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LEDの使い方 1
2008/01/03

省エネ型電気スタンドを製作する過程でLEDの使い方について基本的な解説をしていますが、実際に設計してみると使う場面、使用する電源、駆動方法などの違いによりかなり工夫しないとならない局面が出てきます。 ここでは様々なLEDを使った作品を設計する中で気がついた更に突っ込んだLEDを正しく使う方法について解説しておきます。

最初に重複しますが省エネ型電気スタンドで解説したことを掲げておきます。 これらが基本の基本となります。

LEDと電球の違い

その後電気回路の検討を更にしていますが、電気を使って光を発生するという動作上は全く同じLEDと電球の違いについて少々触れておきます。
最近ではホームセンターでもLEDを求めることも可能ですから、LEDを使って何らかの工作をしようと考える方も多いかもしれませんが、例えば2.5Vの豆球に電池2本を直列に繋いで発光できるように、LEDに電池を繋いで発光させようとすると問題を起こす可能性があります。 これはLEDの性質に由来するためですので、基本原則をよく理解してやる必要があります。


電気抵抗値の温度係数

電気抵抗にはその物質の温度が高くなると抵抗値が上昇する物質と逆に下がってしまう物質があります。 前者を正の温度係数と呼び後者は負の温度係数と呼ばれています。  結論から言うと「電球」は正の温度係数をもっている電気部品で、「LED」など半導体で作られている部品は負の温度係数を有しています。  具体的にどのような違いがあるかを具体例で説明しましょう。

AC100Vの40Wの電球の周囲温度が上昇したとすると電球の抵抗は高くなるために流れる電流は抑えられ(I = E ÷ R)、消費電力が減少し発熱量が減少しますから電球の温度が下がり周囲温度とバランスが取れて落ち着きます。(下の図の上の状態。)

LEDで同じ場合にどうなるかというと、周囲温度が上昇すると抵抗値が下がりますので、流れる電流は増大します。 そうするとLED自身の発熱量は増大しその為に抵抗値が更に下がって流れる電流は増大し・・・・を繰り返して遂には破壊に繋がります。
熱暴走と言う! 下の図の下の状態


以上の例は動作する電圧が一定の場合に言えることですが、流す電流を一定にした場合には次のようになります。
AC100V 40Wの電球はオームの法則(I = P ÷ E)により0.4アンペアの電流が流れます。  電球の周囲温度が上昇すると抵抗値が上昇しますが、流れる電流は一定ですから電流上昇に応じて消費電力も上昇します。(P = I2 x R) よって電球の温度は自己加熱により更に上がり抵抗値も増大し消費電力が増大・・・・を繰り返し熱暴走し破壊に繋がります。

一方LEDに流れる電流が一定で周囲温度が上昇した場合抵抗値は下がりますので消費電力は減少します。(P = I2 x R) この為自己発熱が減少し抵抗値は増大しますので消費電力は上がり自己発熱で温度が上がり・・・と周囲の温度によりどこかでバランスが取れて安定します。

このように電球とLEDは、動作電圧が一定の時と動作電流が一定の場合では全く反対の挙動を示し、電球は電圧(定電圧)で使った方が動作を安定させやすい部品で、LEDは電流(定電流)で使った方が動作を安定させやすい部品ということになります。

2.5Vの豆球を点灯させるの電池2本を直列に繋ぐだけで済むのは電圧駆動だからですが、LEDの点灯に同じ電圧駆動すると熱暴走で破壊する可能性が極めて大です。 ホームセンターで販売されているLEDの小袋には一緒に数本の抵抗が入っていることが多いですが、これはLEDに流れる電流を制限するためのもので、駆動する電圧に適切な値の抵抗を選ぶ必要があります。

電流駆動の方法

 LEDを熱暴走で破壊しないようにするには定電流駆動すれ
 ばよいことが判りましたが、最も簡単な方法はLEDと直列に
 抵抗を繋いで駆動します。 この方法は余程抵抗で損失と
 なる電圧がLEDに掛かる電圧よりかなり高くない限り定電流
 駆動とは言えませんが、簡単にLEDを駆動する方法です。

