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カメラ・レンズ用防湿庫
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電子部品 温・湿度計製作 本体設計/製作 除湿ユニット 実働試験 塗装 制御回路 最終調整

2002/05/02

構造の検討

湿気によるカビなどの発生を防ぐわけですから湿度を下げるような密閉容器を作れば良いわけですが、湿度を下げる方法についてあれこれと考えました。 

第一が空気中の水分を吸収してしまう物質を密閉容器に入れる方法で、ポピュラーな材料としてはシリカゲルがあります。 これを大量にほうり込めば取り敢えずの目的は果たせますが、湿度をコントロールするとなると時々シリカゲルに含まれる水分を外部に放出しないとなりません。 安直には水分を含んだシリカゲルをフライパンなどで加熱してやれば良いのですが、これを定期的に行うのは面倒ですし加熱する方法もかなり複雑になりそうです。 

第二の方法は結露の原理を逆用する方法で、除湿機や冷房機がこ
 の原理を使っておりその理屈は次のようなものです。

 左の表は1m3の空気中に溶けこめる水分の量は空気の温度が変化
 すると変わり、高いほどその量は多くなることを表しています。

 例えば温度が30℃、湿度100%の時には30.4gの水分が1m3の空
 気中に含まれておりますが、気温が20℃に低下すると17.2gしか含
 めなくなります。

 この差の13.2gはどうなるかというと空気中には溶け込めずに液体に
 変化(結露)してしまいます。

 この原理を応用し空気を結露が発生する温度以下まで下げてやれば
 空気中に解けている水分を液体として抽出できますので何らかの方
 法で外部に出してやれば除湿できることになります。


 除湿の為に空気の温度を下げる方法としてペルチェ素子
 と言う半導体を使ってみようというのが今回の構想です。

 ペルチェ素子は直流電流を流すとその片面から反対側の
 面に熱エネルギーを移動する性質を持っており、熱エネル
 ギーを吸収される側は冷やされ、放出する側は過熱され
 ます。 また流す電流が大きくなると熱エネルギー移動の
 能力も上がります。

 通電をコントロールすれば除湿量のコントロールが容易で
 すし騒音の発生もないので小型の防湿庫に有利な素子
 であるといえます。

防湿庫の内部にこの素子の吸熱面を露出させればそこに水分が結露しますが、その水滴をガーゼのような物で吸収し外部に導いて蒸発させれば良いわけです。 素子の反対側の面は充分な放熱能力がないと、熱エネルギー移動がスムーズに行われなくなり、吸熱が出来なくなったり(冷えなくなる)最悪の場合はオーバーヒートでペルチェ素子を破壊してしまいますから、冷却ファンの使用を考え充分な放熱対策を考えないとなりません。

調べてみた所能力的に使えそうなペルチェ素子が2000円程度で入手可能なようですので、入手次第基礎実験をやってみることとします。 また電子的な湿度コントロールの回路構想は下の図のようなものです。

    


防湿庫本体製作はそれ程難しいとは思えませんが、これら電子回路の調整や実験が最も手間取る部分となりそうです。 尚防湿庫内部の温度が下がりっぱなしになるとカメラやレンズの温度も下がり、防湿庫を開けた時に外部との温度差でカメラやレンズが曇ってしまいますので、本体は外部の熱を吸収し易い構造として外部との温度差を無くす構造とする必要があると思われます。


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2002/05/09
ペルチェ素子等電子部品の発注

ペルチェ素子の基礎実験が必要ですので早速発注しました。 秋葉原にある千石電商のホームページには様々なペルチェ素子が載っており通販で購入できます。  

どのクラスの素子にするか迷いましたが、メーカー製の防湿庫の場合消費電力が10W以下であるようなので、ペルチェ素子自身の消費電力はそれ以下です。 てなことから見当をつけて大きめの能力がありそうなものにしました。 ペルチェ素子の能力に比例して消費電力は当然上がります。 従って作動したままでは消費電力が大きくなって面白くありませんが、湿度センサーでペルチェ素子をON/OFFする予定ですから長期間での消費電力には影響しないと考えました。 

ペルチェ素子の内部抵抗は約1.3Ωとのことなので5Vでドライブすると3.8Aの電流が流れます。 消費電力でいうと19Wとなります。 使うスイッチング電源の効率は80%前後と見られますので、総消費電力は24W近くです。 かなりの大飯食いですが前述のようにペルチェ素子への電源をON/OFFしますから、除湿能力が最終的に消費電力を決めます。 従って湿度センサーが必要になりますが、温度表示も電子的にやってしまおうと考え湿度センサーと2種類の温度センサーも発注しました。 こちらは秋月電子通商に発注しています。 発注した物の一覧は以下の通りです。

部品名称 メーカー名 型 番 規 格/備 考 単 価
 ペルチェ素子  S.T.S.  T150-85-071S  サイズ: 30 x 30 x 4mm Vmax 9.8V I max 8.5A Qmax 45W 内部抵抗1.2Ω \1,940.-
 スイッチング電源  イータ電機工業  BNT-05SA-U  基板タイプ 入力電圧 AC85-132V 出力電圧 5V 最大出力電流 6A \1,850.-
 コネクター  イータ電機工業  BNT-05SA-U用  入出力用コネクター \110.-
 技術資料  イータ電機工業  BNT-05SA-U用   \30.-
 放熱用シリコーン  サンハヤト  SCH-20   ???
 湿度センサー  SCIMAREC  HS15PF  使用範囲 湿度:10-90% 温度:0-60℃ 使用周波数:50Hz-1KHz \800.-
 温度センサー  セイコー  S8100B  リニア電圧出力 -8mV/℃ センサー・定電流回路・オペAmp内蔵 \300.-
 温度センサー  NS  LM35DZ  20℃のとき出力200mV 温度係数 10mV/℃ \250.-

 以上のうち千石電商に発注した物は既に届きました。 左の写真をクリックすると詳細が確認出来ます。

 註): 写真に写っているのは最初に使ったフリジスター製ですが、試作過程で壊してしまい最入手が困難なのと価格の点からS.T.S.製
     (\1,000安い)に変えました。

     また温度・湿度センサーについてはキットの使用に変更しています。 (後述します。)





2002/05/13
湿度センサーと温度センサーの技術的な検討と使用法

湿度センサーと温度センサーが届きました。
大雑把に考えているこれらを使った構想は、温度・湿度をアナログメーター(電圧計)で表示すると共に湿度の変化に応じて自動的にペルチェ素子の電源をON/OFFさせることです。 技術的に突っ込んだ解説をすることなく考え方と結果としての電子回路だけを掲載します。 もし詳しくお知りになりたい方は、メールにてご連絡下さい。

湿度センサーについて

ここで使う湿度センサーHS15PFは高分子を使った湿度センサーで、湿度によりインピーダンス(交流電流に対する抵抗成分と考えて良いでしょう)が変化します。 従ってこの素子に交流電流を流してやるとその両端の電圧が変化しますので、湿度の変化を電圧の変化として捉えられます。 但しインピーダンスの湿度に対する変化は直線的でないこと、温度補償が必要なことなどから実際の回路は複雑となりますが、基本的にこの電圧の変化をメーターで読めば湿度計となりますし、電圧の変化を検出してペルチェ素子への電源のON/OFFも可能となります。

思考実験段階で私が考えた電子回路ブロックダイアグラムは次のような物です。



















温度センサーについて

前述のように2種類のセンサーを発注しましたが添付された技術資料ではほぼ同一の仕様でした。 いずれも半導体を使ったセンサーで直流電圧を掛けてやると温度に従った出力電圧が発生しますので、これをメーターで読めばよいという構造です。 温度変化に対して直線的に電圧が変化しますので(-8.0mV/℃)、前述の湿度センサーよりも使い方は遥かに簡単そうです。

これも思考実験段階で私が考えた電子回路ブロックダイアグラムを掲げておきます。














ペルチェ素子の自動制御の為には湿度センサーが不可欠な為、これら2つのセンサーの実用回路ができてからペルチェ素子の実験を開始します。

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2002/05/23
紆余曲折の電子回路
実用回路を色々思案しましたが、湿度自動コントーロル回路を極力簡単に作るためディジタル温度計、ディジタル湿度計のキットを採用することにしました。 秋月電子通商の扱いで湿度計は品番K-00078(\3,000.-)、温度計が品番K-00027(\2,000.-)で、いずれも既に購入した物と同じセンサーを使っています。 これを買ってしまうと予算は間違いなくオーバーしてしまいますが、完成までの時間短縮の為に目をつぶることにしました。 それでも完成品の防湿庫を買うよりは安いのは変わりありませんし。 

