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傘立て
   
2008/08/01

 構想
 7月にはひとりごとで触れたように他の幾つかの用事が重なり製作は殆どせずに過ごしました。
 それらも無事終了したので製作に戻ろうとしていますが、多目的置き台を改造してより使いやすい作業台
 を作った際に剥がした天板6枚が新たな端材として残っています。 これはワンバイフォー材2本分に相当
 しますので価格的にもたいした事はないのですが、6年間使った愛着みたいなものが残っているこれをそ
 のまま捨てるのももったいない気がして、何かをこれで作ろうというのが今回の趣旨です。

 大して使いもしないものや場所塞ぎになる物は避けたかったので暫しあれこれ考えましたが、その結果と
して玄関内に置く傘立てを作ることにしました。 形は複数のワンバイフォー材を縦方向に使って左の図のように円周状に貼り合わ
せ筒にするというシンプルな物を想定しています。 高さは50-55cm位が適当かと思いますが、60cm端材の両端にネジ穴があい
ている部分を切り落とせば丁度良くなります。

 問題は傘立ての太さです。 大きさは玄関の置く場所から直径が250-300mm位にすれば良さそうです。
 そこでそれを実現する正多角形は幾つの辺を持てばよいかの計算をしてみました。

 左の図はその計算式を出すために描いたものですが、ここでAの値はワンバイフォー材の幅になりますの
 で、89mmと固定された値になります。 そしてB(短い対角線の半分の値)C(長い対角線の半分の値)
 を正六角形から正十二角形に渡って計算して一覧にしたのが下の表です。
 尚図中にもあるとおり計算式は、B=A/2÷Tan(θ/2)  C=A/2÷Sin(θ/2) とし、計算結果は小数第
 ニ位を四捨五入してあります。

  θ(度) A(mm) B(mm) C(mm)
6角形 60.0 89.0 77.1 89.0
7角形 51.4 89.0 92.4 102.6
8角形 45.0 89.0 107.4 116.3
9角形 40.0 89.0 122.3 130.1
10角形 36.0 89.0 137.0 144.0
11角形 32.7 89.0 151.5 157.9
12角形 30.0 89.0 166.1 171.9


以上の計算結果より正10角形としたときの最大径は288mmということで良さそうな値になるためこれに決定することにしました。

次の問題は組立て方です。 断面が極力正確な10角形になって欲しいのですが、その為には部材の加工精度と組立て方がものを言いそうです。 その昔樽作りの職人さんの作業を見学したことがありますが、正に芸術的な職人技で幅が10cm未満の板の木口をカンナで削って断面を台形に加工し、それらを一気に輪の中で組み上げて円筒状に仕上げていました。

そんな技を私が使えるはずもなく今回は輪の中に組み上げてやるわけではないので、どうすべえかー?? と随分考えました。  出てきた答えはしかるべきジグを作ってそれで板の成型加工をし組み上げる!というものですが、現在そのジグを頭の中でまとめている最中です。

製作に入る前から今回のテーマは損得勘定だけからすると全く割りに合わない手間の掛かる物になりそうです。  然しながら板を使って円筒状の物を作るのを一度はやってみたいと考えていましたし(特に興味があるのはスピーカーのボックスです。)、その練習問題として取り組んでみたいと思います。



2008/08/08

最終設計詳細

 余りにも単純な外観を何とかすべく左のような外観イメージで作ることとしました。
 当初は底にゴム脚を付けようかと考えたのですが、底上げをして脚を1本おきに出すような形として
 います。 当然5本足で立つ訳ですから組立て精度が悪いと変なぐらつきが増える可能性がありま
 す。 その底上げ部分と上端は曲線切りにて変化を付けます。  この変更に伴い傘立ての高さは
 端材の長さ60cmに変更し短く切断するのは止めました。  更にステインレスの頭の丸い飾り釘で
 アクセントを加えます。

