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DVD/CD ラック
   
2004/09/24

構想

友人の一人からDVDラックを作ってもらえまいかとの依頼がありるんるん気分で引き受けてしまいました。 詳しくは後の方を参考にしてもらうとして久しぶりの大型の家具を造れるからです。 ご存知のとおり我が家の大型家具は一通り作り終わってしまい、なんとなく心寂しい思いをしていただけに待ってましたというわけです。

 設置場所と希望のサイズを聞いた上で設計に取り掛かるのですが、設置場所については左の写真のよう
 な場所でLDルームの一角だそうですが、賃貸しマンションのこの壁面には使用目的がはっきりしない棚が
 付けられており、この棚の下に入れてしまいたいとのことでした。
 そのスペースは横1340mm、高さ900mm、奥行き300mmとのことです。 奥行きは棚の奥行きからきて
 います。

 当然ながら賃貸しマンションですから壁や床を傷つけるようなことは出来ません。
 ところでこの写真の左下に写っているワインラックを見て、あれっこれはどこかで見たことがあるぞ?
 思われた方は、このサイトを隅々までごらん頂いているに違いありません。 そう日曜大工入門コーナーで
 私が製作した9本入りのワインラックであり、この友人はそれを使って頂いている方なのです。

 余談その辺にしておいて構想についてお話しましょう。

家具を設計するには設置場所の寸法から詰めてゆく場合と、収納するもののサイズから詰めてゆく場合の2通りがありますが、今回は後者で行くことにしました。 そしてスペースの有効利用が成り立つように構造を考え、その中で与えられた空間を最大限使うというアプローチになります。

まず定数として決めておかねばならないのは、DVDアルバムとCDアルバムの標準サイズです。
手許にある幾つかのDVDのケースを測ったところ、高さが195-200mm、奥行き140-145mm、厚さ10-15mmを見ておけば一応良さそうです。 一方CDのケースは、高さが135mm、奥行き145mm、厚さ6-15mmといったところでしょうか? ばらつきが一番大きいのは厚さで、この意味では1枚ずつを収納するタイプは実用上問題が大きいです。

次が保管のやり方です。 アルバムタイトルが見えるよう保管しないと意味がありませんから、DVD、CDいずれに場合も高さと厚みで作られる背面が見えるようにしますが、それを棚に並べる方法をとるのか、引出しに入れる方法をとるのかが先ず問題です。
棚に並べる方式ですとDVD/CD両方を考慮して145mmあればよく、前後2列の棚にすると290mmとなって所要の奥行きに若干のゆとりが残ります。

しかしこの場合奥の棚にアクセスするためには手前の棚を横に移動(スライディング)出来る構造にするか、蝶番で手前の棚が開閉できるようにしなければなりません。 前者の場合には手前の棚が前面を覆う構造とは出来ませんので、無駄なスペースが出来てしまいます。
後者の場合には手前の棚を開いた時に収納家具全体の重心が手前に移動し倒れる心配があります。 収納棚本体を家屋に締結できれば良いのですが、借家住まいではそんなことが出来るはずもありません。

そこで引き出し式の収納スタイルで考えることにしました。

その引き出し式にも考えるべき点があります。 アルバムを縦置きで並べるのか、それとも横置きとするかです。
縦方向に並べるとするとDVDの場合195-200mmのスペースが必要となり、与えられた約300mmのスペースは帯に短しタスキに長し!の典型です。 CDの場合ですと2列にした時の奥行きが280-290mmですからスペースの利用効率は悪く無さそうですが、DVD主体の収納では無駄な空間が多く出てしまいます。 ひとつだけ日本語で書かれたラベルが読みやすいというメリットはありますが。

横置きスタイルの中でDVD/CDそれぞれの幅の最少公倍数を考えると無駄なスペースがでにくくなります。  隣りどおしの隙間と引出しの箱の板厚を12mmとすると、DVD2列で426-436mm、CD3列で453mmとなり値が接近します。 そこで引き出しの幅を436mmと決めれば最もスペースの利用効率の高いものが出来ます。

この引出しを最も有効に使うには3段式スライドレールの使用が必要になります。 調べてみたところアトムリビンテックにABS-3WRというスチールボールを使ったものを見付けました。 レールの長さが300mmに対しスライド長が315mm取れますから引出し奥のものまで完全に外部に出てきます。 但しこのタイプのスライドレールは引き出し側面と本体の間に作る隙間の精度が大変厳しく、±0.2mm以下を目標とせねばなりません。 アマチュアにとって非常に難易度の高い加工・組立作業が要求されます。

