのはそのためです。 特に1.2.の作業は正味で半日は必要でしょうし、3.4.の後は12時間、6.8.の後は6時間ずつ寝かさなければならないので、開始してから終了までには3-4日掛かるのが普通です。

これらを省略すると無論仕上がりにがくっと影響してきますから手抜きをしてはなりませんが、サフェーサーをニス塗りでしてスプレー塗料で仕上塗装をするのは、最も早く木目を目立たなくし仕上がりが良くて耐久性も高い手法でもあります。 (小型の作品をペイントで仕上る場合に私はこの手法をとっています。)

今週は5.まで終了したところまでですが、それらの様子は以下の写真をご覧ください。

写真ではお見せしていませんが替刃式ヤスリによる接合部分の段差落しが終了後、ネジ穴や窪みへのパテ塗りが終わりました。 文字ではあっさりとした表現ですが実際にはこれだけで10時間を要しています。

前部のトップ角の部分。 接合部の段差は完全に無くなりまたパテで僅かな隙間も埋められました。

左写真の枠内のアップ。 木口に見えるぽつぽつは導水管の穴ですが全てパテで埋まっています。

接合部分が最も多くて目立つ天板部分。 上の丸い茶色の部分はネジ穴にパテを埋めたところです。

左写真の枠内のアップ。 接合部分が最も複雑になったところで、木口の欠損もあったためパテを埋めて修復を図ります。

ここから4枚の写真はパテが乾燥後表面を#240ペーパーで研磨後の写真で比較できるよう2つ上と同じ部分です。

この部分は元々素性の良い部分で、導水管穴を完璧に塞ぐのが重要です。

この距離からでは殆ど違いがわからないと思いますが?

僅かな欠損部分(矢印)は綺麗に埋まりました。

一方ネジ穴の方はというとご覧のようにパテの収縮で凹み、もう一度パテの擦り込みをしなければなりません。

2回目のパテ塗りをして12時間放置してから研磨した状態。 ほぼ完全にネジ穴はふさがって平らになりました。 これでやっと塗装に入れます。





2004/09/17

塗 装 2

やっと塗装を開始できます。  使用するのは台座用には油性ウレタン着色ニスけやき色を使いました。 ステインによる着色作業が省け大変便利な塗料ですが、原液のままだと着色ムラを作りやすいのでペイント薄め液を15%程加えてかなり薄くし着色ムラの発生を抑えます。 当然色の付き方は少ないので塗り重ねながら好みの色に仕上げるということになります。

本体は油性ウレタン透明クリヤーニスをサフェーサー(表面調整仕上剤)として使います。 いきなりスプレー塗料を塗っても表面は塗料を吸い込みやすい木口や柔らかいところと吸い込みにくい木目の硬いところがあり均等に塗るのは不可能です。 そこでペイント薄め液を15%程加え薄くしたニスを十分に沁み込ませて乾燥させ、ペーパーを掛けてから更にもう一度ウレタンニスを塗ることにより表面をウレタンニスの皮膜で覆ってしまいます。 極端な言い方をすれば表面をウレタンニス含侵状態にする!といっても
良いでしょう。

こうすることによりこの上に塗るスプレー塗料の物理的特性が余りよくなくても(実際のところスプレー塗料の大半はアクリル系で物理特性は余りよくない。)、下地のウレタン皮膜ががんばってくれるというわけです。

スプレー塗料は薄い皮膜2回塗りで多分OKですので、そうでなくとも割高なスプレー塗料を沢山使うこともなくコストパフォーマンスもよいという利点もあります。  従ってスピーカーの塗装をしているわけですが、塗装のひとつのやり方として他にも応用が利きます。

各ステップを経過するとどのように表面が変化してゆくかは、以下をご覧ください。

台座に塗るウレタン着色ニスで120mlですが十分な量です。 色はけやき色を選びました。

台座の裏側には厚さ18mmの合板の小片を両面テープで貼りました。 塗るときにこれを握ってやれば作業し易くなります。

15%の薄め液を加えた着色ニスで台座を、透明クリヤーで本体を塗りました。 これで6時間以上乾燥させてからペーパーで研磨します。

木口面は薄いニスを十分吸い込んで黒ずんでいます。 一部明るく見える部分はパテを塗った部分でニスを塗るとこのように目立ってしまいます。 ニスだけで仕上る時にはパテを使えない理由がここにあります。

