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LEDランプ 10
   
2014/03/14

構想

LEDランプの製作構想として新たなテーマを設定しています。 実は何度も構想として浮かび上がりながら沈ん でしまったテーマであるLEDランタンがそれです。 ランタンという言葉を辞書で引いてみると角灯、ちょうちんな どと出てきます。 右の写真は販売されているLEDランタンの例ですがここでは、 『持ち歩くよりはどちらかというと固定して使う事に特化した少々大型の灯火』と考えます。

製作目的は非常用で家の中のテーブルに置いて周りを照らすことにあります。 実は手持ちのLEDの中に半ば 死蔵品となっていた物が61個あるのに気が付きました。 NSPWR70BSという日亜化学の製品ですが2007年 に製作したLEDナイトライトの使い残しのようで既に7年近く経っています。 Flux LEDのさきがけのようなもので すが、半値角が105°もあるので何にでも向くというわけではなく使いそびれていたようです。

61本というとAC100V直接整流駆動用には少なすぎるので思考実験を繰り返し、36本使うアプリケーションを考えました。 それがLEDランタンというわけです。

電池駆動のLEDランタンで重要な仕様は、一体連続運転時間がどの位取れるのか?であります。 NSPWR70BSの実Vfは3.13V位でIfは30mAです。 従って36本のアプリケーションでは3.38Wの消費電力に
なります。 ここでDC-DCコンバータの変換効率を70%とすると4.83Wの消費電力です。 例えば5本の単三電池を直列にしてDC-DCコンバーターの入力とし、平均して電池電圧が1本辺り1.2Vであったとすると、5本では6Vになりますから、平均消費電流は4.83÷6 = 805mAの平均消費電流となります。 この時の連続運転可能時間はアルカリ乾電池で1.2時間位です。 またエネループでは電池の平均電圧を1.1Vとすると5本で5.5Vですから880mAの平均消費電力から2時間強の値が得られます。

NSPWR70BS8本の明るさの実測値は1mで22ルクスでした。 昔の灯りの中で和蝋燭は洋蝋燭より遥かに明るくある文献では10cmの距離で180ルクスもあったようです。 これを1mに換算すれば1.8ルクスになります。 別な文献によればローソクの明るさの目安は20cmの距離で10〜15ルクスとありました。 これは1m換算で0.4〜0.6ルクスとなります。 これらからすると22ルクスは暗いのですが非常用として考えると駆動電流を1/2に抑えた15mA(この時11ルクス)、更に1/4に抑えた7.5mA(この時は5.5ルクス)も実用になる値と言えます。

当然そうした時には1/2に抑えた時連続運転時間はアルカリ乾電池で約3時間、1/4に抑えた時は8時間と飛躍的に伸びます。 エネループでは更に伸びます。

以上は机上の計算に近しい部分があり実際には製作して実験しないと何とも言えませんが、大地震を始め災害時の対策には家内共々非常に関心を持っているので、製作に踏み切る事にしました。


大まかな回路構想

非常用が目的ですから駆動効率は最大限アップしておきたいです。 その為にこれまで何度と無く使って信頼性が高く使いやすかったコーセル電気製のDC-DCコンバーターを基準に考えました。 SUCW60515が目を付けているモデルですが、入力電圧が4.5〜9.0V、出力電圧は±15Vまたは30V(±5%の調整が可能)、最大出力電流は200mAとなっています。

右の図のようにLEDを1面に8本取り付けた物を4枚ロの字型に貼り合せた上で上面は4個のLEDとし た柱は合計で36本のLEDになります。 これを9本直列で1系統とすると4系統で36本になります。 Vfが3.13Vですから1系統のVf合計は28.17Vです。 過去に実験した駆動回路の中で、オペアンプと トランジスタを組み合わせた物はロス電圧が1V以下で済んでいるのを確認しました。 (詳しくはこちらを参照下さい。) 従って上記のDC-DCコンバーターはこの目的に十分耐えられそう です。 仮に駆動電圧不足であれば最大で31.5Vまでアップ出来ますので先ず問題はないでしょう。 駆動電流は最大で30mA 4系統ですからDC-DCコンバータとして120mAの出力電流となります。

DC-DCコンバータは200mAの時に最大効率が得られるようで60%の負荷率になる120mAの場合に は入力電圧が9Vの時(電池5本新品時)に75%、電池寿命が近い5Vで78%、電池寿命時(4.5V)に77%位となっています。

定電流駆動回路で仮に1.8Vの損失が発生するとしたら、定電流回路での駆動効率は94%です。
それに上記のDC-DCコンバータの効率を掛け合わせると、70〜73%の総合駆動効率になります。
この値は文句を付け難い高い数値の領域です。


LED駆動回路

 既に触れたように定電流駆動回路にはオペアンプとトランジスタを
 組み合わせた物とします。 左がそれで、オペアンプは2つの入
 力電圧を常に監視し、片方のリファレンス電圧ともう一方のLED
 駆動回路に挿入された1Ωの抵抗の両端電圧を較べ、変化があ
 ると即座にトランジスタに指示を出して1Ω両端電圧がリファレン
 ス電圧に一致するよう調整します。
リファレンス電圧は十分に精度と安定度があることが必要ですが、ここでは実装密度が低いメリットを取り、定電流ダイオードと抵抗の組み合わせでリファレンス電圧を作る方法を採用しています。

実は定電流ダイオードとして販売されていても定電流値が大きい場合には定電流とは言い難いような特性になるようです。 また温度特性が高い定電流値の場合−特性となり低いほうでは+特性となる傾向があります。 ここで選択しているE-501はメーカー発表のデータでは定電流ダイオード両端電圧が3.5〜45Vの間でほぼフラット(定電流)であり、温度特性は+0.15〜-0.25%と平均値がゼロに近しく好都合です。(以下のグラフを参照。)


これと組み合わせるリファレンス電圧を決定する抵抗は誤差1%の金属皮膜抵抗を使えば目的の定電流値のダイオードを選別する事により安定度の高い正確なリファレンス電圧が出来上がります。(調整不要です。)  オペアンプは1パッケージに同じ物が4個入っている廉価な単電源の汎用型として、定電流ダイオードを除き入手性に問題があるような特殊な物は使っていません。

回路図中DC-DCコンバーターの出力部分の使い方についてちょっと触れておきます。 このDCコンバーターは±15Vの仕様ですが、入・出力の間は絶縁されているので、GND設定の自由度が高くなっています。 そこで-V端子をGNDとして考え(0V)、COM端子(本来は中点端子)を+15V、+V端子を+30Vとして使います。 +30VはLEDの駆動電圧でLEDの平均Vfは3.125Vですので9本で28.125Vとなり超効率のこの定電流回路では+30Vの電源で十分に駆動できると考えています。

但し何らかの理由で電源電圧を上げたい場合には抵抗を2本追加する事で+5%以下ならアップできる(上限が31.5V)のでそれらの抵抗を点線で記載しています。 COM端子から取る+15Vはオペアンプの電源になります。 このオペアンプの電源電圧絶対最大定格は32V(±16V)で電圧アップを図るとギリギリの耐圧になることと、オペアンプの出力電圧は0.65V近辺と高い出力電圧を必要としないため15での駆動としています。

ところで現在検討中の回路の入力部分は電子スイッチを使っています。 これはMOS FETとトランジスタを使った少々贅沢な物です。 当初は電池のON/OFFのスイッチを通してDC-DCコンバーターへと簡単な回路で考えていましたが、このLEDランタンの電源としては単二アルカリ乾電池を主力と考えているものの、単三のエネループを単二ソケット用のアダプターを介して使う、或いは単二型ニッケル水素電池を使えることも仕様に入れておきたくなりました。

その場合には放電終了電圧は厳しく管理する必要がありますのでこの減電圧自動シャット
ダウン回路を追加しています。 この回路はエネループを使ったヘッドフォーンアンプ用に設
計した物ですが、少ない部品で好調に動作しています。

そしてこれにお馴染みのLED減電圧インジケーターを追加しています。

駆動回路基板は右のような物を考えており、これを直径100mmの台座の中収めることを考
えています。 ここで100mmというケースの直径は、それとなく物色しているランタンのカバ
ー部分の候補のひとつですが、使うことを決定後に外観などその構想をお知らせします。



2014/03/28

構想の続き

ランタンのホヤに相当する物を作ろうとするとこれは大変な事になります。 量産品であればプラスチックの型物として大きさ形共に自由度高く作れますが、1個しか作らない場合には型物なんてばかげた作る方は出来ません。 何か既製品を流用するのが一番賢い方法ですので、とにかくあちこちを物色して捜し求めました。

その結果最良とは言えないものの合理的な結論と言えそうな物を発
見しました。(右の写真参照)

それは何らかの液体を保管する容量1リットルのポリエチレンの瓶で
す。 都合の良い部分が幾つかあります。 その1は実際に点灯しな
いと確実ではないのですが、適度な半透明になっていそうだというこ
とです。 その2としては逆さにして蓋の部分をランタン台座に固定し
てやり、ホヤの部分を上から捻じ込む構造が取れます。
この場合防滴構造が簡単に実現します。 その3はポリエチレンです
のでぶつけても壊れませんし軽いです。 その4は瓶本体に目盛や
文字が全く入っていないことで、液体保管瓶には目盛を刻んであるの
が多いので結構探し回りました。

唯一都合の悪い部分は高さがありすぎることで、直径95mmは良いと
しても高さが167mmは高すぎます。 ホヤとなる部分が145mm近くあ
りますが、これが100mmくらいだと丁度良い感じです。 しかしそのよ
うなサイズにすると700mlのサイズの瓶となりますがそんなサイズの
物は見当たりません。

1リットルの下にあるのは500mlとなりホヤの高さは70mm程度しかありません。 計算してみた所直径95mmの瓶に現在考えているLED基板を入れると半値角の上下方向照射範囲は115mmになります。 ですので100mm位のホヤの高さがベストであり、500mlの高さ70mmはLEDの光の多くが有効に使われません。

ということでホヤ部分の高さ140mmはのっぽすぎますが光を無駄にするわけではないので、止む無しと結論付けました。 『最良とは言えない』という結論は以上のような点です。


ランタン全体の構造

 まだ細部の突っ込んだ検討をしてはおりませんが多分この構造で基本的に行けそうだ!と言える
 ものがまとまりました。 左の図がそれです。
 台座部分は5.5mm厚のシナ合板を直径98mmの円を合計20枚重ねて貼り合せますが、予め中をくり
 貫くことで電池ホルダーや駆動回路を組み込むスペースを確保します。 LED電気スタンドの台座と
 同じ構造です。

 この構造を考えたのは外側に出来る縞模様が結構美しい事と、内部の複雑なくり貫きが簡単に出
 来る点にあります。 簡単に各部の説明をしますと、ポリエチレン瓶の蓋は台座に埋め込まれてそ
 の下の5.5mm厚合板にネジ止めされ、蓋は外からは見えません。

 その蓋の中央にLEDを固定した基板で作った四角柱が取り付けられ、蓋が固定された板の下には
 駆動回路基板が逆さに取り付けられます。 その横には電源スイッチと光量切替スイッチが取り付
 けられます。 そして駆動回路に蓋をするように電池ホルダーとなる円筒形のブロック(ピンク色)
 ネジ止めされます。 その電池ホルダーには単二乾電池5本が装填される穴があいています。 
 板は電池ホルダーの円筒ブロックにネジ止めされますが、簡単な防滴のシーリングを施します。

 左の図をクリックした時一番下にある円形の図は、底蓋を外した時の構造を表しています。
 サイコロの5の目状に並んだ電池の中に小さなグレーの丸が4個見えますが、これは電池ホルダー
 円筒ブロックを本体上部に固定するネジの頭を現しています。 また小さな白丸で表したのは底板
 の固定ネジの頭です。 底板内側には電池間を接続するピンやバネが取り付けられますが、方向
 性がありますので、底板には丸棒を接着し、その棒を刺さり込ませることで位置決めをします。
 左の白丸の横にある少し大きな丸は、その棒の断面です。