以上により全体の設計に入りましたが、ひとつの例だけでは決定しにくいと考え3通りの構造を描きました。 何れも横幅1300mm、高さ900mm、奥行き320mmです。

 第一が上述のアルバムを縦に並べるタイプで、DVD/CD収納の引き出し15個となります。 アルバムの厚
 みを10mmとして計算した収納枚数は、DVDのみで 540枚、CDのみの場合1000枚になります。

 収納効率は別としてもこのスタイルはまるで整理ダンスそのものみたいでどうも面白くありません。
 また引出しが15個あるということはスライドレールが15セット必要になるのですが、一組が\1,000以上す
 る高価なボールスライドレールの購入負担が大きいのはもっと面白くありません。
 かといって引出しを縦2列とすると1個の引出しの重量がかなり重くなるでしょう。

第二は公倍数の考え方で導き出した引出しの幅で描いたもので、引出しの数は10個ですが収納効率が
良いためDVDのみで520枚、CDのみの時には700枚と引出しの数が1/3に減ったにもかかわらず、DVD
収納枚数の減少は少ないです。 また引出しの幅が減った分中央に棚を作る事で全体をまとめています。

但し中央の棚の内幅は270mm強しか取れないのでもしかすると中途半端な棚との印象が出るかもしれません。

 第三はDVDを2列収納することに特化し引き出しの幅を押さえて中央の棚の幅を出来るだけ大きくしたスタ
 イルです。 この場合DVD/CD共に520枚が最大収納枚数となります。

 外観上も中央の棚部分が増えた分バランスが良くなったように思いますが、その増分は30mm足らずで
 す。 その為にDVD/CDの収納効率が低下するのも余り面白くないなあ?!というのが私の感想です。




2004/10/15

最終構想

依頼主の検討の結果を元に最終的な設計に入りました。  基本的には提示した第2案を一部修正したものとなっています。 外観的な要求は極力シンプルなフォルムと言うことで、感じとしてはコンテンポラリーなデザインが好みのようです。

 私は本体を18mシナ合板で作り、天板と引出し前板、扉などは18mm厚集成材を使って角をトリマ
 ーで成形と言うようなイメージを考えていましたが、全て18mm厚のシナ合板を基本として全ての
 見える部分となる木口をシナの木口テープで覆い、ステイン1色で着色後ニス仕上げと言う内容が
 最終要望の詳細です。

 但し天板の厚みは少し厚めのほうが重厚感が増してきますので、
 12mm18mmの合板を貼り合わせ厚さ30mmにします。
 その結果の外観イメージは左の図のとおりです。


また全体の寸法図は前回のものに微調整を加えたもので右のとおりですが、スライドレールの厚みが当初設定していた11mmよりも若干厚い12.7mmとなるため、中央の棚の内寸がそれにつれて
やや狭くなっています。

 これらの図面だけでは木取りの検討も出来ませんので、引き出し部分の詳細設計を左の図のよう
 に致しました。 大きな図面ですが1/2の大きさで描いてあります。

 引出しの中には仕切りが3枚描かれていますが、中央の物はDVDアルバムを収納する際の仕切
 り、その両側の2枚はCDアルバムを収納する際の仕切りであり、同時に3枚を使うわけではありま
 せん。 そして仕切り板は4mm厚合板で作られる溝に嵌まり込む構造としています。

 また引き出しの収まり具合を明確にするため、本体引出し納まり
 詳細図を右のようにやはり1/2の縮尺で描き上げました。
 ポイントとしては、入れるアルバムの高さが150mmまで上下の引
 出し間で干渉しない寸法にしました。 殆どのCDアルバムの奥行
 き(これが収納時には高さになる。)142-143mmで、DVDの場
 合にはこれより短いので決めた値です。 これらの図面は右側の
 引出しを表しており、左側は左右反転させたものとなります。

 引き出しについてはスライド長が十分取れ奥のものが垂直に出せ
 なくてはなりません。 これを確認した図が左です。
 今回使うスチールボールタイプ3段スライドレールはレール全長が
 300mmに対し、スライド長が315mmあります。 このために引き
 出しを完全に引き出した場合に、引出し奥の内側の面はその上の
 引出しの前板面よりも9mmせり
 出すことになります。 従って奥の物が取り出せないということはあ
 りません。 (詳細設計・検討に必要なためスライドレールは既に購入しました。 右の写真をクリックしてご覧ください。)

以上にて詳細設計は終わりなのですが依頼主に再度確認してもらうのと同時に眺めつすかめつし、寸法の計算違いがないかどうかをもう一度確認してから板取りに入ります。 難易度がかなり高いので通常以上に慎重に進めようと思います。



