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最良の切断方法
2013/04/26

最近『子供用作業台』を掲載していますが、これは私の孫用に製作したものです。 私の孫は5歳になり来年小学生になりますが、工作が大好きで玄翁を握り釘で色々な端材を打ち付け合いながら抽象的なオブジェを作るのが大好きです。 そしてノコギリで切断するのも好きなのでそれを助ける道具として考えたのが『子供用作業台』です。

これの設計に関しては私にとって新発見とは行かないまでも、モヤモヤと頭の中を巡っていたあることが極めて明快になったことがありました。 それは正確な切断をする方法でした。 ノコギリで正確な切断をする方法は、2004年1月16日に『ノコギリ選びとマスター法』として紹介しています。 そこの内容は2002年から2003年末まで私が日曜大工教室の講師として累計300名ほどの方に手ほどきをした際に経験したことを元にまとめています。

『子供用作業台』を設計するに至った背景はそこでの解説の延長線上にありますが、より明確で論理的な考え方になった!と言えます。 言わば孫に教えてもらったようなものです。

『子供用作業台』を設計する前に私の使っている作業台を元に孫にノコギリの使い方を教えました。 そして作業台の高さ(419mm)は高すぎることは判っておりましたから、15cm程の厚みの箱を孫の踏み台として使いました。 そしてあれこれとノコギリの使い方を教えていたのですが孫曰く、『ジージ!僕はそんなにできないよ!』と言い出しました。

私はハッとして何故彼が突然そんなことを言いだしたのかを考えました。 まず私が何を指示したかですが、『切断する材料(4 x 4の角棒)を作業台に載せて片足で動かないよう支える。 そして切断する。 切断終了間際に切落し部分を片手で支えてやる。』という3つの動作です。  日曜大工をかなりやられる方ならあまり疑問を持たないかもしれませんが、全く未経験の孫にとっては、『とてもそんなに出来ない!』と訴えていたのです。

実は日曜大工教室の講師をしていた時にも孫のように言葉に出していないものの何かネガティブな反応を受けたことがあります。 それらは全て女性でしたが判然としないまま過ぎてしまいました。 それをふっと思い出しピーンときました。 そうです彼女たちも『そんなことは出来ない!』と感じていたに違いないのです。 子供は思ったままに口に出したのですが、大人であるために口に出すのはためらっていたのでしょう。

要するに切断作業というのは切断動作だけではなく、材料を保持する動作(脚か腕を使う。)、切り落とす材料を抑える動作の3つ全てか2つが同時に発生します。 そうすると最も神経を集中してやらないといけない切断の動作に集中しにくくなり、結果として切断がうまく出来ない可能性があります。 そしてこの現象は慣れない初心者であるほど起きやすいです。

これを解決するのが、『切断する材料の切断線の両側をクランプで作業台にクランプしてやる。』 ということになります。 そして熟練者であってもここ一番の大事な切断作業の時には、材料の両側をクランプで止めて両手両脚全てで切断の動作に完全集中したほうが良いということです。

次に2004年1月16日に掲載した『ノコギリ選びとマスター法』の中の写真をお見せします。 そしてその後に孫に言われて気がついた最上の切断作業方法の写真をお見せします。 それらを比較すれば後の写真は前の写真の延長線上にあることが十分ご理解願えると思います。 早い話がクランプがあるかないかだけですが、言うまでもなくこれが実際には大きな違いを生み出します。


 以下の10枚の写真とその説明は、2004年1月16日に掲載した『ノコギリ選びとマスター法』の中に使われているもので、
 ノコギリで精度の良い切断をする方法です。 これらをご覧になって判るように切断する材料の保持は片足を使っていま
 すが、切断に慣れてしまえばこの方法で特に問題はありませんし片手切断より遥かに切断精度を出しやすいです。




私が使っている高さ42cmの2台の工作台で、タテヨコが近しい物はこのような並べ方で使い、

長い材料の切断などではこのように並び替えて使います。

常に切断点の真上から見下ろすのが原則です。 肩の力を抜き、腕はノコギリが正しく前後に往復することに専念します。

ノコギリの傾きはこの程度が適当。 切り離される部分が台の上に残るので、切り終わり部分に欠けや割れが出ません。

以上を心がければこのような精度の高い切断が可能。 鉛筆の線に対し0.2mm位の誤差に収まっており、カンナで容易に切り幅の修正できます。 (使用ノコは翔250)

板厚18mmに対して0.2mm位傾いていますが、カンナで簡単に直角度を修正できる範囲に収まっています。

こちらは角棒を直角に切る方法で2面に線を引き両方の線が見えるよう目の位置は真上から少し前方に移動します。

目の位置を保ちながら最初の切込みを爪に沿わせながら入れます。

目の位置を保ち常に両方の線を見ながら切って行きます。 切り落とす部分がもう一つの台に乗っている点に注目。

2つの線に完全に沿って切れていることが判ります。 このように作業が出来るコツは正しい姿勢しかありません。


 それに対して次の2枚の写真は上の3番目、4番目、9番目に置き換わるもので、材料の固定にクランプ(商品名ではバク
 マクランプと呼ばれるワンタッチで締めつけが完了し、特に柔らかい材料でない限り傷防止の当て板不要の作業性の良
 いもの)
に置き換えられている。




長物の切断には作業台を長手方向に繋げ、また長方形から正方形に近くなると、作業台は連結ではなく並べてやり、バクマクランプで材料の両側を作業台に固定します。(写真ではクランプを2本使っているが更に2本使うと完璧!) 何れの場合もノコギリはその間を通します。 この方法ですと作業者は最も楽で直線切断と垂直切断を最もしやすい姿勢が取れます。 そして初心者のみならず上級者でも、ここぞ!!という場合には有効な切断方法です。

ソーガイドを使った切断においても同様で、材料は単独でまたは切断ガイド板と共にクランプで作業台に固定します。 この場合左手はソーガイドが動かないよう押さえつけることになり片手切断となりますが、そのことが切断精度の低下には繋がりません。



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