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皿付きのボード
   
2007/01/26

突然変わった物を作る事情

好きでやっている日曜大工とは言え加工や組立てに失敗することが時々あります。  というか日曜大工を始めたばかりの頃は失敗の連続でした。 その原因は作業の勘所や材料の使い方を知らないために起きたことであり、それら失敗の原因を考え対応策を考えながら進めてきているうちに少しずつ失敗が少なくなってきています。 そういった試行錯誤の結果、こういったやり方が良さそうだ!と確信を得たものをこのサイトでは紹介しているわけですが、それでも失敗がゼロに成ったわけではありません。


 ご紹介する内容は実は失敗の修復に関する事柄です。 しかしながらここで述べる作業方法は、板の面に凹んだお皿のよう
 な部分を加工したり作ったりする上で大いに役立つ応用の利くテクニックです。
 例によってプロがやらないアマチュア的な方法論でもあり、テクニックのライブラリーに入れていただきたいと思います。



知人から頼まれて2005年の9月に完成し納めた隙間収納家具が今回の問題の発生源です。 納入後半年ほど経った2006年3月に訪問する機会があり、具合がどうだろうか?と点検した折にライティングボードの前板がやけに上を向いていることに気がついたのです。 おかしいな?と引き抜いてみたところどうやらボード全体が反ってしまっています。 かろうじてスライドレールがその反りを最小限にとどめているような感じであったので、スライドレールの手前の固定ネジ4本を外してみたところ次の写真のような有様となりました。

ライティングボードの裏面を斜めに見たところ。 右側が前側でスライドレール固定ネジ6本のうち後ろの2本を除き外したらこうなってしまった。

その前側部分のクローズアップ。 なんとボードの前面はレールから10mm近くも浮き上がってしまっている。

それを真横から見た写真がこれ。 前板はボードに直角に取り付けられているから、前面が上を向いたようになってしまうわけだ。

ボードの後端から見たところ。 前面に向かって競りあがっている様子がお判りいただけるであろうか?

 このボード部分を作るときにどのような構造にするか暫し悩んだ末、14mm厚のムク
 板に4mm厚のシナ合板を貼り18mm厚とした経緯があります。
 スライドレールを固定するのに最低で18mm欲しく更にこのボードにはペン皿部分の
 凹みを付ける必要があり、ペン皿の底となる部分をシナ合板のもっとも薄い4mm
 と決め、残り14mmを手持ちで木目が大変美しいムク板を繰り抜いてから上に貼り
 付けることにしました。 
 出来上がり当時は外観上も良くしめしめと思っていたのですが、やがて季節が移り
 乾燥期になったとたん上のムク板部分が合板より大幅に収縮してかような結果にな
 ったと推測しました。 (左の図参照)

その私の推測を説明し暫く預からしてもらい修正加工をしようと持ち帰ったのですが、これまでほおっておいた! というか上記の私の推測が正しいかどうかの検証のために寝かせておいたわけです。

その後6月に入り湿度が急速に上がってきたと同時に上に見る強烈な反りは嘘のように消えてしまいました。 更に10月を過ぎて乾燥状態が進むにつれ再び反ってきました。 私の推測は間違っていなかったというわけです。

原因は湿度の変化だとは判ったのですが、既にムク板部分には湿気の吸い込みを抑えるためにたっぷりとニスを塗ってあります。 それが殆ど役に立っていないほどシナ合板と湿気による収縮度が違うと考えた方が良いでしょう。  そこでボード部分と前板を切り離しボード部分だけ作り直すことにしました。 ここで前板は切り離した上で再び新しいボードに固定するつもりでいます。  そうしないと前板の部分が収納家具本体と色が合わなくなってしまうためです。

 さて新たな組み合わせですが、合板には14mm厚のものはなくそれに一番近いの
 が15mm12mmとなります。  15mmだとお皿の部分が深くなるから採用したい
 ところですが最も薄いシナ合板が4mmですから貼り合わせ後19mmになります。 
 一方12mm厚の合板に5.5mmシナ合板を貼り合わせると17.5mm。 この場合お
 皿の部分は浅くなるがボード厚は0.5mm減少で済みます。

 どちらにするかを考える中で、お皿部分のくりぬきに使うトリマービットの最大加工深
 さが13mm程度であることを思い出し後者の12mm + 5.5mmに決定しました。
 (左図参照)

こうすれば上の板と下の板の湿気による膨張・収縮はマクロ的にはほぼ同じになるはずですから、反りが発生することは殆どないでしょう。

次に上の12mmの板のくりぬき方法ですが、これまでやってきたトリマービットで単純にくりぬくのではなく、45度傾斜に板を切断し貼り合わせる事にしました。 その基本構造は写真立てで紹介したアイデアに準じています。  今回は電動トリマーを使って作業を進めますが同じ作業をソーガイドを使ってやることも可能です。

