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折畳式日時計
 2007/06/01

構想
6月10日は時の記念日です。 エレクトロニクスの発展で高精度の時計が安く入手できるようになりましたが、時計の原点というべき、線香時計、水時計、砂時計、日時計を振り返って見るのもなかなか興味があります。  その中で日時計についてはかなり前に「正確な時刻が読める日時計」の製作を紹介しています。 その際必要な条件を入力することにより文字盤を印刷できるフリーソフトを使っていました。 そして実用性がかなり高い物であったのですが、日曜大工或いは工作としては外観的にいまいち面白くない面がありました。  そこで如何にも日曜大工らしいそして製作難易度が低くて精度もまずまず、文字盤も自由に作れる物を考えて見ました。

その昔携帯日時計として考えられた物こちらを参照ください、他にも日時計に関する様々な情報が得られます。)がありますが、基本構造はこれを踏襲した物で折り畳んで薄くなります。  これで徹底的に時刻の読み取り精度を上げた物(誤差5分以内直読可能?)にもチャレンジして見たいと考えていますが、ここで紹介するのは簡略版で半日で十分完成するものになっています。  学習用にも最適ですからもう直ぐ始まる夏休みの宿題にも使えると思います。

 さて若干の学習ですが今回の日時計を作る上でポイントにな
 る部分を整理しておきます。 今回作る日時計を立体的に描
 き表すのは大変難しいので、似た構造のコマ型日時計で解説
 します。 

 1.日時計は地球の北極と南極を結ぶ線(地軸・極軸)に平行
   な線(ノーモンと呼ぶ)の影を時刻表示として読み取る。

 2.その文字盤の目盛りが平行な線から等距離に刻まれてい
   ると、時刻の変化に対し目盛りの間隔は比例する。
   (目盛り盤がノーモンに直交する場合は目盛り間隔15度が
   1時間になる。)


 3.日時計を使う位置における緯度に対する調整はノーモンと
   水平面がなす角度を緯度に一致させればよい。

 4.日時計を使う位置における経度での標準時との差の調整
   は、経度の差分だけ目盛り盤を回転してやれば良い。

 5.近似差(太陽南中時刻が季節により変化する現象。)の補
   時刻表示の精度改善で重要。 


以上が全て守られればは5分以下の時刻の読み取り精度も可能ですが、工作精度と設定の精度が極めて重要になり難易度が高くなりますので、今回は5.を省き理論上の表示精度が±15分(季節により変わります。)を目標にします。

さて内容的に以前製作した日時計とあまり変わらないように思われますが、今回の物は目盛り盤がノーモンと直交する!という点が違います。 以前のものは目盛り盤は水平でしたがノーモンに直交するタイプは目盛り盤は赤道と平行になります。 図に示したのはその一例でコマ型日時計と呼ばれ、目盛り間隔が等間隔になるので作りやすい利点があります。 但し秋分の日から春分の日の間は太陽の傾きが低くなりノーモンの影は目盛り盤の裏側に出来てしまいますが、今回作る物はその問題を解決しています。

さて冒頭の方で今回作る日時計は携帯日時計をアレンジした物だと書いていますが、具
体的には折畳式になっているものの携帯出来る物として想定しておりません。
その理由は小型にするだけならば簡単ですが、精度を維持するのが大変困難になる為で
す。  従って使わないときには比較的薄く折りたためて収納しておける物とご理解くださ
い。  その折畳んだ状態でのイメージが右の図で、右側が折りたたんだ物を横から見た
ところです。(クリックで拡大します。)

このイメージ図では寸法は全く記載していません。 これはサイズの自由度が高いことを
意味しており、ある寸法上の条件さえ満足すれば大きさや厚みは自由です。
また使う材料は身近にある端材などを流用できますから、コスト的にかなり低くなるでしょ
う。  但し設置のために水準器、コンパス、そして精度の高い目盛り盤を作るためにパソ
コン、プリンター、そして画像編集ソフトが必要ですが、これをご覧になっている方はパソコ
ンやプリンターをお持ちでしょうし、画像編集ソフトもシェアウェアやフリーウェアで賄うことも    折り畳んだらこんな風になる筈です。
可能だと思います。