 底はスノコ式としワンバイフォー材を縦に半分にした物を5枚貼り付けることにしました。 これで各
 板の間に5mm程度の隙間が出来て水抜きが出きるだろうという魂胆です。 塗装についてはマホ
 ガニー色油性ウレタンニスを使います。 屋外に設置したVIC's D.I.Y.の案内板で耐水性について
 十分な実績があり、濡れた傘による木部劣化は起きない筈です。

 板取りに付いては左のとおりで、ワンバイフォー材4本で十分足りますが、底板を固定する細い桟
 (15 x 15mm)は別途手当てしないとなりません。 たった4本ですから材料費としては\800程度と
 格安であり初心者にも取り組めそうですが、後述するように2次加工のジグを作らねばなりません
 し電動トリマーの使用ということもあって、今回の作り方では初心者向けではありません。
 尚私の場合には2本のワンバイフォー材を購入したのみで、ジグを含む全ての他の材料は手持ち端材を使いましたから、\400で作れたような気分です。


ジグの製作

一見簡単そうに見える今回のテーマで最も頭を悩ませたのは10枚の板の木口を斜めにカットする方法です。 今回の傘立てだけでしたらテキトー??に現物合わせで削ってやるのも手ですが、頭の中には円筒型のスピーカーボックスをそのうちに作りたい!という想いがあり、それを実現するとなると加工組立て精度を十分に高めてやらねばなりません。 いろいろ考えた挙句今回はジグを作って電動トリマーで切削する方法で進めます。

 左の図は一過性の物として考えたジグの断面です。 このジグは全長が約700mmありその間に
 オレンジ色で示した板が3枚ずつ立ててあります。 そのオレンジ色の板を連結する板が3種類あり
 その上下を3枚の板で挟んだ構造です。 この辺りはわかりにくいかもしれませんが、後ほどの写
 真も参照下さい。 切削される材料(水色)は所定の傾斜になるようこのジグに固定されます。

 そして右の図のような2段階にて木口を斜めに切削します。
 削る板の最上端(ここでは点線で示した底板固定の桟の角がそれ
 になる。)
がジグの上板よりほんの少し下になるように固定します。
 電動トリマーには6-10mm程度のストレートビットを取り付け先端を
 6mm程出して切削します。  その後削る板を緩めて再度板の最
上端がジグ天板から飛び出さないよう固定し切削して片側の加工は終わります。

註:

製作する際に黄色で示した台形の部材の傾斜角は垂直線に対し18度右に傾いていますが、これは
正確に切断しないとなりません。 その切断線を材料に描きこむには小さな分度器を使うよりも頂角
18度の直角三角形を描く方が簡単で正確に出来ます。 私は板に右のような三角形を描いて(赤い
辺の長さは先週算出済み。)
その斜辺を黄色の部材の一部として利用しました。

この方法はある傾斜角を持つ線を描かないとならない全ての局面で応用できる上手い方法で、日曜大工をする上で覚えておくと大変便利で精度を高められます。

ここで切削の必要量は計算上10.5mmと求められていますが、一度に10.5mmも切削するのは材料に欠けや割れが生じる可能性
があるので2回に分けることを想定しています。 場合により3段階で削らないとならないかもしれません。  総切削量は下に挿入する板(ピンク色)とストレートビットの出具合で決まりますがワンバイフォー材の右角まで切削できることが目標になります。

但しその角は丸く成形されていることが多く、境界を明瞭に判断するのは難しいです。 そうなると成形後の板幅が89mmとするのも難しいことになってしまいますが、89mmより若干短くなっても良いから角がシャープになれば良いと考えています。 何故ならこのジグで片面を全て加工し同じように反対側も加工してやれば最終的な幅が何ミリになるかは別として、加工後の10枚の板幅の相対誤差は操作を間違えない限りゼロに近しくなり、組み立てた際にいびつな形には決してならないからです。 その結果板幅が87mmになったとしたらそれに応じて底板の寸法などを再計算してやれば良いだけです。

