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玄関内の収納
   
 2004/03/26

 発想と留意点

 大型リフォームをやった際に我が家の玄関内には間口が4.5尺、奥行き3尺の収納部が作られて
 います。
 この収納部は積極的に作ったというよりも2階からの排水パイプを何処に持ってゆくか?配電盤を
 何処に設置するか?との問題が出たとき、玄関内が配管の長さ短いことと排水時の騒音遮断の
 点で一番良いだろう、また配電盤も横幅が600mm近くある大きな物だったためそれらを隠すため
 に収納部が出来てしまったといういきさつがあります。

 そのようなことで期待欲していたのではないスペースなのですが、後で内部はなんとかしようと開
 口間口は3尺とし、床から天井まで届く高い観音開き扉だけを付けておいてもらいました。

 こちら でも触れているように、私は所謂押入れに代表される奥行き3尺の収納スペースは快適な住まいを
 考える中で合理的でなく使いにくい収納場所と考えています。 
 従って玄関内のこの収納部分もハッピーではないのですが、上述のように違う目的でたまたま出来てしま
 ったので何とかしなければと内部改造に手を出したわけです。

 実は既に作られている収納部分はリフォーム終了後にぱたぱたと15mm合板を切断して作ってしまった物
 で、完成度が低いと考えていたため再度手を加えてから皆さんにお知らせしようかと考えたのですが、いく
 ら思考をめぐらせても今以上の改良は望めそうもないとの結論に達しましたので、現在の構造の詳細を説
 明することにした次第です。

深すぎる奥行きに対するソリューションは、手前をレインコート、普段着のジャケット、オーバーや来客のオーバーを掛けておく洋服ダンス的な機能用に、奥は使用頻度の低い花器、花篭などサイズとして30cm以下のカビが生えにくい物品を主として収納することにしました。  奥の棚に入れたものの出し入れには手前にぶら下がる衣類などをかき分けて取り出すわけですが、使用頻度の低い物が多いのと、衣類をかき分けるだけで済むので、通常の押入れよりも遥かに使い勝手はよいと思います。

また衣類の下にもかなりの空間が残るわけですが、そこには現在テスト中の集塵器、脚立、非常時用飲料水、食料、犬の散歩・外出用の道具などが置かれ、合理的なレイアウトになっていると思います。 


設計詳細

 考え方としてはこうです。 3尺の奥行き内寸は830mm程になりますが、これを前側550mm、後ろ側
 280mmに分割します。 前側は洋服収納機能として真横に直径32mmのステンレスパイプを通して
 おきます。 高さは家内が届く最大の高さとし、同時に右壁面の配電盤の下に位置させました。 
 (註: 洋服収納スペースの奥行き550mmは経験上これ以上短いと使いにくくなります。)

 排水パイプが通過する部分の出っ張りのため収納棚位置の内寸は870mmしかありませんが、この幅に
 すっぽり収め奥行き280mmで床から天井に達する(約2.4m)薄くて高い棚が出来上がります。

 正面から見るとこの棚は上背の高い本箱に見えますが、実際の構造は箱ではありません。
 テクニックとしては、壁面にネジ止めできる位置を自作釘位置探索器で探してそこに側板をネジ止めし、側
 板に埋め込んだニッケルダボに棚板を載せ、一番下の棚も実はコの字状に組んで側板の間に挟んで床の
 上に臥せただけなのです。 従って簡単に解体することが可能です。

 こんな構造ですから組立ては大変簡単で木工ボンドは一切使わず、スレンダースレッドネジで組み上げた
 だけです。 従って半日で完成してしまいました。 材料も3 x 6のラワン合板2枚と3 x 660cmの長さ
 に切断したものだけで済んでいますから、費用的にも1万円+αでした。

 理想的な空間利用からは程遠いものの利用効率・使い勝手両面でまずまず満足できる状況になっていま
 す。

 ご覧のように扉を閉めてしまうと見えないからとモノグサをして塗装をしていませんが、竜頭蛇尾ですので
 近々塗装するつもりです。

ところでこれを作り直そうと考えていたのは、

 ・ステンレスパイプを高くして上に開いた空間を有効利用できないか?
 ・そうした時下手前の空間が大きくなるので下1/3を奥行き80cmの引き出しに変更して収納効率を上げられないか?


であったのですが、前者をやると家内が脚立無しではパイプに届かなくなりますし、後の写真を見ると判るとおり配電盤が邪魔をしていて天井に近い所までパイプを上げるしかありません。 また下手前の空間に奥行き80cmに引出しを作れば使いやすくなることは確かなのですが、内部右手に使いにくい空間が出来てしまいます。  そのような矛盾が色々あるため改造をあきらめました。

このテーマは収納家具を作る!と大上段に構えるようなものではなく、ちょっとした工作程度で出来、押入れを使いやすくする解決策の一例として、以下の写真も併せ参考にしていただけたらと思います。

扉が閉まっている状態で高さの高い観音開きの扉です。

扉を開けたところです。 手前のハンガーパイプにジャンパー、ジャケット、レインコートなどが掛かっています。 その下には大きめのものが収納されています。

手前の物を総て取り除きました。 奥にある8つの棚にびっしりと物が収納されています。

左上部。 パイプは32φの穴をあけた板に挿し込まれ、その板が壁にネジ止めされています。

上から見た所。 板の白っぽい部分はパテでネジ位置です。 奥の棚の横方向に白いのは、側板の継ぎ目です。

パイプの右側固定部分。 配電盤の丁度真下に位置しています。 パイプの中心の高さは1770mmとなっています。

棚の左側上部ですが、総ての棚板の受け構造はニッケルダボのみですから、棚の間隔は簡単に変更可能。

こちらは棚の右側上部で横に白っぽく見えるのはやはりパテを塗ったためで、ここが右側板の繋ぎ目です。

左下隅のアップ。 邪魔な周り縁を切断して側板を嵌め込み壁にネジ止め。 底の棚板は置いてあるだけという簡単な構造です。

こちらは右下で一見箱のように見えますが、棚板はただ挟みこんでおいてあるだけの簡単構造。

箱のように見えて実は全く箱ではなく、ばらしたいと思ったらネジを緩めるだけで30分以内に完全分解出来てしまう簡単構造。
総ての場合に適用することは無理にしても、こんな作り方もあるというサンプルです。
----- 完 -----


 
  
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