1回目の塗装が終わった台座のクローズアップ。 こちらはパテで修正していませんから均等に着色できています。 3回塗りで丁度良い濃さになるのではと想像しています。

6時間経過してから#240ペーパーで塗装面をさすりザラツキを落として2回目を塗りました。 左が2回目塗装後、右は1回塗りですが、濃度が少し上がっています。

左は更に6時間後ペーパーを掛けて3度目を塗ったもので白い筋は光の反射。 右はペーパーを掛け塗る前だが、左の写真に較べて白っぽく見えるのはペーパーを掛けた為。


 根気比べのようなものですが、台座の塗装は希望している濃度になかなかならず、結局5回塗りで納得できる濃さになり
 ました。  一方本体の方は変わり映えしないので経過の写真はお見せしていませんが、3回塗りで目がほぼ埋まって表
 面は平らに艶がかなり出てきました。 これでこの後のスプレー塗料による塗装は着色が主な目的になります。




間口が約90cmのバックヤードが塗装場所。 穴の部分はダンボールを切って嵌め込みカバー。 床面は塗料がかなり付着しますが両横への飛散は僅か! その方法は? 

横面への飛散が少ないのはスプレー缶を斜めに握り上下に移動して塗装するため。 この方法で周りの汚れを防止できるので、マンション住まいでもベランダで実現可能です。

パールグレー色(マット:つや消し)2回塗りで完全に下地は見えなくなりました。 出来栄えはどうかというと75点位? 後述しますが下地不良を幾つか発見したからです。



スピーカーユニット取付け部分周りですが、前面、側面、後面はほぼ満点といってよいでしょう。

最も影が出るような位置で撮影したスピーカー穴横。 うーっすらと継ぎ目が見えますが、普通は発見不能です。



バスレフポート付近。 これも完璧です。

ここからが問題。 全てトップボードにありますが、木口の難、欠けの部分がちゃんと埋まっていない部分が数箇所出てきました。 ただネジ部分は完璧に埋まり穴跡は見えません。



ここは最もひどいところ。 パテが全く埋まってなかったとしか言いようがなくがっくり! 前板と後板の継ぎ目に集中して作業したものの天板を忘れていたようです。

幸い天板は150 x 150mmと小さいので再度パテを塗ってスプレー塗装のやり直しを後でやることにします。



再度パテで潰してスプレー塗装のみやり直したトップ部分。

最もひどかったところもこのとおり修復できました。

ポートの延長パイプを内部に差し込んで(私は39mm75Hzとしましたが、後からでも交換可能です。)、スピーカー端子盤、スピーカーユニットを取付け、台座に固定して完成です。



スピーカー周り。 特にどうということはありませんが、ネジの締めすぎはフレームを変形しますので注意要。

台座部分。 台座を塗ったウレタン着色ニスは艶があるので、本体が台座に反射しています。

延長パイプの取付け位置が変わったのと塗装をして音が変わるはずですので、確認のため試聴しました。 塗装前より分解能が上がってきていますが、ニスにより箱の振動状態に変化が出てきているためと思われます。



2004/09/24

フロントグリルの製作

最後の作業となりますがフロントグリルの製作に掛かりました。 アマチュアの自作スピーカーにおいてはどちらかというとフロントグリルは作らずに済ますことが多いと思います。 それは音質の上で害こそあれ得るものは何もない!という考え方や、作るのが面倒くさい!という理由によるものではないかと思いますが、インテリアの一部として考えた時には無機質そのもののスピーカーユニットを見せるのはどうかと私は考えています。

私自身のサラリーマン時代の経験としてスピーカーのデザインをどう思うかとのリサーチを米国にてしたことがありますが、オーディオに対する造詣がある無しに拘わらず、スピーカーユニットが見えるのは好ましくないという意見が圧倒的に多かった記憶があります。 特に興味を引いたのは、その当時音が良い(高音の再生を阻害しない!)という理由で、スピーカーユニットがシースルーで見えるようなデザインがもてはやされていたのですが、それを良しとする意見は全くありませんでした。

何となく日本人よりインテリアをより大事にしようとする傾向を感じたものです。 最もそのような米国でさえスピーカーを自作されている方は殆どフロントグリルを付けていませんでしたが。

 余談は別としてフロントグリルはその色と形がデザイン上大変影響しますので結構頭をひねりましたが、
 前後の立体感をより強調しながら、明るい灰色の本体とうまくマッチしそうな色として青灰色を選びました。

