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改良版作業台
2008/06/27

 私が日曜大工で使う作業場所は2種類あり、そのひとつは食卓テー
 ブルです。 かつてアメリカに滞在中に求めたオーク集成材のこれ
 は天板の厚みが70mm、大きさは2,000 x 900mmという大きさで、
 大人二人でやっと持ち上げられるような重量級ですから大変安定し
 た作業が出来ます。 但しメインの使用目的は食卓ですから表面に
 傷を付けたくない為別の作業台が必要で、「多目的置き台」と称し
 て6年前に製作した2台を使ってきました。(右の写真)

 この多目的置き台は私が日曜大工教室の講師としてあるホームセ
 ンターで働いていた時に製作テーマとして設計したもので、その名
 の如く縁台、植木鉢置き台、作業台など人によって様々な使い方が
 出来るものとして考えたため、幅300mm、高さ419mmですが、長さ
 については600mm、900mm、1200mmの3種類がありました。

 大変好評を博したテーマでしたが、その600mmタイプを私は作業台
 として使ってきたわけです。


この多目的置き台はワンバイフォー材を効率良く使い、簡単に作れて低廉でありながら極めて耐荷重性能が高いのが特徴です。 また日曜大工の作業台として手引きノコギリを使っての切断作業に最適になる高さになっています。  私の多目的置き台(作業台)2台は過去6年間に製作した全てのテーマ(恐らく100点を超えていると思います。)の相手をしてきましたので、あちこちが傷だらけです。 また幾つかの改良したほうが良さそうな点を発見しています。

但し強度的には全く支障ないので基本構造をいじることなく改良してやろうと改造の検討を致しました。 まず抽出した問題点は次のとおりです。


1.真中の天板中央は荷重を掛けると撓んで凹みやすい。(0.5-1.0mm程沈み込む。)

 3枚貼られた天板の中央の板はその裏で支えるものが全くな
 いため荷重を掛けると撓みます。(脚を乗せ体重を掛けると沈
 みます。)
 この天板と天板の間の隙間は約17mmあり、ここ
 にノコ刃を通して切断すると切断材料の左右を受けられて都
 合がよいのですが、撓みがあると切断終了した部分が曲がっ
 てノコギリの刃を押すような力となり、その摩擦によって大変
 切りにくくなります。(左の図をクリック)

 このため現状では2台の作業台にまたがるように板を載せて
 切断するか脚で抑える部分を中央ではなく端の板にすること
 で解決していますが、使い勝手がいまいちです。
 特に小さな材料の切断には重要なので改善したい点です。




2.天板上のスレンダースレッドネジ頭で刃物工具を傷める心配がある。

 左の写真を見てお判りのように、3枚の天板はスレンダースレ
 ッドネジで固定されています。 ネジの頭は若干沈ませていま
 すので、頭で材料に傷を付けることは考えられません。

 しかし刃物の刃先(ノコギリ、ノミ、ナイフ等)がこれに当たった
 ら刃は容易にこぼれてしまいます。 幸いそれを気にしながら
 作業しているので今までにそのような事はなかったのですが、
 ネジの頭が全くなければそのような心配は不要となりますの
 で、是非ともトップ面にはネジの頭がない構造にしたいと考え
 ています。  (左の写真参照)









3.クランプの使い勝手に問題あり
作業台上で加工する材料を固定したい場合がありますが、その時にはバクマクランプ250mmを使い上記左側のように挟んでいます。 このときの問題としては作業台の側板幅が89mm、それに天板19mmが乗っているため250mmのクランプを使っても高さ142mmの物までしか固定できません。

もうひとつの固定スタイルは右側の写真の右のクランプのようにバクマクランプの先を天板の隙間(約17mm)に差し込んでひねり使う方法があります。 この場合は250mmのクランプで231mmの高さまで固定できるので都合がよいのですが、17mmの隙間は少々狭すぎで差し込んだり抜くのに苦労します。 この辺りを抜本的に改善したいと考えています。



4.天板の隙間、固定部分近くの問題。
 天板同士間の隙間で天板を固定している部分には実はかなり
 削れています。 これは手引き切断をする際隙間の間にノコ刃
 が通るよう作業したときにノコギリが付けてしまう傷で、どんど
 ん深くなってゆきます。

 これを完全に無くすにはこの部分を相当沈み込ませないとなり
 ませんが、そうすると台の強度低下に繋がりかねませんので
 兼ね合いを考える必要があります。
 ノコ刃を痛めるわけではないのですが、より快適な作業の為に
 何とかしたいと考えています。










2008/07/04

設計・製作詳細

前回触れた改善項目を満たす構造、材料などを思考実験の繰り返しの中で次のようにまとめました。

 1.天板を 2 x 6に変更する。
   オリジナルは 1 x 4でしたが 2 x 6に変更すれば厚みは2倍の38mmとなり撓みは大幅に減少します。 また2枚貼りとすれ
   ば両端で固定するだけでなくその間も片方は固定できますので、撓みは完全に消えるでしょう。 これで問題点1.が解決
   します。 また厚みが2倍になるので問題4.も完全解決ではありませんが、ノコギリで痛める程度は少なくなる筈です。

