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AD8397A ヘッドフォーンアンプ
   
註) この製作解説は2種類のオペアンプで製作したポータブルヘッドフォーンアンプのひとつで、構想については共通事項として、
   こちらからお読みいただけます。


2013/03/15

AD8397A使用のヘッドフォーンアンプ製作 1

こちらの仕様は充電池を使うため放電終了のタイミングを間違えると電池寿命に影響します。 従って電源自動シャットオフ機構搭載は不可欠です。 また電源自動シャットオフ機構が作動する前におおよその電源電圧推移が判るようにしたほうが親切ですので、電圧が高いときは青、低下してゆくと赤が混じりだし放電終了間際には完全に赤に変わるインジケーターを付けます。 更に±電圧分割(スプリット)は抵抗2本の回路よりも精度がぐんと高い専用のICを使います。 こんなことから電源回路に使う素子の数が多くなり、しかも調整箇所が2箇所出てきます。 そういうことで今回は電源回路の製作と調整に集中します。

上で説明した電源回路を構成する基本回路中『電源自動シャットオフ回路』は私が考えた少ない部品でかなり高精度な動作をするので詳細解説をしておきます。

 左は電源自動シャットオフ回路の動作に関係する部分だけを抜き出したものです。 電源の流れは
 普通左から右へというのが多いですが、これは右から左へと流れますのでご注意ください。

 図をクリックすると動作の詳細説明図が表れますが、左端が電源OFF状態です。 電池はFET
 (2SJ377)に繋がっていますが、FETがOFF状態のため電流は流れません。 その右から電源スイッ
 チをON側に倒した時の動作を順序に従い表示しています。
 先ず@でスイッチがON側に一時的に接触します。 するとFETのソースとゲートの間に入っている抵
 抗に電流が流れ(A)ゲート電圧は0Vになります。(B) これはFETがONになった状態ですので、
 FETを電流が通過します。(C) 次の3番目の図では、+Vという電圧が出力に出ますが抵抗2本と
 サーミスタで分圧された電圧がトランジスターのベースに掛かり(D)、トランジスターはON状態を保
 ちます。(E) するとFETのゲートはトランジスターのONにより0V状態を継続しますのでFETはON状
 態にロックされたことになり、出力電圧は+Vにロックされます。(F

 さて電池電圧に変化があり、放電停止電圧の+V2に下がったとします。 この+V2はそのまま出力に
 出ていますから抵抗とサーミスタで分圧されたトランジスタのベースに掛かる電圧も下がりトランジス
タはOFFになるため(H)、22KΩの抵抗に流れていた電流は停止し(I)FETのゲート電圧は+V2に上昇します。(J) この状態はFETがOFFであるため(K)出力電圧は+Vから0Vに遮断されます。 これが自動シャットオフ動作ですが、手動でシャットオフするにはスイッチをOFF側に倒せば(G)、トランジスターはOFF状態になり(H)、上と同じ順序を辿り電源はOFF状態となります。

 ここまでの説明ではサーミスタの必要な理由が明確ではありませんので、ここで紹介しておきます。
 上で説明した中でトランジスタのON/OFFはVbe電圧のある値を境にして発生します。 その電圧は小電流
 でhfeが200近辺であれば殆んど0.6〜0.7Vの間にあります。 そこで仮に25℃時に0.65VをON/OFFのクリ
 チカルポイントとしておきましょう。 もう一つVbeの値は-1.5mV/℃〜-4mV/℃で変化します。 一般には
 -2mV/℃の温度係数と言われていますが実際は幅があります。 ここで仮に-2mV/℃の温度係数として
 Vbe = 0.65Vと共に上記のトランジスタの動作が温度変化でどうなるかを試算してみます。

 25℃の環境温度の時で先ず考えます。 ON/OFFの発生する電圧を3Vとします。 するとトランジスターの
 ベースには、0.65÷3 = 0.2167の電圧分割を抵抗2本とサーミスタで行っていることになります。 さて環境
 温度が35度に上昇すると10℃アップしますがこの時にVbeは20mV低下し0.63Vになります。
 つまりON/OFF変化のクリチカルポイントは0.65Vから0.63Vに変わったわけです。 この時の電源電圧は、
 0.63V÷0.2167 = 2.91Vとなります。 同様に環境温度が15℃に変わった場合には電源電圧が3.09Vにな
 ります。

これは、25℃の時には3Vでシャットオフしていた回路が、気温が35℃になると2.91Vまで下がらないとシャットオフしない気温が15℃に下がった時には3Vになる前にシャットオフしてしまう、ということになります。 この誤差を補償しようというのがサーミスタを追加した理由です。 その考え方は温度が変わると抵抗による減衰比が変わるようにしようということで、25℃の時には 0.65÷3 = 0.2167でしたが、35℃の時には 0.63÷3 = 0.21に、15℃の時には 0.67÷3 = 0.2233にすれば良いわけです。 サーミスタは負の温度係数を持っており温度が上がると抵抗値が下がります。 そこで製作回路では25℃の時に200Ωの抵抗値のサーミスタを2.2KΩに直列に繋いで合計2.4KΩとしていますが、温度が高くなると低い方に変化し、低くなると抵抗値は高くなります。

 以上の説明ではVbeを25℃で0.65V、温度係数を-2mV/℃と
 して計算していますが、実際にはそれらは違った値になり温度
 補償具合も変化しますので、組み立てた電源回路を部屋の温
 度を変化させて確認してみました。

 方法としては温風暖房を最強にし1KWのヘヤードライヤーを2本
 フル運転として8畳の部屋を28℃まで暖めました。
 (というかこれ以上は上げられなかったという方が正しい。)

 そして暖房を切りヘヤードライヤーも停止し部屋を締め切って急
 激に室温が下がらないようにし、1度下がるごとにON/OFF電圧
 クリチカル点を記録しました。
 その結果は左のグラフの通りで、Xが分解能0.01Vの電圧計
 で測った結果で、それらの平均位置を曲線で結びました。
 (赤の線)  28℃より30℃の間は点線としていますが、多分こ
 うなるだろう?との予測です。  緑の曲線は上で説明した仮に
 定めたVbeの値と温度係数を使った時のクリチカルポイント曲線
 で、温度でクリチカル電圧が随分変化するのが判ります。

以上で気づく事は温度補償がまだ補償不足だということですが、予測される環境温度(0℃〜35℃)内で3Vの±2%に入ると思われ、これは十分な精度であろうと考えたため更なる調整は止めました。

そこまでの製作の様子は以下の写真もご覧下さい。

穴あき基板を所定の形・大きさに切断しました。 また前方中央部に2色LEDを落とし込む切り欠きがあります。

後からの配線は困難になるので、LEDを先に半田付けしました。 2色ですのでリード線は3本あります。

正面からLEDを見たところ。 LED直径の丁度半分が基板に埋まりますが、基板の厚み3mmに対しLEDは3φですからこの下側への出っ張りはありません。 そうでないとボリュームに当たってしまいまずい事になります。

調整箇所は2箇所で何れもポテンショメータ(青い四角の部品)。 左がLEDの色変わりの電圧調整で、右は電源の遮断点調整用です。

この左側手前に見えるスイッチは大変苦労して探したもので、(ON)-OFF-(ON) 1回路の超小型品でメーカーから直接購入しています。 トランジスタにくっついている緑色が温度補償用のサーミスタです。

この左側のDCコネクターは2.54mmピッチの基板に端子が直接差し込める超小型品で、これも探すのに苦労しました。

ということでL字型基板の細幅長手部分は電源回路パーツで埋まりました。 左端2つの電解コンデンサーの右側がレールスプリッターのICです。 全ての動作や温度補償など問題なく良質なエネルギーをアンプに送れます。


アンプ部分の組立と動作テスト

電源部が無事完成しましたのでアンプ部分の組立に入りました。 OPA2350使用のコンパクトバージョンよりも実装密度は低い筈なので組立は楽かと思っていたのはオーマチガイで、電源部とアンプ部の繋ぎ目の所は裏側の配線が盛り上がってとんでもないことに。 これでは癖のいある寄生発振で追加部品が増えたら狭すぎてアセンブリー不能になるなー?!と感じながらも一応組立は終了しました。

 さて動作テストとばかりに通電したところ、一応波形が
 出てきましたので入力電圧を徐々に上げてゆきました。
 そうしたらサイン波形の上の方だけが伸びだし、今まで
 見たことがない奇妙な波形になりました。(左図参照)
 入力信号レベルを下げれば正常なサイン波形になりま
 すが、入力レベルを上げれば再び上の方だけビローン
 と伸びてゆきます。 この原因は一体なんじゃい?!と
 あちこちいじる内に観測するチャンネルを変えようとクリ
 ップを操作していた時に出力をショートさせました。

そうしたら途端にうんともスーとも言わなくなり、波形もオシロのスクリーンから消
えてしまいました。 そうAD8397Aはあっけらかんと壊れてしまったのです。
従ってそのおかしな波形も撮影できませんし、ビローンの原因解析も出来ないま
ま作業は中断しました。

作り直す前にレイアウトの問題もあるかもしれないので、アンプ部分だけを別な基板に組み立て、オペアンプはソケットで固定することとし、複数のオペアンプで動作の違いを確認出来るようにしました。 但し手持ちの±2電源は最低電圧が3.56Vなので、駆動電圧はこれ一点となります。 またパッシブDCサーボに使う1μFのコンデンサーを簡単にショートできるよう短いリード線を付けました。 これでパッシブDCサーボをOFFにした時の様子を確認できます。 ゾーベルフィルターはコンデンサーだけ半田付けして抵抗は基板の裏側に後ほど付けることにし、取り敢えずはゾーベルフィルターOFFで進めます。

