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ベビーベッド
   
2006/08/25

構想
       市販のベビーベッドの一例
 来年の年明けに子供が生まれるよ! と私の長男夫婦がこともなげに最近報告して
 きました。 私たち夫婦にとって待望の初孫になるわけで暫し吃驚するやら嬉しいや
 らその話に花が咲きましたが、おじいちゃんおばあちゃんとなる私と家内は初孫に何
 が出来るかをいろいろ考えた末そのひとつのアイデアとしてベビーベッドが良かろ
 う!ということになりました。
 とは言っても今までにベビーベッドを作ったことは全くなく(私の最初の子が生まれた
 時は2間のアパート暮らしで、ベビーベッドを置く場所などありませんでした。)
、完全
 に白紙の状態から構想をまとめ設計しないとなりません。  もっとも生まれるのは
 年が明けてからですから慌てて作ることもないのですが、拘りの私らしいというか自
 作ならではの工夫に満ち溢れた物にしたいと考えています。

 そういうことで構想をまとめるのにかなり時間が掛かると思われ完成は年内を予定と
 スローペースで進めますのでご了解ください。 私と同様孫に作ってやろう或いは
 30-40代の方で生まれる子供のために作る!という方に参考になる情報を盛り込ん
 で行きたいと考えています。

検討すべき仕様など

全く白紙からのスタートですから盛り込むべき可能性のある項目、仕様を全て抽出しないとなりません。 以下は現在気がついた事項を列挙したもので最終的には採用しないものもありますし、現在は気が付かないものの将来追加される場合も充分あり得ま
す。

  1.ベッドのサイズ
    幅、高さ、長さなど何が適切な寸法かを決める必要があります。 その中で布団を既製品とするのであれば、2-3種類になり
    ますので、それにて幅、長さが決まります。

  2.組立て式の構造
    ベビーベッドとしてはどんなに長くても生まれてから2年以下の使用期間ですから組立て式にして使い終わったら返してもら
    い整備しなおして保管し、今後更に生まれるかもしれない孫のためにレンタル式にしようかな?と考えています。
    従って持ち運びしやすく保管場所を喰わない組立て式としますが、構造的にしっかりしていて軽くて赤ちゃんが間違っても怪
    我をしないような構造でないとなりません。

  3.塗装
    男の子が生まれても女の子が生まれても差し支えないようなホワイトアッシュとかビーチなどの色味を採用し、勿論ニス仕上
    げで行こうとしていますが、赤ちゃんが使うので超安全性の高い食品衛生法に適合した水性ウレタンニスを採用すること
    は迷わず決まりです。

  4.容易に移動が可能な方が良い?
    ベッドを移動するときのためにキャスター付も検討項目ですが、移動しないときにはキャスターを完全に殺さないとぐらつく不
    安定さが残りますからこれも構造を良く考える必要があります。

  5.折りたたみまたは移動する手摺
    ベッドに寝かしつけるときに手摺が一時的に移動した方が良いでしょう。 またオムツを替える動作のための配慮も充分考え
    る必要もあります。

  6.収納スペースをどう考えるか?
    ベビーベッドの面の高さは通常のベッドよりもかなり高くなると思われますので、その下の空間をベビー用品の収納場所とし
    て使えますが、どのような構造にするのかを良く考える必要があります。

  7.製作材料
    メーカー製のものはナラ材をはじめ少々硬めの木材を使いホゾ継ぎで組み立てています。 同じようにナラ材を使おうとすると
    入手性が悪く材料加工も手間取りアマチュアのやり方としては敷居が高めになります。  また手摺には丸棒をタテに嵌め
    込むのが一般的ですが、既成のナラ材の丸棒は更に入手が困難になります。  木工旋盤で丸棒を削り出せばよいのです
    が、木工旋盤購入負担と置き場所の問題は私の趣旨に反するので、既成の丸棒を流用することで考えます。

    ホームセンターを数件見たところ以前は丸棒材としてポピュラーだったラミン材に替わりラジアタパインの物が増えています。
    どうやら乱伐防止のために起きた現象のようですがラジアタパインの木目は息子夫婦も大変気に入っていることもあり、ラジ
    アタパイン材を主材として全面的に採用することにほぼ固まりました。

    ラジアタパイン集成材の最大厚みは18mmですが、更に厚い物は14mm厚のものも含めて貼り合わせて角材を作ってしまお
    うという魂胆です。  14 + 14 = 28mm 18 + 18 = 36mm、14 + 14 + 14 = 42mm、14 + 18 + 14 = 46mm などがそれらの
    候補です。   こうして作った角材の強度的な問題はないはずで、貼り合わせ目(継ぎ目)が目だってチープな感じは今ま
    での経験では殆どありません。  それどころか 14 + 14 +14 = 42mm と 14 + 18 + 14 = 46mmを採用すると本来のホゾ組
    み加工をすることなくホゾ組みと全く同じ強固な構造が簡単に作れますので、基本寸法として42mm、46mmは真剣に採用す
    る必要があります。

  8.メリーの自作
    これはベッドとは直接関係ありませんが、赤ちゃんを眠らせるのに効果があると思いますので自作してみては?と考えてい
    る付属品です。 日曜大工より手芸の領域に入ってしまうテーマです。

  9.ゆりかご機構
    上手く寝かしつけるのにこれも効果があるかもしれません。 但しハンモックで揺らすのとは回転方向が反対になるのと、縦
    長方向に揺らす方が良いのか横方向に揺らす方が良いのかも調査・検討が必要です。



2006/09/29

構想

きばってあれこれてんこ盛りの内容をピックアップしましたが、色々な状況を想定の上で取捨選択に入り、第一次の構想をまとめ上げました。 尚実際に販売されているベビーベッドを参考にと思い数件の家具屋さんに行ってみましたが、残念ながら販売されている所がないのが実状でしたので、組立て構造、カラクリ部分は全て私なりに考えます。 以下はそれらの概要です。

 1.ベッドの内寸は1200 x 700mm
  市販されているベビー布団を流用するつもりですので最もスタンダードなサイズらしき物を
  調べた所敷布団の寸法が1200 x 700mmでしたので、これに合わせます。

 2.材料
  表面に露出する部分は全てラジアタパイン集成材を使います。 板厚は18mm14mm
  の2種類ですので、これより厚くしたい部分は貼り合わせということになります。 ベッド下
  のスライド収納棚とベッドの底板は合板としますが、ベッド底板の上には5mm厚のコルク
  を貼って断熱、ソフト感、薄板特有の音鳴きを抑えるなどを考えます。
  周りの柵の縦の棒は18φのラジアタパインのムクの棒を使います。



3.全体構造
 セットキャップボルトを使って組み上げる構造とします。 これにより使わないときには最少スペースで保管できますし分解して
 移動も楽にできるようになります。 上半分は縦の丸棒が約100mm間隔で入る柵に4面が覆われますが、ベッド下の部分は
 前面がフルオープンで後ろ側と側面は中央横方向の撓み防止補強板を入れます。

 4.カラクリ部分
  長手方向の柵は上下にスライド可能な構造にしますが、片手で柵を固定/解除そして上下の移
  動も出来る機構をどうするかを継続して検討中です。

  1案としては左の図のような全ネンジでストッパーにリンクする機構を作りそれをカム機構でハンド
  ルを回転させると左右に動かしロック/アンロックさせるなどを考えています。
  何れにせよ金属部分が多くなりますが、溶接など無しにまた削り込み作業を最少に出来るよう
  市販の金物を使って実現できる構造を練り上げる必要があります。

 また底部には前後にスライドする棚板を設置し収納場所として使いながら奥のものにアクセスしやすい構造にします。 ここは収
 納物の重量が大きくなることは殆どないと思われますのでスライドレールを使わない方法を検討中です。

5.塗装
  無着色のラジアタパインに水性ウレタンニスクリヤー2回塗り後に7分艶とするため艶消しクリヤーと透明クリヤーを1:1混合して
  仕上げます。 色味は黄色味が若干増大するでしょうが、ラジアタパインの独特の美しい木目が映え鈍い艶が出るはずです。
  尚使用するニスは食品衛生法に適合していますから赤ちゃんがしゃぶっても健康上の問題は全くありませんし、ウレタン塗膜は
  極めて丈夫になります。

6.ベッドの移動構造
  単純にキャスターを取り付ける方法以外に移動時のみキャスターが下がるような構造も含めまだ検討中ですが、何らかの容易
  に移動できる構造とする必要があると考えています。

カラクリの細かな細かな部分はまだ詰まっていませんが、全体としてはかなりシンプルなデザインで、図では表現してありませんが全ての角は丸く落とし間違っても怪我に繋がらないような仕上げにすると共に拭き掃除がし易いよう細かな凹凸の少ない物にしようと考えています。   ただひとつ未経験であるため荷重に対する強度をどこまで取るべきなのかが判りません。 強度が取れればそれに越したことはありませんが、当然ながら重くなりますし材料代もかさむので思案どころです。