 この構想図に描かれた駆動回路基板は前回紹介した基板よ
 り幅が2.5mm狭くなっています。 そこでレイアウトを再検討し
てそのサイズに収めました。 右の図がそれです。 回路的には殆ど変わりありませんが、
電源部の電子スイッチに使うFETを2SJ334から1ランク下げた2SJ377に変更しました。
その最大の理由は2SJ334は脚を折り曲げないと入らないのでスペースを食いますが、
2SJ377であれば立てた状態で問題ありません。 その時心配なのは耐性ですが、2SJ344
の最大ドレイン電流-30Aに対し2SJ377は-5Aとぐっと下がるものの、想定される電池電流
の最大値は-1.5Aくらいですので耐えられるであろうと考えています。
(スイッチング動作なのでドレイン損失はかなり小さくて発熱の問題はありません。)




2014/06/13

回路変更

前回のアップデートから2ヶ月ちょっと経っていますが、その後の検討でかなり回路とレイア
ウトをいじりました。 それらの具体的な内容は、

1.LED駆動電流をコントロールするREF電圧を定電流ダイオードで作っていたものを
  シャントレギュレータの出力を減圧してやる方法に変更した。

2.LED駆動電流を0〜30mA間で連続可変できるようにした。

3.LEDランタン全体の組み立て・解体がより容易に出来るよう、LEDブロック、電池、
  電源スイッチ、VR、合計4箇所への配線はコネクターを使うように変更。

4.基板の幅を前回より2.5mm縮めた。(第一次からは5mm縮まった。)


の4点です。

REF電圧を作るのに定電流ダイオードで作っていたのをシャントレギュレータに変更したの
はLED電流を連続可変したかった点にあります。 0.5mAの定電流ダイオードで0〜30mVの
電圧をひねり出すためには60ΩのB型のVRが必要ですがそんな物は入手困難です。
もっと小さな定電流値に変更すればVRの抵抗値が増えてくるので可能ですが、より小さな
定電流値の場合定電流ダイオードの温度係数がプラス側に増加してゆくので駄目です。

そこで1.25Vの低電圧を発生するシャントレギュレータに固定抵抗とVRを繋ぎVRの両端に
30mVが出るよう固定抵抗を調整すれば、VRのスライダーには0〜30mVが出てくる!とい
う仕掛けでREF電圧を作ります。 これまでの方法よりもこのやりかたの方が大変素直で
あるとも言えます。

以前はロータリースイッチによる3段切り替えとしていましたが、連続動作時間と明るさは反比例に近い関係があります。 災害時などでは長時間運転を重要視し、光量をぎりぎりまで下げたい場合があります。 そんな点での実用性を考えると、連続可変光量にして動作時間が目盛ってあるほうが便利です。 そこで3段階切り替えではなく0〜30mAの連続可変とすることにしました。

コネクターを使えば接続・切り離しは簡単に出来ますが、その為に基板が大きくなっては駄目です。 従ってコネクター設置スペースの確保にはかなり頭を使います。 私の能力の問題もありますが、折に触れて何度も見直した後に少しずつ配線の仕方、部品の固定方向などの変更をしながら、幅を2.5mm詰めるのと一緒に実現しました。

このテーマの基板レイアウトは初期のものから今回の変更は2回目となりますが、右上の図はそれらの変化を表しています。 電子回路におけるこういった変更は完成度を上げるためには仕方のないことだと考えています。

これまで構想から急いで製作に入った電子回路工作の殆どは、完成後に『あそこはこうしたほうが良かった!』 『ここもこうすればもっと良いのだが!』というようなことが多発しやすくなかなか満足感を得られません。 それを少しでも避けるため構想段階で時間を掛けて様々な角度から見てより良い物を作るしかないと考えております。 それは正に私の能力の無さが原因なのですが、ひとそれぞれのやり方があるということでご辛抱いただきたく思います。



2014/12/26

機構関係の見直し

半年ぶりですがポータブルLEDライトP6が完成し一段落したので、構造関係を更に詰めることにします。

機構関係の中で使う材料、構造、容易な製作などの検討項目で頭を痛めていたのは電池ホルダー部でした。 電源としてアルカリ単二型乾電池を5本直列に繋ぎ、4.5V〜7.5Vの電圧を得ることに固定していましたが、5本の電池を保持する部分の構造はサイコロの5の目のように電池を並べることを考えていました。

単二電池の外寸は直径が24.9φ〜26.2φ、高さは48.6mm〜50.0mmと規定されています。 従って電池保持部分は5.5mm厚合板を10枚積層にして55mmの高さにするとプラス側電極の厚み1mmとマイナス側の縮んだスプリング電極の厚み4mmとなり丁度良い高さになります。 これに26φのフォスナービットで貫通穴をあければ良いだろう? などと考えました。 右の図はそれを表した図面ですが、ベージュの部分は本体外壁で直径100mm、壁厚5mmあります。 クリーム色の部分が電池保持部分で全体が本体に挿入・固定されます。 そして電池穴と外側の間には最少2mm、電池穴と電池穴の間には4mmほどの隙間があります。

直径26.0mmは規格最大値の電池を使うときにはきつくて入らないかもしれませんが、0.2mm程穴の内面を削れば良いので問題は容易に解決できます。  但し50mmもの長い切削を手加工でブレることなく垂直にあけるのは非常に困難であり、ちょっと油断すれば電池穴と電池穴が繋がってしまう可能性が高いです。 それを防ぐにはボール盤が必要ですが、無論ボール盤なんて持っておりません。

従って別な方法を考えることにしました。 そして最も容易に工作できる方法として単二電池がすっぽり入る筒を利用する方法を検討することにしました。 外径が30mmで肉厚が2mmのプラスチックの筒があれば、内径は26φとなり大変都合が良いです。 そこでインターネットを使いあちこち探しまくりましたが、見つかりませんでした。 次に材質を紙に変更して探したところこちらは存在しました。 外径30mm、内径26mm、長さ1mの物が\110.-と格安ですが送料が100サイズを超えるのでかなり高く総支払いは\1,000近くになります。

他に代案はありませんので紙筒を購入して問題なく使えるかどうかの実験をします。 紙筒の長さは1mですから50mmの長さで切り落とすと20個ですから4台分になりますので、実験で捨てる部分があっても足らないということはないでしょう。

実験の目的としては、

   1.薄めた油性ニスをたっぷり沁み込ましてどの程度の強度アップが可能かの確認。
   2.筒の内側にニスを塗ることによる内径の減少が大きいと電池が入らない問題が出るのでその確認。
   3.2.で問題が出る場合は内側を研摩し、薄くなった分は外側の塗膜アップでカバーする。


を考えています。 1.の油性ニスを塗ってというのは水性ニスには置き換えられないと考えています。 その理由は水性ニスは乾燥が速いため、紙筒に十分沁みこまないうちに固まってしまう可能性が高いからです。 油性ニスを薄めるのも十分に中まで沁み込んで欲しいという点にあります。

ところでこの紙筒を使う方法では従来のサイコロの五の目状に並べるのは駄目なことが判りました。

左の図の第二案がそれを表しています。 筒を挿し込む抜き穴径は26mmから30mmに増加し、第一案で出来た穴と穴の間の2mm〜4mmの隙間が全くなくなります。 つまり穴と穴が繋がってしまう可能性があり、その場合は筒同士がこすれあい筒が若干潰れることにより電池が入らなくなる事態も考えられます。

ランタンの台部分の直径を増やせばよいのですが、現在の100mmは上のホヤの部分よりすでに5mm太くなっておりこれ以上太くはしたくありません。

そこで5本の筒を梅の花びらのように並べたらどうなるかを考えたのが第三案です。

図には計算結果の数値(台の中心と円筒の中心の距離と出来る隙間)を入れてありますが、三角関数を使って簡単に求められます。

全くの偶然ですが2.4mmずつの隙間が出来るというのは実にありがたい結論で、これならば厚さ5.5mmの合板から90mmの円を2枚切り抜き、それぞれに30φの円を5個図の通りに切り抜いた後に、55mmで切断した円筒の上下に挿し込めば出来上がります。 この場合重量も大幅に下がるメリットがあります。

隙間の量が上の場合と若干異なりますが、この考え方で構造図を描いてみました。 ピンク色が5.5mm厚の上下2枚の板部分で紫色が紙筒です。 これらはクリーム色の丸4個で表現されたネジで上部の駆動回路ブロックに締結されます。 逆さの5角形に並んだ5個の灰色の丸は底蓋を固定するネジ穴です。

若干斜めに傾いたオレンジ色の部分は一番左側の電池のマイナス電極から上部に電気を導く細い銅板です。  この図ではまだ描き込んでいませんが、底板は取り付ける方向を間違えると電池をさせるようなこともあり得るので、現在スマートで確実な方法を考えています。

こんなところが現状で、まだ構想は完成しておりませんが確実に完成度が高まってきていると思いますので、年明け早々製作を開始すべく、残る課題を検討中です。




2015/10/02

機構関係の構想まとめ

ヘッドフォーンアンプの製作が入り込んだため10ヶ月近く中断しましたが、再びこちらに集中します。

機構関係を途中まで検討していましたが、電池ホルダーブロックの固定ネジ位置、LED駆動回路基板サイズ、電池ホルダーの最終的な構造を決定し、機構関係の構想固めはもう一歩というところまで来ました。

電池ホルダーブロックの固定ネジ位置は、さいころ型の電池配列から梅の配列に変更した途端に大変クリチカルになってしまい、今までの構想では恐らく物にならないと思われるので全面的に見直しを致しました。

電池ホルダーの基本構造は前回述べた第三案としますが、その場合電池ホルダーをその上にある駆動回路基板、電源スイッチ、光量調整などが存在するブロックに固定するネジに大きな問題がありました。

このネジ位置は電気回路ブロックの端に接近するため、当初は3φのタッピングネジを考えて僅かなスペースで対応できるように考えていました。 但しタッピングネジを使うとネジを締める/緩めるを繰り返すと甘くなって最後はネジとして役に立たなくなります。 そこで雌ネジをM3金属ネジとしたかったのですが平板に雌ネジを切るしかなく、その場合電池ホルダーの±電極と干渉してショートしやすくなり使えません。 そこでM4の鬼目ナットに変更しました。(左図の上の基板の左右にある青っぽいグレーの小丸がそれです。)

この鬼目ナットとブロックの端の距離は2mm位しかありませんが、もともとは0.75mm程度しかなく後述する基板幅を2.5mm詰めることでなんとか2mmをひねくりだしています。

それならネジ間隔を左右に広げればいいのでは?と思われるかもしれませんが左下の図をご覧になると判るとおり、電池を収める円筒の内面に干渉してしまいます。 それどころか、ここで描いてあるネジの頭は直径が5.5mmしかないサッシネジという頭の小さなM4のネジで円筒に当るか当らないか?となっており、通常の皿ネジは直径が8mm近くありますから間違いなく円筒内面に干渉します。 言うまでもないことですが、だからと言ってネジを内側にずらすと、上で述べたように鬼目ナットが端に寄って安定した固定が出来なくなります。

ということで工作精度や採寸が少々ずれただけで問題が起きやすいのですが、既に述べた理由でこの梅の花レイアウトからさいころの目への変更はできませんので、ゆとりが全くないソリューションですが、M4鬼目ナットとサッシネジの採用を次善の策として使うことに決めています。

上で回路基板幅を2.5mm詰めたと申し上げましたが、その詳細は右の図です。 この図で言えば高さになりますが、以前ご紹介したレイアウトよりも2.54mm低くなっています。

単に寸法を縮めただけではなく、LEDへの出力コネクター(左端の5PIN)の背面が若干あいてコネクターを外しやすくなった。 3つの半固定抵抗を全てポテンショメータに変えて微細な調整が出来るようにした。 近距離に接続点がある出力(輝度調整と電源スイッチ)はコネクターを介せずワイヤー直付けとした。 最大30mAの駆動電流調整を容易にするT.P.(チェックポイント)を追加した。 などは改善点になります。 但し妙なジャンパー線が増えてしまいましたが、やむを得ないところでしょう。

さてこれで最上部のLEDアセンブリーを固定し、ホヤ(カバー)を取り付けるブロック、LED駆動回路基板、電源スイッチ、輝度調整を含む電気回路ブロック、電池ブロックの3ブロックを連結(取り外し可能)させてやるわけですが、現在のところ重量増を抑えるため、電気回路ブロックの下に厚み5mmの円筒形(5.5mm合板を13枚ドーナッツ状に切断して貼り合わせ。)が電池ブロックを覆うような構造で考えていますが、強度の心配もあるのでまだ悩んでいる部分です。

