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低周波発振器
   
2010/10/22

構想              (註: 本テーマに関する全てのご質問はお受けできません)

小型のスピーカーを製作中ですが低域の再生能力を少しでも補うべく駆動するアンプで電気的な補正も加えようとしています。 そのために測定器があれば動作の確認が出来るので好都合です。 また口径80mmタイプではパワーアンプICの使い方がメーカーの推奨使用範囲を超えるような使い方をしようとしており、動作が不安定になる可能性があります。 したがってここでも測定器があると安定動作をさせやすくなります。

そんなもやもやした思いがありますが、ラジオ少年であった私は二昔前まではひととおりのオーディオ用測定器を持っていました。 オシロスコープ、高感度交流電圧計、低周波発振器、歪率測定器がそれらです。 しかし35年以上前に購入したものであり途中で買い換えたオシロスコープは別として、他のものはまともに動作していません。 辛うじて高感度交流電圧計が内部雑音で僅かにメーター指針が触れてしまうがまだ使えそうです。

今更それら(低周波発振器、歪率測定器)を購入するのももったいないので、低周波発振器のみに絞って自作しようと考えました。 本格的にパワーアンプを作ろうとは考えていませんから、歪率測定器は外しました。

低周波発振器の仕様は目的をはっきりさせて使い易いものにしようと考えています。 従って現在販売されているものとは少々趣が変わってきます。 以下はその一覧です。

「正弦波発振部」
  発振周波数: 10Hz-100Hz / 100Hz-1000Hz / 1kHz-10kHz / 10kHz-100kHz の4レンジ連続可変。
  歪率: 1%以下 測定する方法は当面無いのでオシロスコープ直視で調整。
  出力電圧: 1V以上 実効値

「方形波発振部」
  発振周波数: 100Hz / 1kHz / 10kHz 周波数固定とし波形形状が充分に正確であること。
  出力電圧: 2V以上 ピーク電圧

「周波数表示部」
  表示方法: 周波数カウンター内蔵 0.2Hz - 50MHzの完成ユニット使用予定。 感度50mV

残留歪率1%なんていう仕様は市販品であったら売り物になりませんが、周波数特性測定、出力電力の確認でしたら問題なく使えます。 逆に周波数カウンター付きというのは過剰スペックのようですが、測定精度を上げるには極めて有効です。 たまたま\6,500程度で購入できる完成品のユニットがありますので、それを使います。

方形波発生部はアンプの総括的な動作状況を一発で確認できる原理名道具になります。 例えば周波数特性のフラットさや変なうねりやピークがないかどうかは1kHzの方形波一発で判ります。 これは経験が物を言う世界ですが、1kHz方形波があればその1/100から100倍の周波数範囲(10Hz - 100kHz)がどうなっているかをひと目で確認できます。 また変な発振などの存在や動作不安定などのチェックにも有効です。

予算としては\15,000以内を目論見ますが完成品購入を考えたら周波数カウンターが入るだけに、4-5万円は掛かるでしょうから充分に価値がある物に仕上げられるでしょう。


方形波発振部の設計と製作

 実は測定器を作ってしまおう!なんて考え出したのは、ナショナルセミコン
 ダクターのLM386という小出力パワーアンプICの技術資料に、発振器の
 作例が載っていたことに端を発しています。  従って設計というほどのも
 のではありませんで、特に方形波発振部はその技術資料の回路をそのま
 ま利用しようという超省エネ設計で、左が回路図を表し、右の図は基板の
 レイアウト図です。(ここではICを互換品のNJM386に変えてあります。)

 尚当面は1kHzの方形波だけ得られればアンプの動作確認には充分なの
 で、試作品には回路図中1μFと0.01μFはまだ取り付けません。 それと回
 路図にある30kΩ(発振周波数を決める)の抵抗は82kΩと47kΩの並列で
 作っていますので、基板レイアウトでは部品点数が増えています。