ひとつの基準としては長手方向の手摺を下ろした状態でベッド面に60kg前後の大人が座っても問題がない(壊れたり横方向に大きく撓んだりしない!)程度にすれば良いのかな? と仮設定しています。(因みにメーカー製でベッド面の耐荷重は30-40kgなどと表現している物もありますが、これではちょっとどうかな?という気がします。)



2006/10/06

構想の続き

 このテーマのカラクリ部分で一番悩んでいた部分は上下にスライドする柵のロックとアンロック機構
 にあります。 簡単に実現するのであれば柵の左右にラッチ金具(掛け金)を取り付ければ実現で
 きますがそれではワンタッチでしかも片手で操作してロック/アンロックは実現できません。

 実際の使用状況を推測すると赤ちゃんを片手で抱いたままロック機構を操作しないとならない事が
 充分ありえますので拘っているわけです。 先週紹介した方法はひとつのソリューションですが、ど
 うも複雑な加工を強いられそうで面白くありませんでした。 そしてその後継続して考える中でこれ
 ならという構造を思いつきましたのでご紹介しておきます。 左の図の中央の園内に見える二つのツマミを同時に挟めばロックが外れます。 そして柵全体を上に止まるまで上げれば自動的にロックします。 この機構の詳細は以下のとおりですが、特殊な部材や特殊な加工を殆どすることなく実現できることと、容易に調整が出来る点が特徴です。

 柵の上の横棒はこの機構を考える場合縦に挿入する丸棒が邪魔になるので2重にします。
 そして上の棒(手摺?)の底に彫りこみを施しそこに全ネジを埋めます。 全ネジではなく鉄の丸棒
 でも良いのですがその場合には端にネジを切り込む必要が出てきます。 この全ネジ或いは鉄の
 棒は直径3-4mmのもので十分だろうと想像していますが図では直径6mmで描いてあります。
 この棒の片方には直径6mm以上の鉄棒を接続しこの部分で柵を支えます。 棒の反対側にはレ
 バーとなる部分を鉄板で作りナットで固定しその鉄板をツマミとなる板で覆います。 このような部
 材を2つ作り中央に押しバネ(紫色の部分)を挟み込みます。

こうしておけば柵がロック位置まで引き上げたときにバネの力で棒の先端はロック穴に自動的に嵌りこみます。 それを解除するには2つのレバー(ツマミ)を指で挟んでやれば棒の先端はロック穴から外れ、柵は手の甲で支えるようになり下に降ろすことが出来るという仕掛けです。 多少組立てには手間取る部分があるでしょうが、こんな構造であれば特殊な部材を探すこともなく厄介な加工をすることなく実現できると考えています。(雌ネジを切る作業がありそうで唯一面倒かもしれません。)



2006/10/13

設計 1

 使う材料は18mm厚と14mm厚のラジアタパイン集成材が主ですが、ベッドの床板用には
 5.5mm厚合板又はMDF、ベッド下の収納部分の底板は12mm厚合板又はMDF、そしてベッド
 床と収納部床板を貼る枠の部分にはワンバイフォー材、縦の丸棒は15φラジアタパイン、横と
 奥の側板中央に挟む板は手持ちのムク板という混成部隊で取り敢えず考えています。

 しかし板取りがどうなるかは寸法図を決めないとなりませんので、第一次の寸法図を描き上げ
 ましたが、これで完了というわけではなく、これに基づき全ての板取り図を描き上げて余りにも
 非効率であれば設計変更を検討せねばなりません。 また想定強度については私の常道とし
 てよりセーフティサイドに配慮しているつもりですので、贅肉落しの設計変更もあり得ます。

 左の図がそれですが、図中厚みが28mmになっている部分は14mm厚集成材を貼合せます。
 18mm厚部分は18mm集成材をそのまま使います。  またクリーム色と薄緑色に着色した部
 分はラジアタパイン集成材ですが、薄緑色の部分は上下にスライドする柵を表します。
 ピンク色に着色した部分はワンバイフォー材を、茶色の部分は合板またはMDFを、水色の薄板
 は5.5mm厚合板またはMDF、ベージュの部分は手持ちの材料を表しています。
 尚手前の下段には柵がなく完全にオープンになっています。

 図には示していませんが、左右の側板ユニット、後側の側板ユニット、ベッド面ユニット、底板ブ
 ロック、そして上下スライドの柵の合計6ユニットで構成され、スライドする柵以外はのセット
キャップボルトと鬼目ナット或いはセットキャップナットで外側から締結しネジの頭にはキャップを被せる完全分解可能構造とします。 これにより分解すれば乗用車でも楽に運ぶことが可能ですし組立てには10円玉があればOKです。

この設計図には2箇所のカラクリが含まれていますが、そのひとつの手前の上下に移動する柵は前回解説したとおりの構造です。 もうひとつのカラクリは手前にスライドする底板で、これにはスライドレールを使わない方法を取ります。(底板の厚みは12mmしかないのでスライドレールの採用には不向きなため。)

 寸法図の丸で囲った部分の拡大図面と横から見た上体が左の図です。 枠を構成する4本の
 前後に入るワンバイフォー材は丸で囲った部分だけコの字型に欠き込んでやります。 そして
 合板を組み合わせたコの字型で下からその欠き込み部分を挟み上の底板にネジ止めします。
 こうすれば底板は前後にスライドできますが、前に引いたときでも底板が手前に傾くことや抜け
 落ちてしまうことがなくなります。 勿論奥に入れた物にも楽にアクセスできます。

前後にスライドする時の摩擦は底板に載せる物が重くなるとかなり増大しますので、5箇所の前後に入れるワンバイフォ材の上面
には敷居滑りを貼り付けて摩擦を軽減しようという魂胆で、簡単な構造でそれ程の重量物が収納されないでしょうから実用性はかなり高いです。 (同様な構造のスライド機構で荷重が50kgに近い重量級でも結構スムーズに動かせた経験が過去にあります。)



2006/10/27

最終設計

板取りの検討に入りましたが、その間に設計上の矛盾(主に計算した寸法の間違い)を発見しましたのでその修正を含めた結果、ワンバイフォー材の使用を見送り18mm厚集成材に置き換えました。

大きな理由はそうしたほうが板取りの都合上良かったことと、寸法の不安定なワンバイフォー材を使うことによるトラブル発生回避、外観上の優位点などです。 材料費としては全体的な使用効率が上がるので出費増には殆ど至らないと考えています。 (尚既にご紹介した寸法図はそれらの修正を全て反映した図面に置き換えてあります。)

板取りに関する詳細は省きますが結論としては、

  ・ 14mm厚ラジアタパイン集成材(400 x 1820mm) 2枚
  ・ 14mm厚ラジアタパイン集成材(400 x 1200mm) 1枚
  ・ 18mm厚ラジアタパイン集成材(400 x 1200mm) 1枚
  ・ 18mm厚ラジアタパイン集成材(400 x 900mm) 1枚
  ・ 5.5mm厚シナ合板(910 x 1820mm) 1枚
  ・ 12mm厚MDF(910 x 1820mm) 1枚
  ・ 15φラジアタパイン丸棒(1820mm) 10本


が必要な木材料になります。  その他塗料(水性ウレタンニス艶ありクリヤーと艶なしクリヤー)も含めて総材料費の見積もりは約\20,000.-といった所です。

この見積もりが市販品を購入した場合と比較してどうなのかは微妙な所で、特価セールなどではほんの少し高い程度で購入でき
ますが、しっかりした構造の物を探し出すと\40,000.-を超えるような気がします。  従って自作することによる費用的なメリットは余りありませんが、強度的な問題が出ないようどちらかというと過剰品質に近い材料(より厚い物)を使っている傾向がありますのでこれも見積もり高の原因となりえるものの、1台こっきりしか作らない我々アマチュアとしては止むを得ない面かもしれません。

それでも主要部材を全てラジアタパインの美しい木目として表現する!という点と、食品衛生法に合致した塗料で仕上げた完璧な安全性などの市販品には見られないポイントに視点を置けば、自作する価値を見出せないことはないと思います。



2006/11/03

製作 1

前回お話した材料を購入すると共に縦方向の切断をその場でやってもらいました。 こうすることにより大幅に切断作業は楽になりますが、設計段階での検討に見落としが無いよう十分な事前のチェックが必要です。 そうでないと無駄を省く目的が逆に無駄の垂れ流しとなりかねません。

ところで今回14mmの集成材を貼り合せて28mmの板を作るという手法を取っていますが、ムク材を使ってしまえば短時間の作業で済むにも拘わらず、何故私がこのようにするかについて説明しておきます。

