HOME
サイトマップ
アマ的手法
材料
工具
作品一覧
リンク
mini-Shop


 
冷蔵庫周りの収納
   

 2001/11/05

 その1 下のスライド収納


 構想と留意点
 冷蔵庫の設置スペースは、放熱の為の隙間を左右上下に設けねばなりませんが、昔に比べると左右
 の隙間は非常に小さなもので良くなったようです。 

 我が家の冷蔵庫はシャープ製の両開きというやつで、特徴の両開きが非常に生きておりますが、
 指定された設置時の左右の隙間は5mmでした。 

 ところがリフォーム時に採用したシステムキッチンのサイズの自由度の関係で、冷蔵庫の設置位置
 の内寸と冷蔵庫の幅の差が165mmもあることが判りました。 メーカー指定の隙間を残すと155mm
 の空きが残るわけです。  

 冷蔵庫から出る熱で痛むことのないようなこのような隙間に入れられそうなものとして家内と相談し
 た結果、お盆、ペットボトル、乾物、瓶類、パン生地をこねる台が候補として上がりました。 

 その後決定的なものとして、ウィンドウショッピングの最中に薄型の米びつを発見しました。 
 ステンレス製で容量10kg、幅100mm、高さ655mm、奥行375mmというかなり薄い物で、文句なくこの隙間に入ります。 
 早速購入してこれと前述の物をうまく収納と言うことで色々考えあげた末、設計案をまとめました。

 工夫を凝らしたのは、米びつの横にパン生地をこねる台(板)をどのように収めるか、米びつの奥に出来る空間をどうするか、米び
 つをどのように固定するかで、このレイアウトは絶妙であると自画自賛しています。 

 出来あがりのサイズは、幅139mm、高さ708mm、奥行660mmです。 冷蔵庫の奥行は657mmありま
 すが、冷蔵庫用のコンセントの関係で壁面に密着できませんので、実際には冷蔵庫のほうが前に出てき
 ます。 

 左の写真をクリックすると実際に収納した時の感じとレイアウトが良く判ると思います。  収納力として
 は、直径90mmまでのペットボトルが6本、パン生地こね台(480x500x23)、そして米びつです。


 使用材料
 特殊な材料は全く使ってなくて、18mm12mm9mm5.5mmのシナ合板、1個60円のナイロンキャスター4個、丸ツマミ1個
 と仕上げの塗料です。 塗装は他にも沢山塗装するものがあったため、2液性ウレタン塗料を使いました。 
 しかしこの作品だけを塗るだけの場合にはペイントの使用量が少な過ぎるので、家庭用のアクリル系油性ペイントを塗り、
 1液性ウレタンニスで仕上るほうが良いでしょう。


 加工組立
 加工に際し、米びつが嵌りこむ部分の加工寸法と組上げ精度(直角出し)注意する必要があります。 
 でないと、米びつが妙にぐらついたり変な隙間が出てしまう可能性があります。 
 組立時の接合方法は18mm合板同士は、加工/塗装編で述べている普通の接合強度 1で、それ以外の接合
 は接合強度はあまり問題にならない方法でやりました。 

 さて米びつの固定に関して詳しく説明しましょう。   (右写真クリック)
 右の写真は、この作品を右手方向から見ています。 青く見えるのは米びつの箱を形成するステンレス板です
 が、ご覧の通り米びつの右面は露出しており、米びつ本体をネジなどで固定しているわけではなく、底板に貼
 りつけた木切れ(奥の凸型と、手前の長方形)で出来た穴と、米びつ背面に飛び出たビスの頭が嵌りこむ5つ
 の穴に嵌め込んだだけです。
 一時は米びつ自身をネジ止めしようと、米びつを分解して調べてみて判ったのですが、固定するための穴をあけられそうな部分が
 全くない構造でした。 そこで止む無く嵌め込みのみとしたわけです。 
 これによる予測される問題は、L字型に組んだ幅狭い前板と米びつ間の隙間や米びつ本体のぐらつきで、前板と米びつをマジック
 テープで留めるか接着剤で固定するしかないだろなあ!と考えていましたが、実際にはぐらついたり変な隙間が出来ることもなか
 ったのでそのままとしています。 案ずるより生むがやすし!!でした。


 その2 上のスライド収納


スライド収納全景  構想と留意点
 下のスライド収納では米びつなどを載せた台をナイロンキャスターで床の上を転がすと言う極めて
 簡単な構造でしたが、上部のスライド収納ではその上に独立して取りつけしかも冷蔵庫とは僅か
 な隙間を保つため、右側の壁にスライド棚を固定せねばなりません。 