2007/06/08

テンプレートの作成

 今回製作する日時計はテンプレートを上手く作ってしまえば簡単に出来ます。
 テンプレートと言っても円を幾つか描いて、そこに時刻を読み取る目盛り、製作上重要な線を書き
 込むだけです。(左の図を参照)  また完成サイズをある程度予測(±5mm位で)しながら作れ
 ますし円の大きさ設定の自由度も高いです。 
 そこでお馴染みのExcelを使ってこのように描けばOKとばかり作業解説をしようとしましたが、大
 きな問題が見つかりました。  それは描いた図形の精度が不十分なことです。

 私がExcel 97で設計図面などを描き始めたのはもう10年前ですが、その当時は描いた図面の寸
 法誤差はA4サイズにプリントして最大で+0.7mm程度でした。
 しかし今回一応描き上げた図面を印刷したところA4の長手方向で+7mm、短い方向で−3mmと
 なり描いた円は誰にでも潰れた円にしか見えないものになってしまいました。

 原因を色々考えては見たのですが、10年前に使っていて今でも変わらないのはExcel 97だけ
 で、OSは Windows98SEから現在はWindows2000を経てWindowsXPに、プリンターはその当時のEPSONから3台買い換えて現在はキャノン PIXUS iP7100(インクジェット)とブラザーのHL-5070DN(レーザー)に変わっており、それらが使うドライバーもOSの変化に連れて変更が加えられています。  従って何がその原因かを突き止めるには過去の組み合わせでの検証をしないとなりませんが、今更そんなことが出来るわけありません。

精度の高いテンプレートを作れなければ殆ど意味がありませんが次のような方法で実現できます。

テンプレートを自分で作って見たいと思われる方へ
私は問題のExcelで強引に精度の高いテンプレート(印刷後の寸法誤差0.2%以下)を描いてしまいましたが、これはExcelの裏の裏まで知っていないと出来ない(一般のExcelの解説本では全く対応不能)ノウハウがあって始めてでき、それを解説するのはあまり意味があるとは思えませんし、組み合わせるプリンターが異なった場合の誤差のブレを考えると一般的ではありません。  そこで本格的なCADを使って描くことをお奨めします。

本格的なCADと言ってもフリーウェアで優秀なJW CADなどを使われれば費用的な負担は軽くすみます。 (JW CADは窓の杜のこちらからダウンロードできます。) チャレンジする気がある方は日曜大工の設計全てをJW CADにこの機会に変更してしまう手があります。 自分でテンプレートを描く時の条件など押さえるべきところは次に説明します。

テンプレートの描き方

 左の図を参考にしてください。 これはExcelで描いたものをコピーしてファイル化したものでこれを
 印刷しても縦・横の精度が低くしかも分解能も低いので使い物にはなりませんが、これと同じよう
 な図を印刷後に寸法が正確に出るプログラム(CADがその例)で描けば良いわけです。

 最初に同心円を4つ描き上げます。 最外周の円の直径はA4サイズの紙でテンプレートを作る場
 合、17-18cmあたりが最も大きいサイズになるでしょう。 この時に完成した日時計は幅と奥行き
 が20cm前後で高さは15cm前後(高緯度になるともっと高くなりますが。)になります。
 それよりも小さくしても構いませんが、描画や工作の精度が低下するため時刻の読み取り精度も
 低下します。

 図でベージュ色の外側のリングとクリーム色の内側のリング2つはテンプレートを板に貼り付けて
 ジグソーで切り抜いて使います。 また外側のリングの下にくっつけたような緑色の部分には蝶
 番を固定しますので、蝶番の幅に合わせて決めればよいでしょう。
ところで各部の寸法自由度は高いですが、完成して使用状態にした時の見栄えを考えると、北緯30度から38度近辺までの場合はABの長さの比率(B/A)は三角関数のTAN(緯度)に近い方が良いと思われます。

