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hfe チェッカー
   

2011/09/02

構想

ここの所続いている電子工作関連の新たなテーマとして『hfe チェッカー』を作ろうと思い立ちました。  そもそもhfe チェッカーって何物?と思われる方も居られると思いますが、簡易測定器の類の物で、トランジスターの電流増幅率を測ります。

何でそんな物が必要になるかというと、今後製作したいな!と考えているテーマの中には、トランジスターの電流増幅率を揃えたいケースが出てきます。  というのはトランジスターの電流増幅率は大変幅があるため、メーカーは同じ型番でも電流増幅率のランク分けをしています。 例えば大変ポピュラーなトランジスターの2SC1815の場合には、(70-140)(120-240)GR(200-400)BL(350-700)と4グループに分けて販売しています。(YとGR以外は入手し難いが?)

通常はこれらの分類により使って問題ないよう設計するわけですが、同じグレードでもhfeの値は最大と最少では2倍の差があります。 簡単に言ってしまうと例えばの物であっても入力電流が10μAあった時に出力電流が1200μA(1.2mA)から2400μA(2.4mA)の間にばらつく事を意味しています。

そしてこれが許容できない場合にはある決められたhfeの物、或いはより狭いhfe許容範囲の物を選別してやらねばなりません。 hfe チェッカーはこういった目的に使います。

 その動作原理は極めて単純です。 左の図は最も簡
 単なhfeチェッカーでこれにて動作原理を説明します。

 左端がhfeを測定されるトランジスターですが、これの
 コレクター(C)とエミッター(E)の間には3Vの電圧が
 掛かります。  ベース(B)には電源+側から230KΩ
 を通して電流が流れ込みます。

 ここでBとEの間の電圧(Vbe)は約0.7Vになるため
 230KΩの両端電圧は3 - 0.7 = 2.3Vになります。
 これを抵抗値(230KΩ)で割った値がここを流れる電
 流(10μA)で、被測定のトランジスタの入力電流にな
 ります。 この回路の電流計にはIc + Ibが流れます
 が、Icに対してIbは大変小さく無視できるためIcの値と
 して読み取ります。 そしてその値を10μAで割った値
 がhfeになります。 例えば1mA流れているのであれば、hfeは100です。 ここで例えば電流計の目盛りの1mAをhfe100(0.5mAは50になる。)に書き換えるとhfeを直読出来ます。
NPN - PNPと切り替えるスイッチはNPNトランジスターとPNPトランジスターでは動作電圧の極性が違いますので、それを反転させるためにあります。

このhfeチェッカーには次のような問題点がありますので更に改良するか、それらの問題を知った上で使わないとなりません。

 1.電池の消耗に従い測定誤差が大きくなる。
  電池が新品時に3Vということは2本の乾電池を直列ということで
  すが、電池メーカーは乾電池の寿命は電池電圧が0.9Vになっ
  た時点としているようです。 とすると電池2本直列の場合には
  1.8Vに低下した時点が電池寿命になるわけです。
  この時左の回路のベースに流れる電流はVbeが一定と仮定す
  ると、(1.8 - 0.7)÷230000 = 4.7μAと本来の半分以下になって
  しまい、Icもそれにつれて下がりますから、あたかもhfeが半分
  以下になったかのような読み取りになります。 よって電源は定
  電圧化して電池が寿命時の低電圧になっても駆動電圧は新品
  の時と同じになるよう工夫せねばなりません。

 2.Vbeは品種、動作条件、動作温度などで変化する。
  左の図はポピュラーな2SC1815のVbeとIcの関係を表していま
  すが、2SC1815が良く使われる赤線と赤線の間(Ic 0.1-5mA)
  においてVbeは0.6-0.7Vとなっております。

  また左下の図では同じIbの値でも温度によってVbeが変わって
  しまう。(10μAのIbの場合、25℃でVbeは0.62V位だが-25℃
  では0.71V位、100℃では0.5V位に変化してしまいます。)

  上のほうの説明でVbeを約0.7Vとあいまいにした理由のひとつ
  がこれですが、小信号トランジスターのhfe測定で室温(20℃±
  10℃)
に限定してしまえば、hfeの変化範囲は0.6-0.7Vとしても
   経験上良さそうに思われます。