 スライドレールがここで登場するわけですが、片持ちとせねばならないため普及型のコストの安いも
 のでは、対応できません。 色々調べた結果、ATOMのスムースライドシリーズND130-26が使えそう
 であることが判りました。 このレールは沢山のスチールボールを使った3段式の重量級のスライド
 レールです。 これを選んだのは厚みが13mmと薄く、通常使用ではストッパーがありスライド長より
 引き出せませんが、何らかの理由で外したい時にはレバーを押すと簡単に外せる点にあります。 
 レールの長さは660mm(26インチ)ですがスライド長は686mmありますので、冷蔵庫の設置位置
 に対しどんぴしゃ、まるでこの収納家具のために生まれてきたようなものです。 

 一つだけ心配なのは耐荷重で、アトムリビンテックの技術資料によれば、2本一組で56kgとの事
 ですが、これはレールを両側から挟むように使った場合であり、取り付け方によって大きく変わりま
 す。 耐荷重はレール本体が変形してスチールボールが外れてしまう点で決まるようで、説明からすると最大荷重56kgの25%-
 60%にあり私の勝手な想像ですが、40%位を期待して良いと思います。(とすると、56kg x 0.4 = 22.4kgが最大荷重?)  

 いずれにしても本体の重量は出来るだけ軽くしたほうが良いに違いありません。 そこでこの棚の底板を18mm、右側板、前板、
 後板、他の底板を12mm、落下防止の横板は9mm、前板カバーは5.5mmとしました。 
 作った後の感覚的な強度確認では、底板は全て12mm、前板、後板は9mmでも充分であったように思います。 

 右壁にスライドレール2本を固定せねばなりませんが、リフォーム時に通常12mmのプラスターボードを貼るところを12mmのコンパ
 ネにしてもらったため、どこにでもレールの固定ができます。 もしプラスターボードの壁であれば、その上に12mm厚コンパネを貼
 らないとレールの固定は難しいと思います。  当然ながらスライド棚の内寸は12mm減少します。 

 冷蔵庫との間に5mmの隙間を取ると壁までの空間は150mmありますので、スライドレールの厚み13mmを差し引き137mm
 がこの棚の横幅となります。 更に落下防止の横板9mmと右側板の厚み12mmを差し引くと収納部分の内寸116mmが算出
 されます。   これであれば、殆んどのペットボトル、瓶、缶詰などは問題なく入ります。

スライド収納1と2の全景  棚の横幅は670mmとしました。 
 レール長より長いわけですが、スライド長が686mmありますから、全体が外に出せるはずです。 前板カバー
 5.5mmと前板、後板の12mmを差し引くと内寸640mmが残ります。 
 高さは1071mmとして冷蔵庫よりも僅かに上に出る高さとし、この間を4段に仕切り、最下段はペットボトルな
 どの重量物、中段2箇所は缶詰など高さ170mmまでのもの、最上段はお盆など軽いものを入れることを想定
 しています。
 以上で収納可能なものの見積もりをしましたが、1.8リットルのペットボトル7本高さ15cmの缶詰14個
 そしてお盆が3個位入りそうとの試算が出ました。 
 冷蔵庫周り収納 1と合わせると食品庫として相当量の収納が期待できそうです。


 使用材料
 上記で全て触れてしまいましたが、18mm12mm9mm5.5mmの合板です。 私はシナ合板を使いましたが、ラワン合板で
 も結構です。 スライドレールは、ATOM ND130-26が2本ですがこれだけで1万円近くしました。 ツマミは冷蔵庫周りの収納
 1と同一のもので、イメージを合わせました。 仕上げは2液性ウレタン塗料を使いました。 台所に設置するため油汚れがひどく
 なりますので、化学的にも丈夫な塗料にしませんと、経時変化で塗装がはがれやすくなります。 家庭用塗料を使いたい場合に
 は、最後にウレタンニスで保護したほうが良いと思います。


 加工組立
スライドレール取付け詳細  接合法については、18mmへの固定は普通の強度1を他は全て軽荷重の接合法としています。 
 組立に難しいところは特にないと思いますが、レールの取付けだけは細心の注意が必要です。 本体側
 と引出し側それぞれ3.5φタッピングビス4本で固定しますが、取りつけ位置がずれてしまうと棚の嵌
 め込みが出来なくなってしまいますので、下穴をキリで正確にあけた後に慎重に固定します。 
 塗装に関しては見てくれを綺麗にするというよりも、設置する場所が台所という時間がたつと共に油で汚
 れやすい場所ですから、汚れをきれいに拭き取れるようという目的のほうが重要です。 2回塗りをします
 が完全に塗りつぶして塗り残しがないよう特に隅の部分に注意します。