この辺りのちょっとややこしいジグを作らないとならない点が、が初心者には電動トリマーの使用と共に重たい部分になっているわけです。 また事前に同じ事をカンナで出来ないだろうかとも考えたのですが、作業効率と加工精度の点で電動トリマーを使ったほうが良さそうとの思考実験の結果になっています。


ジグの製作

今回のテーマの重要点は上記で述べたジグで正確な加工が出来るか? そして組立て時に使うジグ(これは後ほど触れます。)の2つにあります。 従ってジグの製作が鍵を握るわけでそれが終わればこのテーマは終了したも同然? です。  ジグを作る材料は反りや凸凹が表面になければ何でも使えますし、一部の重要な寸法(ここでは斜めに固定され切削する材料を押し当てる板の傾斜角度。)以外の寸法の自由度はかなりありますので、以下の写真と補足説明により製作方法や構造をご理解ください。

先にご覧頂いたジグの断面図から寸法線、寸法などを削除しました。 これ以降の写真と比較してください。

左の断面図の天板を除く右半分を組み立てた所です。 断面図との違いは台座で、幅を60mm伸ばしています。 これは作業台にクランプで固定する部分を確保するためです。

切削する材料を受ける板を固定しました。 この板の傾斜角度が材料の木口の傾斜角度を決定しますので、直線性共々正確に作らねばなりません。

材料は3本のM6ボルトで固定しますが、8φの穴をあけた上で断面図には描かれていない爪付きナットを玄翁で叩き込みました。 左が表側、右が裏側となります。

断面図左半分の天板を除き組み上げた所です。 矢印の先にM6ボルトを捻じ込む穴があります。

側板と天板を固定してジグの完成ですが、材料固定ネジが高すぎて天板角に当たるため天板を一部削りました。

試みに切削予定の端材を所定の位置に落とし込み固定ネジを締め上げました。

それを真横から見た状態。 変ながたや撓みなどもなく上手く出来たようですので、別な板を装填して試験してみます。

翌日出来具合のテストをしました。 長さ40cm程度のワンバイフォーの端材をセットしました。 左の上にクランプで固定しているのはトリマーのガイドです。

6mmのビットを若干浅めにセットして準備完了。 これでガイドに沿わせながら手前から向こうへ4回ほど切削すればOKです。

1回目の切削が完了しました。 ビットは浅めに取り付けたので右肩の丸い部分まで切削は及んでいません。 更にビットを出して切削します。

両面を切削し終えて取り敢えずはこんな物でよいかな?と加工を終了しました。 この時の板幅は87mmになっています。

2枚の板の接合後の角度は144度になりますが、こんな考え方で接合角度の型紙を作ります。 勿論三角関数で算出しています。

A4サイズの紙に接合角度確認のテンプレートを描き上げました。 判りやすいようにピンクのマーカーで着色した線がそれです。

2枚の板をその線に沿わせて立てました。 自立させており一切保持はしておりません。

前面はこんな具合で接合部分に変な隙間はありません。

そっと裏へまわって撮影したのがこれで、やはりおかしな隙間は出ておらず切削角度が正確に出来ていることが判ります。

唯一の問題はこれ。 角の丸み部分がまだ残っています。 従って左の写真を良くみると判りますが、接合先端が尖ったような感じにはなりません。



2008/08/15

材料の切削作業

多目的置き台から外した天板は6枚あり、4枚不足となりますのでその分は新しいワンバイフォー材から長さ600mmで切り出しました。 これに15 x 15mmの底板を固定する桟をエポキシ接着剤で貼り付けます。 木工ボンドでも良さそうなものですが、水に濡れる可能性のある場合木工ボンドは接着力を失いますのでエポキシ接着剤にしています。 硬化開始時間が30分タイプを使いましたが、最後の方は粘り気が多くなり固まり始めていました。

