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ミニ水平・垂直・直角測定具
   
2008/02/01

構想

mini-Shopで販売開始した水準器を利用する道具のひとつをご紹介します。  その名も「ミニ水平・垂直・直角測定具」 と、
本来は測定器と呼びたいところですがそれは少々気が引けるので測定具としています。  但し調整を念入りにしさえすれば市販
品に勝る測定器と呼んでもおかしくない物になる可能性はあります。

さて私自身水準器としては長年使っていささか怪しげとなったものを最新の物に替えて信頼感のある作業に満足していますが、た
だひとつだけ問題があります。 それは水準器の長さが38cmあるためにそれよりも短い懐のような部分に挿入して測定するのが
不可能なことにあります。 このシリーズの最も短いものでも30cmありますから、それを使ってもその差はたかが知れています。

そこで長さが15cm以下のミニ水準器として2つの物を試作しました。 何れも水平と垂直の確認が出来ますが、一方は更に直角度の確認も出来る物とします。

 2種類のミニ水平・垂直測定具に使用する水準器(レベル)には24φの円盤状水準器1個を
 使いました。(左写真)  この水準器は小さいですが、感度:1mm/m、精度:±2.5mm/m
 となっており、後の調整方法を読むと良く判ると思いますが、最終的な精度はこの水準器
 の固定精度に拘わってくるので、それ次第で限りなく感度の値(1mm/m)に近付けることが
 可能です。  冒頭で、調整を念入りに・・・・・と称しているのはそのような意味です。

 2種類のひとつでは直角度の比較基準になるものが重要ですが、ここでは曲尺(#10640)
 を使用します。 この曲尺は私自身長年愛用しておりJIS規格に合致した信頼性が高いも
 ので、直角度の精度は500mmで±0.5mmを超えないという規格になっています。
 従ってこの曲尺で調整すれば直角度は±1mm/m相当までの精度が出せる計算になり、
 十分な実用性が確保できると思われます。

 精度・精度と繰り返して解説すると敷居の高さを感じて気が引けてしまうかもしれません
 が、私が考えた1番目の図面は左のとおりで、水平・垂直・直角が測定できます。

 材料は手持ち端材の18mm合板を2枚貼り合せた構造としていますが、12mm合板(例えば
 コンパネのような安いものでも可。)
を3枚貼り合わせでも差し支えありませんし、15mm合
 板2枚の貼り合わせでも良いでしょう。 要は図の点線部分に24φの水準器を埋め込みます
 から、それよりも厚みが増せばよいわけです。 但しムク材や集成材は反りの問題があり
 ますので合板が最も適しているでしょう。

 加工上で最も重要なのは青色の線が入った2面で、これらは正しい平面になりしかも正しく
 直交しないと意味がありません。 尚青線は長期間使用の安定度を上げるために1-2mm
 厚のアルミ板を貼り付ける予定ですが無くてもよいでしょう。

また私が設計したものは120x120mmとしていますが、この寸法は好みの値でOKですし加工組み立て中にずれても精度には影響しません。 但し小さくなればなるほど精度の確保は厳しくなってきます。

右の図は2番目の物でこちらは水平と垂直の測定しか出来ませんが、製作は1番目の物よ
り容易になります。 容易に・・・・と申し上げたのは板の厚みむらがなければ精度に影響し
てくるのは水準器自身の埋め込み精度のみだけになるからです。  そして水平を見る精
度が確保できれば垂直確認の精度も実は問題なくなります。
この図を見ただけではどのように使うのかよく理解できない場合には後ほどお見せする実
物の写真をご覧下さい。 もうひとつのこちらのメリットは小さく作れる点(ここでは120 x 40
x 30mm)にあり、長さを更に詰めても良いのですが、1番目と同様精度の確保が難しくなり
ます。


製作詳細 (1番目のタイプ)
 
