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電圧可変定電圧電源
   
2009/06/26

構想

         約30年使ってきた電圧可変定電圧電源
 現在LEDを使った照明器具製作に血道を上げていますが、ひとつ困
 ったことが出てきています。 LEDを使った照明器具では多数本直列
 にして直流電圧で駆動していますが、30年程使ってきた自作の電圧
 可変定電圧電源に問題が出てきています。(左写真)

 その問題とは低い電圧で大きな電流を取り出しにくいことで、使って
 いるLM317というレギュレーターIC(これは定電流を得るために良く使
 っていますが、本来は定電圧を得るためのICです。)
には荷が重過ぎ
 るためです。 LEDフラッシュライトではDC-DCコンバーターを使って
 5.4Vから9Vの電池電圧を30Vに引き上げていますが、電池電圧が低
 いと入力電流は500mAを超えてきます。

 製作の過程で電池を使ったのではもったいないのと、電池の出力電
 圧変化のシミュレーションをしたいのでこの電源を使うのですが、使っ
 ているLM317は入力電圧と出力電圧の差が15V以下の時には0.8A
 の出力電流が取れますが、電圧差が40Vになると0.2Aしか取れませ
 ん。 こんなことから現状はほぼ限界にあり、近い将来もっと電流が
 流れる駆動回路を作った場合にはお手上げになります。

もうひとつの問題は電源電圧設定です。 出力電圧を可変するために5kΩの可変抵抗を使い、1.25Vから30Vまでを300度回転で可変しており微妙な出力電圧の調整がしにくいだけでなく、30年という長年使用の結果接触不良も増えてきています。

3番目として出力電圧のチェックを高精度でしたいということがあります。 写真を見てお判りのように小さな電圧計ですから、1V以下の値を読むのはアバウトそのものですので、別途マルチメーターで確認しており不便極まりない状態です。

最後が電流計の内蔵で、これは測定と言うより、どの程度の電流が出ているのかの確認をしたいということですから、デジタル化する必要はありません。

以上を踏まえて次のような仕様を満たせる物を急遽作ることにしました。

   1.出力電圧は1.2Vから30Vの連続可変とし全電圧で1Aの電流が安定的に取り出せる。
   2.出力電圧微調整のサブボリュームを付属させる。
   3.デジタル電圧計を内蔵し3.5桁の値が読めるようにする。
   4.フルスケール500mAの電流計を内蔵し、フルスケール1Aにも切り替えられるようにする。
   5.手持ちの部品を使い製作コスト削減に配慮する。


 早速回路設計をしました。 左がそれです。 重要な部品となる電源トランスはその昔10W
  x 2程度のパワーアンプを作った時に使ったと思われるトランスがありましたので、これを使
 います。 2次側が最大30Vで1Aですが、細かな間隔でタップが出ており出力電圧の調整
 に便利です。 また6.3Vで0.3Aの独立巻き線がありましたので、倍電圧整流としてデジタ
 ル電圧計の電源とLEDのパイロットランプに使います。

 若干複雑すぎると思われる方には右に示す物をお
 勧めします。 これは何を隠そう私がこれまで使って
きた電源と全く同じ回路ですが実用性は抜群です。

さて本題に戻りまして、レギュレーターにはLM317の兄貴分のLM350互換品であるKA350
がありましたのでこれを使います。 LM350は1.5Vのような低電圧でも1Aまで取り出すこと
が可能になります。 但し低電圧・大電流時には相当の発熱がありますので、放熱はしっかりとやらねばならないでしょう。

 電圧計は以前購入したまま使わずにしまっておいたキットのデジタル
 電圧計を使います。 フルスケール200mVで最小分解能は0.1mV、
 表示桁数が3.5桁となっており、校正をきちっとやれば十分に目的を
 果たします。 但しレンジ切り替えは手動でやらないとなりません。
 フルスケール200mVはいらないので、2V、20V、200Vの3段階をロー
 タリースイッチで切り替えます。 電流計については小型の500mAの
 物で、これまた死蔵品ですが、分流器を付けて1Aまで読めるようにし
 ます。

 尚デジタル電圧計の電源は電圧計の入力と絶縁しないとなりませ
 ん。 このため標準では9Vの電池で独立させていますが、上記の様
 にトランスに6.3Vの独立巻き線があるので、倍電圧整流をした上で
 LM317LZを使い9Vの電圧計専用の電源とします。

 以上が主だったところですが、購入する部品は5KΩの巻き線型可変
 抵抗、電解コンデンサー、電圧レンジ切り替え用の金属皮膜抵抗位
 しかなさそうですので\1,500くらいに収まるのではと推測します。

ケースはしっかりしたシールドを必要としませんので、手持ちの端材の板で作ることになります。(金属ケースなど考えたらそれだけで\5,000を超えてしまいますし、木工の腕の見せ所です!)  唯一レギュレーターICの放熱をしっかりさせる必要がありますが、LEDフラッシュライトの製作で使う4mm厚のアルミ板は相当の余りが出るはずなので、それを流用することを前提にケース構造を考えたいと思います。



2009/07/03

設計詳細

その後手持ち部品を更に調べて使えそうな部品が増え、新たに購入しないとならない部品が減少していますが、新たに購入する部品も購入のめどが立ちましたので、詳細設計に入っています。

 このテーマで一番手間が掛かりそうなのは木工部分と予想しています。
 出費をケチってケースを板で自作しようとしているのがその理由で、材料としては手
 持ちの14mm厚ムク板を側板に、12mm厚合板を底板に、5.5mm厚合板を天板と裏
 板に使います。 前板は2重構造で2mm厚アルミ板を使います。
 これらをどのように組立てるのかが思案どころですが、今回は箱型に組み上げて天
 板をネジで固定というスタイルを取る事にしました。

 前面はアルミ板でヘヤーライン加工をし、それを木の箱で覆うわけですが、凹凸感
 や少しでも高級っぽい感じというか安っぽさが出ないよう工夫するつもりでいます。
 従って天板固定の4本を除きネジやナットが表面に露出しないようにするため、前面
 パネルは2枚構造にして周りの板に彫られる溝に嵌め込むという構造を取っていま
 す。  本当は前面パネルも木の板で安く仕上よう(加工も楽なので)と一時は考え
 たのですが、デジタル電圧計は周りをシールドしたほうが表示が安定するとのこと
 ですので、少々大袈裟な固定構造としています。

ケースを自作する優位点ですが、使う部品を合理的にレイアウトして無駄なスペースを排除できますのであれこれ数回やり直した結果、幅190mm、高さ107mm、奥行き140mmとなりました。  現在使っている電源と比較するとトランスが圧倒的に大きくなるのと電圧計以外に電流計が付いて電圧の微調整も追加されますから前面の大きさはふた周りほど大きくなりましたが、奥行きは10mm短くなっています。

今回使うレギュレーターICのKA350は低電圧・大電流で大きな熱を出しますので(最大で30W近い)、放熱板は極力大きくということで高さ85mm、長さ200mmで厚さ2mmのアルミ板をコの字型に曲げて使います。 略算で求めたこの放熱板の熱抵抗は約4.5℃/Wと求められています。  一時は4mm厚アルミ板を考えたのですが、曲げるのが難しくなるのとこの程度の大きさでは熱抵抗に大きな違いが出そうに無いので2mm厚としています。 アルミ板を曲げた物でなくて本格的な放熱器を使う手もないではありませんが、スペースファクターが悪くなり、回路基板を立ててつかうレイアウトは取りたくなかったので今回は見送っています。  簡単な構造ですが、まずまずの放熱効果が得られるのではと思います。