正弦波の発振器は10Hzから100kHzの帯域を全カバーするわけで、方形波のようにスポット発振ではありませんから、もう少し基礎実験を踏んだ上で、低周波発振器全体をまとめ上げます。

アンプの動作確認のために一時的に組み上げた方形波発振部とその発振波形を以下にお見せします。

アンプの動作確認のために組み上げた1kHzのみの方形波発振基板です。 右上の基板レイアウトに対し、発振周波数を決めるコンデンサーが1個だけ(左中央の黄色い奴)で、基板から引き出すケーブルも適当な裏付けです。

1kHzの発振波形ですが、このとおり大変綺麗な波形で充分使用目的に耐えられます。 電源電圧は12Vで出力電圧は10.8V(P-P)と充分な値となっています。




2010/12/24

構想・設計・製作

構想・設計・製作が同時並行というのは決してよいことではなく現実的には試行錯誤を意味しています。 言ってみれば『3歩前進
2歩後退』のようなもので、それでも遅々としてはいますが前進しています。

前置きはその辺にしてその後の様子をお知らせします。 非常に割り切った考え方の低周波発振器を製作しています。 正弦波発
振部は連続可変ではなく100Hz、1KHz、10KHz 3点の周波数のみとし、方形波発振回路と周波数選択スイッチを連動させました。
これは方形波のみならず正弦波でも3点の良質な信号(100Hz、1KHz、10KHz)が得られればか、満足度の高い測定が出来ると結
論付けたためです。 簡単に説明すると、周波数特性のフラットさは良質な100Hz、1KHz、10KHzの方形波をアンプに入力し、その
出力波形が変化なければ10Hz-100KHzの範囲がフラットであるとの確認ができます。 また100Hz、1KHz、10KHzの正弦波の歪
率が充分低ければ、これとWaveSpectraという無料ソフトとの組み合わせで歪の測定が出来ます。 残るは交流電圧計で信号強
度や増幅度の測定が出来ますからオーディオアンプに拘わるベーシックな測定はほぼカバーできてしまいます。

ここで目標とする正弦波発振器の歪について簡単に触れておきます。 過去の発振器の製作経験では1KHzと10KHzで0.1%以下に
するのはそれ程困難ではなかったように記憶しています。 但し100Hzの歪はランプを使う安直な回路では0.1%がほぼ限界になる
可能性がありますが、目標とする簡便回路としては充分でしょう。

 こんなことを前提に既に試作した方形波発振回路と
 正弦波発振回路を一緒にして出力信号レベル調整
 回路を追加した回路をまとめ上げました。(左の図
 参照)


 またプリント基板は例によって穴あき基板を使いま
 すが、ロータリースイッチを中心にしてその両側に
 正弦波と方形波の発振器が配置されています。
 少々手の込んだレイアウトですが、発振周波数を決定するコンデンサー(全部で9個ありま
 す。)
は3枚の小さなサブ基板に配線して、垂直にエポキシ接着剤でメイン基板に固定して
 います。  これは配線長を短くするのと同時に部品が空中配線にならないようにするため
の工夫です。 なお基板サイズは89 x 33mmに収まっており、かなりコンパクトにまとまりました。

組み上がった基板に仮の電源(006P2個を使った±2電源)を繋いで動作確認をしました。 正弦波発振器の方は半固定抵抗を調
整して周波数切替時に波形が早く安定しながら目で見て波形歪が出ない低めのレベルとなるようにしています。(更なる低歪の追
求調整は後程WaveSpectraを使ってやります。)
 一方方形波発振器の方は100Hzと10KHz時の波形を確認しました。 100Hz時
にはごく僅かなサグを生じていますが、過去の経験で言うと周波数特性に換算して4-7Hz前後まで伸びているのに相当すると思い
このままでOKとします。 10KHzの方は角が若干丸くなっていますが、これだと周波数に換算して80KHz以上まで伸びているのに
相当すると思われますので、これもOKです。