端材の18mmシナ合板から切り出した120 x 120mmが2枚。 水準器以外で必要な材料はこれだけです。 合板であればラワンでも或いは12mm 3枚、15mm 2枚でもOKです。

少々大袈裟かもしれませんが板に木工ボンドを塗った上でバクマクランプ4本を使って4時間圧着保持しました。 切断時の僅かな寸法誤差が残っていますが、それは後で修正します。

円盤状水準器を埋め込む穴を25φフォスナービットであけました。 電動ドリルドライバーに水平・垂直だし水準器付きで(矢印の先)、比較的正確に穴あけが出来ます。

円盤状水準器(CR24)を落とし込んでみました。 穴の深さが12mmあり水準器はもぐってしまいますが、それには理由があり後ほど説明します。

重量軽減と握りやすさを考え中抜きをしました。 この穴の大きさは適当で加工精度はまったく気にする必要はありません。 私は4隅に20φフォスナービットで貫通穴をあけてからジグソーで切り抜き、替刃式ヤスリ(M-20GPとDR-1000P)で仕上げました。

外周のうち2面(寸法図の青線の面)は慎重に平面だしと直角出しをする必要があります。 私は替刃式直角ヤスリで少しずつ削りその都度曲尺をあてて確認しながら仕上げました。 写真は逆光で撮影し少しの隙間でも発見できるようにしていますが、ご覧のように隙間は全く見えず正しく平面と直角が出ています。

周囲の塗装前仕上げ研磨と角を丸める作業は水平・垂直・直角の読み取り精度には関係ありませんが、見掛け上の完成度に影響しますので念入りにやりました。 これで予備加工の全てが終わりです。



製作詳細 (2番目のタイプ)

切り出した材料。 左2枚は12mm合板、右は18mm合板で、水準器以外に使用する材料はこれだけです。 各材料の表面は傷つけないよう注意。(精度に影響します。)

3枚の板(黄色矢印)を端材(赤矢印)で挟み接着、クランプで圧着保持しています。 尚寸法図にある隙間を得るためにここでは曲尺mini-Shopで販売しているサンデーカーペンター)を挿入しました。 隙間が1.6-1.7mmになれば他の適当な物を使っても構いません。  また接着時に木工ボンドが隙間内部にはみ出さないよう注意が必要です。

4時間後にクランプを外しました。 上に見える隙間は1.55mmになっています。 これは私の使っている曲尺の厚み+0.05mm程度の値です。

隙間の反対側の面中央に25φのフォスナービットで深さ12mmの穴をあけました。 これに円盤状水準器(CR-24)が落とし込まれます。 ここでも電動ドリルドライバーに付いている水準器が活躍しています。

最低限の加工はこれで終了ですが、外周貼りあわせ部分に見える段差をヤスリで削ってやり完成度を高める必要があります。

塗装前の仕上げ研磨と角の丸め加工を済ませ残るは塗装と水準器を埋め込むだけとなっています。

註: 途中でカメラを変えたため写真によってかなりカラーバランスが狂っていますが、2台それぞれ最後の写真が最も見た目に近
    い色になっています。





2008/02/08

製作の続き

組み上がった2種類の水準器それぞれを塗装し、1番目の物にはアルミ板を貼り付けて最後の作業で最も慎重に作業しないとならない円盤状水準器の埋め込みへと進め完成しました。

ところで前回冒頭の方で、「調整を念入りにしさえすれば市販品に勝る測定器と呼んでもおかしくない物になる・・・・・。」と述べた点について少々触れ、それを実現する考え方についても注釈を加えておきましょう。  ここで使う水準器(CR-24)のメーカー発表スペックは、感度1mm/m 精度±2.5mm/mとなっています。 この二つのうち前者については改善のしようがありませんが、後者は埋め込む際の調整で精度を改善できる可能性があります。

 この辺りを理解するのに左の図をご覧下さい。
 ここで使うCR-24を真上から見ていますが、CR-24の位置関係
 が判るよう実際にはない小さな黒丸を描きこんでいます。