発熱に関してはレギュレーターのみならずトランスも気になるところですので、ケースとしての放熱構造は最大限取るべしと天板には沢山のスリットを設けて放熱口面積としては天板面積の1/3近くが確保できるようにしたいと考えています。 但しそのために外観が損なわれるのは面白くないので、木製ケースデジタルアンプでやった方法を取るつもりです。 またそれに呼応した空気取り入れ口を底板に開けることも考えねばなりません。

 電気回路は一部の部品を除いて一番小さな穴あき基板に収めることにしました。
 電解コンデンサーについては大きさが良く判らないので直径についてはゆとりを持たせて
 描いています。 入手性が気になっていた高精度で温度係数の小さい抵抗については
 その後の調査で、100Ωから1MΩの間は±0.1%、その上下は±1%の誤差の物が入手でき
 ることが判ったので、レンジ切り替えの抵抗は計算どおりの値で無調整とします。
 中途半端な10.111KΩは、10kΩ、1kΩ、100Ω、10Ω、1Ωの5本を直列にして作ります。

 電流計の追加ブリーダー抵抗はマンガニン線が入手できませんので、1Ω 1/4Wを多数本
 並列にしてカットアンドトライで調整しますので、???の値になっています。

 ところでここまで余り考えないで進めてきたのですが、ブリッジダイオードで整流した後の電圧に注意が必要です。 というのはLM350の技術資料では絶対最大定格として入出力電圧差が最大35Vとなっています。
出力電圧は1.2V-30Vを考えていますが、LM350のドロップアウト電圧は2V程度ありますから、30Vを得るには電源電圧は32V以上ないとなりません。 一方最低の1.2Vとした時には入出力電圧差が最も大きくなります。 仮に入力電圧が32Vであったとすると入出力電圧差は30.8Vですから一応定格内でOKですが、電灯線電圧が高い方にぶれた時に若干心配です。 また出力電流が小さい時にも入力電圧は上昇するでしょうから定格を超える心配があります。  この辺りは実際に作ってから対処法を考えねばなりませんが、電源トランスの2.5Vのタップを使って電圧を下げたり、最低出力電圧をもう少し上昇する、抜本的な方法として出力電圧によってトランスのタップを繋ぎかえるなども場合によっては考えねばなりません。



2009/07/17

猿が木から落ちた話

 電気回路結線の多くは基板の上で終了して
 しまいますので、うまく動作する基板さえ作れ
 ば電気的にはほぼ完成したようなものです。

 そこでこれからやっつけようと基板の組立を
 開始しました。 回路及び基板レイアウトは
 左右の図の通りです。 実は以前紹介した
 回路に数本のダイオードや電解コンデンサー
 が追加されています。 これらはレギュレー
 ターの説明書を読んで追加・変更したもの
で、安定性や安全性をより高める目的です。

 それ以外には変更はありませんので組立は淡々と進み左の写真の
 ように完成いたしました。 早速通電テストをしましたが、出力電圧の
 可変もうまく出来特に問題になりそうな所もありませんでしたが、レギ
 ュレーターICの入力電圧を調べてびっくり、何と41.5Vもあります。

 その時のトランスのAC30Vタップの電圧は31.7Vでした。 ロスが全く
 なければ1.4倍の直流電圧が得られるので、41.5Vの電圧は当たり前
 と言えばそうなのですが、これではKA350の絶対最大定格のひとつ
 であるICの入出力電圧差35Vを容易に超える可能性があります。

 超える場合としては出力端子をショートした時が典型的ですが、短時
 間であればIC内部の保護回路が作動するので大丈夫です。
 但しショート状態でなくても例えば出力電圧が最低の1.25Vに設定し
 てあったとすると、ICの出力端子は1.25Vになりますから、ICの入力
 端子ではそれより35V高い36.25V以下でなくてはなりません。

 無負荷の時にICへの入力電圧が高くなる理由はトランスのレギュレ
 ーションにあります。 暫くトランスを使っていないことから、1Aの電流を取り出したときにICへの入力電圧が32Vであれば良い!だけで終わり、無負荷或いは軽負荷の時には電圧はぐんと上がることを忘れていたという、正に猿が木から落ちたようなボンミスです。

やってしまったことを悔いていてもしょうがないのでベストな対応策を考えることにしました。 一番合理的な方法は出力電圧の変化に応じてレギュレターへの入力電圧もリンクして変化させる方法で、無駄な電力消費が減少します。  実際メーカー製の定電圧電源ではツマミで出力電圧を変化させるとレギュレーターへの電圧が連動して変わるものがありますが、かなり特殊な部品が必要になってしまいます。

そこで次善の策として「トランスの出力電圧を2段切替とし、これに出力電圧可変範囲を連動させる方法。」を考えました。  このトランスには、2.5V、20V、25V、30Vとタップが出ていますので、そのうちの30Vと20Vのタップを切り替えてやれば、30Vの場合のICへの入力電圧は41.5V(出力側無負荷の時)、20Vとした場合に比例して下がれば28V前後になります。

この時に定電圧回路も連動した2段切り替えとし、例えばトランス側が30Vに繋がっている時は15-30Vの出力電圧を取り出す、トランス側が20Vになっている場合には1.25-15Vの出力電圧とします。 さすれば入出力電圧差は最大でも27V近辺となり絶対最大定格よりかなり低くこの問題は解決します。

 そんなうまいことが出来る回路が簡単に作れるか暫し思考を巡らしましたが、こ
 れしかないな? という物が浮かびました。 具体的なその説明に入る前に出力
 電圧可変レギュレーターICの出力電圧計算式について少々触れておきます。
 (これを理解すると電圧可変タイプのレギュレーターICをうまく使いこなせますし、
 私が考えた方法を理解しやすくなります。)


 左の回路において出力電圧は、基準電圧 x (1 + R2÷R1)で求められます。
 実はこれは略算式で厳密な計算式は別にありますが、実用上支障の出る差異
 がないのでこれを使います。

 基準電圧はこのICでは1.25Vの固定値です。 またメーカーの推奨回路ではR1
 の値は240Ω前後になっています。

 これを元に私は以前の設計で、
 1.25 - 30V可変回路を右の図の
ようにしました。 計算上の最大出力電圧は35Vを超えますがこれは入力電圧が十
分に高ければの話で、今回の場合には30Vそこそこしか取れないはずですので、
180Ωを僅かに増加して調整するようになると思います。

 さて私が考えた2段切替を最も簡単に実現できそうな回路を左に示します。 変更箇所は抵
 抗とスイッチの追加で、このスイッチは電源トランスの電圧切替に連動し、その電圧が30Vラ
 インの時にはスイッチはオープン、20Vラインの時にクローズになります。

 左の回路の定数で出力電圧がどう変化する
 かを計算したのが、右の図です。

 高電圧時の出力電圧は15.31-31.46V、
 低電圧時の出力電圧は1.25-17.4Vと約2V
 のオーバーラップが発生しますが、これは左
 の図の一番下の抵抗値(2.7KΩ)をメインボリ
 ューム(3KΩ)の値より小さくすることで作って
 おり、差異が狭まるとオーバーラップも少なく
 なります。

 レギュレーター入力電圧はLM350(KA350)のドロップアウト電圧(10-30℃、1A出力の時に
 1.8V前後。)
を出力電圧に加算した値以上あれば良いので、33.3V及び20V以上が必要入
 力電圧となります。

 こんな次第で反省しながらも設計変更で何とか対応できそうなことが判りました。 嬉しいこ
 とに出来上がった基板は抵抗1本を変更するだけでOKで、他の変更は新たに3KΩのVRと
 双極双倒のトグルスイッチを購入するだけで済みそうです。