私自身は両発振器とも最大出力電圧は2Vもあれば充分と考えていますが、それぞれかなりゆとりを持った出力電圧になっていま
す。 そこで出力端子がショートされてもオペアンプを傷めないようにレベル調整のボリュームの前に直列に抵抗を繋いで最大出力
電圧が2Vになるようにする予定です。 但し電源電圧が変わると最大出力電圧も変わってくるので、後日電源が出来てからこの調
整を致します。

ここまでの様子は以下の写真もご覧ください。

中央にロータリースイッチを配し左は正弦波発振器、右は方形波発振器となっています。 また発振周波数を決定する9本のコンデンサーは小さくきった基板に配線してその基板は垂直に立ててメイン基板にエポキシ接着剤で固定しました。 このため配線の距離は短くでき不安定な空中配線もありません。

左から100Hz、1KHz、10KHzの正弦波出力です。 同じ写真を見せられているようにそっくりの形で、かなり綺麗な波形です。 但しランプを使った簡単安定回路ですので、周波数を切り替えると出力レベルがゆらゆら揺れて安定するまでに少々時間が掛かります。

こちらは方形波で同じく左から100Hz、1KHz、10KHzです。 正弦波と異なり違いが判りやすいです。 先ず100Hzではごく僅かなサグ(水平部分の僅かな傾き)があります。 1KHzはきわめて綺麗な波形ですが10KHzでは左肩がほんの少し丸くなっております。 理想は中央の1KHzの波形ですが、この程度の丸みであれば充分使い物になります。

これは視覚的な測定で数値としては得られませんが、10KHzの方形波で中央の1KHzのように正確な形の信号をアンプに入力し右のように角が丸くなったとしたら、60-80KHzまではフラットでそれ以上では減衰する周波数特性を持っています。 従って10KHz方形波をどのように出力するかを見るだけで高域の周波数特性を把握できます。

 
上の左側はオシロスコープの増幅器をDCアンプとして表示させたものですが、こちらの波形はACアンプとして表示させています。 水平部分の傾き(サグ)が増加していますが、オシロスコープのスペックは判らないものの多分5-10Hz位以下は低域は減衰していると思います。 従って100Hzの方形波をアンプに入力してこのようなサグが発生するかどうかでアンプの低域の周波数特性が一発で判ります。(左のような波形であればアンプの低域は5-10Hz以下が減衰していることになる。)

100Hz、1KHz、10KHzの方形波があればアンプの周波数特性がすぐに判ってしまう理屈がここにあります。 一方正弦波のほうは十分に歪が少なければ、WaveSpectraと連動して歪測定のための入力信号として使えます。




2011/01/07

電源基板の組立

 簡易型の低周波発振器とは言え測定器である以上
 性能をおろそかにするわけに行きません。  そこで
 電源から発振器にノイズの飛込みや妙な干渉が起
 きないよう電源と発振器本体とは別ユニットとし、そ
 の間をワイヤーで結んで完全に分離しています。
 ±12Vの2電源仕様で最大出力電流は200mAです。
 現時点では消費電流は15mA前後ですのでもったい
 ないくらいの容量ですが、実は後日最終的な仕様の
発振器とする際に消費電流が増加するはずなので、電源部を変更せずにそのまま流用出来るよう電流容量を上げてあります。

上の回路を見ると±それぞれの出力部分に余り見かけないダイオードが挿入されています。 それぞれ逆接続してあるので通常はこれらのダイオードに電流は流れませんが、電源ON/OFFなどの際には過渡的に逆極性の電圧が出力端子に掛かる事があります。 そうするとレギュレーターICが気絶状態になって正常な出力が出なくなるのでそれを避けるためにこれらのダイオードで逆極性の電圧をバイパスします。

この基板と発振器本体基板をそれぞれアルミケースに収めて3芯のワイヤーで結線すれば完成ですが、まだ3芯ワイヤー用のコードブッシュが手元にないのでアルミケース加工に進めず、基板の組立完成で止まっています。
  
