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木製ケース デジタルアンプ
   
2007/02/02

構想

別項で紹介している家内のパソコン用スピーカーはアンプを内蔵する所謂アクティブスピーカーですが、このアンプ部分はカーオーディオ用のパワーICを使って自作することにしました。 その一番の理由はパソコンのON/OFFに連動してアンプのスタンバイON/OFFが出来るということだったのですが、その前に使用を考えたデジタルアンプキットを使った単体アンプを作ろうと言うのが本テーマです。

 実はこの手持ちのデジタルアンプキットは暫く前に私の息子が購入し組み立てた物
 で、格好良い木製のケースに入れたいなー?と言っていたため作ってやってもい
 いよ!と安請け合いをしたままほったらかしていたという経緯があります。 

 格好良い木製のケースとは言え雑音・外部妨害対策を考えると木製ケースの内側
 は金属板で覆ってやらないとなりません。(静電シールドと言います。)
 従って大きさの割にはかなり手間がかかり金属加工も出て結構面倒なため着手が
 遅れていました。

 しかし家内用のアクティブスピーカーを作る中でそのアンプの概略が決まり往復
 \1,200の電車賃と半日をかけて秋葉原へそれだけの目的で部材調達に行くのは
 効率的ではなく面白くありませんから、急遽本アンプの構想と設計を纏め上げ一緒
 に部材調達をしようという魂胆でいます。

まずデジタルアンプを駆動する電源をどうするかを決めねばなりませんが、高効率のデジタルアンプですから電源も効率優先のスイッチング電源ユニットを使うことにします。 このアンプは最大出力が20W x 2となっておりますので、効率が良い動作をしていてもフルパワーを出すとなると電源の容量としては60Wクラス以上12V 5A)のものが必要になるでしょう。  しかし息子のこのアンプの使用目的は質の良いパソコン用アンプということでしたので、その半分程度の容量で十分だろうと仮設定しました。(最大出力はおおむね半分に減る。) そうした理由は電源の容量が大きくなるにつれてスイッチング電源の基板の大きさも大きくなってしまうことと当然ながらコスト増に繋がるためです。

ということは30Wクラスのスイッチング電源となりますが、色々調べた上でイーター電機製のBNTE12SA-U (12V 2.5A)が良かろうと考えました。 基板の大きさは88 x 80 x 23mmで最後の値は最大の部品の高さを考慮した基板の厚みです。 因みに60Wクラスのスイッチング電源ですと、50 x 195 x 34mmとかなり大きくなります。

 これらを納める金属ケースが次の悩みどころです。 色々なアルミで出来た既製品の蓋ネジ止めの箱を物色し
 たところ50 x 100 x 250mmが大きからず小さからず適当そうだということが判りました。
 これを50 x 100mmの面が前面になるようにレイアウトを考えてみました。

 電源基板を一番奥の左に寄せその手前にアンプ基板を並べましたが、入力信号周りの配線を緑色で、アンプ出
 力周りの配線は青で、AC配線は赤で示しています。  そして入力端子の位置はアンプの出力周りやスピーカ
 ー配線から最も離れるようにしています。 これは出力信号が入力に周り込み干渉するのを避けたいためです。
 音量調整や入力切替はそれらの内部配線から遠くなることなく且つ使いやすく格好良く見える位置にというとこ
 れしかないでしょう。 そして左側には小さなツマミのトグルスイッチを電源スイッチとしてパイロットランプのLED
 と共に配しています。

また電源、アンプ両基板の放熱板を2mm厚のアルミ板で作り取り付けますが、メーカーによればデジタルアンプからの発熱は10W程度の出力であれば放熱板の必要なしとのことで、スイッチング電源も放熱板は一応付いています。  従ってここで追加する放熱板は石橋を叩くようなものです。

 次が上記のアルミの箱を覆う木部の基本構造です。 左の図は後述する前面パネルがア
 ルミ板を想定して描いていますが、前面を木製としても基本的には同じです。
 アルミの箱の蓋を底板とし天板には4-5.5mmのシナ合板を貼り付け、両側には14mm
 の集成材を貼り付けます。  底板の裏にも4-5.5mmのシナ合板を貼り付けますが、板を
 貼らない場合もあり得るでしょう。

 いずれにせよこうしておけば外観はともかくとして内部は電気的にシールドされている状態
 になります。

次の検討は前面の見せ方です。 冒頭で息子が、格好良い木製のケースに入れたいなー?と言っていたのが完全に木目で覆ってしまうことを意味していたのかそれとも前面パネルは厚手のアルミ板を使ってシャープな感じを欲しいのか? その辺りがはっ
きりしません。  そこで前面アルミ板と前面も木目で覆ったイメージを合計で3種類描き上げました。  とは言ってもExcelで描く絵ですから表現力に限界がありますが、想像力豊かにすれば理解してもらえると思います。

 1番目は前面パネルに5mm厚のアルミ板を使ったものです。 幅が50mmの物を切断して作りま
 すが、殆どのホームセンターで入手できます。 5mm厚の重厚感を表現するためアルミ板の上の
 縁を意識的に見せるように考えています。 またパネル面にはインスタントレタリングで文字入れし
 てそれらしさを出そうという魂胆です。 左右には14mm厚の集成材、天板と底板は薄いシナ合板
 で覆いますが、天板には放熱のためのスリット加工が厄介なものになると想像されます。 
 総じて常識的なアンプデザインの延長線上にあるといってよいでしょうし何となく縦長でスリークな
 感じがしないと思われます。