2004/10/22

部材の整理と板取り検討

使用する木材はシナ合板で、18mm、12mm、4mmの3種類にまとめてありますが、板取り検討のため全部材の寸法図を描きだしました。 これをしっかりやっておかないと次の板取り検討に進むことが出来ませんし、板取り検討が出来なければ高価なシナ合板を無駄に使う可能性が高くなりますし、私が良くやる縦方向だけのプレカットの依頼も出来ません。

これらの手順、設計図(寸法図)を完成させる。 → 部材寸法図を描く。 → 板取り図を描いて効率の良い板取りを検討する。 は、大型の家具になればなるほど無駄を省き、手間を省くために(プレカット依頼のため)絶対に守るべき作業です。 そしてこれらのために十分な時間を費やすべきです。 私自身はこの作業が終わったら製作そのものの50%は終了したと考えることにしています。

 というわけで、出来上がった部材寸法図は左の図のようなものです。 そしてこの
 図を元に板取り検討をした結果が右の図です。

 結論を急ぐと、18mm合板は4 x 8 を1枚、3 x 6 を1枚、12mm合板は4 x 8
 1枚、4mm合板は3 x 6 を3枚という結果になっています。

 材料利用効率はあまり良いとはいえませんが、私が良くやる基本設計に戻って
 若干の寸法変更をすることにより、板取りを良くする作業は今回やっていません。

 というのは少しでも寸法を詰めればDVDやCDアルバムが入らなくなってしまう心
 配がありそれでは基本的に意味がないからです。  縦方向の切断を依頼すると
 いう前提で考えると恐らくこれ以上板取りを改善するのは困難でしょう。

 但し4mmの合板の3枚目だけは別で、453 x 300mm1枚だけだったら手持ちの
 端材を探して流用できると思いますので、実際には4mm合板は 3 x 6 を2枚で
 済ませられると思います。

以上でOKのはずですが、ちょっと時間を置いてからもう一度チェックして(時間を置くとうっかりミスを発見し
やすくなるものです。)
これらの板の発注とプレカットを依頼する予定です。

板材は全部で\27,000位になるでしょうか、それ以外に材料代として大きいのはスライドレール、木口テープ、塗料ですが、そちらは合計で\18,000位と見積もっています。  従って材料代総額が\45,000.-位となるわけで、これが安いかどうかの判断は価値観により大きく変わってくるでしょうが、その最終的な判断
は仕上がってからのお楽しみとも言えます。



2004/11/05

製作その1

スピーカーボックスの補強作業が済んで木工ボンドの硬化のために寝かせている間に、納入された部材の2次加工に入りました。 切断依頼した図面は右の図のような
ものでかなり縮小してありますが、上に見られる板取り図の縦方向の線のみ残して
おり、この通りに切断してもらったわけです。 

4 x 8の縦は2430mm3 x 6の縦が1820mmありますから、これらを切断依頼するだけでも大きく手間が省けますし、板幅が細くなっているので屋内での置き場所にもそれ程苦労しません。

従って二次加工の大半は所定の長さに切断する作業が殆どであり、翔250(ゼット
ソーで言えば8寸目)
で手引き切断します。 手引きノコギリの使い方で解説しているやり方で十分な切断精度0.3mm以内の誤差と許容範囲の直角度)が出せており、収納家具を作る際の私の標準的な手順です。
(縦引きを材木店で済ました合板を所定の長さに切断して各部材を作る)

製作手順としては今回は引き出し部分を先に作ることにしました。
本体を完成させてから引出しを作るというケースの方が多いのですが、引出しを念入りに作り幅の精度を何としても目標の誤差以内に追い込んで確認してから本体へと
進むというようにしたかったからです。

別な言い方をすると本体の中央の棚の部分の内寸は許容誤差が大きく取れ、最悪
の場合には現物合わせの寸法でも構いません。 一にも二にもDVD/CDの入る引出
しとそのレールが取り付く部分が生命なので、一番要注意部分から手をつけようとい
うわけです。