その後の材料研磨作業と切削作業は屋外でやるしかありませんがにわか雨が結構あり、晴れ間を狙いながら3回に分けて作業しています。  表面となる側を電動サンダーに#60ペーパーを取り付けて古い材料の黄ばみを取り除きましたが、新しい材料でもワンバイフォー材は白い部分が乾燥により収縮して僅かな凹みが出来たりして平らとは言えませんので同様に#60ペーパーで研磨しました。(組立て後に再度仕上げ研磨をします。)

そしてジグに装填して切削に入りましたが最終的に86mm幅になるよう調整しています。 これでもまだ角の丸みが若干残りますが組立て後の角の研磨で消えると思います。  最大切削量は11mm程度になり切削量が多く松系の材料では割れが出易いですから一度に沢山削り込むのは禁物で結構時間が掛かります。 結局10面の研磨と合計20面の切削に結局1日半を費やしています。

切断面の精度は問題ないはずですが念のためにプラスチックの紐で全体を組み上げて縛り確認しました。 まだ接着するわけではないので余り紐は締め上げておりませんが、目立つような隙間はなく正常に加工が終了しているようです。 但し上部の見え方が板が分厚すぎて繊細な感じが薄れていることに気が付きました。 これはあくまで視覚上の問題なのですが、もう少し何とかしたいと考え次の加工作業には進まず対応策について考えることにしています。

底板を受ける桟をエポキシ接着剤(30分硬化開始型)で固定し圧着保持しています。 3時間放置して次の作業に入りました。

#60ペーパーを付けた電動サンダーで表面を研磨します。 この材料は多目的置き台から剥がした天板の裏側ですが、ご覧のように黄変を起こしまだらになっています。

こちらは同じ板の研磨後。 よくみると薄っすらと色の違いが認められますが、この程度であれば着色段階で調整できます。

問題は新・旧の色の違いで、中央が新しい材料ですが見事に白さが違います。 後ほどの着色で工夫を要するでしょう。

切削の第一段階はジグの底に何も敷かずに材料をセット(左)、そして第一回目の切削で桟の突出部分を削り落とし、ジグの底に5.5mmの板をかまします。(中) その状態で切削すると全面が所定の傾きに切削されます。(右)
これで1面の切削工程が終了ですから10枚各2面で計20回の工程となります。 尚この間にジグ底面、5.5mmの板、切削する材料などが削り屑を挟むようなことがあると、切削角度や切削量が狂ってくるので要注意です。



角の斜め切削が終了した10枚の板をテープを巻きつけて組み上げてみました。 次に上端の丸め加工があるのですが、なんとなく上端の板厚が視覚的に厚すぎる感じがしています。(左の写真)

これは底面を上にしてみたものですが、底板固定用の桟も正確に並んでおり切削角度に全く問題はなさそうです。 右下に節が抜けた後がありますが、この部分は欠き込みにしてしまえば、問題ありません。(上の写真)


目論見どおり正確に切削できたようで一安心です。 この後10枚の板の上下の丸め加工に入るのですが、仮組み上げして気になった上端の板厚が厚すぎかな?という件についてどうするか良く考えてから進めたいと考えています。



2008/08/22

加工作業の続き

 仮組みした上面に見える板厚の厚すぎ感については、視覚的に板厚が薄くなるような追加加工を
 することにしました。 作業としては内側を削って一見薄い板を使っているかの見え方を志向します
 が、どのように切削するかが問題で、左図の1のように削り落とすのであればトリマーを使って特別
 なジグを作らなくても可能ですが、段差部分に傘の先端が引っ掛かって使い易くはなさそうです。
 2のようにV溝ビットを併用してやれば傘の引っ掛かりが軽減されるでしょうが、何となく中途半端な
 気がします。 3のように緩いテーパー状に切削すればOKでしょうが、この切削にはちょっと手間の
 掛かるジグを作らなくてはなりません。
 数日間どれにしようかと悩んだ末結局一番面倒な3.を採用することにしました。

 ジグのポイントは切削する材料を斜めに安定して固定することと、電動トリマーを移動させた時に常
 に水平に移動
できなくてはなりません。 その移動量は60mmと70mmの長方形となります。

