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小さな踏み台
2009/03/06

構想1

久し振りの日曜大工入門テーマですが、今回は私の孫用に依頼されたテーマで、その名は小さな踏み台です。
孫の一人(優真君)は現在1歳7ヶ月になるところで、どんどん成長していますが、洗面化粧台を始め自分でなにかをしたい時大人の上背で作られた物ですから届かず困っています。

そこで彼専用の踏み台が必要ということで依頼されました。 高さは23cmとの事ですが、身長もどんどん伸びているので高さを変えられる構造の方が長く使えるかもしれません。 また優真君自身が運べるよう極力軽くしながらも強度が充分にあることが重要です。

 簡単に作れるテーマですが以上を念頭に置いて外観の構想を考えました。
 左の図が現在考えている構想図で、材料としては18mm、12mm、4mmのシナ合板で、
 12mmの両面に4mmを貼った物を横方向の板に、18mmは枠構造の側板に使います。

 ひっくり返すと指定の高さ23cm以外に5cm低くした18cmの高さで使えるようになります。
 一時は更に高さ可変とすることも考えたのですが、強度を確保しながら重量を削減する
 方向と逆になりますので、2段階の高さで使えることとしました。

 重量についてはフラッシュ構造や枠構造を使い軽量化を図ります。 フラッシュ構造や枠
 構造にしないほうが簡単に作れますが、重量を見積もったところ約2.4kgとの計算結果で
 した。  これではまだ2歳にならない幼児には重過ぎますので、フラッシュ構造と枠構造
 を使うことにより重量の軽減を図りますが、この図面の状態での見積もりは約1.8kgと
600g軽くなっています。 理想的には1.5kgを切りたいところですのでもう一ひねりしようと考えています。 従って最終的には大きさ、構造共に変わってくるでしょう。



2009/03/13

構想検討の続き

基本的な完成後のイメージは前回ご紹介した物で良いとしても、重量が1.8kg(正確には1.85kg位になると思う。)ではもうちょっと何とかしたい所ですので、更に追加検討し前回の物も含め5種類の中で考えることにしました。

ここでお断りしておきますが、製作した物の重量見積りは、全て板の比重を0.47という値で計算しています。 つまり1cm3の重量を0.47gとしているわけです。 この値は手元にある18mm合板の端材の重量と体積を測定して出しましたが、結構幅があるので1枚ほどの端材の平均値として0.47としています。 材質や乾燥状態の違いで実際には多少の差異が発生する可能性もありますので、ご承知おきください。

 左はその中の最初の3種類でそれらの違いは使う板厚と抜き穴の違いにあります。
 最上段は前回ご紹介した物で、側板の板厚は18mm、踏板は4-12-4mmの3枚の合板を
 貼りあわせた20mmで考え、重量軽減のためにフラッシュ構造や抜き穴があり、重量見
 積もりは1.85kgです。

 2番めは側板の抜き穴の大きさと位置を変更し、踏板を4-9-4mmの17mmに変更し重量
 軽減を図っています。 抜き穴については1番の側面図を見てお判りのようにどうみても
 美しいとは言えないので、位置の変更と拡大を同時にしています。 これで見積もった
 重量は1.52kgといきなり目標にしたい数値に近くなりました。

 3番目は1番目と同じ踏み板の仕様のままで、側板の板厚を14mmと4mm減少させ、側板
 の抜き穴は2番目と全く同じです。 見積った重量は1.54kgと僅かに2番目より重くなって
 います。 この14mmという値の合板は標準品にはなく一般には15mm厚になってしまい
 ます。 私の手元にはたまたま14mm厚のムク材があるのでこんな設計を考えたのです
 が、15mm厚とした場合には重量が1.57kgに増加してしまいます。
 いずれにしても2番目より若干重いですが、踏み板の厚みが20mmであることは、撓みが
 出にくくなることと側板との接着面積が増えて強度アップにも繋がるので、バランス的に
 は2番よりよいように思われます。