 次は前面を木目で完全に覆ったアイデアの1番目です。 14mm厚集成材のパネルを木目が横に
 なるよう配置します。 そして単に板で覆ったのでは変化に乏しくて面白くないため、上下の角を
 サジ面ビットで削り落とし変化を与えるのと同時に視覚的に横長感を出そうと考えています。
 ツマミは板の中に埋め込むような構造にしないとボリュームやスイッチに届かなくなりますが、丁寧
 な加工をするとアルミ削り出しのツマミがアクセントとして生きてくるでしょう。
 1番目と違って類型的なイメージから一歩進んだ感じがします。


 3番目は前面を木目で覆ったその2で更に飛んだデザインを志向していま
 す。 まず前面パネルは14mm厚集成材でこれは変わりありませんが、
 木目方向を縦に配します。 そして前面は凸楕円曲面にします。
 この感じに近い仕上げはやはり息子に依頼されて作った小型スピーカーの
 前板部分(右写真)です。   但しこうすると視覚的に縦長に見えるので
 上下角を斜めに切削します。 その結果上下の角は曲線を描き横にストレ
 ッチした感じになると想像しています。  

さてデザイン的にどのような方向付けがされるか息子のコメントを待たねばなりません。 但しアンプの出力は10W x 2で十分とのことですから、木部は別としてアルミの弁当箱の部分は近々製作に掛かり電気的な調整は済ませておこうと思います。

アンプを作る!というテーマながら、VIC's D.I.Y.はオーディオ製作を主目的としておりませんので、あくまでも日曜大工の延長線上から少々脱線した進め方をして参ります。 従いましてアンプ部分関連の解説は最小限度とすると共に、それらに関する突っ込
んだご質問にはお答えできませんのでご了解ください。



2007/03/02

細部検討の続き

先週のひとりごとで触れているようにお雛様のフルセットが飾られているために屋内での作業が出来ません。 デザインの方向性は確認したため机上の検討のみを進めました。

 3通りのフロントデザインを提示して検討してもらった結果、最後の前面曲面の完
 全に木で覆った物が良いということで、実際に使う部材をベースに外観と内部
 レイアウトの最終検討に入りました。

 その前に秋葉原に出向き必要な部材を調達したのですが、じっくり検討せずに
 購入したスピーカー端子や入力端子がスペース不十分で入らないことと、その後
 の検討で追加回路(後述します。)が必要になったためそれらに必要な部材が出
 てきていますので、再び秋葉原に行かなくてはならなくなっています。

 最終的な外観のイメージは基本的に変わりませんが期待していた形状のツマミ
 が見つからず、ローレットの入ったストレートな円筒状のツマミにしました。
 またスイッチング電源は手持ちで12V 2A5V 0.5Aが取り出せるシールドケー
 ス付きの物が出てきましたので、これに変更します。

 このレイアウト検討ではスピーカー端子と入力端子がまだ最終の物を入手していないため背面部分は未
 検討のままですが、よほどのことがない限りこれが他のレイアウトに影響することはないと思います。

 さて追加回路なのですが、実は今回使用するデジタルパワーアンプIC TA-2020-020の色々
 な製作記事を調べてみたところスピーカー出力端子のオフセット電圧がかなりばらついており、
 10mV
から大きい場合で100数10mVも発生する場合もあるようです。
 こんな状態で実際にスピーカーを繋いだ場合にはスピーカーコーン紙はオフセット電圧分引っ込ん
 だり飛び出したりしてしまい、振幅のリニヤリティーが悪くなり音質にかなり影響するはずです。
 またポップノイズも大きくなるはずなので、オフセット電圧を0Vに調整する回路を追加することにし
 ました。

そこでメーカーの技術資料を調べた所、入力端子に1.8-3.0Vの電圧を加えてやれば出力端子で
のオフセット電圧±150mVの範囲を0Vに調整できることが判りました。 
そこでスイッチング電源の5V出力にツェナーダイオードを繋いで3Vの安定した電圧としてそれを
半固定抵抗で1.8-3.0Vの間を可変できるようにしています。

この基板は穴あきの一番小さな45 x 45mmのもので十分間に合い深さ50mmのアルミボックスに丁度良く収まりますので、レイアウト図のオレンジ色の部分として追加することにしました。
慌てて製作に入っていたらこの追加回路の挿入もしにくくなったでしょうが、事前にやらなければな
らないことが慎重に進めていたため予め判って幸いでした。



2007/03/09

オフセット回路の組み立てと背面のレイアウト

平行して進めているPC用スピーカーのボックスの塗装の合間を縫って、オフセット調整回路を組み立てました。

大変簡単な回路ですので製作は難しくはありませんが、若い頃とは
異なり老眼が進んでいますので細かな作業がしにくい辛さはあるものの、右の写真のような物に仕上げています。

回路や穴明き基板への部品レイアウトは先週紹介したとおりですのでそちらを参照ください。 但し簡単にテストしたところツェナーダイオードによる電圧安定化が不十分でしたので、基板の裏に220Ωとパラレルに330Ωを繋いで132Ωとし、ツェナーダイオードに流れる電流を増やしました。(約13mAに増加)