そのために住んでいるところの正確な緯度・経度をGoogleのサービスを使って調べます。  こちらをクリックして空欄に住所を入力するだけで得られますが、参考までに私の住んでいる所は緯度 35度31分3.202秒(35.517556,) 経度 139度27分12.114秒(139.453365)と求められました。  求めた緯度と経度の数値(紫色の小数で示された値)を0.5度刻みの一番近い値で記録しておきます。(私の例では緯度35.5度、経度139.5度となります。)

TAN(緯度)の値を求めるには、Excelのセルに、=TAN([緯度の値] * PI()/180)と入力すれば求め
られますが、これが面倒な場合には右の一覧表で求めてください。 
この表ではAの長さを100mmとした場合のBの長さを求めるようになっています。 Aの長さを変え
たらそれに比例してBの長さも変化させればよいです。  但しこの方法でAとBを決めると高緯度
地方では外側のリングと内側のリングが重なってしまうようになり、低緯度地方では緑色が下に
ぐーんと伸びてしまい面白くありません。 次回に述べる製作解説では、下駄を履かせることにより緯度の違いによる調整方法を説明しますので、私が描いた緑色の部分の出っ張りの程度のままでも構いません。 従って次週の解説も参考にして外観上これなら良し!という方法を決めていただいても良いと思います。  ということでお分かりのように、ここの寸法は何mmにしないといけない!!なんていう条件はありません。 大変自由度が高いという所以で、これは加工精度も同様です。

2つのリング上には色々な目盛や目印が入ります。  先ず内側のリングですが、ここに時刻の目盛を描きこみます。 半円(180度)を12時間で均等割りにしますので、目盛の間隔は1時間辺り15度となります。 分単位の目盛りは20分毎とすると5度間隔になりますので描きやすいと思います。 20分間隔というとかなり荒っぽいようですが10分程度は十分に読み取れます。 

外側のリングの上端と下端には経度の補正目盛を描きこみます。 ここでは日本国内何処でも使えるテンプレートにするため、1度間隔で中心の135度から左右に15本ずつ書き込みましたが、住んでいる地域に合わせてその線だけを記入しても良いです。(例えば私の場合には経度が139.5度ですから中心の135度から右へ4番目と5番目の目盛りを描き込みその中間を使うようになります。 内側のリングの時刻目盛で言えば12時20分の位置が5番目の目盛となります。)  下側の目盛はその反対側に書き込みます。

外側のリングの6時と18時の延長線上には「回転軸芯」の線が引かれていますが、これは後ほど内側の円盤を外側の円盤からネジを打ち込んで固定する時のネジ位置の目印になります。 描画上は12時と中心を結ぶ線と2つの回転軸芯は直角にならないとなりません。

以上の時刻目盛経度補正目盛回転軸芯の線は正確に描かれていないと読み取り精度にシビアに影響します。
以上の描き込みが終わったら印刷してみて4つの円がいびつになっていないかどうかを確かめて
テンプレートは完成となります。 (右の写真をクリックしてご覧下さい。)

Excelで正確なテンプレートが描きにくいとの問題が出たためその解決策検討で時間を食ってしま
い製作解説は次週になりますが、工作そのものは大変簡単に進みます。

私の勝手な推測では近似差によるずれを一覧表などで補正する事にしたとすると(近似差については先週の解説をご覧下さい。)10分以内の精度で時刻が読み取れる日時計が作れるはずなのですが、さあどうなりますか??
外観的にも今までにないユニークな日時計になり、ニスで綺麗に仕上げれば、飾り物にすることも出来ると思います。



2007/06/15

製作の詳細

皆さんが製作される場合には以下の製作解説の全てを読んで理解してから開始してください。 特にサイズ、各部の寸法などは日時計を使う場所によって工夫や追加加工をしないとならない場合があります。

使用する材料

板: 木口に直径2-3mmのネジを正確に打ち込む必要があるので、厚さは10mm前後が作りやすいと思います。 私は手持ちの12mm厚シナ合板を使いましたが、合板MDFランバーコア集成材OSBなどが候補になります。 ムク板でも無論構いませんが、反りが出るとまずいので十分枯れた物にしたいところです。  また木目を生かした外観としたい場合にはMDFやOSBは不向きですが、日時計としての性能には関係ありません。