 さて1番目は重過ぎるという点を問題視していたわけですから1.5kg強となった2番目ある
 いは3番目に絞り込みたいところですが、横方向の撓み強度改善の補強材を追加し、側
 板と踏み板の厚みを減らして重量は行って来いの関係で軽量化を図れないだろうか?
 との考えが頭をよぎりました。 その際のメリットしては、抜き穴加工やフラッシュ構造と
 いう面倒な作業がなくなる点にあります。 また使う板厚も12mmのみとして調達も簡単に
 なるでしょう。

という前提で考えたのが右の4番目と5番目です。

前にも申し上げたように全て12mmの材料にしてあり、かなりの軽量化が計れると踏んで
いたのですが、4番目の重量は1.76kgと1番目に対し90gしか下がりません。
そこで補強の板を1枚にして抜き穴を入れたのが5番目なのですが1.67kgと2番、3番の重
量には及びません。 また5番目は踏み板の中央は良いのですが、端の方に乗るとかなり
撓みが出ると思われます。

重量軽減を図ることを最前提に考えていたわけですから、その点で4番と5番は不十分で
あると共に強度面でも???ですので、採用は難しくなります。 1種類の厚さの材料で済む
点と抜き穴加工やフラッシュ構造がないので、より簡単に作りたい場合には検討に値しま
すが、今回のように軽く作りたい?という場合には要注意です。

このような経緯を踏まえて最終的に3番で行くことにしました。


接合方法について

 決定した構造は板をL字型、或いはT型に組む訳ですが、この部分について少々触れて
 おきます。 我々アマチュアがこのように接合する場合よく採用するのがネジ止め或いは
 接着剤併用のネジ止めでしょう。  簡単に出来て接合強度も十分取れますから極めて
 実用的なのですが、ネジの頭が見えてしまう!という面白くない面があります。

 これを解消するために予めネジが埋まりこむような大きな
 穴を開けておき、ネジを締めた後にその穴を木の棒で埋
 めてしまうという方法があります。(右写真はその一例。)

 これでみっともなさがかなり解決できるのですが、それでも
 埋めた木の棒の部分が他とは違うことに気が付きます。

 そこでネジを使わずに接着剤だけで組み立てれば良いの
 ですが、接着だけでは十分な接合強度が取れません。
 例えば極めて接合力の高いエポキシ接着剤を使っても今
 回の場合には不十分でしょう。

 この問題は木ダボを併用して接合すると飛躍的に接合力が上がりますので採用するこ
 とにします。

 またその際に使用する接着剤は接着力が高くて充填効果の高いエポキシ接着剤としま
 す。 木工ボンドでも構いませんが、その場合には隙間が出来ないように加工し、十分な
 接着保持力を与えて硬化させないと強度不足になります。 その為に製作難易度はむし
 ろ上がってしまう傾向になります。

 エポキシを使うことで製作難易度が上がらずに強度が確保できるという点を狙っている
 わけですが、大人が乗っても絶対に壊れないような物にしたいという前提での考え方で
 す。 強度が問題にならない場合とは発想が異なります。

 さて構造上の点につきひとつだけ補足して
 おきます。(右の図を参照)

 上の踏み板はその木口に側板を接着する
 やりかたで設計しています。 これを側板の
 上に固定した方が、上からの荷重に対する
 耐性は大幅にアップします。

それを判っていながら敢えて側板に木口を接着する方法を取ろうとしているのは
完成後の見栄えの点にあります。 私は合板貼り合わせの木口はテープで隠し、
側板は生地のままニス仕上げ、踏み板は何らかの着色をしてニス仕上げとする
つもりでいますが、頭の中のイメージでは踏み板を上に載せるタイプでは、どうも
いまいちぴんとこない感じになると考えています。