ところで背面のレイアウトについては独立型のRCA PINを4個購入しそれをエポキシ基板に固定するという方法でまとめることにしました。

 少々面倒ですがこれによりより体裁の良い物になると思います。
 またスピーカーターミナルは既に購入したワンプッシュロックタイプ
 をそのまま使うことにします。 本当はもっと良質の独立型を使いた
 かったのですが、スペース不十分で入らない(無理するとショートさ
 せ易くなる。)
との判断です。  それを元に背面のレイアウトをまと
 めたのが左の図で、右の写真がスピーカターミナル、RCA PINそし
 てコードブッシュです。


余談: ここで使っているデジタルアンプ用ICのメーカーTripath社)Chapter 11の申請をしたという情報を読者の方に送っていただきました。 この場を借りてお礼申し上げます。

このChapter 11を単純に破産申請のこととして理解されやすいですが、厳密には事業継続を前提としていますので日本では民
事再生法への申請に相当します。 従ってまだ事業として継続される可能性は残っています。 これに対して事業継続をあきらめた破産申請の場合にはChapter 7と呼ばれます。  どちらにしてもこのICの入手性はかなり悪化することが予想されます。 購入したい方は急いだ方が良いかもしれません。




2007/03/23

製作 1

ようやく製作に入りました。 最初はアルミケースの加工、放熱板の切り出しですが、作業に入る前にケース組立て(特に前板を除いた部分)の詳細寸法を割り出しました。 というのはアルミの箱を板でコの字型に覆う簡単な構造なものの実際には放熱口をあけるので、きちっと寸法を割り出しておかないとアルミ部分の穴と木製部分が合わなくなったり見苦しくなってしまう可能性があるためです。

右のアルミケース及び上板加工図をご覧下さい。 木製上板の上面には両面からトリマーで切削し、これ
によって出来る穴を放熱口とします。 上側からの切削は幅3mm、深さ2.75mm + αの溝を3mmの間を
あけながら合計で26本横方向に彫り込みます。 そして裏側には長方形に4箇所深さ2.75mmの窪みを
彫り込みますが、板厚が5.5mmであるため貫通したスリットが52本出来ます。 これら52本のスリットを包
含するようにアルミケースに長方形の穴4箇所を切り抜いてやります。 但しこうすると電気的なシールド効
果がなくなってしまうので組立て時にアルミケースと上板の間には真鍮製の金網を挟んでやることにしてい
ます。

一言で言ってかなり面倒で慎重に且つ正確に加工しないとならない作業になるでしょう。 アルミケースの
大きな抜き穴4個は電動刃研ぎグラインダーで切断しています。

 一般的にはジグソーを使うところでしょうが、切り口付近のアルミ板の平面
 性を損なう可能性が高いので(特に1mm以下の薄い場合)、私は刃研ぎグ
 ラインダーを使うことが多くなっています。  同様にアンプの放熱板も刃研
 ぎグラインダーで切断しその後の寸法出しと切り口の研磨にも使っていま
 すが、慣れてしまうとかなり作業性は良いと思います。

 この辺りは木工作業とは言えませんが、日曜大工でも金工作業が完全に
 ゼロということはなく、そんな場合に刃研ぎグラインダーは大変重宝します
 ので、道具選びとマスター術で刃研ぎグラインダーによる基本的な切断の方法を紹介しています。



2007/03/30

製作 2

 引き続きアルミケースの残りの加工をしました。 大きな丸穴はのドリルで若干小さな穴
 をあけてから丸棒ヤスリで広げて最後の0.2-0.3mmmini-Shopで販売している替刃式
 ヤスリRS-310P)で仕上げました。(左の写真) RS-310Pは約10φの曲率を持っていま
 すので、手加工ながらかなり真円に近い穴とすることが出来ています。 本来は木工用の
 ヤスリですが、アルミ板の研磨もOKという特徴をいかんなく発揮しています。
 底板はの穴を沢山あけて冷却の為に空気が入る穴としていますが、面倒くさがって穴を
 これ以上大きくするとシールド効果に影響すると思われます。

アルミケースの背面を除けば完成後は目に触れることは無くなってしまうので、背面の加工は特に丁寧にやり他はかなり手を抜いたやりかたをしていますが、それでも全ての加工が終わるまでに丸1日を費やしてしまいました。

尚入力端子はバラRCAピンをグラスエポキシ板に組み込んで特製の端子盤とした上で背面に取り付けます。 入力端子のグラウンド側(アース側)は共通に接続されるのだから直接ケース(普通はグラウンドレベルになる。)に固定しても良さそうなものですが、ハムノイズを抑える観点から回路のグラウンド側とケースの接続点はどこでも良いというものではありませんし、数箇所で接続されるようなことがあるとループハムと言うトラブルを起こす可能性もあるので、取り敢えずは入力端子のグラウンド側はケースから絶縁しています。

加工が済んでから全部品を仮止めして配置や配線上矛盾や極端に組みにくいところがないかどうかを確認しました。 配置がぎりぎりの部分や配線順序を考えないと配線不可能な部分などはあるものの、このまま進んでも問題なさそうでほっとしています。
背面の入力RCAピンの部分も、開口部分とピンが芯ずれもなく並び、かなり念入りに加工した成果が出ています。