それら製作過程は以下の写真でご覧頂きたいのですが、この引出しの箱の構造と作り方は完全に私の標準方法として定着しているもので、大変アマチュア的なやり方です。

正確に切断するための標準スタイルで、所定の長さに板を切断しています。 多少の修練の結果発生する切断誤差はマイナス0mmプラス0.4mm位となっています。

引出しの箱の前側と後側の板計20枚、側板計20枚を切り出しました。 切断精度を更に追い込みたいため、この後修正作業に入ります。

これは引出し前後の板で設計値は429mmですがご覧の通り429.3mm程で、カンナにて直角度を含め修正してドンピシャに追い込みます。

曲尺をこのように当てて曲尺の矢印あたりを上下に10mm程振って当り具合を見ます。

次に板をひっくり返して同様に調べ、前の場合と比較してより当る(こすれる)側をカンナで多めに削り寸法を詰めるのと同時に直角出しをします。

カンナ掛けはこのようにすれば切断面の直角も同時に修正できます。 一度に削る量は0.05-0.1mm程度に押さえています。

以上の作業を数回繰り返し429mm丁度に修正しました。 1枚あたり10分近く掛かり根気が必要になる作業です。

引出しの箱側板の寸法微調整も含めると40枚となります。 これだけでほぼ1日仕事になってしまいました。

いよいよ引き出しの組立て開始。 まず側板に36mm隠し釘を打ち込み先を1mm程出しておきます。

それを木工ボンドを塗った前/後板の木口に当てて指で触って位置を充分に確認し押し込めば釘が刺さってずれなくなりますので、玄翁で打ち込みます。

こうして引出し枠のひとつが完成。 部材の寸法調整をきっちりやっていれば、歪みや変形はなく正確に組みあがります。

接合部分のアップ。 接合部分の段差は0.1mm程度でしょうか? 十分な精度と言えます。 

組み上げた枠を重ねて乾燥中。 時間の都合で5個しか出来上がっておりません。



2004/11/12

製作その2

私事が重なって作業時間が取れなかったことと作業そのものの所要時間を甘く見すぎていたため、残りの引き出し枠の組み立てと引き出し枠の内側に仕切り板位置決めの薄板を貼りだしたところまでしか進んでいません。

仕切り板位置決めの溝作り作業要領は次のようなものです。

仕切り板が入る溝を3箇所に施すのですが、幅135mmの板を4枚、幅61.5mmの板を4枚切り出して貼り付けて作ります。 これらの寸法は、引出しの横の内寸が429mmであることと仕切り板の厚みが12mmであることから計算した物ですが、実際にはこの大きさでは隙間がないので仕切り板は入りません。 そこで設計値とは別に実際の加工寸法はそれぞれ0.5mm狭めた、134.5mm61mmの幅になるようカンナで調整します。 厚さが4mmですからカンナで削るのは楽ですが、念入りにする必要がありますのでかなりの時間を割いてしまいます。

また幅をドンピシャにした後それらを貼り付ける際には、クランプをかなり必要とします。 1個の引出しの箱に12個のクランプが必要でしたので、木工ボンドが固まるまで次の引出しの加工作業には入れません。  結論として1個の引出し辺り1.5時間掛かることが判りました。

全部の引出しに対しては15時間ということですから1日で終了とは行かず、数個の引き出ししかできませんでした。

これらの溝を作る方法としてプロだったら絶対に私がここでやっているような時間を食う方法は取らないでしょうし、作業効率の悪さを含め恐らくゲラゲラ笑うと思います。 そして溝を貼り合わせで作るのではなく、電動トリマーや昇降盤を使って溝彫りをすると思います。

しかし特殊な工具や道具がなくても実現できる方法に拘って作りたかった為にこのようなやり方をしています。 また彫りこんだ場合には底部分が表面の綺麗なシナと違いザクザクのラワン面となり仕切り板がスムーズに出し入れできない可能性もあります。

面倒には違いありませんが、0.1-0.2mmの寸法精度を出そうと思ったら、下手にトリマーで溝ほりするよりも確実に良い結果を生む方法ですし、見た目にも綺麗に仕上がります。

そのような観点からバカバカしいやり方と思わずに、以下の写真で作業の様子をご覧ください。

仕切り板の入る溝を作るための4mm厚の部材。  上の板は幅134.5mm、下の板は61mmになるようカンナで正確に調整してあります。

先ず幅の広い板を内側両端に貼り付けます。 無論クランプを使い密着させます。

反対側の両端にも同様に、幅広の板を貼り付けます。

仕切り板を入れてそれを押さえるように幅の短い板を貼り付けますが?

その際仕切り板の両面にコピー用紙(厚みが0.1mm位ある。)を挟みます。 これで適切な隙間が作れます。

同様に右側に仕切り板を入れてもう一枚の幅の狭い板を貼り付けます。

そうすると中央に幅が12mm + αの隙間が残りますが、

このように仕切り板がきつからず、ゆるからずの状態で挿しこめるようになります。

1時間ボンドの硬化のため寝かせて終了。 クランプとスペーサーのコピー用紙を外しました。

3枚の仕切り板は何れもきつからず、ゆるからず抜き差しが出来ます。

中央の仕切り板だけ入れた状態で、DVDアルバム収納用です。

こちらは両側の仕切り板を挿入した状態で、CDアルバム用となります。



2004/11/19

製作その3

引出しの底に4mm厚シナ合板を貼り付けて引出しの組立ては完成です。 このとき底の板は1mmずつ大きめに切断し貼り付けた後でカンナではみ出た部分を削り取りました。 この方法のほうが簡単に貼り合わせ目に段差のない物が作れます。 木工ボンドで貼り付ける際にはこれまた私の常套手段の22mm隠し釘で圧着保持をしています。

