2008/01/18
複数のLEDを点灯する方法
実際にLEDを使う場合パイロットランプ的な使い方ならいざ知らず何らかの照明となると多数のLEDを使わねばなりません。
その場合どのような点に注意すべきかを考えるのがこの項目の目的です。
電球を複数点灯する際には直列に電球を繋いでやる方法と並列に繋いでやる方法がありましたが、LEDの場合も同様に直列接続と並列接続が考えられます。 そしてここでも常にLEDは電流駆動すべき部品だ!という考え方が基本で最も重要です。
先ずLEDを直列接続した時の駆動方法について触れてみましょう。
3.5V、20mAのLEDを3本に電流制限抵抗1本を加えた最も簡単な回路は次のようになります。
抵抗値が大きくなればなるほどLEDに流れる電流は安定しますが(定電流化)それに応じて電源電圧は上昇させねばなりません。 この例では乾電池を20本以上も使うことになり、何かアンバランスのような感じがします。
次は抵抗の替わりに定電流ダイオードを使った例です。
抵抗だけで電流制御しようと考えた時よりも低い電源電圧で済みしかも電流の安定度は飛躍的に改善されます。 これであれば実用性は大変高いです。 また定電流ダイオードは抵抗よりも高価ですが使用量は1本で済みますから費用負担の増加も少なく、この点でも有利です。
ひとつだけ難点を挙げると電流値は固定され微妙な調整が出来ないことが挙げられます。
次は電流制御にシリーズレギュレーターを使った例です。
更に低い電源電圧で高い電流安定度が得られます。 ちょっぴり複雑にはなりますが、LEDに流す電流の微調整もここで使う抵抗値を調整することで可能ですから、定電流ダイオードを使った場合よりも更に効率の良い駆動方法になります。
もうひとつのメリットは電源電圧の変化に対する耐性も定電流ダイオードを使ったときよりも高く、この例では電源電圧が50V-14Vの間で変化しても安定した電流を送り出すことが可能です。
一方LEDの並列接続の場合にはどうなるかと言うと、
3本のLEDそれぞれに抵抗を直列に繋いだ上でそれらを並列接続します。 抵抗値の計算方法はLED1本の時と全く同じですし、使用する電池の本数も同じです。 LED1本の時との違いは電池の消費電流が3倍の60mAになりますから動作時間もそれに応じて減少する事くらいなものです。 LEDを直列に繋いだ時と比較すると電源電圧は低くて済みますが、LEDそれぞれに抵抗を繋ぎますので、使用部品の数は増えます。
次の方法は電流制御の抵抗使用本数を節減しようと、並列に繋いだLED3本トータルでは60mA流れる筈!と考え、抵抗を算出した例です。
この方法でも一見問題なさそうですが、実は余り良い方法ではなく個々のLEDに流れる電流のバラツキが生じ易く明るさの斑の原因になります。 またばらつきが極端な場合には一部のLEDに過大電流が流れて破損し、その後残りのLEDへの電流が増加して次々に破壊してしまう可能性すらあります。
何故こんなことが起きるのかというと、複数のLEDの両端の電圧を同じにしてもそれぞれに流れる電流は異なる性質があるためで、1本の抵抗で済まそうとする場合は正にこれに相当します。 どうしてもこの方法を使いたいときにはLEDを選別して同じ電流を加えた時に両端電圧が等しい物を使うべきです。 (この辺りのLEDの変わった性質については後ほど詳しく解説します。)
次の方法はLEDそれぞれに定電流ダイオードを繋いでから並列に接続した場合です。
流れる電流は極めて安定しますのでお勧めの駆動方法ですが、LEDの本数分定電流ダイオードが必要になりコスト負担が大きくなります。 また定電流ダイオード両端が然るべき電圧範囲に収まるように配慮しないとなりませんから、電源電圧はやや高めになります。 この定電流ダイオードをシリーズレギュレーターに置き換えたものもありますが、更に部品点数が増えてしまいますので、面白くありません。
以上が複数のLEDを駆動する方法のあらましですが、整理すると次のようになります。
1.部品点数の増加を抑えたいのであれば、LEDを直列にしたほうが有利である。 但しこの時に直列にするLEDの本
数が増えるにつれて電源電圧を高くしないとならない。
2.電源電圧を低く抑えたいのであれば、LEDを並列に点灯したほうが有利。 但し個々のLEDに電流制御の部品
(抵抗や定電流ダイオード)を必要とするので、部品点数は増加してしまう。
こんなことから沢山のLEDを点灯させようとする場合には、駆動する電源に合わせて直列と並列を組み合わせてやることが多くなります。 例えば自動車用のバッテリー(24V)を使い30本のLEDを点灯する回路の一例を紹介しておきます。
上の図がそれですが、5本のLEDを直列にしてそれに定電流ダイオードを繋いだ物を6組並列にしています。 自動車バッテリーの出力電圧範囲は30-24Vと考えられますので、図中のように定電流ダイオードの両端に掛かる電圧は12.5-6.5Vの間で変化します。 そしてこの変化範囲であれば正確な20mAの電流が確保され安定した駆動ができます。
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