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LEDの使い方 5
2008/02/08

LED駆動方法のバリエーション

・ LEDの輝度減少方法

LEDの輝度を変更するには流れる電流を減少させる方向のみとなります。 決して標準順電流を増加してより明るくしようと考えてはなりません。(単にLEDの寿命を短くするだけです。) 標準順電流で明るさが不十分であるなら、より高輝度のLEDに変更するか使用本数を増やすしかありません。  さて具体的な輝度変更の方法は右の図をクリックしてください。 (図の中で赤字で記載された抵抗は標準順電流を得るための物です。)

一番左は抵抗だけで電流を制限した場合です。 赤字で250Ωとなっている抵抗が、20mAを流すための抵抗で、それに直列に可変抵抗(通称ボリューム)を入れます。  この場合500Ωの可変抵抗としていますが、これを回すことにより抵抗値のトータルは250Ωから750Ωの間で変化します。 抵抗値が3倍変化するわけで電流もこれに伴い減少します。  真中は定電流ダイオード゙の場合でやはり直列に可変抵抗を挿入します。  この場合20mA時に定電流ダイオードの両端に掛かっていた電圧は可変抵抗値が大きくなると、定電流ダイオードに掛かる電圧が低くなり、これが電流低下をもたらします。  意識して定電流ダイオードの制御可能範囲外に追い込もうというわけです。  一番右のLM317を使った場合は、矢印の電圧は常に1.25Vになっていることを利用して電流を変化させようというアイデアです。  ここでは200Ωの可変抵抗を62.5Ωに直列に繋いでいますが、可変抵抗が最大値となった場合には、262.5Ωとなりますから流れる電流は、1.25V ÷ 262.5Ω = 4.8mAまで減少します。


・ 条件付のLED多数駆動方法

シリーズレギュレーターは一般にかなりの電流を取り出せる能力がありますから、数本の
LEDを直列に繋いだユニットを多数並列に追加した右のような使い方があります。
一見問題なさそうですがこれには大きな落とし穴があります。  20mAの電流が完全補償
されるのは一番左の列だけでその右の列に流れる電流は20mAとなる保証がありません。

 その正解は左の図をご覧下さい。 20mAの保証
 がないのは、図中のD点とB点間の電圧によりま
 す。  何となくC点とB点間の電圧24.5Vになりそ
 うですが、実際にはこれらの電圧はLEDの順電圧
 のバラツキのために一定の電圧にはなりません。

 例えば3.5Vが公称順電圧でも実際には3.4Vとか
 3.7Vになっている可能性があります。(白色、青
 色LEDで特にバラツキが大きいようです。)
  仮に7本のうち2本が3.4Vで残りは3.5Vだっ
 たとしましょう。 そうすると7本の合計は24.3Vになります。  一方A点とB点の間の電圧
 は常に一定(ここでは27.5V)ですからLED両端の電圧が0.2V下がった分は抵抗(A点とD
 点)
に掛かりその値は3.2Vになります。 そうすると抵抗値を一番左と同じ150Ωにしてし
 まうと、3.2V ÷150 = 21.3mAとなります。

従ってそのような原因で流れる電流が大きく変化しないようにするには、予めLEDの順電圧値を測って選別するか図のように150Ωの抵抗を調整しその両端の電圧が一番左と同じ3Vになるようにしないとなりません。  条件付とは以上のような内容です。


・カレントミラー回路による多数の駆動

 定電流ダイオードで電流制御し多数駆動しようと考えると定電流ダイオードが沢山必要に
 なります。 しかし20mAクラスの定電流ダイオードはまだ高価(\200以上する。)ですから
 部品代が気になってきます。  そんな時に便利なのがカレントミラー回路というもので、
 左の図はそれを使って多数のLEDを駆動しようとする例です。

 一番左の縦の列に20mAの定電流ダイオードを1個使っていますが、その右の縦の列に
 は使用されていません。 実は一番左の縦の列の電流に右へならえ!!(左になら
 え!!かな?)
をして同じ20mAが流れます。  図では4回路が右へならえ!をしていま
 すが、更に追加することも可能です。 左端縦の回路を除きLED以外にトランジスター1個
 と抵抗1本が必要ですが、それらの価格は\10.-もしませんからコスト的に有利です。




