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ラッキーパズル
   
2004/04/02

 構想
 左の図を見てあっ!これで遊んだことあるぞ!!という方はかなりの年代だと思う。
 最近はデパートのおもちゃ売り場に行くことも全くなくなったので、売っているかどう
 か知らないが、以前はラッキーパズルとして売っていた。

 7枚の板からなりこれらを組み合わせて何らかの形を作ると言う影絵遊びの一種
 で、世界的にはタングラムが有名だそうだが私はそれで遊んだことはない。
 一番頭を悩ませたのは出来上がったシルエットだけが印刷された本(何冊もあった
 が確か1冊50円だったと思う。)
を如何にしてマスターするかであり、小学校3年の頃
 学校の休み時間にみんなでああだこうだと遊んだものだった。

 これで作った影絵の一例を右に挙げておく。
 7つの板をどう繋いだか判らないよう消したので、
 各自で考えて欲しい。
 (繋ぎ目の入った正解版の影絵はこの項の一番最後に載せてあります。)

 お分かりのように単純極まりないが、それだけに如何に創造性豊かに工夫してそれらしい形を作り
 出せるかの無限の楽しさがあり、ご家族で和やかな時間を過ごせよう。

 私が遊んでいたのはプラスチックの小さな板で出来ており、今買ったとしても数百円程度の価格
 にしかならないだろうから作る価値は薄い題材なのだが、入手なんであるのとノコギリ切断と精密
 仕上の腕を確認するにはもってこいのテーマと考え取り上げた。

 よって超簡単構造、超高難易度工作?のテーマである。

 詳しくは後で触れるが、切断誤差は0.5mm以下、できれば0.3mm以下にしたいし、角度の精度0.4度、できれば0.2度以下に押
 さえたいところだ。 そうでないと7つの板を組み合わせようとしても段差、凸凹や変な隙間が出来極めてみっともないことになる。
 構造の簡単さ(単に7つの板を切り出すだけ)からすると日曜大工入門テーマだが、そうしなかった理由はこんな所にある。

 但し超高難易度工作?と書いたからといって尻込みされる必要はない。 5mm前後の板であれば少し大きめに切って木工ヤス
 リで寸法調整も簡単に出来るから、切断精度に自信がなくてもチャレンジは可能。 おまけに作業量が極めて少ないのである。


 ラッキーパズルの基本寸法

 上の図を見ただけでも見当はつくと思うが、左に寸法図を載せておいた。
 私は横幅200mmで作ろうと考えたため、それをもとに計算して0.5mm単位の値にて記入したが、
 大きさを変更したいのであれば記入してある数値に倍率を掛けて算出すればよい。

 但し小さくなればなるほど切断加工誤差から来るみっともなさは間違いなく増大するから、この図
 の大きさくらいが一番作りやすいと思う。

 使用する材料だがムクの木材は高いだけでなく反りの問題や角が掛けやすいのであまりお奨めで
 はない。 合板MDFランバーコア集成材辺りが適当だと思う。 
 厚さは12mm以下が無難な所であろう。 (厚くなると切断誤差修正に手間が掛かってしまう。)

 仕上については、価格は高いがシナ合板か集成材に濃い目のステイン仕上で木目をあまり目立
 たせないようにしてニス塗りすると高級感が増して最高だが、安い材料に水性ペイント塗りつぶし
 でも全く問題なく楽しめる。


 切断のコツ

 切断にはゼットソーの使用をお奨めする。 出きれば8寸目を使いたい。 切り口が大変綺麗で後の仕上が楽であり、胴付ノコに
 近い精密切断がしやすいからである。 
 電動ジグソーは切断の直線性が悪いのでお奨めではないし、電動丸ノコもこういったデリカシーが必要な切断には向いていない。
 手引きノコでも正しい姿勢で正しい高さで切断すれば、0.3mm以内の誤差に追い込むことは決して難しいことではない。
 (手引きのこぎりの正しい使い方はこちらをご覧頂きたい。)

 切り出すには先ず幅70.5mm、長さ430mm +の板を切り出す。 70.5mmの幅はこれより絶対に
 狭くならないよう切断する必要がある。 そしてこれから板取り図上段のように4枚の板を切り出す。

 次に50mm幅で長さ150mm+の板を切り出してから下段左のように切り出す。 残り1枚は特に
 切り出す順序はない。 ところで集成材と合板の場合には木目方向を図のように取ると欠けが出に
 くくなる。

 精度を求めない工作であれば、寸法図のような1枚の長方形から切り出してしまえばよいのだが、
 それではノコギリの切り幅分の狂いが生じてしまう。  薄い8寸目でも切り幅は0.7mm、265では1.2mm位あるので全く無視できない誤差となるから、この板取り図のように1枚ずつ測りながら切り出すしかない。

具体的な加工の手順は以下の写真をご覧頂きたい。(私の製作例では端材の12mm厚シナ合板を使った。)

70.5mm50mm100mm幅に切った板の直角度を確認しておく。 100mmの長さで0.5mm位の狂いであれば直角度誤差は0.3度程度になる。 私は0.2mm(約0.1度の誤差)まで追い込んだ。