ネジ: 内側の輪の回転軸になります。 余り太いとネジの中心がぶれ易いので、太さ2-3mmで長さが30mm程度の木ネジが良いでしょう。 2本使います。

蝶番:なるべくがたの少ない物を1枚使いますが、多少のガタは荒技で修正します。 長さが50mm前後のステンレス製が良いでしょう。

ゴム紐: ゴムを布でくるんだ断面が1-2mm程度の細いゴムひもが25cm程必要です。 手に入らなければ、細めのタコ糸と輪ゴムで作れないこともありませんが、輪ゴムは劣化が早いので交換しないとならない手間が掛かります。

M4-M5のボルト3本: 水平出しの調整用に使います。 ツマミがあるとベストですが、普通の六角形の頭のボルト、ヘクスキーで締め付ける六角ボルトでも支障なく使えます。 長さは台盤の板厚プラス20mmもあれば良いでしょう。

M4-M5の爪付きナットか鬼目ナット3個: ネジ径はボルトの太さに合わせます。 どちらでも使えますが、安定性では鬼目ナットの方が簡単に固定できて長期使用でも安定します。 爪付きナットでは抜け止めの工夫をしないと外れやすくなります。

木口テープ: これは絶対必要な材料ではありませんが、合板やランバーコアで作った場合にはその切り口に木口テープを貼り付けてやると見違えるような外観に変貌します。

塗料: これも日時計の読み取り時刻精度には全く関係ありませんが、今回提案する日時計はインテリアとしても面白い外観になりますので、是非とも塗装して仕上げてください。 木目を生かせるようにニス塗りがベストですが、MDF、OSBを使った場合にはペイントの塗りつぶしとすれば良いと思います。


加工・製作上の要点

台盤と2つのリングを作る板
板の大きさに付いてはテンプレートの図形より大きい板を2枚とします。 後ほどお見せする写真を参考に適宜決定してください。 私は横190mm、縦(奥行き)200mmとしています。

テンプレートの貼り付け
工作用の糊で板にテンプレートを貼り付けますが、塗装前に剥がしますので水で溶ける昔ながらの糊にします。 板の表面に糊を伸ばしてその上にテンプレートを両手で持ち弛みが出ないよう軽く引っ張って載せ、上から抑えるように貼り付けます。 この時に皺が出来ないよう注意が必要ですが、皺が出来てしまった時にその部分を横方向に擦るとテンプレートが伸びて目盛りが狂いますので注意が必要です。

切断
テンプレートが完全に乾燥したら電動ジグソーで切断し2つの輪としますが、ここでの切断精度は外観上は別として時刻読み取りの精度には影響しません。 よって電動ジグソーでの曲線切りの練習と考えても良いでしょう。

時刻目盛り
最終的にテンプレートは剥がしてしまいますので時刻目盛りを写し取っておく必要があります。 ここではカッターナイフで切込みを入れてやりますが、この方法が最も正確で細い目盛りの写し取りになると思われます。

ノーモンの固定
外側の輪に穴をあけてゴム紐を使ったノーモンを固定しますが、この取り付け位置精度は時刻の読み取り精度に影響します。

内側のリングの回転軸固定
細い木ネジを内側のリングの回転軸として固定しますが、この固定精度も読み取り時刻の精度に直結します。 またこの作業時には日時計を使う場所の経度に対する補正をしますので、慎重に進める必要があります。

蝶番の加工と固定
蝶番の回転軸と羽の間のガタは完全に無くしたいので若干の荒技を使います。 また蝶番の固定の位置精度も重要ですので、後ほどの写真と解説を良くお読みください。

緯度の調整
台盤に2つの輪(繋がっている)を蝶番で固定してから日時計を使う場所の緯度に合わせて角度調整をしないとなりません。  そして低緯度或いは高緯度ではかなりの下駄を履かせる必要が生じますが、後ほどの写真とその説明で理解してください。

以上面倒だなー!!と思われるような表現になってしまいましたが、読み取り精度を上げる為の観点からそうなっているので、例えば誤差を気にしないのであれば、かなりおおらかに作っても問題ありません。(それでもインテリアとして使える物が出来ると思います。)