右の図が考えたジグの構造で断面だけを表しています。 図を見ただけでは理解しにくい構造かも
しれませんが、後ほどお見せする写真もご覧頂ければ理解しやすいと思います。
図の中で薄い紫色の部分が削り取られる部分になります。 沢山切り出した板を貼りあわせたり
ネジ止めして組み立てるので、ジグの製作だけでまた1日掛かりそうですが、十分に機能して
しかも正確に加工できるものになっています。

同じ事をカンナでやっても良さそうですが、切削精度は全く比較にはならないでしょう。 ジグを組み
立て後まず5枚を切削し未切削のものと組み上げて確認しましたが、これならスリークな感じで良さそうでした。 次に上部と下部の
曲線切断ですが、これはExcel上で長径86mm、短径40mmの楕円を描きこれを印刷して型紙とし所定の場所に貼り付け、電動ジ
グソー(CJ-250)にて行いました。 このCJ-250は専用のジグソーブレードと共に小さな曲率切断では大型のものより制御 し易く
精度の高い切断が可能です。 次に上部の切断面は組み上げてからでは研磨しにくいので替刃式ヤスリで丁寧に研磨後#240
ペーパーを使って仕上げ研磨まで進めました。

当初予測していたよりもジグ作りが増えた分手間と時間がかなり掛かっていますが、もう一息で最終的な形態が見られるようになります。

材料の斜めカットジグの材料を受ける部分で、ここに斜めになって見える2本で材料を受けて所定の傾斜にします。
4つ見える穴にはM6の鬼目ナットが捻じ込まれています。

これはその上に載せて材料が動かないよう押さえる板で、これを上下逆さに乗せて使います。 黒く見えるのは3mm厚のスポンジで密着度を高める目的で使っています。

材料の固定手順で先ず切削する材料を斜めに受ける部分にしっかりと嵌め込みます。

その上に押さえ板を載せて4本のセットキャップボルトで固定しました。 ボルトの頭は予めフォスナービットでザグってあるので表面には出ません。

そしてコの字型のトリマーガイド板をその上に載せました。 このガイド板は矢印方向に移動可能です。

ガイド板に電動トリマーをセットしました。 電動トリマーは矢印方向に移動可能です。 これで電動トリマーは極めて安定した縦横の移動が可能になります。

早速試し切削をしてみました。 切削量は材料先端で約9mmあります。 8mmのストレートビットを使っていますが、繋ぎ目の段差も殆ど見当たらず良好な結果です。

切削後(左)と未切削(右)を並べてみました。 全く問題が無いのでこのまま本番に入りました。

本番の切削も何ら支障なく順調に進みましたが、5枚を切削したところでくみ上げて外観を比較してみました。 左半分が切削後で上端の板厚は10mm、右半分は切削前で板厚は19mm。 ぼてっとした感じが薄れよりスマートな感じに変わっているのがお判りいただけるでしょうか?

短径40mm、長径86mmの楕円をパソコンで描いて印刷し切り抜いた型紙を糊で貼り付けました。 切断後上下の位置合わせを容易にするため底から一定の距離に線を引いています。(矢印の先)

小さな曲率の切断は低重心設計のリョービ CJ-250と付属の曲線仕上切りブレードが最良の組み合わせ。 大型のジグソーよりも容易に高い切断精度が実現します。

凹曲線と凸曲線の切断が終わりました。 型紙は水で濡らして剥がしますが、板を濡らすと反りが出てきますので、組み上げてから剥がします。

切断部分のクローズアップ。 切断線の極僅か外側を切っているのが判ると思います。 また切断面も非常に綺麗で仕上切りブレードの効果が判ります。

凸曲面の一次研磨には自作替刃式直角ヤスリを使いました。 こんな具合にヤスリ面を材料に当てます。

替刃式直角ヤスリで研磨中。 研磨面が直角になっているかどうかを気にしなくても良く作業効率は抜群。

替刃式直角ヤスリで型紙の線ドンピシャになるまで(0.2-0.4mm位でしょうか?)削り上げて、その後#240サンドペーパーをハンドサンダーに取り付けて仕上げ研磨。 表面はつるつるに磨き上げられました。 尚型紙は板を濡らすと反るために組立てが完了するまでこのままです。