   許容変化範囲が0.1Vあるわけですが、仮に電源電圧が3V一定
   であればベース電流値の誤差は3.3%とかなり改善されます。
   更に電源電圧を5Vに上げると、0.1Vの変化は2%の誤差となり
   ます。 そして更に高くすれば誤差もさらに減少します(定電流
   化してゆく)
が、電池を電源とする場合には寿命時の電圧のこと
   も考えないとならないのでむやみには上げられず、実用性では
   5V(2%の誤差を許容)がひとつの目安になりそうな気がします。

 3.電流計の挿入場所
   現在の位置では電流計はIc + Ib を測る事になり純粋なIcの測
   定は出来ません。 太い青矢印部分に挿入すればIcのみを測
   定できますが、PNPトランジスターを測定する時には接続極性
   を反対にしないとなりません。 そうするとNPN/PNP切替スイッ
   チに4回路の物が必要になりますが、ロータリースイッチ以外で
   そのようなものは入手困難ですから、コンパクトさを求める場合
   には採用しにくいでしょう。

   ところで測定するトランジスターを小信号だけと制限するとhfeは
   100以上あるのが普通です。 例えば2SC1815では最もhfeが
   低いグレードは実際には入手困難でYグレード(120-240)以上が入手容易です。  hfeが100の時に10μAのベース電流は1mAのコレクター電流となりますが、現状の電流計の位置ではIc + Ib の値になりますから、1010μAとなり、誤差は+1%です。 この程度の誤差でしたら電流計の位置による誤差は無視してもよいように思われます。


簡易型のhfe チェッカー回路

のちほど製作するhfe チェッカーはこの回路どおりに製作しています。

上が私が考えた簡易型の回路です。 上の方で説明した回路に対して大きく異なるのは、9Vの電池を使ったこととそれにシリーズレギュレーターを繋いで定電圧化したことです。

動作電圧は定電圧の5Vと、9Vの電池の電圧をかなり下げて使いますがこれには明確な理由があります。 9Vの乾電池は1.5Vを6本直列にした物ですから寿命時の出力電圧は0.9 x 6 = 5.4Vになります。  ここで使用候補としたTA48M05Fというレギュレーターは5Vの出力電圧を持ち500mA出力時の損失電圧(ドロップアウト電圧)が0.35V、250mA時には0.17Vと大変小さい値を持っています。 実際の消費電流はメーターフルスケールで5mAとLEDに流れる最大0.6mAの合計5.6mAですからドロップアウト電圧は更に低くなります。  従って電池が新品時は無論のこと、電池寿命時の5.4Vでもレギュレーターは作動し常に5V一定を供給してくれます。  前述の測定精度に一番大きな影響を与える駆動電圧の問題はこれで完全解決します。

前述2.の問題はそこで述べたとおり、小信号トランジスター用に使うと限定すれば、電源電圧5Vで2%程度のの測定誤差に納まりますが、この誤差を許容することにします。 更なる改善を図ってこれ以上電圧を上げようとしても006Pを2本直列とかDC-DCコンバーターを使うなど、かなり回路全体のバランスが狂ったり費用がかなりアップして簡易型というイメージから離れてきます。

前述3.の問題も小信号トランジスター用に使う事で限定すれば、測定誤差は殆どの場合で1%以下ですから問題はまず出ません。

 シリーズレギュレーター以外に追加したのはLEDインジケーターとミニフォーン
 ジャックの追加だけです。 これは3Pのコネクタにトランジスターを直接挿入し
 て測定する方法と、ICクリップで接続する2つの接続方法を考えていますが、
 3Pコネクターにトランジスターを接続し、ICクリップのBとEに電圧計を繋げれ
 ば、hfeを測定しながらVbeも測定できることになります。

 メーターについては手持ちの100μA(温度計に使った物と同じ)に並列に抵抗
 を結線しフルスケール5mAになるようにします。  従ってhfeの測定最大値は
 500ということになります。 メーターには20μA毎に数字が入っていますが、こ
 れを100、200、300、400、500と書き換えてやり、それらの間の目盛りを使って
 hfe 5刻み程度まで読み取れるようになります。