この外装部分は高さ123mmありますが、5.5mm合板22枚の積層とし、5.5mm間隔で幅1mmの白っぽい線(シナの層)が入り、その他のラワンの茶色っぽい部分に対して適度なアクセントになり、これは軽く着色するのであれば消えませんから効果的に使いたいと拘っています。

外装の強化法には2つが考えられます。 そのひとつは電池ホルダーの5本の円筒を直径100mm、厚さ5.5mmの円盤13枚を重ねてそれに差し込めるよう穴をあける方法ですが、これですと木の塊に近づくので重量が大幅に増加して面白くありません。

もうひとつは5.5mm厚のドーナッツを5mm幅ではなく5〜8mm幅に増加する手があります。 最大の8mmにすると電池ホルダーのパイプは外装のドーナッツリングに接触し工作精度がシビアーになりますし、重量もかなり増加します。 中間のどこかで折り合いをつける手もありますので、重量増加を抑える兼ね合いも含め、ちょっと頭をひねってみる必要がありそうです。




2015/10/09

機構関係の最終構想

その後あーたら、こーたらを続けましたが、どうも梅の花形の電池配置はそのメリットよりもデメリットの方が多いような気がしてきました。  そこでサイコロの目型に戻してしまうことで最終としました。 この場合紙の筒は使えなくなりますので、5.5mm合板から直径100mmで切り出した複数の板に26φのフォスナービットでサイコロの目型の穴をあけて貼り合せます。 思考実験の結果によると、この方法を取った場合加工精度が最も厳しくなるのは11枚の5.5.mm合板にあける26φの穴の位置精度です。 フォスナービットであけますから直径の誤差は僅かですが位置が狂うと電池挿入内面に段差の凸凹が出来てしまいます。 ボール盤でもあれば板を11枚貼り合せてから一気にあけられますが、自作の電動ドリルアタッチメントでは荷が重過ぎます。 従って1枚ずつ慎重に位置を確認しながら11枚に開けてから貼り合せて、内部に出来る段差は丸棒ヤスリで削って無くす(或いは少なくする)方法で行くしかないでしょう。

以前にも触れたようにこの方法で作ると強度の心配は無くなりますが、重量はかなり増加します。 手にぶら下げて使う物ではないので、この点は目をつぶります。

但しハンドルを埋め込むことを考えました。 長さ86mm、高さ30mmのステインレス丸パイプ6φをコの字型に折り曲げた物を通常はスプリングの力で電池ホルダーの外側に収納し、それを引っ張り出して取っ手として使うか上からぶら下げる時に引っ掛けるのに使えます。 これに使うスプリングは圧縮型で通常は32mmの長さで最も縮めた時に8mmの長さに縮まります。 太さは7φですのでハンドルに通せます。 図の最も下の左側に取っ手の納まりの図がありますが、濃い青の四角がスプリングの断面を表しており、収めた状態ではスプリングを2mm縮めた状態に、引っ張り出した状態ではスプリングが8.5mmまで圧縮された状態になります。

この部分に磁石を使ったストッパーを追加出来ると極めて巧妙なカラクリになるのですが、薄いパイプ状の強力な磁石(多分ネオジウム磁石)が必要ですがまだ見付かりません。

この1週間図面とにらめっこしていてもうひとつの発見があります。 それは駆動回路基板の縮小です。 たった1本の抵抗をDC-DCコンバーターの裏に半田付けすることでポテンショメーターを横配置に変更でき、基板幅を更に2.54mm詰めることができました。 右が駆動回路基板の縮小後のレイアウトで、右上のポテンショメータが縦置きから横置きに変更されており、裏付けした抵抗は点線で表しています。

また左端に見えるLEDへの出力を取り出す5Pのコネクターは、もともと使うつもりでいた物は高さが15mmもある上に、ワイヤーを上から出すので所定のスペースは高さ不足で入らないことが判り、ワイヤーを横から差し込んでネジ止めするタイプに交換しましたが、こちらはピン間隔が5.08mmのため横幅が25.5mmにもなり、基板の固定ネジに干渉します。

そこで再度にらめっこの上で全体を強引に2.5mmずらすことで干渉を回避しました。 同様に電池からの入力の2Pコネクターも干渉するので何とかせねばなりませんが、こちらは横挿し型のコネクターに替えて解決出来る事が判り、このために更に基板のレイアウトを変更しました。




2015/10/16

製作開始

電池ホルダー近辺の構造はまだ続けていますが時間がもったいないので、電池ホルダー周りには影響しない部分としてLEDランプアセンブリーの製作を開始いたしました。 LEDランプアセンブリーは幅21.2mm、長さ110mmの4枚のプリント基板を貼り合せた直方体です。 いきなり21.2mmという変な数字が出てきましたが、これは 15mm x √2から来ています。 そうなった理由には2つあります。

 1.Flux型LEDを横に2個並べて4面を正方形に貼り合せる構造だと、
   20.3〜22.86mm必要。

   右の図をご覧になると判りやすいと思いますが、Flux LEDのピン間隔
   は5.04mmの正方形で大きさは 7.5 x 7.5mmです。 従って2本で物理
   的に基板の幅方向の15mmを占めます。 また最長のLEDのピン間隔
   は5マスで12.7mmですが、隣の面(面どおしは90度の角度になる。)
   のLEDのPINが電気的に干渉しないようにすると、面の幅は8〜9マス
   (長さで20.3〜22.86mm)必要になります。

 2.基板の端を45度に仕上げると21.2mmが重要な値になる。
   4枚の基板を貼りあわせて直方体とする時、貼りあわされる角を45度
   に仕上げて突き合わせると接着面積が1.4倍になり接着強度が上がり
   ます。 私が考えた45度に基板の端を研摩をする方法ではポピュラー
   な15mm厚合板を使うのが合理的です。

   と言うのは15mm厚の板を45度に切断すると切断長は21.2mmになり 15mm x √2ですが、これが1.で触れた範囲に丁度
   入ってくれるからです。

   私が考えた角を45度にする方法の詳細は次の図をご覧ください。

この図は設計図ではなくて構造のみを表しています。 従って重要な寸法のみ記載しており、他の寸法の自由度は高いです。

一番下の板は台座でその上に45度に切断された15mm厚の板が接着されれています。 45度の切断面は基板をきつめに挿し込める間隔になっています。 15mm厚の板両端には4mm厚のシナ合板が貼られその上に0.5mm厚のプラスチックの板が貼ってあります。 一番上の凸を逆さにしたようなものが可動部分で、凸の先端は4mm厚シナ合板でその上に布下地サンドペーパーを貼り付けます。

この状態で稼動部分を動かすと、15mmの板の斜めスリットに挿入された基板の飛び出た三角部分(2等辺三角形)だけ削ることが出来ます。(その下方へ削って行くことは出来ません。)

   という仕組みですが、基板の切り出し、ジグの製作、そして45度研磨の様子は以下の写真をご覧ください。

切り出したLEDブロックを構成する基板。 長方形の4枚と正方形1枚ですが、正方形は21.1 x 21.1mm、長方形は幅21.1mm、高さ110mmとなるようノギスを頻繁に使って切断後の研磨で仕上げています。 長方形の右2枚は内面(半田面)を見せています。

45度研磨ジグ作成開始で、ソーガイドを使って高精度の45度切断をしているところです。 バクマクランプを4本も使う贅沢な材料固定でぐらつき、ずれ、による精度の狂いを抑えています。

ジグが出来上がったところですが、上の構造図と比較してください。 斜めスリットの両側の白い板の上には、0.5mm厚のプラスチック板が貼ってあります。 また右にあるのはひっくり返した可動部分で、細長い白い板の上に布下地サンドペーパーを貼り付けます。

可動部分を所定の位置に置いて輪ゴムで全体を挟み断面を見ています。 前掲の構造図と比較すると良いでしょう。 黄色でコメントしているように0.5mmの隙間が出来ますが、実際にはここを#120の布地サンドペーパーが貼られるので、次の写真に見られる突起だけが削り落とされます。

挿し込んだ基板の飛び出た部分のクローズアップですが、この飛び出た部分を削り取れば基板の長辺は45度の角度を為します。(幅は21.1mmのままで変りません)

ジグのスリットに基板を差込み、可動部の裏に#120の布下地サンドペーパーを貼り研磨開始です。 左の写真は削られた基板の両側に研磨滓が白っぽく溜まっていますが、これは未だ研磨が不十分であることを表しています。 右は更に研磨が進んだ状態で、研磨滓の溜まりがありません。 これは15mm厚の板に対し基板の飛び出しが無くなった状態であることを表し、ここで研磨は終了です。

45度研磨が終わった状態です。 4枚の基板の幅は正しく21.1mm(±0.05mm)になっています。

LEDを挿し込んでピンとピン(赤矢印の先)の距離を確認しました。 約2.5mmありますので、電気的な接触(ショート)は生じないでしょう。)

正しい直角が確認済みの角棒に基板を当ててエポキシ接着剤で接着しクランプで圧着保持し24時間放置します。 保持の仕方が大袈裟なようですが、接着強度と密着度を高めるには不可欠なやり方です。

接着が終わった部材。 この後塗装してからLEDの配線に進みます。

2枚のL字型基板を突き合せました。 非常に正確に加工されているのが判ります。




2015/10/23

製作 2

接着が終わった基板の表面側は白っぽいスプレー塗料で塗装してしまいます。 この時に裏面(半田面)への回り込みがありますから、塗料が完全感想後にラッカーシンナーで付着した塗料を拭い去ります。

基板の配線は次の図を参照ください。 (基板はLED取り付け面から見た様子を表しています。)

5枚の基板が星のように並べられていますが、両矢印で示された部分は既に接着されています。 4枚の長方形基板は全く同じレイアウトですが、電源より供給される部分は共通なので、その1箇所からワイヤーを引き出しています。(赤いワイヤー)

基本的な配線レイアウトは、電源+から長方形基板のLED4個を通って正方形の基板に付いた1個を通り長方形基板に戻り隣の4個を通ってトランジスターのコレクターに出力する9本直列になります。 このブロックが組み上がると内部の配線は変更できなくなりますので、配線終了後に通電・点灯テストを充分にした上で最終的な組立をしないとなりません。

これは内部チェックも出来ないことを意味しますので、4系統のLED配線の始めと終わりにはチェックピンを付けました。 と言っても大袈裟なものではなく、配線に使った錫メッキ線をU字状に表面に飛び出させただけのものです。

このテストピンのお陰で試験点灯は簡単に済みました。


LEDランプブロックの組立の様子は以下の写真をご覧ください。

それぞれの基板の外側に位置するピンを半田付けします。 これらのピンは配線には使いませんが、LEDが浮き上がらずに所定の位置に固定されるよう先に半田付けします。

基板の中央よりのLEDピンを使って直列配線を施します。 下のほうに見える赤い線は電源+側を4枚の基板に振り分ける配線です。

もう一枚のL字基板も同様に配線し4枚の長方形基板を電源+配線で接続し(赤いワイヤー)正方形の基板を接続します。(青と紫の8本のワイヤー) これで配線は終了ですが、誤配線がないかの確認は充分以上にやっておかないとなりません。

2枚のL字基板をエポキシ接着剤で貼り合わせます。 正確に加工組立されてきたので、輪ゴムでの圧着保持で接着位置と圧着が充分正確に出来ます。 赤矢印先のU字型突起がテストピンで、ここに見える2面のピンはLEDマイナス側で、見えない側にLEDマイナス側2箇所とLEDプラス側(4系統共通の電源+側)1箇所があります。

24時間後に輪ゴムを外して圧着保持を解き、上面の正方形の基板をエポキシ接着剤で接着します。 この時は上の基板に付く8本のワイヤーが折り曲がってかなりの抵抗になりますので、大袈裟なようですがハタ金4本でこのように基板を圧縮保持します。 これまた24時間放置いたします。

出来上がったLEDランプブロックです。 予測される厄介な加工のひとつが終了となりますが、このブロックの上下方向の調整を最終的な姿でもって確認してから次(駆動回路基板の製作)に進みます。

出来上がったLEDブロックは21.5mm角の筒状でそのままでは固定しようがありません。 そこで3mm厚と5mm厚のアガチス板でホルダーを作り、これをプラスチック便の蓋の裏側に当ててLEDランタン本体の電気回路ブロック上に固定します。