 この色はインテリア志向のスピーカーでも採用しお気に入りの色でしたが、今回は明るい灰色の本体の
 下にかなり派手なダークオレンジ色の台座がありますので、かなりインパクトのあるイメージに仕上がって
 います。 余り類型的ではない個性的な配色でそれなりに楽しめると考えていますが、置く場所によって
 は合わないというか、場違いな印象を与える組み合わせかもしれません。

 形については前面から見ると上下に長い長方形ですが、台形のように突出ししかも突出部分は4隅にアー
 ルを持たせるということで、フォルムとしての変化、前後の凹凸感を出しながら、アールを加えることにより
 直線が殆どの構成の中に柔らか味を出せればとの思いを入れました。

文章で書くとえらくややこしいですが、具体的にはフロントグリル設計図をご覧ください。 無論後ほど写真でもお目にかけます。

まあこのデザインだけはどのようにしようと殆ど音響的には関係ないのですが、ジャージーを貼ったときにどのような面が作られるかを想像しながらデザインするのは結構楽しいもので、皆さんは皆さんで工夫していただきたいと思います。

さあ百聞は一見しかず! それらの進行状況をとくとご覧ください。

18mm合板の端材から切り出して上側の枠を接着。 後で角を落とすため釘やネジで固定できないのでハタ金で圧着保持している。

次に5.5mm厚の合板で下の枠を作ります。抜き穴の隅の仕上には替刃式ヤスリを使うと効率的でシャープに仕上がります。

スピーカーのフレームに当らないよう現物合わせで一部を削り取ります。

スピーカー部分に当ててみて確認中。

一方接着が硬化した上の枠は角を半径25mmの曲線で丸く落とします。

角の加工が終わったら軽く面取りをしておきます。 これで上の枠は完成です。

上と下の枠を接着します。 圧着保持のために今度はクランプを使いました。

接着が硬化後スピーカーに当てて最終確認をしているところです。

グリルのジャージーが被る側と木口部分だけを黒く塗装します。 ここではスプレー塗料を使いました。

そしてジャージを貼り付けてグリルは最終的な格好になりました。 ジャージーの貼り方はこちらで詳細をご覧ください。

グリル固定のプラスチックキャッチをグリル裏と本体に埋め込みました。 それぞれの木工ドリル、10φのフォスナービットによる座繰り穴です。

これは本体に付いたキャッチのメス側でちょっと柔らかいプラスチックで出来ています。

こちらはグリルについたオス側。 硬いプラスチックの成型品で、何れも座繰り穴に圧入。

全ての作業が完了し完成したバスレフ型ミニトールボーイスピーカー。 グリルが付いてぐっと引き締まりました。

フロントグリルが付いた状態と、付いていない状態では表情ががらっと変わります。 私は無論フロントグリル付きが好きです。

子のフロントグリルも見る角度によりフォルムが変わります。 この独特の曲線の組み合わせは奥行き感を与えてくれてなかなか良かったと思います。 光が強く射すとジャージーを通してうっすらとスピーカーが見えますが、このような状態ですと、音質に与える悪影響は無視できます。


以上で製作解説は終わりですがコストパフォーマンスがよく、いつでも低域の再生バランスを調整できるという市販品には全くない工夫と共に、広範なジャンルの音楽に対応できる珍しいスピーカーとなりました。  講習会開催までにまだ1ヶ月ちょっとありますが、ここで述べていない部分の解説を始めとしてその準備に入ります。

----- 完 -----


読者が作られた作品

2004/11/19

愛知県豊橋市の塩野様から送られてきた作品を紹介いたします。
木工のひとつとしてスピーカーも面白いのでhないかとバスレフミニタワーを元に作り始め現在までにこれまで使っていた5.1チャンネル用のフロント3本を作り、後方の2本も製作中だそうです。

ご覧のように工夫されて同じ設計のスピーカーとは思えないようなフォルムになっておりインテリアとしても映えます。

尚塩野様によると高域が不足しているのでトウィーターを追加したい?とのコメントもありましたが、バスレフポートのチューニングを低い方にずらすとバランスが取れてくるのではないかと思います。


2004/12/10

こちらは追加で送って頂いたリアースピーカーの写真です。 縦・横・高さを変更してありますが、ダーク調の素敵なつやのある仕上げになっています。
 


 
  
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