これで引き出しの箱は完成ですからいよいよ本体の組立てに入りましたが、引出しの入る部分2つを組み上げて最後に真中の収納部分を作りながらその両端に引き出し部分を追加するという手順を取ります。

こうする大きな理由は引出しブロック内寸の組立て精度は超高精度とする必要があるからで、ここがうまく完成すれば後は大変簡単だからです。 設計図で示される内寸487.4mmの部分です。 この長さとなる12mm厚、18mm厚の板は引き出しの枠のときと同様カンナで成形し直角度出しと寸法を487.4mm±0.1mmに追い込みました。

本体枠を組み上げてしまってからではレールの取り付け誤差が増大する可能性があるので、本体側レールを3.5φ10mmのトラスネジで固定しています。 ネジの長さが10mmしかなく締結力に不安があるため1本のレールに対し6本で固定しています。 そしての木ダボと木工ボンドで本体枠を組み上げました。 板切断面の直角度もかなり正確に出ていますから中型クランプ2個で圧着しただけで正確な長方形の本体枠となりました。

引き出しに引出し側レールをやはり3.5φ 10mmのトラスネジで固定していよいよ緊張の瞬間「引出しの装填」です。 神経質になって寸法正確さに拘って加工してきたわけですから当たり前と言えば当たり前なのですが、何事もなくスムーズに引き出しの出し入れが出来、思わず体の力が抜けた一瞬でした。

まだ引出しブロックは片側しか完成していませんが、次週には残る引出しブロックを組み上げ、中央収納部を追加して本体の組み上げが終了すると思われます。  そこまでの様子は以下の写真でご覧ください。

引き出し枠に底板を貼り付け。 私の標準手法である、隠し釘による接着保持を採用しています。

底板は僅かに大きく切り出してあるため、周りにこのように出っ張りますが、接着剤硬化後カンナで成形します。

切り出した本体引出しブロックを形成する板です。 横の板は長さが478.4mm±0.1mmと高精度成形してあります。

側板に木ダボの穴を上下各3箇所あけました。 この接合部に掛かるせんだん過重は大きくないので、木田3本ずつと木工ボンドだけで十分です。

更に本体側レールを3.5φ 10mm トラスネジで固定しました。 上下の位置を正確に取り付けないと、あとで引出し前板の調整が大変厄介になります。

そして木工ボンドを塗り木ダボを差込み組み上げて、自作木製中型クランプで圧着保持しました。 クランプを充分に締め上げることにより、内寸478.4mmが確保されます。

引出しブロックの完成です。 早速引出しにもレールを取り付けて装填しました。 スチールボール製のスライドレールですからがたが全くないままスーッと前後にスムーズに動きます。 やれやれ一安心といったところです。

ご覧のように引出しの箱全体が外にせり出してきますので、奥のものも真上に取り出せます。

仕切り板を真中と左側に差込み収納テスト。 左側のCD、右側のDVD、共に上には6mm程の隙間が出来て収納されるため、たまに見られる大き目のパッケージでも問題なく収納可能です。

引出しと本体の隙間はレールの厚み12.7mmで決まります。 これを守るため散々手間を掛けさせられたのですが、正確な組立てとなりました。

引出しを引き出した時のレールの動き。 3段式レール構造がお判りになると思います。



2004/11/26

製作その4

もう一組の引き出しブロックを組立てた後に、2つの引出しブロックを中央の物入れ部分で連結する作業に入りました。 この中央の物入れは18mm厚の底板と中央の固定棚、そして12mm厚の上部の連結板で2つの引出しブロックを繋ぎ、高さ可変の棚が2枚追加されます。 またこの収納部には扉が取り付けられますので、それらの予備加工が必要になります。

具体的には連結用に使う木ダボ穴、棚板高さ可変用のニッケルダボ穴、そしてスライド蝶番の座金というわけです。 これらの予備加工を引出しブロックにする前に、一度取り付けた本体側スライドレールは面倒ですが全て外しました。(その理由はスチールボールが接触する部分はグリースが塗られており木屑が付着するとレールがスムーズに動かなくなってしまうことによります。)