従ってこのような構造としていますが、強度を重視するのであれば踏み板を上に載せるタイプとした方が良いでしょう。

以上を踏まえて次回には製作の様子を手順どおりに紹介します。

回りくどい進め方になっておりますが、私のアプローチの仕方(今回は十分な強度と軽量化が主眼)をご披露し、構想・設計段階の重要さをご理解願いたいと念じています。



2009/03/20

製作詳細

 構想段階での結論は3番目の構造でしたが、それ
 を元に最終的な寸法図と部材寸法図を描き上げま
 した。 左と右の図はそれらです。

 側板だけは手持ちの14mm厚ムク板を使いました
 が、ムク板を使用する場合、木目は縦方向にした
 ほうが曲げ強度が高くなります。 15mm合板を使
 う場合にはこのことは気にする必要はありません。
 (合板の曲げ強度は縦・横ほぼ同じ。)

部材寸法図の中で、踏み板の芯材(12mm合板)に貼る4mmの板は外寸を2-3mm大きく
切断します。 これは芯材と貼りあわせる際に同一寸法で切り出すと、貼り合わせ面に段
差が出来てしまうので、意識的に薄い方を大き目とし、貼り合わせ後飛び出た部分を削ってどんぴしゃに仕上げることを目論んでいます。

ところで製作の難易度は結して高くありませんし極一部を除き寸法精度もそれ程高く求められませんから、手抜きしたり適当に切り上げて先に進みたい部分が沢山あるでしょう。 但しじっくりと丁寧な作業をするかしないかで見栄えというか完成度には大きな差が生じます。 特に側板の抜き穴の研磨処理が大きいでしょう。 内側の切断面はどうしても手研磨でやるしかなく、しかも研摩方向が板の厚み方向という平面維持がしにくいやりずらさがあります。 ここをうまく仕上ないと塗装後の光りの当たり具合で大きな差が出てきます。

この辺は技術や腕の差で起こるのではなく(難易度の高さではなく)、むしろこだわりと根気の差だと私は考えています。 このテーマに限りませんが、それらの累積が一歩進めるかどうかに関ってきます。 実際のところ私もこの切断面を1次研摩し面取り作業をして仕上研摩が終わるまでに半日を使っています。

側板の抜き穴作業以外は根気を要する部分は少ないので、落ち着いてゆっくり作業しても2日間(接着のために寝かせる時間は1日目と2日目の間の夜とします。)で木ダボ接合の作業までが終了すると思います。(塗装は別。)

側板の切り出し。 心持ち大きめに(0.5mm以内位)切断しておきます。 中抜き加工後に外寸成形をカンナとヤスリで行います。

中抜きの角の部分は丸めますが、10φ木工ドリルで穴あけをするので、穴位置を線引きしておきます。

10φ木工ドリルで穴あけが終わったところです。 穴が垂直にあくよう慎重に作業する必要があります。

そして電動ジグソー(CJ-250)とその専用円仕上切りブレードで穴と穴を切断線に沿って切り抜きます。 このジグソーは切断方向の制御がしやすいので、+0.5mm以内に収める事が比較的容易です。

電動ジグソーで切抜きが終わりました。 少々バリが出ていますがこれは気にすることはありません。 切断線にかなり正確に沿っていることが判るでしょうか?

その切断面を研磨して多少の凸凹を落としますが、2つの替刃式ヤスリ(M-20GPとRS-310P)を使います。 後者は隅の丸い部分の研磨に使用します。

このテーマで最も時間が掛かるのがこの1次研磨です。(2次研磨は後ほど必要!) 私の場合電動ジグソーで+0.3mm以内の精度で切断していますから研磨量は多くはないのですが5時間近く費やしています。 寸法精度は余り問題ありませんから手を抜こうと思えばいくらでも抜けるのですが、きちんとした研磨が出来ていないと塗装するとざらつきや凸凹で馬脚を現します。 この辺りは難易度の問題ではないことをお忘れなく。

内側の面取りを済ませました。 替刃式ヤスリ(M-20GPtoRS-310P)を使って丸みを出し、その後に#240のサンドペーパーを細い棒に巻きつけた物で仕上ました。