 2.天板の長さは700mm、使用枚数は2枚とする。
   あれこれ計算してみてこれに決めたのですが、2枚貼ることに変更しますと、2 x 6の板幅は140mmですから幅300mmの台
   に貼ると中央に20mm幅の隙間とこれまでより広くなるのでクランプの先端を通し易くなります。 また長さを700mmとすれば
   両端は50mmずつ突出します。 これらにより問題3.が解決しクランプが使いやすくなると同時に、バイス(万力)の固定も
   可能になるでしょうし、厚みが38mmあるのでクランプやバイスが撓むこともないと思います。

 3.天板の固定は木ダボ併用の木工ボンドによる接着とする。
   ネジ締めの方が簡単で接合強度も上がりますが、天板への荷重は殆どが上からの圧縮荷重ですから接着しても強度低下
   の問題は殆ど無いはずです。 ただし横方向のセンダン力(ずれの力)への耐性アップのため木ダボ(8φ)を併用します。
   これにて問題2.が解決します。

 4.脚4本は天板厚み増加分を切断して最終的な高さは同一にする。
   作業台の高さを変更すると手引きノコギリによる切断に影響してきます。 これまでの高さ(419mm)は私自身にとって最適
   ですので、それを踏襲するため、脚を19mm短くして高さを合わせます。

 以上の改造で必要な 2 x 6材 10フィートは\1,200程でした。
 これで2台分ですから1台辺り\600.-の費用負担で済みます。

 他にもアイデアはあるでしょうが、投資効率を考えたり、簡単に
 出来ることを考慮した場合ほぼベストなアイデアではないかと思
 います。 (何しろ天板を入れ替えるだけですから。)

 以上をまとめたのが左の図で、交換する天板のみ濃い色で示しています。 また脚は19mm切断
 します。 (板取りは右の図。) 以下の解説は改造部分のみですので、新たに製作する方は、
 天板を貼る前までの作業については、多目的置き台の製作解説をお読みください。(製作時間は
 購入したホームセンターで切断してもらったため接着剤の乾燥時間を含んで3時間でした。)


車で容易に運べるよう、購入したホームセンターで700mmに切断してもらった2 x 6材 4本。 これは2台分です。

最初の作業は天板固定のネジを緩めてやる作業で、私の使っている食いつきビット(AACD-2065)は緩める時にも喰い付きがよく好都合。

若しもネジ頭が滑って緩めるのが困難な場合にはこの魔法の液体(ネジ滑り止め液)を塗ってやれば緩め易くなります。 更に滑る場合にはビスブレーカードライバーの使用も? どちらもまさかの時に便利な道具です。

天板を剥がし終わった2台の作業台(多目的置き台)。 これから改良版作業台に変貌するための加工開始です。

8φの木工ドリルで深さ16mmの穴をあけました。 穴の位置は下のほうで使っているネジにぶつからないよう注意して決めます。(ネジにぶつかったら木工ドリルはお釈迦に!)

ちょっと見難いかもしれませんが、手前の方の板が被る位置の穴7ヶ所にマーキングポンチを挿入しました。

それに700mmの板をそっと載せて端が50mm飛び出すように、右側は面一になるように調整して上からぐっと押さえつければ、マーキングポンチの突起で穴あけ位置の印が付きます。

そこに再び8φ木工ドリルで深さ16mmの穴をあけます。 あけ終わった穴の中に残っている切り屑を取り除いておきます。

いよいよ接着。 台の方の穴に木工ボンドを垂らしこみそこへ8φ木ダボを挿し込み玄翁で底当たりするまで叩きます。

接着部分と木ダボの頭に木工ボンドを塗ってやります。 少し多目ですがはみ出したら濡れ雑巾で拭き取れば宜しい。

そして天板の穴に木ダボが入り込むよう上に載せて当て板をした上で玄翁で十分に叩き込みます。 同じように反対側の天板も貼り付けて上で、曲尺で2枚の天板上面が1直線になるよう調節します。 

組み上がった改良版作業台。 このまま3時間程寝かせますが、7本の木ダボを使うと木ダボと穴の位置の僅かなずれできつくなりますので、玄翁で叩き込むだけで圧着保持はまず必要ないでしょう。

最後の作業の脚の切断にはソーガイドを使いましたが、左端のようにL型の接合した角からの切り出しは切断精度が落ち易く駄目です。 2番目のようにL型の端から切り出し、L型を構成する片方の板が切り落とされ残りの一枚に10数ミリ切り込んだ後に(3番目)、台を90度回して切り進み(4番目)、切り落とすことで切断精度は容易に良くなります。(5番目)

完成した改良版作業台。 天板だけの交換で済ましましたのでご覧のように色違いがはなはだしく、格好良くはありませんが、撓みが完全になくなり頑丈さ抜群で実用性がぐんと高まりました。

改善前と異なり150mmバクマクランプでも110mm近くまでの物を固定できます。 また中央の隙間にもバクマクランプの先が容易に挿し込めここでも作業性がアップしています。

意識していませんでしたが、中央の隙間が大きくなったので、25mm以上の円柱、パイプをがっちりと受けられるようになりました。 もっと細いばあには細い棒を中央隙間に入れればよいでしょう。

多目的置き台を作業台に使おうと考えられる方は、最初からここで解説した仕様で作られることをお奨めします。 材料費アップや製作の手間アップは僅かでありながら「無い無い日曜大工」用に十二分の強度と作業性の良さを持っているためです。

----- 完 -----


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