ということで、製作手順と抑えるべきポイントの更なる理解は以下の写真と解説をご覧下さい。 尚以下の写真の説明文の頭にが付いているところは慎重に出来るだけ正確に作業しないと時刻の読み取り精度に影響する工程です。

テンプレートの図形よりも大きな板が2枚必要です。 ここでは12mm厚シナ合板を190 x 200mmに切断しました。

その板に糊を塗ってテンプレートを貼り付け日陰で自然乾燥(乾燥を速めるため太陽に晒したりヘヤードライヤーで加熱するのは不可!)させます。

電動ジグソーでテンプレートの最外周の線に沿って切断します。切断精度はあまり重要ではないのですが、完成後の出来栄えは無論正確なほうが綺麗になりますので、線の0.5mm程外側を切断し切断後ヤスリで削ってやれればベストです。

切断が終了した状態です。 この写真では良く判らないと思いますが、切断誤差は+0.5mm位に収まっています。

次に最外周よりひとつ内側の円ととその隣の円の間の隙間(約4mmあります。)2-3mmのドリルで近接した穴3個をあけてその穴を繋ぐよう削ります。(円には接しないよう注意!)

そうしたらその穴にジグソーの刃を挿し込んでそこから切断します。(順序はどちらからでも良いのですが、線を越えてしまわないよう切断に注意しながら2回円周切断をして、幅4mmの隙間を削り取ります。)

2回円周切断して切り離された板です。

同様に一番内側の円に沿って切り抜きます。

切り抜いた2つの部材の切断面はヤスリで削ってやると見栄えが良くなります。 私はその目的で3種類の替刃式ヤスリを使いました。 右から円筒ヤスリ(DR-1000P+DR-800P用替刃)、平ヤスリ(M-20GP)自作直角ヤスリです。

替刃式ヤスリで切断面を削り、切断線ドンピシャとなるまで修正研磨しました。 ここまでやらなくても時刻の読み取り精度には関係ありませんが、見栄えには影響します。

更に切断面には木口テープを貼りました。 これも絶対に必要な作業(加工)ではありませんが、更に見栄えを改善しようとした例です。

目盛り線にカッターナイフで切り込みを入れます。 木材面に書き込むよりもシャープで精度の高い目盛りになります。 なるべく簡単に済ませたい!という方は、テンプレートを最後まで剥がさずテンプレートの目盛りをそのまま使っても良いでしょう。

これは重要で慎重にやらないといけない作業です。 台盤の上に2つのリング盤をこのように並べて矢印の先の隙間は目分量で等しくなるように置きます。  そして定規を次に説明するような位置に慎重に合わせます。

上部は日時計を使用する場所の経度に相当する目盛り(ここでは私の現住所の139.5度に合わせた。)と12時の線を一致させます。

下部も日時計を使用する場所の経度に相当する目盛りと12時の反対側の線が一致するように定規を合わせます。

その調整が終わったら2枚のリング盤と台盤をこのようにクランプで固定し動かないようにします。

ノーモンに使った細いゴム紐(頭髪用)とリングの回転軸に使った細い木ネジ2 x 25mm)です。 ネジは太いほど組立て精度が落ちます。


 ここからの数枚の写真は外の明るさが残りながら暗いので白熱電灯の光で照らして撮影したため、色温度が大幅に狂っ
 て変な発色になっていますが、ご容赦下さい。




外側のリング2箇所の回転軸芯位置に2mmのドリルで貫通させた後、内側のリングに深さ3mm程の下穴をあけます。
この穴の位置の精度は時刻の読みとり精度に影響しますので、慎重な作業が必要です。

ところで正確に垂直にあけるには自分自身で上から見て水平方向が直角になるように定めた後に、別な人(私は家内に頼みました。)に右の写真のように真横から見てもらい上下方向が直角になる位置を教えてもらって穴あけをします。