 ところで以上の簡易型で製作するつもりですが、もっとシリアスというか精度を
 高く取れてパワートランジスターにも対応でき、hfe測定時の電流値も数種類
 選択できる物も実は考えました。

 左がその基本回路で、オペアンプを使って定電流の注入をNPNトランジスター
 用に、また定電流吸出しをPNPトランジスター用に設定します。
 その注入(或いは吸出し)量を数種類選択できるようにすることで、hfe測定時
 のIcも選択できるようになります。

 多分これに勝る方法は無いでしょうが私の使用目
 的(小信号トランジスターの測定)からはやり過ぎの
 感がしますのでお蔵入りになる公算が大です。

電源スイッチはトグルスイッチですが、OFFが中央ポジションでどちらに倒してもONになりますが、片方
はモメンタリーで離すとOFFになり、もう一方はロックされてON状態を保ちます。 これは通常のON/OFF
スイッチで構いません。

構想段階の説明の最後に外観について触れておきます。 電子温度計の製作時に使ったメーターと同
じ物を使うので、ケースについても同じ大きさ・構造で行こうと考えています。  右が外観イメージです
が、高機能型温度計のセンサーを取り除いて、前面にLEDを追加したレイアウトです。 見かけ上大きく
違うのは塗装で、今回はペイント塗りつぶしはやめて木目を美しく見せる事に意を注ぎます。



2011/09/09

予備実験

 トランジスターのコレクターとベースの間に入る抵抗で10μAのバイアス
 電流を作りますが、その抵抗値は、(電源電圧 - Vbe)÷0.00001で求め
 ます。 これはVbeが一定であればバイアス電流の10μAも安定する事を
 意味しますが、実際にはVbeはばらつきますので極力その平均値で計算
 してバイアス電流が10μAから大きくずれないようにしないとなりません。

 これまでの経験では小信号トランジスターでIcが数ミリアンペアの場合
 Vbeは0.6 - 0.7Vにあるように感じています。
 そこで算術平均でVbeが0.65Vであるとしてどうなるかを実験しました。
 まずバイアス抵抗の値です。
 上の式に代入して、(5 - 0.65)÷0.00001 = 435KΩが求まります。
 ±5%誤差の470KΩと39KΩを直列接続しDMMで測定した所432.7KΩを
 得ました。 437KΩになるべき所約1%低い値になったわけですが、求め
 る435KΩに対して-0.5%の誤差ですから充分な精度と考えます。

 この抵抗を使って、2SC1815(Y)、2SC1815(GR)、2SA1050(GR)、
 2SD1616(U)各5本のVbeとhfeを測定しました。 結果は以下のとおり。

トランジスター名 Ic + Ib hfe Vbe
 2SC1815(Y) 1.5mA 150 0.654V
1.36mA 136 0.653V
1.5mA 150 0.653V
1.65mA 165 0.652V
1.25mA 125 0.652V
 2SC1815(GR) 3.25mA 325 0.656V
3mA 300 0.655V
3mA 300 0.655V
2.8mA 280 0.654V
3mA 300 0.656V
 2SA1050(GR) 2mA 200 -0.569V
1.9mA 190 -0.542V
1.8mA 180 -0.571V
2mA 200 -0.570V
2mA 200 -0.540V
 2SD1616(U) 4.5mA 450 0.567 V
4.3mA 430 0.565V
4.8mA 480 0.562V
4.5mA 450 0.564V
4.8mA 480 0.564V
 2SC1815(Y)のベース電流は、10.04 - 10.05μAの間で+0.4
 〜+0.5%
の測定誤差が発生します。

 2SC1815(GR)では、10.04μAと余り動かず+0.4%の誤差です。

 2SA1050(GR)では、10.24〜10.31μAで、+2.4〜+3.2%の誤差
 が発生しています。

 最後の2SD1616(U)では10.24〜10.26μAと+2.4〜+2.6%
 誤差の発生でした。

 これらから言えることは、もっと沢山のサンプリングというか測定を
 経ないとはっきりした事は言えないが、平均値は0.65Vより少し低
 く0.60〜0.62辺りに設定した方が良さそうだ? と考えられます。