先週あけた四角い穴に続き丸穴をあけ終わりましたが、右に見える底板の沢山の穴を始め量が多いのと加工精度をシビヤーに抑えたい部分もあり、結局1日がかりになってしまいました。

背面パネルは完成後唯一目に触れる面なので最も慎重に加工しました。 大きな丸穴5個は8φの穴をあけてから丸棒ヤスリで削り最後は替刃式ヤスリRS-310Pで仕上げています。

前面の丸穴中、中央と右端の穴はボリュームとスイッチが付きますが、飾り前板にあける穴との位置関係が狂うと芯ずれで見苦しくなるので位置関係を正確に加工しています。

市販の入力端子盤が使えないので、ピン4個を1.5mm厚グラスエポキシ板を加工して取り付けました。 このグラスエポキシ板は穴あきプリント基板の流用です。

その裏面。 丸い銅箔部分を剥がさずに使っていますがピン同士は電気的に絶縁された状態になっています。

穴あけが終了したアルミケースに加工上の問題がないか主要部材を取り付けて確認しました。 ボリュームとスイッチのシャフトは所定の長さに切断せねばなりません。 また左側の穴はLED配線がとおる穴と電源スイッチアセンブリーを固定する穴です。

背面はご覧のとおりぎりぎりいっぱいにスペースを使った感じです。 右下は追加したフューズホルダーでその上の穴にコードブッシュがとおります。 上面の穴を通して見えるのは手前が電源基板で、奥がアンプ基板です。

底面から見るとこんな具合で左が電源基板、右がアンプ基板。 右下がオフセット電圧調整回路です。 これで配線をすると隙間なく埋まってしまう感じになるでしょう。

前面の詳細。 電源スイッチはアルミ板を加工した板に固定しそれが左端に見える2個の小さな穴に固定するネジで取り付けられます。

背面の詳細。 念入りに加工したため特製の入力端子盤のピンとアルミケースにあけた穴は芯ずれもなく綺麗に固定できています。



2007/04/06

製作 3

配線をする前に配線してからでは出来ない2つの作業を済ませました。 そのひとつは木製ケースに収まっても見えてしまう背面と底板の塗装です。 気をつけて加工していても擦り傷や汚れが付いており切り口はアルミの地肌が出ていますのでかなり明るい灰色のスプレー塗料を2回塗って仕上げました。

もうひとつはシールド効果を高めるための金網貼りです。 電気的なシールドですから接着剤で貼ってしまうわけには行きません。 今回は頭の直径が大きいバインドネジで真鍮製の金網をケース内部に固定するスペーサーに共締めしましたが、合計で8本のネ
ジで止めていますから電気的な接続状況はかなり良いと思われます。 尚ネジ止めだけでは浮き上がってしまう部分もありますが、この上に板を貼る際にそれらは押さえます。

 配線組立ての前に私が作った最終的な回路をお見せしておきましょう。
 左の図をクリックすると詳細がお判りいただけると思います。
 入力周りの配線にはシールド線を使っていますが、グラウンド側(アース
 側)
の配線処理を間違えるとループハムに悩まされるので、どのように
 配線したか判るように描いてあります。 図中点線で示したのがシール
 ド線の外皮(網線)側です。  またオフセット電圧調整回路は当初
 DC 5Vで設計しましたが、スイッチング電源を12V出力のみの物に変更
 したので、前に紹介した132Ωの抵抗を560Ωに替えました。
 オフセット調整の配線はICPIN 10PIN 13に配線してやります。
 LEDだけは未配線ですが、予め実験した結果5mAの電流で十分な明るさを取れることが判りその時のLED両端電圧が3Vでしたので、1.8kΩを間に入れて後ほど12V電源に接続します。

あと変わった点としては回路のグラウンドをアルミケースに接続していないことで、カマデンの説明書にもケースへの接続は不要と記載してありました。 常識的には不思議ですが、実際この為のハムノイズの発生もありません。 後述するようこのアンプケースからのラジエーションはかなり少ないですが、すっぽりと覆った金属ケースが回路のグラウンド側と接続されていないことが高周波ノイズがケースに載らないことに繋がっている可能性があると思います。

ケース内部の組立てと配線は順序を良く考えないと今回のようにかなり実装密度が高い場合には出来なくなってしまう可能性が多いです。 基本としては2枚の基板を固定するのは最後に近い工程とすることと、沢山のワイヤーが集まるような部分はアセンブリーとして完成させて取り付け、残る配線をするような工夫が必要です。  数回誤配線がないか目視とテスターによる導通テストを終えた後に通電テストをし12Vの電圧がアンプ基板に供給されていることを確認の上オフセット電圧調整をしました。
オフセット電圧はCH138mVCH2-47mVと何れも無視できる範囲にありましたが、何れも調整後0Vに収まっています。  但しこうしても電源ON時に片チャンネル(CH2)のみかすかにプスッとポップノイズが出ます。 従ってオフセット電圧だけがポップノイズの原因ではないのですが、原因がはっきりしないため解決策は困難なのでこのままにしておくことにしました。