これは一人では出来ませんが、実用性がかなり高い垂直に穴をあける方法です。

穴が開け終わったら細い木ネジを締めこみます。 いきなり片側を締め込んでしまうと内側の円が引き寄せられやすいので、2本のネジを交互に締めたほうが良いです。

締め終わったらリングを回転させてこのように2つのリングが直角に交わるようにします。 真中に見える黒ポチが締めこんだネジです。

次に外側のリングの135度の位置2箇所にも2mmの貫通穴をあけて、そこにゴム紐を通し軽く引っ張った状態で両端にタンコブを作って抜けないようにします。(赤矢印がゴム紐ノーモン)

そして台盤の上に置きました。 実はこの状態で2つの赤線がなす角度はおおよそ35度位になり、大半の地域ではこのようなスタイルのセッティングになります。

それを斜め上から見たところ。 無論まだ使い物になる状態ではありませんが、使用状態ではこんな見え方をします。 複雑な曲線の組み合わせなので構想段階で外観のイメージをお見せできませんでしたが、綺麗にニスを塗ったらインテリアにもなる!と私が説明した理由がご理解できると思います。 

これは余談ですが、実はこの日時計は赤道直下でも或いは南極・北極でも使える構造になっています。 左の写真と右の写真はそのようにセットした状態にリングユニットを置いたのですが、どちらがどちら用になるか?お判りになりますか?

リングユニットを台盤に蝶番で固定しますが、蝶番はステンレス50mm幅)を使いました。 写真のように玄翁で軸の周りを叩いて羽と軸のガタが無くなるように加工します。

それと台盤には磁気偏角調整線をカッターナイフで切り込んでおきます。 住んでいる地域の磁気偏角の値は、国土地理院のサイトのこちらから求めることが出来ます。

先ず蝶番をリングユニットの出っ張り部分に固定しますが、蝶番の軸はノーモンの線の延長線と直角にならないといけません。

次に台判に蝶番のもう一方の羽をネジ止めしますが、ノーモンの延長線と台盤の中心線が一致するようにします。

正確に蝶番が固定されていれば、リングユニットを台盤の上に倒した時、台盤の中心線と一致します。(赤矢印先)

もうひとつの確認。 リングユニットを立てた時には、曲尺をこのように当てた時にノーモンは曲尺と平行にならないとなりません。 以上が狂っていると蝶番の固定が正確になっていないことを意味します。

最後の作業は緯度の調整です。 私は北緯35.5度の所に住んでいるのでそのように作っていますが、高緯度や低緯度では調整法が変わってきますので、図をクリックしてその要領を理解してください。 何れの場合でも2つのリングは直交した状態を保ったまま調整されないとなりません。

下駄の厚みは緯度調整量により変わりますが、V字状の溝を彫って内側のリングが溝に嵌る位置に接着します。
私の場合、 = 189mm(L) x Sin(35.5度) = 109.8mmの高さに下駄で調整しています。(下の写真も参照。)

下駄に内側のリングがはまり込んだ状態で、この時に内側のリングと外側のリングは直行した状態を保っています。

そして外側のリングの角の高さが、台盤面から所定の高さ(私の例では109.8mm)になっていればOKです。


 緯度調整作業は決して難しくはありませんが、外側のリングと内側のリングが直交状態を保ったまま、V溝を彫った下駄
 の高さと位置の微妙な調整が必要で、数回のカットアンドトライが必要になります。 しかし一旦調整が済み下駄を接着し
 てしまうと、[折り畳み ←→ 使用するため開く] の操作時に所定の正確な位置に簡単にセットできます。



これで機能的には完成しました。 これは折り畳んだ状態で、ノーモンはゴム紐ですので内側と外側のリングの間に折れ曲がりながら収まっています。 幅190mm、奥行き200mmで折り畳んだ状態での厚みは24mmしかありません。 また斜めに見える切り込みは磁気偏角調整の線で、こうしてみるとコンパスは南北を指す! なんて、当てにはなりませんね?