 この基板を使って3〜4個のオペアンプを載せ替えて動作テストを始めたのです
 が、何れのオペアンプでも奇妙な上の方だけ伸びる現象は再現しませんでした。
 オペアンプをAD8397Aだけに絞り最大出力近辺を観察したところ、寄生発振は
 OPA2350の時と形こそ違いますが盛大に出てきます。 そこで0.1μF + 3.3Ω
 の定数にてゾーベルフィルターをONとしたところ寄生発振は何れの負荷抵抗の
 時にも発生しなくなりました。(左は動作確認の基板)

 やれやれ一安心とばかりオフセット電圧をオシロスコープで観測しましたが、左チ
 ャンネルは +130mV、右チャンネルは +140mVととんでもなく大きなオフセット電
 圧が出ていました。 そこでパッシブDCサーボ回路をONとしましたら両チャンネ
 ルとも -0.5mV程度に減少しています。

 尚出力端子をショートさせたら簡単にお釈迦になってしまった件ですが、出力端
 子をショートさせたのは私の不注意です。 但しヘッドフォーンジャックを抜き差しするとホット側とコールド側が接触(ショート)する現象は現実にあります。 それは不注意とは言えません。 従ってショートさせても壊れないような回路が必要でしょう。 ところで多くのオペアンプは出力をショートさせても壊れないような構造になっていますのでそんな配慮は不要ですが、AD8397Aの高い電流出力能力を殺さないようにするにはそのようなフールプルーフ機構は組み込めなかったのかもしれません。 従ってAD8397Aの場合には出力端子をショートさせても壊れないよう対策を講じる必要があります。

そこで私が先ず検討したのはブレーカー回路でしたが、使えそうなデバイスとしてはポリスイッチ位しか思いつきませんでした。(小さいことと自動復帰という使い易さで。) 定格通過電流が0.05A、遮断電流が0.1Aというポリスイッチを見つけたので、メーカーの技術情報を片っ端から調べました。 ところがポリスイッチの遮断動作はスローブロータイプのようで、0.05Aタイプ(遮断電流は0.1A)では過大電流が7秒続いたら遮断するという仕様でした。 7秒間もAD8397Aが破壊せずに耐えられるとはとても考えられないので他のアイデアを考えることにしました。

ついで考えた方法は出力に直列に抵抗を入れて電流を制限してしまう方法です。 中点(GNDレベル)とオペアンプの出力端子の間にヘッドフォーンは接続されるので、ヘッドフォーンに掛かる理論上の最大電圧は今回の場合1.8Vです。(電源電圧3.6Vの半分)  従って例えば10Ωの抵抗を繋いだ場合はヘッドフォーン端子をショートしてもオペアンプを流れる電流は180mAが上限になります。 そこで一体AD8397Aはどの程度の消費電流に耐えられるのかを技術資料で調べました。 明確な記載はないものの、どうも250mA程度までは問題なさそうです。 ということは7.2Ω以上の抵抗を入れれば良いことになります。 

但しこの抵抗を追加することは制動能力不足(ダンピング能力不足)をもたらす可能性があります。 これを避けるには繋ぐ抵抗の値は小さい方が良いのです。 最もこの抵抗は容量性負荷に対する安定度を上げる効果があり、積極的に50Ω近辺の値の物を使った例もあるくらいですから、それに比較すれば10Ω近辺なら音質上の問題は少ないのかもしれません。

16.5Ω時の出力電力が直列抵抗の有り無しでどの程度の差が出るかを測定しました。(抵抗値は10Ω)

結果は抵抗無しの際に出力電圧1.98V、出力電力238mWでしたが10Ω接続時に出力電圧1.38V、出力電力115mWでした。 出力電圧で69.7%に低下、出力電力では48.3%に低下しています。 これは電源電圧が3.55Vの時ですが、電源電圧3.0Vの時に以前測定した16Ω時の出力電圧は0.97V、出力電力は59mWとなっています。 3.0V電源電圧の際抵抗ありの値が同じ比率で出るとすれば、出力電圧は0.67V、出力電力は28.5mWとなります。 この値であれば最大の音量を得ることに問題はありません。

 これで作り直し作業に入れますが、電
 源部とアンプ部の繋がり目の所がどう
 しても納得できない、IC変換基板と周
 辺の部品の干渉、ゾーベルフィルター
 を無理やり挿入した上に抵抗を追加す
 るのでスペースが足らない、ジャンパ
 線を無くした方が裏がすっきりする、と
 いう問題があるので全長を5.08mm延
 長することにしました。

 最終的なレイアウトはまだ検討中です
 が、次回はそれに基づいた新基板を使
 って組み立てた様子をお届けします。
  (赤白黒のワイヤーと太めのワイヤーが交錯。)                               (オペアンプ固定基板周りは干渉だらけ!)



2013/03/22

AD8397A使用のヘッドフォーンアンプ製作 2

作り直しにあたっては問題になっていた電源部からアンプ部に至る部分の狭さを解決し、出力端子ショート時にオペアンプに流れる電流を制限する抵抗を固定するスペースを確保しないとなりません。 また入力コンデンサーは0.15μFを使ってきました。 オペアンプの入力段がFETで構成されているのであればそれで良かったのですが、AD8397Aの入力はバイポーラー型のために入力抵抗は87KΩしかないことに気がつきました。 このため入力抵抗は150KΩと87KΩの並列値の55KΩになってしまいます。 従って以前の0.15μFでは低域のカットオフは19.3Hzになってしまいます。

そこで入力コンデンサーは1μFに引き上げ低域カットオフを2.9Hzにすることとしました。 随分低いようですが、パッシブDCサーボを使うこのアンプではもう一つハイパスフィルターがあります。 そちらは1.1Hzの低域カットオフ周波数ですからこれら2つが合成され最終的なカットオフは2.9Hzより若干上がります。

これらの1μFのコンデンサーが4本というと実装面積が上がりますが、もうひとつオペアンプ周辺のぎゅうぎゅう詰めを解消するには更に基板を大きくしないとなりません。 そこまでやるのはいささか面白くないので、コンデンサーは無極性電解コンデンサーを使い体積を縮めることとしました。

 それらの変更を含んだレイアウトは左
 の通りで、全長は5.08mm伸びます。
 計算上の体積は100cm3を超えてしま
 い残念ですがしかたありません。
 回路は右のようになりますが後ほど
 触れるようにこれが最終です。
 入力コンデンサーの値を大きくした以
 外に電流制限抵抗の値を実験段階
 での10Ωから8.2Ωに変更し出力低下を若干抑えました。 この時出力端子ショート
 時にオペアンプに流れる電流は220mAになります。 250mAがクリチカルポイントに
なると思うので問題ないと考えます。

 出来上がった基板の裏側は左の写真
 の通りで前作とは段違いです。
 重なり合ったジャンパーワイヤーが消
 えて基板面からの飛び出しは2mm以
 内に収まっています。

 また混雑していたオペアンプ周りも右
 写真のようにすっきりとしました。

 さすが作り直しただけのことはありま
 すが全体の写真は次のとおりです。





完成した基板に通電したところ前作のような波形の一部が伸びる現象もなく、寄生発振も出ておらず正常に動作しているようなので、一通りの測定をオシロスコープと発振器でいたしました。 信号レベルの測定はオシロスコープからの読み取りによります。


1.最大出力

負荷抵抗 動作電圧 出力電圧 出力電力 動作電圧 出力電圧 出力電力
100Ω 3.6V 1.2V 14.4mW 3.0V 0.99V 9.8mW
33Ω 1.03V 31.9mW 0.85V 21.8mW
16.5Ω 0.83V 41.8mW 0.69V 28.8mW

 予期していた通りの値となっています。 面白いのは3.0Vの時で16.5Ω負荷抵抗の出力ですが、28.8mWと電流制限抵抗の挿入
 によりほぼ半減してしまったにも拘らず、OPA2350による同電源電圧の時の最大出力(21.9〜23.2mW)よりも大きいことです。
 改めてAD8397Aの電流出力能力の高さを認識した次第です。


2.雑音出力

電源電圧3.6Vにて入力ボリュームミニマム位置でP-Pで1.2目盛幅の高周波雑音を観測しましたが、オシロスコープの入力端子をショート状態でトレース幅はP-P 0.7目盛ありました。 従って差の0.5目盛分が雑音分と考えると、5mV/Divのレンジなので雑音レベルはP-P値 0.5mVとなります。 これをRMS値に換算すると0.18mVとなります。 上の33Ω時の最大出力は1.03Vですのでこの時S/N比は75dBとなります。 製作時に熱雑音に影響する抵抗全てに炭素皮膜系を使っています。 金属皮膜系を使えばさらに良くなると思いますが既に十分に良い値と言って良く、ヘッドフォーンを繋いでもノイズは全く聞こえません。 雑音波形については後ほどの写真をご覧下さい。


3.オフセット出力電圧

電源電圧3.6Vの時に左: +0.30mV、右: +0.26V、電源電圧3.0Vの時に左: +0.31mV、右: +0.28mVと電源電圧が低いとオフセットが若干増加するようですが、何れも非常に小さな値であり、パッシブDCサーボが非常に効果的に動作しています。


4.周波数特性

方形波により確認する方法を使っていますが、数100KHz迄うねりやピークが全く無くフラットに伸びているようです。 低域は私の発振器では7Hz迄しか見られませんが、そこまではフラットです。 また容量負荷の反応を見るため、0.1μFを10KHz方形波の観測中に接続しましたが、方形波の角が丸くなる程度で全く安定していました。 方形波の再生波形、雑音波形などは以下の写真をご覧下さい。