 ということで購入たのですが、開封してみて吃驚。 
 ディジタル温度計の方は説明どおりに組立てれば何とかなるとしても、ディジタル湿度計のほうはお世辞
 にもユーザーフレンドリーとは言えません。 温度計は1枚の基板で完結しまずまずの組みたて説明があ
 りますが、湿度計は2枚の基板からなり1枚は200mVフルスケールのディジタル直流電圧計で、温度計の
 部品の取付けを一部変えたものです。 これの組みたては説明どおりにやれば問題ありません。 

 もう1枚が問題で部品を寄せ集めて袋に入れた程度のものに近く、配線図は載っているものの部品配置図やパターン図はなんと、「あくまで参考例ですので、この図を見て製作しないでください!」とあります。 
極性のある部品や組みたて順序についての記載もなく、各部品を汎用基板に挿し込み細いワイヤーで全ての回路を半田付けして行かねばなりません。 結論として不親切きわまりなく電子回路の知識のない方には到底組める代物ではないのです。 

これでは「誰でも出来る!」を標榜している私のポリシーにとんでもなく反することになります。  従ってこのキットを部品セットと考える事にし、皆さんが問題なく作れるよう部品配置を変更しようと思います。 またペルチェ素子ON/OFF回路の追加もありますので十分な実験を経てからでないとお知らせできませんから、暫しの間お待ち頂きたいと思います。(2〜3週間くらいかかるかな?)

ディジタル温度計の方は半田こてを握った事のある方なら組みたてれると思いますが、説明書にきっちり従いひとつひとつ確認しながら半田付けして行く事が大事です。



2002/06/06
湿度計本体が完成

 購入した部品キット?に付属の配線図を尊重したまま部品配置を抜本的に見なおしました。 
 特に垂直に取りつく部品というのは後でチェックしにくいのとジャンパー線が多くなる原因の一つにもなり
 ますので、全て水平に取りつけるという条件で進めました。
 また配線図にあるチェックポイント3箇所をオシロスコープのプローブを引っ掛けられるようなピンを追加し、
 電源、信号入力、表示出力、制御出力の各コネクターを追加し最終的な各ブロックの結線が楽になるよう
 配慮しました。

それらのため同じサイズの基板ではギリギリとはなりましたが合理的な配置が出来上がりました。 説明書にある保証無し?のレイアウトではジャンパー線だらけであったものが3本のみに押さえられ裏面もまずまずといったところでしょう。 これを元に組みたてましたが、半田付け不良6箇所の発見に手間取っただけでうまく動作し、説明書に従っての調整も無事終わりましたのでやれやれといったところです。


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設置場所
 以前申し上げた2階の洗面所の中に吊戸棚式というアイデアで家内の了解も取れました。
 その場所をお目に掛けます。 設置場所が洗面所ということで、元々の湿度が高いのではと思われるか
 もしれませんが、我が家では風通しを良くする為に使っているとき以外はドアは開けておく事にしていま
 すので、特に湿度が高くなるという事はありません。 

 写真に写っている設置場所は、間口が1740mm、ドアの上の空間の高さが550mmあります。
 両側が壁になっていますが壁と壁との間にすっぽり嵌め込む構造にしようと思います。 奥行については深くすると使いにくくなりますし、写真の右上に写っている電灯に扉が当たらないようにしなければなりませんから、むやみに奥行を深くは出来ません。 壁と電灯の間は約760mmありますが、扉の蝶番が付くと思われる位置の鉛直線上から電灯は外れていますので20-30mm長くなっても大丈夫でしょう。 

仮に奥行を350mm、観音開き4枚扉として1枚の扉の幅は440mm以下としたとき、扉をあけた時の壁面から扉の手前までの最大距離は790mm位となりギリギリで当たらないと思われます。 このような外寸で板厚を20mm、内部を4つに仕切るとした時の内容積は、310 X 1640 X 510 = 259リットルという事になりますが、大変横長ですから内部の空気の循環は良くないので電動ファンによる強制循環式にしようとしている事と、電子回路を収めるスペースがありますから、200リットル強残れば良い所でしょう。

設置場所に関する大まかな構想は以上ですが、これを元に防湿庫の箱の部分の設計を進めることにします。

防湿庫本体の構造

上記の写真の中にファンがありましたが、庫内の湿度を平均化する為にファンを使用する事にしています。 
但し除湿装置が作動していない時にもファンを回すかどうかは、消費電力とファンの寿命を考え未だ決定していません。

いずれにせよ空気を循環させるわけですから、ただの箱ではまずいわけで空気がうまく循環する構造とせねばなりません。 しかしその為に容積が大幅に減るのも問題ですのでここはじっくりと構造を練る必要があります。
考えあぐねた末(あくまでも思考実験ですが)、次の図のような構造とすることにしました。

   

基本的な発想は防湿庫を固定する際、18mm厚の合板2枚を箱に取りつけこの板を壁に固定する事を考えています。
この方法は家事コーナーの収納家具や書斎の吊戸棚で実績があり十分な強度を確保できます。 

この板2枚の間には窪みが出来ますのでこれを還流させるトンネル(青線部分)として使おうというわけです。
このトンネルの奥行は18mm、高さが150mm位ありますから、使用するファン(直径40mmだが軸径が20mmある)の断面積(940mm2)より約3倍大きい2700mm2となりますので、空気抵抗が増えてファンに負荷が加わる事はないと思われます。 

防湿庫本体の左右は空気室(境界を赤で示してある)を設け、本体との間は複数の穴で繋がります。 穴の直径は15mmとし片側16個とすると穴の総面積は2800mm2となりますので、これもファンに大きな負担がかかるようにはならないと思われます。 
それよりも還流の道筋全長が結構長いため空気の粘性から来るファンへの負担が心配ですが、この辺りは実際に実験してみないと何とも判りません。
台所の排気扇でターボファンと言う強力なファンを使っても屋外までの排出の距離が長いと能力が低下するのはこの理由です。) 

左右の空気室の一部は電子回路を嵌め込む場所として考えられますので、全ての仕切りの厚みを20mm、左側空気室内寸50mmとして電子回路を嵌め込み、右は単なる空気室として内寸20mmと仮定しますと、防湿庫本体の内寸は幅1590mm、高さ510mm、奥行310mm程度になります。

容積に換算しますと約250リットルで以前の考察時よりも9リットル減りますが十分な大きさが残っています。
但し以上は防湿庫本体横幅が1600mm近くもありながら全く仕切りがないときの計算であり、これでは水平方向の撓みが相当でますから空気の還流に大きな影響をもたらさない何らかの仕切りや補強を考えねばなりません。 従って最終容積は更に少し下がるでしょう。



2002/06/27
防湿庫本体の設計

 前述したような構造を基に本体の設計をしました。 外寸は幅1740mm、高さ550mm、奥行350mmで
 全ての壁厚は18mmとしました。 本当は吸湿性のない材料で作りたいところですが、コストを押さえる為
 手持ちの端材を使う事にし、比較的吸湿性の少ないと思われる2液性ウレタン塗料で仕上げる事にしま
 す。 また端材は18mm厚ばかりではありませんから、寸法の自由度のある構造としました。 

 棚板は高さ可変とはしませんが固定するのではなく外せる3段構造で1段辺りの高さが159mmですが、
 入れる物の間に適度な隙間が出来空気の流通が良くなくては困りますので適当な高さではないかと考えます。 1ブロックの内寸幅は491mmが2つと509mmが1つとなります。 幅が均等にならないのは、ドア幅を等しくしたかったからです。 奥行きの内寸は、最終的に308mmと減少しています。 これは裏側の空気の還流トンネルとして3mmの板を前後に挟むようにした為です。  (設計図は左上の図をクリックすると見れます。)

以上で内容積は、(491 + 491 + 509) x 308 x (159 + 159 + 159) = 219リットルと随分減りましたが、200リットル以上の確保は出来ています。 

左端は内寸幅100mmの除湿を行うスペースとなりますが、その詳細設計は未だ完了していません。 右端は除湿した空気を庫内に送り込む内寸幅40mmの部屋です。 庫内には4つの空気を流通させる壁が出来ますが、それぞれに16個のサイズの異なる穴を空けて空気の通過をコントロールしようと考えています。 考え方としては、設計図の青丸は最も大きく緑丸は中間そして赤丸は最も小さい丸穴です。 左端は底の浅い漏斗のようなもので吸い出しますので、中心付近に流量制限を加えます。 中の2つの仕切り壁は全て中間の穴で全面均等な流量を、右端は図の右側中央から空気が入ってきますので、遠い所ほど流量制限が少なくなるように穴径を配します。