以上のような問題を発見しましたので、簡易型として紹介した回路も修正して右に
再掲載します。 大きな変更点は出力電圧で、30Vから15Vに下げてあります。

これに伴いトランスも低い出力電圧の物に変更できますので、費用的にはかなり安
くなりますし、最高出力電圧が15V取れれば通常の実験では十分だと思われます。





2009/07/24

回路変更後の動作テスト

 トランスの出力電圧と電圧調整機構を連動して切り替える設計変更後の動作テストを早速
 致しました。 変更後の回路図は左の図の通りです。 結果としては一部使用上の要注意
 部分が残っており詳しくは後ほど解説します。

 取り敢えずの動作テストはバラック配線にて行っています。 これはレギュレーターICの放
 熱に2mm厚のアルミ板を曲げただけの放熱板で大丈夫かどうか十分な自信がなく、それ
 次第によってはケースの大きさや放熱口の配置が変わる為、ケースを作る来ることが出来
 ないためです。

今回のテスト前に電流計の分流器もカットアンドトライで作りました。 方法としては1Ω 1/4Wの金属皮膜抵抗を沢山並列にしてやる方法です。 使用する電流計はもともと500mAフルスケールですが、これが500mAを表示する電流を流しておきそれに上記の抵抗を並列に接続する毎に表示の値は下がって行きそれが250mAを指す様になるまで抵抗を追加します。 その結果としては7本になった時が最も近似値で、誤差は4-5mA程度でした。 これは1%前後の誤差ですから十分な精度だと思います。

またダミーロードもセメント抵抗や酸化金属抵抗を使った最も簡単な物を作っており、30V、15V、1.5Vでおおよそ1Aの負荷電流となるようにしています。

レギュレーターICの放熱板は手元にあった30 x 600mm 2mm厚のアルミ板で設計サイズとは異なりますが、放熱の傾向は掴めると考えています。  それらテストの様子は以下の通りです。

テストの全体の様子です。 放熱はご覧のようにICをクリップでアルミ板に固定したしかるいい加減なものですが、発熱の傾向は判ると考えています。 右奥が即席のダミーロードで手前中央に見えるのが高電圧と低電圧のモード切替スイッチです。 あとここに写っていない交流入力電圧を調整するスライダックがあります。

なんとまあ荒っぽい作り方ですが、1Ω 1/4Wの金属皮膜抵抗7本を並列にした分流器を電流計に繋いであり、これでフルスケール1Aが読めるようにしてあります。

ダミーロードは30Ω 10Wのセメント抵抗4本と3Ω 2Wの酸化金属皮膜抵抗2本を使った簡単な物です。

テストの結果詳細は次の表をご覧ください。 標柱青字で示したのは大きな問題ではないものの使用上で覚えておかないとならない項目で、赤字は破壊や動作不安定に繋がる可能性があるので要注意項目です。



結果を見て次のようなことが判りました。

1.AC100V、高電圧モード、出力電流1Aで得られる最大出力電圧は26.5v、出力電流500mAで、最低設定可能電圧は
  15.3Vである。(設計値は15.3V-31.5V)  高い方がかなり低くなっており且つ不安定なのはトランスの出力電圧が
  不十分なためである。  因みに交流入力電圧を115Vまで上昇させたところ、安定した30V出力が得られた。
  高電圧モードではこの点を知っておく必要がある。

2.低電圧モードにおいては入出力電圧差の問題とICの内部損失の問題の2点に十分注意が必要。
  出力電圧が設定下限(1.25V)に近づくとICの最大入出力電圧値である35Vにかなり接近してくる。 AC100V時には
  まだ5V近くのマージンがあるから問題は無いが、電灯線電圧が上昇したときには容易に35Vを超えてICが破壊され
  る可能性がある。(1.の理由で電源電圧を上げた時に要注意。)

  ICの内部損失増大は特に要注意事項で、低電圧・大電流出力時にレギュレーターICの許容損失(25W)にかなり
  接近する。  これが原因と思われるが、IC内部の保護回路が作動し始めたようで測定中に出力電圧が徐々に下が
  りだし、動作不安定になった。 この時放熱板は触っていられないほど加熱している。
  簡単な対策法としてはスライダックで交流入力電圧を下げてしまえばよい。


もしこれが商品であったとしたら欠陥品であり売り物にはなりませんが、これまで使ってきたもっと性能の低い物が結構だましだまし使えて致命的な問題も生じなかったので、今回はこれ以上の改善をすることはなく進めてゆこうと思います。 これは決してやせ我慢ではなくて、問題となるような使い方(問題になったような高電圧大電流や小電圧大電流で使う可能性)が極めて低そうだからです。  但し放熱器だけはより本格的な物に変更しないと駄目なような気がします。 今回仮に使った物は長さが600mmあり、熱抵抗としては9℃/W程度と考えられますが、先端の方は全く熱くならないのにICが取り付けられた部分だけは触れないくらいに上昇します。(熱の拡散速度が遅すぎる。)  インターネットで調べてみたところ17 x 98 x 100mmの放熱器で3.5℃/Wという熱抵抗の物が拡散性も良さそうなので、これに変更する方向で考えています。  この場合ケースは再度設計し直す必要が生じます。

条件付の使い方という結論ですが、今回はお金を掛けたくないのでこれにて先に進むことにしました。  しかしそれでも使い勝手はかなり改善されます。  これでようやくケースの製作に入れることになります。




2009/07/31

一進一退

先週出てきた放熱板の問題をクリヤーにしておかないとレイアウトやケースの詳細寸法が決まりません。 そこで放熱板を調達後再試験を行いました。

 購入した放熱板は先週考えた物よりも1ランク上となりました。 この
 放熱板の熱抵抗は2℃/Wと、以前考えていた物(3.5℃/W)よりも更
 に低くなっています。 先週のテスト時に使った2mm厚のアルミ板は
 9℃/W位でしたから放熱効果はかなり良くなるはずです。  この放
 熱板の価格は約\1,000で想定外の追加出費になっています。

 放熱板変更後のテストは出力電圧1.5V、負荷電流1Aというレギュレ
 ーターICにとって最も過酷な条件で行いました。  前回はその条件
 で出力電圧がだら下がりになり且つ動作不安定になりました。
 そして放熱板にICを固定した周りだけが指を触れられないくらい過熱
 し、離れた部分は温度上昇が少ない熱拡散が悪い状態でした。

 それに対し今回は、放熱板全体が同じように熱くなり(40数度と思わ
 れ熱いが触っていられる。)
、熱の拡散性は比較にならないくらい良
 いようです。  その状態で15分間の動作を継続させましたが、室温
 が30度を超えている環境で動作不安定になったり出力電圧が下がっ
 てくることもなく、十分な放熱改善効果を得ています。

これにて先週確認した問題点中低電圧・大電流の問題はかたずき、高電圧大電流時に出力電圧が取れない問題のみ残りますが、まさかトランスを交換するわけにも行きませんので、AC入力電圧をスライダックで上げてやる方法を解決策とします。

 もうひとつ電流計の分流器も先週お見せしたのは余り
 にもみっともないのと、今後再調整したいときに非常に
 しにくいので、穴あき基板に抵抗を半田付けするスタイ
 ルで作り直しています。

 左はその様子で、左側の写真のように抵抗を穴あき
 基板に必要本数並べて裏側で結線しています。
 電流計への固定はネジですが、抵抗の片側はネジ止
 めにて結線され、もう一方はリード線を半田付けしてい
 ます。 このリード線と電流計のもうひとつの端子の間
 にスイッチを入れて切替えます。

