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出来栄え最高のニス塗り2
2004/08/06

しつこいようだが着色に入る前に#240ペーパーで仕上研磨が終了していることがMUSTである。 表面の細かな傷も研磨により取り除いておかないと着色やニス塗りで大変目立つようになる。 仕上研磨がきちんと出来たかどうかは塗装作業の成否を占う重要作業であり、これがされていなかったら次に述べる手順をいくら守っても結果は芳しくないだろう。

前回の説明を踏まえた実例を二つの作品(古新聞ストッカー付き電話台とベッド横の電気スタンド)の塗装を例にして解説してゆきたい。 いずれもステインで着色してからニスを塗るという所謂ニス塗りのフルコースなのだが、難易度が違う。(作品の大きさには余り関係ない。念のため。)

前者の電話台はオーク色のステインで濃い目に着色するのに対し、後者の電気スタンド本体は白のステインで着色する。 このステインの色の違いで難易度が変わってくるが、結論を言ってしまうと白の着色のほうが着色斑が出にくいという意味で容易なのだ。 それに対し木材の色とコントラストの高い着色ほど着色斑が出やすいのである。  この言い方は実は本当は正しくない。 正確には白による着色斑は他の色による着色斑と同様発生するのだが、それが目立たないというだけである。 従って油断すれば白の場合でも着色斑は出る。

何れにせよ初めてステインで着色するのであれば、白で着色してみることをお奨めしたい。 白で着色というと何か奇異な感じを受けるかもしれないが、実はこれが日焼け防止に大変有効なのである。  白木にニスを塗るというのはその木材の肌合いを生かすのにもってこいでこれをやられる方は多いと思う。 しかしニスを塗ることにより白木の状態よりも黄ばみが増し、年月を経ると更に日焼けにより黄ばみが増して明度も低下してくる。  これを防止し白木に近い肌合いを保つ効果が白のステインによる着色にある。

実例としてはベッド横の収納棚がその例で、既に製作完了後1年半を経過しているが、白木の感じに全く変化が出ていない。 これは白のステインに含まれている顔料の退色性能が極めてよいためで、実に具合がよい。

何れにせよステインによる着色で一番難しいところはどこかというと着色斑の防止であり、そのためにはステインを水で2倍に薄めることと、手早く作業を進め着色したところとそうでないところの境目を長時間(10秒以上)ほうっておかないことである。  そして着色面全体がステインで濡れた状態になってから刷毛で均等になるよう伸ばすのがコツである。 また着色面からその横の面へステインが垂れないよう塗るのがベストだが、垂れてしまったらぼろきれで木目方向に強くぬぐって明瞭な境目が出来ないようにすると良い。

2倍に薄めたステインでは1回の着色で所定の濃度には達しないと思う。 私の場合2回乃至3回塗りで所定の濃度になるようにしているが、2倍に薄めた場合でも3回塗りでほぼ最高濃度に近く着色できる。 もしも薄めの色に仕上たいのであれば、着色後15分程経ったらぼろきれで拭き取ってしまい乾燥させる。 そしてその色が薄ければ再度刷毛で着色し15分後にぼろきれで拭き取る。 という作業を繰り返せばよい。

まだまだお話しなければならないことはあるが、それらは以下の写真による解説の中で随時加えて行きたい。

ここで使用した水性ポアステイン。 左はオーク色で電話台に使用。 右は白で電気スタンド本体に使用。

電気スタンドは物が小さいので13mm幅のラック刷毛mini-Shopで売っている。)を使用。 白のステインは水で2倍に薄めてある。

塗った部分とそうでない部分。 2倍に薄めた1回目でもこれだけ違う。 そしてこの状態(塗ったところとそうでないところが存在する。)を長く置いてはいけない。

着色濃度比較写真のその1で、これは着色前の状態。

こちらは1回目の着色が終了しほぼ乾燥したところ。 うっすらと白くなっている。

30分後(半生乾き)の状態で2回目の着色をして1時間後。 これで希望の濃度になった。

2回塗りしたものと未着色の同木材を比較。 白っぽくはなったが木目ははっきりと残っている。

こちらは貼り合わせた色違いが大きかった部分の着色後。 色味がかなり白っぽいほうにずれて揃ってきている。

電話台のオーク色の着色。 原液と同量の水を混合する前だが、混合後容器にほぼいっぱいとなり計算上は1回塗りが全て出来るはずだ。 (途中で足らなくならないよう注意! 継ぎ足しは着色斑の原因になる!)