次が側板外側部分の成形寸法出しです。 カンナを使い木口面を直角に且つ直線性を高めます。

そしてこちらも面取りを済ませます。 M-20GPで丸みを削りだし、#240ペーパーで仕上研摩しました。

最後が表面と裏面の仕上研摩で、ハンドサンダーに#240ペーパーを付けてつるつるになるまで研摩します。 これで塗装に入れますが、接着部分覆う前作業が必要です。

踏み板芯材を切断しました。 私は手持ちは材を使っているので、ラワン合板とシナ合板の混用としていますが、シナ合板は高いだけで芯材としては意味がありません。

芯材にも抜き穴がありますので、予め抜き穴の長方形の内側に10φの穴を開けて電動ジグソーで切断します。

この抜き穴の切断面は研摩や成形は不要でバリを落としておけば十分です。 これに被せる部材は2-3mm大きめにシナ合板から切り出します。

4-12-4mmと重ねて接着しますが、圧着保持が極めて重要で、ここではバクマクランプを使い思いっきり締め上げています。 上に重い物を載せた程度では全く圧着したことにはなりません。 このまま1晩寝かします。


 1晩寝かすという理由についてちょっと触れておきます。 接着が終了後に芯材の両面に貼って飛び出ている板を削り
 取りますが、その際に木工ボンドが完全硬化していないとうまく削り取れません。 木工ボンドは数時間で実用強度に
 達すると言われていますが、完全硬化までには12時間を要します。 そこで1晩寝かせることで完全硬化を得ようとして
 いるわけです。 こんなことを念頭において接着作業が夕方になるように作業を進めれば、作業が出来ない無駄な時
 間を排除することができます。




接着が終わった状態で、外側の薄板は芯材よりも飛び出していますので、これらをカンナで削り取りヤスリで仕上ます。

カンナがこのように当たるようにすれば、材料の切削面は直角を維持したまま削れます。 詳しくはこちらをお読みください。

芯材と同一寸法になるよう削ってやればOKです。 切削後はあたかも20mm厚の合板に見えます。

これらの切削面は塗装をしませんので仕上げ研摩は替刃式ヤスリ(M-20GP)で研摩しただけで十分です。 ここではM-20GPの替刃で作った自作直角研摩ヤスリを使っています。

カンナで削った後はこんな感じです。 仕上カンナではありませんから表面はざくざくしておりこのまま接着したり木口テープを貼るには不十分です。

替刃式ヤスリ(M-20GP)で研摩した後はこのようにかなり面が滑らかになり、接着や木口テープ貼りに十分な面となります。 特製の20mm厚合板? でも中抜きしてあるので軽いです。

センターポンチで8φ木ダボを埋め込む位置に円錐状の凹みをつけました。 4本使用しますが穴間隔は50mm、両端の穴は端から30mmの所にあります。

8φ木工ドリルで穴あけ中です。 合板は特に気をつけないといけませんが、木口面はドリルが横滑りしやすいので慎重にあけます。 穴の深さは21-22mmとします。

あけた穴にマーキングポンチを挿し込んで、水平に置いた側板の所定の位置に載せ十分に調整後上から押し付けると?

このように側板側の穴位置に円錐状の窪みが出来ます。  ここに8φ木工ドリルで10mmの深さの穴を開けます。 

うまくできたか確認のため木ダボを踏み板側に埋め込みました。 接着はしませんので、ペンチを使えば容易に抜けます。

そして側板を木ダボに嵌め込みました。 これで完成後の姿が登場します。

ばらして踏み板の側面に木口テープを貼り付けます。 詳細な作業方法はこちらをご覧ください。

テープ幅は必ず板厚よりも大きいのではみ出た部分をカッターナイフでこのように切断します。

またまた替刃式ヤスリで貼り付けた部分を軽く削り段差を完全に取った上で面取りをします。 削りすぎると合板の地肌が露出してしまうので、面取りの量は余り取れません。 これでぐんと豪華さというかムク材を使ったかのようなイメージに変貌します。 木口テープの使用は初心者でも容易に会得できますが、その効果は大変大きく是非ともお勧めしたいテクニックです。