さてこれまでの動作試験では全く除外していたデジタル電圧計の校正(手持ちのデジタルマルチメーターに合わせた。)や実働テ
ストをしておかねばと手をつけました。  ところが精度は問題ないレベル(±1%以下)に追い込めそうなのですが、表示が大変不
安定で、下2桁がぶれたり小数点が突然移動したりと、使える状態ではありません。  シールドも色々試したのですがその不安定さは改善できません。 またどういうわけかレンジ切替も精度が出ない状態です。

これらの原因を抜本的に追いかけるのも手なのですが、この電源を早く完成させないと『LEDフラッシュライト』、『LEDコンパクトライト2点』の製作がどんどん遅れてしまいます。

 そこでやむなくデジタル電圧計を別な物に変更する
 ことにしました。 ネットで調べたのですが、主要ス
 ペックは、精度±0.1%、フルスケール300mVで、3V、
 30V、300V、1000Vに自動で切り替わるようになっ
 ています。 この電源は30Vまで取り出せる仕様に
 していますから2V、20V、200Vでに手動で切り替え
 ようとしていたこれまでの方法より遥かに使い勝手
 が良くなります。 価格は\3,780とかなり痛いです
 が、ここで使っている電流計が\2,300位しますか
 ら、機能、性能を考えると妥当な価格でしょう。

それらの変更を元に修正した回路図が左で、右が基板のレイアウトです。 取り除いたり変
更する部品以外には手をつけないような変更にしていますので、多少妙な部分(例えばデジタル電圧計の電源は3Vだが、相変わらず6.3Vの交流を倍電圧整流してレギュレーターを通しているなど。)がありますが、動作上で問題は生じないでしょう。

 一進一退のさえない状況ですが、先に進むべく上記の仕様変更をベースに物理的なレイアウトを
 再検討し、細部まで寸法を詰めました。 その詳細図面は左の通りです。
 全体の大きさは、横幅は変わらず190mm、高さは4mmアップの111mm、奥行きが15mmアップと
 僅かな違いですが、購入した放熱板は凹型を右に90度回転させたような本体の窪み部分に嵌め
 込むスタイルとしました。

 これは内部に組み込むと放熱板の高さが100mmあり上板(5.5mm)、底板(12mm)を加算すると
 高さが118mm以上になってしまいボテッとした感じになりやすいことと、放熱板自身の放熱効果は
 フィン側をむき出しにした方が絶対に良いことにあります。 一時は背面に放熱板を固定することも
 考えたのですが、ケースの横幅を広げない限り奥行きを相当伸ばさないとトランスと干渉してしかも
 内部にはあきスペースがかなり出来る!という面白くないことになるため横に持ってきました。

 このため木製ケースの製作も少々面倒な事になりますが、やたらにサイズが大きくなるのは嬉しい
 ことではないので止むを得ません。  ところで以前の構想ではフロントパネルは4mm厚アルミ板を
 2枚使う少し贅沢なことを考えていましたが、デジタル電圧計と放熱板の追加出費のこともあるの
 で、1.5mm厚の1枚に落としています。

 注文したデジタル電圧計は7/28に入荷したので早速基板の変更と動作確認をしました。 肝心な
 精度ですが私が標準としているデジタルマルチメーター(三和 PC510 直流電圧精度スペックは
 5V以上のレンジで0.08%+2dgt)
、購入した物のメーカースペックは30Vレンジ±0.7%+2dgtです。

 実測では三和で20Vを表示した時20.09Vと0.45%高めに表示していました。 また数分おき位に±0.02V程度のふらつきがあります。 従って実力は0.5-0.6%の精度ですがメーカースペック以内に収まっています。 キャリブレーションが簡単に出来ますので、調整して三和に対して±0.05V程度まで追い込みました。(レンジが変わると誤差の量が変わるので、誤差が平均的になるよう調整した後の価です。)  ふらつきを考慮すると0.35%となりますが、価格を考えたら上出来でしょう。

新しく購入したデジタル電圧計をつないでテスト中。 右端は私が標準にしているデジタルマルチメーターですが、キャリブレーションをした後ですが0.02V高めに表示されています。 使用目的からして十分な精度です。

回路変更に伴い部品の取り外しや交換をした基板。 沢山あったアッテネーター用の抵抗が全て無いのでがら空きとなりました。

新規購入のデジタル電圧計のクローズアップ。 直流電圧レンジが300mV-1,000V、今回は使いませんが、交流電圧も3Vから500Vのレンジで測定可能。 ご覧のようにアナログ的なバー表示もあります。



2009/08/07

ケースの製作

ケース作りは久し振りの木工作業ですが、小さい物ながら電動トリマーを多用して加工精度をかなり高め、組立て後の寸法誤差を±0.2mm以内に収まるよう慎重に作業を進めています。

使用材料はちっとも減りそうに無い端材ばかりで、14mm厚のムク材、12mm、5.5mmのシナ合板を使っています。 ムク材とシナ合板の色味はかなり違うので、着色の段階でうまく色合わせをしないとなりません。

 今回の部材加工では勘違いしやすい部分が多々あるので、全部材の原寸大の図面を描き上げてそれを見な
 がら加工作業を進めています。  面倒ではないか?と尋ねられたら、そうです!と答えるしかありません
 が、これがないとうっかり屋の私は、作り直しで無駄な時間を費やす可能性が大ですし、もちろん部材のムダ
 も馬鹿になりません。 左はその図面です。

 板の切断は相変わらず翔265を使った手引き切断ですが、久し振りの大工仕事とは言えソーガイドを使わずに
 所定寸法の+0.2mm程度の切断誤差で切断できています。 腕は落ちていないぞ!という所ですが、その後
 カンナでドンピシャ寸法に調整後に替刃式ヤスリで切断面を仕上研摩しています。  全切断面でこれをやっ
 ておりその都度寸法誤差を十分に確認していますから、こんなに小さい物ながら第一次加工(切断)だけで半
 日を費やしています。

 第二次加工は側板に施す段差の削りだしで、これにはストレートビットを使い横方向の切削量はガイド板の位
 置で調整しています。 次にフロントパネルを挿しこむ溝彫りですが、これには1.6mmのストレートビットを使っ
 ています。 フロントパネルは厚み1.5mmですので、1.6mm幅の溝にはきつからず緩からず挿しこめますが、
 切削がいい加減で曲線になってしまうと全く挿しこめなくなりますので慎重にやらないとなりません。

二次加工の最後は側板と底板に施す45度の切削加工で、V溝ビットで削りこみ、これで二次加工は終了です。 尚トリマーによる切削の精度は±0.1mmを目指しました。 従ってノギスを使っての調整と確認は絶対不可欠です。

尚高さについては設計値は111mmとしていますが、敢えて天板よりも0.5mm前後側板は上に飛び出るように加工しています。 これは天板を固定した後に目地払いビットで段差0に削り込むためで、その時点で高さは111mmになります。

それと左側板と右側板は繋がった状態で上下の段差部分を削りこんだ後に切り離し少しでも加工精度が上がるようにしています。  二次加工が終わるとコの字状に板を合わせてうまく接着できるかどうかの確認が出来ます。

三次加工は天板の溝彫りですが、天板の左右は切断せずにしておいて溝を彫り終わった後に目の細かなノコギリ(粋な奴)にて切断しました。 翔265は切断におけるデリカシーが不十分でこの目的には適しません。

底板の前面と裏板の右の上面と側面には木口テープを貼り付けて仕上げます。 その後全ての板の仕上研摩をしておきます。

各部材の切断面はこのようにカンナで削って寸法と直角度の調整をしています。

その後替刃式の自作直角ヤスリで研摩して面精度を高めます。

ちっぽけな板4枚の第一次加工(切断)が終わったところですが、ここまでだけで半日を費やしました。

これは底板ですが、左側、下側、右下部には墨線が入っています。  後ほどこの部分を45度切削します。

こちらは天板で沢山の線が見えるのは3mm幅の溝彫りの位置です。 それが終了後に左右を切断します。

これは側板で左右の側板が横に繋がったまま上下の段差切削加工に進みます。 その後に切り離せば段差加工の左右のバラツキは最少になります。

ストレートビットで角に段差を付けるには、深さはビットの飛び出し量で決まりますが、切り込み幅は、45mm - (ビット直径の半分) + 切削幅になります。(リョービの場合。)