以上は流体力学などの計算をした結果ではありませんから、巧く動作するかどうか判りません。 精神衛生上多少は良いという程度かもしれません。

 扉は幅509mm高さ546mmの物が
 3枚で、厚みはこれまた18mmを想
 定しています。 

 何か私は18と言う数字ににやけに
 こだわっていると思われるかもしれ
 ませんが、18mmの厚さは、
 12+5.59+915+3、と合板の標
 準の厚みの組合わせで出来てしま
 いますので、端材の利用には格好
 の寸法なのです。 

 この扉も55mm幅の9mm厚合板で
 枠を作り、裏に9mmの合板を貼り
 3mm厚アクリル板を嵌め込む段差
 を作るつもりでいます。
(アクリル板と9mmの合板との段差は、幅6mmに切断した5.5mmの合板を接着する。)



2002/09/26
大問題発見
 防湿庫本体の設計図面に従って合板を切断し始めたが横幅は最終的に現物合わせとして考えていた
 為、最終的な横幅の採寸をしようと防湿庫の取り付けに邪魔になる周り縁をはずしてしまおうと作業に
 入ったとき、2つの問題を発見しました。

 第1は実際の横幅はこれまで仮に設定していた1738mmよりも7mm長い1745mmであったこと。 
 第2は回り縁が邪魔する為左端の除湿ユニットのパネルの取り外しが簡単に出来ないことです。

色々善後策を考えましたが基本設計を余りいじりたくない為、右端の還流室の幅を13mm狭めてやることにしました。 こうすると内寸幅が7mm長くなったため左端に20mmの隙間が生じることになり周り縁に除湿パネルは引っかからなくなります。

 ということで寸法図を書き直したうえで、加工作業を進めました。 

 とは言っても一番面倒な加工・組み立てとなる左側に位置する還流FANを固定するブロックを5.5mm厚の
 合板で組み立てが終了した所で、これを左端の隔壁に取り付けた後空気をかき集める薄い漏斗のような
 部分を組み付ければ本体組み立てに入れます。

 まったくもってのんびりした進行状況で、既に湿度はカメラやレンズに影響のない程度に下がる毎日となってしまい、完成したところで真価を発揮するのは来年となってしまいますが仕方ありません。 



2002/10/03
本体組立てで一番面倒な部分が完成

 還流FANを取り付ける風洞部分に5.5mm合板を6mm幅に切断し襟巻きのように巻きました。 
 ここに後述する台形状の薄板の片方を貼り付けます。 こうした風洞ブロックを隔壁中央に貼り付けまし
 た。  また隔壁の周りには9mm厚端材の合板を9mm幅に切った角棒を貼り付け、これと風洞ユニットの
 間に4mm厚合板から台形4枚を切出します。 この部分は現物あわせとなりますが若干外側にはみ出る
 ようにして後でカンナで削ることにします。



 この台形の薄板2枚をまず貼り付け、数時間後に残りの2枚を貼り付けて浅い漏斗状のカバーが完成し
 隔壁の右側の空気は隔壁にあけられた穴を通って還流FANへと吸い寄せられることになります。

 このように書くといとも簡単に完成したようですが、風洞作りからここまでは小さな木片を積み上げてゆく
 ようなものですから、加工誤差の増減が発生し大きな寸法誤差が出やすいため、いちいちメジャーや
 ノギスで確認しながら貼り付けてゆくわけで、木工ボンドの乾燥時間も考えるとお世辞にも効率的な作業
 とは言えず大変時間が掛かります。

しかしながら還流ファンの位置も設計値の0.5mm以内に収まりましたし、どうしようもない狂いやひずみもありませんでした。 
僅かに隙間が一部発生しましたので空気漏れ防止としてエポキシ系木工パテで埋めてしまいました。

皆さんがこのまま作られるようなことはまずないとは思いますが、参考までにこの隔壁の図面はこちらをクリックください。




2002/10/10
防湿庫本体組み上げ

 本体の組み上げにやっと着手しました。 
 最初に側板と背面の2枚の板を木工ボンドと3.3φ50mmスレンダースレッドネジで接合しました。
 この背面の2枚の板の間に出来る隙間が庫内空気還流のトンネルとなります。 接合面に隙間が出来る
 と空気漏れが生じ、うまく空気が循環できなくなる為通常よりも木工ボンドを多く塗っています。

 その上に2.7mmのトンネル仕切り板を貼り付けてから隔壁4枚を裏からネジで固定します。 ここも木工
 ボンド併用です。 

 次に前板を各隔壁の上に固定しました。 このような幅の狭い前板を仕切り板に貼るような構造はやった
 ことがありませんが、扉を閉めたときの密閉度を上げるためのパッキンを貼ったり、蝶番を取り付けるスペ
 ースが18mmの木口では不十分な為です。 (そう言えばどのような蝶番にするかまだ決めていません。
 というよりもまだ物色中なのです。)


 次が上部の板ですが、重量を少しでも軽くしようと幅の狭い18mm合板の下に2.7mmの合板を敷く構造
 としていますので、組み立てはいささか厄介ですが、合板の反りから来る若干のひずみ修正と戦いながら完了しました。 (先週紹介した風洞付きの隔壁が一番左手に見えると思います。) 

写真ではクランプが見えますが、2.7mm合板と18mm合板の手前木口が密着するようにと撮影時は使用したままになっています。 まだ背面の薄板は貼っていないのですがこの状態で持ち上げようとした所、一人で簡単にとりまわすのは無理でした。 
計ってはいませんが30kg以上になっているのではないかと想像しています。 そんな重いものを壁に固定できるの? と、思われる方がいるかもしれませんが、書斎に作った吊り戸棚はもっと重かったので特に心配はしておりません。

それよりも組み上げ完了後各部の寸法を測ったり、接合部の段差(接合誤差)を調べましたが、何れも0.3mm以下であり大変良好な結果でした。 これは変な隙間が生じていないことを表していることになりますが、実は今回の板材の切断は側板のL字型欠き取りを除き全てパネルソーでやりました。 従って切断の直線度、それに直行する部分と木口の直角度、寸法精度等はこれ以上を望めない精度で加工出来ています。 正に工作機械使用のご利益そのものが精度の高い組み上げに繋がっているわけです。



2002/10/17
防湿庫本体固定

予定通り防湿庫本体を洗面所内の所定の場所に固定しました。 と書き出すとなにか数十分で終わってしまったようですが、実際は大変な騒ぎになりました。

 固定する前に残っていた背面の薄板の貼り付けを済ませて鬼目ナットの埋め込みに入りましたがこれが
 まず問題。 鬼目ナットはM5ボルト用を購入しましたが、鬼目ナット自身はそれよりも大きな7φー8φの
 穴をあけて六角レンチでねじ込みます。
 その下穴は8φでは少し緩くなると思い7.5φで行こうと考えましたが、木工キリの7.5φを持っていませ
 ん。 金工用ならありますのでこれで行こうと穴をあけたところ、先がぶれてしまいあらかじめ印をつけた
 ところからずれてしまいます。 

仕方なくそのずれの量を測って取り付ける除湿パネルの穴位置をずらしてあけましたので(典型的な現物合わせです。)、とんでもない時間が掛かってしまいました。 どだい格好を考えて14個の六角ボルトを使う所にも問題があるのですが、始めてしまった以上途中で止めるわけには行きません。  さあ後は本体を固定するだけとなったときには夕方の5時になっていました。

たまたま3連休で実家に帰っていた娘と息子達を当てこんでいたのですが、作業が終わったら夕食に外出しよう!と約束していたものの一体いつになったら作業が終わるのか? 早く済ませないと家内共々だんだんご機嫌が悪くなってくる可能性があります。 

といってここで止めると一体誰が思い本体を持ち上げる手助けをしてくれるのか?? 私一人では絶対不可能!!という訳で、さあ始めるぞ!と威勢良く声を掛け全員で持ち上げて本体を嵌め込もうとしたのですが、両側の壁にかなりこすれて動きません。 どうも壁の内寸が奥より手前の方が小さいようです。 無理をするとビニールの壁クロスが削れておしゃかになります。 そこで左端の出っ張りを削ってやることにしました。

削り過ぎも問題ですから3回のカットアンドトライを繰り返し壁紙を傷つけず何とか奥まで移動。 ところが右手のドア枠にうまく乗りません。 下の息子曰く、「父ちゃん1cm位上げないと無理だ!!」 「なぬ!1cm!」 それもその筈、奥まで押し込んだとはいってもそれは上部であり、下部は手前に傾いています。