 さて40本の小信号トランジスターを測定して改めて気が付いたの
 ですが、hfeのバラツキは要注意です。
 測定した5本はそれぞれ同一ロットと見られ5本のhfeの値は近し
 く、2SC1815(Y)は150±α、2SC1815(GR)は300±α、
 2SA1050(GR)は200±α、2SD1616450±αの傾向値が
 あると考えてよいでしょう。

 但し同じトランジスター、同じグレードでも生産ロットによって違う
 傾向が出るでしょうし、トランジスターの品種そのものが違えば当
 然各性能は違ってきます。 従って実際に測定したデータを積み
 重ねて平均Vbeを決める方が良いと思います。

 設計上は390KΩの固定抵抗に100KΩのポテンショメータを繋い
 でやりますから、ベース抵抗の値は390K - 490KΩの範囲で調
 整できます。 Vbeとしてはあり得ない広範囲で10μAをひねり出
 せます。
 以上の予備実験の結果簡易型とは言いながらも、充分に実用に
 なることが確認できましたので、いよいよ製作に入ります。


電機回路のバラック配線

まず電流計の加工を最初にしました。 電気的には39Ωと1KΩを電流計に並列に繋げば5mAフルスケールの電流計となりますが、目盛もそれに合わせてやります。 その方法は次のとおりです。

  1.電流計を分解し目盛板を外します。
  2.目盛板をスキャナーでスキャンし、目盛板全体をファイル化します。
  3.そのファイルをドローイングソフトに取り込んで、既存の目盛を消して新たな目盛を描き込みます。
  4.薄い上質紙に印刷します。(拡大・縮小なし)
  5.目盛板表面を両面接着テープで覆って表面の紙を剥がし、印刷した目盛を貼り付けます。
  6.周りの飛び出た部分を切り落として目盛板を元通りに取り付けて完成。


出来上がった物は以下の写真をご覧ください。

左が元々の目盛板で右が変更が済んだ物。 100μAの物が5mAに変貌です。 文字入れは全てドローイングソフトで。 若干目盛の線が太くなっているのが唯一の問題点かもしれませんが、大過はないでしょう。

次に2種類の基板を切り出して部品を取り付け配線します。 基板のレイアウトは右のとおり
です。 大きい方は電流計の端子にネジで固定します。 右上に取り付けるポテンショメータ
ーの調整ネジが上側だと裏蓋固定ネジに干渉する可能性があるので、必ず下側に来るよう
にします。 またワイヤーが合計で8本接続されますが、長めにしておき最後の組立て取り付
けの際に最終的な長さに縮めます。

もうひとつの小さな基板の中央に6PのDIP ICソケットを取り付けます。 6Pのソケットというのは大変珍しいのですが、小信号トランジスターを接続するのに大変好都合です。 実際には3PあればOKなので、3Pと3Pは接続して、どちらの3Pでも使える用にしています。

尚この図は上から見た図として描いていますが、この基板はトランジスターのエミッター()が左、コレクター()が中央、ベース()が右になるよう配線します。 こうすると大半の小信号トランジスターは、平らな印刷面を手前にして図の赤点線で示したように挿し込めばOKで接続が簡単になります。

これでバラック配線ながら電気的には動作実験できる物になります。

電流計に接続と基板固定を兼ねています。 ポテンショメータの調整ネジ(赤矢印先)は下側に位置しています。

トランジスターを挿し込む6P ICソケット。 上の3ピン、下の3ピン、どちらを使ってもOKです。 左からE、C、B、とすると大変簡単に接続できます。

バラック配線全体の様子。 中央が本体部分で電流計の背面にメイン基板が固定され、左側は電源の006P乾電池。 右はNPN、PNP切替スイッチ、その上は6P ICソケットの付いたサブ基板で、上に飛び出ているのが未結線でLEDを繋ぎます。 電源スイッチが省かれていますが、それ以外は最終的な回路です。