70.5mm50mm100mm幅に切った板の切り口直角どの重要。 厚めの板に削る板を飛び出させて載せ、カンナを90度傾けて削ると容易に直角が出せる。 使っているカンナは翔(KK-50)で、替刃式の廉価な物だが十分目的を達成できる。

長さが足らなかったので70.5mm幅は2枚切り出した。 カンナで幅と直角度を調整したが、ノギスで測り70.6±0.1mmに追い込んだことを確認した。 ご覧の通り垂直に立ち見たのでは寸法誤差はまず判らないと思う。

70.5mm幅からいよいよ切り出し。 斜めに引かれた線は長さが100mmになっているはずなので確認要。 切断に使ったゼットソー8寸目も見える。

ひとつ切り出すごとに寸法を確認。 特に斜めの線が問題でこの長さが違っていたら角度もおかしくなっているから、次に切る部材にも影響が出てしまう。 100±0.2mmに仕上がれば上出来だ。

ゼットソー8寸目で切断した切り口。 ご覧のように大変綺麗でこのあと替刃式木工ヤスリで簡単に仕上研磨は終了する。

切断面を替刃式木工ヤスリで仕上ている所。 
NTドレッサー M-20GPの金属製ボディーはしっかりしているし独特の形状はしっかりグリップしやすく作業性が良い。

斜めの線の切り出しできる直角部分は2回切断してできるため誤差が出やすいので、十分確認しておきたい。 この例では100mmの長さに対し0.2mm以下の誤差(角度で約0.1度)に収まっている。

こちらも2回の斜め切り出しで出来る直角部分で、
同様に要注意だ!

長さの相対誤差も重要だ。 ±0.5mmの誤差で切ると最大1mmの相対誤差が出る。 従って±0.3mm以下の誤差に収めたいのだ。 この例では右側の板の斜めは約0.4mm長い。(下の部分の僅かな突出で判る。)

相対誤差が目立ちやすい並べ方の一例。 この位であれば十分合格だろう!

同様に相対誤差の確認。 僅かに上の面で段差が出ている0.3mm位?)のが判る。

これも相対誤差の確認例だがほぼ完璧と言ってよい。

こちらも問題なし。

ということで完成したパズルを寸法図どおりの長方形に収まる並べ方をした。 ゆっくりやって所要時間2時間だった。



2004/04/09

仕上と塗装

たまたまベッド横の引き出し付き収納の仕上と塗装があったため一緒にやるのが効率良しとばかりに済ませました。 またしまっておくときにシャープな角が傷つかないようにケースも合わせて作りました。

塗装はステインで着色した後につや消しの油性ニス2回塗りで仕上ており、しっとりとした感じと共に木目が透けて見え、高級感が出てきています。 ここまでやれば完璧でしょうし自作とはいえますます愛着が湧いてきます。 さらに思いつきでケースを作ってしまいました。 端材の5.5mm4mmのシナ合板を貼り合せただけですが、一部の角がシャープな板を雑な保管中に傷つけることなく済むと思います。  それらの過程は以下の写真をご覧下さい。

使った塗料。 奥左からワインレッド色のステイン、油性ニス(つや消しクリヤー)、うすめ液そして手前は22mmのラック刷毛で、油性ニス、うすめ液、ラック刷毛はベッド横の収納ボックス塗装と共通使用です。 
(何れもmini-Shopで扱っています。)

ステインは薄めずに原液のまま2回塗りと濃い目にしました。 ステインの色の名称はワインレッドとなっていますが実際の色は赤そのものです。

ステイン着色後4時間寝かせた後#240のペーパーで表面のざらつきを軽く取ってご覧のように仮釘を打ち込みました。 ニスは薄め液を5-10%加え伸びがよく塗りむらが出ないようにしています。

両面をニスで塗りご覧のように洗濯バサミで仮釘をくわえて乾燥中です。 6時間後に#240のペーパーで表面のざらつきを取り2回目を塗ります。 これで艶が押さえられたしっとりした感じに仕上がります。

思いつきでラッキーパズルのケースを作り始めました。 まずパズルがぴったり収まる内枠を幅13mm、厚さ5.5mmのシナ合板で作りました。

次に外枠対抗面一対に幅7mm、厚さ5.5mmのシナ合板を貼り付けます。

同様に残りの対向面に外枠を貼り付けています。

蓋の枠となる外枠を貼り合せ(手前)、同時に底板4mmシナ合板)を貼り付けました。(向こう側)

最後の作業で蓋を貼り付けています。

ケースが完成しましたので、シャープなパズルの角を傷つけることなく長期間遊べるでしょう。

今回のテーマは自作するしか入手方法がないテーマかもしれないが、少ない作業量ながら精密手引きノコ切断の練習にはもってこいだ。 端材をうまく利用することが出来るし厚くて大きな板を必要としないから、仮に失敗してもたかが知れている。

短時間で完成してそのあと遊ぶ楽しさは抜群と言える。  私にはまだ孫がいないのだが、将来授かったらおじいちゃん自作のおもちゃとして是非とも一緒に遊びたいと夢見ている。


----- 完 -----




影絵の繋ぎ目の種明かし:         

 
  
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