市販の穴あき基板を加工無しで収まるようレイアウトを考えてあります。 電源トランスの容量は充分以上となっています。 飛び出ている赤黒のワイヤーはパイロットランプとしてのLEDに結線されます。 出力は右端に見える3ピンのコネクターで取り出します。
        


2011/01/14

簡易型としての完成まで

部品購入は殆ど秋葉原ですが我が家から電車で行くと最も安い方法で往復\1,020.-掛かります。 従って部品購入は出来るだけまとめた方が良いので、電源ブロックと発振器本体を繋ぐ3芯のワイヤーとそれようのコードブッシュはまだ購入していません。 それでは発振器は使えないので電気的には最終仕様としながらも暫定的な電源と本体の結線をして使えるようにしました。 従って表題にあるとおり、電気的には完成!ということになります。

 ケースには蓋付きのアルミシャーシを使いました。 サイズは130 x 80 x 50mmで外側は
 塗装されています。 これの底部分に左の図のような加工を施しました。
 組立後の写真を見ると判りますが、ツマミの固定位置が飛び出していたり、文字入れがさ
 れてなかったり、LEDが点灯しなかったり、表面に傷が付いたままになっていますが、実使
 用を急ぐためであり最終的にはこれにパネルを取り付けてそれらの調整や文字入れをした
 上で木製のケースに納めるつもりです。

 シャーシに基板を固定する方法は基板に固定された
 ロータリースイッチのネジ部分が長い事を利用し、追
 加のナットでシャーシに固定する事でやっています。

この方法ですと基板とシャーシ面の間隔は3mm程度となり、基板の配線部分がシャーシに
接触してショートし易くなります。 そこで基板とシャーシの間に0.5mm厚塩ビ板を挿入して
ショートが起きないようにしています。  端子、可変抵抗、トグルスイッチなどを取り付けたら
それらの間を配線しますが、配線距離はかなり短いためシールド線は一切使っていません。

この辺りから問題が生じないかどうかは実動を暫く続けてからでないと何とも言えませんが、
オシロスコープで見る限り特に問題はなさそうです。

最初に申し上げたように3芯ケーブルとコードブッシュが決まっていないので、リボンケーブル3本を切り出してテンポラリーのワイヤーで本体と電源を接続しています。 最終的には6PのDINコネクターを使ってやるつもりで電源側にはコネクターを既に取り付けてあります。 LEDもまだ宙ぶらりんですがショートしないよう接続点の絶縁はしてありますので、おいおいケースに取り付けましょう。

さて出力レベルですが、正弦波はP-P値で6.6V、実効値で2.3V。 方形波はP-P値で6.2Vとしました。 何れも当初の目標値以上になっております。  ここまでの様子は以下の写真も参照ください。

シャーシの底部分を加工し可変抵抗、トグルスイッチ、ジョンソンターミナル、そして基板を固定しツマミを取り付けました。

良くみるとご覧のとおりツマミの高さは一定しておらず加工傷が残ったままで文字入れもされないままです。 しかし電気的な動作は最終的になっています。

シャーシ内部の配線。 配線距離が短くてすっきりしています。 簡易型ならでは!と言えます。 右手側面に見える穴は後ほどケーブルが通る穴で、ケーブルが決まっていないので小さ目としています。

こちらは電源部のケースの様子。 左手に見えるDINコネクターはまだ未結線。 LEDも接続部分を絶縁してありますが宙ぶらりんのまま。

リボンケーブル3本に3Pコネクターを接続して電源部と発振器本体のコネクターとコネクターをダイレクト接続しています。 ほったらかしになっているノートブックPC用スピーカーに使うアンプの製作が優先しますので、暫くはこの状態でアンプの調整に使います。

      
----- 冒頭に掲げた本格的な仕様の発振器の製作は後日紹介します。 -----


 
  
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