上の状態で最終的な動作テストを致しました。  まず駆動電圧ですが、4.95Vの値を得ています。 5Vを若干下回っていますが、変化しない事が重要であり動作上の問題はありません。  因みに安定化電源を繋いで10Vから電圧を徐々に下げてゆきましたが、4.95Vの表示はピクリとも動かず、やっと動き出した(下がり始めた)時は5Vになった時でした。 なんと入出力電圧差が0.05Vですから充分以上の性能です。

さて駆動電圧が4.95Vですから、そこから平均Vbeを0.65Vとして差し引きバイアス抵抗の両端電圧は4.3Vとなりますので、バイアス抵抗値としては430KΩ(4.3÷0.00001)となります。 そうなるようポテンショメータを回して調整します。 これでテストに入れますが、無差別に5本ずつ4種類のトランジスターのhfeのみを測定しました。 以下がその一覧です。

トランジスター名 hfe   トランジスター名 hfe
2SC1815(Y) 145 2SD1616 445
165 480
135 460
165 450
165 490
2SC1815(GR) 305 2SA1050(GR) 245
335 220
335 240
310 220
305 240

前の測定値と似通っていたりそうでなかったりしていますが、全く同じトランジスターを選んでいるわけではないので、その詮索は無意味です。 6P ICソケットを使ったため接続が早く簡単なため多量のトランジスターの測定も効率よく処理できそうです。 中電流以上のトランジスターの場合には6P ICソケットと並列接続するICクリップで測定する事も可能ですし、このICクリップはVbeの測定にも便利に使えます。



2011/10/14

ケースの製作

前にも申し上げたようにケースは高機能型温度計用に製作した物と全く同じです。 電源スイッチはモーメンタリーONとそうでない通常のONのどちらでも使えるものにしましたが、特殊なトグルスイッチで入手製に問題あらば通常のスイッチでもOKです。

 ケースの作り方に関しては特に説明
 する必要も無いと思いますので、左
 の全体の寸法図(左)とケース部材
 の寸法図(右)、及び後に掲載する
 製作推移の写真などをご覧ください。

 製作上で難易度の高い部分もありま
 せんが、これらの図面には現れない
部分で今回は意を払わなくては?と考えております。 その意を払う部分は塗装でして2つの温度計の場合にはペイントの塗りつぶしにて仕上ていました。 ペイント塗りつぶしも決して悪くはないのですが、木目の綺麗な材料の場合にはもったいないとも言えます。

そこで今回はマホガニーブラウンで軽く着色後透明クリヤーニスを4-5回塗って表面を完全に平坦にした後に艶消しニスを塗って仕上げとしたいと考えています。 そうすると光の当り方や強さの違いで木目の一部が金色に輝く見事な仕上がりになるはずです。 同じ塗装を平行して進めているヘッドフォーンアンプにも施そうと考えています。 

ところで同じ材料を使って平行に進めているヘッドフォーンアンプのケースは、2枚の側板が出っ張るように貼り付け、接着剤が乾燥後に出っ張った部分をトリマーで削ってしまうテクニックで容易に精度が出るようにしています。

こちらも同じようなやり方で加工を楽にしたいところですが、組立構造が複雑になっており、天板を除いてその方法は取れません。 そこで少しでも加工作業が楽になるように、側板と天板の奥行きの寸法は一緒(60mm)ですからこれらを繋いだ状態で60mm幅の板から切り出すと板幅はカンナで簡単にどんぴしゃ寸法を出せます。 同じように前板、背面板、底板、飾り前板の4枚も同じ幅(54mm)ですから、こちらも54mm幅の長い板から切り出せば幅の調整はカンナで簡単に出来ます。

これだけでも随分楽が出来ていますが、基本的に寸法を±0.1mm以内、そして直角度は曲尺を当ててぶれていないことを絶対条件として加工作業を進めました。 このため全部で11個ある部材を切り出し、2次加工を済ませるまでに丸一日を費やしています。

その結果は接着による組立作業は非常に簡単に進みました。 その様子は以下の写真でご覧ください。

上は60mm幅の3つの部材を並べ、下は54mm幅の4つの部材を並べて切り出します。 使うノコギリは翔220で平均した実切り幅が0.73mm位ですから、それが1mmあるとして墨線を引いてあります。 従って切断後カンナやヤスリで簡単にドンピシャ寸法を出せます。