  ・ ムク材よりも安く上がる可能性が大きい。
   カンナ掛けしてあるムク材で所定の幅の物が手に入るかというとそう簡単ではありません。 先に設計をしてそれに合わせて
   購入すると大きな幅のものを切断して使うしかありません。 これは大変無駄に繋がります。  材木屋さんで所定の寸法にテ
   ーブルソーで切り出してカンナ掛けしてもらう手もありますが、大き目の材料から切り出してしまうので割高になります。
   よってムク材を使うのであれば手に入る材料の寸法を調べた上で設計する方が無駄は少なくなりますが、設計の自由度は低
   くなります。 一方集成材の幅には200250300350400mm等の種類があり、これから所定の幅の組合せで切り出す
   ことにより上手くすれば自由な幅を採用しながら無駄の少ない使い方が出来ます。 設計自由度が高いわけです。
   そうでなくともムク材は高価な上に無駄が多く出るので材料費代はかなり高くなると思います。

  ・ ムク材にある反りや捩れの問題回避
   製作するにあたり材料の反りや捩れはかなり完成度を悪化させる要因になります。 充分に枯れた材料で反りや捩れのない
   ものを選ぶと必要量が揃わない可能性もあります。 事実今回購入したラジアタパインの丸棒材はムクですが、店頭にあった
   在庫(約20数本)から選別してこれなら良しという物で必要量の10本にはなりませんでした。 仕方なく同じホームセンターの
   他の店舗に行って選別して不足分を補うことが出来ました。  もし色々な寸法のムク材の棒だったとしたらその選別はもっと
   厳しい結果になるでしょう。

   ところが集成材のラジアタパインの板はもともと反りが少ないことと若干反りが認められても貼りあわせるときに反りが打ち消
   しあうように貼りあわせれば、全く反りなしの物が用意できます。 捩れについては先ず心配する必要はありません。
   ようするに合板の特性にぐっと近づいて行くというわけです。

  ・ ラジアタパインで販売されている物は集成材のみ。
   これは致命的な理由ですがラジアタパインのムクの材料は前述の丸棒(以前はラミン材の丸棒だったものが置き換わってい
   る。)
以外には販売されていないようです。(私の周りでは)  お世話になっている材木屋さんではラジアタパインという木材を
   知らないようで当然扱っていません。(建築材料としては認知されていないのでしょう。)  しかし私はスピーカーボックスを幾
   つか製作して以来、このラジアタパインの木目にぞっこん惚れ込んでいるので、集成材を使うしかありません。 これはかなり
   切実な理由です。

ということで功罪相半ばして選択した材料ですがこれ採用したときの一番の問題は大変手間が掛かることです。 作業としての難易度は低いのですが、所要時間はかなりのものになります。 貼り合せて棒材として使えるまでの作業と平均所要時間は次のとおりです。

  1.2枚の板を貼り合わせる   木工ボンドで接着しクランプで圧着保持。 完全硬化後次の工程。(1本辺り10時間以上)
  2.カンナで成形          貼りあわせ部分の段差を無くし同時にはみ出た木工ボンドを削り取る。(1本辺り15分)
  3.電動サンダーで研磨      #60#120#240とペーパーを変更してツルツルに研磨。(1本辺り45分)

1.に関しては一度に100-150mmのクランプを5本程度使います。 私はそれら大き目のクランプを12本しか持っていませんから、1度に接着できる板は2組しかありません。 10組の接着をしたわけですが5回に分けてするしかなく、若干はしょっても2日掛かっています。

2.3.の合計で1本辺り1時間掛かりますから10本を成形加工するとなると完全に1日仕事です。

そんなことから丸3日間を使いながら今回お見せできるのは貼りあわせ加工の作業の様子だけです。
そんなに手間の掛かることなんてやっていられないよ!と思われる方が沢山いるかもしれませんが、それに対して私は反論いたしません。 というかラジアタパインの木目を余りにも気に入ってしまっているので、じっと我慢の子となり時間の掛かる作業をした!と言っても過言ではないので、上記の功罪を含めて判断し、材料費アップを厭わず作業時間を短縮したいと思われる方はムク材にて進めたほうが良いと思います。

というような我慢の子の作業の様子は以下の写真をご覧下さい。

   
所定の幅に切り出してもらった集成材、そのまま使う18mm厚の物17本、15φ丸棒10本、貼りあわせて10本となる14mm厚の板材が20枚あり、ブロックごとに縛っています。

30mm厚タモの集成材(長さ3600mm)を台にして貼りあわせた板をクランプで圧着。 2組を合計10本のクランプで固定しておりこれが1回分で12時間放置、同じことを5回繰り返さないとなりません。 (2日掛かりの作業でした。)

12時間以上圧着保持してはみ出た木工ボンドが完全に固まったらカンナで合わせ目の段差とはみ出た木工ボンドを完全に削り取るのですが?

木目がうねっていると(ここでは山状に盛り上がっている!)カンナはその部位により矢印の方向に掛けないと逆目になりささくれができてしまいますが、裏の板の木目方向と合わないといずれにしても逆目のささくれが出来てしまいます。

カンナの切れ味がいまいちだったのと逆目のお陰で作ってしまった深いささくれ。 これは最悪の例ですがこれでも修正可能です。 (下に見える横の黒い帯は位置を知るために貼ったテープです。)

左の写真と同じ位置ですが#120で1分ほど研磨した状態。 かなり深いささくれは#120では短時間には落とせません。 そこで#60ペーパーで研磨すると?

約2分後にはこの程度まで深い傷が削り落とせました。 更に数分#60で研磨を続けた後に#120番で1分そして#240に変えて1分の研磨で?

このように殆ど傷は見えなくなりました。 #60#120 → #240と面倒がらずにペーパーを変更するのが最も効率よく短時間で修正できます。 全部の場所がこのようでしたらとんでもない時間を修正に必要となりますが、私の場合1本の棒の2面の研磨で平均して45分掛かっています。

貼り合わせから成形研磨までフルに3日間を費やして出来上がった10本の板材。 このテーマで最も手間の掛かる部分であることは間違いありませんが、無事終了しほっと一息です。

厚さ18mmの貼りあわせ面のクローズアップ。 左は最も綺麗に仕上がった部分で全てがこうは行きません。 真中は最も見苦しくなったかな?という貼りあわせ面で、右は最も多い傾向のものです。 いずれにしても大過ないでしょう。



2006/11/10

製作 2

貼り合わせが完了した貼り合せ材を始め全ての角棒を切断して予備加工の次のステップである丸棒が挿しこまれる穴をあけるべく作業を開始しようとした所でまてよ!とひとつの点が気になりました。 15φの丸棒って本当に直径が15mmになっているの? という問題です。 何しろ丸棒を挿しこむ穴は全部で100個所にもなります。 きつくなく大き過ぎずの適切な穴を一発であけられないとその修正加工の手間は大変なことになります。  合板を始めとした板材の厚み誤差は±0.2mm程度に収まっていることが多いのですが、丸棒の場合の加工誤差はどうなのでしょうか?

そこで丸棒表面の仕上げ研磨を兼ねながら定性的な真円度確認することにしました。 使った研磨剤はスポンジタイプで番数は#240-#320の細目と呼ばれる物です。mini-Shopで販売しています。) これで研磨すれば塗装の下地として十分で、スポンジタイプですからこれで丸棒を包むように軽く握って棒を前後させれば極めて効率的に研磨作業が終わります。 そして同時に丸棒を捻るようなことがありますので、真円度が感覚的に判ります。  そしてその結果としては残念ながらかなり真円度は良くなさそうとの感触でした。

研磨の終わった丸棒数本の各部の直径をノギスで測ってみた所、最も小さな部分で14.9mm、最も大きいところでは15.8mmという結果でした。 それらの値の中で真円度は悪くなっており残念ながら真円度良好±0.2mm以内?)というものは1本もありませんでした。 また先端部分がテーパー状に細くなっているのが肉眼でも判ります。

さあどうすべえ!と暫し考えた結果、16φの穴と15φの穴を試しに端材にあけてみて丸棒差込の実験をしました。 その結果15φの穴に素直に挿し込める棒は10本試して1本もありませんでした。 一方16φの穴では全てがぶかぶかでどうしようもない隙間が発生してしまいます。  15.5φのドリルであれば多分最も太い物でもきついながら挿し込めると思われますが、そんなフォスナービットはありません。 新たな面倒な作業として1本、1本丸棒の先端を調整研磨して組み立てるしかなさそうですが、効率よく修正加工できるジグのようなものを検討予定です。

ということで穴あけを開始しましたが、自作の電動ドリルアタッチメントの出番です。 垂直に穴をあけられるだけでなく深さを一定に(ここでは8mmにした。)あけることが可能ですから作業性を考えると他の方法は考えられません。 とは言え別テーマの分別ごみ箱の塗装作業や八角形のお盆の製作作業もあり、100個の穴あけはまだ完了しておりません。