2008/08/29

組立て、仕上げ研磨

いよいよ組立てに入りますが、当初組立てに際しては1箇所ごとに正確な接合角度になるようジグを作ってやろうと考えていました。 しかし既にジグ製作だけで2日以上を費やしてうんざりしていたこと、その方法では1箇所ごとに5−6時間の接着剤硬化時間を置かねばならず終了までにかなり時間が掛かってしまう(間違いなく数日掛かる。)ことから一挙に組み上げることを考えました。

思いついた方法は完璧な方法ではないかもしれませんが結果としてはまずまずで、接着剤塗布に約30分、接着し圧着作業終了までに30分強の合計1時間強で終了しています。 そしてその後完全硬化のため1晩寝かしました。 接着剤には90分硬化開始型のエポキシ接着剤を使ったため、慌てて作業を進める必要も無く十分にゆとりがありました。

組立てと圧着保持には、バクマクランプ布粘着テープ(一般にガムテープと間違って呼ばれている荷造り用のテープ。)プラスチックの紐(これも荷造り用。)割り箸数本を使い特殊な道具を必要としないことも特徴かもしれません。  作業中にエポキシ接着剤があちこちに付着しやすいですが、これらはラッカーシンナーかペイント用シンナーをぼろきれに浸して拭き取っています。
アセトンがあればもっと強力なクリーニングが可能です。

翌日に各部の研磨を施しました。 天気が怪しかったので屋内で電動サンダー無しの手研磨としました。 最初は底部の凹曲面研磨で、これには替刃式ヤスリDR-1000PM-20GPを使いそのあと#240ペーパーで仕上げました。 次が内部のトリマーで斜めに切削した部分ではみ出たエポキシをM-20GPで強研磨して落とし仕上げはハンドサンダーに#240を付けてやっています。 最後に外側ですが、エポキシ接着剤が滲み出ていたり、あちこちに付いていたためM-20GPで削り落としてからハンドサンダーに#60を付けて型紙や残っている墨線が消えるまで削り込み最後に#240に替えて仕上げ研磨しています。

エポキシは完全に取り除かないとその部分は着色できませんので、#60での研磨はエポキシ樹脂の取れ具合を水で濡らして確認しながらやっており(エポキシが残っていると水を付けても色が変わらないので判る。)、大変時間が掛かりますが根気良くやらねばなりません。 ということで以上の研磨作業だけでたっぷりと1日を費やしましたが、これなら塗装も上手く行きそうな状態になっています。

組立ての最後は底板ですが、材料はワンバイフォー材を縦半分に切断したものを5枚使いイメージ構想にあるような風に現物合わせで切断して、5分硬化開始型エポキシで底部の桟に接着しました。 トリマーによる斜め切削加工などに比べると遥かにいい加減な切断ですが、実際には目に触れない部分でもあり気楽に進めています。

組立て作業の第一段階はテーブルの端に端材のワンバイフォー材を置き、その上に10枚の板の外側を上向きに板同士が隙間無く並ぶようにします。

その際既に引いてある線(底から一定の距離にある。)が真っ直ぐに並ぶようにします。(これがずれると垂直に立ちません。)

上下の適当な2箇所に布テープを横に貼り付けて10枚の板を連結します。 この時テープの左端は板の幅程度長めに垂らしておきます。

そうしたら10枚の板をひっくり返すのですが、端材の板をもう一枚載せてバクマクランプで強く挟んでバラバラにならないようにしてからひっくり返します。

これがひっくり返した状態です。 これで接着剤を塗りつける準備が出来ました。

接着剤は90分硬化開始型エポキシで、ポリエチレンの袋の上にA液とB液を等量絞り出し、ヘラで混合します。 そしてヘラで接着面に塗りつけます。 硬化開始は90分後ですから慌てる必要はありません。