 そこで上部をもう一度手前に引き全体が水平になるよう調整してからドア枠に当てました。
 「後1mm!いや0.5mmくらいかな?」と下の息子曰く。 よし後は大技・荒技と、大槌を持ち出し当て
 板をしてドカーンと叩き込みうそのようにスーッと入り収まりました。
 そのあとは70mmのコーススレッドネジをインパクトドライバーでバババババーツと壁と天井に固定しやっと
 終了。 

 以上の間上と下の息子及び娘の合計3人がずーっと支えて!と、全く人足なしでは完了しない作業でした。 時計を見ると7時! さあ夕食に出掛けるぞ!!と即出掛けたのは言うまでもありません。


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2003/05/22
ゼロからやりなおしの除湿器

読者の方からこれまでに製作した除湿器は性能不十分ではないか?とのご指摘を頂きました。 そのアドバイスに従って確認実験をしたところ、おっしゃる通り今のままでは実用にならないことが判りました。 また防湿庫のメーカーサイトをチェックした所興味ある情報があり、カビ防止の環境設定も今まで考えていた条件から変更した方が良いのでは?との結論に達しました。

従って全てゼロから仕切りなおしをすることにしましたので、今回はそれらの背景について触れることにします。 又これらの理由で過去の除湿器製作解説は全て削除しました。

性能不十分の防湿器について

 指摘されたポイントは、現状の物では室温と冷却面の温度差が充
 分取れていないのでは?
という点から始まります。

 目標の除湿を40%以下にと決めていたのですが理論的にその場合
 は15度以上の温度差が室温と冷却面にないといけないのですが、
 私の作った除湿器ではそこまでの温度差が取れないのでは?との
 疑問です。

 何故15度以上という値が導かれるかというと、例えば気温30度、湿
 度100%の時に1立方メートルに含まれる水分は30.5gですが、これ
 から水分を除き40%とするためには含まれる水分を12.2g迄下げね
 ばなりません。 (左の表参照。)

 除湿器の冷却面では冷えた温度に対して水蒸気が飽和状態となっ
 ているはずで1立方メートル辺り12.2g含まれる水分が飽和蒸気とな
 る温度は約15度です。 言い換えると15度以上の温度差が得られ
 なければ40%以下に湿度を下げるのは不可能なわけです。

そこで確認してみた所10.5度の温度差しか得られませんでした。 逆算すると約58%が除湿できる下限の値ということになります。

さて冷却面の室温との温度差が充分取れない理由として説明されたのは、

  ・放熱側が十分放熱されていないのではないか?
  ・冷却面の面積が多きすぎるのでは?
  ・どこかの熱抵抗が大き過ぎるかもしれない?


の3点で、ペルチェ素子の動作の理解が不十分な点からの誤解があるのではとの懇切な説明も付されていました。

 ペルチェ素子はそれに電流を流すことにより熱エネルギーを移動させる
 素子として理解すべきで、片側が熱くなって反対側が冷たくなるとの理
 解だけでは不十分との指摘でした。 

 熱エネルギーが移動するので放出される側(熱くなる側)の放熱が不十
 分であればそこに熱エネルギーが滞留して温度上昇が大きくなり、熱エ
 ネルギーの移動が低下するため、冷却側が冷えない(熱エネルギーが
 吸収されにくくなる)現象が起きます。 (左の図2番面)

 放熱が充分なされていて熱エネルギーの移動に支障が無く、吸熱側の
 表面積が小さくなると単位面積辺りのエネルギー移動量が増えますの
 で、温度低下が大きくなりよく冷えるようになります。 (3番目の図)

 放熱側、ペルチェ素子、吸熱側の間の熱抵抗が大きいと、熱エネルギ
 ーがスムーズに移動できませんからこれまた吸熱側の温度低下は小さ
 くなります。 (一番下の図)

 要約すると以上のような説明でした。 私はハットして正に目からうろこ
 の思いでした。 もやもやしていた部分が総て明解になったのです。


 10.5度しか温度低下が得られていませんが、この時放熱側は空冷FAN
 を使っていることもあり、ほんのり温まっている程度ですから放熱の問題
 はなさそうです。

 そこで熱エネルギーの移動量を増大させようとペルチェ素子にかける電
 圧を8V近くまで上げてみた所、放熱側は触れないくらい熱くなるのに冷
 却側は温度が下がるどころか少し上昇してしまいます。
 (左の図の2番目の状態になります。)

 ということは放熱能力が不十分なことを意味しているのですが、問題を
 指摘した方の経験ではペルチェ素子の消費電力20Wで室温と吸熱側
 の温度差が約20度得られたとあります。

 私が8V掛けた時のペルチェ素子の消費電力は約50W近くにもなりこれ
 は明らかに電気の無駄遣い以外の何者でもありません。

 そこで電圧を元の5Vに戻し図の3番目である吸熱側の放熱面積を小さく
 することを試してみました。 吸熱側についているフィン4枚を外してみた
 所、室温と吸熱側の温度差は2度広がり12.5度となりました。 

 これは50%前後まで湿度を下げられる温度差となります。
 実際には吸熱側の面積は現在の半分くらいには下げられますので、更
 に温度差を拡大できますし、それが大きすぎる場合にはペルチェ素子の
 動作電圧を下げて消費電力を押さえてやればよいわけで、完全にやる
 べきことがはっきりと見えてきた次第です。

 また熱抵抗の増加となる要因を更にチェックする必要があります。




カビが好み繁殖しやすい環境の再確認

ここまで解決策が確認できた時に何気なく防湿庫メーカーのサイトを除いたときに、カビが繁殖しやすい温度と湿度の環境に関するデータが掲示されていることに気づきました。

それによれば、

  カビの生育条件:    温度12℃-38℃  湿度61%-95%
  最もカビの好む条件: 温度20℃-38℃  湿度80%-90%
  (出所は日本写真機工業会資料)

とあります。

日本写真機工業会の資料ですから充分信頼に耐えるとすると、湿度40%はいささかやりすぎのような気がします。 マージンを考慮しても50%-55%の湿度を目標としても問題なさそうです。 また温度が12度以下の場合には相対湿度が高くても防湿する必要はなさそうです。 実際メーカーは気温が15度以下に低下したら防湿庫の運転を止めろ。見たいな事を言っているようです。 これは何を意味するかというと15-20度の室温で除湿に必要な温度差を冷却面にもたせると、冷却面が凍結して除湿の機能が働くなるからです。

これらのことから防湿庫の目標スペックを見直し、除湿目標を55%(室温と冷却面の温度差11度)、また室温12度以下では運転停止するように変更することにしました。

室温との差11度は既に実現していますが、放熱側、吸熱側を改善して更に温度差を取れるように改善しておき最後にペルチェ素子のドライブ電圧を落として消費電力を減らし所用の温度差となるようにするつもりです。 制御回路も12度以下で運転停止する回路を追加せねばなりませんが、難易度は高くないはずです。

以上が仕切りなおした除湿器の総てです。 私の目を覚ませてくれた杉垣様には本当に感謝しております。 
尚杉垣様は電子工学に大変明るくその道の素晴らしいサイトを持っておられますので、こちらから訪問されたら更に参考になると思います。



2002/05/29
改善の工夫をした除湿器の性能

引き続き除湿器の改善実験を続けました。 ポイントとしては、

 1.放熱側の能力はあまり問題はないと思われるので冷却側を抜本的に変更する。
 2.熱抵抗減少に努める。

の2点に絞りました。

1.に対しては既に試した吸熱側のフィンをすべて外した他にベースとなる5mm厚のアルミ板を長さ100mmから53mmへと半分近くに小さくしました。 幅の方は50mm幅のままとしていますが、更に10mm短く切断する予定です。 これで全表面積は21,100mm2から6,330mm2へと1/3以下に下がります。

2.については、吸熱板と放熱板の間に合板を挟んでいたのを止めました。 これは隙間調整の為に0.4mmの銅板を挟むなど熱抵抗を増加する原因となっていたためです。 しかしこの作業をするためには熱伝導性両面テープで接着されたペルチェ素子を剥がさなくてはなりませんが、これが大問題。熱を加えて両面テープを緩くしようとしても旨く行かず結局しかたなくペルチェ素子を壊すことにしました。 再度同じ物を購入しようとしたのですが千石電商ではもう売っていないようなので似たようなS.T.S.製の物に変更しました。(型番:T150-85-071S)