木ダボだけで結合された状態です。 ネジは全く使いませんから見た目は大変すっきりしており、木口テープで切断面を覆っているので合板を使っていることも判らず、ムク材だけで作ったように見えます。



この脚立を使う優真君が我が家に来ましたのでテストしました。 まだ接着はしていないのですが、優真君程度の体重であればぐらつくこともなく使えます。 無論踏み板の撓みも発生しません。 高さが少し足りませんが、優真君の自宅の洗面台は低いので問題ないとのことです。

また気にしていた重量もご覧の通りなんとか持ち上げられます。 持つ位置を変えればもっと楽に持ち上げて運べるでしょうが、軽量化してなければ持ち上げられなかったように思います。

(因みに最終重量は側板に使ったムク板の比重が計算値より大きく、約1,620gと設計値より90g重くなっています。)

今回のテーマには着色無しと着色あり、組み立ててからではきりっと塗り分けにくいので、最終的な組み立て前に塗装をしますが、それらを次回にご紹介します。



2009/03/27

製作詳細(完成まで)

2枚の踏み板をそれぞれ黄色と青色に着色した上で油性ニスを塗りその後に接着・組み立てて完成という手順で進めます。 この方法は塗装がやりやすいのが特徴ですが、接着接合する部分はニスが塗りこまれないよう保護することと、接着時にはみ出た接着剤を後から削る!何てことも出来ませんので工夫を要します。

接着面を塗らないようにするためにマスキングテープで覆いますが、その境目に線引きをすると目立ちますので、マスキングテープを使い2段階で覆っています。 詳しくは後ほどの写真をご覧ください。
ステインによる着色は私の標準方法である水で希釈したステインを好みの色味が出るまで刷毛で塗り重ねる方法ですが、着色斑が出にくく好都合だと考えています。

油性ニスも希釈して塗り斑が出にくいようにしていますが、このため1回辺り形成される塗膜の厚みは薄いので塗り回数を増やさないとなりません。 今回は透明クリヤーを3回塗りその後でつや消しクリヤーを1回塗る計4回塗りとしています。

これら薄めたステインやニスを塗るということで、塗り回数が増える上に乾燥時間もメーカー推奨より数時間多くとって重ね塗り前の研摩が支障なく出来るようにしているため、合計の塗装作業はかなり長くなります。(因みに今回の作業手順で休みや無駄な時間も含め2日を使いました。)  水性塗料を使えばトータルで20時間程度縮められますが、基本的に塗装作業はあせらずにじっくりと構える姿勢がないとうまい具合に仕上がらない可能性が高いです。

直角に接合した隅に沿ってマスキングテープを貼ります。 これは接着する境目に鉛筆で線を引く代用です。(鉛筆で線を引くと後で消しゴムで消しても線が凹みとして残ります。)

踏み板を外しました。 矢印の先が踏み板を接着するエリアになります。

その接着するエリアを新たなマスキングテープで覆いますが、最初に貼ったマスキングテープとの間に0.5mm程度の隙間(矢印の先)が出来るように貼ります。

そして最初に貼ったマスキングテープを剥がしてしまいますが、こうすることで塗られない部分の境界線はほんの少し内側になり接着すると完全に隠れてしまいます。

踏み板の着色にはポアステインを使いました。 豊富な色から今回は黄色と青色でカラフルに仕上ますが、私が標準としている水で2倍に薄めて刷毛塗りとしています。

着色が終わったところですが面白いことに色によって着色濃度が異なり黄色は1回で済んでいますが青色は4回塗っています。 乾燥したら#400ペーパーで軽く研摩します。

そして油性ニス透明クリヤーの塗装ですが、これもペイント薄め液で若干希釈しています。 左の側板は1度に片面しか塗装できませんから4回塗りの工程数としては8回になります。 右の踏み板は一度に両面の塗装が可能ですので半分の4工程で4回塗りが終了します。