エポキシを塗り終わったら両端の板を持ち上げてゆっくりと円筒状にしてゆき端と端が合わさるようにして布テープを貼り付けます。 

この時位置合わせの線がずれないよう注意します。 またむりやり曲げると布テープが破断する可能性があるので落ち着いてゆっくりやる必要があります。 そして上面を下にして立てます。

次に荷造り用のプラスチック紐を上、中、下の3箇所3-4回巻いて縛ります。(強く縛り上げる必要はありません。)

接合面の位置を再度確認・調整後に割り箸をプラスチック紐の下に通してから回転して数回捻り十分に締め上げます。 割り箸の端は戻らないようこのように布テープで固定します。 これで完全硬化(12時間)まで寝かせます。

組み上がった本体各部を研磨するのに使った各種ヤスリ。 右端のハンドサンダーには#60と#240の布ペーパーを使います。

下部凹曲面を最初に研磨します。 エポキシがこのようにはみ出して固まっている箇所が幾つかありました。

隅の所はRS-310Pがおあつらえ向き、エポキシを完全に削り取ります。

そして平らな部分はM-20GPで。 強研磨が得意ですから効率良く進みます。

沁み込んだ部分も含め完全にエポキシは取り除けました。 この後#240ペーパーで仕上げます。

その他の凹曲面はDR-1000Pの出番。 私はグリップ部分にDR-800P用の替刃を取り付けているので、反対に握れば曲率が小さい所でもOKです。

上部内側のテーパー部分でここにもエポキシが付着していましたので、M-20GPで強研磨し完全に削り落とします。 その後ハンドサンダーに#240ペーパーを付けて仕上げ研磨です。

最後が表側ですが、ここも付着したエポキシをM-20GPで削ってからハンドサンダーに替え#60ペーパーで型紙や墨線が消えるまで削り込みました。 そして#240ペーパーに替えてつるつるになるまで磨きこみます。



仕上げ研磨まで終了し構想段階のイメージになりました。 上部のクローズアップを見ると小さな穴が幾つか見えますがこれは元のネジ止めしてあった部分です。 これは塗装作業中に見えなくします。

全体的にワンバイフォー材を使った割にはシャープな感じが出てきたように思います。

組立ての最後は底板貼り。 ワンバイフォーを縦に半分に切った幅の板で、現物合わせで4枚組とします。

エポキシで接着ですが板と板の間は約5mmの隙間が出来ますので、水捌けは上手くできると思います。



2008/09/05

塗装と完成まで

塗装については油性ウレタン着色ニスを使うことにしました。 本格的な屋外木部用に比べると防腐剤が入っていない、紫外線への耐性は???などの問題はあるものの、我が家の玄関前に設置したVIC's D.I.Y.の案内板では直射日光に晒されることが少ないこともあり、製作後3年を経た現在でも塗膜に亀裂は入らず温度変化や雨水に十分耐えられることを実証しています。 傘立ての場合には時折水に濡れる程度ですから実用上の支障は全くでない筈と踏んで採用しています。

着色タイプのニスを使ったのには多少の理由があります。 それは内部(特に底板周り。)には取り除けないエポキシ接着剤があちこちにあります。 その上をステインで塗っても着色は殆ど出来ませんが、着色ニスであれば塗膜が厚くなればそれなりに着色効果が期待できるという点にあります。(勿論着色剤や塗料が載らなくても防水性では支障はないのですが?)  色はマホガニー色にその1/3の1の量のエボニーを加えてマホガニー色の赤味を少し抑えていますが、混色後薄め液を15%程加えて、着色斑防止を図っています。

