2001/10/30
構想と留意点
左側の壁と右側の下がり壁の内寸は2間ありますが、このスペースを目いっぱい有効利用
し最大限の収納力を確保することをメインコンセプトとし、次の諸点を設計上重点項目としま
した。
1.衣服のサイズを調べ、適切な高さを3種類に分類。
・背広などは、ハンガーパイプまで930mmの高さがあれば充分。
・家内の洋服は、ハンガーパイプまで1400mmと1020mmの2種類の高さがあればOK。
(体格によりこの数値は変化します。)
2.洋服を無理なく収納するには、奥行は600mm必要。
3.整理ダンスは本体奥行(600mm)を最大限利用する。(容積の確保)
4.季節はずれの一部の衣類は他に収納しても良い。(納戸に収納)
5.飾り棚、TV、ジュエリーボックスを組込みたい。
これらの条件を満たし外観的にも満足できるものとして検討を加えまとめました。
絶対条件として、補強のための下がり壁があり横幅が3504mmに制限される点がありまし
たが、内寸幅570mm2ブロックと752mm3ブロックの組み合わせとしました。
570mmという寸法は、ジュエリーボックスが入り、21"TVが置けるサイズ゙と言うことで割り出したものです。
右端のブロックは上下2段の背広をかけるハンガーパイプの間隔930mmを確保するため天袋なしとし、概算2400-930-930-135
(上部パイプの上の空き)-100(床からのせり上げ分)=305mmから、この下に前板の高さ150mmの引出し2段を入れることにし
ました。
左端のブロックは、右端と対称とするため下に2段の引出しを取りその上に家内の長い洋服(1400mm)のスペースを取り、
2400-305-100-1500(100のパイプ上のスペース加算)=495mmを天袋の高さと見当をつけました。
あいだの3ブロックはベッドで寝そべってTVを見る高さが70cm位が良さそうなので、4段の引出しとし、真中はその上に洋服ダン
ス、両側は飾り棚兼TV、ジュエリーボックス置き場としたわけです。
引出しの奥行を目いっぱい取ろうと言うことで、木製レールで引出しを受けるのはやめ、スライドレールを
採用しました。 ここで使ったのは、ATOM 新17S-D-D-600というレール長600mmスライド長500mm
という仕様の物です。 スライド長が500mmということは、引出しの箱の厚みを差し引くと88mmだけ手前
に出ない部分が残りますが、実用上全く支障はありません。 当たり前ですが、スライドレールを使った
為、完全に引き出しても手前側が落ちたり外れたりする心配もありません。
左の写真をクリックすると、この辺りの様子がよくお判り願えると思います。
これで整理ダンスの容積計算をしたところ900リットルを超え、ほぼ充分であることがわかりましたが、
真中の洋服ダンスの高さが1200mmあり、下部の空きスペースが気になります。
ここに単純に引出しを追加すると外観的に面白くなさそうなのでそのままとし、完成後に再検討した結果
内引出しをここに取り付けるということで対処しました。 (右写真クリック)
この引出しはかなり深く159mmありますので、ハンドバッグなどの収納に使われています。
使用材料
構造体となる側板と棚板及びドアと引き出し前板は全てシハチの18mm厚シナ合板、引出しの箱は、
12mm厚シナ合板で枠を作り、底板は4mm厚のシナ合板です。 スライドレールはATOM 新17S-D-D-600
を16セット、ドア用に半かぶせスライド蝶番を計31個使っています。
ツマミはスライドレールを使用した為
大きなものでなくても十分に機能するところから、アルミ製U型の小さな物を縦使用しましたが、シンプル
なコンテンポラリータイプのデザインをキリリと引き締めてくれていると思います。 (右写真クリック)
その他は、ネクタイハンガー、鏡、ハンガーを引っ掛けるステンレス貼りパイプとその受けです。
註) ここで使用したスライドレールとスライド蝶番はこちらからmini-Shopで購入できます。
加工組立
側板、棚板の大半は気取りを十分検討した上で縦方向だけは材木店に切断してもらいました。このため製作時間の短縮と、作業
場所の確保が楽になります。(シハチの合板はでかいですよ!)
合板の接合は、18mm同士の部分は接合強度をかなり大きく取る方法、引出しなどは、ボンドの接着力のみの簡単な方法です。
側板に対し同じ高さで両面から棚板を接合しなければならない部分は、特殊ネジを使った接合方法を取ります。
側板と棚板の組み上げに工夫を要する所が一箇所ありました。 右端の側板は下がり壁に内接させますが、左側から組上げて
行って右端の側板を固定する時に、側板上部を下がり壁の内側に入れ、下部は右へせり出して傾けさせます。次に側板下部を
左にずらしながら下の固定棚2枚を嵌め込み、最後に内幅丁度に切断した板を上部に嵌め込んで固定という手を取り、全体が
ピッタリと収まりました。 また地震対策のため、最上部は天井の桟に固定されています。
スライド蝶番の取付け方及び調整の仕方については、設計/検討編、加工/塗装編を参照下さい。
仕上げは全て日本ペイントのファインウレタンU100です。 塗装は数回塗ってその間に水研ぎをすれば見事な仕上がりとなること
は判っていながら、余りにも時間がかかりその間当然ながら使えないわけで、不自由この上ありません。 従って一種の手抜き
ですが、2回塗りとし2回目を塗る前に#240のサンドペーパーで表面のざらつきを落とすだけとしています。 それでも本体の塗装
に2週間、ドアは両面あるため4週間と塗装だけで1.5ケ月も掛かっています。
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