僅かなサグがあり低域に向かって減衰していることを表すが7Hzまではフラットであることを確認している。

全く申し分のない波形で入力と出力両波形が完全に相似になっている。

10KHzにおいても入出力両波形は相似と言って良いと思う。 これは100KHz近辺までフラットであることを示している。

58KHzにおいても相似状態は続いている。 従って500KHz辺りまでフラット状態が続いており、動作不安定になりやすいピークやうねりは全くない。

左はオシロスコープの入力端子をショートした時の波形でトレース幅は約0.7目盛ある。 右はノイズ波形だがトレース幅が1.2目盛に膨れ上がったように見えるので、雑音レベルは、1.2 - 0.7 = 0.5目盛(P-P値 0.5mV)と考えた。 ここから負荷抵抗33Ω時のS/N比を75dBとはじき出した。

測定後ヘッドフォーンとiPod Nanoを繋いで2時間ほど聴きましたが、分解能が高く奥行き感の高い音です。 ゆとりを感じさせるのは電流供給能力の高さから来るのでしょうか? OPA2350と較べると、やはりこちらのほうが格上かな?と気のせいか感じます。



2013/03/29

充電器回路の基礎実験

充電器で考えねばならないのはタイマーをどう作るかです。 タイマー用のICというと
LM555が知られていますが残念ながら12時間という長時間には対応できません。
以前はそのような長時間用のICが数社から出ていたと思うのですが、最近は見掛け
なくなってしまいました。 そこでおのれとばかりインターネットで長時間タイマーの検
索をしたところ、久我山電子が販売元になっているKD01Pという8ピン DIPのICが引
っ掛かりました。(右の写真)

商品解説の文章をよく読んでみると若干怪しげな部分がありますが、充電時間の制
御用として使えそうです。 何が怪しげかというと、実は小さな赤字で、

※本製品はホビーユース向けとして開発・発売しております。本製品の使用による損害・損失は一切補償できません。ご使用にあたっては電気的知識を必要とします。 また、十分な検討及び検証を行った上でのご使用をお奨めします。

との注意書きが入っているからです。 どうやら十分な動作検証がされていないようで、予期せぬトラブルが発生する可能性がありそうです。 然しながら他に解決策がありませんので、このICにタイマー部分はまかせることにしました。 発表されている仕様は以下のとおりです。

  1.最長24時間または120分切替可能。

  2.時間設定は24時間モードでは約18分から24時間、120分モードでは約1.5から120分の間で設定可能。

  3.時間設定は外部に接続する抵抗2本による。

  4.電源ONと同時にタイマースタート(オートスタート機能)がある。

  5.あまり正確さを要求しない目的に適する。

  6.動作電源電圧: 1.8〜5.5V

  7.ベースデバイス: アトメル社 ATtiny 13A-PU



詳しいICの情報が知りたかったのでアトメル社のホームページを調べましたが、情報は見つかりませんでした。


 さてICを入手致しましたが、ステップバイステップ
 で動作を確認して行かないと多分ダメだろうという
 ことで、左の図の回路にて実験開始しました。

 この回路は久我山電子が発表している回路その
 ものです。 実際にはモメンタリーSWをスタートと
 リセット用に2個使いますが、それらはジャンパー
 ピンに置き換えています。 またタイマー時間は12
 時間となるようにR1R2の抵抗値を定めました
 が、テスト用に18分とする部分もジャンパーピンと
 しました。 電源電圧は4Vとし、手持ちの定電圧
 電源から供給します。 出力にはDMMを繋いで出
 力電圧を読み取ります。

 説明ではタイマーが動作中は出力はH(ハイ)にな
 り、タイマーがオフになるとL(ロー)とありますが、
 それらの電圧値については触れていません。
 また最大で40mAを取り出し可能とありますが、テ
 ストではDMM直接接続なのでほぼ出力電流はゼ
 ロです。

これで電源ONとしましたが、いきなり出力が電源電圧と同等のレベルになってしまいました。 勿論スタートスイッチは押しておりません。 自動スタートモードになっているわけではなく、リセットすると出力は0Vに落ちますが約2秒後にはまた電源電圧と同等値になります。 電源電圧を調整しても変わることはないので仕方なく久我山電子に電話しました。

トラブルの状況を説明しても、出荷前に動作をチェ
ックしているので問題はないはず!とのことでした
が、2個テストして何れも同じであったこと、リセット
SWを押しても2秒後に再び出力が出てしまうを始め
トラブルの詳細を説明したところ、若しかしたらプル
ダウンすればなおるかも?!とのコメントがありまし
た。

どういうことかというと5番ピンは8番ピンに繋がれ
電源電圧が掛かることでタイマーがスタートするの
ですが、オープンの状態で電圧が多少出ているらし
くそれが悪さの原因になる可能性があるというので
す。 そこで5番ピンとGNDの間に4.7KΩを繋げば5
番ピンはLに強制的に設定されます。 これをプル
ダウンと言います。(右の点線の4.7KΩ)

そしてテストを再開しました。 今度は無事動作し
ましたので、左側のピンをTEST側にしてタイマー
が所定の時間後にOFFになるかを確認したところ
17分50秒でOFFとなりました。 計算上は18分で
すので使用目的からすれば十分な精度です。
さらに各部の電圧がどうなっているかを調べ、上の回路図に記入いたしました。 図中左側の青文字はタイマーが動作していない
時でピンク色の右側はタイマーが作動中の値です。

ところで消費電流がどの程度なのかを確認しました。 出力電流が極小のせいかタ
イマーのON/OFFで差がなく0.6mAでした。 尚スタートSWを押したままだと1.3mAに
増大し、リセットSWを押したままの時には0.5mAに下がりますが、最終的には何れも
モメンタリーSWなので特に問題はないでしょう。 残るは12時間に設定してあるタイ
マー動作時間が実際にどの程度の精度であるのかの実験ですが、遮断した時点の
確認は時計とDMMをインターバル撮影でDMMの読みがゼロになった時刻とスタート
時刻の差で判断します。  撮影間隔を5分とすれば12時間に対して0.7%の誤差で
遮断時間を計算出来るので十分だと思います。

但しこのテストは1回辺り12時間掛かるのと、少なくとも5回は試してみたいので今週
はここまでです。 その辺りの確認を経た後で本番の製作に入ります。

右はプルダウン抵抗を加えた後のテスト用タイマー回路です。 周辺部品が少なく
コンパクトに収まりますし価格も(\410)とまあまあであり、動作上の問題がなければ優れものと言えます。



2013/04/05

充電器回路の設計・製作

タイマーは作動時間が12時間に設計されていますが、実際の作動時間はどうなのかを実験しました。 方法は前回触れていますが、作動中のタイマー回路の出力電圧と消費電流をDMMとテスターで読み取れるようにしておき、これらと一緒に時計を5分おきに撮影します。 原始的なデータロガーとも言えますが、デジカメの有効利用の一つです。 但し使えるカメラはリコーにしかなく、私は製造終了してしまったCX-1を使っていますが、現在ではGXRにしかない機能です。 他のメーカーではニコンのCoolpix P7700の仕様にインターバル撮影と書かれているのを発見しましたが、設定の自由度が高く連続撮影時間もリコーの方が遥かに優れています。 今はCX-1で問題はありませんがこのカメラの後継機がないので将来はどうしようかと多少悩んでいます。

さて実験結果としては5回タイマーを作動させてその経過を撮影した結果、タイマー作動時間は12時間10分〜20分であることが判りました。 従って10〜20分長めですが、+1.4〜+2.8%の誤差ということで、使用目的からすれば全く問題ないと思います。

 以上により最終的な充電回路の設計を致しました。 原理は簡単でタイマーの出力
 を分圧抵抗を通した後にトランジスターのベースに繋ぎます。 このトランジスターの
 ON/OFFはFETのON/OFFへと続きますので充電出力の電子スイッチとして動作し
 ます。 充電電流は75mA一定(定電流)ですので、3端子レギュレーターを使った定
 電流回路を使っています。 また充電する電池からの逆流が考えられますので、シ
 リコーンダイオードを挿入してそれを防止します。

充電中のインジケーターは赤の点滅LEDを使います。 最大5Vまでで動作しますが消費電流も増えてしまうので3.5V位で動作させるのが私の好みです。 但し電源電圧が高い場合単に抵抗で減電圧したのでは点滅間隔が短すぎてせわしないのでツェナーダイオードを使って定電圧駆動としています。

回路図の右端の記載は定電流回路の電源を9Vとした時の各部への電圧配分です。 電池の両端電圧は充電初期は低いですが充電末期には4.8V程度迄上昇します。 このためレギュレーター(LM317LZ)での損失は充電初期に高く充電末期に下がりますが、一番損失が高い時でも304mWですので、この小型のレギュレーターでも対応可能です。 また損失が最も低い時でも2.25Vの電圧が掛かるので、レギュレーターの制御範囲に入り問題ありません。

タイマーIC用には4Vのツェナーダイオードを使って定電圧を供給します。 電源入力には9VのスイッチングタイプACアダプターを使います。(安い!)