この構造にしたのはLEDの上下方向の位置が構想図に描かれたとおりで本当に良いのかどうか判らない為にあります。 というのは、LEDの照射角(半値角)は110度ですから横方向と上方の光は照射角が20度重なり合います。 半値角のポイントでは中心軸より光量が半分になりますが、それが重なるということは光量は中心軸よりも多くなるわけで光具合の斑が出るかもしれません。

水平方向でも同じことでやはり照射角の重なりが20度出ます。 但し水平のほうは問題があっても調整のしようもないのですが?! もうひとつはホヤの裾の方の光り方がどうなるか?です。 理屈の上では半値角近辺なので光量が半分になり暗くなるのですが、これが視覚的に許容範囲かどうかも確認し上方との光量のバランスの中でLEDの上下方向の位置を決定しなければなりません。

といったテストは次回に実行しますが、出来上がったLEDブロックホルダーとプラスチック壜への取り付けの様子は以下の写真をご覧ください。

小さな物ですが上の四角い筒と丸い台輪はエポキシ接着剤を使って強固に接着しています。 接着剤硬化後LED固定基板と同じ塗料で仕上げています。

ホルダーをひっくり返した蓋と共に板の上に固定しました。 これは仮固定であり、最終的には電気回路ブロックの上に固定されます。 そしてLEDブロックを挿入しました。

いきなり点灯させてみました。 合計の消費電流は100mAですから設計値の120mAに対して83%の値になります。 この後色々な試験をしないとなりませんが、部屋が暗黒の状態でないと具合が悪いのでその様子は次回にお知らせいたします。



2015/10/30

製作 3

取り敢えず期待通りに点灯することは確認できましたので、駆動回路基板の製作に入りました。 実は正式な駆動回路ではなく仮の回路にて点灯実験をしてみようかな?と考えていたのですが、同じ実験をもう一度繰り返すことになるので駆動回路を完成させることにしました。 その駆動回路ですがその後細かな変更が生じておりますので、ファイナルの回路図をお見せします。(左の図)

構想段階で紹介したものとの違いはDC-DCコンバータとICの間に入る電流制御回路の部分で、構想では定電流ダイオードを使って、30mA、15mA、7.5mAの3段切り替えでしたが、定電流ダイオードの安定性に若干心配があるので、1.25Vのシャントレギュレータで30mVのリファレンス電圧を作り、それを可変抵抗で減圧することで電流値を替えることにしました。

この時500Ωの可変抵抗のグラウンド接続端子の所に47Ωを挿入し、駆動電流を絞りきらない=完全な真っ暗にはならないようにしました。 これは完全に消灯させると電源スイッチの切り忘れが考えられるためです。 その時LEDに流れる電流は2mAですが、実測した明るさは1ルクス(正に蝋燭1本分)ですので、夜間寝ている間に点灯しっぱなしするのにもってこいです。

さて基板のレイアウトも何箇所か変更しました。 そして最終版はこちら(左の図)です。 こちらは基板幅を詰めるためにもう6回くらい検討したでしょうか? そしてその間に失われた調整のし易さ、接続のし易さなども改善すべく検討した結果です。

その為に基板裏に半田付けすることになった抵抗が4本に増え、リファレンス電圧調整がし易いようチェックポイントを追加、電気回路ブロックから離れた場所へ配線される電地への配線、LEDへの配線はコネクターを使う(LED、可変抵抗、電源スイッチは電気回路ブロック内に存在するので、直接半田付けと明確に分けました。

配線作業は特に問題もなく進みましたが、裏に半田付けする4本の抵抗は裸線をジャンプしますので、絶縁に念を入れるため熱収縮チューブを被せていますが、手持ちには透明のものがなくて黒を使ったため、何やら不気味な風情になっています。

配線が終了した基板は数回誤配線がないか確認後LEDの替わりに1KΩ 2Wの抵抗を4系統に繋いでダミーとして通電しています。(LEDを壊すような不測の事態が起きないと言えないため。)  完成した基板の様子は以下の写真をご覧ください。

上のプリント基板レイアウトの寸法どおりに切り出した基板です。 DCのみでの動作になり回路電圧も30V以下と低いですから、格安で細工もし易いベーク板タイプを使っています。

レイアウト図どおりに部品を取り付け配線を施して完成しました。 上に伸びるワイヤーは可変抵抗へ、右上のワイヤーは2色LEDへ、右下は電源スイッチに繋がるワイヤーです。

動作確認時には必ずLEDの代わりのダミー抵抗を繋ぎます。(ダミー抵抗がないとトランジスターを壊す可能性?) 左下の抵抗がダミー抵抗で、酸化金属被膜抵抗 1KΩ 2Wを各系列に繋ぎます。 黒いワイヤーは4本共通のLED+側で+30Vに繋がります。

電源ONとして各部の電圧に問題がなければ、リファレンス電圧が30mVになるよう10KΩポテンショを調整、電地電圧が5Vに下がったら電源OFFとなるよう5KΩポテンショを調整、電地電圧が5.2Vに下がったらLEDの赤と青が均等に点灯するよう100KΩを調整します。

ダミー抵抗を外してLEDからの5本のワイヤーを接続して最終的な接続で実験継続。 先ず1Ωの抵抗両端電圧を測り、可変抵抗を右へ回し切った時に30mV、左に回し切った時に2mVとなっているのを確認します。 電源には電圧可変定電圧電源を使っていますが、電圧を4.5V〜7.5Vの間で替えて明るさに変化のないことを確認します。 また可変抵抗を回してLEDの明るさが変化するのを確認します。

その後に簡単な明るさの測定と電源電圧の変化による消費電流、消費電力の変化を測定しました。 次の表をご覧ください。


測定位置 最高光度 (VR Max) 最低光度 (VR Min)
水平LED光軸上1m 24ルクス 302ルーメン 1ルクス 13ル−メン
水平LED光軸から45度1m 24ルクス 302ルーメン 1ルクス 13ル−メン
真上1m 6.5ルクス 82ルーメン 1ルクス 13ルーメン

電源電圧 最高光度時 最低光度時
消費電流 消費電力 消費電流 消費電力
7.5V 560mA 4.20W 110mA 0.83W
7.0V 600mA 4.20W 115mA 0.81W
6.5V 660mA 4.29W 120mA 0.78W
6.0V 720mA 4.32W 125mA 0.75W
5.5V 810mA 4.46W 135mA 0.74W
5.0V 940mA 4.7W 140mA 0.70W

市販されているLEDランタンの光度表示はあいまいで判りにくい値になっていますので、試作した物との比較は容易ではありません。 となると連続運転時間の比較も容易に出来かねますが、最大光度時のLEDのみの消費電力は3.38W [3.13V(平均Vf) x 0.03A(駆動電流) x 36本(駆動本数)による]ですから、総合的な駆動効率は、電地電圧7.5V時に80.4%、電地電圧が5.0Vに低下したDC-DCコンバーターにとって極めて厳しい状態でも71.9%となっています。 DC-DCコンバーターの変換効率は負荷率60%で入力電圧の変化で79.8%〜77.5%となっています。(一例として)。 これに定電流回路のロスが加わった結果が上記ですが、そのロスは大変小さいことを意味しており、してやったり!という思いでいます。

従って予測される最大光度時の連続運転時間は単三アルカリで約3.5時間、単三ニッケル水素で4時間程度と余り長くありませんが、変換効率が悪いのが原因ではなく、光度を下げてやれば劇的に運転時間は伸びてくると思われますので、明るさとの兼ね合いで実用性を考えれば良いと思われます。

なんとなく良いこと尽くめのようですが、実はひとつ問題があります。 これは最も予測がしにくく、また問題となっても解決策が無い問題でもあります。  それとはホヤの部分の光具合です。

冒頭のほうで触れたように台所で使われると思う保存用のプラスチック壜がホヤとして使う材料です。 結構時間を掛けて探した物ですが、直径約95mmは適当と思われるものの高さがホヤとして使う部分でも145cmあります。 これが95〜100mmであるとベストだったのです。

もうひとつの問題は透明度で、透明度が高いと光の拡散があまりありませんから、壜全体が光るのではなく、場所によって明るさが異なる斑を生じやすくなります。 但し透明度が下がりすぎると光の透過率が下がってきますから、照射効率が下がってしまいます。 そんなことを考えながら作られている壜ではありませんから何らかの光斑が出ると思われます。 そしてそういった問題があってもその改善策は考えられないので、それが許容できる範疇であることを祈るしかありません。

次の写真でそれら問題点をお見せしますが、

上の表で見られる明るさを考えたら透明度不足で明るさ不足よりはましとして妥協するしかないか?! と結論付けました。

実際に見た感じは先週最後にお見せしている写真に近いですが、光斑をはっきりと撮影するため自動露出(左側の写真)とそこから露出を約1/5に絞った写真をお見せしています。 ホヤの部分が直径と同じになれば、ホヤの上と下に見られる暗い部分が無くなります。 これは予測どおり。

またLED取り付け面と面の境が縦に2箇所暗くなっています。 それとLEDその物がうっすらと見えており余り格好良いものではありません。 右の写真ではそれがはっきり判ります。 肉眼での見え方は先週最後の写真どおりで、このオレンジ色っぽい粒々はなあに?と言う感じです。

上の写真はLED取り付け面に直角方向ですが、それを水平方向に45度回転した状態がこの写真です。 露出計での簡易明るさ測定では明るさは同じになっていますが、それはこの写真と上の写真で光っている面積がほぼ同じだと考えてよいと思われます。 傑作なのはLED本体の見え具合で、こちらの場合16本が見えてしまいます。 それにしても不思議なのはLED自身がオレンジ色っぽくなってしまうのは何故なのでしょうか?

天頂部分の光りかたですが、透過率がかなり下がっているようで、LED自身の影が全く見えません。 またプラスチック成形の厚み斑があるのがはっきり判ります。 この面の明るさに寄与するLEDは8本しかありませんから、透過率の低下と共に明るさは大幅低下するのは判りますが、だからといって横の面で同じような事態になることは容認できません。

そんな点から妥協ではありますが現状のままで良しとしました。



2015/11/06

製作 4 電地ブロックの最終構想

えっ まだ最終じゃなかったの? と訝られそうですが、そうなんです! やっと最終に漕ぎ着けました。 少々高さが増加してしまいましたが、妙に凝った構造ではなくシンプルで実用性が高い物に収束できたと考えています。

左がその最終的な構造の断面図ですが、底部に仕組んだコの字型の沈んだり引き出せたりする取っ手を、指1本だけが入る固定の物に変更しました。 この変更には次のような見直しがあったことによります。

この取っ手の目的

  1.取っ手を底に設けることで、歩きながら足元を照らせることが容易になる。
  2.取っ手に紐を縛りつけ天井からぶら下げて使うことが出来る。


1.の目的は必然性は余り高くないと思われますし、そんな使い方をする機会はかなり低いと思われます。 それよりも2.の天井からぶら下げるというのは、ランタンの存在でテーブルの上が狭くなることなく、天地を逆さにした方が照射範囲の上から合理的ですので、取っ手ではなくフックのような物でも付けておきたい所です。 そしてそのフックは強固であることが必要です。

こんな点から以前mini-Shopで販売していたのですが、引っかき傷があり販売できず別保管していたU型ツマミを候補として検討しました。(右の写真を参照ください。)  材質はアルミで高さが22.5mm、外幅36.5mm、内幅24.5mm、厚み10mmで、指1本しか入りませんが大変しっかりした物です。 角張った所が一切ありませんから指を引っ掛けてぶら下げても痛くはありません。 但しランタンの想定重量は1.2kg〜1.5kgくらいになりますので長時間ぶらさげるのは辛くなりそうです。

しかし1.の目的は長時間使用なんてことを期待しておりませんから、この点は無視します。 残る問題はツマミの高さ22.5mmです。 断面図に描き込んでみると随分出っ張ることが判ります。 そこで高さがもっと低い取っ手が無いか?と色々ネットで検索してみましたが見付かりません。 でも良く考えてみたら当たり前です。 というのは指が通る内寸は、幅は24.5mmありますが奥行き方向は最大で17.5mmしかありません。 これより詰めたら指が挟まり気味になり使い勝手が悪くなります。 ツマミの固定はM4のネジ2本ですからぶら下げ荷重に充分堪えられると思われます。