着色前の電話台の構成部品。 写真では判らないが、着色やニス塗りしない部分の境目はマスキングテープを貼ってある。

1回目の着色後ぼろきれで拭き取った。 { や } の形をした斑が見える。 塗ったところとそうでないところを15秒ほどほったらかしにして出来たものだ。

こちらはそのようなほったらかしを10秒以内に抑えたもので、斑の発生は少ない。 いずれの斑も最終的には濃く着色したため消えたしまったが、薄く着色したい場合には特に要注意だ!

一回目の着色が終わったところ。 使った木材の日焼けがかなりあるのでこの場合には3回塗り重ねることにした。

その3回目が終わった。 かなり赤身が強くなったようだが、ニスを塗ると黄味がましてくる。 右下の電気スタンドと同一の木材であるのが判らないほど色が変化した。


ペーパー掛け

3時間以上寝かせ完全乾燥したら表面を#240のペーパーで撫でるようにしてザラツキを取る。 既に着色前に#240ペーパーで仕上研磨しているのに?と思うかもしれないが、水を吸った木繊維が少々起き上がるために出るザラツキを取るためで、これをするしないではこの後のニス塗りの仕上がりに影響する。



ニス塗り一回目

ここでは成功する確率が最も高いと最近考えるようになった油性ウレタンつや消しニスでの塗装の勘所をお伝えしたいと思う。 塗装作業は日曜大工においてかなり敷居の高い作業のようで、せっかく完成したのに塗装無しという話はよく耳にするが、本来の塗装の目的は木材表面の保護にあるくらいだから、是非ともきちんと塗装したい。

その塗装において理想はスプレー塗装ということになるのだろうが、投資効率や場所の問題で我々アマチュアにとっては実現がかなり難しい。 そこで刷毛塗りということになるのだが、塗り斑や刷毛目斑が出るのでなかなかうまく行かないことが多い。(私自身10年程前までは全く自信が無かった。)  しかしここで使う油性ウレタンつや消しニスを使うことにより、その敷居の高さがぐっと低くなる。

何故油性ウレタンつや消しニスが好結果をもたらしやすいかというと、つや消しにある。 つや消しとは言っても実際には光の反射がゼロになるわけではなく、鈍い輝きは残る。 好みの問題かもしれないがこの鈍い艶は大変品がありしっとりした感覚を伴ってくる。
そしてピカピカ反射しないことが、塗装面のアラをも余り反射させない(見せない!)ということに繋がる。

断定的に言うが同じ塗装技術で艶ありとつや消しの両ニスで仕上たら、後者のほうが数段腕が上がったような錯覚を間違いなく起こす。 そしてこれがニス塗りへの抵抗感をなくし少しずつ塗装に対して自身を持てるようにあるだろうし、結果がよければ更によくしたいと努力や工夫をすることにつながり、最後には艶ありでもスーッと抵抗感無く入り込めるようになると確信する。

ということで以下に述べる手順や写真を見て是非ともチャレンジしていただきたい。

使用した油性ウレタンニス。 左が艶ありクリヤーで一回目の塗装に使用。 右が艶無しで二回目の塗装に使う。

艶ありクリヤーに10%の薄め液を加えてよく攪拌し電気スタンド本体を22mmラック刷毛で塗装開始。 この刷毛は電話台の木口にも使用する。


 註)
 何故一回目の塗装に艶ありクリヤーを使い、二回目に艶なしクリヤーを使うかには明瞭な理由がある。 
 艶なしクリヤーには光の反射を抑える特殊な顔料が入っており、この効果で艶が抑えられるのだが、一回目の塗装時に
 は木材が塗料をかなり吸い込む。 そしてつや消しの顔料だけが表面に残って白っぽくなってしまうことがある。
 これを防止するために一回目には顔料の入っていない艶ありを使い、二回目に艶なしを使うことにより所期の目的を達成
 するのである。 従って使用時には艶消しの顔料が均等になる必要があり、艶なしニスの容器には攪拌用のビー玉が入
 っているが艶ありの容器にはビー玉は入っていない。