 例えば動作電圧2.0V(多くの赤色LEDはこの付近の電圧で
 動作する。)
、20mAが規定の電流値、絶対に30mA以上の
 電流を流してはいけないというLEDを乾電池2本で点灯する
 場合には、乾電池の出力電圧(3.0V)からLEDの動作電圧を
 差し引いた1.0Vの電圧降下を得る抵抗の値を計算します。
 (1.0V ÷ 0.02A = 50Ω)  この50Ωの抵抗をLEDと直列に
 繋いでやればよいわけで、明るすぎる場合には抵抗値を増
 やして電流を下げれば明るさは減少します。

 ところで乾電池の出力電圧は一定ではなく新しいうちは
 1.6V程度あるのが普通です。 従って2本直列に繋ぐと3.2V
 の電圧となりますが、LEDに掛かる電圧2.0Vを差し引いた1.2が抵抗に掛かりますので流れる電流は、(1.2V ÷ 50Ω = 24mA)と増大するもののLEDに流す電流の上限値(30mA)に対して十分ゆとりがありLEDが破壊するようなことはありません。  以上が電流制限抵抗の計算方法です。

以上の電流制限抵抗を直列に繋ぐ方法は簡単ですが、電源電圧が比較的安定している場合に限られます。 上記の例では電池電圧が0.1V上昇ですから約6.7%上昇ということですが、例えば似たような直流電源である自動車内のバッテリー電圧では標準電圧が12Vであっても発電機が作動している場合には15V近くまで上昇します。(25%上昇)

また交流100Vを直流に変換して使おうと言う時にも電圧変動は±10%は起こりうると考えて設計しないとなりません。 そのためには抵抗での電流制限では限界が来てしまうので、本格的な定電流駆動を考えないとなりません。

 そのいちばん簡単な方法は電流制限抵抗を定電流ダイオードに置き換
 える方法です。  それだけで駆動電圧のかなりの変化に対しLEDに流
 れる電流を一定にしてくれますから、極めて動作が安定します。

 石塚電子は定電流ダイオードで知られたメーカーですが、その中にLED
 駆動に適した定電流ダイオードがあります。 例えばL-1822という製
 品では20mAの定電流を得られますが、メーカーの動特性データーから
 見た駆動電圧の範囲は、制御する電流値を10%減(18mA)まで許すと
 すれば、LEDの両端電圧+(3V〜18V)になります。
 3.5Vの白色LED2本を直列に繋いだ場合には、7V + (3〜18)ですから、
 10Vから25Vが駆動電圧範囲となり自動車バッテリーに好適です。

 抵抗を置き換えるだけでOKという簡単な方法ながら極めて安定した作動をする定電流ダイオードですが、電流値を調整できない、駆動電圧がかなり大きくなってしまうなどの問題があります。  そういった場合には本格的な定電流駆動回路を組んでやるしかなくなります。 とはいっても現在ではICと抵抗1本で実現できますので、それ程敷居が高くなるわけではありません。

 左の写真は、可変出力シリーズレギュレ
 ーターICのLM317という物で、大変ポピュ
 ラーで安価ですが、これに抵抗を右の図
 のよう.に接続すると流す電流を任意に設
 定可能です。 入力電圧範囲は、
 (3.5V〜40V) + LED両端電圧、0.8A程度
までの電流に使え保護回路も入っていますから大変安定に作動します。

私が考えているLED電気スタンドでは3.4VのLED 32本を直列(108.8V)
で使おうとしていますが、LM317を使った場合抵抗を42Ωとすれば、
112.3V〜148.8Vの入力電圧に対し安定した30mAの電流をLEDに供給
できます。  これは交流電圧に換算すると82Vから108Vになりますか
ら、電灯線電圧を5%程下げてやれば±10%の変動があっても85.5V〜
104.5Vが駆動交流電圧となりますので、LED電気スタンド用に使えると
踏んでいます。



以上が基本の基本であるのに対してより掘り下げた解説をして参ります。

LEDを駆動する電源

・ 電池(乾電池、ニッカド、ニッケル水素充電池)
 電池には様々なものがありますが、我々が工作しやすい対象としてマンガン乾電
 池、アルカリ乾電池、ニッカド充電池、ニッケル水素充電池に限定します。
 (右写真は高性能ニッケル水素電池のエネループ(左)とアルカリ乾電池)