ということでランタンの高さが10数ミリ高くなってしまいますが、これを元に最終構造図面を描き上げました。

尚この変更のついでに電源スイッチ、輝度コントロールのVRなどの固定法もよりシンプルな方法(1mm厚アルミの平板に固定しアルミ板はネジ止め)に変更してあります。

またこの図では放熱用の穴を追加してあります。 実はテスト点灯でDC-DCコンバーターから熱が出ることを確認しています。 計算上は最大で1W程度になり自由空間でしたら不問ですが、閉空間ですとDC-DCコンバーターの指定環境温度を越えてしまう可能性があります。 そこで最終段階で実験を加え環境温度が許される範囲を超えそうだとなったら使う放熱口を追加しました。

右側の縦に並んだ三つの丸い図の真ん中の図には小さな丸が横の中心線の上に2つ載っています。 中心の少し上にも同じ大きさの丸が描いてありますが、これは元々底へのケーブルパスです。 これら3つの丸は一番下の丸い図にも描き込まれていて底板にも同様に穴をあければ底の外部から電気回路ブロックに通ずるトンネルになります。 そうすると電気回路ブロックで発生した熱はホヤ内へ上昇してそこで自然拡散するというわけです。

底板だけは完成後に発熱テストをして、やっぱり放熱口が必要となってからあけることにします。 放熱口が不要であれば外部への開口部分は電源スイッチと輝度調整部分だけとなり、防水等級4級(生活防水)程度の防水性能を確保できます。




2015/11/13

電地ブロックの製作 1

積層枚数の多さと加工量が多いと予想される電池ブロックは、それらが大きい加工誤差に繋がりやすいと想像されます。 従って気を抜ける部分が少なく緊張を強いられますので、最初にやっつけておこうと考えました。

左の図は本体の積層構造を表しており上から0〜23と連番を付けてあります。 0〜4番はランプホヤの固定ブロック、5〜8番がLED駆動回路ブロック、9〜23番が電池ブロックとなっています。

右の図は電池ブロックの15枚にどのような穴があくかを表した図です。 トップには8φの穴が3個のみあけられます。 その下(10〜17番)には26φの電池穴が加わる8つの穴、その下(18〜19番)には更に10φの穴、そして20〜23番の4枚には85φの大きな穴でリングに加工されます。 

これらの穴の位置精度は絶対位置精度よりも相対位置精度の正確さが大変重要です。 つまり穴と穴の間隔は設計値から多少ずれても良いが(1mm程度まで)、全ての積層で穴の間隔は高い精度となるようにしないとならない。(1枚の層で穴間隔が設計値からずれたら、他の層も同じようにずらすことを意味します。)  これを実現するために電動ドリルアタッチメントを少々いじって相対位置精度が高くなる穴あけ加工を考えました。(後程写真でお見せします。)

製作作業の第一弾は直径100mmの円盤15枚の切り出しですが、実際には101mmと1mm大きな直径をコンパスで描いています。 そしてブレードの上下速度をかなり落とした電動ジグソーで円の外側をぎりぎりに切断しています。 多少のブレが生じることは判っていますが、切断後に曲尺で測ったところ大きい物は101mm、小さいものは100mmでした。 その発生原因はなんとコンパスの回転部分が動いてしまったことによるようです。

もっとも私の頭の中は設計値の直径100mmは実際には99mm程度まで低下しても良いようにイメージしていますから、積層接着後の成形研磨で調整すれば良しと考えていますので大きな問題ではありません。

これが済んだら穴あけ作業ですが、8個の丸穴あけを木工ドリル、26φの穴はフォスナービットであけますから直径の誤差は僅少です。 問題はそれらの穴の相対位置が正確さですが、その方法については次の写真でご理解ください。

墨線を引いた5.5mm厚合板。 赤矢印の先が層番号で、真ん中が9番で電池ボックスの最上部。 そして右は10番。左は11番です。 この板の表面の木目は横方向で芯材は縦目ですが、各層は90度回転させて貼りあわせるので、偶数の層は90度左に回転させています。 貼りあわせる時には番号の方向を合わせれば木目方向が交差するようになります。

電動ジグソーで丸く切り抜きました。 この時直径は100.5〜101.0mmとほんの少し大きくなっています。 成形研磨でこれを99.5〜100.0mmにして慣らします。 電地の左隣が電池挿入の穴をあける板(10枚)ですが、電池よりも若干高くなっています。

多数の穴の相対位置が全く同じになるような穴あけのカラクリがこれです。 撓みを抑えるため電動ドリルアタッチメントのコの字の座板を外し、幅110mm x 長さ600mm x 厚み30mmのラワンの端材(黄色矢印)に4本のネジでがっちりと固定ししたものを作業台に2つのバクマクランプで固定しました。 赤矢印は130 x 90 x 18mmのラワン合板で、位置決めのテンプレートに使います。

9〜19番の板に穴をあけますが、最初に記入した番号が赤矢印の方向に向けて左端の8φの穴を先ずあけます。 横滑りを抑えるためクランプで固定しています。

11枚あけ終わったらテンプレートにする材料にも8φの貫通穴をあけ8φの木ダボを埋め込み、背面に瞬間接着剤を沁み込ませ固定します。 中央の穴は無関係です。

木ダボに既にあけた穴を通して反対側の8φの穴を正しくあけられるよう、テンプレートの板を前後左右に調節して位置が決まったらテンプレートを作業台にクランプ(右)で固定します。 材料の板も回転しないようクランプ(左)で固定し穴をあけます。

残り10枚の穴あけは木ダボに穴を通した後材料を前後方向に動かし、ドリルの先が赤線の真上に来るよう調節後、材料をクランプで固定して穴をあけます。

11枚の板の穴があけ終わったら、テンプレート固定のクランプは緩めず、テンプレートの右側の穴を貫通穴にします。

そして8φの木ダボを差し込み反対側に瞬間接着剤を沁み込ませて固定します。 残りの穴あけはこれら2本の木ダボが基準になります。

さて中央上の8φの穴あけですが、2本の木ダボに既にあけた穴を通して固定し、テンプレート全体を前後左右に移動して、ドリルの先に中央上の穴の中心が来るよう調節し、テンプレートを2本のクランプで固定して穴をあけます。

11枚全ての穴があいたので念のために木ダボ3本を5枚重ねの状態で差し込みました。 ご覧の通り無理なく通っており、相対位置誤差は充分満足できる低レベルになっています。

但し一番上の9番は穴の相対位置誤差はOKなのですが、外径の狂いが±1.0mmもあり、成形研磨で修正できそうにも無いので、作り直すことにしました。 その誤差の発生理由は不明ですが、ご覧のように墨線と穴の位置もかなりずれています。

先端工具を26φフォスナービットに替えて電池挿入穴をあけます。 位置決めの要は2本の8φ木ダボで、これに板を嵌め込むことで相対位置精度を確保します。

5枚あけ終わったのでそれらを重ねて電池を入れてみました。 挿入はスムーズで問題はありません。

電池穴は5 x 10枚で50個あけないとなりませんから時間が掛かりますが、常に緊張をもって作業に臨まないと、とんでもない失敗をしかねません。

穴あけが終わったので8枚を重ねて電池を挿入しました。 それを横から見ると外寸のばらつきは0.5mm以内に収まっているようで、これなら外面の成形加工は容易に終わるかもしれません。 但し?

電池がスムーズに入ったのは4本までで、最後の一本は途中で引っ掛かってしまいました。 しかしながら単二電池の太さの規格値はMAX 26.2mmですので、26.5mm程度には削る必要があり新たな作業が発生するわけではありません。



2015/11/20

電地ブロックの製作 2

一応電池が通る部分の層(合計10層)の穴あけは終わりましたので、それらを接着します。 但し10層を一度に接着するのではなく、5枚を接着した2ブロックを作り後ほどそれらを繋ぎ合せることにします。 その理由は、10枚重ねの圧着保持力は相当高めたつもりでも不十分になるのと、電池の電極の組立て・位置決めでは5枚合わせとした27〜28mmが作業が容易と思われるためです。 尚5枚接着時の基準位置は3本の木ダボで8φの穴3箇所とします。

先ず5枚ずつ(10〜14番と15〜19番)に分けて順番どおりに重ね3本の木ダボで仮に組み上げました。 そうして電池を挿し込んで穴のずれを調べました。 原因がはっきりとしないものの相対的に1.5mmもずれている部分もあり、そのままでは使い物にはなりませんから内部の出っ張りをフォスナービットで削り取りました。 その結果2つのブロックそれぞれの電池の穴は引っ掛かることなく電池を挿入できるようになりました。

そんな予備作業が終わってから木工ボンドを指で薄く伸ばし貼り合わせては木ダボに通すという作業を4回繰り返して接着し終わったら、その両面に15mm厚の板から切り出して8mm木ダボが当らないよう10φの穴を3箇所あけた押さえ板を当てて、バクマクランプ4本で強力に締め上げ5時間放置しました。

尚4本のクランプを完全に締め上げたら、6φ程度の鉄の棒を木ダボに当てて玄翁で叩いて抜いてしまいます。 そうしないと木ダボに木工ボンドが付きますから乾燥後では抜けなくなってしまいます。


 上で『木工ボンドを指で薄く伸ばし・・・・・』と述べた目的は、2枚の板を木工ボンドで接着する時に、塗る木工ボンド
 の膜厚が大きいとクランプで挟み締め上げた時に横滑りを起こし接着位置がずれてしまうのを防止するためです。

 木ダボで位置決めをしてあるから横ずれは起きないように思われますが、木ダボを早めに抜かないと木ダボに付着
 する接着剤が固まり木ダボは抜けなくなってしまいます。 その時に接着剤の膜が厚いと横滑りが起きる為、横滑り
 が起きないように木工ボンド膜厚が即乾燥して接着できなくならない程度に薄くします。



3箇所の8φの穴に木ダボを差込みました。 これは15〜19番で電池がきついながらも通ったのは3本でした。(左側) その穴に26φフォスナービットを通して出っ張りを削ったところ、5箇所とも電池が通るようになりました。(右側)

10〜14番のブロックでも2箇所の穴は電池が通りませんでしたが(左側) フォスナービットで同様に出っ張りを削ると全ての穴が電池を通すようになりました。(右側) これで内部の調整は容易に出来る事が判りました。

修正切削前の内部の出っ張りの様子の写真です。 5〜19番のブロックの上から2枚目は1枚目より1.5mmも出っ張っています。(左側) その反対側は3枚目が1.5mm出っ張っています。(右側) 他の3箇所はこれほどひどくはありませんが、何か加工作業で致命的なミスをしています。

5枚の円盤をこのような15mm厚押さえ板2枚で挟んでやります。 板には8φの穴位置3箇所に10φの穴をあけておきます。

5枚の円盤に順番どおりに一枚ずつ木工ボンドを薄く伸ばして貼り付けて且つ木ダボに通し木ダボ両端が出るようにします。

木ダボの先を押さえ板の穴に落としこんで、もう一枚の押さえ板をやはり木ダボが穴に通るよう置きます。

そしてバクマクランプ4本でクランプし、思いっきり締め上げます。 その後に6φ位の鉄棒を木ダボに当てて玄翁で叩き抜いてしまいます。

2つのブロックを8φ木ダボで連結し(まだ接着していません。)、替刃式丸棒ヤスリ(直径25mm(お誂え向きの道具)で内部を研磨して段差を落としました。 ご覧の通り全ての穴がひっかかることなく電池を通します。


電池が収まる部分の10層が2ブロックとして完成しましたので、次に底部に追加する4層のリングを切り出して貼り合せました。 この時の位置合わせは十字に引いた墨線の木口まで延ばしておき、4箇所のそれらが一直線になるようにしました。 そして内面を先に研磨して直径85mmの穴となるよう仕上げました。

その方法については後ほどの写真をご覧ください。 更に直径84mmの板三枚を底の蓋として切り出します。 そのうち2枚は直径45mmの穴をあけたドーナッツ状にしておきます。 ドーナッツ状の板2枚は貼り合わせておき、残りの板には底蓋の方向決めとなる10φの棒(ここでは木ダボ)を挿し込む穴をあけておきます。