   
丸棒の研磨にはスポンジ研磨剤(細目 #240-#320の粒度)を使いました。 棒を研磨剤で包むように握って研磨するので曲面には作業性が良く絶好です。

切断した丸棒の直径をノギスで測った所公称15mmに対し、14.9mm-15.8mmと太め側にばらつき、ご覧のように肉眼でも若干いびつな物があることが判ります。

兎にも角にも全部材は最終の長さに切断し終わり、ブロック毎(左から左右の側板ブロック、後の側板ブロック、スライドする柵ブロック、ベッド床ブロック、底板ブロック)に紐でくくりました。 全部で6ブロックで構成されることになります。

15φの丸棒を挿しこむ穴をフォスナービットで穴あけ開始。
自作電動ドリルアタッチメントが最も活躍する場面です。

15φフォスナービットの先端。 非力なFDD-1000ですが回転数が540回転/分と遅いことがフォスナービットのためにも良く、安全に楽々と穴あけ可能です。

穴の深さは8mm一定にしますが電動ドリルアタッチメントではそれをプリセット出来るので、作業性の良さと加工精度は抜群です。

穴あけは楽ですが後で丸棒の直径の調整研磨の面倒さが気になります。

全部で穴あけは100個所ありますのでまだまだ続きます。 今週は左右の側板ブロックの穴あけ(合計44個所)だけ終了しました。



2006/11/17

製作 3

残りの56個の穴をあけた後の作業は丸棒の先端の調整研磨です。 これには即席のジグを考えて少しでも作業性と精度両方を
追えるものとしました。 材料はワンバイフォー材でほぼ中央に16φ、中心を外し少し離れた所に15φ、何れも深さ8mmの座繰り
穴でフォスナービットであけています。  16φの穴の中心を通るようノコギリで切断し裏側に蝶番を固定し折り畳めるようにしてあ
ります。  そして穴の側壁に#120のサンドペーパーを木工ボンドで貼り付けました。 こうするとサンドペーパーは約0.35mm
厚み、木工ボンドが0.1mm程になるため16φの内径は切断線部分で約15.2φに、それと直角な方向は更にノコギリの切り幅分1mmとペーパー2枚の厚み0.7mmの差約0.3mm分減少し14.9mmになります。 早い話が、このジグに挟んだ丸棒をネジってジグ
をぎゅっと握っても回転するようになれば棒の太さは15.0-14.9mm位になるはず!!
という魂胆です。 この考え方は大正解で
2分程度ごりごりと削ることで所定の太さ14.9-15.0mm)になりました。

さあこれで上手く行くぞとばかり1本目を削り2本目に入ったのですが、1本目のようにスイスイと削れません。 おかしいなと調べましたら洋紙のサンドペーパーは完全に目詰まりを起こしツルツルで研磨能力が殆どありません。 松系の材質のせいか松脂でべっとりした感じのこびりつき方でブラシで掃っても綺麗に落ちません。  そこでペーパーを空研ぎ用に変更して試した所5本までは何とか削れ目詰まりも起こしません。 目詰まりがおきにくい空研ぎペーパーの実力を改めて確認しました。  但しこの場合も6本目になると研磨能力はがた落ちです。 目詰まりは無いのですが砂粒の脱落により表面が細かく#300以上と想像)なってしまい研磨能力は落ちることとペーパーが薄くなり内寸径も15.1φ以下にはならなくなります。

ということで、1本削るのに(両端2箇所)4分程度ですが、5本削ったらペーパーを剥がして貼り替える必要があり貼り替えてすぐには作業でず15分程度研磨を中止しますので、5本辺り35分(50本削るのに約6時間)ということで、たかが棒の先端を削るだけで1日費やしました。  追加で出てきた面倒な作業ですが、調整後の棒の両端は14.8-14.9mmの直径と調整前の測定では14.8-15.8mmであったことを考えると直径を所定の太さにしただけでなく真円度も大幅に改善できています。 この真円度の改善は重
要でしてこれを無視してよいならもっと簡単で作業性の良い方法がありますが、その場合には棒を差し込んだときに穴との間に一部隙間が出来てしまいます。

次が側板の下部中央に挿入する板の加工です。 この板は5.5mmシナ合板でこれの切断はどうということはありませんが、設計上は上下の棒に深さ6mmの溝を彫って挿しこんで固定します。 従って板厚より0.1-0.2mm幅広の溝を電動トリマーで彫るのですが、そんな太さのトリマービットは無いので、即席のジグを作り5.7mm幅の溝を加工しました。 この加工は極めてクリチカルでガイドの位置の誤差があるとその2倍の切削幅誤差になって跳ね返ります。 後ほどお見せする図で31.85mmというガイドの位置がそれで、例えばこれが31.75mm0.1mm小さいと溝幅は5.5mmになり、31.95mm0.1mm長くなると溝幅は5.9mmになりかなりぶかぶかです。 従っていきなりガイドを正確に固定するのは無理なのでほんの少し長くしてトリマーの台座側面に数種類の薄いプラスチック板を両面接着テープで貼り付けてテスト切削して調整しました。 それでも若干のばらつきが出て合計で6本の溝を彫りましたが切削後ノギスで確認した所5.5-5.8mm0.3mmのばらつきが出ました。 この程度の誤差は止むを得ない所でしょう。

ということで部材の切断寸法、丸穴の加工、丸棒の両端の研磨、そして板を挿入する溝加工全ての加工作業に問題がなかったかどうか仮組立をして確認した後に左右の側板枠を組み上げました。 接合は各個所に8φ木ダボを2本ずつ使用し木工ボンド併用の方法です。   圧着保持にはネジを使うとみっともなくなるので、自作中型クランプ3本で各接合部分を圧着保持し4時間放置しました。  そして上部の丸め加工を電動ジグソーで切断、2種類の木工ヤスリで調整研磨し左右の側板ブロックは完成です。      
ワンバイフォー材に16φのフォスナービットで深さ8mmの座繰り穴をあけその中心をノコギリで切断し裏側に蝶番を取り付けて連結、穴の側壁に#120サンドペーパーを木工ボンドで貼り付けました。

棒の先端を挟んで左手はこのジグを握り、右手で棒を捻ることで研磨します。 2分ほど続けるとジグを握り締めても緩くなってきてこの辺りが頃合です。

その先端のクローズアップ。 矢印の先より上が削り落とした部分で、良く見ると境目の段差が判るでしょう。

ジグの横の穴は15φであけてありますので、削り具合を確認できます。 きつからず、緩からずに挿し込めます。

因みにノギスで測ってみるとドンピシャ!15mmになっていますが、さらに0.1mm程削っています。

4mmのストレートビットを0.85mmオフセットし両面にジグを当てて切削し、幅5.7mmの溝を彫るジグ。 31.85mmはいきなり正確に設定できないので0.5mm程長めにガイドを固定し電動トリマーの縁(赤線部分)に薄いプラスチックを貼ってテスト切削して調整しています。

調整後切削開始。 これが済んだら板の反対側にジグを取り付けてもう一度切削すれば5.7mm幅の溝になります。 かなり慎重な作業を要します。

2回切削後確認のため5.5mm合板の端材を挿入しました。 緩からずきつからずになればOKです。

こうして彫り終わった溝の端は必ず丸みを帯びています。 そこで3mmのノミで削り落として寸法どおりの四角になるよう調整します。 右端は無事終了し5.5mmの合板がぴったりと納まったところです。

丸穴、各穴の加工に問題がないか確認のため仮組立をしてみました。 これは背面の側板下部です。

その上に上部の丸棒を追加し上端の横棒を挿し込みテーブルに寝かして左右の棒を添えました。 加工誤差の問題は発生していないようでほっと一安心です。

こちらは左右の側板を同様に組み立ててみた所でこちらも問題なし。

これは手前に付く上下スライド柵ですがこちらもOKでした。

左右の側板枠の組立。 1箇所に木ダボ2本を使いますが最初に木目と平行に穴をあけねばならない部分に深さ16mmの穴をあけます。

あけた穴にマーキングポンチを挿入し接合する相方をそれに押し付けます。

そうするとマーキングポンチの先端による円錐状の窪みが付きますから(矢印の先)その部分に深さ16mmの穴をあけます。

木ダボ接合の穴があけ終りました。 ここに木ダボを挿し込み木工ボンドを塗って接合します。

自作中型クランプを3本使い各接合部分の圧着保持をしたところです。 枠の捻れが出ないよう充分調整し、接合部分の直角度も確認した上で4時間寝かせます。

クランプ充分締め上げていますからご覧のように接合部分に隙間はありません。 接合強度アップの為に大変重要です。

クランプを外した後に上端の曲線切りの為に型紙を作り貼り付けました。 Excelで原寸大の楕円100 x 762mm)を描いてA4サイズの紙3枚に分けて印刷しています。

縦線は位置決めの為に入れておいたもので、縦線の間隔は100mmです。(左の縦線と端は62mm)