 これでバラック状態ながら、どの程度室温に対し冷却面が下がるかを
 実験しました。 熱伝導性両面テープで懲りましたからシリコーングリ
 ースをペルチェ素子に塗っただけで吸熱板と放熱板の間に挟みまし
 た。 締め付けには熱的ショートを避けるためポリカーボネートのネジ
 4本を使っています。

 動作電圧は5Vですが内部抵抗がフリジスターの物より高いためか
 電流は2.4Aしか流れません。
 (ペルチェ素子での消費電力は12Wということになります。)

 左の写真はその様子で温度センサーを吸熱面中央に貼り付けて測
 定しています。 室温は21.2℃でしたが、1時間放値後の吸熱面の温
 度はご覧のように-3.9℃まで下がり、吸熱板は凍り付いています。
 室温との差が24.1度もあります。 この前のもっと簡単な実験では
 12.5℃の差しか得られませんでしたから、極めて大きな改善です。



 この状態から既に防湿庫本体に取り付け予定となっている還流ファン
 が吸熱面に空気を吹き付けたらどうなるかをシミュレートしたのが次
 の写真です。(この場合には室温との差が大幅に縮まります。)

 冷却面の温度は6.4℃まで上昇し、室温との差は14.8℃ということに
 なりますが、この差は40%近くまで除湿できることを意味しており、ファ
 ンで吸熱面に空気を当てても使い物になる可能性を示唆しています。

 最終的な仕様を目指して吸熱板の幅を10mm詰めて表面積を更に下
 げ、5,170mm2と最初の大きさから1/4以下に低下させた物で実験を
 続行し、次のような結果が得られました。








S.T.S.製ペルチェ素子実験結果 吸熱側ヒートシンクサイズ 53mm x 40mm x 5mmアルミ板
ペルチェ素子駆動電圧 3.7V 5.0V
ペルチェ素子消費電流 1.7A 2.4A
ペルチェ素子内部抵抗 2.2Ω 2.1Ω
ペルチェ素子消費電力 6.4W 11.9W

室温 25.7℃ 26.6℃
湿度 57% 59%
冷却面中央の温度(FAN OFF) 1℃ -1.9℃
室温との差 24.7℃ 27.7℃

冷却面中央の温度(FAN ON) 12.3℃ 10.6℃
室温との差 13.4℃ 16.0℃


除湿の下限を50-55%に変更という値は理論上の室温差としては10-13℃あれば良いわけで、マージンを考慮しても冷却面への風量を下げる、ペルチェ素子のドライブ電圧を調整する、などで充分行けるのではないかとの自信が出てきました。

但しここまでの実験はあくまで室内での実験で、何時間動作させても除湿器が室温を下げるようなことはなく、勿論室内の湿度が下がることは考えられませんから、更に検証実験を防湿庫本体でやらねばなりません。

実は除湿器の自動制御回路もその後の実験結果で振り出しに戻らざるを得ないので、暫しの間は手動ON/OFFの運転を覚悟し、防湿庫本体での検証実験そして実運用を先にしようと決断しました。

殆ど振り出しに戻ってしまったような感じですが、肝心な除湿器の動作には大きな光明が差してきていますので、めげずに頑張って行きたいと思っています。 


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2003/06/05
防湿庫の扉製作

 防湿庫を手動運転するには扉を作らねばなりませんが扉を閉めたときの密閉度をどうやって確保
 するかをずーっと悩んできました。
 それはドアヒンジとドアパッキンに最適と思われるものをまだ見つけていない点にあります。

 まずヒンジですが、今まで見たヒンジの全ては扉が締まる瞬間と開く瞬間には扉と本体の隙間を
 埋めるパッキンを横方向に擦る力が掛かり短期間に磨り減ったり、切れたりしそうなのです。
 扉を開けるときに先ず扉を手前に数ミリ浮かせてから開くようなヒンジがあれば良いのですが、そ
 のようなヒンジは何処を探してもありません。 

パッキンがそれらの擦れに耐えられればまだしもですが、耐えられそうな物は発泡性が無くて硬すぎて隙間が出そうですし旨く隙間を埋めてくれそうな発泡性のものは擦れに弱そうです。  一番良さそうなのは冷蔵庫のドアに使われているマグネット入りのパッキンなのですが、こういったパッキンは市販品では見つかりません。

色々考えあぐねた末ベストとは思えないもののこれを決めないと先に進めませんのでごく普通のヒンジを浮かして取り付けて隙間は5mm厚のウレタンスポンジを貼り扉を閉めたときにスポンジが潰れて2.0-2.5mmになるような構造で行くことにしました。 発泡ウレタンは5年以上経つとぼろぼろになってしまうので接着ノリ付で貼り換えが簡単に出来るものとします。

 扉の構造は12mmのシナ合板と4mmのシナ合板を貼り合わせた厚み16mmの枠構造としガラスを
 嵌め込むことにしました。 これは偶々手許にあった端材で出来ることが判ったのと、温度計と湿度
 計のユニットを埋め込むのに12mm厚が丁度良く、4mm厚部分に液晶ディスプレーが見える窓を抜
 き周りに2mm厚の発泡パッキンを貼れば隙間の発生を防止できるためです。

 ガラスは3mm厚のものを嵌め込むのですが、隙間をエポキシパテで埋めてガラスと枠を一体として
 撓み強度を上げようと考えたものの、ガラス屋さんから「絶対にそれはまずい!ガラスが割れる
 危険が増す!」
と注意され、2mm厚の発泡ポリエチレンシートを貼った上にガラスを落とし込み
 シリコーンゴム系のコーキング材で隙間を埋めてから押し縁で押さえることで、ガラスには扉の撓みが直接影響しないようにしながら隙間が出来ないようにすることにしました。

12mmの合板で枠を作るときには各コーナーはの木ダボを各二本ずつ使用し芋継ぎにありがちな接合強度不足を補いながら木工ボンドで接着しています。



2003/06/12
実働試験開始

扉にガラスを嵌め込み湿度計、温度計、温度センサー切替えスイッチを左側扉の裏側に取り付け、全ての扉を本体に固定しました。 

ガラス嵌め込みには2mm厚の糊付き発泡ポリエチレンシートを4mm幅に切って貼り付けその上にガラスを載せました。 押さえ縁を釘で固定する際に押し込んでガラスと扉の間に隙間がないようにして打ち込みました。 出来上がった扉は頑丈そうでガラスを叩いてもコツコツという響きの少ない音しかしませんので旨くガラスは密着している物と思われます。

左端の扉の裏には湿度計、湿度計表示部、表示部付き温度計、温度センサー切替えスイッチを取り付け、コントロール部との結線には、リボン上のワイヤーを使いワイヤーがばらばらになるのを避けています。 このワイヤーの先端にはミニコネクターを接続し、コントロール部と容易に切り離しが出来るようになっています。

温度センサーは2個使い1個は吸熱部に貼り付け吸熱部が0℃以下に下がり凍結しないよう監視します。 もうひとつは切替えスイッチに近いところに設置しました。 その並びの端に湿度センサーが配置されています。 これらの位置は還流FANにより庫内を循環する空気が除湿ユニットに送られる直前の部分でしかも隅にありますので、想像としては除湿器が作動していても庫内で最も湿度が高い部分の筈であり、除湿器が運転開始してからかなり遅れて除湿効果が出てくると考えられます。

温度センサーを2個使ったため温度差から除湿能力の変化も確認できるメリットがあります。 但しセンサー間のバラツキによる測定誤差が残りますが、常温では0.5℃位の差でしたので多分大きな問題はないと思われます。

扉と本体の隙間を埋めるのは結局厚み5mmの発泡ウレタンのテープを使い、ヒンジにはこれまたごく普通のヒンジを試してみることとし、特別なことはやっていません。   扉の取り付けにあたってヒンジを2.5mm浮かして扉を閉めたときにウレタンテープが半分潰れ隙間を埋めるという魂胆ですが、これで充分かどうかは今後試してみないと判断できません。

コントロール部は除湿ユニットは最終仕様のつもりで居ますが、自動制御部分は動作を止めて温度計、湿度計への電源機能のみとなっています。 この実働試験で問題がなければ最終使用のパネルを起こし新たな自動制御回路に置き換えるつもりでいます。

実働試験で部屋の温度と湿度の状況を記録したのですが、極めて安直でとても測定用に供する温度計、湿度計ではありません。 後述するデータに記載された数値は単なる目安と考えてください。

また試験開始前に30分間、温度計、湿度計の慣らし運転をしたのですが、なんと湿度計は105%を指しています。 防湿庫が設置される洗面所の天井付近は極めて湿度が高く限りなく100%に近い感じがしました。 同じ部屋の高さ80cmの所では約80%(前述の頼りない湿度計にて)  このような表示となっている原因は湿度計の校正に厳密な方法を採用せずキットに記載された簡易法で済ましたためと思われます。(キットの説明書には、簡易法で校正した時には±10%の誤差が生じると書いてあります。)  この位の誤差は実用上問題無しとして進めることにしました。

それにしても蒸し暑い。(今日のニュースで今日から梅雨入りとのことで何ともタイミングがいいことか?)