底蓋3枚を組立が完了した電池ボックス下部に当てて、現物合わせで8φの穴をあけておきます。 この時蓋の位置決めには10φの棒を15mmの長さに切り、仮に挿し込んでやればよいです。 更にドーナッツ部分の内面をコロ付角面ビットで45度の傾斜を付けてやります。 削り幅は5mmですから斜面は7mm強となります。(こうした方がツマミに指が通しやすくなります。)

そして3枚を木工ボンドで貼り合せて、蓋の位置決めの棒も接着します。(ここだけは5分硬化開始型のエポキシ接着剤を使いました。)  またツマミも固定しておきますが、M4の皿ネジを使い反対側の電池ホルダー内面で電極などと干渉しないよう頭が表面から沈み込むようにしています。

そうしましたらリング状の底のスカート部を電池ボックスに接着し、3枚を貼り合せた蓋の外周を上で説明した回転やすりにて少しずつ削りながら現物合わせにて仕上げます。 回転ヤスリで凸面を削るのは少々奇妙に思えますが、実際にやってみると意外にスムーズに作業が進みます。 しかし緩い凸凹は残りやすいので、その後替刃式ヤスリで凸凹を慣らした後に#240ペーパーで仕上げました。

底板の周りのリング板4枚を切り出しました。 リングの幅は7.5mmですから、穴の直径は85mmになります。

板の直行線の延長4ヶ所でそれぞれひとつにまとまるよう調整しながら木工ボンドで貼り付けて、押さえ板で両側を挟んでからクランプで締め上げました。

内面はこのような大小の段差が残ります。 いきなりドンピシャ寸法で切断できず、若干大きめに切断しているためです。

そのような段差は電動ドリルアタッチメントに中目の回転ヤスリを取り付け700回転/分の低速で削り取ります。

こうして段差を削り取った後はこのように滑らかになります。 電動ドリルアタッチメントの非常に便利な応用例です。

出来上がった底に貼るリングが左側で、右は底に取り付ける蓋です。 3枚貼りあわせですが、下側2枚はドーナッツ状で左のリングと同じ方法で貼り合わせて加工します。

底部のスカートとなるリングを接着しました。 これで電池ブロックの積層数は14枚となります。

底の蓋の加工に進みます。 先ず2つの8φの穴をあけますが、穴の間隔が19番と同じになるようにします。 また内面をコロ付角面ビットで5mm削り取り、ツマミに指を通しやすくしておきます。

木工ボンドで接着し穴2箇所に木ダボを挿し込んで位置決めします。

そしてクランプで圧着保持しますが、すぐに木ダボ2本は叩いて抜き取ります。

ツマミ固定用の4φの穴(間隔は30mm)をあけます。

背面の10φの穴には15mmの長さに切断した10φの木ダボを5分硬化開始型のエポキシで埋め込みました。

左が蓋の表側になります。 つまみに指を通して引き抜きます。 右が内側で、埋め込んだ木ダボが蓋を閉じる位置決めになります。 このあと外周を上で説明した丸棒ヤスリで現物合わせにて削り込み、その後替刃式ヤスリと#240ペーパーにて仕上げました。

電極を除き完成した電池ブロックです。 これは逆さまになっていますが、この下にあと9層追加されます。




2015/11/27

電地ブロックの製作 3

電池ブロックの残る加工は、底蓋の固定ネジ、脚4本の取り付け、電極の加工と取り付け、電池誤挿入防止のリング製作/取り付け、電極間の配線となります。

底蓋の固定ねじはM4 25mmのトラスネジと鬼目ナットを使いました。 予め底蓋を所定の位置に挿入した後、1mmのドリルを根元まで挿入することで、蓋と本体の双方にネジ位置が判るようにします。 そして本体には5.5φ 12mmの穴、蓋には4.5φの抜き穴をあけてやり本体には鬼目ナットを4mmの六角レンチで締めこみます。

脚4本は12φの木の棒を長さ17mmに4本切断し、底面側に10φ 1.5mmの穴を座ぐってやります。 蓋の方には12φ深さ5mmの穴をあけてそこに接着剤を流した上で叩き込みます。 塗装も終了した後に9.5φのクリヤーパンポンを溝に落とし込んで完了です。

プラスマインス電極はそのままでは大きすぎるので、半田付けするピン側を切断して12mm長にしました。 そしてマイナス電極には真ん中に2.0φ程の穴がありますが、プラス電極の中心に1.5φの穴をあけました。 これらの穴に隠し釘を通して電極の中心位置に軽く打ちう込めば位置出しが簡単に出来ます。

更に予備作業として3mm厚アガチス板から5個の外径24mm、内径15mmのドーナッツ状の物を切り抜きます。 内側の穴はフォスナービットで簡単にあけられますが、外周はジグソーで切断中にちょっと刃が引っ掛かっただけで割れてしまうため大雑把に切った後にノミで周囲を切断し替刃式ヤスリで仕上げています。 更に2個のドーナッツは電池ブロック止めネジとの干渉を避けるため幅9mmの切り欠きを入れます。

このドーナッツ状のリングの追加は電池を逆挿入した時には電池の接続は為されませんから、完璧な逆接続事故防止機構になります。

そして電極間の配線を済ませて電池ブロックは完成ですが、9番を10番に接着するのは電池ブロック止めネジ位置を駆動回路ブロックに転写した後とします。

底蓋固定ネジ穴をあけますが、本体に底蓋を所定の位置に挿入した状態で、1mmのドリルで根元まであけマーキングします。 そして本体側は5.5mm 深さ12mmの穴に、底蓋は4.5mmの貫通穴をあけ、M4 25mmのトラスネジを締めこみました。

脚は当初ゴム製の物を考えていましたが、適当な寸法のものが無いので12φの木の棒を17mmに切断して作ります。

切断面に10φ 深さ1.5mmの座ぐり穴をあけます。 芯出しを慎重に!

一気にあけると欠けやすいのでゆっくりと慎重に薦めないとなりません。 そのためこんなに細かな切削屑になっています。

彫り終わった脚です。この窪みに塗装が終了後に9.5φのクリヤーパンポンを貼り付けてやります。

削り終わった4本で穴がうまく中心にあいていますが、実は中心に穴をあけられなくて不良とした物が5本もありました。

その4本を底蓋に深さ5mmの穴をあけて挿入しました。 玄翁を使うくらいきつかったので接着剤は使いませんでした。

プラス・マイナスの電極は奥行きを12mmに詰めてしまいます。 マスキングテープで切断線としています。

左側が切断前で接続用のピン部分を切断して右のようになります。

また電池逆接続による事故防止のリングを3mm厚アガチスで作ります。 外径24mm、内径15mmが5個ですが、そのうち2個は左のように幅9mmの切り欠きを入れます。

これは9番の板の下側に取り付ける電極ですが、切り欠きの入ったリングは左下のような配置となり、駆動回路層に連結するネジの頭との干渉を避けます。

電池逆接続防止の仕組みです。 左は電池のプラス側が接触している正しい接続ですが、黄色矢印部分は電気的に接触しており、電池はドーナッツリングに接触せず浮き上がっています。 右は間違ってマイナス側を当てたところですが、電池をドーナッツリングで受け止めており、電極は電池に全く接触していませんから電気的な接続は為されておりません。

電池用のプラス・マイナス電極と逆接続防止リングをエポキシ接着剤で貼り付けました。 左が底蓋用で右が電池ボックス最上段(9層)ですが、電極の外側に4ヶ所丸く描かれているのは、電池ブロックを上の駆動回路ブロックに締結するネジ位置になります

左は配線をする電極を間違えないようにするためのマスキングテープ貼りで、電流の流れは左上部の右向き矢印からスタートし、右中央の矢印で完結します。 そして右はその通りに0.9mmの裸銅線で配線が終わった状態です。

ドーナッツリングの部分は幅1mmの溝を彫りそこに落とし込んでいます。 図に見える電池位置を表す丸の外は板の面以下に銅線が沈むよう溝を彫りました。 尚ドーナッツ上の溝は後程傷や欠けの補修作業の時点で、エポキシパテで埋めてしまいます。





2015/12/04

駆動回路ブロックの製作 1

駆動回路ブロックは5〜8層の4枚の5.5mm厚合板を貼り合せて作りますが、その中には十字状の大きな貫通穴があけられます。 層の位置合わせは縦横の中心線の延長を揃えることにして円盤を貼り合せた後にジグソーで十字穴を切断します。 ここでエポキシパテを使って、これまでの作業で木工部分に付けてしまった傷、欠けなどの埋め込み作業をまとめてしました。(この後の作業でそれのような傷・欠けをつけてしまう可能性がありませんから良いタイミングです。)

気温が低い現在はエポキシパテの完全硬化には10日間〜2週間掛かりますが、それを逆手に取り、36〜48時間後にナイフによる削り取り、そして72時間後以降にサンドペーパーによる研磨などの成形作業が可能です。(完全硬化後にはそれらは硬すぎてかなり難しい作業になります。) また収縮することがありませんから通常のパテのように何度も塗りこむ必要が無く1回の塗り込みで済みます。


 以下の写真では、0〜8層までの直径100mmの円盤の切り抜き、4層の中央の16φの穴あけ、そして5〜8層の接着と
 中央の十字型の穴あけの様子は省きました。



駆動回路ブロックの中央の十字型の穴あけが終わったところで、これまでの切断加工などで作った欠け、傷などをエポキシパテで埋めました。 エポキシパテは収縮性がありませんから、一回の塗り込みで完全に埋められます。 また完全硬化するとそれこそ刃がたちにくくなりますが、エポキシパテの完全硬化には10日間以上掛かりますので、その間にナイフでスライスしたり、サンドペーパーで削るなどの作業が可能になりますので、大変好都合です。









上の写真6枚は、左側がエポキシパテを塗りつけた後、右は36時間後にその部分の出っ張りを小型のナイフで削り落としたところです。 ナイフの切れ味が良ければサクサクと実に軽やかに切削できます。  この後72時間後にサンドペーパーで研磨して仕上げます。

こちらの2枚は72時間後に駆動回路ブロックの十字型切込みのうねってしまった面を木工粗目・中目ヤスリで研磨したものです。 替刃式ヤスリでも研磨できますが、目が詰まり易いので粗目ヤスリとしています。


エポキシパテの完全硬化に長時間掛かりますので、その間に別な作業をしておきます。 そのひとつは電池挿入穴内部の極性表示です。 この製作例では5本の電池中3本は+が下向きに残り2本が上向きです。 そしてそれぞれ挿入する位置が決まっています。 これを暗記しておくのは製作者の私でも無理です。 そこで紙に極性をどうすればよいかを描いて挿入する穴の内面に貼り付けることにしました。

直径が26mmですから内周は81.7mm、高さ20mmとしてここに4つの極性表示の絵を描きます。 そうすれば電池の穴を見た時どの方向から見ても上側をプラスにするのかマイナスにするのかが容易に判るはずです。 極性表示の意味は説明不要でしょう。

これをコピーペーパーに印刷していますがそのままでは表面が汚れやすく擦れにも弱いので、水性ウレタンニス透明クリヤーを2回塗ってから切り抜きました。 後ほど底面の塗装終了後に貼り付けます。



MS Excelでマス目(1辺5mm)のシートに描きこんだ電池極性のシンボルマーク。 これをコピーして必要数を作ります。

それをレーザープリンターで印刷後、水性ウレタンニス透明クリヤー2階塗りして乾燥後切断。 艶が出て表面はピカピカになっています。 これで傷が付きにくく水に濡れても平気です。

もうひとつは0〜3層の中穴を切り抜いて貼り合せる作業ですが、底部のドーナッツ部分と同じ手順でやります。



0〜3層は直径100mmの円盤の内部を直径85mmで切り抜き貼り合せ(左写真)、接着剤乾燥後に、回転ヤスリで内面を切削して仕上げます。(右写真)

エポキシパテの硬化時間が48時間過ぎたら(まだエポキシパテは爪で傷つくほど柔らかいですが?)、電池ブロックと駆動回路ブロックを重ねて位置合わせをした上で、電池ボックス固定ネジ位置に1mmのドリルを根元まで挿しこみマーキングして、電池ボックス側は4.5mmの貫通穴をあけ、駆動回路ブロック側は5.5mm 深さ12mmの座ぐり穴として、M4の鬼目ナットを埋め込みます。