・ 定電流駆動のその他の方法

 定電流駆動がLEDを使う基本と言うことはもうお判りになったと思いますので、それを実現
 する他の方法を2つご紹介しておきます。

 左の回路は実は定電流回路ではなくて電流制限回路と言うべきものですが、LEDを駆動
 する目的では定電流回路として考えても差し支えありません。 特徴はトランジスターと
 抵抗2本だけで作れるため部品代を抑えやすい点にあります。

 LEDに流れる電流値は図中の下にある抵抗で決まります。 というのは矢印両端の電圧
 はほぼ0.65V一定になっています。 従ってLEDを流れる電流は、I = E ÷ Rにより、抵抗
 の値を一定にすれば一定の値を示します。 ここでは電流値を20mAとして、0.65V ÷
 0.02A = 33Ωと算出しています。

 図中ではLEDを2本直列に繋いでいますがトランジスターの耐圧上の
 問題が無ければ更に増やすことが可能です。 特殊な部品を使わな
 いだけでなく温度上昇があったときに電流値は低下する方向に変化
 しますのでLEDが熱暴走しにくくなるのも有利です。

 もうひとつの回路は右側の図のようなもので、トランジスター、FET、
 抵抗各1本を使います。 この構成においてFETと抵抗の組み合わせ
部分は定電流回路として動作し、トランジスターに流れ込むベース電流というものを決定します。
一方LEDに流れる電流はベース電流 x トランジスターの電流増幅率となり電流増幅率は個々のトランジスターでは一定の値となるため、抵抗の値を固定すれば一定の値(定電流)となります。
この回路の流用方法としては低電圧で安定した駆動を考えたい時や部品実装容積があまり取れない時に
有利です。 因みに通常の定電流ダイオードをLEDに繋いだ方法では電源電圧が4.5Vでは定電流駆動出来
ませんので、このような回路の採用が考えられます。


・ 余計なお金を掛けないLED駆動の原点

5回にわたってLEDを上手く点灯させる方法を解説してきましたが、最後にお金を掛けずにLEDを上手く点灯する方法について簡単に述べてみます。

改めて申し上げるまでも無くLEDは電流で駆動する素子です。 流す電流により明るさは変化してきますし流しすぎれば破壊します。 そしてLED自身のバラツキや温度変化、駆動電圧変化もそれらに適切に対処しなければLEDに無理が掛かります。  但しその無理と言うのはメーカーが掲げている標準順電流付近で駆動する場合に起こることであり、それより低い電流値であれば温度変化や電圧変化があっても大きな問題にはなり得ません。  従って無理して標準電流での駆動に拘らず、電流値を抑えて使えば余計な安定化する回路を省略することも可能になります。

特に最近では高輝度LEDが安くなってきており、照明すること自身が重要な目的であれば別ですが、標準順電流に拘らなくても十分目的とする明るさが得られると思います。  例えばパイロットランプなどと通称される何らかの表示目的であれば、標準順電流を流す必要はどこにもありません。  

私の試作の例ですが家内のために作ったパソコン用アンプ付きスピーカーで使用したLEDパイロットランプは緑色LEDを使っていますが、標準順電流20mAに対し何と1.6mAしか流していません。  もうひとつ息子にせがまれて作った木製ケースに収めたデジタルアンプのパイロットランプ(青色LED)では標準順電流が20mAに対して5mAと標準順電流の1/4でした。

 それ程抑えても十分な視認性があったからそうしたわけですが、そのような使い方さえす
 れば、LEDを壊すことなく色々実験してみる楽しさが増えてきます。
 電流増加により明るくしようとせずに若干駆動電流を抑えて使うLEDの本数を増やす方
 が、壊れない!という精神衛生上の理由だけでなく、周辺回路の負担がなくなるだけ
 トータルコストには大きな変化があまり出ないと私は思います。

 その意味で左の図のように挿入する抵抗の値が大きくなるような計算で進めることが基
 本原則になります。



5回に渡ってLEDの使い方について解説してきました。 電球を点灯させるのとは随分考え方が違うなー!と気がついていただけたらと思います。 省エネの光源として嘱望されていますからいろいろな面での応用が更に進むと思いますが、LEDを使う工作機会がありましたらまたご覧頂けたらと思います。 私自身もLEDを使った作品を幾つか紹介してまいります。

----- 完 -----
  

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