肝心な音質については想像していたよりも遥かにクリアーで分解能に優れた音でした。  比較したDENONのコンパクトコンポーネントに比べると一部のCDで中高域でほんの少し髭のような付帯音が聴こえるような感じがするのですが、録音或いは編集による問題かもしれません。  低域のパンチ力もなかなかで、ここまでの材料費が1万円以下であることを考えるとコストパフォーマンスはきわめて高いと思います。

発熱に関しては相当の音量で連続して使用しても温度上昇は殆ど感じておりません。 使用しているスピーカーがということも
ありますが、仮にに変更したとしても今回使った小さな放熱板で十分ではないかと想像しています。 これも高効率のデジタルアンプならではのご利益でしょう。 電源をトランスを使ったアナログ電源としたら音がどうなるかを実験して見たくなりましたが、これは私の物ではないので改造などは一切することなく止めておくことにします。  デジタルアンプ! お主なかなかやるぞ!!というのが正直な感想です。

アルミケースの背面部分と底板は明るいグレー色を塗り、細かな擦り傷や下書きの線を消すと共に外観の完成度を上げました。

アルミケースのトップ部分ネジ穴の周りはこの上に取り付ける真鍮の金網と電気的に接続されるよう#120のペーパーで削ってアルミ面を出します。

その上から真鍮製の金網を載せてバインドネジでケース内部のスペーサーに固定します。 こうすると電気的には穴があいていないことになります。

バインドネジで固定した部分のアップ。  バインドネジは真鍮にニッケルメッキ、金網は真鍮、そしてアルミが締結されることで電気的に確実に繋がります。

アルミケースの内側。 黒や白の棒がスペーサーで、電源基板やアンプ基板をこれらに固定しますが、それぞれにネジが切ってあるタイプの物を使っています。

ボリュームとローターリースイッチのシャフトを所定の長さに切断し、ロータリースイッチは固定する前にシールド線を全て接続しました。(取り付けてからの半田付けは困難。)

ロータリースイッチを固定しシールド線の反対側を入力ピンジャックに接続。 更にロータリースイッチとボリュームの間を結線しました。 2本飛び出ているワイヤーはアンプの入力に接続されます。

スピーカー端子からの配線、AC100V周りの配線を済ましてオフセット電圧調整基板を固定し、スイッチング電源基板を載せました。 スイッチング電源への接続はコネクターを使っていますから逆さに固定といっても接続は楽です。

最後にアンプ基板を固定して12V電源の配線、スピーカー出力の配線、入力の配線、オフセット回路の配線を済まして完成。 誤配線がないか念入りにチェックしておきます。

底板を固定しツマミを付けて裸馬ながらアンプとして動作する状態になりました。 前面に穴があいている部分は木製パネルにLEDを取り付ける際にケーブルを通す穴です。

早速DENONのコンパクトCDプレーヤーを直結し、スピーカーには6N FE103を使ったダブルバスレフトールボーイ(息子が自作)で動作テストをしました。  まず音質ですが、極めて分解能が良い鮮明な音色に大変びっくりしました。 低域の馬力もなかなかのもので十分にメインのシステムとして使えるポテンシャルを持っています。  但し入力感度は若干低めですのでボリュームを回しきってもクリップしませんでしたが、そのまま連続して聴いていると家内から「うるさ過ぎるわよ!」とのクレームが出るくらいですので、実用上支障はないでしょう。  尚雑音は大変少なく、スピーカーに耳を近付けてもハム音、サーッというような高域のノイズは聴こえませんでした。  総合的にきわめて優秀と言えるでしょう。

左がDENONのコンパクトなCDプレーヤーですが、今回のアンプが如何に小さいか良く判ると思います。 尚重量は700gしかない超軽量です。

更に驚きはAMラジオ(右手前の家内のお気に入り)を至近距離に置いてもスイッチングノイズによる影響が殆どありません。 シールド効果がかなりあるようです。

余談: 動作と音質を確認して期待していたよりも遥かに良い結果でしたので、急遽TA2020KIT-SPを2個注文してしまい
     ました。  衝動買いを殆どしない私には珍しいことですが間もなく入手不能になることがはっきりしているためです。
     (カマデンは残り在庫約50個と表示し再入荷はない模様。)  これで何を作るかの楽しみがまた増えました。




2007/04/13

製作 4

やっと木工に入りましたが実はこの木工部分が本テーマで最も難易度の高い部分です。 高さ55mm、幅128mm、奥行き255mmの箱ですから作品として小さいのですが、ちょっと油断すると作り直しを要する落とし穴が幾つかあります。 それらは、

   1.前板上下の部分のテーパーカット
   2.前板のツマミの穴あけ
   3.前板の丸め加工
   4.4枚の板の寸法精度
   5.天板の放熱口の切削加工
   6.側板に天板を落とし込む切り欠き加工


などです。 従って神経を集中する作業の連続で当然急いでやるのは禁物ですので、テスト加工で検証しながら進めたこともあり4枚の板材加工だけで丸2日を使ってしまいました。