私は15mmのストレートビット(TS2-15G)を使いますが、切削幅を5mmとしたいので上の計算式により、端からガイド板までの長さが42.5mmになるようガイド板をセットしています。

切削し終ったところ。 角にバリがかなり残っていますが、替刃式ヤスリで軽くこすれば綺麗に落ちます。

繋がったままの側板に段差を施しました。 中央の切削は左側板の背面側の削りこみです。

中央切削部分のアップ。 ご覧のようにごく僅かな切削深さの違いがあり、約0.1mm位の段差が出来てしまいました。 これが出ないように切削するのは非常に難しい。

左側板と右側板に切り離しました。 この後フロントパネル用溝彫り、斜め切削に続きます。

フロントパネル用の溝をストレートビット(SS1-1.6G)で彫ってパネルを挿しこんで見ました。 この場合パネルには保護用の薄い幕が貼ってあり厚みは1.6mmあるため挿しこむ時はきついです。

全てのパネルが挿しこまれる溝を彫り終わりました。 切削の位置精度は±0.1mm程度になるよう時間を掛けて慎重に進めています。

中央縦にパネル用溝の切削後の様子が見えます。 上の左は左側板、右は右側板で、下側は左が天板の裏側で右が底板です。

次に45度傾斜切断をV溝ビット(VB-90G)で施しました。 最も神経を使うトリマーが主体となる二次加工がやっと終了しました。  この二次加工だけで1日を使いましたが、実際の加工時間の20倍近くをその前の設定に費やし、加工精度が確保できるようにしています。

三次加工は天板の放熱口切削です。 方法としては板厚の1/2の深さで裏側に座繰りを彫ることから始めますが、このように切削範囲を制限する枠を打ち付けています。

10φのストレートビットを使って片側の切削が終わりました。 深さは約2.8mmです。

2箇所の座繰り後にバリをヤスリで削り取って裏面の加工は終わりです。 

天板をひっくり返してセットし今度は3φのストレートビットで溝彫りです。 彫る深さは2.8mmで板厚は5.5mmですから、裏面の座繰りと重なる部分は穴があくことになります。

左に見えるガイドの細い棒は1箇所切削するたびに8mmずつ左に移動しますので、溝幅3mm、溝と溝の間が5mmで加工されます。

彫った溝の長さがまちまちになっていますが大丈夫。 この後赤線で切断して最終的な寸法になります。

天板横方向を最終的な寸法に切断。 トリマーで切削した溝近辺はデリカシーのあるノコギリでないと欠けたりしますので、『粋な奴』のような精密切断用ノコギリが有効です。

『粋な奴』で切断後のアップ。 大変綺麗な切り口でバリが殆ど発生しません。

三次加工まで終了しましたので、まさかのミスが無いかどうかの確認のためにハタ金で組み上げて見ました。 寸法調整の研摩はまだ殆どやっていませんが、寸法誤差は±0.2mm位に収まっているようです。 

前面左下の角でトリマーによる少々ややこしい切削はうまくできたようで、接合時に変な隙間やゆがみの発生はありません。 側板下部が突出していますが、これは目地払いビットで接合後にカットします。 同様な意識的に突出させている部分は他にも7箇所あります。

設計時に放熱口の溝と放熱器のフィンが一致するように考えていたのですが、これもドンピシャになったようです。 一次加工から三次加工までおよそ3日間を使い超スローペースで進んできましたが、その甲斐はあったようです。



2009/08/14

ケースの製作 2

ケース本体の加工作業はここで一時中断しアルミのフロントパネルの製作に進みます。 というのはケースの組立て順序として、

   1.木製部分の全部材の三次加工まで済ませる。
   2.フロントパネルを完成させる。(穴あけ、研摩、塗装、文字入れ)
   3.天板を除く木製部材の前面エッジ部分の仕上げ加工(研摩、木口貼り、着色、塗装)
   4、天板を除き全体の組み立て(エポキシ接着剤による。)
   5.側板の上下と背面のエッジ飛び出し部分をトリマーで切削。
   6.右側板の木口テープ貼り。
   7.全体の仕上研摩、塗装作業


というしかる手間を掛けた作業手順を考えているためです。 無論これらは拘りがその背景にあるわけですが、材料にはお金を掛けずに丁寧な製作手順で若しも購入したらとんでもない高価なものに仕上ようという魂胆です。

さてフロントパネルの加工ですが、色々なサイズの穴のうちドリルであければ完了するものは別として、大きさや形の関係で研摩を伴う穴については一風変わったというか、しかる効率的な方法を取っています。

先ずデジタル電圧計の入る四角い穴と電流計の入る大きな丸穴は電動ジグソーで大まかに切断後回転ヤスリで最終寸法に削りました。

その昔大きな穴をアルミ板にあける場合には穴の内側に3-4mmの穴を連続して沢山あけ、その穴と穴をニッパーで切断して抜き取り、ヤスリで仕上るという方法でやっていました。  しかしこれは辛抱一筋の加工作業になり、切り口近辺は板が曲がって凸凹という状態になりやすいものです。

アルミ切断用No.5(上)と木工円仕上切りブレード
 現在ではそれに対し電動ジグソーにより切断しています。 使う電動ジグソーはおなじみの
 コンパクトなCJ-250で、細かな切断のコントロールがしやすく、非力とは言え4mm厚程度ま
 では全く問題ありません。  これにブレードとしてmini-Shopで販売している新潟精機の
 No.5を使っていますが、このブレードは木工円切り用です。

 刃の硬さは金属切断用に比べれば低いですから長持ちはしませんが、刃幅が小さいので
 曲線切りがしやすい特長を生かしています。(金属用の円切り刃は入手困難。) 何しろ2本
 で\300以下ですから切れなくなったら交換すれば良いと割り切っていますが、意外に長持ちしますしアルミ板の切断は年に2-3回しかありませんから費用効果上のバランスも取れていると思います。 尚本来の木工円切り用には仕上切りを使っていますので、見た目で違いが判り間違って使うことはありません。

 次の回転ヤスリによる切削・研摩は如何にもアマチュア向けとして相応しい作業方法です。
 これまで所定の寸法になるようヤスリで切削・研摩する作業は、力仕事の類で時間が掛かり忍耐を要求す
 ることが多かった!というのが実感です。 但し6年ほど前に1本の回転ヤスリを何気なく入手しこれを電動
 ドリルアタッチメントと組み合わせて色々試してみました。 その結果手作業のヤスリによる切削研摩作業
 は、短時間で出来て力を要しない作業に変貌いたしました。(左はこれまで試してきた回転ヤスリ)

 過去に掲載した作品の中にこの回転ヤスリを使わないと出来なかった、或いは猛烈に加工作業に時間を
 要した物が幾つかあります。 まだ試行錯誤中でしたので回転ヤスリを使っていることには触れていません
 が、木工の例では歩行練習機の車輪作りで、車輪の面に対し直角を保ちながら正しい円に削りだす作業
 がそうですし、アルミ板の切削例ではピンホールカメラ用のファインダーを作った時にL字型のフレームを
 3mm厚アルミ板で作りました。 いずれも回転ヤスリがなかったらあきらめていたと思われる作業です。

