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曲線をうまく切る勘所
2006/07/07(以前日曜大工入門に含まれていたものを再編集しました。)

私が日曜大工教室の講師をしていた折に参加者の殆どが曲線切りが旨く出来ず大変苦労されている現場を見ています。 なかでも予め引いた線に沿って切断できるようになってもその切断面が直角にならず傾いてしまう問題の解決はかなり厄介でした。

傾いて切断される根本原因についてはこちらで詳しく解説していますので是非ともお読みください。 問題解決の糸口は十分理解できると思います。 そしてこの項ではそれを実践する方法のひとつを詳しく述べて行きたいと思います。

多分他にも方法はあるでしょうが、今の所この方法が最も判りやすいのではないかと思います。 尚ここで使用しているジグソーは特別の物でhなくアマチュア用の中級品です。 そして殆どのジグソーに適用できるはずですからお試しください。


まずい曲線切りと正しい曲線切りの再現

以下の一連の写真は厚さ18mmの合板に直径100mmの丸穴をあけた実例で、最初は電動ジグソーに付属している曲線切りのジグを使った場合、次にジグを使わずに私が考えた方法で穴をあけた例です。 切断に使った刃は曲線切り用の刃の幅が狭い物で、切断前に直径10mmの穴を円に内接するようあけて切断開始しています。 勿論如何なるトリックもありません。
また使ったジグソーの台座底面は錆びていて板が錆で汚れるため表面がつるつるした粘着テープを貼ってあります。

厚さ18mmのラワン合板に直径100mmの円をコンパスで描きました。

第1の方法は電動ジグソー付属の円切りジグによるもので、直径10mmの円に内接する穴をあけて切断します。

その結果はというと何の手心も加えていないのですが、ご覧のとおり切断した曲線の半径はだんだん小さくなり、しかも切断面はすり鉢上にすぼまってしまいました。 

次に円切りジグを外して切断しました。 この写真で左手の親指が電動ジグソーの台座左先端にあてがわれていますが、うまく切断する秘訣のひとつがここにあります。

円切りジグを使った抜き穴(左)と、私が発見した方法で抜いた穴。(右) それらの違いは一目瞭然です。

同じく切り取った物を並べてみました。 何も手心を加えていないにしては結果が大きく違うことがお判りと思います。

すり鉢上に切断された前者の切口は18mm厚で最大3mmの段差が出来てしまいました。 角度でいうと約10度も直角から傾いていることになります。

正しく切断された後者は正確に90(直角)が保たれています。 この差は極めて大きいです。

何故このようにすり鉢状になるのでしょうか?  

決定的な原因は電動ジグソーの場合刃を片持ち固定している点にあります。 片持ちである為に切断方向にに対し真横からの力が掛かると刃先は曲がってしまいます。 

その力が継続していれば刃は傾いたまま切断を続けたり、傾きがだんだん増加して上述の前者のような切口になります。 
今回示した例は内側にすり鉢状になる場合ですが、外側に広がるように切断される場合もあります。 何れの場合も刃先に横方向から力が掛かる為です。


何故横方向の力がブレードに掛かるのかの詳しい分析をこちらでしております。

 円切り用の刃幅の狭い物を使った場合には更に内側に刃先が移動する力が働くので促進されてしまいます。

刃幅の細い円切り用のブレードはオフセットされて取付けられてしまう。 刃幅が広ければオフセットは起きないがそれでは小さな曲率は切りにくい。

オフセットされた場合切断方向が内側を向いてしまうので更にまずい。 こんな場合は円切り用ジグを使わないこと。


さてこれらすり鉢状の切断を根本的に避けるにはどうすればよいかというと、ジグソーの刃先に横方向からの力が全く加わらないか、そのような力が無視できるほどまで抑えてやればよいことになります。 その基本操作は、

 ●右手は電動ジグソーを握り台座が材料面から浮き上がらないよう押し付けると共に、切断方向に合わせて刃先の
   捻り運動をする。

 ●左手では親指をジグソーの台座左先端に添えて前進の調整をする。


という操作の分業で解決できます。  電動ジグソーを完全に使いこなせるようになると右手だけで、「材料に押し付ける」「ジグソーを前進させる」「ジグソーを捻る」の3つの操作を同時にできるようになりますがかなりの修練を要します。 そこで左手と右手に分業させて、それぞれの手が同時にやらねばならない操作の種類を減らそうというのがこの目的です。

これらの基本操作に加え、

 ●ブレードが前方から見ても横方向から見ても直角に取付けられていること、

 ●切断する曲率が小さくなったら前進速度を遅くする。


が守られればすり鉢状になるのを回避でき切断面は直角を維持できます。

正しく切断する為には左手と右手の操作をはっきりと分けてしまいます。

左手親指をこのように添えて前進の調整をします。 右手首は捻りの力を加え台座が浮き上がらないように専念します。 

刃先が前後方向に対し直角に固定されているかは正確に切断される条件のひとつ。

無論台座横方向に対して直角に固定されていることも大事な条件です。



左手と右手の役割を分けてしまうこのやり方を続けていると、次第に刃に横方向の力を加えないで曲線を切断する「感覚」が掴めるようになります。 そうしましたら右手首だけでも同様な切り方を出来るようになりますが、そのような場合でも曲率が小さい(例えば半径40mmなどのような場合)には分業形式の方がやはり正確に作業できます。

正確に直線を切る勘所の解説は以上ですが、端材を使って是非とも練習してみてください。 きっとうまく行くはずです。
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