そして電池ボックス底部の側面を除く部分と底の蓋全面をペイントを塗ります。

4箇所の電極の外側にネジ位置がありますので、センターポンチでマーキングします。 そしてこの下に貼り合せた5層〜8層を重ねて位置合わせをして1mmのドリルの根元まで穴あけをします。

5層〜8層にはこのように1mmの穴があきますので、これを5.5φのドリルで深さ12mmの穴をあけます。

そしてM4の鬼目ナットを埋め込みます。 鬼目ナットはブロックの表面より若干沈むように締めこみます。

左が鬼目ナットを埋め込んだ駆動回路ブロックで、右は4.5mmの穴をあけた9層です。

薄頭のM4 30mmボルトで9層を駆動回路ブロックに締結しました。 この9層は電池ブロックの上部に貼り付けられるので、これら4本のボルトが電池ブロックと駆動回路ブロックの連結ボルトになります。

9層の上に電池ブロックを載せてみました。(未だ接着はしません。) 電池穴の底にネジの頭が見えますから、これを緩めれば電池ブロックと駆動回路ブロックが分離できます。

エポキシパテを塗りこんで72時間後に細い木の棒の先を加工して、#240の布ペーパーを切断しパテを削るヤスリを作りました。

そのヤスリで底の蓋と電池ブロックの底面のエポキシパテを塗りこんだ部分を研磨して平らにした上で、濃い緑色のペイントを塗り込みました。 そして48時間寝かせます。



2015/12/11

駆動回路ブロックの製作 2

駆動回路のブロックを製作しながら電池ブロック底部の塗装を始めましたが、この塗装も油性ペイント塗装に関しては1回辺りの乾燥時間を48時間以上でないと経験上まずいので、それを2回塗りし更に仕上げの油性ウレタンニスつや消し塗装が終るまでに90時間程度が必要になります。 ここで油性ペイントが出てきましたが、私は水性ウレタンニス使用が殆どとなっているのにどうして今更? と訝る方が居られるかもしれません。 よって簡単にその理由について触れておきます。

底部の周りや蓋はかなり入り組んだ構造になると共に接着剤(木工ボンドとエポキシ接着剤)のはみ出しや付着でお世辞にも綺麗に仕上げることが不可能になります。 従って木目を生かすニス塗りではなく木目や汚れなどを塗りつぶせるペイント塗装を考えました。 ペイントにもニスと同様、油性タイプと水性タイプがありますが、経験上少量販売で水性タイプで質の良いペイントにめぐり合っていません。 そこで油性ペイント(エナメル系)を使っています。 但し塗装面の平滑度が良くない場合艶があることが逆効果になり、安っぽいギラギラした感じになりやすいので、誤魔化しの手法ですが仕上げに油性ウレタンニスつや消しクリヤーを塗ることで、ザラツキや表面の粗れを目立たなくしようとしています。

但しランタン本体の積層部分は見せ所になりますのでペイントの塗りつぶしではなく、着色後に水性ウレタンニス透明クリヤー3回塗り、水性ウレタンニスつや消しクリヤー1回塗りとします。 色味は底部の濃い緑色と同じ系統で若干明るくしたものを考えています。 濃い緑色はコールマンのキャンプ用品の標準色であり、その昔USAに仕事で8年間滞在した折散々お世話になり、懐かしさを兼ねて今回使っています。

よって駆動回路ブロックの製作なのですが、電池ブロック底部の塗装に結構時間が喰われておりますが、LEDランプブロックとの連結部分、駆動回路基板の取り付け、電源スイッチ、可変抵抗、LED表示灯を固定するアルミ板の加工などまで進みました。

電池ブロック底部と蓋の塗装2回目です。 塗装液は薄め液で若干希釈していますが、2回塗りで塗りつぶせています。 但し表面にブツブツや傷が取れないまま残っており、この写真で順光のお陰でそれらは目立たないものの??

逆光で反射光を見ると、あれれれ・・・・・・ 大変見苦しい見え方になってしまいます。 そこで油性ウレタンつや消しニスの登場でゴマカシのテクニック?

がこちらで、油性ウレタンニスつや消しクリヤーにペイント薄め液を10%入れたもので塗装した結果です。  左の場合は余り複雑でないことと接着剤のはみ出し、汚れが全く無いので余り変りありませんが、右では接着剤による汚れ、はみ出し、傷などが沢山あるため違いがかなり生じます。(艶が無いこと七難隠す!)

この板は4層の上面側で駆動回路基板の固定部分の加工ですが、この面からM3 7mmの皿ネジを挿しこみますので座ぐってあります。

同じ板の反対側のネジ穴には長さ5mmの全ネジスペーサーを当てて捻じ込みます。

そうするとこのように高さ5mmの固定ポストとなりますが、ポストには深さ3mm程度の雌ネジがありますので?

4mmのM3 バインドネジで基板を固定できます。 ここでポストとそれを固定した皿ネジは最終固定をする際に瞬間接着剤を沁み込ませ緩み止めをします。

これも4層の下面ですが、矢印部分はLEDブロックの固定ネジ(M3皿ネジ 30mm)の為の座ぐりです。

これは0〜3層にプラスチック壜の蓋を嵌め込んだもので、左の4層をこれに固定すべく同じ位置にネジ穴をあけてあります。

そしてLEDブロック、0〜3層、4層を共締めにした状態がこうなります。 4層の下部には最終工程で駆動回路ブロックが接着されますが、これらの固定ネジを緩めれば、ブロック単位で分解が可能となります。

それらの下はこんな具合になります。 この後電源スイッチ、可変抵抗、2色LEDを組み込みます。 そして電池ブロックの最上層(9層)がここに見える鬼目ナットに締結されて一体化します。

電源スイッチ、LED、可変抵抗を固定するアルミ板を狭いところでネジ止め中ですが、スタビードライバー(mini-Shopで販売しています。)で締め込めます。

2つのアルミ板が固定できましたので本体の穴あけになりますが、芯がぶれるとまずいので次週、慎重に進めます。





2015/12/18

駆動回路ブロックの製作 3

先週ネジ止めが終わったアルミ板2枚に可変抵抗とトグルスイッチを取り付けて、現物合わせで4枚重ねの駆動回路ブロックに穴をあけ始めました。 電源スイッチの取り付け穴は12φ深さ6mmの座ぐり穴をあけて、その中心に4φの貫通穴をあけます。 非常に彫る作業がしにくいので時間が掛かりますが何とか座ぐりが完了し4φの抜き穴も済ませました。 こうしたらスイッチが所定の位置に挿し込めますので、レバーがスィングできるように前面から4φのヤスリで小判型に削りました。

次が可変抵抗のツマミが通る穴で直径13mmの穴としますが、12mmの穴を木工ドリルであけてからヤスリで削って13φとします。 と、ここまでは良かったのですが、何を勘違いしたのか12φのドリルで貫通穴を先程完了した電源スイッチの小判状の穴を広げる形であけてしまいました。 今週のこのまでの作業に半日も掛かっていますので大変悔しい想いをしたのですが、駆動回路ブロックの土台となる5〜8層をもう一度切り出し木工ボンドで接着して十字状の穴をあけて 電源スイッチと可変抵抗の取り付け穴をあけなくてはなりません。 これにはほぼ一日掛かりますが他に作業時間を短縮できる名案がありませんので止む無しとしてスタートしました。

ところが最後の可変抵抗の穴をあけるところで今度はドリルが切削中に暴れだし、とんでもなくいびつで大きな穴をあけてしまいました。 これは木目と平行に穴あけする場合に時々発生するトラブルです。 特に使った木工ドリルは40年以上前に購入した非対称の片刃でしたから更に暴れが出やすい背景がありました。 いささかめげそうになってきましたがもう一回やり直しをする以外に方法はありませんから、作業の仕方をじっくりと考え直し問題発生の少ない方法の採用(12φの穴は8φ程度の丸穴をあけて、そこから丸棒ヤスリで広げて13φにする等・・・)、また彫りにくい12φ 6mmの電源スイッチ用座ぐり穴は、4枚の板を貼り合わせる前に電動トリマーで切削し、貼り合せたら12 x 12 深さ6mmの穴になるような準備加工をするなど、所要時間は別として失敗しにくく作業がしやすい方法で進めました。

その結果かなり良い具合の出来栄えとなりましたが、丸二日を費やしてしまったためウィークデイの夜まで作業を進め、何とか本体外面の研磨作業の出来るところまで進みました。 一回目と2回目の失敗した状況の写真は省き、『3度目の正直??』の作業と外面研磨を除く本体加工終了までの様子は以下をご覧ください。

正に3度目の正直ですが、2回失敗後の作業は8φの貫通穴をあけてから丸棒ヤスリで広げて仕上げは替刃式ヤスリ(RS-310P)としています。

ツマミより1.0mm大きい穴にうまく仕上げられました。 失敗の精神的ダメージはこれにて拭い去れました。

反対側の電源スイッチ取り付け部は 4 x 8mmの小判状の穴にうまく仕上げられています。 通常はレバーが中央で両方向にモメンタリーONの、(ON)-OFF-(ON)の接点構造のスイッチです。 矢印の先は1.2φの穴で塗装後に1.2φのナイロンワイヤーを差込みLEDの光を導きます。

やり直し作業が一段落した駆動回路ブロック。 やり直しは一番難しい電源スイッチと可変抵抗の取り付けを優先したので、電池ブロックを固定する鬼目ナットはまだ埋め込まれていません。 また駆動回路内部の配線は外面の研磨と塗装が終了後にやります。

電池挿入方向ガイドの図を内面に貼り付けました。 同じ図が一周で4ヶ所ありますからどの方角から見ても挿入方向が判ります。

そして3つに分かれていた電池ブロックを一塊に(9〜23の15層)に接着しました。 位置合わせは8φの木ダボ3本を使っています。(圧着保持後すぐに引き抜く)

同様に0〜4層のLEDランプホルダーと駆動回路ブロックを接着します。

接着が終わった電池ブロックとLED駆動回路ブロックでいずれも上下を反対にして撮影しています。 駆動回路内部の配線は外面の研磨・塗装が終了後にします。

左から電池ブロック、底蓋、駆動回路ブロック、LEDランプブロック、ホヤで、これら5点がボルト12本で締結され、一番右のホヤは逆さに捻じ込み一体化する構造で、通常は底蓋のみ開閉されて電池の出し入れが行われます。



2015/12/25

本体外面の研磨・成形・着色

本体の部材のみ(電気部品は取り付けない)を組み上げますが、その前に駆動回路ブロックにある電源スイッチのレバーが出る穴と可変抵抗のツマミが出る穴はティッシュペーパーを詰め込んで塞いでおきます。 また上下には板を重ねて両面粘着テープで貼り付け、円筒の中心が判るようにしておきます。

研磨は木片に#60 洋紙下地サンドペーパーを巻きつけて進めました。 ハンドサンダーを使った方が作業性は良いのですが、薄いスポンジの上にサンドペーパーが載るためダレが出やすいのを避けるためです。 またリビングルームで作業できるならお気に入りの小形電動サンダーを使えたのですが、クリスマス飾りが部屋中にあり木粉でとんでもないことになりますので、私の書斎で作業しました。 ということで丸一日かけてどうにか段差は無くなりました。

次に#120の空研ぎペーパーを今度はハンドサンダーに取り付け全体を研磨後、#240に変えて仕上げ研磨としました。 普通は#400まで使って仕上げ研磨としていますが、何しろ研磨する面は殆どが木繊維と平行ではないので、#400で研磨する意味が殆ど無いためです。

その後上面の角をボーズ面ビットで丸くしました。 また底の角は幅3mm位に替刃式ヤスリで落としそれぞれ欠け防止としています。

それが終わったら電気掃除機で表面に付いている木粉を吸い取った後にポアステインで着色しました。 色はグラスグリーンに黒を少し加えた後に水で2倍に薄めたものとしています。 着色回数は3回で底のペイントの濃い緑に近しくなっていますが、合板の積層と24枚の貼り合せ構造による縞模様がはっきりと残りデザインの要となっています。

本体外側を研磨する前に二つの穴(電源スイッチのレバー、可変抵抗のツマミ)をティッシュペーパーを詰め込んで埋めました。 こうすることで内部が木粉で汚れるのを防げます。 ご覧の通り存在する段差は相当なものです。