 アマチュア用にもってこいの方法とあってmini-Shopで是非とも販売した
いと廉価で投資効率の良い回転ヤスリを探していたのですが、良く見かけるのはホビー用の小
型トリマーと組み合わせる砥石型であったり、プロ用の本格的で硬い金属にも使える高価なもの
しか見当たらず、ようやく2ヶ月前に良さそうな物を発見し現在テストしています。

近々販売開始できそうですので、詳しい解説は改めて致しますが、取り敢えず右に写真をお見
せしておきます。(左が切削用、右が仕上用で何れも木工、非鉄金属、プラスチック用です。)


これら2つの方法(木工円切り用ブレードでアルミ板切断と回転ヤスリによる切削・研磨加工)
覚えておいて決して損の無い作業方法で、特殊で高価な工具や機械を使わない代案として、 VIC's D.I.Y.で紹介している方法論のひとつとして追加されます。

そのような方法にて穴あけを済ました後にヘヤーライン加工を済ましその上に水性ウレタンニスを塗った上にインスタントレタリングで文字入れし、再度水性ウレタンニスを塗ってフロントパネルは完成しています。

あけるべき穴を描いた原寸大のプリントアウトをアルミ板に貼り付けました。 センターポンチで穴あけ位置を確実にした上で、3、3.2、3.5、4、8mmのドリルで所定の穴を開け終わりました。 大きな円と長方形の内部の大きな穴(各4個)からジグソーで切り抜いて行きます。

円の部分を切り終わったところですが、使用ブレードはNo.5でCJ-250に取り付けております。 またご覧のように墨線から0.5mm程度離れた所を切り落しています。

ドリルによる穴あけとジグソーによる切断が終わりました。 ここまで1時間程度の所要時間です。 この後寸法出しの研削・研摩に入ります。

回転ヤスリによる効率的な研削研摩の方法で現在は電動ドリルアタッチメントを使っていますが、近い将来別なアタッチメントを考案する予定です。

型紙の墨線どおりドンピシャとなるよう研削・研磨中。 これは直線部分ですが、曲線部分(凹凸両方)の研摩も可能です。

全ての研削・研摩が終わりました。 面倒だったのは矢印の先の小判型の小さな穴くらいなものです。 また私のやるこの方法はアルミ板を曲げてしまうような無理なことが全くありません。

パネルに直接固定する部材だけを仮固定して確認しました。 この後へヤーライン加工に進みます。

アルミパネルの表面を#60サンドペーパーで研摩し一様な平行の筋を付けます。

何度試しても満足度の高い一様な筋を付けるのが出来ませんが、一応ヘヤーライン加工らしき仕上がりとなりました。

表面を洗って研磨屑を完全に落とし乾燥後に水性ウレタンニスを2回塗りました。 これでインスタントレタリングの付きが良くなります。

インスタントレタリングで文字入れ後に、剥がれ防止のためもう一度水性ウレタンニスを塗ってフロントパネルは完成です。



2009/08/21

ケースの製作 3

先週お話したように木製ケースの製作工程は、

   1.木製部分の全部材の三次加工まで済ませる。
   2.フロントパネルを完成させる。(穴あけ、研摩、塗装、文字入れ)
   3.天板を除く木製部材の前面エッジ部分の仕上げ加工(研摩、木口貼り、着色、塗装)
   4、天板を除き全体の組み立て(エポキシ接着剤による。)
   5.側板の上下と背面のエッジ飛び出し部分をトリマーで切削。
   6.右側板の木口テープ貼り。
   7.全体の仕上研摩、塗装作業


となっており、2.まで進んだところです。 そして今週は続きを7.まで、つまりケースが完成するまでをご紹介します。

天板を除く全面のエッジ部分はコの字型になりますが、これらの部分は組立てる前に塗装を済ませています。 何故そのようにしたかと言うと、フロントパネルが余りにも隙間なくはまり込むため、一度嵌め込んだら抜けなくなってしまう可能性があると考えていました。 従ってフロントパネルははまり込んだ状態でも電気部品の取り付け、取り外しが出来るように!と考えていましたし、嵌め込んだ状態でフロントパネルとケースの前面エッジ部分を独立して塗装するのは不可能と想定しました。 よって組立てる前にフロントパネル、ケース前面の両方が完全に塗装まで終わっている必要があったのです。

これが前面エッジだけ塗装を済ませてしまう理由なのですが、結果論としては杞憂だったようで、ケースをコの字型に組んだ後でも若干きついながらフロントパネルは引き抜いたり、挿入しなおしたり出来ています。

底板の前面は合板製ですので綺麗ではありません。 従ってこの面には木口テープを貼り左右のムク板の側板とマッチするようにしています。 とは言えシナの面と側板の面は色味がかなり異なるので、オーク色のポアステインを水で3倍に薄くしたもので多数回着色し、同じような色味や濃さがでるようにしています。 最終的には側板は5回着色、底板のシナの面は7回着色でうまく整っています。 その後の塗装はお決まりとなっている水性ウレタン透明クリヤーを3回塗った後につや消しクリヤー1回塗りとしています。

いよいよ接着による組立てに入りますが、最初に底板と左側板、次に右側板、最後に裏板をそれぞれエポキシ接着剤(30分硬化開始型)で接着しています。  それぞれの工程は接着剤の硬化に3時間使っています。 接着剤と言うと木工ボンドを思い浮かべることが多いですが、十分な圧着保持が出来ないケースや接着面に隙間が出来やすい場合には、エポキシ接着剤の方が強度、充填効果、総合的な信頼性の点で有利です。  また急ぐからと言って3工程を一度にまとめてしまうのは、いびつな物を作り上げてしまう可能性が高いです。 時間が掛かっても1工程ずつ確認しながら進める必要があります。

 組み立てが終わったら側板が何箇所か飛び出た部分
 を切削しますが、コロ付き傘付き目地払いビット(MB-
 12.7Gで左の写真)
を使います。
 その構造は2枚刃のストレートビットで先端にコロが付
 いていますが、コロの直径と刃先の直径が同一です。
 そして接合部分の飛び出た部分を平らにしてしまう大
 変便利なビットです。(右は飛び出た部分の切削例)
 但しひとつだけ注意があります。 それは切削面に接
 着剤が残っていた場合で、最近の木工ボンドは乾燥
 でも簡単に削り取れますが、ここで使ったようなエポキ
 シの場合は大変硬くてしかも粘り気もかなりあるので
削り取りにくいだけでなく刃を痛める心配があります。

従って接着分にエポキシ接着剤が飛び出さないよう、飛び出た場合には十分に拭き取ってやらねばなりません。 今回私は底面についてはそれらの配慮を全くしませんでした。 従って残っていたエポキシ接着剤を十分に削り取れないまま先に進めましたが、その結果どうなったかは後ほど写真でご覧いただけます。(通常目に入る部分ではないので手抜きをしたとお考えください。)  

その後未塗装部分の仕上研磨をした上で、ポアステインによる着色、水性ウレタン透明クリヤー3回塗りの工程を経てケースの製作が終わりました。

底板は合板ですので前面の見え方は美しくありません。 そこでシナの木口テープでお化粧します。

傾斜部分と垂直部分を2枚の木口テープで繋いで貼り、表面をサンドペーパーで仕上ました。

左右の側板と底板の前面はオーク色のポアステインで着色し材木が違うことによる色違いを揃えました。

濃い目の色であることも手伝い、全く異なる材木であることは先ず判らない状態になっています。

その上に水性ウレタンニス透明クリヤーを3回塗りしています。 油性に比べると肉載りが劣るので塗り回数は増えますが、乾燥時間が短いので作業時間が長くなることはありません。