そして電動ジグソーで切断ですが板厚が28mmありますからお馴染みのCJ-250ではちょっと無理で、ここではYJ-50Vに厚板用仕上げ切り替刃mini-ShopNo.22)を使いました。

切断面が傾くことも無く0.5mm程度の誤差で切断できましたが、若干のうねりや段差があります。

そこで木工粗目ヤスリmini-Shopの3本組の平ヤスリ)を使い先ず表面の緩い凸凹や段差を削り落としました。

荒削りが終わった様子ですが、ご覧のように木目方向に深い研磨痕が残っています。

そこで目が大変細かい、強研磨しても問題なし、研磨面はカマボコ状にならない!など替刃式ヤスリM20GPならではのパワー発揮です。

1分程度でご覧のようにツルツルに磨きあがりました。 粗目ヤスリは#30-#40程度の目で、M-20GP#200前後と非常に大きな差がありますが強研磨できるメリットがここにあります。

丸め加工が終わった左右側板ブロックの上端角。 この後トリマーで面取りをし#400のペーパーで軽く研磨すれば塗装に入れます。

組立と上部の丸め加工が終了した左右側板ブロックの1つ。 背面ブロックと上下スライド柵の組立はもっと簡単に終わるはずです。

まだまだやらねばならないことは沢山あるのですが、私の気分的な進行状況は既に山を越え第三コーナーに差し掛かったという
所です。 そのくらい貼り合せ作業とその後の研削・研磨作業はしんどかった(難易度ではなく作業量が多く作業時間も長かった)
ということです。 もっともとんでもない落とし穴が待ち受けている可能性がありますので油断大敵ですが?!



2006/11/24

製作 4

背面側板ブロック、ベッド床板ブロック、小さなカラクリ込みの底板ブロックを製作後いよいよ本体の組み立てに入りました。 とはいっても単純に各ブロックをネジで固定してしまえば簡単ですが、何度も分解組立が可能な構造にするとなると慎重に進めねばなりません。

 ここではM6のセットキャップボルトを使って分解・組立が容易に出来る構造を取りま
 すが、締結部分の板厚は上側が28mm、下側が18mmになっています。
 この下側に13mmの鬼目ナットを埋め込んで長さ40mmのセットキャップボルトを使
 うとボルトの先端が突出することなく充分な締結力が得られます。  使用量は多い
 ほど丈夫にはなりますが、いくら目立たないとはいってもボルトの頭の存在は判るこ
 ととそれほど大きな荷重が掛かることはないので、ひとつのブロックの締結に4本ま
 たは5本としました。(必要であれば完成後の追加も可能です。) 
 加工上の注意は、上側の板材にあける穴は下側の板材にあける穴より小さいこと
 で、位置関係を正確にしないとならないため左の図のような手順で作業をします。

 まず細いドリル2.0-2.5mm)で、板材を重ねて位置を調整確認した上でネジ位置
 に穴をあけます。 細いドリルは短いので貫通穴には出来ませんが位置が判れば
 目的を果たします。 次に上の板にはの貫通穴を、下の板には8.5φ深さ15mm
 の穴をあけそこへ鬼目ナットを六角レンチ5mmで捻じ込みます。8.5φの穴は
 M6の鬼目ナットに適当な穴です。 8.5φの木工ドリルはニッケルダボ穴あけ用に
 も使えるので持っていて便利な特殊サイズドリルです。)
  そして40mmセットキャ
 ップボルトで締結!ということで終了します。

この辺りの理解は後ほどの写真も参照ください。  さて設計図にはなかった追加加工を致しましたので簡単に説明しておきます。 それは手前にスライドする底板で、手前に引いたときに底板がこけないように裏側の奥のほうに仕掛けを作りました。 しかし手前側はフリーのままですから分解作業中や運搬中或いは保管している際に手前側が浮き上がり奥の仕掛けを壊してしまう可能性があります。

これを避けるためにセットキャップボルト 1本で底板枠に固定してやります。 もうひとつは底板枠を引くときの手掛かりです。 底板の木口部分にはスライド柵を下ろした時にぶつかるので通常のツマミのような物は付けられません。 そこで手前上面に集成材を切断した際の細い端材を貼り付けて手掛かりとしました。  尚この部分は下側にMDFの綺麗でない切り口が丸見えになるので、後で木口テープを貼ってお化粧します。

ということで完成後の外観が理解できる所まで製作は進みました。 残るはスライド柵の製作とカラクリの組み込み、外側のお化粧加工、キャスターの取り付けそして塗装ということになります。

背面ブロックの組立。 木ダボ接合ですが真中と右は木ダボを2本、左端は1本を片側に寄せて打ち込みます。

接合後真中と右側は中央に3.3φ45mmのネジを1本、左は木ダボの右側に1本打ち込み圧着保持しました。

組み上がった背面側板ブロックです。 圧着保持がネジのため作業速度も大変速いですが、直角出しと捻れ発生防止の確認・調整は重要です。

ベッドの床板の枠を組立、木工ボンドで接合しますが、3.3φ45mmのネジ2本ずつで圧着保持と締結の強化を図ります。

ベッド床板の枠が完成。 組立は簡単ですが切断がいい加減だと直角度が出なかったり捻れたりします。(今更気が付いても遅いのですが?!)

5.5mm厚シナ合板の床板は木工ボンドで貼り付けますが、22mm隠し釘50本弱で圧着保持しています。

5時間も放置したら隠し釘の頭を落としてベッド床は完成です。 この場合は片面しか薄い合板を貼っていませんが、両面に貼れば軽量の扉などにも応用できます。

底部の枠の組立です。 矢印の先の棒2本はコの字型にえぐれていますが、寸法図の下のほうとその詳細図を参照ください。

底板跳ね上がり防止のガイドをこのように底板裏側の奥に木工ボンドで貼り付けます。(ボンド硬化後に裏からネジで止めます。)

2本の線はコの字型にえぐれた枠の棒の位置を表しその両側にガイドは接着されます。

真中の棒はコの字型にえぐれた棒と同じ18mm厚でガイドとの左右の隙間は合計で0.5mm程度にしておきます。

ガイドを接着した木工ボンドが硬化後に組み上げてあった枠を載せました。 コの字型にえぐれた棒がガイドの間に納まります。

最終的にはガイドをまたぐように押さえの板12mm厚)がこのように被ります。

そこまで確認したら一旦枠を外して滑りを良くするためのプラスチック板(敷居滑りなど)をガイド間の底面、押さえ板の裏、そしてコの字型にえぐれた棒の手前上面に貼ります。

この写真では手前側がベッドの奥のほうになりますが、底板枠をそのまま滑らして再びガイドに嵌め込みガイド押さえ板をネジ止めしてそっとひっくり返します。

これはベッド手前側からの写真です。 軽い力で前後にスムーズに動きます。 クランプで固定しているのは最終的に取り付けられる側板の替わりです。

組立てに使う金物。 左上から鬼目ナット M6 13mm Dタイプ(19個使用)、セットキャップボルト M6x26mm(1本使用)、セットキャップボルトM6x40mm(18本使用)、右はセットキャップカバーアイボリー(18個使用)

M6鬼目ナットは8.5φ深さ15mmの穴をあけて5mmの六角レンチで締めつけます。(後述する底板の跳ね上がり防止部分をお見せしています。)

Dタイプの鬼目ナットはフランジが材料表面で止まるようになっていて、締め込み位置が判りやすいのが特徴です。

やってみると簡単! これだけで丈夫な雌ネジが木材に形成され、何度でも締めたり緩めたりしてもネジバカになることは無くなります。

穴あけの垂直度は重要ですので全て電動ドリルアタッチメントを使いました。 また深さ15mmの穴あけもストッパーを使うことにより雑作なくできます。

最初の組立は底板枠。 40mmセットキャップボルトを4本(矢印の先)使いました。 組立時の重量軽減のために底板は外しています。

次はベッド床板ブロック。 同じく40mmセットキャップボルトを4本使っています。

そして左右の側板ですが、ネジ位置は次の写真を参照ください。 片方が終わったらひっくり返してネジ止めします。

組立が完了したベッド。 赤矢印が側板ブロックのネジ位置です。 尚底板は分解搬入の際にばたつかないよう保管・輸送時には黄色矢印部分に26mmセットキャップボルトネジを差し込んで締めてやるようにしました。

設計図には描いていない追加加工です。 左上は使用しないときに底板が浮き上がらないためのロックネジ(セットキャップボルト 26mmと捻じ込む穴ですが、板の手前上部に集成材の端材の細い棒を貼り付けて裏から隠し釘で固定しました。 手前下半分はMDFの木口が綺麗ではないので後ほど木口テープを貼ってやります。