上側は薄板を重ねて接着しそれを両面粘着テープで貼り付け、中心を描きました。 底側は既に抜き穴で出来た端材を使い埋め込み同じく中心を描き込んでいます。 こうすることで研磨後の半径の変化を確認できます。

左の写真は1時間ほど研磨した面です。 よく見ると段差は未だ残っていますから更に研磨を続けないとなりません。 右は未研磨部分で、如何に大きな段差があるか良く判ります。

丸一日#60ペーパーでの研磨を続けた結果です。 まだ矢印先に0.2mm前後の浅い段差がありますので後1時間くらい研磨作業が必要です。 その後#120ペーパーに変えてやります。

#120ペーパーで全体の曲面を修正しながら削りこみ僅かに残る凹みも取り除きました。 そしてトリマーで上下の角の面取りをした後に#240ペーパーで仕上げ研磨を施しました。 研磨方向ですが#60の際には上下方向に研磨し外面の垂直出しに留意しましたが、#120と#240では外面円周方向に変え滑らかな曲面となるようにしています。

掃除機で木粉を吸い取ってから締結ネジを緩めて分解しましたが、再び組み立てる時の組合せ方向・位置が判るよう、電池ボックスと駆動回路ユニット間は赤丸で、駆動回路ユニットとプラスチック蓋は赤三角、プラスチック蓋の内側と発泡クッション、そしてLEDランプユニットは赤の太い線でマーキングしました。

その上で分割した本体を着色しました。 ポアステインは、グラスグリーンに少量の黒とゴールデンイェローを加え青っぽさを押さえながらダークな色調としています。 写真では蓋の色は更に黄色が強いですが、今回使うニスは油性タイプで黄変がかなりでますのでニス塗り後は同じような色調になると思います。



2016/01/08

本体外面の塗装、電気配線を経て完成まで

ニス塗りの手順は、油性ウレタンニス透明クリヤーを2回塗り後#400ペーパーで研磨を3回繰り返し、その後油性ウレタンニスつや消しクリヤー1回塗りの7回塗りといたしました。 塗り回数が多いのは次の理由によります。 塗装面には木目のなす角度が直角から平行まで連続可変となり、直角をなす面では木の細かなパイプが沢山あり、塗装の質を優先して塗膜を薄くしながらそれらパイプをニスで埋めるには塗り回数が多くないとなりません。 実は今回水性ニスではなく油性ニスとした理由も油性ニスのほうが肉載りが良い(肉厚を稼ぎやすい)のでパイプを潰しやすことにあります。

油性ニスは乾燥時間が長く必要で、次の塗装をするまでに最低でも5時間ほど寝かさないとなりませんから7回塗りと言うと40時間ほど掛かりますが、乾燥が遅いということは刷毛斑を作りにくいので、久々ながら落着いた作業が出来ました。

残る電気配線の中でかなり頭をひねった問題があります。 それはマイナス電源の引き出し方にあります。 5本の電池を直列にしますが、プラス電極は固定されており回路基板のコネクターに単純に接続できますが、マイナスの電極は底蓋の内側にありますから電池交換の際には底蓋を若干持ち上げるようにしないとなりません。 そうするとワイヤーも長めにしないとならず、蓋を閉めるときにはそのワイヤーを折りたたんで8φの穴に突っ込んでやるようなことが必要になります。

このワイヤーを折りたたんで!という方法がどうも賢い方法には思えません。 そこで折りたたむかどうかは別として折りたたみやすいと言うかふにゃふにゃのごく柔らかなワイヤーをガラクタの中から探し出しました。 このワイヤーはその昔天体観測をしていた時に、ごく低温下でも柔らかさを保てる部材として購入したものです。 そのワイヤーを1mほど切断して導通抵抗を測ってみましたが測定誤差の中に埋もれてしまいました。 これなら細いワイヤーですが抵抗による損失は小さいので、このワイヤーの折り畳みを(正確には引き込みに)スプリングでやる簡単な自動折りたたみ構造を作ることにしました。 次の図がその構造の概念です。


この構造で一番重要な部材はスプリングで僅かな力で長く伸ばせるものが必要です。 色々物色した上で、直径4mm、線径0.26mmで通常の長さが18.2mm、最大で62.9mmまで伸ばせるものを選びました。(左の図参照)

このスプリングの上端を上の図のように固定すると電池ボックスの高さは62.5mmなので、伸ばした時のスプリングの下端は丁度電池ボックスの下端近くになります。 そこで底蓋のマイナスの引き出しワイヤーの先端をスプリングに固定し、その先端に柔らかいワイヤーを接続して目一杯引き出した時にワイヤーがするすると出てこられる長さにしておけば、ワイヤー先端を8φの穴に挿し込んだ状態(蓋を閉めた状態)では62.5-18.2 = 44.3mmだけワイヤーを内部に引き込んでくれます。 但し無理矢理スプリングを引っ張ると柔らかなワイヤーを切断したりスプリングが伸びきってしまうので、図に黄緑色で描いたタコ糸によるストッパーが必要です。

といったようなカラクリを組み込み電源スイッチと可変抵抗の駆動回路基板への配線を済ませ、LEDからの5本のワイヤーを接続してLEDランタンは完成いたしました。 早速連続運転による電池寿命試験を光量最大時、可変抵抗中間時、最低光量時の3種類で測定しました。 それらの様子は以下の写真を参照ください。

左側は本体上部の駆動回路ブロックで右が電池ブロックです。 左側は油性ウレタンニス透明クリヤーを2回塗って乾燥後研磨したものでかなり良好な(平滑度が高い)塗装面です。 右側の矢印の先は反射が鈍いですが、これは木繊維のパイプ断面部でニスの吸い込みがまだ不十分であることを意味しています。

こちらの写真は4回塗装後の研磨前(左)と研磨後(右)です。 左側の緑色に光って見える部分は塗装面と木目が平行の部分で大変美しく見えます。 左側はもうこれで充分でつや消し塗装に入っても良さそうですが、右側の研磨後の具合もかなり良くなっているものの、後2回の塗装は不可欠だと思われます。

6回目の塗装が済んだところです。 木目が面と直角になる部分の木繊維のパイプもニスで埋まり、ほぼ全体が同じような艶を持ち出しています。 次のつや消し塗装でこのギラギラした艶は薄れてよりしっとりとしたシックで七難隠しの半艶に変貌する筈です。

上の写真の状態に油性ウレタンニスつや消しクリヤーを1回塗り塗装作業が終わった状態です。 カメラとランタン本体の間に何かフィルターでも入れたように艶が消えています。

ちょっぴり脱線ですが黄色い線は5.5mmシナ合板の貼り合わせの位置を表しています。 隙間がまったくなく接着後の圧着保持がうまくいっていることを表しています。

使用位置である縦置きにしました。 右側の上部は実は底部で内側はペイント仕上げになっていますが、ニス塗りの外側と色味が殆ど一致していると思います。 これは前にも話した通り着色後は青みがあったのですが油性ニスの黄変により色が揃いました。

それを更に確認できるのがこの写真でしょう。 但し木繊維を切断している部分ではニス塗りは明度が下がってしまうので、全体的に暗く見えますが、木繊維と平行になっている部分はかなり明るくそして大変美しく見えます。

可変抵抗を固定した後の外観で、ツマミの周りの隙間はほぼ均等な0.5mmくらいで、期待していたより良い出来栄えです。 現在左に回しきった最も暗い状態で、右に回すとリニヤーに変化し明るくなります。

こちらは電源スイッチとLEDを固定した後の外観で、レバーを右へ倒すとON、左へ倒すとOFFとなりますが、通常はセンターに留まります。 矢印の先が1.2φのナイロンワイヤーで、LEDの光を導きます。

駆動回路ブロックの内部の様子。 結構ぎっしり感がありますが、必要とあらば分解してやるのも容易ですし3つのポテンショメータの調整も容易です。 右手上に伸びる2本のワイヤーが電池ブロックへ導かれます。

これは電池ブロック最上部の面で、中央の2つのコネクターを外すと駆動回路ブロックと電池ブロックが分離できます。 中央の固まりは最大の高さが7mmで、左写真の中央に見える銀色のDC-DCコンバータの上の空間に納まります。

左の電池ブロックと右の駆動回路ブロックを連結する直前です。 電池ブロックから出ている4本のネジを上に見える両ブロックの赤丸の合印を見ながら締めこめば、2つが連結されます。

連結が完了したら極性の図を見ながら電池を装填します。 極性を間違えたら絶対に点灯いたしません。 尚電池のマイナスからの引き出し線の処理は前にお見せした図を参照ください。

蓋を被せて4本のネジを締めこんで点灯準備完了です。 そうそう脚には半球型のクリヤーパンポンを埋め込みました。 またぶら下げて使う時と天井から吊る際には中央のU字金具を使います。

完成したLEDランタンの全景です。 明るさ調整のツマミと電源スイッチの位置が反対側になっているのは、今回の十字レイアウト電気回路では止むを得ないのですが、若干不便と言えば不便です。

最大光量にて点灯しました。 露出は全く補正せずで撮影しており見た目とは少々異なります。 その辺については基礎実験でのこちらの解説をご覧ください。 尚矢印の先のポチッはLEDによる電圧インジケーターです。 これが赤紫になったらまもなく電池の寿命になり消灯します。

光量を最小に絞ったのがこちらで(勘違いを防ぐため光量ゼロにはなりません。)、こちらも露出の補正は全くしておりませんが、見た目とかなり違っております。 感覚的には非常事態にはこの明るさでも結構使えると思いますので、連続運転テストでどの位の電池寿命になるのかが楽しみです。


光量を変えての連続動作時間テスト

最後のテストは連続動作の寿命テストです。 方法としては光量調整のツマミを最大にした時(右に回し切り)、中間に設定した時、最小にした時(左に回し切り)の三光量で行いました。 この時LEDを流れる電流はそれぞれのツマミの位置で30mA、16.3mA、2.6mAとなります。 大雑把に言うと中央で半分強の光量、搾り切りで1/10の光量になると考えて良いでしょう。

テスト法はお馴染みのデジカメで点灯状況を時計と一緒にインターバル撮影をして点灯時間を読み取ります。 撮影間隔は最大光量の時には5分、それ以外は10分としました。 使った電池は富士通製アルカリ乾電池(日本製)で、消費期限が2020/10と記載してありました。  以下がそのテスト風景です。

これはツマミ中間位置でのテスト中の写真で、左はスタートしてまもなくで、電池電圧インジケーターは明瞭な青です。 右は自動的に遮断する間際で、電圧インジケーターはかなり暗くなっています。 どちらの写真もダンボールを被っていますが、これはLEDランプが明るいためデジカメの露光量が少なく、時計の文字盤が見えなくなっているので遮っています。

 そのテスト結果は以下の通りです。

最大光量時の点灯時間 ツマミ中間時の点灯時間 最低光量時の点灯時間
1時間35分 4時間40分 32時間30分


この結果を見て吃驚するのは消費電流が減少すると動作時間が大幅に伸びることです。 上でも触れたように中間でのLED消費電流は最大時の54%ですが連続運転時間は2.95倍に伸びています。 LED消費電流が8.6%に減少すると連続運転時間は20.5倍に伸びます。 従って実際に使う時の明るさを実用範囲で出来るだけ絞ってやるのが重要です。 また同じ明るさでも連続運転ではなく不必要な時にはこまめに消灯すると電池寿命は大幅に伸びます。

またエネループのようなニッケル水素電池を使うと内部抵抗が小さいので、アルカリ乾電池の場合よりも大電流で使っても容量低下が少ないので、使う価値はあります。 最大光量の時に平均消費電流を800mAとすると、単二エネループでは3000mAHの容量がありますから3.75時間とぐんと伸びてきます。 但し単二エネループは割高ですので、単三エネループを単二アダプターに装填して使っても、約2.4時間と単二アルカリよりも長寿命になります。

このLEDランタンは動作終了電圧を5Vとしていますが、これはエネループを使っても問題無いように考えた為です。 従って単三や単四を単二として使うアダプターを5個用意し、単三又は単四のアルカリ乾電池かエネループのどれもが使える環境にしておくのが正解と言えるでしょう。

その為にはAC100Vが無くても単三、単四のエネループを沢山充電できる装置があると災害時への対応としてベストなのですが、近いうちにそのシステムを作りたいと考えています。


----- 完 -----


 
  
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