2次加工となる全ての穴をあけました。 普通は材料を切り出してから2次加工をしますが、部材が小さい場合にはこうした方が2次加工がやり易く、加工精度を出しやすいです。

少々脱線ですが、トグルスイッチのレバーが通る小判状の穴(4 x 8mm)のあけ方をご紹介します。 左から、3mmのドリルで穴をあける。 中央は4mmの丸ヤスリで穴を4mm(墨線に到達する。)に拡大する。 右は、2.5mm角のヤスリで削って2つの穴を繋げる。

そして小判状になるよう削り込み。飾り前板として2次加工が終了。(右端が左写真の後加工が完了した穴です。)
この方法はアルミパネルにおいても全く同じで、小判状小穴の定番加工法となりました。 真中の穴は直径2mmでLEDを見せる穴です。

54mm幅の板(上)と60mm幅の板(下)を切り出しそれぞれカンナでドンピシャ幅に仕上ました。

それらを切り離し更に左下に見える4枚の部材を切り出して、部材切り出しは完了。 ここまでに丸一日掛かっています。

組立は底板と前板の接着から。 前板は底板の前面から9mm引っ込んだ位置に接着します。 接着角度が直角になる事が重要ですので、自作直角接合ジグを使っています。

側板の内面に貼り付ける3mm角の電池受け部材を貼り付けます。 洗濯バサミが圧着保持として有効な場面です。

側板の片方を接着します。 加工寸法や直角度が正確であれば何も心配することなく接着してよろしい。

電池受けの天板と中央背面板を接着。 こんな小さな物の接着にはハタ金が最適です。

残りの側板を接着しました。 これもどちらかと言うと無造作に作業を進めています。

電池室仕切りを嵌め込んで、瞬間接着剤で固定しました。 従って圧着保持はしていません。

最後に天板を接着しました。 接着部分の総長が180mmにもなるので、6本のクランプを使い浮き上がりを防止しています。

ケースの組立作業は終了しました。 残る作業は裏板のロック機構、面取り加工と仕上げ研摩です。

メーターを嵌め込んでみました。 全く問題はありません。 塗装後ここに見える飾り前板は両面接着テープでメーター下部に貼り付けられます。



2011/10/21

完成まで

ケースを塗装する前にやっておかないといけない作業が若干残っています。 それらは、1.裏蓋固定機構の製作。 2.LED固定の下準備。 3.面取りと仕上げ研摩。 の3つです。

裏蓋固定機構は高機能型温度計と同じで蓋の上部両側はM3のネジで固定し、下の中央に爪を付けて引っ掛け、外れ防止とします。 雌ネジ側はコの字型の断面をしたアルミチャンネル材を加工してL型の受けを作り、それにM3の雌ネジを切りました。 下部の受けの部分は幅1.2mm、深さ1.2mm程度の溝を彫り、そこに入る爪は1mm厚アルミ板を切って裏板に貼り付けています。

LEDの固定は3mm厚の小さな板に3mmの貫通穴をあけ、その後4mmの穴を深さ1.5mmであけます。 こうするとLEDのツバの部分も板にもぐりこみますので、瞬間接着剤を使って抜け止めをします。 LEDの先端は1.5mmほど出っ張りますが、前板にはそのような座繰りがしてあるので、塗装が終わったら前板裏側に貼ってやります。

面取りはボーズ面ビット(BZ-10G)を使って全ての角を丸めました。 その後全面を#400サンドペーパーで仕上げ研摩をしています。

塗装について当初とは違った処方としました。 平行して製作が進行中のヘッドフォーンアンプのケースの塗装では、マホガニーブラウン色で赤身の多めの明るめの焦げ茶色に着色してニス塗りと考え、このhfe チェッカーも同じ着色をしようと考えていました。 ところが良く考えてみると、hfe チェッカーでは上面のコネクターの手前にBベース、Cコレクター、Eエミッター)を表示する。 全面のトグルスイッチの左側に、NPNPNPの表示をする。 の2つが絶対に必要になります。