ということでここまでの経過は以下の写真を参照ください。

扉にガラスをはめ込む際、糊付き2mm厚の発泡ポリエチレンシートを4mm幅に切って挟んだ。

その上で押さえ縁を押し付けた状態で釘を打ち込んで固定。(釘は15mmの丸頭ステンレス釘を使用。)

部屋の中の温度と湿度をチェックするのに使ったものですが、目安程度にしかなりません。

左の扉の裏側にはこのように電子回路が並びます。 左から湿度センサー、湿度計、湿度計表示部、表示部付き温度計、センサー切替えスイッチです。 右端はコントロールパネル/除湿ユニットです。

庫内温度測定用センサーでセンサー切替えスイッチの側に設置。

こちらの温度センサーはアルミ吸熱板上部にエポキシで貼り付けてあります。

本体と扉の隙間は5mm厚の発泡ウレタンテープを貼りました。 発泡率が高いので極めて柔らかく扉を少し押し込むとうまく潰れてくれます。

扉のヒンジは扉を閉めたときに本体との間に2.5mmの隙間が出来るよう取り付けました。 これで発泡ウレタンテープは扉を閉めたときに半分の厚みに潰れます。

左端の扉の内側の様子。 テスト中は裸ですが実働OKとなったら通気性のカバーで保護します。

扉の開け閉めでケーブルが屈曲するため断線が心配なのですが、色分けされたリボンケーブルでコントロール部に導かれます。 

まだ扉のロック機構が付いていませんので、扉が開かないようネジ止めした板で押さえてあります。

表示部とコントロール/除湿ユニット。 右端の湿度計は冗談極まりない表示ですが、誤差の範疇のようです。


まだテスト運転の途中経過ですが運転開始後5時間の結果は次のような状況となっています。


カメラ・レンズの防湿庫実働試験結果 その1

テスト実施日 2003/06/11 ペルチェ素子動作電圧: 5.0V ペルチェ素子消費電力: 11.9W
測定時刻 19:00 19:05 19:10 19:15 19:20 19:30 20:00 20:30 21:00 21:30 22:00 22:30 23:00 23:30 00:00
 
部屋の温度 22.5 22.5 22.5 22.5 22.5 22.5 22.5 22.0 22.0 21.5 21.0 21.0 20.5 20.5 20.0
部屋の湿度 80.0 80.0 80.0 80.0 80.0 80.0 80.0 80.0 85.0 85.0 85.0 80.0 80.0 80.0 80.0
 
庫内温度 24.4 24.4 24.3 24.3 24.3 24.3 24.1 24.1 24.1 24.0 23.9 23.7 23.6 23.4 23.3
吸熱面温度 24.0 4.6 5.2 5.5 5.5 5.5 5.5 5.4 5.3 5.0 4.9 5.2 4.9 4.8 4.3
温度差 0.4 19.8 19.1 18.8 18.8 18.8 18.6 18.7 18.8 19.0 19.0 18.5 18.7 18.6 19.0
 
庫内湿度 105.4 104.7 104.1 103.5 103.1 102.2 100.7 99.4 98.5 97.9 97.2 96.6 96.3 95.8 95.3
湿度低下 0.0 0.4 0.8 1.2 1.4 2.0 2.9 3.7 4.2 4.6 5.0 5.4 5.5 5.8 6.1
 
コメント1 動作開始15分後にガーゼ右側が濡れてきたのを確認。 1時間半経過後左のガーゼも濡れてきた。
 
コメント2

放熱器は常にほんのり暖かい程度で触った感じでは変化はない。



たった5時間の試験で断定的な評価を下せませんが、幾つかの問題があります。

1.湿度の低下速度がかなり遅い。
  数時間たつと1時間に0.7-1.0%しか湿度が低下していません。 防湿庫の容積が219リットルとかなり大きいので仕方ない所な
  のでしょうか? 或いは期待していたよりも庫内の循環が悪く均一さが低いのでしょうか? 或いは空気洩れが多くて損失が大
  きいのでしょうか?

  庫内の温度と吸熱面の温度差は18.6-19.0℃を保っていますから、除湿能力が低いとは考えにくいのですが。

2.還流FANのノイズが大きい。
  還流FANの振動が防湿庫本体に伝わりブーンという音を発しています。 かなり耳障りな音ですがテスト中は還流FANが確かに
  回っていることが確認できて有難いと言えばそうなのですが(還流FANが止まると吸熱部は凍結してしまい大きな問題なので)
  全ての動作安定性が確保できたら何とか押さえたい所です。

3.ガーゼを伝わって出てくる水分が少なすぎるのでは?
  テスト開始後15分でガーゼの片側が濡れてきたのを確認できました。 また1.5時間経過後にもう一方の方も濡れてきていま
  す。 しかしその後はぐっしょり濡れた!!等の状態になっていません。 ガーゼが触れている放熱器はほんのり暖かい程度で
  すからそれ程強制乾燥の能力があるわけではないと思うので気になります。

  1.の湿度低下速度が遅いのとリンクしている部分があるのでしょうか?

4.庫内温度と吸熱部の温度
  これが一定だと仮定すると、還流FANで吸熱面に風を当てているので冷却能力は低めなのにも拘わらず、19度近くの温度差を
  保っていますから庫内が20℃近くまで下がると吸熱面は凍結する心配があります。
  低温時の運転停止は12-15℃と考えていましたが、その前に凍結して意味がなくなります。  ペルチェ素子の動作電圧を下
  げて温度差があまり大きくならないようにコントロールする必要がありそうです。



2003/06/19
実働試験の続き(何とか目標の湿度には到達した!)

幾つかの問題が重なっているわけですが、ひとつずつ整理しなくてはと考え、原点に立ち戻ることにしました。

1.還流FANは正しく作動しているかの確認
  還流FANが正しく機能していなければ庫内の温度・湿度を測定していてもあまり意味がありません。 そこで簡単な方法ですが
  艶消しの黒を塗装した板を背景にして一番左の扉を空け右側の隔壁の穴に線香をかざし煙が左にたなびくのを確認しました。
  穴は全部で18個ありますが何れの穴でもたなびき方はほぼ同じですので、空気はうまく循環していると考えてよいと思います。

2.温度計・湿度計は正しい表示をしているのか?
  6/12の報告でお分かりのように湿度計が100%以上の値を示しておりました。 キットの湿度計の出力は湿度100%の時に100
  
mVになるようにしてありますが、キット付属のディジタル電圧計は200mV迄測定できる物です。
  従って100%以上のあり得ない湿度も表示だけは200%迄可能です。  この辺りがどうもすっきりしなかったため新たな出費とな
  り決して嬉しくはありませんが、もっと拠り所のある湿度計を調達し比較することにしました。

 色々探し回った結果ディジタル表示で温度表示誤差±1℃、湿度表示誤差±5%の物を見つけました。

 これを2個購入して庫内に設置し還流FANを回して1時間放置した所購入した2個の温湿度計は0.2℃
 表示の違いに対し私の作った温度計は2℃前後の差でまあまあでしたが、湿度の方は購入した物が2個
 ともほぼ同じ表示したのに対して私の作ったものは何と40%以上高い値を指しておりましたが、湿度が変
 化すると一定の比率(1:0.605)で変化しますので、校正を正しくすれば実用になると思います。


3.可能な限り庫外との間の隙間を埋める。
4.ペルチェ素子の冷却側と放熱側の間に断熱材を埋め込む。
5.ガーゼを一枚から2枚重ねに変更し先端を放熱板に巻きつけて蒸発促進を図る。

  何を今更と言われそうですが、左端のコントロール部は最終的には作り直すつもりでいるので、取り敢えずの動作実験と隙間が
  多かったり断熱不十分であったりする部分が結構ありましたので可能な限り改善しました。

6.防湿庫本体の空気に触れる面を塗装して木材が含む湿度の影響を押さえる。
  防湿庫本体の設計時点では、如何に湿気を通さない仕上げにするか随分と悩んでいたのですが、製作段階でどっかにそのこと
  を置き去りにし写真を見てお分かりのように塗装もしないまま組上げてしまっています。