ケースはタカチのTW5-3-7を使います。 基板を固定するためにボスが4箇所設けて
あるので、これを利用します。 もうちょっと小さく(特に厚みを薄く)したいところです
が、結構実装密度が高い部分があり、抵抗やダイオードでは立ててやらないとなり
ません。
 使う部材の中でタクトスイッチは結構
 こだわって探したのですが、12mm角
 と若干大きめなものの色付きと透明の
 キャップが用意されており、色付きキ
 ャップに文字入れをしてその上に透明
 キャップをかぶせれば文字が剥げなく
 なるので大変気に入りました。

 このタクトスイッチとLEDは基板の半田
 面から挿入し固定します。 そしてそれらの先端はケースにあけた穴から出します
 が、それらの穴の加工はかなり位置の正確さを要求するので、基板にタクトスイッチ
 とLEDを取り付けた段階で先に済ませたほうが良いように思います。

加工が修了したケースに文字入れする作業はインスタントレタリングがポピュラーでしたが、メーカーが生産中止になり入手が困難になってきました。 そこで最近私が始めた写真印刷用のマット紙に文字を印刷し両面接着テープで貼り付ける方法を使うことにしました。 但し今回は紙の周辺を覆うことが出来ずむき出しになり、切り口が毛羽立って来たり剥がれかかってくるとみっともないので、ラッカーを十分に紙に沁み込ませて極力そうなることを抑えることとしました。 文字そのものはフォント、サイズの選択幅が大きいのでその点ではインスタントレタリングより良好です。

ということでケースの加工と基板の製作の様子を以下の写真でご覧下さい。

基板を所定のサイズ・形に切断し、タクトスイッチの位置決めピンの通る穴、基盤固定の穴などを慎重に加工しないとなりません。

次にタクトスイッチを仮止めしてつまみの出る穴、及びLEDの先が出る穴をあけます。

更にACアダプターが接続されるコネクター(12φ)の穴をあけて、

反対側に充電出力のDCコネクターが出る穴をあけてケースの加工が終了します。

そしてひたすら配線となります。 基板は空いている場所が多そうですが、裏付けのタクトスイッチ、裏側の基板固定の厚み調整板などが結構場所を食っているためで、あまり楽な配線ではありません。

半田付け面ですが右側の上下に見えるのが基板取り付けの高さ調整のために貼った1.5mm厚のプラスチック板で、タクトスイッチのボタンが出過ぎるのを抑えます。


 完成した基板の動作を一通り確認しました。 先に掲載した最後の配線図に記載した電圧はこの段階で測定した値です。
 但し電池を接続して実際に充電してみたわけではなく、66Ωのダミー抵抗を繋いでここで充電末期に近い電圧降下を想
 定しています。 充電回路の定電流値は74.9mAでほぼ設計値(75mA)です。

 タイマー回路の動作電流はタイマー実験回路の場合には0.6mAでしたが、タイマー出力に1mA強の負荷が掛かるように
 しましたので、タイマー回路全体の消費電流は1.7mAに上がりました。 更にツェナーダイオードに流れる電流が加算され
 10.6mAが電源を含むタイマー回路の消費電流になります。

 更に充電回路で75mAの充電電流に発光ダイオードに流れる電流(平均3.6mA)が加算されますので、充電時には89mA
 の消費電流となります。(消費電力はACアダプターの効率は抜きにして0.8Wになりますので、ACアダプター込で1W位で
 済むでしょう。)
 こんな結果より繋ぐ9V ACアダプターはゆとりを20%位見込むとしても出力電流が110mA以上あれば良い
 ので、最も小型の物で十分です。




確認のためケースの収めました。 修理・調整のために基板を外すのは簡単にできます。

基板に固定されたLEDは軽く圧入されているだけです。 最終的には半透明のキャップを被せ視認性を高めます。



A4サイズ厚手のつや消しの用紙に文字をレイアウトして印刷します。

それを両面接着テープでケースに貼り付け、タクトスイッチボタン穴とLEDの飛び出る部分をカッターナイフで切り落とします。

正式にケースに基板を組込み蓋をネジどめしました。 右に見えるのはダミーロードで、33Ωを2本シリーズに繋ぎ、充電終了近辺を模しています。 たまたま撮影時にLEDが点灯しましたが、1mA程度しか流れていない(点滅LED追加により3.6mA消費電流が増加していますが、そのうちツェナーダイオードに2.6mA流れています。)と思えないくらいに、拡散キャップを付けた時の視認性がアップしています。


チャージャーはこれで完成ですが、実際にエネループを充電するには空っぽの(メーカーが規定する放電終了電圧になった。)電池を用意してやらねばなりません。 また充電がきちんと満充電出来ているかどうかの確認も必要ですが、これらのためには定電流放電器を作らないとなりません。 言わば充電とは反対の機能を確認出来る物が必要なので、その製作に進みます。



2013/04/12

放電器の検討

本題に入る前に何故放電器を製作する必要があるのかについて簡単に触れておきましょう。
充電器は完成しましたが、きちんと満充電出来るか? を始めとして一連の実働テストをしておかないとなりません。  最初が充電の実働テストですが、そのためには空っぽの電池を用意しなくてはなりません。 ここでいう空っぽとは電池の寿命を考えて放電を停止すべき電圧に下がった時に使用を停止した状態を指し、本当に空っぽになったわけではありません。 今回作ったヘッドフォーンアンプでは単四エネループ3本を直列にした状態で3.0Vになった時(1本辺り1.0V)に電源が遮断され、この空っぽの状態になります。 しかし満充電から空っぽになるまでは平均消費電流が20mAくらいですから37時間も掛かり準備に時間が掛かり非効率的です。 よってそれよりも大きな消費電流で(75〜150mA)より短時間(5〜10時間)で空っぽの電池を作れる放電器が必要になります。 これが第一番目の理由です。

第二の理由として充電が終了した時に充電池に溜まった電気がどのくらいかを知りたくても充電時間や充電電流からでは判りません。 それを調べられるには定電流放電器です。  一番目の時には放電器と述べていたのに今回は定電流放電器と名称が変わりました。 その違いに触れておきます。 一番目の目的を達成する場合最も単純な放電器は抵抗1本だけで作れます。 例えば満充電で1.2Vのエネループを12Ωの抵抗の両端でショートすれば0.1Aの電流が流れます。 そして放電中の電池電圧を測り1.0Vになったら放電を停止します。 この間の放電時間をHとすると、100mA x H = が充電されていた容量になるはずなのですが、実際には放電が進むと電池電圧は徐々に下がってきて流れる電流も0.1A以下になってしまいます。 このため充電容量の計算式が使えません。

 そこで定電流放電器が必要になってきます。 これから作る定電流放電器の原理的
 な回路です。 トランジスター、オペアンプ、抵抗各1本の簡単なものですが非常に
 高性能です。 放電する電池のプラス側はトランジスターのコレクターに向かいます。
 そしてエミッターから出て抵抗を通ってマイナス電極に戻ります。 この経路を流れる
 電流はコレクター電流になりますのでその1/hfeのベース電流を制御して常に一定
 の値になるようにすれば良いわけです。 その制御はオペアンプに任せます。
 オペアンプの出力はトランジスターのベースに接続され、マイナス側入力はトランジ
 スターのエミッターに繋がれ、プラス側入力はリファレンス電圧に繋がります。

 こうしてやると抵抗両端に発生する電圧はマイナス入力に掛かります。 そうすると
 オペアンプはプラス側入力とマイナス側入力が等しくなるように出力からトランジスタ
 ーのベース電流をコントロールして、抵抗両端がRef Vと同じ状態を維持します。
 例えば100mAの放電電流にしたい、抵抗値は0.5Ωと仮定すると、抵抗の両端には
 0.1 x 0.5 = 0.05Vの電圧が発生しますので、Ref Vを50mVとしてやれば、コレクター電流(= 放電電流)は100mAになります。

これらの制御は強力な負帰還に支えられていますので、安定性・信頼性共に優れています。 唯一注意が必要なのはトランジスターの選択で、放電電流に耐えられるのは無論ですが、Vcesat(コレクター・エミッター間飽和電圧)が低くhfeの大きな物が理想です。 というのは、電池電圧は1.0〜1.2Vと低くその間に入る電圧降下は抵抗とトランジスターのVceになりますが、例えば抵抗が0.5Ωだったとすると1000mAの放電電流の場合には抵抗で0.5Vの電圧降下が発生します。 するとトランジスターのVceは0.5V以下になる物でないと制御できません。 放電電流を更に上げると更にきつくなります。

Vcesatの低いトランジスターは入手性の関係から放電電流の最大値としては1A程度と考えていたほうが良いように思えます。 それでも単三エネループの場合は2満充電の電池が2時間で、単四の場合は45分で放電は終了します。

単純な放電器と定電流放電器のどちらを作るべきか或いは両方か?かなり悩みましたが、単純な放電器は一度に単三と単四を取り混ぜて6本まで処理できる物、定電流放電器は単三か単四1本を処理できる物として2種類作る方向で進めたいと考えています。  その理由としては電池容量を測定する必要性はあまり高い頻度で発生しないが、リフレッシュ機能としての単純な放電器であると一度に6本まで処理できないと手間が掛かるという理由です。 そして当然ながら前者は製作コストが上がりますし動作させるのに外部電源が必要ですが、後者であれば外部電源無しに電池1本あたりの製作費用が安いと言う点にあります。 

 まだ細部は検討中ですが定電流放
 電器としては左のような回路を、レイ
 アウトは右のような物を考えてます。

 上で説明した原理的なものに随分沢
 山の部品が追加されていますが、概
 要としては測定器の要素が強くなっ
 てくるので、それなりの対応が必要
です。 電流制御のトランジスターはVcesatが最大でも0.3V(Ic: 1A、Ib: 10mA時)
と大変低く、hfeが500〜1500(Vce: 1V、Ic: 0.5A時)と高いという優れものでパッケージは絶縁されているので、放熱が簡単にできます。 RefVはシャントレギュレーターで作られた1.25Vの安定化した電圧を抵抗で減圧する方法としていますが、放電電流設定以外に、放電終了電圧検出(1V)のリファレンス電圧も同じレギュレーターで作ります。 回路の動作は5Vの電源で賄われますが、MOS FETによる電子スイッチでスタートし放電終了時にはFETのゲート電圧をソースと同電位にすることで電源入力を自動的に遮断します。 従ってスタート後は放ったままで終了しても問題ありません。

尚このレイアウト図では単四の電池ホルダーを基板に載せていますが、単三/単四共用ですから単三のホルダーも必要なのですが、後ほど単三・単四兼用ホルダーを自作してそれに置き換えます。 そうすると単三・単四両方を装填したりしないで済むのと設置面積が少なくて済むためですが構造と加工諸寸法を検討中ですので、その間は単四ホルダーを貼り付けておきます。