そして最後に水性ウレタンニスつや消しクリヤーを塗って完了です。 これは私の標準塗装工程になっていますが、しっとりとした格調高い質感が得られますし、多少の粗を隠せるメリットもあります。

底板と左側板から接着開始。 30分硬化開始型エポキシを使っています。 また直角接合ジグを使い正確な直角が出るよう万全を期しています。

2時間放置後にフロントパネルを挿入してみました。 全く問題なく装着できます。

天板を載せて左に90度回転させました。 この面に右側板を接着しますが、天板は位置関係を保持するため残すものの接着はしません。

ハタ金を使って軽く圧着保持をしています。 エポキシ接着剤の充填効果を期待しているので、強力な圧着保持は歪み防止のため不要で、ハタ金使用がベストです。

左右側板と底板の接着が終わりました。 この状態で背面の板を接着します。

背面の板接着時の圧着保持もハタ金です。 勿論天板は接着位置出しのために挟んであるだけで、接着はしません。

4面の接着が終わったところです。 試しにフロントパネルを抜き差ししてみたところ、無理やりの力技ではなくできました。 これは期待以上で、これまでの切断、切削、研磨などの作業と接着作業が全て高精度であったことの証です。

再度フロントパネルを挿入し天板を落とし込んで、放熱板を所定の位置にはめ込んで見ました。



それを右側から見たところです。 まったく不具合はありません。

落とし込んだ天板と側板の段差は約0.5mmで均等になっており、ここにも正確な作業が表れています。

コロ付き傘付き目地払いビット(MB-12.7G)にて接着時に飛び出た部分を削り取りました。 但し底面に付着したエポキシ接着剤は十分に削り取れませんでした。

ポアステイン(オーク色)を水で3倍に薄め着色中。 これは3回塗装後の様子です。 底面の矢印の先は十分にエポキシ接着剤を削り取らなかったために着色が出来ないため白っぽく斑になっています。

着色終了後水性透明クリヤーニスを3回、つや消しクリヤーを1回塗ってから天板を所定の位置に嵌め込んだ前面側です。

前面左上のクローズアップ。 天板は5.5mmシナ合板ですが、木口テープを貼ってから着色・塗装しているので、このように合板には見えません。

こちらは裏面を右側から見たところです。 右側はムク板を使った左側板面です。 艶は抑えられてしっとりとしています。

背面を左手の方から見ています。 左側には大きな欠き取りがありますが、ここに放熱板が入ります。

天板が側板に接触している部分。 側板は僅かに突出しています。(約0.5mm)

その後ろ側の様子。 放熱の為の溝切りも綺麗に並んでいます。

最後にフロントパネルを挿しこんでみた前面からの様子で、最終的な外観にかなり近くなっています。 そして格調高い質感が出てきており、手を掛けただけのことはある!という求めている物になっています。



2009/08/28

残る加工作業と完成まで

残る細かな作業(件数はまだ結構あります。)を済ませて完成までの様子を
お伝えします。

3個使うトグルスイッチは当初スイッチ固定金具をケースの内部に固定する
ことで考えていました。 しかしフロントパネルはケース前面に抜き差しが
可能となりましたので、スイッチはパネルに固定することにしました。

但しスイッチの固定用ナットが見えるのは格好良いとは言えませんので、
1.5mm厚アルミ板を曲げて裏面にエポキシ接着剤で貼り付け、ナットを表面
に見せない構造としています。 

そして可変抵抗のシャフトを切断して取り付け、パネル裏面の配線を済ませ
フロントパネルユニットとして完成しました。

次の作業はケース内部の加工で、放熱板の固定枠の切り出しと固定、天板
の固定に使う桟の取り付け、放熱用空気取り入れの穴あけです。

放熱板の固定枠は右手前部分が電流計に干渉するぎりぎりになりますので、角を斜めに削って隙間を確保しています。 放熱板固定枠、天板固定桟、いずれも30分硬化開始エポキシを使っています。  底部の空気取り入れようの穴は9φで12箇所あけています。

次がつや消し黒色ペイントの塗装で、天板のスリット内部、放熱板の取り付け面に対し行っていますが全て水性タイプを使い作業性を良くしました。 作業性が良いとは、はみ出て既にニス塗りをした部分に付いたペイントは水で濡らした布で拭い去れば良い!という簡単な作業にあります。  その後放熱板をネジで固定し、電源基板を固定後レギュレターICにシリコーングリースを塗って放熱板にネジ止め後に、電源基板とフロントパネルの間の結線を済ませ、電源トランスを固定して電源トランスと電源基板及びフロントパネルの間の結線、電源コードの配線と進み全作業が完了しました。 最後に天板を嵌め込んで飾りビスで4箇所固定し無事完成しています。

最終確認のダミーロード接続によるテストの結果は以前のテストと大きな変化はありませんので省きますが、これまで使ってきた物が全くおもちゃに思えるくらい使い勝手が良くなりました。  これで電池駆動のLED照明器具の製作にやっと戻れます。

3個のトグルスイッチ固定金具をフロントパネル裏面にエポキシ接着剤で固定しました。

接着剤による固定状況はこのようです。 接着強度を高めるため接着面は#60のサンドペーパーで表面を粗びています。

可変抵抗を固定後、フロントパネル面で完結する配線と、電源基板やトランスに接続する線の引き出しを済ませました。 

これでフロントパネルユニットは完成しました。 アセンブリーとしてケース前面の溝にこの状態で抜き差しします。

放熱板取り付け枠を切り出しエポキシ接着剤で固定中。 ハタ金、クランプは圧着保持ではなく、接着位置出しのために使っています。

天板固定の桟もエポキシで固定し、底部には12個の9φの穴をあけました。(右側の8個がトランス冷却用、左の4個は基板と放熱板内面冷却用です。)

8個の穴はトランスの下になるので最終的には殆ど見えません。 右の4個も電源基板を固定すると見えなくなります。

天板の溝の中を水性ペイントのつや消し黒で塗装します。(これは塗装前。)

正しい塗装もへったくれもありません。 とにかく手早く完全にペイントで埋める事に専念します。

表面にはみ出たペイントは水で濡らして絞った布で速やかに拭い去ります。(もたもたしていると乾燥して拭い難くなります。)

水性塗料の特性を生かした方法で、溝の中は無事真っ黒に塗りつぶしが出来ました。 乾燥後に放熱板をネジ止めしました。

電源基板を所定の位置に固定してから放熱板にレギュレターICをネジ止めし、電源基板とフロントパネル間の接続を済ませます。

そしてトランスを固定してフロントパネルと電源基板からの配線をトランスに接続して組み上げは終了です。

以前のテスト時と同等の性能が得られるか、トグルスイッチの逆接続が無いか、デジタル電圧計の指示誤差は許容範囲か?などを確認します。 

最後の作業で、天板をネジ止めしました。 使ったネジは皿ネジですがステンレス製でブロンズ色に着色してあるものを使い目立たなくしています。

完成後使用状態の様子。 これで電池駆動のアプリケーション製作時により快適に実験が出来るでしょう。

新・旧定電圧電源。 ネオンランプと青LEDのパイロットランプやデジタル、アナログ電圧計に40年近い時間差を感じます。
前面サイズが大きくなりましたが、より多くの部材を取り付けたのが主原因で、これ以上小さくすると使い勝手が悪くなるでしょう。 奥行きは7mm増えただけで内部のレイアウトも考えれば限界に近い大きさかもしれません。





2011/02/18

完成度を高める改造

2009年8月に完成してからLEDをテーマの工作を中心に大活躍をしてきましたが、1年半を経過した今、更なる完成度を求めて改造する事にしました。 その改造テーマは、『0Vから設定可能な出力電圧。』『電源フィルターコンデンサーの強化。』です。