  木材の吸湿性は相当高い筈ですから、これはまずいぞと言うことで最終的にどうするかは後で考えることにして、先ず吸湿性を
  押さえた時の効果を確認するために庫内の見えるところ全てを速乾ニスで一回塗りしました。 計算してみたところ庫内の空気
  が触れる面全ての約70%しか塗れていませんが、とりあえず検証と塗装1時間後に強引に運転を再開しました。

以下は3日間に渡った実働実験記録です。 (ペルチェ素子駆動電圧を3種類やっていますが、緑は4.06V、黄色は5V、橙色は6.06Vを表しています。)



これらの実験でかなりの事が判って来ました。

1.還流FANの風を吸熱面に直接当てる当てないはまだ結論が出ない。
  テスト途中で5-10分間還流FANを止めてその後10分間還流FANを回すという繰返しを1.5時間続け湿度の変化を見ましたが、
  大きな差が出ませんでした。

  還流FANの風が吸熱面に当たると吸熱面の温度は上昇してしまいます。 従って除湿能力は落ちるはずですが、上昇しても尚
  且つ充分な庫内の温度との差が確保できれば除湿能力がなくなることはありません。 一方還流FANの風が直接吸熱面に当
  たらない場合には吸熱面の温度と庫内の温度差は拡大し除湿能力は上昇するはずですが、単位時間に吸熱面に触れる空気
  の量は大幅に減少しますので、どちらの方が除湿能力が高くなると断定できません。

  今回間歇運転としてみたのは、FANを止めたままだと吸熱面が凍結し除湿できなくなるからですが、ペルチェ素子の駆動電圧を
  下げるという手で凍結を押さえた時にどうなるかの課題がまだ残ります。

2.吸熱面と庫内の温度だが十分あっても吸湿に時間が掛かる。
  理論的には温度差が15℃あれば40%まで除湿できるはずですが、空気の熱伝導率は極めて悪いためかその理論どおり下
  がってくれません。 上記のテストデータの最後の行のように20℃以上の温度差があっても、24時間以上経過してやっと55%
  に到達しています。

  この件に関する私の見解は、空気は熱伝導に関しては不良導体であるため熱が伝わるのが遅い(マイナスの)のと、防湿庫の
  容積(220リットル)に対し冷却面の空気が触れる面積が少ない。の2点に原因があると考えています。

  改善するには、「ペルチェ素子の駆動電圧を上げて冷却能力を上げる。」 「 吸熱面の空気が触れる面積を増やす。」

  の2つですが、これら2つは密接に関連しており、

  「冷却能力が上ると凍結を避ける為吸熱面面積を増やした方が良いがやりすぎると吸熱面温度が高くなってしまう。」

  という関係があり、最適ポイントを探すのは決して容易ではないと思われます。

  またペルチェ素子の駆動電圧を上げたらそれに見あった発熱側の放熱能力が伴わないと吸熱面の温度は下がりません。
  現状では5V以下で運転した時にはほんのりと暖かい程度で放熱は充分ですが、6.06Vで運転した時に放熱器がかなり過熱し
  てくるので(触っていられるので37-40℃位と思います。)、放熱能力を改善することにより冷却温度を 更に下げるのは可能だと
  考えています。 
  (1年間で屋内の温度が40度近くになる日数は少ないですが、そのような場合でも吸熱面の温度を10℃以下まで下げるにはそう
  いった配慮が必要になります。)


  一方室温が下がってきた場合には温度差もそれにつれて下げなければなりませんが、ペルチェ素子の駆動電圧コントロールに
  より簡単に出来るでしょう。

  以上の改善で吸湿速度は上がる筈ですが、消費電力もそれについて増大しますから旨い妥協点を見出す必要があります。

3.吸熱面での結露が減少すると吸熱面の温度が下がる。
  水蒸気が結露すると吸熱面の温度は若干上昇します。 逆に結露しなくなると吸熱面の温度は下がります。
  吸熱面をを見ることは不可能ですが、吸熱面の微妙な温度変化を監視していると除湿状況が類推できます。 この理由で吸熱
  面に温度センサーを貼り付けたのは正解だったように思います。

4.想像していたよりも庫内と室内の温度差が少ない。
  室内の温度の変化があると庫内の温度もほぼリアルタイムに近い形で変化します。 この現象はこのままでよいと考えていま
  す。 というのは、庫内の温度が室内の温度より低い場合にはカメラを庫内から取り出したとたんにカメラに結露する危険性があ
  るからです。

  冷蔵庫のように庫内の温度を下げてしまうと、カビが発生する湿度は高目になりますから除湿器に掛かる負担が少なくなるもの
  の、肝心なカメラレンズを出した時に結露されてはなんにもなりません。

  この庫内/外の温度変化はどうやら庫外の温度変化に庫内が追従するという形で表れているようなので、室内温度が上昇して
  いる時には庫内の温度が若干低くなるはずですからカメラに結露する可能性がありますので、強制的に数度庫内が高くなるよう
  に出来れば理想的ですが、更なる検討を要します。



2003/07/03
その後の実験結果とと設計の修正

除湿と言う動作について現実の状況を把握した上で最終的にまとめようとしたかったため、その後色々なファクターをいじりながら、また改良に繋がると思われる調整をしながらテスト運転を続けました。 たった1台の試作機で全てを物語るのは不可能ですが、私自身量産して販売することなど毛頭考えていませんから、私自身が納得できて安全に使えるようになればよいわけで、アマチュアらしい構造・作り方であっても構わないと割り切っています。

前置きはこの位にして2週間に及ぶ連続試験の中で次の諸点が明快になりました。

1.実用に耐えうる除湿能力を既に得ている。
  気温25℃-32℃に渡って45%以下の湿度が得られています。 このレベルに到達するには2日以上掛かりますが、60%以下に
  は数時間以内に下がりますから頻繁に開閉することの少ない防湿庫であり、60%以下に下げればカビの生息範囲から外れるこ
  とを考えると十分な能力を有していると結論付けました。

2.放熱側の温度が高すぎる。
  気温が30℃ともなるとペルチェ素子を駆動する電圧を6.0Vにした場合にはかなり放熱器が過熱します。 推測ですが40℃を間
  違いなく超えます。 4.0Vではそのようなことはありませんが、5.0Vの場合でもかなり加熱します。
  この現象は気温が25℃前後ではあまり目立ちませんでした。 この間吸熱面との温度差は大きく変わっていませんから、吸熱
  面の温度は上昇気味になり除湿能力低下が起きているようです。
  短時間とは言え気温が35℃以上になった場合の放熱面の発熱はかなり心配になりますので、何か抜本的な対策を打つ必要
  があります。  それにより温度差が上昇し過ぎるのであれば、ペルチェ素子の駆動電圧を下げればよいわけでこれは消費電力
  の低下に繋がります。

3.除湿を停止して放置したときの湿度変化。
  理想状況であれば、除湿を停止してからの理論的な庫内の湿度変化は庫内温度が変化なければ湿度変化なし、庫内温度が
  上昇すれば湿度が下がり、庫内温度が下がれば湿度は上がるはずですが、実際には何れの場合も湿度は徐々にですが上昇
  して行きます。 

  そうなる理由としては、「除湿器を停止した時点で濡れていたガーゼや吸熱面に結露した水分が再び庫内に蒸発する。」
  「隙間から外部の湿気が庫内にもぐりこむ。」 の2点が考えられるわけです。 気温が26℃前後で停止した時点で48%の湿
  度が18時間後に55%まで上昇(気温はほぼ同じ)というのが現時点での実力でありその後は殆ど上昇しません。 

  25℃で1立方メートルの空気に溶け込む水分の量(湿度100%)22.8gですから、210リットルのこの防湿庫では約4.8gになり
  ます。 48%の湿度時には2.3g55%では2.6g強と多く見積もっても0.5g(0.5cc)の差にしかなりません。
  私の勝手な想像では、前者の冷却面に付着した水分とガーゼの水分の再蒸発が理由の殆どであろうと考えています。
  無論55%のレベルまでは再除湿運転の必要性はありませんし、この要素をこれ以上改善するのはかなり困難であると思われま
  す。

4.完全自動運転と異常動作保護。
  除湿器が実用レベルに達したため更に欲が出て完全自動運転の構造や万が一の場合の安全確保を配慮しようとしています。
  それらとは、

  イ.余計なエネルギーを消耗しない除湿限界のコントロール。
  ロ.強制空冷FAN故障時の対策
  ハ.還流FAN故障時の対策
  ニ.吸熱面凍結時の対策
  ホ.最適除湿能力のコントロール