1.テーパーカットは電動ジグソーの定盤を傾けて切断する方法をとりましたが木工仕上げ切りのブレードを使い、a) ブレードの上下速度は最高付近を維持しながら、b) しかしブレードの前進速度(切断速度)はブレードが焼けないよう極端に遅く、c) そしてガイドに定盤をぴったりと当てる、d) 定盤が浮き上がらないように、との4項目全てを同時に満足するよう操作しないと、まっすぐにそして一定の傾きでは切断できません。 電動ジグソーの操作としては最も難しい部類の作業です。 尚常用のCJ-250は定盤を傾けることが出来ないのでここではYL-50Vを使っています。

2.ツマミの直径が19.5φですので穴あけは21φのフォスナービットがあればベストなのですが、20φの次は22φになるので20φで穴をあけて替刃式丸ヤスリで削って仕上げます。 穴あけ位置の誤差も若干発生するので現物併せによる補正と真円度の確保と慎重な作業が必要です。

3.前板の丸め加工はカンナで大雑把に削った上で替刃式ヤスリ(M-20GP)で丹念にアールを付けて行きました。 粗目ヤスリを使いたいところですが、深い研磨痕を作ると修復が困難になるので今回は避けました。 尚寸法微調整は現物合わせで組立て時に行いますので、ここでは仕上げ研磨までは進めておりません。

4.4枚の板の寸法精度は特に接合部分が問題になります。 目標としては±0.2mm以内といったところでしょうか? カンナと替刃式ヤスリM-20GP)での切削・研磨で追い込みます。

5.天板の放熱口の加工は最も失敗につながりやすい部分です。 何しろ5.5mm厚の合板を両面から削ってやるため薄いところは板厚の半分の2.75mmしかなくなりますし、間に挟まれたラワン材は乱暴な作業をすれば簡単に欠けてしまいます。 作業時間が大変掛かる部分だけに作り直しは辛いことになりますので、最大限の慎重な作業を求められます。

6.天板は側板の角を切り欠いた部分に落とし込んで接着しますが、天板の厚みが5.5mmに対し深さ6mmの欠きこみにしています。 また横方向の欠きこみ寸法が正確でないとアルミケースに被せた時に隙間が出たり被せられなかったりするので、この欠き込み精度もかなり重要です。

以上のような問題点を抱えながらも作り直すようなこともなく4枚の部材の加工は終了しましたが、組立てや仕上げ加工までは進めずそれでも2日間をフルに使ってしまいました。

今回使った木目は混成部隊。 左はシナで天板に、真中が杉の柾目で側板に、そして右はラジアタパインで前面パネルに使います。 何故そうなったか? 手持ちの端材の都合とでも言いましょうか?!

最初が前面パネルの切り出しで上下のテーパー部分カットは電動ジグソー(YJ-50V)の定盤を傾けてやりましたが、切り進むうちに傾きが変化し易く超難易度の高い切断になります。

テーパーカットの作業中。 刃の上下速度は最大に進行速度は刃が焼きつかない程度に出来るだけ遅く定盤が浮き上がらないように、そしてガイドに定盤全体を密着させる!と4項目を同時に満足させねばなりません。

テーパー切断が終わった前板の切り口。 木工仕上げ切り刃mini-Shop#19を使ったので切り口は大変綺麗でバリが殆ど出ません。 この後替刃式ヤスリを軽くかけて#240のサンドペーパーで磨けば万全です。

前板両端はまだ切断せず4つの穴をあけました。 ツマミが入る部分は20φフォスナービット、小さなLEDの穴は1.5φドリル、そしてスイッチの穴はドリルで2つ穴をあけその間を3mmのノミで小判状に削っています。

そして被せて見ましたが、ツマミの直径が19.5φですので、とおるにはおとったのですがツマミが擦れて回りません。 21φのフォスナービットがあると丁度良いのですが。

そこでツマミが擦れない程度に替刃式ヤスリDR-1000P)のグリップに一段細いヤスリを挿し込んだもの(直径18mmで軽く削りました。 mini-Shopで販売している替刃BDR-500Pですが、DR-1000Pは直径25mmです。

そしてカンナと替刃式ヤスリM-20GP)を使って前面のアールを削りだし、前板両端を所定の寸法で切断しました。 上とはぐっと雰囲気が違ってきます。

更に天板と側板を切り出し、側板には天板を落とし込む欠き込みをトリマーで彫っています。 側板の1枚に見える座繰り穴2個は右側に飛び出ているバインドネジ4個に当たらないためのものです。

ここまでの作業で丸一日掛かるという超スローで慎重に進めましたが、夜になってハタ金で仮組立てをしてみたらドンピシャ寸法であることが判りホッとしています。 前板の両端が飛び出ていますが、意識的に大きめにしており後で調整します。

翌朝天板の溝を彫るための一過性のジグを製作しました。 中央横長で一番明るい色の板が天板で、上下を目盛りの付いた天板と同厚の板(最も暗いやつ)で挟み込みその上にトリマーのガイド板を載せて全体が動かないようクランプで固定します。 赤線にトリマーの台座を沿わせます。

天板を挟む2枚の板(これは下側)には目盛りを刻んだ紙が貼ってあります。 目盛りの間隔は6mmになっていますので、切削するたびにガイド板を1目盛りずつ左にずらしてやれば3mmのビットを使ったときに溝と溝の間も3mmになるという寸法です。

1本目の溝を切削し終えたところ。 上下の押さえ板から切り込むことにより切削開始部分の不安定さや角が掛け易くなるのを防止しています。 当然ながらガイド板と溝中心の距離は台座の幅の半分の値(リョービの場合45mm)となります。