 一番上は正しく調整された場合を表しており、水準器を180度
 回転させても気泡は中央に位置しています。 勿論この場合に
 はCR-24を置いてある面は正しい水平になっています。

 次の2番目はCR-24の調整が不完全であった場合で、気泡が
 中央に来るようCR-24を置いた台を調整しましたが、その後水
 準器を180度回転させたら気泡が右にずれてしまったとします。
 この場合無論台は正しく水平になってはおりません。

 しかしこんな調整不良の水準器であっても3番目の図のように
 気泡が位置するよう台を調整してやれば台は水平になります。

 この三番目のCR-24の左側を極僅か持ち上げてやるように今
 回作る水準器本体に固定すれば一番上の物と全く同じ状態に
 なり、読み取り精度を改善できます。

 こう申し上げると如何にもCR-24の精度が余りよくないように思
 われるかもしれませんが、今回使った2個のCR-24は何れも左
 の2番目のような大きな誤差はなく、1個は1mm/m程度もう1個
 が2.0mm/m)の誤差で何れも規格内でした。
 (後ほど写真でお見せします。)

よってここまでの説明は規格外れの誤差があってもそれを修正できる可能性がある一般論としてご理解ください。 皆さんが使われる水準器が違った物で、ここで説明するような問題があっても、この後の埋め込み作業でかなり修正できその方法をCR-24を元に説明した次第です。

わざわざ25mmの穴をあけて埋め込むのは以上のような理由以外にもうひとつありま
す。 直径24mmの裸のままで使いますと、周辺の部分に傷が付くと読み取り精度が
悪化します。(右の写真の矢印の先の部分。)  これを埋め込むことにより測定時の
接触部分長が長くなり(私の試作品では24mmから120mmになる。)ので、精度を保
ち易く(安定性が増してくる。)なります。 
計算するとCR-24で±2.5mm/mの精度を保つには直径24mmの周辺では±0.06mm
以内に収めないとなりません。 若干の傷や磨耗も影響してしまいます。
それに対し試作品の120mmの長さの場合には±0.3mm以内で良いことになります。

ということでCR-24の埋め込み作業は重要な作業だと言うことがお判り頂けると思い
ますが、それにはウッドエポキシを使います。 ウッドエポキシはその名の通りエポキ
シ系のパテですが他の材料では得られない特性があります。
その理由は、硬化時間が長いので調整に十分な時間が掛けられる(気温の低い今なら調整作業に1時間近く掛けても大丈夫。)
硬化する時に収縮が殆どない(調整点がずれない)、そして接着力が極めて高いことにあります。  と言ってもその手順は決してややこしかったり面倒なものではありません。 以下の写真と解説でそのへんをご理解ください。

2つのミニ水準器本体を着色し水性ウレタンニス3回塗りで仕上げました。 3回塗りとなると乾燥の速い水性ウレタンニスでも結構手間と時間が掛かりますが、出来上がった物を長年使っていこうと言う心の表れです。 大きい方の右側面に未塗装部分がありますが、ここにはこの後アルミ板を貼り付けます。

1番目のタイプの側面と底面に2mm厚のアルミ板をエポキシ接着剤で貼っています。 かなり大袈裟な感じですがアルミ板どおしは直交しないといけないので、直角出しジグを使って直角を保ちながら圧着保持しました。

その直交部分のクローズアップ。 直角出しジグがこんなところで役立つとは夢にも考えませんでした。

5分後に硬化開始タイプのエポキシ接着剤を使いましたが、現在は気温が低いので5時間後にクランプを緩めました。

水準器の埋め込みには平らなところが必要ですが、私が使ったのは15mm厚のMDF端材で長さ910mm、幅300mmのもので、食卓のテーブルに載せて水平出しには裏に紙を挟んでやります。

