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畳むと薄くなる脚立2
   
2002/11/28
製作構想

畳むと薄くなる脚立は既に製作しましたが離れて住んでいる長女が持っていってしまったことと、製作中のカメラ・レンズの防湿庫が高いところに設置される為必要に迫られており再度作る事にしました。 前作は12mmの合板を2枚と9mm合板1枚を貼りあわせた脚としていましたが、耐加重を心配して材料を使いすぎたせいか全重量が重いことが唯一の欠点でした。 そこで前作よりも薄くすることと軽量化を目指し再設計することとしました。

前作には高さが不十分(踏面の高さ360mm)という家内の指摘もありましたが、身長165cmの私が主として使うこともあり同様な高さで十分だろうという事で、この点は変更しないことにします。

軽量化のためには使う材料の厚みや幅を減らすしかありませんが、やりすぎれば強度不足になってしまいます。 工業試験所などで耐荷重試験を受ければよいのですが、当然費用も掛かりますし試験を受ければ壊されてしまいますから2台以上作らねばならないこともあり現実的ではありません。

ということで以下の設計は「こんなもんで大丈夫だろう!」という絶対的な根拠のない設計ですから、耐荷重の保証は全くありません。 作った私が実際に人柱として使ってみて実用上どうか?を確認するしかありません。 以下に説明する物を作り使用した場合に起こりうるかもしれないトラブルや事故については当サイト及びVic Ohashiは一切責任を負いかねますのでご承知置きください。


設計

 前作の構造上の鍵はA字型脚の開きをコントロールする溝とその中をスライドするニッケルダボでした。
 そのニッケルダボは8φのものでしたから幅9mmの溝をうまくスライドしてくれました。 
 この構造はそのまま踏襲しその9mmの合板前後に貼った12mmの合板を12mmから9mmに変更します。
 こうすることにより1本の脚の厚みは33mmから27mmに減少します。 2本分ですと66mmから54mmに減
 るわけで畳んだ時の厚みそのものとなります。

 更に脚の幅は前作では57mmありましたがこれも40mm幅と減らしました。 これらの変更で脚断面の面
 積は1,881mm2から1,080mm2へと43%近く減ります。 前作は約5kgの重量がありましたが、今回作る
 脚立の脚だけの重量は1.2kgですので前作の脚は材料の比重が同じであれば2.8kgあった計算になりま
 す。(実際には木材の比重は大きなばらつきがあるので計算どおりには行きませんが)
 見込みとしては3kg強程度の重量となり軽量化の目的は達成できると思います。 
 厚みも54mmということで強度さえ取れれば今回の方が完成度が高いことは言うまでもありません。

 その強度については冒頭にも申し上
 げたとおり荷重試験をしなければ証明
 できないのですが、私の考察としては
 以下のようになります。

 踏板は使用時に足の間に挟まれた補
 強板の上に乗る構造となっています。
 踏板に荷重が掛かった場合に問題に
 なるのは、

 1.踏板の曲げに対する強度
 2.踏板を受ける補強板の圧縮強度
 3.踏板と脚の接合部分及び補強
   板と足の接合部分の剪断強度

 4.脚の曲げ強度

 等が問題となりますが、以上の点で
 の材料強度不足はないと思います。

 但し脚の開閉をコントロールするニッ
 ケルダボと溝の接触面及び蝶番には
 これらが外れてしまうような力が、図
 のEにより加わりますが、脚の裏に滑
 り止めのゴムを貼るなどすれば大幅
 に軽減されます。

 以上の観点から荷重試験による証明
 は出来ませんが、実用に耐え得うる
 強度が確保できると推測しています。


材料

手持ちの端材を使いましたので、ラワン合板ありシナ合板ありとさまざまですが、基本的に9mm厚の合板の貼り合せです。
踏板も9mm合板貼りあわせでも構いませんが、さんざん大型収納家具を作った端材がごろごろしている為18mmの合板を使いまし
た。 確認はしておりませんが、910 x 910の合板1枚で材料は賄えるのではないかと思います。 材料の加工寸法図はこちら
ご覧下さい。 他には幅30mmのミシン蝶番、長さ300mmの蝶番そして8mmのニッケルダボ2個となっています。
<
2002/12/05
製作詳細
前作と同じ構造ですから製作上前作と同一部分は省いて説明します。