内部は3回塗りして古い材料と新しい材料の着色程度の違いを確認しましたが、古い材料面で全く研磨をしていない面でも新しい材料面にかなり近い色味になってきましたので、表面の古い材料と新しい材料(どちらも研磨してある。)では殆ど同じ感じに仕上がるだろうとの感触を得ています。 尚内部の塗装は防水性能優先の厚塗りで4回塗りしています。 従って塗り斑や着色斑もかなりあります。 これらは無論手抜きであり決して良いことではありませんが、研磨すること自体が難しいことと所詮見えなくなってしまう部分だとの割り切りによります。 但しそのままではざらつきが多くて傘の布地を痛める可能性がありますので、4回目の塗装前に#400ペーパーでざらつきだけは取り除きました。

一方表面は常道というか丁寧に薄塗りを重ねています。 方法は「2回薄塗り後に#400ペーパーを取り付けたハンドサンダーで軽く研磨後2回塗装、そして研磨・・・・」というサイクルを4回、つまり8回塗りということになります。 塗り回数がかなり多いですが、これは細かなあら(ネジ穴、その他の傷や取れなかった汚れなど)を濃度を高くすることによって目立たなくしてしまおう!という尋常ではない発想と、設置場所隣の折畳式ベンチに色味を合わせて格調ある雰囲気を出したい!というかなり虫の良い発想によるものです。 塗り回数合計は内部が4回、外部は8回の計12回になりますが、1日に3回として平均で8時間の乾燥時間を入れたため4日以上を費やしました。 馬鹿げているかもしれませんが、このテーマでは馬鹿げているような作業が多かったので、毒も食らわば皿まで!という意識もあります。

安くて決して上等ではない材料を使い、色々な作業でとんでもなく手間の掛かった部分が多くてアンバランスな作り方でしたが、何度も言うとおりそのうちに作ろうと考えている「円筒型スピーカー作り」の作業方法検討と考えれば、大きな収穫があったように思います。  そして長期間使った作業台の材料を捨てずに見事に変貌させた!という密かな喜びが残っています。

塗装は油性ウレタン着色ニスを使いました。 マホガニー色が主ですが赤味をちょっと押さえたかったので、マホガニーとエボニーを2:1として混色しその後薄め液を15%程加えてやりました。

最初に内部を塗りました。 1回目の塗装後6時間寝かして研磨無しで2回目を塗った後です。 底部は隙間があちこちにあるので通常と異なり塗料を流し込んでいるため乾燥が遅いです。

底部の乾燥が遅い為、角棒を作業台に固定して底部には掛からないよう乗せて、表面の1回目の塗装をしました。 少しずつ回転させることが可能ですので、常に上面を塗るという作業性と質の高さが得やすいやり方になっています。

こちらは表面の塗装の4回目が終わった所です。 左の写真に比べると随分濃度が上がり赤味がだいぶ増してきていますが、私のイメージしている濃度にはまだまだ隔たりがあります。

これは6回目の塗装が終わったところで、かなり艶が出てきているのが判ります。 但しまだ濃度は不十分で、予測としては8回塗りかな(380ml程作ったニスも丁度なくなりそう。)といったところです。

同じ条件で、1回目、4回目、6回目と撮影しこれが8回目ですがやっと希望していた濃度に達しました。 そしてニスの残りも10g程度の僅かですので、これで塗装は終了とします。


トップ部分のクローズアップ。 期待していたよりもエレガントに仕上がったと思います。

トップの曲線部分を逆光で見るとこんな具合で、かなり艶が出ています。
完成した傘立ての全景(左の写真) 8回塗りとかなり辛抱強い塗装を強いられましたが、構想段階で期待したイメージにかなり近い仕上がりになったと思います。
アクセントとして考えていた飾り丸釘は使わずこのままの状態で使うことにしました。

早速予定していた場所に設置しました。 実は右側にある折畳式ベンチの色に合わせようとしていたのですが、そちらは赤茶色のラワンに塗装したため、遥かに白っぽいワンバイフォー材の色出しと濃度に苦労したという訳です。
しかしワンバイフォー材で作ったようには見えない深みのある木目と艶が素敵な高品位?!な物になりました。


----- 完 -----

 
  
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