前者は電池1本を使う工作で、寿命に近い電池電圧に下がった状態で試作機の動作がどうなるかを観察したい時には、これまでの1.25Vという最低設定可能電圧は高すぎます。 と言うのは乾電池の寿命が尽きたと判断される電圧は0.8-0.9V、ニッケル水素充電池やニッカド充電池では1Vになっているからです。 よってそのような低電圧を設定できるようになると定電圧電源の使い道はぐんと広がります。

後者については、既に使ってきた定電圧電源に使われているフィルター用の電解コンデンサーは、私の勘違いのまま製作を進めた結果充分な容量がないことと耐圧にゆとりが無いので変更したいということです。
整流器の直後に電解コンデンサーを繋いだコンデンサー入力型と呼ばれる回路では、整流器の出力電圧はそこに繋がれたコンデンサーの値が大きいほど高くなります。(実動試験で最大出力電流に近い900mA程出した時に電圧は30V以下に下がってしまいますが、これは電解コンデンサが小さすぎるせいだと考えています。)

但しむやみに大きくすると別な問題が生じますが、これまで使ってきた電解コンデンサーの値は330μF 50Vでこれは小さ過ぎであり、1000μFから4700μF位の値にしたいところで、これが第一番目の理由です。 また耐圧についても問題があります。

現状で無負荷の時に整流器の出力電圧は42.4Vあります。 これは電灯線電圧が100Vの時であり、+10%の変動があったとすると46.6Vと電解コンデンサの耐圧である50Vに近しくなります。 日本の電灯線電圧の安定性は高いですが、仮に20%アップになると耐圧の定格をオーバーします。 その場合にいきなり電解コンデンサが破壊するわけではありませんが、ゆとりがあまり無いのは事実ですので、より高い耐圧の物に変えようということにしました。 但し耐圧50Vの上は63Vで、その上は100Vまで上がってしまいます。 そして大きさがぐんと増し実装の困難さが出る可能性が出てきます。 そこで63Vとしました。

ということで、たった2点の改造ポイントですが、部品の入れ替え点数が結構多いだけでなく、より大きな電解コンデンサーに変更するので基板の作り直しというメジャーな変更になりました。

 さて0Vから電圧設定を可能にする方法について簡単に説明しておきます。  左の最上段の図は
 可変電圧レギュレーターICの出力電圧設定の概念を表していますが、ICのOUTとADJの間には
 1.25Vの電位差があります。 この1.25Vは温度変化や入力電圧の変化があっても極めて安定して
 おり、Reference電圧として使われます。

 さて出力電圧を所定の値に設定するためには2本の抵抗が必要で、この図では220ΩとR2がそれで
 す。  220Ωの抵抗はメーカーのデータシートでは240Ω以下と説明されています。
 240ΩはE24系列の値でポピュラーなE12系列にはありませんからE12系列にある240Ωより小さな
 値の抵抗として220Ωとしています。 この220ΩはOUTとADJの間に繋がれていますがOUTとADJ
 間の電圧は常に1.25Vですから、1.25 ÷ 220 = 0.00568A (約5.7mA)の定電流(A)が流れます。

ところでADJから電流(B)が流れますが、約50μA(0.05mA)と(A)の1%以下の微量ですのでこの存在は無視して進めます。

こうすると抵抗R2に流れ込む電流(C)はA+Bですが、Bを無視しますので、C = A = 5.7mAとなります。 こうした時に出力電圧はどうなるかというと、Refference電圧(1.25V)にR2の両端電圧を加算した値となります。 式では1.25 + 0.0057 x R2ですがこれを変形すると、 1.25 + 1.25÷220 X R2 = 1.25 (1 + R2/220) となります。 この方法で出力電圧を設定できる最低電圧はR2がゼロの時で1.25Vになります。

このReference電圧が固定値として出力電圧設定時に影響するためそれ以下に設定できないわけですが、R2を0V側に接続しているポイントを外してそこに-1.25Vの電圧を掛けてやります。 そうすると左の図の下側の状態が発生し、出力電圧の値は、1.25 + R2 x 0.0057 + (-1.25) = R2 x 0.0057 となり、Reference電圧分が相殺されてしまうので、R2がゼロであれば出力電圧がゼロになります。

 実際にそのような-1.25VをR2に加える方法は色々ありますが、少ない部品でしかも安定性抜群な
 方法としては、マイナス電圧用の可変電圧レギュレータICを使うか、1.25VのシャントレギュレータIC
 を使う方法と思われます。  左図はそれらを使った回路で、左側は出力がマイナス電圧の電圧可
 変レギュレータICを使う方法です。 LM337LZは最大電流容量が100mAで、LED電流駆動にしばし
 ば使ってきたLM317LZのマイナス電圧版です。 他にマイナスの可変電圧レギュレータとしては電流
 容量が大きいLM337があります。(LM317のマイナス版。)

右の回路は1.25Vのシャントレギュレータを使った例ですが、ここでの使い方は1.25Vのツェナーダイオードと同じと考えて良いでしょう。  ツェナーダイオードには1.25Vなんていう低い値の物はないだけでなく、温度や電圧変化に対して電圧が変化してしまい安定性はあまり良くありませんが、このシャントレギュレーターならツェナーダイオードよりも格段に上です。

何れもICと抵抗を1本ずつと大変簡単に実現できます。 唯一の問題は少々特殊な部材ですので入手性の問題があるかもしれません。
 今回の改造ではLM337LZを使う方法で進めました。 回路図は左で、
 プリント基板のレイアウトは右です。

 以前はAC6.3Vを倍電圧整流していましたが、改造後は半波整流で
 ±DC電圧を取り出し(約8.4V)、それぞれレギュレーターICを通して
 -1.25Vと+3.0Vを得ています。 前者は0V出力を得るために、後者は
 デジタル電圧計の電源用に使われます。

 主電源に使われる電解コンデンサは結局1000μF 63Vを2本並列接続
 して2000μFとしました。 もう1本並列にしたかった所ですが、スペース的なゆとりが無くなりますのでこれで止めています。 以下の写真も参考にご覧ください。

左がここで使ったマイナス電圧用レギュレータ(LM337LZ)。 右はLED駆動用に多く使っている兄弟のプラス電圧用レギュレータ(LM317LZ)です。

組立が終わった基板。 前の物と同じ定型サイズの基板ですが、実装面積がぐんと増えました。 特に電解コンデンサは容積大にも繋がっています。

基板サイズは全く同じですから固定は容易です。 フィルターコンデンサが大きくなったのが良く判ります。

COARCE(粗調)は左に回し切りでFINE(微調)が左に回し切りから少し右へ回した所で0V出力となります。

デジタル電圧計は時に"-00.0mV"などと奇妙な表示をします。

唯一フロントパネルの文字を[1.3-15V]から[0-15V]に修正できないのが残念です

改造後の改善の度合いを見るべく簡単なテストをしました。 High Rangeではフィルターコンデンサ強化(容量アップ)だけが性能に影響する変更ですが、900mAを取り出しながら設定可能な最高出力電圧が30.3Vと3.7Vも増加し名実共に30V出力と言えるようになりました。 スライダックでAC電圧を上昇させて!なんてことが不要になりました。

またLow RangeではReference電圧(+1.25V)をキャンセルすることで0V出力を得たため、設定電圧は全体的に1.25V下がっている筈ですが、設定可能最高電圧は16.4Vと改造前より1.9Vアップしています。 この結果Low Rangeの電圧設定は0V-16.4V、High Rangeでは15.4V-30.3Vとうまくオーバーラップしています。(以前は例えば15Vの設定はHigh、Low何れのレンジでも設定できなかった。)

----- 完 -----


 
  
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