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LEDを使う小物回路
   
2012/04/13                  (註: 本テーマに関する全てのご質問はお受けできません)

LEDを使った照明器具を色々紹介していますがパイロットランプの代わりとしても消費電力が少なく輝点を小さく出来る優位性がありますので最近は電球を使う事が少なくなりました。 さらに2色/3色のLEDを使って色の変化や点滅を加えるとかなり複雑な表示が可能になります。

ここではそういったLEDを使った表示回路で部品点数が少なくて簡単に作れ実用性の高い回路を数点紹介します。

1.点滅LED
 点滅LEDというと最近では点滅用の回路を内蔵してしまったLEDがポピュラーで、見かけ上
 通常の2本足と同じですから、これを使うのが最も簡単です。(右写真)
 但しへそ曲がりな私は2つの理由で通常のLEDを点滅回路で点灯する事が結構あります。

 その理由は点滅LEDには3φの物が見当たらない点滅間隔のコントロールが殆ど出
 来ない
、の2点です。 前者は点滅させる回路を入れるスペースを取り難いので作られない
 のかな?と考えています。 後者は駆動電圧の変化で僅かな変化があるだけです。

 試しに手持ちの5φ赤色点滅LEDの駆動電圧を変えて点滅間隔を調べました。 最大許容
 駆動電圧は5Vとありますので、5V、4V、3V、と調べましたが、点滅間隔は順に1.3回/秒、
 0.97回/秒、0.9回/秒という結果でした。 駆動電圧を4V強に設定すれば1秒間隔で点滅
 できますからそれなりにつかえますが、変化範囲が小さいことには変わりありません。      動画でないと違いが判らない点滅LED
 尚目視できる(暗いけど)最低駆動電圧は2.14Vでした。


次に部品点数が少なくポピュラーで入手容易な部品を使った点滅回路を2つ紹介しておきましょう。


2.点滅回路 1
 この回路は点滅間隔の自由度が大きく駆動電圧が3Vで済むため4 x 5判のピンホ
 ールカメラでシャッターを開けている時間を数えるために使っています。

 部品点数としてはトランジスターが2本、抵抗とコンデンサーが1本ずつと部品点数
 が少ないのもありがたい点です。 動作が非常にデリケートで、動作中の電流を調
 べようと電流計を挿入すると動作状態が変わってしまうので、回路解析が出来ませ
 んでしたが、動作そのものは確実です。 (右の図をクリックすると動作原理の解説
 をご覧いただけます。)


 表示している定数で1秒の間隔で点滅していますが、トランジスターのhfeのバラツ
 キ、コンデンサーの容量誤差などで抵抗値をこれと同じ値にしても1秒の点滅には
 ならないでしょう。 従って実用性を高めるためには、抵抗を半固定抵抗にして調整
 する必要性があります。
 尚この回路の電源電圧上限は3Vです。 更に電源電圧を上げるとLEDを壊します。
 それと電圧が低くなると点滅周期が変化します。


3 点滅回路 2
 この回路も4点の部品で作れますがトランジスターは1本に減り、抵抗が2本に増えます。
 回路を見ると極めて変な接続になっており、トランジスターのベースは接続されておらず、
 電源に対してコレクターとエミッターも逆接続されているように見えますが、これでちゃん
 と動作します。 但しトランジスターを変則的な使い方をしているには変わりなく、この使い
 方をすると通常の増幅動作が出来なくなるようです。(増幅素子としては破壊される。)

 私は完全に回路の動作を理解できているわけではありま
 せんが、推測も含めた動作原理は次のように思われます。

 電源がONになると4.7KΩの抵抗を通じてコンデンサーが
 充電されます。 そして充電電圧がある値に到達すると、
 トランジスターは負性抵抗特性を表しその間だけエミッター
 からコレクターに電流が流れ赤色LEDが点灯します。

 左の波形は100Ωの両端電圧を見たものですが、最大で
 1.5Vの電圧になっています。 ということは15mAの電流がLEDに流れていますが、電源
 電圧が変わってもこの電流値は殆ど変わりません。 また点滅動作は電源電圧が10.9V
 以下になると停止します。

 点滅周期はコンデンサーの値を変えたり4.7KΩを増減したり電源電圧の変化で変更できます。
 参考までに電源電圧を11Vと12V、コンデンサーの容量を47μF、330μF、1000μFと変えたときの点滅回数/秒を測ってみたの
 が次の図です。

電圧 コンデンサー容量 点滅回数/秒   電圧 コンデンサー容量 点滅回数/秒
11V 47μF 2.4回/秒   12V 47μF 4.4回/秒
11V 330μF 0.53回/秒   12V 330μF 1.2回/秒
11V 1000μF 0.2回/秒   12V 1000μF 0.46回/秒

 これからすると電圧が高くなると点滅周期は短くなります。 またコンデンサーの容量が増加しても周期は長くなります。

 ところでこの点滅回路はどんなトランジスターでも作れるとは限りません。 これは私の想像ですが負性抵抗の出来方がまちまち
 であるためと思います。 手持ちの1種類ほどのNPNトランジスターで試した所、点滅が起きる電圧はかなり変わりますし、中には
 全く点滅しないトランジスターもあります。 大変ポピュラーな2SC1815GRタイプYタイプ何れも点滅してくれました。
 但し念押しですが、この回路で使うと一般の増幅回路では使えなくなる可能性が大であることにご注意ください。


4.減電圧表示回路
 ヘッドフォーンアンプ2の製作の中で、リレーのON/OFFを検出し、リレーがOFFの場合
 には赤のLEDが点灯し、ONの場合は青のLEDが点灯する回路を紹介しています。

 これはリレーのトランスファー接点を使えば簡単に出来ますが、トランスファー接点が
 余っていないときにパイロットLEDを切替えるのに有効で、特にLEDに赤・青または赤・
 緑の2色LEDを使うと見え方も格好よくなります。

 右がその回路で、トランジスター1本、
 抵抗2本、2色LEDの4部材で出来ますが、
 青LEDの輝度を抑える必要がなければ、
 10KΩの抵抗を省けます。
 詳しくはこちらをお読みください。

 左の回路がここで紹介する減電圧表示
 回路です。 右上の回路を変形したもの
 で、NPNのトランジスターをPNPトランジス
 ターに置き換え、青LEDの輝度調整抵抗
 は省きました。

 この回路は公称9Vの006P乾電池が、
 寿命になった時(5.4Vに下がった時)に色の変化で表示するという動作をします。
 動作点の調整は電源電圧が5.4Vになった時に半固定抵抗を回して青から赤に変化
 するポイントに調整するだけです。 百聞は一見にしかず!と申しますので、次の一
 連の写真をご覧ください。
 (LEDの色を判りやすくするため露出を1/4としているので周りが暗く写っています。)



9Vと7Vの間で色身の変化は全くないが9Vの方が輝度が高いのが周りへの反射を見てわかる。

6Vになると青紫色に変化してくるのが認められる。

更にほんの少し下がった5.65Vでは赤紫に変貌する。

そして5.4Vに至ると赤色になり電池寿命である事を告げている。

電池寿命を知る事は寿命が尽きたら捨てるしかない乾電池では大きな問題ではないが、充電池においては電池の繰り返し使用性能に多大に影響するので非常に重要事項。
因みに006Pと同じ6ユニットを使った7.2V(放電終了6V)や7ユニットの8.4V(放電終了7V)のニッケル水素電池使用時に有効な回路になる。(動作点の再調整だけで使える。)


 
  
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