2006/12/01

製作 5

 残る厄介な上下スライド柵のロック解除機構の製作ですが、数件のホームセンター
 を回りかなり時間をかけて部材を調べた上それらに最少限の2次加工を加えるだけ
 で実現できるよう設計し直しました。
 基本的には以前掲載したものと同じですが左がその最終的な詳細図です。
 作業上のメモみたいな表現も入っているためごちゃごちゃして理解しにくい部分が
 あると思いますので後ほどお見せする作業中の写真も併せ参照願います。

 基本構造はロックピン連動棒に肉厚1mm直径6mmの鉄パイプを使います。
 以前はM6の全ネジを考えていましたがスムーズな動きが期待できないため変更し
ました。 鉄パイプの表面は改めていうまでもなく全ネジと違ってゴリゴリと擦れるようなこともなく好都合です。 但しロック解除レバーを取り付けるにはネジが必要です。 それとパイプのままでロックピンとして動作させるには強度不足が予測されます。 
そこでM4のボルトをパイプ内部に差し込んでエポキシ接着剤で固定します。 完全接着できればエポキシの充填効果と相まって
ムクの鉄棒と同等の強度になるはずです。  解除レバーは12mm幅で厚み2mmの鉄製金折りを見つけましたので、これを切断して使います。 パイプの内径はでしたので切断後の追加加工無しでM4のボルトを差し込めます。

ロックピンをロック溝方向に押す力は長さ25mm、太さ6mmの押しバネを2本使います。  当初は1本で賄うことを考えたのですが、ロックピン解除には左右合計で20mm強のストロークが必要で、1本で20mmも圧縮するとかなりの圧縮力となりピンの先がガイド溝を押す力が増えすぎて上下のスライドに差し支えると考えたためです。 もっと長い押しバネがあれば簡単に済むところです。

ロックピンは柵の上のほうに付けますがこれ以外に固定のガイドピンが下のほうに必要で、これには分別ごみ箱でも使ったスチールピンを使います。 これの直径はですからロックピンと同じで上手い具合のペアーになります。

ロック連動棒(パイプ)の通る横の溝、ロックピンとガイドピンの通る縦の溝いずれも1/4インチのストレート ハイストリマービットを使います。 これは分別ごみ箱でも使ったのですが、1/4インチ = 6.35mmという6mmのパイプやピンがスムーズに納まり最少の隙間となる絶妙な幅であるためで、このお陰で加工作業は極めて楽に進むはずです。 mini-Shopでの売価は\685.-(2006/11現在)と破格の安さでコストパフォーマンスの高い点も嬉しい所です。

ロック解除レバーは大人であれば片手で操作でき、2つのレバーの間隔は約68mmあります。 赤ちゃんがレバーをいじっても両方をいっぺんに握ることは不可能ですし押しバネの圧縮もそれなりの力が必要ですからロックが外れて柵が落下する事故は先ず起きないだろうと推測しています。 それと前の設計と異なり中央部分には幾つかの部材が追加されていますが、これはロックピン解除機構を完全に覆って赤ちゃんが指を突っ込んで怪我をしないための配慮になっています。 これらは面倒といえばそれまでですが、完成度と安全性を上げるためには必要な気配りと考えています。

ピンが通るガイド溝を電動トリマーで加工中折からの低温下で作業していたことといまにも雨も降り出しそうな気配の中で注意が散漫になり、間違って溝を彫りすぎてしまいましたが、その修復にはウッドエポキシでやりました。 外観的にはウッドエポキシの色味が残りますが、ガイド溝としては完全に修復しています。 滅多にないことですが、こういった削りすぎや大きな穴、窪みなどの修復の様子も後日載せる予定ですので、万が一のときの対応策として参考にして頂けたらと思います。

左側の側板ブロック手前内側に彫ったガイド溝。 使ったのは格安なハイストリマービット ストレート1/4インチです。

同じく右側ですが、下のほうに一瞬の油断で湾曲した余計な彫りこみをしてしまいました。 見栄えをどこまで誤魔化せるかわかりませんが、機能的には完璧な修復をします。

これらの溝には6φのパイプ先端とガイドピンが嵌りこみますが、1/4インチ幅が実に具合の良い溝幅になっています。

同じく1/4インチ幅の彫りこみをした上下スライド柵の上部の棒。 上側に更にもう一段彫りこみ(幅17mm、深さ4mm)をしていますが、ここにカバーを後で接着します。 

その中央部には更に幅12.5mm、深さ15mm、長さ60mmの彫りこみと少々ややこしい加工していますが、これがカラクリを埋め込む部分になります。

トリマーでの掘り込みはシャープな長方形にはなりませんので、ノミを使ってノギスで確認しながらドンピシャ寸法になるよう削り込みました。

カラクリ機構に使う金物。 特殊な物はなく左から鉄パイプ、2mm厚、幅12mm金折り、押しバネ、M4 35mm トラスボルト、ナット、ワッシャー、鉄製ガイドピン。 写真にはありませんが2mm厚のアルミ板少々。

ディスクサンダーで切断し金ヤスリで仕上げた左上はスプリング滑り止めのピンM4ボルトを長さ3mmに切断)、その下は長さ30mmで切断した金折り、その下は頭の直径を以下に落としたM4 35mmトラスボルト、その右が頭を切断したM4 トラスボルト、右上2つは1.5mm厚アルミ板を加工した物。

トラスボルトの頭の直径を以下に削った物が下であまり綺麗に削れていませんが、を若干下回れば目的を果たせることが後ほど確認できます。 

カラクリ機構の組立開始。 先ず長さ900mm鉄パイプに頭を切断したM4 ボルトにエポキシ接着剤を塗って差込みボルトの先端が10mm出るようにします。 また3mm長に切断したM4 ボルトをこれまたエポキシ接着剤で加工したアルミ板に貼り付けました。

接着剤完全硬化の後にロック解除レバーをこのように取り付けました。 挿入するワッシャーの枚数でスプリングの強さを調節可能です。 尚このままではナットが緩みやすいのでペイントかネジロックで最終的には固定します。

中央のスプリング支えの蓋をM2皿ネジで固定するとこのようになります。 カラクリ詳細図面の中央部分も参照ください。

その蓋の面から見たところ。 M2 5mmの皿ネジ2本で固定しています。

そのスプリング支えを所定の位置に落とし込みエポキシ接着剤で固定しました。 ここでは蓋は外してあります。

完成したロックピン解除機構です。 解除レバーの最大ストロークはスプリング支えのカバーの長さで決まり左右それぞれ11mmあります。 9mm強のストロークでで解除できるはずなので2mmの余裕があることになります。
後で施す加工をするとこれらの機構は完全に覆われ怪我をする可能性はなくなりますが、まさかのときのために分解して修理・調整が可能な構造になっています。

ロック解除機構の作動を確認しました。

左の写真をクリックするとWindows Media Playerにて動画でその様子をご覧いただけます。

音声も同時に記録していますが、僅かなスプリングのきしみ音が聴こえる程度で動きを阻害するような異常な擦れ音は全くしていません。 実際にはこれらの機構にカバーを被せて上下を反対にして使いますが、問題が生じる部分は恐らくないはずです。 一発必中を狙い事前の検討にはそれこそ相当の時間を掛けましたが、完成度の高い物が出来たようで満足しています。

前作の分別ごみ箱では蓋の跳ね上げ機構が期待通りに作動せず結構手間取りましたが、身近に入手可能な材料に最小限の加工を施しての実現は今回は大変上手く行きました。




2006/12/08

製作 6

カラクリ部分は完成しましたのでそれに付随する完成度を高めるための加工(ツマミの製作、安全性を高めるカバーの取り付け)をした上で、上下スライド柵の組立をしました。 それらが出来上がった状態では指を突っ込んで怪我をするような可能性のある部分は全くなくなります。 また安全性を高めながらも後々で修理や調整も可能(ちょっとやりにくいですが?)なようになっています。 そしてロックピンとなるパイプを所定の長さで切断しその両端に補強のためのネジを挿しこんで接着、固定ガイドピンの埋め込みと進み再度全体の組立をして最後の動作確認をしました。

キャスターの取り付けは補強を兼ねたキャスター取り付けの板を追加で取り付けることから始めています。 というのはキャスターには回転軸に切られたネジにナットを締め付けて固定するタイプ、回転軸が座金に付いていてその座金を木ネジで固定するタイプ、
回転軸を穴に挿しこんで抜き差し出来るようにしたタイプの3通りがありそれぞれ一長一短で設計段階では絞り込めなかったためです。 結論としては最後の抜き差しが出来るタイプとし簡単に外せるように考えています。 こうすると保管する際に少しでも底板ブロックの出っ張りが減らせる、或いはキャスター無しで使いたい時に便利です。

残る塗装作業はその下地を念入りに作ることから始めますので年明け早々にやろうということでいます。 従って製作記としては今回で一段落となります。 塗装作業が終わりましたらまたご報告いたします。 その時に間違って削りこんだ部分の修復作業も併せて解説する予定です。

ツマミは14mm厚の板を翔250で半分に切断しその片面に金具を落とし込む溝をノミで削った上でエポキシ接着剤で貼りあわせました。 かなり削り込むので2mm程大きめです。