この方法のメリットは斜め45度に切断した切断面を組み上げる前に研磨できるため、研磨作業が大変やりやすいことにあります。 また窪みの角はトリマーで単純に抜いたときには丸くなるのと違い直角になります。  従って外観上はシャープな感じとなります。 

短所としては上の板は4枚を貼り合わせることでその繋ぎ目の処理が上げられますが、私の推測では注意して作業すれば殆ど目立たなくなるだろうと思います。

 前置きが長くなりましたが、作り直すボードの寸法図、切り出す部材の寸法図は左のとおり
 です。 図中クリーム色の部分は5.5mm厚の単純な長方形で底板部分です。
 またベージュ色が12mm厚部分で45度傾斜となる部分はオレンジ色にしてあります。
 図の中で両端が矢印で表示しているのは木目方向を表しており、継ぎ目を目立たなくする
 ためにこの方向は極めて重要です。

 左上が完成時の寸法図でそれ以外は切り出す部材の寸法図を表していますが、これと同
 じ状態に加工した様子は後ほど写真でお目にかけます。
 皿状の窪みは底の部分の寸法を55mm x 200mmとなるよう設計しましたが、その寸法
 以外の殆どの寸法値には頭にマークが付いています。
 これは実際に部材を切り出す際に少し大きめに切ってやることを意味しており、貼りあわせ
 た後で341 x 350mmの所定の寸法となるようカンナで成形します。
 いきなり最終寸法で切り出すと加工誤差を吸収できなくなるためにこうしているわけで、私
 は1-2mm大きめに切断しました。
 次に掲げる作業中の写真と寸法図で加工上の勘所をご理解下さい。

どうということありませんが、12mm厚シナ合板から2枚の板を切り出しました。 最終寸法よりもそれぞれ2mmずつ大きめに切断しています。

トリマー(使用ビットはmini-Shopで販売しているVB-90でそれぞれの板にV字状の溝を彫りました。 皮1枚繋がった状態で、判りやすいように部材寸法図の位置関係と同じように置きました。

手前の板をそっと裏返したクローズアップ。 皮1枚で繋がっていることと、裏側の上下の端が45度に切断されているのが判ると思います。

皮1枚部分をカッターナイフで切り離し、所定の位置に並べてみました。 寸法図の左上の状態となりますが継ぎ目となるところがはっきりと判ります。

トリマーで斜めに削り落とした面を替刃式ヤスリM-20GP)で研磨し更にハンドサンダーで仕上げます。 角度が違ってきたりカマボコ状にならないよう要注意で強研磨は避けます。

5.5mmの底板も露出する部分を仕上げ研磨した上で最初にBを貼り付けクランプで圧着保持を2時間します。

次にCを貼り付けました。 このときBとなす角度が正確に直角になるようにします。

Cを圧着保持2時間後DBにぴったりと押し当てるようにして接着。 やはり2時間圧着保持します。

最後にAを接着。 圧着保持2時間後ボード全体が所定の寸法になるようカンナで周りを削り替え刃式ヤスリで研磨し、最後に表面を#240ペーパーを取り付けたハンドサンダーで研磨し組立作業は終了です。

反ってしまい前板を切り離した元のボードとの比較です。 上の板厚14mm12mmに変更になっているのと、今回の作り方とは違うので、底の面積は同じですがかなり違って見えます。

塗装前にポアステインの新色(チーク)で着色し油性ニス透明クリヤー3回塗り、艶消しクリヤー1回塗りで仕上げました。以前は数種類のステインを混色して作ったチーク色がいとも簡単に使えます。

肝心なお皿部分のクローズアップ。 きりっと引き締まったシャープな感じが出ていると思います。

左が反ってしまった旧ライティングボードで、右が作り直したものです。 色の問題やどちらの外観が良いかは好みの問題でしょうが、左の場合には電動トリマーを使うか彫刻等などで時間を掛けて加工するしか方法がありません。

今回提示した方法は木材を彫りこんで何かを作るのではなく、最終的には同じ物になるのですが板を加工してから貼り合わせて作る!の一例です。  一般的な考え方だと彫刻刀で彫ってゆくことになるでしょうが、作業時間は比較にならないくらい掛かるでしょうし直線部分を正しくシャープに仕上げるのは至難の業になります。  この例では電動トリマーを使って斜め切削加工をしましたが、ソーガイドを使っても同様な結果を得られますから、色々な応用方法を考えてみてください。

 
  
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