この放電器は単三と単四の共用型にしますが、充電容量の測定が出来るよう放電電流を定電流としながら可変できるようにしています。  現在の定数での放電電流は0〜400mAですが、単三の場合0.2Cまで、単四では0.5Cまでの間で自由に設定可能です。 特に単三が0.2Cまでというのは不十分な気がしますが、充電容量測定の場合は0.1Cを使うことが標準らしいので、この内容で十分です。

単純な放電器(定電流ではない)の回路をどうするかですが、非常に明快で確実な動作をする回路をこちらで見つけましたので、それを使わさせてもらいます。 大変よく練られた回路ですが、実は上記定電流放電器の制御用トランジスター(2SD2092)もこのサイトで存在を知りました。 ここでお礼を述べておきます。

 その回路は左の通りでして部品点数も少なく
 駆動電源もありませんがスタートスイッチを押
 したら放電を開始し、所定の電圧に下がった
 ら自動的に作動は遮断されます。
 動作上、上の定電流放電器とどこが違うのか
 といえば、放電電流が一定値ではない、放電
 電流が大きい、部品点数が少ない、駆動電源
 不要ということです。

 上の物は電池容量測定に0.1Cで放電するの
 が標準らしいので放電電流を0〜400mAと低
 めにしてありますが、この放電器はサイトでの
 説明では950〜700mAの放電電流となってお
 り、満充電状態から単三で2時間強、単四で
50分強の所要時間ですから、リフレッシュ用途として時間が掛かり過ぎる!ということはなく快適でしょう。

私はこの回路を元に縦長のモジュールを右のように考えました。 横20mm、縦100mmの細長い基板に収まり
ます。 一番下に放電スタートのタクトスイッチが有りその上に放電中を示す麦球があります。 一番上は発熱
の大きい抵抗を収め基板には放熱促進用の2φの穴を15個あけてやろうという魂胆です。 そしてこの上には 単三電池ホルダーを置いてやります。(単三と単四どちらでも装填できる構造。) こんなモジュールを横に6本
並べれば、ケースに入れても110 x 110mm位のコンパクトなものが出来るでしょう。

充電器についてはサンヨーの充電器(単三4本又は単四2本同時充電可能)を2個持っていますから取り敢えず
は追加不要なのですが、単独で放電できる物がないので6本一度に放電できるこんな物を是非とも欲しいわけ
です。

製作費用の見込みについては定電流放電器は\1,500位かな?(ケースは除く)と思います。
定電流ではない放電器の方は1ユニット\400位だと思いますので、6ユニットだと\2,400となります。 どちらも
ケースを木工でうまく作ってやれば相当コストを抑えられるのは間違いないでしょう。(いつも思うのですが、プリ
ント基板とケースの費用は他の部材に較べると割高です。)





2013/04/19

定電流放電器の製作

 回路トレイアウトは先週ご紹介した
 物を一部変更しただけです。
 左が回路図でレイアウトは右のように
 しています。 但し電池ホルダーは
 単三・単四兼用の物を設計中ですの
 で、取り敢えずは市販の単四のホル
 ダーを繋いで使います。

簡単に回路の動作を説明しておきます。 定電流放電回路としての生命線は言うまでもなく定電流制御ですが、放電終了制御も同様に要となります。 これらの目的にLM358Nを使用しています。 LM358Nの2つのプラス入力にはTA76432Sというシャントレギュレーターが発生する安定した1.25Vの電圧を分圧して入力します。 定電流は0〜400mAの間でセット可能ですので、単四エネループの場合には0〜0.5Cの間で放電電流を設定可能です。 一方放電終了電圧については0.8V〜1.2Vが設定可能範囲です。 これらの設定を容易にするために、TP端子を付けており、ICクリップを接続できるようにしました。 基板の上にあるピンク色のジャンパーがそれで、基板上に高さ5mm程のU字状の突起になっています。

また基板固定の小さなトグルスイッチを使い、定電流制御のプラス入力をGNDに落とし、一時的に放電をストップし、上の2つの設定ができるようにしています。 そして放電をストップしていることが明瞭に判るように赤の点滅LEDが点灯します。

電流制御用のトランジスターは放熱板に固定されていますが、単四エネループの0.5Cでの放電では375mA x 1.2V = 450mWが最大の発熱量であり温度上昇はほんの僅かです。 但し単三で0.5Cの放電電流は1Aとなり発熱量も1Wを超えますので、その場合には放熱板は必需品となるので予め使用しています。

基板の一番右には2Pのコネクターがありますが、これは電池電圧の両端に接続されており、電圧計を繋いで放電時の電圧推移をチェックするのに使いますが、別な電池ホルダーを繋ぐのに使ってもOKです。 回路の駆動電源は5Vですが、可変電圧電源か5VのACアダプターを使うかなど臨機応変に対応すればよいと考えています。

完成した基板の詳細を以下の写真でご覧下さい。

完成した基板の全景です。 次の写真もそうですが、およそ基板の半分は縦方向にがら空きです。 このスペースに単三・単四兼用の電池ホルダーを自作して取り付ける予定です。 また最終的には基板の四隅を木ネジで18mm厚の合板に固定する予定です。

完成した基板を真上から見るとこんな具合で、前に掲載しているレイアウト図と比較すると理解しやすいでしょう。
基板には文字を印刷したラベルを貼り付けた所が4箇所あります。 左上からポテンショメータの説明、放電ON/OFFのスイッチのレバー位置説明、電圧チェックのジャンパーピン(黄色矢印)の目的説明です。

放熱器は今は必要以上の物が付いていますが、単三エネループを放電する時の大電流対策を予めしておきます。

ポテンショメータとトグルスイッチの間に見える白い部分は点滅LEDの頭です。 トグルスイッチを一時放電停止モードとすると点滅して停止状態であることが判ります。

この写真の真ん中にあるのっぽなトランジスターのような物がシャントレギュレーターで、正確なリファレンス電圧を作る重要パーツです。

赤と緑のタクトスイッチは、放電スタートと放電停止のトリガースイッチです。 そして放電中はそれらの間にあるLEDが点灯して放電中であることを知らせます。

出来上がった基板は端材で作った台に固定しました。 電池ホルダーが最終の物になるともっと格好良くなる筈ですが、一応見られるスタイルになりましたし、基板が安定化して実験中にひっくり返りにくくなります。

早速放電動作の実働テストを致しました。 手持ちの単四電池3本を無作為に選んで先ず作った放電器で放電電流400mAで電池電圧が1.0Vになるまで放電しその後20分冷やした上で、サンヨーのエネループ用充電器で充電した物を再度放電器に装填して放電時間を測りました。 放電時間は例によってリコーのCX-1で1分間隔のインターバル撮影をして判断しています。 従って測定誤差は1分以内に入る筈です。 結果をグラフにしましたので以下をご覧下さい。


テストに使った3本の電池はそのままヘッドフォーンアンプに使うつもりでいますので、所有し
ている8本の電池の中でごちゃ混ぜにならないよう油性マーカーで底にマーキングしました。
(右の写真) これら3本は購入してから一部は若干使用し、残存容量は異なる状態でした。
それを一度完全放電してサンヨーの充電器で充電してから自作の放電器に掛けたのですが
結構よく揃っており、後述するように放電終了のタイミングも2分以内に収まっております。
今回のテストに於ける放電終了電圧は0.9Vとしていますが、これはこちらのサイトで理由は
明確になされていないものの、エネループの放電終了電圧を0.9Vとしているためそれに倣っ
ています。

放電時間は放電電流が小さくなると理論的には逆比例しますが、実際にはそれより長くなります。 言い換えると放電電流が大きくなると放電時間は逆比例の値より短くなるので、終了電圧を下げて補正しているのかもしれませんが、この辺ははっきりと判りません。 最終的には予定通り1Vで放電停止とします。

3本の電池の充電容量は、電池1(緑)が放電時間111分で740mAh、電池2(青)が放電時間112分で747mAh、電池3(紫)は110分で733mAhとなりました。 これらは放電電流が400mA(0.533C)の時の値ですから放電時間測定によく使われる0.1Cで測定すると少し大きくなりスペックの、minimum 750mAhを超える値になると想像しています。

残るテストは製作した専用充電器で充電し放電テストをして、充電が期待通りにされているか?の確認ですが、ヘッドフォーンアンプのケース本体の製作を行い、電池ホルダーができたらそこでテストしたいと考えています。 ところでさて放電器は無電源で動作するもうひとつのタイプがあるのですが、それらは別使用目的であるのと肝心なヘッドフォーンアンプの製作がさらに遅れますので、次回はそちらに戻ります。



2013/05/24

ケースの製作 1

ケースの基本的な構造は既に完成したOPA2350を使ったヘッドフォーンアンプと同じです。 但し薄さを追求という手間の掛かる事はありませんから、油断は禁物ですが製作はそれほどクリチカルではないでしょう。 敢えて慎重に加工を進めないとならない部分を上げれば、ボリュームツマミがフロントパネルを通過する穴、充電器接続のジャックとトグルスイッチのツマミが出る穴の加工、フレームの曲げの部分の寸法精度といったところでしょう。

 最後に上げたフレームの加工が最初の難関ですので確認に確認を重ね
 た上で加工用の寸法図を起こしました。 左がそれですが、これは幅
 20mmで5mmの折り返しのあるアルミ押し出し材から作ります。
 5mmの折り返し部分はプリント基板をショートさせないよう装填するため
にかなりの部分を削り取らないとなりません。 普通ならここは作業時間を考えると『切り取る』と書きたいところですが、その際若しもアルミチャンネルを曲げるような事があると一貫の終わりですので、時間がかかりますがヤスリで削り落とさないとなりません。