50mm刷毛の比較。 左はヤギの毛100%の優れもの。 右は合繊の刷毛で比較的マシなほうだが、しなやかさと塗料の保持力が格段に違う。

毛の先端から見たところ。 写真でもデリケートなしなやかさが左の物からは伝わってくる。 今回1回目は合繊で2回目はヤギの毛100%で塗装した。 毛先の感じが明らかに違うことが写真でも判るはずだ。


 註)
 刷毛に含ませる塗料の量はポタポタ垂れ落ちるようでは多すぎる。 塗料容器の内壁で軽くしごいて量を調節しよう。

 塗る際には木目に沿って一定の速度と一定の押し厚で端から端までの片道運転が原則で最後はすーっと抜くように。
 もし途中から塗装する場合には飛行機が着陸する時のように刷毛をすーっと着地させる。 同じ場所を3度以上塗ったり
 塗装してから30秒経ったら如何なる理由があっても塗りなおしは禁物だ!

 塗装順序は塗りにくい部分を先にすることが原則であるが、木口の塗装を面の塗装の前にするか後にするかは木口の
 形状により異なるので代表的な例は以下の写真をご覧頂きたい。 また表面と直角をなす木口の場合20mm前後の細
 い刷毛を使うと、面への塗料のはみ出しを抑えることが出来る。




角が丸まっている部分(今塗っているところと反対側)は先に塗装する。

次に表面を塗って最後に直角の角(写真右下と左上)を細い刷毛で塗ってやる。 塗り斑防止の標準的な順序である!  合繊刷毛の毛先がバラケ気味なのに注目!

もうちょっとややこしいシチュエーション。 この枠の上下の木口と内側の角は丸く、両側は直角だが、空色、黄色、赤、緑の数字順で塗るのが良い結果を収める。 最後の緑の部分は細い刷毛を使おう。

一回目の塗装終了。 半艶状態に見えますが二回目に艶なしクリヤーを使うとほぼ同じくらいの艶でもっとしっとりした感じになります。

左手前角のアップ。 良い感じの質感が既に出始めています。

一回目の塗装が済んだ電話台と電気スタンドの全景。 指圧乾燥になってからでないとペーパー掛けがうまく出来ないので、2回目の塗装は4時間以上(冬なら6時間以上)寝かせてからやります。


 註)
 二回目の塗装の前には塗装面のザラツキを取るペーパー掛けをします。 使用するペーパーは#240-#400が適当で、
 下地が良く出来ていれば居るほど細かなペーパーを使えます。

 掛け方は表面を撫でるように軽く研磨します。 間違ってもゴシゴシとはやらないように!(下地が出てきてしまいます。)
 出てきた削りかすの白い粉はきっちり絞った雑巾で拭い取ります。 そして2回目の塗装ですが、つや消しニスは良く振っ
 てから塗装容器に出し5-10%の薄め液を加えて使います。




#400ペーパーで塗装面を軽く研磨中。 白い削りかすの粉が出てきます。

ヤギの毛100%の刷毛で塗装開始。 よく判るようわざと露出オーバーにしましたが、合繊の刷毛より毛先が揃っています。 更に腰のある心地よい弾力性とニスをしっかり含む能力があるので格段に快適な塗装が可能です。

2回目の塗装が終わりました。 落ち着いたレトロ的な温か味のある感触がなんとも良いです。

一回目の塗装後の写真と比較してください。 しっとりとした感触が出てきています。 一回目にあった僅かな刷毛目は殆ど見えません! これは素晴らしい!!

シェードを挟んで抑える板ですが、大変繊細な白さと木目に変身しました。 これも刷毛目が見えません!

本体回転軸近くのアップ。 3枚の板貼り合わせで作っていますが、それらのコントラストが美しいです。


以上で本テーマの解説は終了だが、上記の中に登場或いは説明しているステイン油性ウレタンニスペイント薄め液ヤギの毛100%の刷毛は、mini-Shopで販売しているので是非とも試されたい。

特につやあり塗装つや消し塗装セット品は塗り面積に応じて数種類用意してあり価格もお得になっている。



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