1本の溝を切削するたびにガイド板を左に1目盛りずつずらして次の溝を切削・・・・を繰り返し、片側の溝列が彫り終わりました。 そうしたら天板の左右を入れ替えてもう1組の溝列を彫ります。

こうして彫り終わった天板上側の溝。 深さが2.75mmですから切削時の反動も少なく作業は容易ですが、切削を急ぐと1枚刃だけにバリが沢山出たり切り口が汚くなりますので、ゆっくりと進めるのが重要です。

切削断面のアップです。 天板を捨て板で挟んで切削しましたので、端の部分に欠けを生じていません。 切削間隔の誤差も視覚的な観点から許される範疇に入っていると思います。

これは天板裏面のテスト切削の結果で、一度に沢山切削すると大きな欠けが生じてしまいます。(矢印の先は3層の中心部分のラワン材が欠けて無くなっており裏の表層のシナ材だけが残っている。)

そのような欠けを無くすには切削量を抑えて作業することが重要で、このテストでは矢印のようにトリマーを左から右へ少しずつ(右への一度の移動量は約2mm切削し欠けが出ていないことを確認した例です。

本番では3mmのストレートビットにダブテールガイドを使用し、切削する長方形より7mmずつ大きくしたガイドテンプレートを作って切削しています。 また横方向の移動は一度に0.5-1.0mmという少量に抑え欠けを防止しました。

1箇所の切削が終わったところですが、一番上にあるのが4mm厚のガイドテンプレートで、実際の切削はその一段下で、ガイドテンプレートより7mmずつ小さな長方形になります。(角はの丸みが残る。) 時間が大変掛かりますが途中で作業を止めずに一気に全神経を集中してやる必要があります。

天板裏の4箇所の長方形座繰りが終わりました。 深さは2.75mmですので、表面の溝と重なっている部分は貫通し放熱口となります。

それを表面から見たところ。 貫通部分が透けて見えるのがお判りになるでしょう。 驚くなかれ念入りなテスト切削にかなり時間を費やしたので、この天板の加工だけで1日使ってしまいました。

加工が終わった天板を再び側板や前面パネルと共に仮にアンプ本体にあてがってハタ金で軽く抑え放熱口周りを確認したところです。 大変時間が掛かっていますが構想イメージどおりに作業は進んでいます。



2007/04/20

製作 5

いよいよホームストレッチにまっしぐらとなります。 組み立ての手順は側板と天板は塗装を済ましてからアルミケース本体に接着、それが終了してから前板のアール部分は納得が行くまで現物合わせで削り込み(この中には結構時間が掛かると思われるツマミ周りの穴の研磨があります。)、そして前板を塗装して完成という手順です。(実際には前板は気に食わない部分があったので作り直しました。)

私自身は組み立ててから塗装することの方が多いのですが、その理由としては木工ボンドは塗装面には接着できない!、塗装の作業面積が大きくなる!、現物合わせで削るなどの加工が出来なくなる!などの理由によるものです。 今回は、接着はアルミケースに対してが主になるためエポキシ接着剤を使うため塗装面でも問題なし、物が小さいので塗装の作業場所確保の問題がない!、側板と天板の接合部分の調整・確認は事前に十分出来る!という理由と、天板のスリット内部をつや消し黒で塗りつぶすには側板と接着する前の方がやりやすい!という理由があります。  また前板だけは接着せず木ネジ2本で裏から固定するつもりですので、側板と天板を接着後、十分に突合せ部分が綺麗に収まるよう加工してから塗装となります。

塗装に関しては油性ウレタン着色ニスのチーク色をかなり薄くして塗りました。 事前に3種類の板材での発色の違いを確認しましたが、板により塗り回数を替えることで色調や濃度を整えています。  そして放熱のスリット内部のつや消し黒は水性のペイントを表面の油性ウレタン着色ニスが完全に乾燥後に面相筆で塗っています。 そうしたのは表面に間違って塗ってしまったつや消し黒は濡れ雑巾で拭い落としてしまえばよいからです。  本来ならマスキングテープで覆ってやるところですが、合計で26箇所もあるスリットにマスキングテープをいちいち貼ってやるのは面倒で作業時間の短縮に効果的でした。

アルミケース本体に貼った真鍮のメッシュもスリットを通して見える部分はつや消しの黒を塗ってやります。 また接着前にアルミケースのネジの頭が天板に当たるところは天板を座繰りますが、実際に天板を接着する場合にはメッシュの外側は浮き上がりますので、メッシュの厚み0.5mmと同じ厚みのプラスチック板をメッシュの周りに貼り付けて隙間が出ないようにした上でエポキシ接着剤で固定しました。

側板と天板はこうしてエポキシ接着剤でアルミケースに固定してしまいますから、これらを外すのは不可能になりますが、内部の2つの基板はスペーサーを挟んで固定されておりスペーサーの両端はそれぞれ別なビスが使われていますから、電子回路部分の調整修理は問題なく出来ます。

 LEDの固定は左の図のような加工を前板にした上で裏から穴に差し
 込んで液状瞬間接着剤を表面から2mmの穴に楊枝に付けて少しず
 つ垂らしこんで、表面張力で凹面になって固まるようにしました。