棚板高さ可変は25mm間隔で5段階に出来るよう考えましたので、メスのニッケルダボは全部で40個使います。 また木ダボの穴あけも36個所と沢山の穴があけねばなりませんが、それらの前には必ずセンターポンチを使います。  木工であればセンターポンチなど使う必要はない!とお考えの方が結構おられるかもしれませんが、穴あけ位置を正確にしたかったらセンターポンチ使用は必須です。

時々送られてくる質問の中に、「穴が正確にあけられないがどうしたらよいか?」 との問い合わせがありますが、

  ・センターポンチで穴の位置をしっかり定めていないと、穴あけ始めにドリルの先が横滑りして正確にあけられない。
  ・使う木工ドリルがよく切れないと横滑りしやすくなる。
  ・木工ドリルの中でも刃先が対称的に付いたものの方が穴位置がずれにくい。
(mini-Shopをご覧ください。)


の3つが重要であり、センターポンチの使用はそのひとつです。

引出しブロックのそれらの予備加工が終わったらいよいよ組立てですが、ここは知恵を絞って確実に一人で組立てられる方法を取りました。 その為には自作の中型木製クランプがまた登場しますが、その手順は自画自賛ながら卓抜なアイデアだと思います。 それについては後ほどの写真で説明します。

こうして完成した後に接合部の成形と木口面のヤスリ掛けをして天板の固定に進みました。 更に天板前面下に12mm厚保合板の棒を貼り付けて天板木口をヤスリ掛けする所まで進めました。

それらの様子は以下の写真をご覧ください。

この写真でははっきりと見えませんが、引出しブロックの予備加工のための線引きをしました。 引出しレールは外してあります。

穴あけ位置にセンターポンチで印をつけます。 ドリルの横滑り防止のためには面倒かもしれませんが必須の作業です。

穴あけ後ニッケルダボのメスを打ち込んでいるところ。 メスとオスのダボを連結し、メスの溝部分を爪の先で支えて上から玄翁で叩き込みます。

スライド蝶番の座金も取り付け残る予備加工は木ダボ穴だけとなったところです。

接合の第一ステップ。 二つの引出しブロックを棚板幅よりも50mm程空けて並べ、中型木製クランプ3本で囲んでおきます。 更に引出しブロック外側の側板下に10mmの板を挟みました。 写真では判りませんが、ハの字のように引出しブロック二つが立つことになります。

上部の12mm厚連結板に木ダボを差込み木工ボンドを塗り、二つのブロックに数mm差し込んだ状態でクランプひとつを上にずらし、若干締め上げて連結板が外れないようにしました。

中段の棚板に木ダボを差込み木工ボンドを塗って同様に数mm差込み、2つ目のクランプを上にずらして軽く締め外れないようにします。

底板を同様にはめ込んでクランプを少し締め上げて木ダボが確実にはめ込んだら、3本のクランプを交互に棚板が完全に密着するまで締め上げます。 そして両側に挟んだ10mmの板を外して接合終了です。

組みあがった本体。 残る作業は天板の貼り付け、天板前板の貼り付け、引き出し前板貼り、木口テープ貼り、そして塗装となります。 クリスマス直前に納入という感じでしょうか?



2004/12/03

製作 その5

今週は設計図には無い追加加工を施し、裏板と天板を貼りおわりました。

 設計図には無い追加加工は依頼主から裏が見えてもおかしくないように!との依頼が追加であっ
 たためです。  もともとは裏板は4mmのシナ合板を本体の外回りから5mm位内側に貼り付ける
 家具の裏貼りでは良く見かける構造で考えていました。

 しかしその方法ではみっともない見え方をする可能性があるので追加加工ということになったわけ
 です。  また天板の両端は2mm突出するように考えていますが、見かけ上30mmの天板に見え
 るよう仕上げるためには、側板に厚さ2mmのゲタをはかせる必要があります。 この辺りの様子は
 左の追加加工図と後ほどお見せする写真をご覧になるとご理解願えると思います。

これら2種類のゲタの為に工作用のヒノキ棒を使用しました。 12 x 2 x 300mmのゲタ用には15 x 2mmの棒を、10 x 4 x 900mmのゲタ用には10 x 5mmの棒といった具合です。 何れもちょっと寸法オーバーですので貼り付けてからカンナで削ってジャスト寸法にしてあります。

またこれらの棒はクランプなどで圧着する方法が取れないので、仮釘で接着剤が硬化するまで保持しました。 仮釘は直径0.88mmと大変細い釘ですので穴の目立ちにくさは隠し釘以上ですが、細いために曲がりやすくこのような薄い板でないと使いにくいです。 これらの追加加工をした上で裏板を貼り付けてから天板を貼り付け、前面に12mm厚のゲタを貼り付けて残る加工は木口テープ貼りと塗装前のペーパー掛けということになります。 かなりテンポが遅いですが、平行してスピーカー作りやクリスマスアイテムを作っていますのでやむを得ません。