使用状態に起こしたところです。 接着した下駄のV溝に内側のリングを開きながらその角を落とし込めば、何も考えなくてもリングユニットは所定の位置に正確に収まります。 塗装すれば十分にインテリアとしても使えます。

今日は6月13日で調べた所近似差が殆どない日であることと明日は曇りのち雨との予報で、実働試験は今日やるしかないとばかり屋外に持ち出してセットしました。 磁気偏角調整の様子と左上にちょこっと見える水準器で水平の確認をして腕時計と共に真上から撮影しました。

上の写真の腕時計とノーモンの影部分を拡大した写真です。 予め時刻調整をしてある腕時計は174分を指しています。 そして日時計のノーモンの影は17時ちょっと過ぎにあります。 1目盛りが20分ですから172-3分といったところでしょうか?  極めて精度が高そうですが、何らかの製作・組立て誤差はありながら、それらが総合されてたまたま都合の良い状態になったとも考えられるのでこれが全ての状態での精度を表すとは言えないにしても、誤差10分以内には入っているのでは?と勝手な想像をしています。

機能的には一応完成したのですが、水平出しを容易にするための機構の追加、秋分から春分までの間の読み取りのための追加加工、そして塗装により見栄えを改善する作業が残っているので、それらは次週お伝えします。 また各緯度に対するSinTan値の一覧表、磁気偏角に対するTan値の一覧表など、より簡単に製作するための参考資料とテンプレート頒布のお知らせも次週に致します。
取り敢えずは実用に十分耐え「日時計は不正確!」という濡れ衣を払拭できる物が出来たようでほっとしています。



2007/06/20

完成度を上げる作業

今回製作した日時計は先週の段階で機能的な部分は全て完成しており、これからやる作業は精度には無関係ながら見栄えを良くする作業や更に使いやすくする作業です。  従ってそれらをやらなくても実用上は一向に差し支えませんが、愛着を持って使い且つインテリアとして耐えられる物とするには是非とも実施して欲しいと思います。

塗装
特に詳しくは解説しませんが、日時計を一旦ばらして2つのリングに貼り付けたテンプレートを水に漬けて完全に落とし日陰で完全乾燥させます。 その後台盤共々サンドペーパーで仕上げ研磨をして表面をつるつるにしてからそれぞれを違った油性着色ニスで塗装しました。 これは水性のニスでも構いませんし色は自由ですが、内側のリングだけはノーモンの影が見やすいように明るい色にした方が良いでしょう。

目盛りの刻み込み
塗装が完全に乾燥したら時刻目盛りの切り込みにもう一度カッターナイフで切込みを入れて墨を細い筆で流し込み、はみ出た墨は雑巾で拭ってしまいます。 こうすれば時刻目盛りはくっきりと読み易くしかもシャープな感じに仕上がります。 更に時刻目盛りを輪の内側に延長して切り込みここにも墨を流し込んでやると、秋分から春分の間の内側の輪の上側にノーモンの影が出来ない季節にも時刻を読み取り易くなります。  時間表示はまだ手をつけていませんが、インスタントレタリングを使えば最高です。 それらが終わったら透明クリヤーニスでその上から1回塗っておけば文字消えにも強くなります。

水平出しを容易にする仕掛け
実際に日時計を使う場所が水平であることはまずありません。 そこでネジを使って水平出しを容易に出来るよう追加加工をしま
した。  使用したネジはM5 x 30mmの六角ボルトと鬼目ナット各個です。
実際に調整する時は、1本のボルトを引っ込めておき残り3本のボルトで描く3角形の中間
辺りを押さえながらで水平を出した後に、引っ込めていたボルトを設置場所に当たるまで
出してやれば良いです。

以上で全てが終了ですが、それらの作業の様子及び連続して6時間テストした様子などは以下の写真と解説をご覧下さい。

また補足ですが、この日時計から読み取った値に近似差の補正を加えるとより正確な時
刻が求められます。 現在近似差はほぼゼロに近いですが、1年を通じて右のグラフのよう
に変化しており多いときには16分以上のずれを生じます。