  で、推測ですが市販のカメラ用防湿庫では対応されていないと思われる一歩上の機能です。

 イ.に関しては少々複雑なのです
   が、除湿器作動範囲を次のよう
   に考えました。

  ・気温10℃以下では湿度レベル
   に関係なく運転停止。

  ・気温13.5℃で湿度80%を除湿運
   転開始のボーダーラインとする。

  ・気温17℃で湿度70%を除湿運転
   開始のボーダーラインとする。

  ・気温20℃で湿度61%を除湿運転
   開始のボーダーラインとする。

  ・気温22℃以上では湿度55%を運
   転開始のボーダーラインとする。

  ・放熱面45℃以上では湿度レベ
   ルに関係なく運転を停止する。

  文章で書くと判りにくいですが左の
  図の除湿器作動範囲がそれらを
  表しており、いわゆるカビの生息範
  囲を完全にカバーし、それぞれの
  限界湿度レベルは湿度5%以上の
  マージンを持っています。





ロ.に関しては、強制空冷FANが故障してしまうと発熱面が急激に上昇することを逆用し間接的に空冷FANの故障から来るペルチェ素子破壊を防止しようと考えています。 設定温度は発熱面で45℃としていますが、今後の実験で更なる検討が必要です。 またこの機能は室温が異常に上昇した際の安全弁としても働くはずで、上の図を見ても判るとおり室温40℃以上はカビの生息領域ではなくなりますから、運転を停止しても差し支えありません。

ハ.ニ.に関しては、還流FANが停止すれば吸熱面は短時間のうちに凍結してしまいますので、吸熱面の温度を監視することによりFANの異常を間接的に検出できることも併せて実現できます。 この場合には大きな発熱のような危険を伴うとは考えられず除湿能力の大幅低下に留まる問題ですから、運転停止ではなくブザーなどで異常を知らせるようにしようかと考えています。

ホ.については庫内温度にリンクしたペルチェ素子の駆動電圧調節により実現しようとしています。
考え方としては吸熱面の温度は凍結しない範囲で低ければ低いほど除湿能力は上がるはずで、これを駆動電圧の変化により実現しようとしています。 但し使用しているスイッチング電源は出力電圧の可変範囲が大きく取れません。
シリーズレギュレーターを使えば出力電圧の可変は容易ですが、消費電力効率がかなり悪くなりますので工夫を要する所です。

 更に2.の発熱問題については私が自作した放熱器では能力の限界があると結論付け秋葉原のジャンク
 屋で発見したかなり良さそうな物に変更することにしました。
 幅が60mm、長さ270mmと自作の物の幅50mm、長さ260mmよりそれぞれ10mmずつ大きいですが問
 題なく取り付けられます。 すごいのはペルチェ素子の接触面の厚みが13mm3倍近い厚みがあり、フィ
 ンの枚数は7枚で高さが60mmあり自作の物のネジ止めした高さ25mm6枚フィンとは全く放熱能力が
 異なるはずです。

包絡体積から計算した熱抵抗は1℃/Wを若干切るレベルで、私が推定していた自作の放熱器の約3℃/Wとは3倍の開きがあります。 これに強制空冷のFANを組み合わせれば数度の吸熱面温度低下が期待できると思いますし放熱面の温度上昇も低下すると期待しています。

 以上を元にして左の図のような回路
 構成を考え現在具体的な実用回路
 を試作中ですが、如何せんその面
 の素養のない私ですから、色んな書
 物で紹介されている回路を組み合
 わせて実現するという方法しかあり
 ませんので、まだまだ時間が掛かり
 ます。

 但し防湿庫本体は実用運転を開始
 できますから、電子回路の試作と平
 行して本体の完成を進め、
 全てのカメラ・レンズを近々移動しよ
 うとしています。
















2003/07/10
制御回路の設計

本来であればマイコンを使って集中制御するのでしょうが私にはマイコンを使う技量がありませんから、センサーと増幅回路や比較回路を組み合わせたもので実現することにします。 温度センサーも安くなったようですので積極的に使うことにします。

 1.ペルチェ素子駆動電圧制御回路
   既に使うことが決まっているスイッチング電源は半固定抵抗により出力電圧が可変できるように
   なっていますが、規格では±10%の電圧調整が可能となっているものの実際にはこの抵抗値が
   0-∞の間で6.13-3.27Vに可変できることが判りました。
   これを駆動電圧範囲とすると吸熱面が凍結しない温度範囲は15-30℃位と予測され低温側が
   若干足らない感じですが何とか行けそうです。 無論このような使い方はメーカーの保証外です
   が、専用のスイッチング電源を設計できるわけでもないので簡便法として採用します。
   この抵抗にはどのような電流が流れるのか判りませんので、電気的に制御回路と分離するため
   Cdsを半固定抵抗の替りに入れLEDが照射する光の強さで抵抗を変化させることにしました。

   基礎実験では直径12mmの感度の高いCdsと白色高輝度LED10mmの間隔に置きLED
   許容印加電圧の範囲で、Cdsの抵抗値は80KΩ-100Ωと変化することが確認されました。
   LEDの駆動電圧とCdsの抵抗値変化(スイッチング電源の出力電圧変化)はリニアーでないた
                     め少々補正を加えないとなりませんが、厳密さをそれ程求めないので何とか実用になると期待
                     しています。

 2.除湿器のON/OFF制御回路
   22℃以下では庫内温度に対する除湿器運転の湿度レベルを決定し比較回路の比較基準電圧
   を作り出します。 その比較回路の入力は湿度計の出力電圧で、0.001V/%です。
   一方22℃以上になると比較基準電圧は湿度55%相当に固定されます。

 3.異常発熱検出回路
   放熱器の温度が45度に達した時にはペルチェ素子の駆動を自動的に遮断し赤のLEDの点滅で
   知らせ、温度が下がれば復帰。 これにより強制空冷FANの異常を間接的に検出します。

 4.10℃検出回路
   庫内が10℃に下がると湿度100%であっても除湿運転を停止します。

                     以上の3回路は1枚の基板にまとめます。

 5.冷却面凍結警告回路
   冷却面が凍結すると除湿能力が激減し電力の無駄遣いになります。 ペルチェ素子駆動電圧を
   十分に低い値まで下げられない可能性があるので気温が15℃以下になった場合凍結する心配
   が多少あります。 また還流FANが停止した際も冷却面は凍結しますので、還流FANの異常検
   出を間接的にすることになります。

   冷却面が1℃に到達した場合にはブザーと黄色のLED点滅で知らせるように考えています。




以上の回路に電源を供給する回路を追加した物が全貌になるのですが、の組合せで前述の温度・湿度の範囲内でのみ除湿器は運転することになり、耐久性に不安があるFANの停止にも対応できることになり、安全性もかなり高まると思われます。


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防湿庫本体の塗装に付いては他の2作品と共に、こちらで解説されています。



2003/10/10

カメラ・レンズの恒久移動

3ヶ月近く仮住まいだったカメラ・レンズを出して本体の最終塗装を施した後に恒久的な移動をさせました。 仮住まいの時には入れていなかった機材や天体観測用の光学機材の一部まで引っぱり出して整理しました。 空気の流通を損なわないようかなり間を空けた置きかたをしましたがカメラ本体25台、交換レンズ34本、双眼鏡、天体望遠鏡アイピースなどを収めて若干の空きが出ています。 隙間を若干詰めれば総量の30%位はまだ入れられるでしょう。

気温・湿度共に下がってきましたので扉はまだ開けたままでニス塗りが終了後取り付けということで運転は停止しております。 そして温度変化による動作確認は気温の低い方がやりやすいので(低温を高温に上げるのはたやすいが逆は大変なので)、秋の夜長を使って電子回路の最終設計・製作に着手する予定です。 よって自動運転の最終確認は来春という気の長い話ですが、類例や参考例が少ないため試行錯誤の連続となりますので仕方ないことでしょう。

  下から見上げた防湿庫の全体の様子。 扉は未塗装なのでまだ付けていません。 まだ若干の空きがあります。

左側2/3で左端は除湿室です。 上段はコレクションとなっている今はもう使わないカメラ。

右側2/3で右端は2眼レフ、大型レンズ、双眼鏡、天体観測用機材。 中央は現在使用中の機材。

 10/17 扉のニス塗装が終了し本体の全ての塗装が完了。 残るは左端に見える電子回路部分のみとなりました。



電子回路製作が進行始まりましたらまたアップいたします。

  
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