 もう一つケースの断面部分の寸法の割付と電池の位置関係をはっきりとさせて
 おかないとなりません。 特に電池の位置はへの字型に並べるので電極を変則
 的に固定する必要があるので明らかにしておく必要があります。

 左の図がそれらで、左からフロントパネルのツマミとLEDの位置のオフセット量の
 図、ケース内部の寸法配分図、電池の位置関係図です。
 折に触れてこれらの図で確認しながら製作・加工を次回から進めます。

 多分OPA2350のヘッドフォーンアンプのアルミフレームとそれへの組み込みに較
 べたら作業時間はぐんと短くて済む筈です。
 さもないと学習効果がないということになります。




2013/05/31

ケースの製作 2

ケースの製作で最も難易度が高いと思われるアルミフレームの製作を開始しました。 基本的にはOPA2350使用ヘッドフォーンアンプの時と同じ構造ですが、フレームの厚みは10.5mmから18mmと大幅に増加するので、幅20mmのL型チャンネル材を元に加工してゆきます。 またOPA2350の場合はアルミフレームが出来上がった後にショート防止の追加加工をあれこれとしましたが、今回はパワースイッチのレバー、充電器を繋ぐコネクター、ケース固定ネジ穴を除き事前にそれらの加工すべく念入りに加工寸法の割り出しをしています。

従って折り曲げる前の加工作業量はOPA2350の時に対し2倍程度に増えてしまい、1日強の作業時間となりました。  とわ言え出来上がったフレームの寸法精度は設計値に対し+0.1〜0.2mm程度とこの上ない高精度に収まっており大変満足しています。

それら作業の様子は以下の写真をご覧下さい。

L型押し出し材を所定の長さに切り出し、幅を2mm詰めました。 これらの加工には刃研ぎグラインダーで+0.5mm程度の寸法とした後にヤスリで所定寸法に仕上げています。 上は元のチャンネル材です。 尚加工済みの部材には4箇所ケビキがされていますが、これは折り曲げの場所を示します。

Lチャンネルの折り返し部分は幅が5mmありますが、これを場所によって1.0mm、2.0mm、3.0mm幅に詰めねばなりません。 その境目に沿ってマスキングテープを貼りました。

そして平ヤスリにてひたすら削ることにより所定の幅にしましたが、言うまでもなく大変時間がかかる作業であり、こうなるまでに半日以上を費やしました。 もっと効率的な方法があると良いのですが?

両端に7.5φの穴を開けます。 これはミニヘッドフォーンジャックを固定するための穴ですが、実際にはフロントパネルにあけられた同じサイズの穴を通じて共締めされます。

OPA2350使用ヘッドフォーンアンプのアルミフレームを作る際に製作したジグを使って、アルミフレームの折り曲げ部分に深さ0.4mm程度の溝を糸鋸で切ります。 このジグは正確な寸法のアルミフレームを作る上で大きな貢献をしています。

フレームの4箇所を曲げた時に折り返し部分が当たらないよう削り落とします。 少々大きく削り落とす方が良いでしょう。 この後4箇所を折り曲げます。

背面に充電器接続のコネクターが飛び出る穴とトグルスイッチの頭が出る穴をあけました。 更に固定ネジ穴を切る1.5mm厚アルミ板をエポキシ接着剤で貼り付けました。

アルミフレームの加工が全て終わりました。 作り直しをしなかったこともあって1日強で終了しています。 学習効果!まずまずです。

回路基板を所定の位置に挿入してみました。 アルミフレームの寸法誤差は+0.15mm以下に収まっているようです。 無論全く問題ありません。 空間部分に電池ホルダーを構成するプラスチック板で枠を作り嵌め込みます。

裏はこんな具合ですが設計段階で基板裏の配線がアルミフレームの受け部分に接触しショートしそうな部分を念入りに抽出して加工に繋げたため、ショートの心配はなくこのあとで追加加工することも無さそうです。



2013/06/07

ケースの製作 3

アルミフレームが出来上がりましたので現物合わせにて背面板を製作し、基板をアルムフレームに固定してからフロントパネルの製作となりますが、フロントパネルに貼り付ける紙の印刷まで進みました。

現物合わせで慎重に進めないとならないのは、背面板にあける充電器を繋ぐジャックと電源スイッチのレバーを外部に出す穴の加工です。 手順としてはそれらの位置をノギスで念入りに位置を習得し、先ず2mm厚の発泡塩ビ板に穴あけします。 その後0.1mm厚の燐青銅板をこの2mm厚塩ビ板と1mm厚の塩ビ板で挟んで接着し、完全硬化したら1mm厚塩ビ板にジャックとスイッチのレバー穴をあけます。 そして最後に化粧の木口テープを貼り付けますが、貼り付けた後に木口テープにもそれらの穴を開けてやります。 こうした時の問題はそれぞれの穴の位置がずれてしまわないよう十分注意して確認しないとならないことです。

シールド効果を持たせるためアルミフレームと回路基板を電気的に接続する燐青銅板の構造はOPA2350のケースの時と全く同じです。 基板をアルミフレームに固定する時にスペーサーとして1mm厚発泡塩ビ板を切断し前方の4箇所に貼り付けました。 後方は充電器接続のジャックがアルミフレームに挿入されて位置が自動的に決まるので、位置決めはそれだけで済ませています。

フロントパネルは例によって厚手の無光沢インクジェット紙に印刷してつや消しアクリルラッカースプレーで3回塗装しました。 パネルが小さいので文字も小さくしないと収まりませんから辛気臭い作業になりますが、アドビフォトショップでスイスイと正確な作業が進みました。

そこまでの様子は以下の写真でご覧下さい。

アルミフレームの後面のネジ穴部分は1.5φの穴が貼り付けた1.5mm厚のアルミ板にあいでいるだけですが、2.5φの貫通穴をあけてからM3の雌ネジを切りました。

2mm厚の発泡塩ビ板に3つの穴を現物合わせであけます。 そして同じ大きさの1mm厚の発泡塩ビ板を切り出します。

これは0.1mm厚の燐青銅板を切り出したところです。 10箇所の切込がありますが、これらは糸鋸で切り込んでいます。

燐青銅板はその後このように折り曲げます。

そして2mm厚発泡塩ビ板にこんなふうに当てられます。 燐青銅板のこの写真で見える部分がアルミフレームと電気的に接触します。

2mm厚塩ビ板をひっくり返すとこんな具合ですが、この面に1mm厚発泡塩ビ板を塩ビ用接着剤で貼り付けます。

貼り付けが完了しましたので、充電器接続用ジャックとトグルスイッチのレバーが出る穴を1mm塩ビ板にあけました。

更に木口テープを貼り付けてから充電器接続用ジャックとトグルスイッチのレバーの穴をあけています。 ケース固定のネジ穴は後ほどあけます。

1mm厚発泡塩ビ板を切断してスペーサーとして4箇所に貼り付けました。

そして基板をアルミフレームに接着します。 この工程とスペーサー接着の接着剤にはゼリー状瞬間接着剤を使っています。

フロントパネルの文字入れはこんな具合にすることにします。 インスタントレタリングでは絶対に得られない3種類の書体を使っています。

版下の作成はアドビフォトショップを使いました。 小さな文字ですから視認性がイマイチですがこればかりは打つ手がありません。




2013/06/14

ケースの製作 4

アルミフレームのブロック部分が完成するまで進めました。 最初がフロントパネルの加工ですが、4つの丸穴の位置がずれないよう何度も現物採寸して慎重に罫書いてから加工に入ります。 穴位置にはセンターポンチでマーキングしてドリル先端が滑らないようにしますが、最初には1.5φの小さな穴からあけますので、マーキングは深くなくても構いません。 と言うか深いマーキングだとアルミ板が反ってきますので、浅いマーキングとしそれに見合った小さな穴(1.5φ)を初めにあける穴としています。 LEDの穴は1.5φのままですがほかの穴は3.0φ、4.5φ、6.0φとドリルを替えて大きくしました。

両端のフォーンジャックの穴は最終的に7.0φですが、6.0唐フ穴から丸棒ヤスリで広げてドンピシャサイズとします。 ボリュームツマミの穴は13φにする予定ですが、シャフトが通る穴(7.0φ位)のに取り敢えず広げておき実際にツマミを当ててみて罫書き線どおりで良いかどうかの確認を経た上で最終的な穴に広げます。

フロントパネルに貼り付ける紙の裏に両面接着テープを貼って大きめに切ったそれを出来上がったアルミフロントパネルに貼り付けた後にカッターナイフで穴を切り抜きます。

電池ホルダー部分は1mm厚の発泡塩ビ板で作りますが、当初はコの字型としていたものを内寸にゆとりがあることが確認できたので、L字型2枚を貼り合わせるロの字型としました。 こうすると現物に合わせてLの両辺の長さの調節が出来て好都合です。  この内部に電池の電極を30分硬化開始型エポキシで接着し、±のワイヤーが通る部分の欠き込みを入れた上でアルミフレーム内に接着しました。 接着には汚らしくなりやすいのが難点ですが作業が簡単に進むのでゼリー状瞬間接着剤としています。

以上でアルミフレームブロック部分は完成しました。 試しにアルカリ単四を装填して動作確認をしましたが、全く問題はありません。 そこまでの様子は以下の写真と説明をご覧下さい。

罫書線を入れた上で4つの穴位置にセンターポンチでマーキングをしました。 アルミ板の穴部分が出っ張らないようマーキングは浅目です。

最初は1.5φのドリルで穴をあけました。 LEDの穴はこれが最終寸法となります。

他の3つは、3.0φ、4.5φ、6.0φと少しづつ穴径を大きくしています。(手持ちの電動ドリルでの穴あけはずれやすいので)