少々脱線ですが以前からCR-24の表面の赤い○の意味が気になっていたので、ブルーレベルProと比較してみました。 ご覧のとおりブルーレベルProの勾配1/100の目盛りに気泡が接した時にCR-24の気泡は赤丸の部分に接触しています。  ということは、赤丸に接触した時には1/100勾配(1mで1cm高さが変わる。)になっていると判断して良さそうです。 これはCR-24の精度をチェックする際の大きな助けになりますし、1/100勾配が読めること自身便利です。(この件はメーカーは公表しておりませんから絶対保証と言うわけではありませんが。)

CR-24自身の精度を確認しておこうとの実験です。 途中で回転するため2個のCR-24に3角に切ったマスキングテープを貼り板の上に載せてCR-24で水平出ししました。 そして2個のCR-24を180度回転させたのが右です。 左のCR-24は誤差が多めですが上の件から算出すると約2.0mm/m、右は1mm/m程度で規格値(±2.5mm/m)以内のようです。 そこで今回はそのまま埋め込むことにしました。

 
埋め込むにはウッドエポキシを使いますが、2液を十分練って混合してからCR-24の底面と水準器本体に埋め込んでやります。 通常のエポキシ接着剤と異なり、固めの粘土のような状態ですから垂れることはありません。

CR-24をひっくり返して穴に落とし込み上からぎゅっ!ぎゅっ!と強く押し込んでから気泡が中心に位置するように周囲を少しずつ押して調整すれば終わりですが、念のために全体を180度回転させて気泡の位置がずれないことを確認した方が良いでしょう。

こうして埋め込んだ後は24時間以上触らず寝かせてやらないとなりません。(完全硬化後はまったく外せなくなりますがそれには1週間程掛かります!)  24時間後に水準器部分には触れないようにブルーレベルPro共々並べて比較した写真がこちらです。 ブルーレベルProは±1mm/mの精度を持っていますが、それと比較しても遜色ないと思います。

尚水準器を埋め込む時にブルーレベルProとの比較は私はあえてやりませんでした。 というのはブルーレベルProのような高精度の水準器がないと精度が出せないのではあまり意味が無いからです。 従ってこの写真と次の写真における比較結果には、高精度水準器無しでも高性能な物が作れる!という意味で大変満足しています。 

上の写真とそっくりですが、下の板(幅910mm)の右端に9mm厚の板を挟みました。 従ってほぼ右上がりの1/100勾配になっています。 中央のブルーレベルProはメーカーの表示どおり1/100勾配の線に気泡が触れています。  また自作した上下の何れも気泡は赤丸に接触しており、以前の実験結果と同様1/100勾配になっていることが確認できました。

1番目の水準器の使い方です。 水平状態を見る方法は説明不要と思いますが、垂直度確認はアルミ板を貼った面を測定面に当ててこんな具合にやります。

また直角度を見るにはアルミ板を貼った面をこのように当てて妙な隙間が出ないかを確認します。 1辺が120mmしかありませんから曲尺が入らないような時に好都合です。

2番目の水準器で垂直度を見るには曲尺をこのように底の部分に挿し込んで使います。

そしてこのように曲尺の長手方法に挟めば50cmの水準器に化けてくれます。(溝の深さは12mmですので幅15mmの曲尺の縁が僅かに突出し測定の基準になります。)

ただ作ったと言うのではなくて、それぞれがきらりとした何かを持っている水準器になったように思います。 オレンジ君、エメラルドブルー君、何れも費用的には24φの円盤型水準器のコスト+αで出来上がりました。 3種類のそれぞれの特色を生かした少々贅沢な運用が今後可能になりますが、今回作った水準器のいずれか1個があれば日曜大工において十分その力を発揮してくれるでしょう。
----- 完 -----

註): ここで紹介した水準器(CR-24)ウッドエポキシmini-Shopにて購入可能ですので、ご利用ください。


 
  
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