粗目ヤスリと替刃式ヤスリで成形を施したのちに機構の穴が若干残る部分を覆うカバーを0.5mm厚塩ビ板で作りツマミに嵌め込みます。

カラクリ部分を再度組み立てましたが目論見どおり完璧に機構は隠れます。 これで安全性はほぼ完璧になると思います。

4mm厚の板のカバーを接着しそれが硬化したところで面取りと仕上げ研磨を施しました。 手前の端にロックピンとなるパイプが通る穴が見えます。

カラクリ中央部分。 作業はやりにくくなりますが、アルミ板のカバーとツマミ、パイプを取り除くとこのような状態に出来ますから、調整・修理は可能です。

上端の棒が完成したのでスライド柵の組立をしました。 木工ボンド併用ですが、接着部分の面積が小さいため木ダボは使わず片側に45mmのネジ4本で固定しています。

スライド柵の下のほうに固定ガイドピンとなるスチールピンを6φ 13mmの穴をあけて差し込みました。 これは後ほどエポキシ接着剤で固定します。

切り落としたパイプの端材を使って上端のロックピン穴のあき具合を確認中。 この穴がずれていたら摩擦が多くなって使いものになりません。

左右の側板ブロックにはロックピンが嵌り込む穴をあけました。 穴の深さは20mmですが、電動ドリルアタッチメントを使っていますから正確な深さ設定が可能で容易に作業できます。

その穴があいた所。 小判状にあいたように見えますが、それは斜めから撮影したためで実際には正しい円状にあいています。

所定の長さに切断したパイプの先端には頭の直径を短く削り落としたM4 トラスボルトを挿し込み接着します。 頭のプラスの溝はそのままですのでプラスドライバーを挿し込むとリンク棒は回転せず、リンク棒にツマミをナットで固定するのが容易になります。

キャスターはソケットタイプの50mm。 左下はキャスター取り付け板18mm合板2枚重ね)12.5mmの穴をあけた所。 その右はソケットを叩き込んだ所。 尚矢印の隙間に大き目のマイナスドライバーを挿し込みこじればキャスターは外せます。

キャスター取り付け台座の固定。 木工ボンドを塗って台座を当てたらクランプで固定した後にネジで締め付ける。 クランプを使わないと間違いなく隙間が生じてしまいます。

各キャスター台座を4本のネジで木工ボンド併用で固定し全ての加工・組立作業は終了したことになります。

再度組み立ててスライド柵の上下の具合、ロックピンの動作を確認しました。 マイナーな調整はあるが期待していた作動は完璧に出来ており、ロックピンのON/OFFは大人なら片手で楽に操作できます。

午後3時過ぎた屋内とあって撮影条件は良くありませんが、左の写真をクリックしてスライド柵の上下ロックピンの作動状況を動画でご覧下さい。 

全体を撮影しているのでロックレバーの部分は良く見えませんが、解除する際には2つのレバーを指で挟んでやればピンが外れ、柵は自重で下に降ります。 また上にロックする場合にはレバーに触れずに柵を上端まで引き上げればロックされます。

この動画はAVIファイルで、Windows Media Playerでご覧いただけますが、大きなファイルですので読み込みには時間が掛かります。


ムクの棒を使わずにわざわざ板材を貼りあわせて!という少々臍の曲がった作り方をしましたが、コストセービングでは利点があったと思います。 何しろ厚みは板厚の重ね具合でという制限はありますがこうして作った材料は幅が自由に取れ板取り上も有利です。 出来上がったものは何となく市販品に似ていますが、作り方そのものは量産品とは全く異なるアマチュアに出来る方法になっています。

組立式の家具用のセットキャップボルトの使用は大変便利であり、他に通常のベッドの製作や成長に合わせて高さが変化する学習机や子供の椅子などを作る場合にも利用すると機能的なものが出来ると思われます。





2007/01/12

製作 7

あっという間に正月も過ぎて孫の誕生もまもなくということで塗装前の仕上げ研磨や間違ってトリマーで削りこんだ部分の修復そしてより使いよくするための改造を開始いたしました。  それらの詳細に入る前に赤ちゃん用品の専門店が意外に近くにあるのが判りましたのでどのようなベッドが販売されているのかを調べに出かけました。  そこで私が作った物との比較を簡単にしておきます。

第一に価格ですが6点ほどあったベッドの販売価格は2-3万円といったところで、インターネットで調べた範囲では安いほうに属する物です。  そして共通の印象はかなりひ弱?というものでした。 例えば私は長手方向の側板は14mm厚を2枚張り合わせの28mmとしていますが、同じ部分が20-24mmの厚みしかありません。 他もそれらに比例したような厚みですから全体的にたわみ易い感じです。 大雑把な計算ですが材料の体積で15%程度少ないことになります。  量産する場合には徹底的に無駄を省くべくいろいろなテストをして実現できる無駄の少ない強度もぎりぎりの設計になっているのではと想像します。 その意味では私の作った物は過剰品質となりますが、これ1台という作り方ですから強度的に過剰品質になる傾向は止むを得ないと考えています。

第二に「ワンタッチ片手操作でスライド柵のロックが解除できる!」「ベッド下の床板の簡易型スライド機構!」といった私が試みた機構がなく使い勝手はいまいち!というものばかりでした。 コスト優先になっているためかもしれませんが、もう一工夫あってもよさそうだな?というのが正直な感想です。

第三に塗装ですがこれもごく普通の油性ペイントや油性ニスを使っているようでここでも「食品衛生法に適合した塗料を使う!」
という私の拘りとは違ってコストが優先されているように思います。

私が作った物よりも優れている部分は加工・組立て精度が高く接合部分なども完璧であることでこれは見た目に影響するのですが、自動機械加工には適わない素人の手加工による差が出ているといってよいでしょう。 但しその差が強度や使いやすさの差になっているわけではありません。

以上を総合すると私が作った物は、「自作しないと手に入らない一歩進んだ内容のもの!」となります。 別な日にご近所の方のベビーベッドの購入経験の話をした折に私の作ったベッドを見て、「こんなにしっかりしていて便利な機構がついている物は4-5万円はしているわよ!」と言われ、総論として方向性は間違っていなかったし材料代約2万円はコストメリットとして十分に評価できそうだ!との確信を得ました。

 ところで使用予定の息子夫婦に見てもらった際に、スライド柵が落ちるときにスライド柵の
 横の棒で指を挟む問題が話題になりました。 私自身も気にしていた点なのですがそれに
 対して前向きな素晴らしい解決策が見つかりました。 それはスライド柵がロックされる
 個所をもう1個増やす!
というアイデアです。  いきなりスライド柵が下まで落ちるのでは
 なく途中で止まれば指は絶対に挟まれません。  途中でストップしたスライド柵は寝返り
 をうって幼児が転げ落ちるのを防止できます。(こうすれば少なくとも2-3才になるまでベビ
 ーベッドを使用可能です。)


 そうするための改造はガイド溝の途中に穴を2個追加し、その穴の上方の溝の底をを若干
 テーパー状に削りロックピンが入る確実性を増せば十分です。 改造とはいっても簡単な
 追加加工ですから余計な手間ではありません。 まさに「3人寄れば文殊の知恵」であり
 自作ベビーベッドは更に完成度が高まるでしょう。 (左の図をクリック)

ということで塗装前の仕上げ研磨、トリマー加工での失敗部分の修正そして改造作業の様子は以下の写真をご覧ください。 どち
らかというと単純作業の積み重ねで力技も不要ですが、仕上がりを良くするには丁寧で念入りな作業が肝要でサンドペーパーによる研磨も3段階に変えてやりますので、かなり時間がかかり根気が必要です。(電動サンダーを屋内では使えませんので手研磨した結果3日間を使いました。)

面取りの仕上げ作業。 替刃式ヤスリ(M-20GP)で効率よく進められますが、丸棒部分を傷つけないよう3mm合板で覆いながら作業しています。

屋外なら電動サンダーをつかえるのですが寒くて我慢できないので、ハンドサンダーに#60を取り付け面の部分の傷や接合部の段差を削り落とし、#120、#240のペーパーに変えてつるつるにしました。

電動トリマーで誤って削ってしまった部分の修復。 ウッドエポキシの2液を等量練り合わせてやりますが、粘土よりも硬めで垂れたり流れたりすることはありません。

削り落としてしまった部分にこすり付けて埋め込みます。 完全硬化後はそれこそ刃も立たなくなりますが、気温の低い今は24時間以上過ぎた半硬化状態で、ナイフで削り落とす、ペーパーで研磨するなどの仕上げ作業をします。

盛り上がった状態を見易くするため回転して撮影。 汚らしく見えますが心配ご無用、1昼夜経ってから仕上げ研削・研磨をします。(後ほどお見せします。)