仮釘で保持した2種類のゲタというかスペーサー。 左は厚み2mm、幅15mmで右は厚み5mm、幅10mmのヒノキ棒。 

次に裏板を木工ボンドで貼り付け。 これも仮釘で保持しています。 そして裏板やゲタの棒が上面面一となるようカンナで成形し、

上面を下にして天板を貼り付け。 これの保持には25mmスレンダースレッどネジを使いました。

更に前面の下駄となる12mm厚の棒を貼り付けました。 これもネジで保持しています。

加工終了後の右手前の角。 ゲタを貼った上に木口テープを貼ることにより30mm厚の天板に見えるようになります。

同じく右後の角。 裏板の切り口はゲタとゲタの間に埋まり、綺麗でない切り口は見えなくなります。

随分手間取りましたが本体の組立ては巻く板を貼るだけとなりました。 本体と幕板の接合は引き出し前板と共にペーパーがけを済ましてからとなります。



2004/12/10

製作 その6

木口テープを貼り付ける面を替刃式ヤスリM-20GP)で表面のザラツキを落とした上で、木口テープを貼り付けました。 大半は18mmの厚さですから22mm幅のテープを使っていますが、トップの部分は見かけ上30mmの厚みですので、35mm幅のテープを使用しています。 木口と同じ幅のテープを貼れば無駄が出なくなるので一見良さそうですが、木口テープを製造する上で切断面は余り綺麗でないためはみ出すように貼り付けて余分な部分を切り落とす方が綺麗に仕上がります。  木口テープの貼り方の詳細はこちらを参照ください。

次が塗装面全面のペーパー掛けです。 シナ合板の面は大変きめ細かで一見ペーパー掛けなどしなくてもよさそうに思えますが、きちんとペーパーを掛けたのとそうでないのとは塗装の出来栄えが大幅に変ります。  塗装の下地作りがきちんとできると良好な塗装が50%は確保されたも同然と言われますが、正にその通りであり下地が旨く出来ていなければどんなに塗装を旨くやっても50%の出来栄えしか得られないということです。

方法としては傷や浅い凹みが無ければ#240で軽く研磨、そして#400でつるつるに磨き上げることになりますが、 今回は継ぎ目の段差落しが一部あったので、その部分は#120から始めました。  本来なら外に出して電動サンダーでやりたいところだったのですが、家内が外出し傷をつけることなく一人で運び出すのは不可能なため屋内で手研磨とすることにしました。  上述のように3段階に分けてペーパーの粗さを変えていますから作業時間は大変掛かり結局研磨だけで2日以上費やしてしまいました。  非常に疲れましたが結果としてはそれだけのことはあり後掲の写真のとおり極めて良好な下地が出来たと思います。

以上が終わってからスライドレールを再度取り付け、引き出しの前板を固定して前板間の隙間の出具合を調整・確認し始めたところまでしか終わっていませんが、来週は間違いなく塗装作業にかかれそうです。

木口テープを貼る前に本体を寝かして前板、扉、幕板を置いて寸法に全く問題のないことを一応確認しました。

そして木口テープを貼りペーパーを掛けて軽く面取り。 これは18mm厚の引出し前板のアップ。 こうなると合板には見えません。

中央収納部の固定棚と側板の木口。 ぴったり突合せが決まりGoo!です。

木口テープを貼った後の天板手前右角。 げたが旨く効いて30mm厚に見えます。 先週見せた無様な写真とは大違い!

こちらは右手裏の角の按配。 やはり先週掲げた写真と比較してください。

電灯光下で撮影したため赤味が強いが、引出し前板を半分仮止めした状態。 引き出し間の隙間は約1mmで設計どおりになっています。 この後塗装後に慎重に微調整をして完全固定しなければなりません。



2004/12/17

塗装そして完成

ラストコーナーをまわりいよいよゴールまで後僅かです。 ステインによる着色とニス塗りに入りました。

依頼主と色について確認しているのは着色ニスのチーク色(明るめのやや黄色味が強い茶色)でした。 この色を出すには2通りあり第一がチーク色の着色ニスで塗ってしまう方法でこれなら色の再現性の問題はありません。 しかしこの場合濃さについては塗り厚でコントロールするしかなくなり濃度斑が出やすくなる可能性があります。