 その3 冷蔵庫の上の吊り戸棚


吊り戸棚全景  構想と留意点
 上のスライド収納と冷蔵庫から天井までの距離は実測で575mmあります。 この空間に吊り戸棚
 を入れようというわけです。

 但し冷蔵庫のメーカー(シャープ)は、取扱説明書で、冷蔵庫の上部に10cm以上の空きスペースを
 取るようにと説明しています。 それがどのような意味かは冷蔵庫の上を覗いてみて判りました。 

 冷蔵庫上面後部に放熱口がありこれを塞がないように且つ充分な放熱を確保するには、10cm
 上の空きが必要ということです。 しかし説明書の通りに吊り戸棚との間に10cmの空きスペースを
 取ったら、天井にはり付く格好となり高すぎて使いにくいことこの上ないでしょう。 そこで一工夫。 
 吊り戸棚と冷蔵庫の間は僅かな隙間しか取らず、吊り戸棚を天井から130mm下げて固定し、且つ
 吊り戸棚の奥行を470mmに押さえて放熱の流れを妨げないようにします。 吊り戸棚構想図

 この構造でしたら使いやすいに違いありません。 しかしどの様に吊り戸棚を固定するかが問題で
 す。 吊り戸棚の左はシステムキッチンの吊り戸棚でどの程度寄りかかれるのか全く未知数な為、
 あてに出来ません。 下の冷蔵庫に乗っけてしまえば簡単ですがそうすると冷蔵庫のメインテナンスが出来なくなります。 
 奥の壁との間は20cmも離れてますのでこれもどうも? ということで、密着する右側の壁に固定し、左側は天井との間に固定
 金具を挟んで吊るということにしました。 この固定方法でどの程度の荷重に耐えられるかは見当がつきません。 そこで取り敢
 えず吊り戸棚の重量を軽くするため、天板、底板、扉はフラッシュ構造としました。 後は実際に使ってみて壊れそうな気配があ
 れば、何らかの補強を追加するということで腹をくくり設計をまとめました。


 使用材料
 この作品の板材は端材や以前作った家具を壊したものから切り出すという廃物利用です。 塗装する前に全ての継ぎ目をパテ
 埋めてしまったため写真では殆ど判らないと思いますがツギハギだらけです。 まともに購入したのは、全かぶせスライド蝶番
 4個、ツマミ1個そしてL金具2個(1辺が90mmで厚さ3mmの鉄製)です。 よって一連の作品の中で最も安上がりとなっていま
 す。 仕上げは2液性ウレタン塗料です。


L金具による固定全かぶせの扉  加工組立
 加工の中で手間の掛かるのはフラッシュ構造部分でした。 とはいっても、天板
 と底板は内貼りだけで外貼り無しの相当な手抜きです。 扉だけは正規のフラッ
 シュ構造としています。 扉の芯は12mmの合板(コンパネ)、それを2.7mm
 ラワンベニヤで両面を覆っています。 従って扉の厚みは、
 12+2.7+2.7=17.4mmと私が採用している標準の扉厚より若干薄いですが、
 この程度は誤差の範疇でスライド蝶番の取りつけ位置にも影響しません。 
 尚スライド蝶番の取付け方は、加工/塗装編を参照下さい。

 組立は吊り戸棚のコアとなる部分は普通の接合強度 1で、2.7mm合板の内貼りなどは接合強度はあまり問題にならない方法で
 やりました。  
 構想の説明中吊り戸棚の上の空間を130mmとしましたが、これは2個のL金具を4mmのビス2本で固定しコの字型にしたときの
 長さが130mmある所から来ています。  このコの字金具を天井に固定する際には、釘位置探索器を使って天井裏の桟の位置
 を特定します。 右側の壁の下地はコンパネですのでどこでもネジが効くため、40mmのタッピングビス5本でサイコロの5の目の
 ような位置に内側からネジ止めしました。  仕上げは2液性ウレタン塗料の2回塗りです。 この作品も油汚れが相当ひどくなると
 想定されますので塗り残しがないようにします。  2液性ウレタン塗料を使いたくないときには、普通の油性アクリル系で着色し
 てから、1液性ウレタンニスで保護するという手を取ります。  



 あとがき
 完成した後家内にはあまり重いものを入れないよう、取り敢えずの目安は10kg以内ぐらい?! と言ってあり、写真で見ても判る
 通り、未だかなり空きスペースがあります。 心配していた取り付け強度の点は問題なさそうです。 
 これで冷蔵庫周り収納家具3点セットが完成したわけですが、全ての収納物の重量を測ってみたところ50kg近くありました。
 相当な量です。  家内もかなり満足しており、製作前と比べると台所全体の使い勝手や整理具合は雲泥の差となりました。

参考資料:   外観図    レイアウト図   設計図
  
Copyright (C) 2001-2019, Vic Ohashi All rights reserved.