そしてアルミフレームにフォーンジャックで仮止めし、LEDの位置、ツマミ穴の罫書位置の確認をしました。

ツマミ穴の罫書はほぼ正確でしたので丸棒ヤスリで広げてドンピシャ寸法にしました。

再び仮止めしてツマミを差し込みました。 ツマミとパネルの間に均等に隙間が出来ましたが、LEDの光が漏れているのを発見。 これは少しでも抑えたいところです。

光漏れはLEDの横から出る光によるので、3φの熱収縮チューブをLEDに被せました。 これでかなり収まるはずです。

アルミフロントパネルに印刷してコーティングした紙を両面接着テープで貼り付けました。 そして穴部分をカッターナイフでくり抜いています。

アルミフロントパネルをフォーンジャックでアルミフレームに共締めし、フォーンジャックへの配線をしました。

現物合わせで背面板に3.2φの穴を開けて例の薄頭ネジで固定できるようにしました。

電池ホルダー部分はL字型に切った1mm厚発泡塩ビ板2枚を貼り合わせます。 この写真は所定の位置に挿入したところで、赤矢印先はケーブルが通る欠き込みです。

電池の電極をエポキシ接着剤で貼り付けL字状の電池ホルダー枠をアルミフレーム内に接着しました。 更に±のワイヤーを配線しました。

電池ホルダーの後ろ側の様子。 左上にマイナス側のワイヤーが配線されています。

前側はこんな具合で、左上にはプラス側の赤いワイヤーが接続されています。

完成したアルミフレームブロックにエネループを装填しました。 ご覧のように実使用時に文字が正常に見える位置はアルミフレーム部は逆さになります。 無論問題はありませんが、これはボリュームのツマミの位置が中心からずれるのでLEDはその反対側にずれて取り付けるしかなく、LED位置を上側になるようにしたいのでこんな具合になってしまいます。



2013/06/21

連続動作時間の測定

このモデルはエネループを標準としていますので、既に製作している充電器を使い満充電とした状態で連続動作時間を測定します。 但し製作した充電器でどの程度の充電量になるのかをまだ確認しておりませんから、そのテストを先に済ませます。

テストの手順は次のとおりです。

  1.空っぽの電池(放電器で電池電圧が1.0Vになったところで放電を終了した状態)を3本用意します。
    既に製作した放電器を使い準備しました。

  2.空っぽの電池3本をヘッドフォーンアンプに装填し、製作した充電器で満充電します。
    充電仕様は、充電電流0.1C(75mA)、充電時間12時間です。

  3.充電した電池を放電電流400mAにて放電します。
    その結果の『放電時間』 x 400 で充電容量が求められます。

  4.電池を再度満充電します。

  5.満充電した電池で連続動作時間のテストをします。
    音源はiPod Nano、イヤーフォーンはSony製モデル名不詳の物でOPA2350の時と同じく音量はやや大きめにセットします。

1.と3.の作業は6時間弱ずつ、2.と4.の作業は12時間ずつ、5.の作業は40時間近く掛かりますので合計すると76時間と大変時間が掛かりますので、数回テストを重ねて精度を上げたかったのですが断念し、1回ずつのテストとしました。

次のグラフは充電電圧の変化のグラフで、上記2.の結果です。


充電時間が8時間30分を過ぎた辺りから急激に電池電圧が上昇し11時間45分手前で上昇が停止し4.54Vとなりました。 電池1本辺り1.51Vに相当するわけですが、設計上は1.6Vまで上昇すると想定しておりましたので、充電器の駆動電圧は十分ゆとりがあると思われます。

尚充電時間の実測値は12時間20分と若干長めですが、これが電池を痛めるような過充電になるとは考えられないと考えています。(ニッケル水素電池の充電仕様で0.1C、15時間などもっと長い充電時間が多々見受けられるため。)

次のグラフは3本の電池の放電電圧推移です。 放電電流は150mAの定電流ですから0.2Cということになります。 以前テストした放電電圧推移の結果と同じ電池を使っているにも拘らず、若干異なる結果が出ています。 これは推測ですが今回のテストでは充電を3本直列でしており、前回はそれぞれ独立して充電しており充電条件が異なっていますのでそれが影響しているのかもしれません。 無論今回の充電の仕方の方が実態を表していますので、この結果を尊重します。


今回の結果から得られた放電時間は紫のマーキングをした電池1と青のマーキングをした電池2が1.92時間で緑のマーキングをした電池3が1.90時間でした。 それらの値から得られる充電容量は、1.92時間の場合768mAh、1.90時間の場合760mAhで、SANYO電気がminimum 750mAhと表示していた値を僅かに超えています。  充電終了のタイミングがそれほどクリチカルではない0.1C定電流充電のメリットかもしれません。

ということでこの結果に気を良くして連続動作テストに入りました。

経過時間 00:00 6:00 12:00 18:00 24:00 30:00 36:00 42:00 42:01 42:02 42:03 42:04 42:04:08
電池電圧 4.40V 3.96V 3.87V 3.86V 3.83V 3.80V 3.70V 3.06V 3.05V 3.04V 3.03V 3.03V 3.00V

連続動作テストは1回しかしておりませんのでこの結果で全てを物語るのは早計です
が、約42時間と設計時に計算した37.5時間を12%オーバーしました。 OPA2350の時
と比べると1/3強と短いですが、高電流出力型ということで3.6V時の無信号時の消費
電流が20mAもあり、OPA2350の場合は8mA程度しかありませんでしたのでここで差
が発生してしまいます。

計算値よりも寿命が長く出たのは設計時の計算では消費電流を20mA定電流として
いたものの実際には電池電圧が下がってきた時に消費電流は低下しますのでそれ
によるものと考えられます。

OPA2350モデルより大飯食いとなりますが、高い出力電流能力の裏側に隠れている
部分とも言え止むを得ないでしょう。 ただしその替わり音質についてはOPA2350に
比べてゆったりとしたみずみずしさがあり、消費電流の大きさによるご利益があるよう
に思われます。                                                 連続動作時間試験中の様子



2013/06/28

ケースの製作 5

いよいよケースの製作に入りましたがOPA2350仕様のヘッドフォンアンプと構造が全く同じですので同時進行しました。 またこちらの場合ケースの厚みにはゆとりがかなりあり、OPA2350に見られるような薄い絶縁シートをアルミ側板の内側に貼らないとショートするようなこともありませんから寸法精度もそれほどシビアではなく落ち着いて進められました。

但し使用可能な接着剤についてはOPA2350タイプで詳しく触れているように数種類の接着剤で試行錯誤を繰り返した上で、ゼリー型瞬間接着剤を使用することにしています。

作業工程としては、

  1.3mm厚のアガチス材を所定の大きさに切断し前側のパネルが落とし込まれる欠き込み加工をする。
  2.2枚のアガチス側板と背面板を接着する。
  3.出来上がったこの字型のブロックを1.5mm厚アルミ板で作った側板に貼り付ける。
  4.もう一枚のアルミ板を貼り付ける。
  5.貼り付け部分の寸法出し/仕上げ研磨。
  6.塗装作業。


となります。

特に難しい部分もないのでトントン拍子に進むと考えていたのですが、OPA2350タイプ仕様の方で解説しているように、接着剤の選択でつまづき上の作業工程の2.までしか進んでおりません。 

3mm厚アガチス板は0.5mm程大きく切断しカンナとこの写真に見えるヤスリで寸法精度0.0mm〜+0.1mm以下に仕上げました。

これはOPA2350仕様の側板の写真ですが、寸法が違うだけで形は全く同じです。

接着時にはアルミフレーム本体を挟んで接着時の寸法精度を上げるようにしながら4本の180mmハタ金で圧着保持します。

試行錯誤の中から発見したゼリー状瞬間接着剤でうまく接着できたケース枠です。 

アルミフレーム本体ははみ出る接着剤でアルミフレームとケースがくっ付いてしまわないようマスキングテープを巻きつけてやります。

1.5mm厚アルミ板からアルミ側板を切り出す準備をしました。 大きな2枚がこのモデル用で小さな2枚はOPA2350仕様用に使います。



2013/07/05

ケースの製作 6

アルミの側板を貼る際には適度な隙間を設けてやるのがポイントですが、その為にマスキングテープをアルミフレームに貼り付けたアルミフレームユニットを挟み込んで接着するることで実現しています。 というのはマスキングテープの厚みが実測0.05mmありますので、アルミフレーム全体を覆うことにより外寸は0.1mm大きくなります。 またそうすることで貼り合わせ面から飛び出てくる接着剤がアルミフレームユニットとアルミ板を接着してしまう事態を避けることも出来ます。

最初に貼るアルミ板はアルミフレームの底側としました。 これはP-Pシートを貼る側のアルミ板を先に接着するためですが、底側は場合によってはショートしそうな可能性があったので底側とした次第です。

接着時の圧着保持には180mmハタ金を使いました。 C型クランプなどに比べると圧着保持力はあまり上げられませんが、軽くて微妙な締めつけ力の調整ができるのでこのような場合に好適です。 オーバーにも思えますがそのハタ金を8本使うような場合もありましたが、隙間無く完璧な接合が出来たと思います。

片面を貼り終わってから15分程度したら、長手と幅方向に使ったハタ金を外し厚み方向の6本だけを残してアルミフレーム本体を抜いてしまいます。 こうすることでアルミフレームユニットに付着した接着剤(ゼリー型瞬間接着剤)が固まる前にアルミフレームユニットを取り出せます。 そしてマスキングテープは全て取り去ってしまえば付着した接着剤が悪さをすることもありません。

その後完全硬化を狙って6時間置いた後に全てのハタ金を外し内側の隅にはみ出ている接着剤を削り取ってやります。 それが終わったらアルミ板の内側の面に0.2mm厚のP-Pシートを両面接着テープで貼り付けます。