4本の脚はそれぞれ9mm合板を貼りあわせて作るわけですが、加工図に従い溝となる部分をジグソーで切り落とした後木工ボンドと25mmのネジ6本を併用して接合しました。 前作ではネジ無しでしたが、曲げや剪断力を高める為に今回はネジ併用としています。 但し脚の内側から打ち込み外観上目立たないようにしてあります。

補強板は前作は12mmと9mmの2枚貼りあわせですが今回は9mmの3枚貼り合せで脚の強度を高めてあります。 300mmの蝶番はこの間に挟んで固定し、蝶番が外れるような力に対する抵抗力アップと、踏板を補強板で受けるようにしてあります。

頂部の蝶番は脚の幅がかなり狭くなった為30mm幅のミシン蝶番としていますが、若干やりすぎのきらいがないではありません。
またこの蝶番は2.5mm削り込んだ上で固定しないと畳んだ時に脚に隙間が出てしまいますので、脚の加工に手間がかかります。

その他は前作と全く同じですので製作経過については以下の写真をご覧下さい。

脚用に切り出した12本のうち4本を図のようにジグソーで加工します。 また踏板には取っ手用の穴あけをします。 
    (図拡大)

加工した脚を2枚の脚で挟み木工ボンドで接着します。 強度アップも兼ねて今回は25mmのネジ6本で補強しました。
今回使った蝶番。 300mmの長いものと30mm幅のミシン蝶番。 背景は踏板です。

ミシン蝶番の取り付け位置を掘り込みます。 深さはミシン蝶番が若干脚の表面より沈む程度。
ミシン蝶番を付属のネジで取り付けました。 この状態で脚を閉じると脚と脚の間にごく僅かな隙間が出ます。

幅の長い補強板に幅の狭い補強板を貼った上で幅の広い補強板に長い蝶番を固定します。
次に蝶番を取り付けた面に幅の狭い補強板を貼り付けます。 貼る前に幅の狭い補強板が蝶番に被る部分は掘り込んで置きます。(約1.5mm)

残る補強板3枚(幅広1枚と幅狭2枚)を貼り合わせてしまいます。
仮組立(木工ボンドは使わない。)をしてみました。 特に問題はなさそうです。

同じく仮組立のまま畳んでみました。 厚みは板厚(9mm) x 6 + α(隙間)で、54mm強でした。

本来であれば組立は完成させるつもりでしたが、ひとりごとで触れているように飛び込みの作業が入ってしまいましたので今週はここまでしか出来ませんでした。 塗装を含む最終作業は次回となります。



2002/12/12

作業の続きを一連の写真で紹介します。

踏板に手掛かり用の穴をあけます。 15φの木工ドリルで2箇所に穴をあけジグソーで切り落としました。

仮組立をして曲尺を当てて線を引き、脚の先端を斜めに落とします。
全部材にペーパーをかけて仕上げてから、踏板を除いて木工ボンドで組立てた後塗装に入ります。 ばらばらで塗装するよりも効率よく塗装できます。


左がスライドピン用に今回使ったねじ込み式ダボでダボの長さは13mm、ネジ部が15mmあります。 右の従来のニッケルダボよりこの作品の目的には強度上有利だと考えています。

ダボの頭が13mmと長いので、8mmドリルで3mmの深さに座ぐりねじ込みました。

3回塗りした後の脚の木口。 9mm合板3枚貼りが13プライ27mm合板のように見えます。
開いて使用状態に置いた所。 脚の上端にはあとでカバ-を被せる予定なので白っぽく見えます。

脚立使用位置から見下ろした所。 ラワン合板も3回塗りのニスのお陰でこんなに綺麗になりました。
このように置くことはありませんが、畳んだところです。

畳んだ脚立を真横から見ました。 厚みは54mm強しかありません。
脚には滑り止め用と謳われたプラスチックシートを貼りました。 これがないと横にすべる力がもろにガイドピンに掛かってしまいます。

頭を斜めに切断し、朴の板を切って被せました。 朴の白さを配色に生かそうと言う魂胆です。
  完成した折畳式脚立。 着色ニス3回塗りでラワン合板で作ったとは思えないような美しさです。
  頭部の朴の白さも良いアクセントになったと思います。


あとがき

塗装にはステインが含まれている和信ペイントの油性着色ニスを使い3回塗りしました。 

塗り斑を避ける為ペイント薄め液を20%近く入れましたので、3回塗りといっても原液のみを2回塗りする程度の仕上がり状態ですが、ラワン合板とは思えないくらい見映えが上がりました。 

----- 完 -----

  
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