それを防ぐにはニスに薄め液をかなり加え一度に濃度が高くならないようにし、回数が多い重ね塗りをせねばなりません。 バスレフ型ミニトールボーイの台座はこの方法で仕上げましたが5回塗りで希望の濃度になりました。 これでは時間が掛かりすぎますし家内はプッツンする寸前ですからもっと早く仕上げる方法にする必要があります。

第二の方法としては好みの色にステインで着色しニス塗りする方法です。 ステインによる着色段階で色味と濃度は固定されますから、2-3回のニス塗りでOKであり、トータル所要時間は前者より早いですし濃度斑も出にくいので今回はこの方法ででやることにしました。

但し問題がひとつあり、ポアステインにはチーク色がありません。 そこでポアステインでチーク色カラーサンプルに近しい物を作りだすべく数時間数色のポアステインを少しずつ混ぜながら端材に塗ってみてこれなら良いだろう!というものを作り上げました。

その組み合わせは、ゴールデンイェロー1本全部、ワインレッド1/4本、マホガニーブラウン1/5本、オーク3/5本というもので、総量がほぼポアステイン2本分になりますが、水で3倍に薄めて2-3回塗りとして丁度良い量にしました。

ニス塗りはつや消しクリヤーとの要望でしたが、1回目の塗装にはつやありクリヤーを使います。  その理由は、塗装1回目にはニスの殆どが木材に吸い込まれてしまうのですが、最初からつやなしクリヤーを塗るとその中に含まれるつや消し剤(顔料の一種です。)が吸い込まれずに表面に残り白っぽい斑点が出来てしまうことがあるからです。  また塗り斑を無くし伸びを良くする意味で薄め液を20%加えて塗装しています。

一晩乾燥させて翌朝2回目の塗装をつやありクリヤーニスをやはり20%の薄め液を加えて実施しますが、その前に#400ペーパーで表面のザラツキを軽くさするようにして取り除き、きっちり搾った雑巾で削りカスをぬぐい完全乾燥させておきます。

塗装後3時間もすれば完全に乾きますが、再び#400ペーパーで塗面を軽く研磨し3度目の塗装をして終了です。

夕方には前板の取り付け、扉の取り付け、幕板の固定などの作業ができ、これで完成となりしました。 製作開始から1.5ヶ月と少々時間が掛っていますが、何しろ厳しい工作精度が要求されていたことと、一時他のテーマとの同時進行があったためやむを得ません。

これで一応クリスマス前には納入との約束を果たすことが出来ましたが、そのゴールまでの様子は以下の写真でご覧ください。

チーク色を出すために使ったワインレッド、ゴールデンイェロー、マホガニーブラウン、オークのポアステインと試し塗りのサンプル(左がチーク色の着色ニスで右がポアステインで作り出した物。)

ステインで着色後の左手前角。 天板は僅かに濃くなるよう3回塗りで、他は2回塗りとした。 赤味が強く見えますがニスを塗ると黄味が増加するはずです。

ステイン着色後の乾燥風景ですが、ソファーなどをステインで汚さないよう細心の注意が必要で、リビングルーム日曜大工そのものです。  これでは長期間の作業ともなれば家内が機嫌悪くなるのも当然ですね?!

今回使ったニス塗装の材料と道具。 ニス、刷毛は何れもmini-Shopで販売している物です。

つやありクリヤーを一回、つやなしクリヤーを2回塗って終了ですが、天板は少し濃い目に着色した違いが光の具合ではっきり見えます。

つやなしクリヤーの光具合はこんな感じです。 にぶーい反射としっとりとした滑らかな感触が上品な感じを与えます。

天板前面部分の光具合。 見ようによっては塩ビシートを貼ったように見えるかもしれませんが、質感が全く違うリアルウッドです。

引出し前板は裏から25mmスレンダースレッドネジ6本で固定し、ツマミ、スライド蝶番を扉に固定、幕板を固定して完成です。 光の当り具合、見る角度で色味がかなり変りますので以下の数カットもご覧ください。

最終的な手前上部右角のアップです。

引出し前板の上下の隙間は現物合わせで極限まで詰めてありますので、全引出しの位置を変更するとあたりやこすれが発生します。

縦方向の隙間は4mm幅ありシンプルな外観の中でアクセントになります。 ツマミはmini-Shopでも販売している「ドリーム K-6」。 上品な質感を持った金属ツマミです。

正面から見ると濃度が高く見える扉もこの角度では引出しのほうが濃度が高く見えます。

中央収納棚の扉を開けたところ。 上と下の棚板は5段階の高さ可変。

扉に使用したスライド蝶番は9mm半被せタイプで、私の定番となっています。

 依頼主に納入後設置された様子が送られてきました。 要望をすべて満たせられたようでホッとしていますが部屋にうまく
 溶け込んでいるようです。


 
  
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