 実はブルーの高輝度LEDは流す電流を5mAとかなり抑えても正面で
 は目を痛めるくらい輝度が高いこととLEDの位置が表面から1.5mm
 引っ込んだところに固定するため斜めから見えなくなってしまうという
 問題があり数日間対応法について悩んでいました。

 液状の瞬間接着剤でLEDを固定しながら表面が凹面になったまま固
 まってくれれば凹レンズを追加したことになりますので、光は拡散し
 て正面の輝度がぐんと下がります。 また斜め方向にも光は固まった
 瞬間接着剤の中を屈折して進み光が見えるようになります。
 自画自賛ながら卓抜なアイデアだと思います。
 (註: ブルーLEDは特に問題が多いらしいのですが、高輝度LEDの
 正面の光は目を痛めるということで、注意を促す行政指導が出ている
 ようです。 美しくて人気の高いブルーLEDですがご注意ください。)


ということでかなりの手間を掛けて無事完成しました。 ラストスパートの様子は以下の写真でご覧下さい。

前の方でもお見せした3種類の板の切れ端で、左から側板用、前板用、天板用です。

同じ場所ではありませんが、それらに油性ウレタン着色ニス チーク色に薄め液を20%強加えた物でテスト塗りしました。 左と真中は2回塗り、右は4回塗りで同じ程度の濃度になりました。 左の赤味はまだ残ってはいますが生地の状態よりは似た色味になっています。

テスト塗装どおりの仕様(油性ウレタンニス チーク色に薄め液20%を加え2回または4回塗り)で本番の塗装を側板と天板に施しました。 色味がテストの時よりも黄味が強くなっているがこれは蛍光灯による影響と思います。 まずまず問題無しです。

スリット部分の塗装には面相筆を使用。 本来は人形の顔の部分を描くなどデリケートな作業用ですが、狭いところを塗るだけが目的なので使い古しの少し太めのものを使いました。

天板裏側の座繰りをした壁面を先ず水性つや消し黒で塗りつぶし。 はみ出て汚らしい部分がありますが、これは裏側で見えなくなります。

表側のスリットの塗装はどちらかというと荒業に近く、ジャブジャブとスリット内部を筆で塗りつぶします。 ご覧のようにかなりはみ出ていますが?

濡れ雑巾で表面を拭えばご覧のとおり。 但しもたもたしていると乾燥の速い水性塗料は濡れ雑巾で拭えなくなるので、手際よい作業が必要です。

見え方の違いをご覧頂くために半分のスリットを塗りつぶした後アンプケースの所定の位置に載せて見ました。 言うまでもなくその差は歴然としています。

全てのスリットを塗りつぶした後に側板の上に載せて見ました。 材質の違いによる色合いの差はほぼ無くなったようです。 やれやれ一安心。

側板と天板をアルミケースに接着、そして側板と天板も接着を同時にやるためこのように15本のハタ金を圧着保持に使いました。 接着にはゆっくり作業が出来るよう60分硬化型のエポキシを使っています。

エポキシの完全硬化には12時間掛かるので一晩寝かせました。 側板と天板は完全にアルミケースをコの字型に覆い固定されています。

真上から見たところ。 側板と天板の間に隙間もなくぴったりと収まっています。 また側板上面は0.3-0.4mm程度天板面より高くなっていますが、これも予定通り。

アンプのアルミ底板は相変わらず4本のバインドネジで固定されているだけですから、アンプのメインンテナンスや修理は問題なく出来ます。

前板はトグルスイッチのストロークを押さえON時にほぼ水平にしたかったのと、ロータリースイッチのツマミの穴位置が0.5mmほどずれていて調整不能であることが判ったので作り直しました。 尚前板はケース内部から2本の木ネジで固定しております。 それとLEDの穴は1.5mmから2.0mmに変更しました。 そしてこの後塗装をしました。

LEDを差し込んで表面から液状瞬間接着剤を穴に楊枝で少しずつ垂らして固定し配線を済ませました。 1.8kΩの抵抗は配線の途中に入れ熱収縮チューブで絶縁しています。

前面パネルを木ネジ2本で固定し、LEDの配線を済ませました。 右矢印がアルミ板の穴を通したLEDで、左の矢印が接続点です。 これで底板をネジ止めして完成です。

完成した木製ケース入りのアンプ。 塗装の最終仕上げは油性ウレタンつや消しクリヤーとしているため、しっとりした感触で木目が美しく際立ちます。 拘りぬいてとんでもない手間がかかりましたが、ほっと一安心です。

正面から。 LEDの輝いている面積が大きくみえますが、実際には直径2mmの穴にしていますのできりりとした輝きです。 

背面の様子。 狭い面積ながら接続しにくいこともなく、合理的に配置されています。

電子回路部分と木工部分、それぞれ約半々の時間を割いた感じで仕上がりましたが、これまた自作ならではのかわいい!そして山椒は小粒でもピリリと辛いのような高品質なアンプになったように思います。 電子工作は苦手!とかアンプを作る興味がない!という方でも後半の木工部分は電動トリマーでちょっと変わった加工をして見たいという方には参考になるのではと思います。 どちらかといえば指物の領域に入る工作ですが、これはこれでまた楽しいものです。

----- 完 -----

 
  
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