これはベッド床板ブロックですが、目に触れる部分にあるネジ穴をウッドエポキシで埋めてしまいます。 ウッドエポキシの最大の利点は収縮が殆ど無いため一回の作業で穴を完全に埋め込める点にあります。


 ウッドエポキシの硬化時間は気温により大幅に変化します。 メーカーの説明では充填作業は40分以内(20℃)とありま
 すが、今のように気温の低いときには1時間経っても充填作業が可能です。 また完全硬化には20℃でも1週間は掛かり
 ます。 充填後24時間以上経過しかつ完全硬化までの間に、はみ出た部分をナイフで削ったり、ペーパーで研磨したり、
 ドリルで穴を開けることが可能ですが、完全に硬化してしまうと研磨は極めて困難になります。 そのような特性を知った
 上で使うときれいな仕上がりにすることができます。




上の写真と同じ部分ですが24時間経過後で光が指す方向が少し違うので変わって見えますが、収縮などの変化はありません。

まず盛り上がった部分をカッターナイフで削り落とします。 溝内壁の出っ張りも同様にカッターナイフで大まかに削ります。 この作業は半硬化の間は大変容易です。

その後#60、#120、#240と3段階で表面が完全に平らになるまで削り落とし修復は終了。 溝内壁もピンがスムーズにとおるよう確認しながら研磨します。 完全硬化すると修復した溝の表面は極めて硬くなり木部より丈夫になります。

研磨には一番安い洋紙ペーパーがよろしい。 その理由はこれ!半硬化のウッドエポキシがあっという間に目詰まりを起こすからです。 小さな研磨面積なのに目詰まりのため5枚も交換しました。

 注意! ここで述べている研磨には安い洋紙サンドペーパーを使う!というのは研磨のみならず切削にも言えます。
 削り落とすのに間違ってもカンナやノミを使わないでください。 半硬化とは言え刃物にとってウッドエポキシを切るのは
 かなりの負担であり刃を痛め易いからです。 カッターナイフを使っているのはそのためで、研磨にしても全ての金属板ヤ
 スリを使ってはなりません。 目詰まりが取れずにお釈迦にしてしまう可能性が大です。

 こんなことはウッドエポキシの説明書には全く書いてありませんが、実は私がウッドエポキシを使い始めたときにそのよ
 うにして道具を駄目にしてしまった経験があります。




ウッドエポキシ部分は塗料が沁み込みませんから周りと色合いが若干変わってしまいます。 左は研磨終了後の状態ですがニスを塗るとどうなるのか? それに近しい状態は水で濡らすと判ります。 右がそれで水性ニスは黄変が少ないのでこれに近しいですが、油性ニスの場合にはもっと木部の黄味が増します。 このような見え方は嫌だ!という場合にはペイント塗りつぶしとするか或いは組立てに一切ネジを使わずに進めることになります。

ウッドエポキシは使用後の見栄えそのものは通常のパテ(水性・油性)と比べ大きな違いはありませんから、わざわざ独特の癖や使い方の注意が必要なウッドエポキシを使う事をためらう方がいるかもしれません。 しかし「収縮が殆どない!」というメリットを生かした充填効果で圧倒的に優れていること以外に、完全硬化後は極めて硬く(木部より遥かに硬い)なるので擦れに強い!接着剤としても機能する!といった優れた特徴があります。  一般にはあまり使われていないようですが、是非ともそれらの特徴を生かした使い方をしていただきたいと思います。



2007/01/19

製作 8 (最終回)

1週間経ってウッドエポキシで修正した部分の硬化は爪を立てても凹みが殆ど付かないところまで進みました。 気温の高い夏であればとうに完全硬度に達しているでしょうが、もう作業を進めても支障のないレベルになりましたので、塗装に入りました。

今回の塗装は無着色として艶ありクリヤーで下地塗装した上で艶なしクリヤーによる仕上げ塗りという2回塗装にしています。 艶なしクリヤーとするのは油性に時と同様しっとりとした上品な艶と刷毛目や塗り斑が目立たないという理由です。 1回目の塗装に艶ありを使うのはいきなり艶なしを塗ってしまうと艶消しの顔料だけ取り残されて表面に白っぽい膜が残るのを防ぐためで、これも油性の時と同様です。

実際の塗装では油性ニスの時には薄め液を少し加えて塗り斑が生じないように配慮していましたが、水性の場合にはそうしなくても伸びが良いので原液のままとしています。 但しすばやいというか手際よい塗装作業は油性ニスよりも遥かに重要です。 というのは1時間も経たないうちに乾燥してしまうので同じところを何度も塗ることによる塗り斑、刷毛斑などのトラブルは油性の場合よりも発生しやすくなるためです。

使用した刷毛は30mmの和新ペイント製水性用刷毛で10数回も使ってきたつわものです。 さすがにかなりくたびれた感じですが、適切な手入れをすればこんなに長く使えるという良い実例かもしれません。 また15φ丸棒部分や狭い場所には22mm幅のラック刷毛を使いました。  水性塗料には山羊の毛を使った刷毛は固まってしまい向かない!という常識から外れていますが、通常の刷毛と違って毛の本数が少ない分固まってしまう度合いも少ないのか、やや硬くなるような気配はありますが塗装に差し支えるほどではありません。

今回の作品は大きな平面部分が少なく沢山の細い棒や丸い棒の組み合わせで出来ているため塗装面積を事前に正確に算出するのは不可能ですが、結果としては艶ありクリヤーが約500ml、艶消しクリヤーが約250mlという使用量でした。 前者が大幅に多いのは裏側などで全く目に付かなくなる部分はたっぷりと沁みこませた1回塗りで済ませたことで、塗り面積が2回目より大きい点にあります。  そうそうその目に付かなくなる部分は塗らなくても?と考えやすいものですが集成材の場合貼り合せ部分が湿気を吸って剥がれてしまうことがあるため必ず塗っておく必要があります。(この目的では1回塗りで十分です。)

塗装作業はリビングルームのど真ん中に場所を作って部屋は締め切ったまま進めましたが、水性塗料のメリットである臭気が殆どありませんので1日辺りの作業時間が10時間近くに及ぶ占領状態でも家族からのクレームもありませんでした。 但し大きな平面を塗るのと違って細い棒を塗ってゆくのはかなり作業効率が悪く丸2日間を要しました。

塗装作業が終了後上下移動柵を途中でロックするための穴をあけて全作業終了、やっと完成しました。 実は1昨日孫が無事生まれましたので、まもなくばらして運び込まねばなりません。

今回使った水性ウレタンニス透明クリヤー(右)と水性ウレタンニス艶無しクリヤー(左)です。 手前は歴戦の30mm水性ニス刷毛と22mmラック刷毛。

ご覧のように床に新聞紙を3枚重ねてその上で塗装作業をしました。 臭気が殆どないため窓も締め切ったままで外はかなり寒いですが快適?な作業が可能です。

1回目は透明クリヤーを塗りますが、塗装後3時間後に#400ペーパーをハンドサンダーに取り付けて表面を軽く研磨しざらつきを取ります。

面の部分はハンドサンダーを長手方向と直角方向に移動し研磨しています。 軽い研磨だから出来る芸当ですが、このため作業効率は大変良いです。

一方丸棒部分はスポンジ研磨剤極細目(#320-#600)で包むようにして研磨しました。 洋紙ペーパーだと曲面になじみにくく一部の削り過ぎが起き易いです。

同様にボーズ面トリマービットで成形した角の丸い部分もスポンジ研磨剤で磨いています。 研磨の道具には適材適所があり、選択によって作業効率や出来栄えが変わります。

塗装終了後完全乾燥のため1日寝かし、移動柵を途中でロックさせる穴を追加した上で最後の組立てをしました。 これは移動柵が最上段にロックされている状態です。

ロックレバーを引いて解除しロックレバーを離すと移動柵はこの位置で停止しロックされます。 これで寝ているときにベッドから転げ落ちる心配はなくなります。

もう一度ロックレバーを引くと移動柵はここまで降りて停止します。 赤ん坊がベッドの外の床などで遊んでいるときに、べっ移動柵がベッド下収納部分をブロックするのでそれらをいたずらできません。

全ての露出する角はご覧のとおり丸く成形しましたから安全ですし外観上柔らかい雰囲気が出てきています。

ロック解除レバーのアップ。 このレバーだけはステインでこげ茶色に着色後水性ウレタンニス3回塗りとしています。 完全にニスの皮膜で覆われるので食品衛生法適合となります。

間違ってトリマーで削り込んだ部分。 ニスを塗った状態は更に見分けがつきにくくなっています。 おそらくここは修復した跡だ!と指摘しない限り気がつくことはないでしょう。

まもなく再びばらして長男宅に運び込まなければなりません。 十分な作業時間があったはずですが実際にはドンピシャタイミングで完成したベビーベッド。 ほっと一安心です。

----- 完 -----

 
  
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