テンプレートを水で洗い流して乾燥後塗装しました。 時刻目盛りリングだけは読み取り易さを考え油性ウレタンニスの生地仕上げとしています。

それほど丁寧な塗装をしているわけではありませんが、それでも3色の塗りわけでぐっと見栄えするようになったとおもいます。

内側のリングに見える時刻目盛りの切込みにもう一度カッターナイフで切込みを入れ、そこに墨を塗って直ぐにぬれ雑巾ではみ出た墨を拭き取ります。

内側のリング内面に時刻目盛りを延長してカッターナイフで切り込み、ここにも墨を入れ拭き取ります。 こうすると秋分の日から春分の間の時刻の読み取りがし易くなります。

水平の調整にはこのようなM5の六角ボルトに鬼目ナットを4個ずつ使用しました。 理屈の上では3個で十分なのですが、台盤に3個を適切な位置に固定できなかったので、4個としています。

台盤に7.5-8.0φの穴をあけて六角レンチで鬼目ナットを捻じ込むだけですから簡単に終わります。 水平調整はネジの頭を指でつまんで回すことでやります。

全ての加工作業が終わり完成した折畳式日時計。 折り畳んだ状態でもこのように使用状態でも以前作ったものよりもインテリアになるでしょう。 時刻の数字だけがまだ入っていませんが、都心に出た折に購入して入れるつもりです。

使い方は簡単。 磁気偏角の調整線に完全に平行にコンパスの磁針がなるよう調整することと、水準器を使って台盤が完全に水平になるよう4本のボルトを調整すればOKです。(この場合コンパスの目盛りは全く無視して構いません。)


 前後しますが予報が外れ快晴であったので、水平調整機構を組み込む前に我が家の庭にて読み取り出来なくなるまで
 約1時間おきに時刻読み取りのテストをしました。 水平は紙等をテーブルの下に挟み水準器で調整。 方角はコンパス
 にて磁気偏角分を調整。 テストの間腕時計だけは直射日光に晒したくないので、撮影の都度置いています。
 無論テスト終了まその他には一切手を触れていません。 テスト開始は6/17 AM 8:10です。



日時計はこのように屋外用のテーブルに置きました。 テーブルの素材はアルミの鋳物なので、コンパスによる方角調整での誤差は起きないと思われますが、鉄で覆われた家屋との距離が方角調整に影響する距離かどうかは不明です。

テスト開始。 腕時計は約8時10分強を指しています。 日時計のほうは8時と8時20分の丁度真中辺りで8時10分ということで若干マイナスの値です。

約1時間後の9時14分少し前に撮影。 日時計のほうは9時20分の目盛りに1/3-1/4目盛り接近していますから、9時13分から9時15分辺りで少しプラスの値かもしれません。

腕時計では10時02分辺りに撮影。 日時計のほうは10時の目盛りにノーモンが重なりよく判らないので、右下に部分拡大した写真を入れました。 すると10時を僅かに過ぎて指しているらしいことが判りほぼ違い無しです。

ほぼ11時丁度に撮影した写真では日時計のノーモンは再び11時の目盛りに重なっているためこれも部分拡大し目盛りを右下に載せました。 おぼろげながらノーモンの影はほぼ目盛りの中心(11時)を指しているように思われます。

次は正午2分弱前に撮影しました。 ノーモンの影は12時の目盛り上にありますが、右下の目盛り拡大写真を見れば判るとおり、ノーモンの影が12時の目盛りを丁度覆い始めたたところで、12時少し前であることが確認できます。

うっかりしていて次の写真は13時15分少し前に撮影。 ノーモンの影は13時と13時20分の中間(13時10分)より13時20分寄りにあり2分程マイナス表示になっていると思います。 

日時計のノーモンは14時丁度辺りを指しています。 一方腕時計のほうは14時3分辺りでマイナス3分あたりで、午前中の時より誤差は大きくなったかな?と思います。

残念ながらこのテーブルは15時前に建物の陰に入ってしまったので、テストはこれで終了です。 この後表示誤差が拡大したとしても先週の初めての試用も含め5分以内には収まると思います。 また誤差の発生原因には数多くのエレメントがあることと角度などの測定精度を高めることが手持ちの道具では困難なため、原因分析はほぼ不可能です。

しかし実用性という意味で5分以内で読み取れるならば十分ではないでしょうか?


----- 完 -----


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