 これらの出力電圧は公称で乾電池の場合には1.5V(新品の場合には1.6V位。)
 ニッカド充電池とニッケル水素充電池は1.2Vと、0.3Vの違いがありますが、使わ
 れる機器ではどちらでもOKな場合が多いのが実体です。
 これはそれらの電池の使用限界電圧を同じ1.0Vとした設計が多いことと、ニッカド
 、ニッケル水素電池では繰り返し使用の寿命低下を避けるため1.0Vを下限使用
 可能電圧と規定している等の理由によります。

 以上を整理すると、

   乾電池使用の場合: 最大電圧は1.6V、最低電圧は1Vが標準動作電圧範囲だが下限はシビアーではない。
   ニッカド、ニッケル水素充電池の場合: 最大電圧は1.2V、最低電圧は1Vが動作電圧範囲で下限で使用停止が重要。
   両方を使えるようにしたい場合: 最大電圧1.6V、最低電圧1Vが動作電圧の範囲、下限での使用停止は重要。


 となります。  また必要な電圧を得るために複数の電池を直列にしたり、DC-DCコンバーターを使って昇圧して使うような場合
 も考えられますが、電池1本辺りに着目すると以上の点を守らねばなりません。

・ 12Vまたは24Vの自動車バッテリー
 言わずと知れた自動車内で使う場合ですが、同じ電池とは言ってもかなり考え方を変えねばなりません。 なかでも公称12V
 或いは24Vとされている出力電圧ですが、充電中には15V前後まで増加します。(24Vの場合には30V前後) 下限については
 特に考えることはなく12V(または24V)が常に確保されていますから、動作電圧範囲は上限15V、下限12Vとして設計すること
 になります。

 自動車用ではありませんが同じ鉛蓄電池の仲間のシール電池を使うケースが稀
 にあるかもしれません。  その場合には充電中に動作させることは先ずないで
 しょうから上限の電池電圧は12V強ですが、下限電圧については残り容量をどの
 程度にするかで決めねばなりません。  と言うのは、シール電池ではニッカド電
 池やニッケル水素電池と異なり空っぽになるまで使用せずある程度の容量まで
 低下したら使用を止めて充電することが繰り返し使用寿命を延ばす上で必要です。

 以前私が天体写真撮影に狂っていたころに12V 15AHの大容量シール電池を天
 体望遠鏡駆動用に使っていましたが、消費電流が300mAで2晩連続使用(多め
 に見て25時間)としていました。  この時に満充電量の半分を使ってから充電と
 いうことになりますが、充電池メーカーの説明で50%放電時の繰り返し使用寿命
 は400回以上というのを守ったためです。
 右写真は20年前に使っていた200mmと100mmの望遠鏡駆動用電源。
 右に見える2つのオレンジ色は12V 15AHと6V 4AHのシール電池で左のケースに発泡スチロールで保温して入れて使用。
 約25時間(2晩連続徹夜)の電源をこれで賄っていた。


 おおよその目安としては12Vシール電池の電池電圧は残容量が100%で12.6V、75%で12.4V、50%で12.2V、25%で12.0Vとして
 使用停止電圧を設定すればよいでしょう。

・ 電灯線(AC100V)
 電灯線を使う場合には電気代のコストが比較的安く済むのがメリットですが、コンセントが近くに必要なのと使う電圧を目的に合
 わせてコントロールする必要性があるために、電源回路のコスト負担が増えてきます。
 AC100Vを使う上で最も考えるべきは電圧の変動と雷などの外部からの極めて高い衝撃電圧による破壊です。  前者の電圧
 変動についてはその昔戦後のインフラ整備状態が悪い時には公称100Vが90V以下に低下してラジオがまともに動作しない
 なんてことを記憶しています。  さすがに現在ではそこまでの電圧変化はないようですが、電気機器メーカーは±10%の電圧変
 動では問題が起きないよう設計しているようです。 つまり90Vから110Vの電圧変動があると考え設計することになります。
 この考え方は我々アマチュアの製作でも踏襲したいところです。

 後者の雷などによる衝撃電圧は短時間とは言え一瞬にして破壊されます。 これに対する耐性アップは技術的に難しいものの
 何らかのサージ゙電圧アブソーバーを組み込みたいところです。 原始的ですが雷がなっているときにはコンセントからプラグを抜
 くという心がけで対処する分にはコストはかかりません。