その方法としてはインスタントレタリングになりますが、黒以外の色がありません。 従って文字が見えるようにするには明るく塗装しなくてはなりませんから暗くなるような着色は不可ということいになります。 そのような理由で単純にニス塗りだけで仕上ようというわけです。 多分黄変効果で着色無しでも綺麗なアガチスの木目が楽しめると期待しています。

それら完成までの作業の様子は以下をご覧ください。

裏蓋をネジ止めする金具(手前の2個)は、後に見えるチャンネル材を切断して作りました。 ネジはM3です。

逆さに置いていますが、ケースの上部内側の両端にエポキシ接着剤でネジ止め金具を固定しました。

ケース裏側の下には溝(幅1.2mm、深さ1.2mm、長さ10mm程度)を彫りました。

その溝に落としこまれる爪は1mm厚アルミを切って裏板の内側にエポキシ接着剤で固定しています。 この爪は1mmほど飛び出ます。

3mm厚の板に3mmの貫通穴をあけ4mmの深さ1.5mmの穴をあけると、LEDはすっぽりと埋まり込みますのでその状態で瞬間接着剤で固定します。 LEDの先端はこのように飛び出ますが、前板の裏側にはその分の座繰りをしておきます。

そして最終的はこのように接着しますが、それは塗装が完了後となります。

継目部分の段差が全く無くなるよう#240ペーパーで研摩後#400ペーパーで全面を仕上げ研摩します。

残るは面取りだけとなりました。 これは背面の様子をお見せしています。 背面板の固定ネジには例の頭が大きめで薄いやつを使っています。

ボーズ面ビット(BZ-10G)で全ての角を丸く削り落としました。 この後その丸みの上を#400ペーパーでさするよう研摩したら塗装作業に入ります。 接着剤がはみ出て残っているとまともな塗装が出来ません。 念には念を入れてそのような事が無いよう確認する必要があります。


 塗装は無着色で水性ウレタンニス透明クリヤーを3回塗って表面をつるつるに仕上げ、インスタントレタリングで文字入れ
 後、透明クリヤーを一回塗ってその後に艶消しクリヤー1回塗りの計5回塗りとしています。
 油性ニスに較べ肉乗りが余りないので塗り回数は増える傾向にありますが、乾燥が速いので作業時間は掛かりません。



水性ウレタンニス透明クリヤーを塗りました。 2時間後に#400ペーパーで軽く研摩し研摩かすを濡れ雑巾で拭い落としてから次の塗装をします。 中央の飾り前板はその右の背面板よりも黒ずんで見えますが、これらは光の加減で艶の見え方が変わるせいで、アガチス独特の現象です。


塗って乾燥したら研摩してを繰り返し3回目の塗りが終わりました。 そこの部分が新聞紙を反射しており、かなりの艶が出ていることが判ります。

ここで天板中央に飛出るICソケットに、挿し込むトランジスターの極性表示(E、C、B)を入れます。 また飾り前板の左側のトグルスイッチのレバー穴に、トランジスターのタイプ(NPN、PNP)を表示します。

そしてうっかり忘れていたのですが、ICクリップを付けたワイヤーで接続できるようミニフォーンジャックを取り付ける穴をあけました。

そして塗装のほうは最後の塗装(水性ウレタンニス艶消しクリヤー)を施しました。 私は色々な意味で艶消しニスを多用します。 この作品での目的は使っているうちに付いてくる傷を目立たなくするためです。

内部を組み上げました。 分解が出来るような配慮をしたため多少長めになりやすい10数本のワイヤーを折り畳んでいるためごちゃごちゃしています。

天板中央の6P ICソケットです。 大半の小型のトランジスターは印刷面(平らな面)を手前にして挿し込むと左からE、C、B の順序で並びます。

実際に使っている様子です。 もしもトランジスターのピン配列が違っていたり、パワートランジスターを測定する場合には、右手に見えるICクリップ付きコードで接続します。 この場合赤がコレクター、黄色がベース、黒がエミッターです。

ICソケットにトランジスタを挿し、ICクリップコードの黄色と黒を電圧計に繋ぐとhfeの測定と同時にVbeの測定も可能です。



----- つづく -----


 
  
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