重ね塗りの前には必ず#400サンドペーパーによる研摩が不可欠でこれにより塗装品質が決まります。 大きな平面にはハンドサンダーに#400空研ぎペーパーがベストです。

小さな面、曲面がある、段差がある、などの場合にはスポンジ研磨剤でないと具合が悪く、ここではウルトラファイン(#800-#1000相当)を使っています。
最後の4回目はつや消しニスで、しっとりとした感じに仕上がります。 そしてマスキングテープを剥がして塗装作業は終わりです。
以上の塗装作業の全工程を一覧にしてみました。

側板と踏板では工程数が異なりますが、これは側板の場合一回の塗装作業で全面塗装は不可能であるため、表面と裏面をそれぞ1工程としていることによります。  但し工程の間隔は最後の塗装を除き乾燥時間の半分の4時間とし作業時間短縮を図っています。 しかし表・裏それぞれ交互に塗装しているため乾燥時間は8時間と変わりありません。

これら乾燥時間はメーカーの推奨値の約2倍としています。 その理由は十分に乾燥させないと乾燥後の研摩作業がうまく研摩できないためです。 またこの際研摩カスがスムーズにはけるよう空研ぎペーパー使用がベストです。

ステインは同じ稀釈度でも色によって着色度合いが変わります。 従って塗り回数は断定的には表現できませんが、1回塗るたびに乾燥時間として1時間以上取ります。

また着色作業が終わったら#400ペーパーで木繊維が立ち上がって粗びてきた表面を慣らしてからニス塗りに入ります。

作業時間を大幅に短縮するには水性ウレタンニスの使用が考えられます。 この場合乾燥時間を8時間から3時間程度に落とせますから、全体では20時間の短縮が可能です。 但し水性ウレタンニスは肉載り性能は油性より低いので、初回の塗装に水性サンディングシーラーを使うことにより、肉載りを稼ぐことが出来ます。


一昼夜寝かせて塗装を完全乾燥した後で、最後の接着組立作業に入ります。 今回は接着強度が高く重点効果もあるエポキシ(90分硬化開始型)を使います。 2つの液を等量搾り出して混合します。

楊枝で厚み0.5-1.0mm程度に塗り広げます。 また端から2mm前後の部分は塗りません。(圧着時にエポキシがはみ出すのを防止するため。) そして穴の内側にも塗りつけたら木ダボを挿し込みその頭と周囲にエポキシを塗ります。

そうしたら側板の所定の穴に挿し込みます。 もう一枚の踏み板も同様にして挿し込み、次に反対側の側板を接着、という手順です。 硬化速度が遅いですから落ち着いてゆっくり作業を進めても大丈夫です。

そべて接着が終わったら圧着保持をします。 ここでは自作のクランプを使いました。 重しを載せる!程度では圧着保持にはならず接合部分に隙間が出来てしまいます。 これで10時間放置すれば実用強度に達しますが、完全硬化には24時間掛かります。

完成した幼児用踏み台。 拘りのある作り方をしたので見掛けよりも遥かに軽く、手がかりがあちこちにあって、幼児でも運びやすい物になりました。 価格が安いプラスチック製で代用できそうですが、木目から来るぬくもり感が全く違います。

このように逆さに置いて使うことも考えられています。 その場合の高さは16cmになります。

接合部分は十分な圧着保持をしていますから隙間なく見栄えも良いものになっています。

幼児用とは言え大人が乗っても大丈夫。 右は私が上に乗ったところですが、踏み板の撓みはごく僅かで壊れるような心配はなく大変強固です。

今回のテーマは極めて簡単な構造ですが、丁寧に作れば大変見栄えのする物に仕上られます。 また今回の構造は応用が利き、このまま拡大したり板厚を調整すれば、和室用テーブル、洋室用ティーテーブル、机、飾り棚など様々な物が作れます。 外観的な勘所は木ダボとエポキシ接着剤を使い強度を確保した接合、木口テープの使用で外観の改善にあり、フラッシュ構造や中抜きによる軽量化もテクニックのひとつです。

----- 完 -----


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