 AC100Vをそのまま整流して使う手もありますが(省エネ電気スタンドはそのタイプ)、より低い電圧に変換して使うほうが感電
 防止の観点から有利なので、トランスで減圧して直流電圧にしたりスイッチング電源の使用が考えられます。
 特にスイッチング電源は交流電圧の変動を吸収してしまい安定した直流電圧を取り出せるので大変便利であり、トランスを使う
 場合よりも軽量・コンパクトに出来るメリットがあります。 コスト的にはトランスを使うよりも不利ですが大きなコスト差ではなく何
 と言っても安定した出力が簡単に得られるのでお奨めです。

 AC100Vを直接整流して使う場合には電圧変動や衝撃電圧に耐えられることや扱う電圧が高い(最大で140V位になる。)事か
 ら十分に練られた設計を必要とし結構敷居が高くなりますが、コスト的には有利です。



2008/01/11

LED駆動法の良し悪し

1本のLEDを光らせる場合でもその電源によって注意すべき点が異なることは前回お伝えしましたが、具体的な例でそれらを深く理解していただこうと言うのがこの項目の目的です。 LEDは標準で3.4Vで20mAで駆動させるとし30mAが許容しうる最大電流だと仮定します。

乾電池で駆動
1本辺り公称1.5Vの出力電圧ですから最低で3本を直列にしないと点灯できません。 但し電池の下限電圧を1Vとすると3本の場合には3Vしか出ませんからその前に大幅に明るさが低下するか点灯しなくなってしまう可能性があります。  そこで電池を4本直列した場合の計算をしてみます。



最初の試算は乾電池の最終電圧(4.0V)の時にLED駆動の標準電圧(3.4V)になるようにしてみます。 この時余分な電圧は抵抗が被ってくれればOKですから計算式は図の最上段の 4.0V-3.4V)÷0.02Aで抵抗値が求まり(オームの法則です)、35Ωがその答えです。 これで電池がその寿命に到達した時にLEDには標準電流が流れますから所定の明るさになりますが、一方電池が最も元気な真新しいうちにどうなるかと言うと2段目の式がその計算ですが何とこの場合には86mAもの電流がLEDに流れます。 許容する最大電流値は30mAですからその3倍近くが流れるわけでLEDは短時間でブチッという音がして破損するか極端に寿命が短くなってしまいます。  従ってこの考え方は間違いです。

次の試算は電池の最大電圧でLEDに標準電流を流した場合です。 3段目の計算がそれですが、(6.4V-3.4V)÷0.02Aで答えは150オームです。  これで電池が寿命になったとき(4本で4V)にどうなるかと言うと4段目のようにLEDを流れる電流は4mAとなります。 この電流は標準電流より遥かに小さな値ですからLEDが破損することはないものの明るさは20mA流した時に比べるとかなり低下してしまいます。

三番目の計算は公称電圧時に標準電流となる試算です。 計算式は図中のごとく、(6.0-3.4)÷0.02Aで130Ωと求められます。 そしてこのときに4.6mAが電池の寿命時に流れる電流で上の場合より0.6mA多いですからちょっぴり明るさも高くなりますが、標準電流に比べると大幅低下には変わりません。

最後の計算は最大電圧時に25mAをLEDに流すという仮定でのものです。 標準電流より多いですが、最大許容電流までにはまだ5mAありますから、破壊や大幅な寿命の低下の心配は少ない!という想定です。  その答えは120Ωの抵抗値とすればよいわけですが、電池が寿命となったときにはLEDを流れる電流は4.8mAまで低下します。

以上4通りの計算の中で実用上(長時間使っても)問題ないのは1番目を除いた3つの計算例で、抵抗値としては120Ωから150Ωを使えば良いという結論になります。


ニッカドまたはニッケル水素電池
電池1本辺りの最終電圧は1Vで乾電池と同じですから4本使います。 電源として異なるのは最大電圧で4.8Vになります。


計算の仕方や考え方は乾電池の時と同じですので図中の計算式をご覧頂くとして結果としては3通りの中で1番目は乾電池の時と同様やってはいけない考え方であり、2-3番目が適切な使い方になります。 面白いことに電池が空っぽになった(1本辺り1V)の時にでも8.5mA-10.7mAの電流が流れますので、乾電池の場合よりも終了電圧時の明るさは高いということです。  どうしてこのような結果になるかというと最大電圧と最低電圧の差が影響しています。  LEDの破壊を防止するためには電池の最大電圧時に標準電流で計算するのが適切ですが、そうすると抵抗値は最大電圧が高ければ高いほど大きくなり(上の計算では最大電圧の高い乾電池の場合120-150Ωであるのに対しニッカド・ニッケル水素電池では56-70Ωになっている。)抵抗で食われるロスが大きいことによります。