次にフロントパネルの外寸の調整研磨をしておきます。 ごく僅かに大きめにしていたのですが、ギリギリのサイズに現物合わせで追い込みます。 そしてもう一枚のアルミ板を貼り付けますが、アルミフレーム本体を挟む必要はもうありません。 接着剤がはみ出ないよう量をぎりぎりに抑えてやりますが、圧着保持中に細い棒でそれでもはみ出る接着剤を掻き出して少しでも削る作業が楽になるようにした方が良いでしょう。

こちらも6時間寝かせた後に外側の仕上げ研磨をします。 私は板に布下地サンドペーパーの#120〜#400を貼った物で削りました。 ハンドサンダー等間にスポンジゴム等入っているものは面がダレ易くてダメでした。 ケース側面はアルミ板とアガチスを同時に研磨するようになりますが最後は空研ぎペーパーの#600を使い、アルミのこば、木口はスポンジ研磨剤の極極細目を使って磨き上げました。 一方アルミ板の麺の部分は空研ぎペーパー#600でヘヤーライン仕上げとしています。

また角は丸みが付くよう適当に削り落としています。  以上で塗装前の仕上げ研磨が完了しました。

切り出したアルミ側板(左側)です。 無論同じ物がもう一枚必要です。 板の外寸は0.3〜0.5mm大きくなるようにしてあり、後で調整研磨で所定の大きさとします。

接着して圧着保持をしている状態ですが、15分後に厚み方向以外のハタ金は外してしまいます。

そして厚み方向のハタ金を増やして完全硬化のために6時間放置します。

内側奥の隅には基盤本体とアルミ側板を電気的に接続する目的の燐青銅板がちらっと見えます。

アルミ板の内側には0.2mm厚のポリプロピレーン(P-P)シートを貼り、ショート防止としました。

アルミフレーム本体のフロントパネルを調整研磨し、ごく僅かの隙間で収まるよう調整しました。

もう1枚のアルミ板を接着しました。 なにか意地になってハタ金を使っているみたいに沢山使用しています。

貼り終わった直後はアルミ板は僅かに木の枠より出っ張っていますので、

替刃式ヤスリ(M-20GP)で同じ高さになるよう削ります。

そして板に#240の空研ぎペーパーを貼り付けてケースを握りアルミ板の面を除き全面を研磨し、その後面取りをします。

こちらは替刃式ヤスリで削った後。 替刃式ヤスリの粗さは約#150と言われていますが、長手方向の深い溝が沢山見えます。

そしてこちらは#240の空研ぎペーパーで研磨した後。 長手方向の溝が浅くなっているのが判ります。

ヘヤーライン加工のジグ。 #400の空研ぎペーパーを板に貼り付け左側にガイド棒を固定してあります。 使い方は簡単で、ガイド棒にケースを沿わせて研磨するだけです。

ヘヤーラインを掛け終わったケース。 見違えるようにエレガントな外観になりました。

ケースを上から見た4つの角(赤矢印の先)は半径2〜3mmで丸くしましたが、その他の角は痛くないように0.4〜0.6mm削っただけとし、シャープな外観を持たせたつもりでいます。(全てを丸くしてしまうとぼてっとした雰囲気になります。

これで外観は木部の色味を除き最終的な形になりました。 シャープさ狙いはこの場合良かったようです。




2013/07/12

塗装を済ませ完成まで

塗装については乾燥が速く物理的特性の大変優れた水性ウレタンニスを使います。 但し生地のままの状態では重厚さがありませんのでマホガニーブラウン色の水性ステインで着色してから水性ウレタンニスで塗装ということになります。

手順の詳細は次のとおりです。

  1.アルミ板部分をマスキングテープで覆い、ポアステインマホガニーブラウンを水を2倍加え希釈したもので着色します。
    (かなり薄くしていますが着色斑をなくすためで、1回塗ったら1時間乾燥、そしてまた塗って乾燥!を5回繰り返して着色
    濃度を上げました。 3回塗って乾燥したところで#400ペーパーで研磨します。)


  2.水性ウレタンニス透明クリヤーに水20%を加え希釈したものをアルミ板の面を除いて塗装します。 1回塗ってできる塗膜は
    水を加えなかった時に比べると薄いので、塗り回数を6回に増やします。
    3回目と5回目の塗装後乾燥したら#600ペーパーで軽く研磨します。

  3.アルミの面部分はいきなり水性ウレタンニスを塗装するのではなく、アクリル系ラッカースプレー塗料の透明クリヤーを2回
    塗ります。 表面に細かなつぶつぶが出来ますが後程処理します。(いきなり塗ると表面張力で塗膜が広がりません。)

  4.アクリルラッカーが完全乾燥後に#600ペーパーでアルミ板表面のツブツブを軽く研磨して7分程落とします。
    (絶対にアルミの生地が出るまで削らないように。)

  5.アルミ板表面を水を20%加えて薄くした水性ウレタン透明クリヤーニスで2回
    塗装します。

  6.全体に水性ウレタンニスつや消しクリヤーで塗装して塗装作業終了。


上記中3.〜5.の処理は初体験。 最初にいきなり水性ウレタンニスを塗りこんで斑がたくさんでき大失敗しました。 右の写真はその再現実験で未乾燥部分は白っぽく見え膜厚の斑が沢山あることが判ります。  そこで完全乾燥後に斑の出た塗膜を#400ペーパーで削り込んで完全に落としてから、アクリルラッカースプレー塗料で塗装したら直径0.7mm程度のつぶつぶになりこの方が後の処置がやりやすいと考えて先に進めました。  そんなトラブルもありましたが、期待通りの外観を得られたと思います。 それら完成までの様子は以下の写真と説明をご覧下さい。

先ずステインで木部を着色しました。 写真には見えませんが、アルミを着色しないようマスキングテープで覆ってやりました。

木部とアルミの厚み部分を20%の水で薄めた水性ウレタンニス透明クリヤーで塗装しました。(アルミの面部分はまだ塗装しません。)


 木部の塗装は透明クリヤー6回塗りとしましたが3回目と5回目の塗装乾燥後には#600空研ぎペーパーで研磨していま
 す。 アルミの面塗装はその後アクリルラッカースプレー塗料を2回塗りし、完全乾燥後に表面を#600空研ぎペーパーで
 ツブツブの頭を半分削るように研磨します。 そして水性ウレタンニス透明クリヤーを2回塗りし乾燥後に全体をつや消し
 クリヤーで塗装します。 その仕上がり具合は以下のクローズアップ写真をご覧下さい。




つや消し塗装処理しているためしっとりとした3分艶位になっており品があります。

木目部分とアルミ板の厚み部分のコントラストが大変美しく仕上がったと思います。

4箇所は半径2mm位に丸めましたが、その他の角は0.3〜0.4mm程角を落とした程度ですから、シャープな感じが残っています。

全面はこんな具合ですが、フロントパネルを落とし込むように収まります。

背面の角を見たところ。 実は背面の木目はオクメの木口テープで異なった木目になっています。

生地の色はアガチスに似ているので着色後雰囲気は似ていますが、木目の違いが判ります。

ヘヤーライン加工面は光の当たり具合で見え方が大幅に変化します。 これは最も明るく反射したところを撮影しています。

こちらは最も反射光が鈍くなる手間の状態で、前側が強めに反射しています。

アルミフレームアセンブリーを装填した状態ですが、アルミ板の面は最も反射光が鈍い状態になっています。

これで2種類のポータブルヘッドフォーンアンプの製作が終了しました。 コダワリに更にコダワリが重なり構想から何と1年も掛かっていますが、何れも省エネ度が高く、満足度の高い物になったと自負しています。 第一世代のポータブルヘッドフォーンアンプそして今回作った2つのモデルの比較は次をご覧下さい。

第一世代 第二世代 1 第二世代 2
 使用オペアンプ OPA2134 OPA2350 AD8397
 電源 アルカリ乾電池006P 単四アルカリ乾電池 x 3 単四エネループ x 3
 最大出力 負荷100Ω
    電池電圧High
21.9mW
9.0V
21.9mW
4.5V
14.4mW
3.6V
 最大出力 負荷100Ω
    電池電圧Low
6.1mW
5.4V
7.7mW
2.7V
9.8mW
3.0V
 最大出力 負荷16Ω
    電池電圧High
10.5mW
9.0V
34.2mW
4.5V
41.0mW
3.6V
 最大出力 負荷16Ω
    電池電圧Low
3.3mW
5.4V
15.0mW
2.7V
28.1mW
3.0V
 2電源方式 抵抗2本によるスプリッター 抵抗2本によるスプリッター TLE2426によるスプリッター
 DCサーボ なし なし パッシブ型
 電池寿命シャットオフ 手動 手動 自動
 電池電圧表示 なし なし LEDの色変化による
 体積 117.6cm3 54.5cm3 108cm3
 重量(電池込み) 120g 100g 142g
 電池寿命 27時間 120時間 42時間
 運転費用 \28/時間 \3.0/時間 \0.08/時間
 
第二世代の1.と2.の電源電圧に対する駆動能力に差があるように思えますが、乾電池とニッケル水素電池の使用電圧範囲が異なるので差があるように見えますが、同一電圧では拮抗しています。 それよりもどちらも第一世代より遥かに駆動能力が改善されています。 その理由はこれらのオペアンプが低電圧の元でも高性能が得られる設計になっているためです。

また省エネ度でも抜群の成績で運転費用の違いでよく判ります。 上記の数値には出ていませんが実際に再生音を聴き比べてみると、AD8397を使ったものの方が一味デリカシーが上手といった感じでしっとり感がよりあるようですが比較するから判る差であり、ブラインドホールドでいきなり聴いたら恐らく違いが判らないでしょう。  ということで軽量・コンパクトさから出かけるときに使うのは第二世代 2.で家の中で部屋を移動しながら使う時には第二世代 1.ということになりそうです。

----- 完 ----- 


 
  
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