これで導かれる結論としては、抵抗を使ってLEDを駆動する場合電源電圧の変化が大きい環境ではロスが大きくなりしかもLEDの明るさの変化も大きい(流れる電流の変化が大きい!)ということになります。  これは抵抗で電流制限する場合には部品として大変安価ですが最も気をつけねばならない点です。


より安定したLEDの駆動方法
次の図は乾電池を9本使ってLEDを駆動した場合の試算です。  たった1本のLEDのために何で電池を9本も使うの?との疑問が出るやも知れませんが、ものの考え方のために必要なことですので計算結果を良くご覧下さい。


興味ある事実は乾電池を4本使って駆動した時よりも電圧が変動した時のLEDに流れる電流の変化幅が小さくなっていることです。  最初に試算した乾電池4本の時に対して1番目の時ですら(これでも推奨しない計算結果だが)流れる電流は少なくなっています。 また2番目から4番目の試算での終了電圧時のLEDの明るさは十分実用に耐えると思えるレベルになっています。

これはどういうことかというとLEDがより定電流駆動に変化していることの現れです。  そして挿入する抵抗値が大きければ大きいほど定電流駆動になってゆきます。 但しこの時には同時に抵抗でドロップする電圧も大きくなりますから電源電圧をそれに応じて増やさないとなりません。 9Vの電源電圧になってしまったのはそのためです。

ここで見方を変えて次のような状態が出来ないか考えてみることにします。


LEDと直列に接続する抵抗値は最大電圧で標準電流としたときに550Ω、終了電圧時に標準電流となるようにしたときに280Ωとなるように、またその間の電圧の時にはそれに応じて電流が20mAになるように抵抗値が変われば常にLEDの明るさは一定になります。  実はこの動作を実現したものが定電流回路でありいろいろな方法がありますが、そのひとつとして抵抗を定電流ダイオードという部品に置き換えると(ある条件が付きますが)実現できます。  実例を挙げると次のような回路がそれです。


赤丸に横棒がくっついたような記号が定電流ダイオードの記号ですが、L-1822という名称の定電流ダイオードで石塚電子製ですが、それを使用した例です。  電源電圧は上と同じ9Vとしていますが、終了電圧時の明るさが若干暗くなってもよければ、電池を1本減らしても9Vに抵抗を使った時よりは明るさの低下(電流値の低下)は少なくなります。

ところで定電流ダイオードを使う時のある条件というのは、定電流ダイオード両端に掛かる電圧は適切な値になっていないといけない!ということで、この電圧はロスになります。 L-1822の場合それは5-10V近辺です。 この電圧が高すぎると定電流ダイオードは破壊に繋がりますし、低すぎると流れる電流は低下してしまい機能しなくなります。(適切な電圧幅は使う定電流ダイオードにより異なってきます。)

定電流駆動を実現するもうひとつの方法は次のようなものです。


ちょっぴり複雑な回路となり使う素子の数も増えていますが、上の定電流ダイオードを使った時に比べて優位な点があります。 それはシリーズレギュレーターで発生する損失電圧が定電流ダイオードの時より低いことです。(但し流れる電流が増えると損失電圧は増えてきます。) LEDを駆動する20-30mA程度であれば、LED駆動電圧に3Vを加算した値を最低の電源電圧として考えて良いでしょう。  従って定電流ダイオードでは5V以上の損失を見込む必要があったのに比べ低く収まっています。  このために電源電圧は低く押さられますからここでは7本の電池で実現できています。 もうひとつADJ端子とOut端子間の電圧1.25Vは極めて安定しておりますのでそれを抵抗で割った値(LED駆動電流)は定電流ダイオードに勝る安定さをもたらします。

以上LEDを1本駆動の場合として様々な例を挙げてきました。 そして最後の方になればなるほどより安定した駆動方法となりますが、どれを選ぶかは実用性、電源へのコスト負担、LEDの明るさの変化の許容範囲などを勘案して決めねばなりません。(LEDが破壊するような設定は論外ですが)

 

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